JP2011136851A - ベントナイト粉体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】天然のジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土粉体または該粘土をアルカリ処理してなる粘土粉体に、下記式で示される含塩素無機塩を所定量だけ含有させる。
Mp+(ClOq -)p ・・・(式)
(式中、Mは、Na,K,Mg,Ca,Ba,Alの群から選ばれた金属原子であり、pは、金属原子Mの価数で1乃至3の自然数であり、qは、塩化物イオンまたは塩素酸イオンのイオン式を構成する酸素原子Oの数で0または1乃至4の自然数である。)
【選択図】 図1
Description
L値:明るさを表す値、0(黒)〜100(白)の範囲で推移
a値:色成分を表す値、−128(緑)〜+127(赤)の範囲で推移
b値:色成分を表す値、−128(青)〜+127(黄)の範囲で推移
すなわち、本発明のベントナイト粉体は、必要に応じてアルカリ処理されたジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土粉体であって、下記式で示される含塩素無機塩を所定量だけ含有する。
Mp+(ClOq -)p ・・・(式)
(式中、Mは、Na,K,Mg,Ca,Ba,Alの群から選ばれた金属原子であり、pは、金属原子Mの価数で1乃至3の自然数であり、qは、塩化物イオンまたは塩素酸イオンのイオン式を構成する酸素原子Oの数で0または1乃至4の自然数である。)
Mp+(ClOq -)p ・・・(式)
(式中、Mは、Na,K,Mg,Ca,Ba,Alの群から選ばれた金属原子であり、pは、金属原子Mの価数で1乃至3の自然数であり、qは、塩化物イオンまたは塩素酸イオンのイオン式を構成する酸素原子Oの数で0または1乃至4の自然数である。)
先にも述べたように、本発明のベントナイト粉体は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土に含塩素無機塩を所定量だけ添加することにより得られるものである。また、ここでいうベントナイトは、天然のジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土をアルカリ処理して活性化したもの、または、元々アルカリ−リッチな天然のジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土をそのまま原料にして乾燥・粉砕により製したものの何れでもよいが、産業上有用なベントナイト製品たり得る性能、すなわち、15ml/2g以上の膨潤力と30mmol/100g以上のメチレンブルー吸着量を有することが望ましい。
SiO2:60〜80重量%
Al2O3:10〜30重量%
Fe2O3:1.0〜10.0重量%
Na2O:0.1〜4.0重量%
K2O:0.1〜3.0重量%
MgO:1.0〜8.0重量%
CaO:0.5〜5.0重量%
強熱減量(1000℃):3〜12重量%
次いで、本願に係るベントナイト粉体の製造工程の一例について説明を行う。先にも述べたように、本願のベントナイト粉体は、天然のベントナイトや酸性白土等を原料としている。
日本電色工業(株)社製カラーメータSE−2000を使用し、粉末試料をφ35mmのガラスセルに半分程度充填し、20回タッピング後、Lab表色系におけるL値、a値、b値の測定を行う。Lab表色系におけるL値、a値、b値は、それぞれ以下の値を示すものである。
L値:明るさを表す値、0(黒)〜100(白)の範囲で推移
a値:色成分を表す値、−128(緑)〜+127(赤)の範囲で推移
b値:色成分を表す値、−128(青)〜+127(黄)の範囲で推移
この例においては、色相変化のうち黄変化に特に注目し、b値を黄変化の目安となる黄変化度として用いた。
各成分の含有率は、(株)リガク製 蛍光X線回折装置ZSX−Primus−IIを用いて測定を行った。金属原子はすべて酸化物に換算して、全組成を100%としたときの各成分の含有率(%)で表した。
X線回折装置((株)リガク製、MultiFlex、Cu−Kα)を使用して、以下の条件で測定を行った。
管電圧:40kV、管電流:30mA、発散スリット:0.15mm、
散乱スリット:1°、受光スリット:0.3mm
試料2gを、イオン交換水100mlを入れた100mlの共栓付きメスシリンダに内壁に殆ど付着しないように加え、先に加えた試料が殆ど沈着した後に次の試料を加えるようにして、約10回に分けて入れた。試料を加え終わった後にメスシリンダに栓をして24時間静置し、容器内に堆積した試料の見掛け容積を読み取った。膨潤度の単位を(ml/2g)として表示する。
粘土ハンドブック(第三版、日本粘土学会編)P456に記載の「(3)メチレンブルー吸着量」に準拠して測定した。具体的には以下の通りである。
ベントナイト粉末を105℃で恒量となるまで乾燥し、デシケータ内で放冷する。乾燥ベントナイト0.500gを秤取し、2%のピロリン酸ナトリウム溶液50mlを入れてあるコニカルビーカ(200ml)に加える。超音波分散機(周波数:20〜30kHz,出力:100〜150W)で10分間処理してベントナイトを分散させる。超音波分散機がない場合には、時計皿で蓋をして10分間穏やかに煮沸して分散させた後、室温まで冷却する。次に、0.01Mメチレンブルー溶液(試薬特級のメチレンブルー3水塩3.74gを水に溶かして1Lとする)にて滴定する。
予想される消費量の80%程度のメチレンブルー溶液を加え、スターラなどを用いて30秒間撹拌する。コマゴメピペットを用いて濾紙(定性用No.2、或いはNo.131)上に1滴垂らす。メチレンブルーで濃青色に染まったベントナイトの外側に、メチレンブルー溶液によるブルーのハローが現れていなければ、メチレンブルー溶液を更に1ml加えて30秒間撹拌し、液の1滴を採って濾紙上に置く。この操作を淡いブルーのハローが現れるまで繰り返す。30秒撹拌した後に淡いブルーのハローが現れたら、更に2分間撹拌し、再度液の1滴を取って濾紙上に置く。ブルーのハローが消えていたら、メチレンブルー溶液を更に1ml加え同様の操作を行う。2分間撹拌した後でも消えない1.5〜2.0mm幅のハローが現れたら、滴定の終点である。0.01Mメチレンブルー溶液消費量(ml/0.5g)を2倍すればメチレンブルー吸着量(mmol/100g)となる。
マルバーン社製マスターサイザー2000を使用して、粉末試料を純水に分散して平均粒径の測定を行い、50%体積平均径(μm)を求めて平均粒径とした。
JIS K5101−17−2:04に準拠し、試料を純水に2%濃度に懸濁させて測定した。
直径40mmの秤量瓶に試料約1gを量り取り、110℃に設定したオーブン中で2時間乾燥した後、デシケータに移して放冷し、再度重量を測定した。乾燥前後の重量変化から水分(%)を求めた。
本願発明者らは、本願に用いる含塩素無機塩について、7種類の含塩素無機塩を用いて実施例1〜7、及び比較例1により検証を行った。
〈第1ステップ〉
ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土として、新潟県新発田市小戸N−1地区産の原料粘土(含水物)20kgを用い、このジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土を10mm巾の波目形孔を有する造粒板を装着したスクリュー式一軸押出機で押し出した後、Na2CO3分が150℃乾燥物換算で全体の3.0%となるようにNa2CO3(和光純薬製)粉末をふりかけ、スプーンで混合し、スクリュー式一軸押出機(5mmφ円形孔−造粒板装着)で2回押し出して混練・造粒し、黄変化抑制剤添加前の中間原料(A−1)を調製した。
100mlのビーカに、黄変化抑制剤としての各含塩素無機塩0.5g(無水物換算)を秤取後、純水を加えて30gとし、マグネチックスターラで撹拌して含塩素無機塩を完全に溶解させ、各含塩素無機塩水溶液を調製した。なお、実施例1〜7において用いた含塩素無機塩は、それぞれ以下の通りである。
実施例1:CaCl2(和光純薬製試薬特級)
実施例2:MgCl2(和光純薬製試薬特級)
実施例3:NaCl(和光純薬製試薬特級)
実施例4:KCl(和光純薬製試薬特級)
実施例5:BaCl2(和光純薬製試薬特級)
実施例6:AlCl3(和光純薬製試薬特級)
実施例7:NaClO4(和光純薬製試薬特級)
第1ステップで得られた上記中間原料(A−1)を150℃乾燥物換算で1kgとなるように秤り取り、ステンレス製容器に厚さ2cm程度になるように広げ入れた後、別途調製した各含塩素無機塩水溶液をそれぞれ全量振りかけて、スプーンで良く混ぜ合わせた後、スクリュー式一軸押出機(5mmφ円形孔−造粒板装着)で3回押し出して混練・造粒し、含水の粒状物を得た。
第2ステップで得られた含水の粒状物を170℃のオーブン中で2時間乾燥した後、乾燥上がりの粒状物(X−1)約50gを卓上ミル(IKA粉砕機 Allbasic)で粉砕し、更に、200メッシュのフルイを通過させ、本発明のベントナイト粉体が得られた。これら実施例1〜7で得られた粉末は、ポリエチレン(PE)製のチャック付ポリ袋に保存した(粉末保存)。
前記中間原料(A−1)について、黄変化抑制剤としての含塩素無機塩を添加しないまま、前記第3ステップと同様の操作を行うことにより従来技術によるベントナイト粉体が得られた。得られた粉末はポリエチレン(PE)製のチャック付ポリ袋に保存した。
〈第1ステップ〉
ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土として、新潟県新発田市小戸N−2地区産の原料粘土(含水物)20kgを用いる以外は、前記実施例1〜7の第1ステップと同様に実施して黄変化抑制剤添加前の中間原料(A−2)を調製した。
図2に示したように、黄変化抑制剤として次亜塩素酸ソーダを使用して、次亜塩素酸ソーダの添加量を変化させる以外は前記実施例1〜7の第2ステップと同様に実施して含水の粒状物を得た。なお、実施例8〜10において用いた次亜塩素酸ソーダの添加量は、それぞれ以下の通りである。
実施例8:次亜塩素酸ソーダ 0.05重量部
実施例9:次亜塩素酸ソーダ 0.1重量部
実施例10:次亜塩素酸ソーダ 0.2重量部
前記実施例1〜7の第3ステップと同様に実施して本発明のベントナイト粉体を得た。
前記中間原料(A−2)について、黄変化抑制剤としての含塩素無機塩(次亜塩素酸ソーダ)を添加しないまま、前記第3ステップと同様の操作を行うことにより従来技術によるベントナイト粉体を得た。
次いで、水分量の違いによる色相の変化について、参考例1,2にて検証を行う。
前記実施例3の第3ステップにおいて、第2ステップで得られた乾燥前の含水粒状物を2つの容器に分けて60℃の恒温乾燥器に容れて、水分が約7%程度(参考例1)と、約2%程度(実験例2)になるように乾燥し、以後は実施例3と同様に実施して、ベントナイト粉体を得た。
次いで、ヒドロキシカルボン酸による変色抑制効果について、実施例11〜13、及び比較例3にて検証を行う。
〈第1ステップ〉
ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土として、新潟県新発田市小戸N−3地区産の原料粘土(含水物)20kgを用いた以外は、前記実施例1〜7の第1ステップと同様に実施して黄変化抑制剤添加前の中間原料(A−3)を調製した。
図4に示したように黄変化抑制剤としてヒドロキシカルボン酸(酒石酸、クエン酸、リンゴ酸)を使用して添加量を変える以外は前記実施例1〜7の第2ステップと同様に実施して含水の粒状物を得た。なお、実施例11〜13において用いたヒドロキシカルボン酸とその添加量は、それぞれ以下の通りである。
実施例11:酒石酸 2重量部
実施例12:クエン酸 2重量部
実施例13:リンゴ酸 2重量部
前記実施例1〜7の第3ステップと同様に実施して本発明のベントナイト粉体を得た。
前記中間原料(A−3)について、黄変化抑制剤としてのヒドロキシカルボン酸を添加しないまま、前記第3ステップと同様の操作を行うことにより従来技術によるベントナイト粉体を得た。
〈第1ステップ〉
ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土として、新潟県新発田市小戸T−1地区産の原料粘土(含水物)20kgを10mm巾の波目形孔を有する造粒板を装着したスクリュー式一軸押出機で押し出し後、Na2CO3を加えることなく、スクリュー式一軸押出機(5mmφ円形孔−造粒板装着)で2回押し出して混練・造粒し、黄変化抑制剤添加前の中間原料(B−1)を調製した。
表6に示したように黄変化抑制剤である含塩素無機塩として塩化ナトリウム(実施例14:0.5部添加、実施例15:1.0部添加)と塩化アルミニウム(実施例16:0.5部添加)を添加する以外は前記実施例1〜7の第2ステップと同様に実施して含水の粒状物を得た。
前記実施例1〜7の第3ステップと同様に実施して本発明のベントナイト粉体を得た。
前記中間原料(B−1)について、黄変化抑制剤としての含塩素無機塩を添加しないまま、前記第3ステップと同様の操作を行うことにより従来技術によるベントナイト粉体を得た。実施例14〜16及び比較例4で得られた粉末は、実施例1〜7で行ったと同様の保存を行い、前記同様の項目について測定を行い、その結果を図5に示した。
Claims (20)
- 天然のジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土粉体または該粘土をアルカリ処理してなる粘土粉体であって、下記式で示される含塩素無機塩を所定量だけ含有することを特徴とするベントナイト粉体。
Mp+(ClOq -)p ・・・(式)
(式中、Mは、Na,K,Mg,Ca,Ba,Alの群から選ばれた金属原子であり、pは、金属原子Mの価数で1乃至3の自然数であり、qは、塩化物イオンまたは塩素酸イオンのイオン式を構成する酸素原子Oの数で0または1乃至4の自然数である。) - ヒドロキシカルボン酸またはその塩をさらに所定量だけ含有することを特徴とする請求項1に記載のベントナイト粉体。
- 工場出荷時における水分含有量が乾燥後基準で5重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のベントナイト粉体。
- 前記含塩素無機塩の含有量が、粘土分100重量部(乾燥物換算)に対して0.02乃至2重量部であることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト粉体。
- 前記ヒドロキシカルボン酸またはその塩の含有量が粘土分100重量部(乾燥物換算)に対して0.2乃至2重量部であることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト粉体。
- 前記含塩素無機塩が塩化アルミニウム又は塩化ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト粉体。
- 前記ヒドロキシカルボン酸またはその塩が酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、またはそれらの塩の群から選ばれた何れかを含む1つ以上であることを特徴とする請求項2に記載のベントナイト粉体。
- 天然のジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土粉体または該粘土をアルカリ処理してなる粘土粉体であって、ヒドロキシカルボン酸またはその塩を所定量だけ含有することを特徴とするベントナイト粉体。
- 工場出荷時における水分含有量が乾燥後基準で5重量%以下であることを特徴とする請求項8に記載のベントナイト粉体。
- 前記ヒドロキシカルボン酸またはその塩の含有量が粘土分100重量部(乾燥物換算)に対して0.5乃至5重量部であることを特徴とする請求項8に記載のベントナイト粉体。
- 前記ヒドロキシカルボン酸またはその塩が酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、またはそれらの塩の群から選ばれた何れかを含む1つ以上であることを特徴とする請求項8に記載のベントナイト粉体。
- 原料となるジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土にアルカリ性化合物を添加して混練することにより、前記粘土の基本構造層間にアルカリイオンを取り込ませる第1のステップと、
前記第1のステップを経た前記粘土中に下記式で示される含塩素酸塩を所定量だけ添加して混練することにより、前記粘土中に含塩素酸塩を均一に分散させる第2のステップと、
Mp+(ClOq −)p ・・・(式)
(式中、Mは、Na,K,Mg,Ca,Ba,Alの群から選ばれた金属原子であり、pは、金属原子Mの価数で1乃至3の自然数であり、qは、塩化物イオンまたは塩素酸イオンのイオン式を構成する酸素原子Oの数で0または1乃至4の自然数である。)
前記第2のステップを経た前記粘土を乾燥したのち、粉砕、分級することで前記粘土の微粉体を生成する第3のステップとを有することを特徴とするベントナイト粉体の製造方法。 - 前記第2のステップが、ヒドロキシカルボン酸またはその塩を所定量だけ含有するステップをさらに有することを特徴とする請求項12に記載のベントナイト粉体の製造方法。
- 前記第3のステップにおいて、乾燥終了時における前記微粉体の水分含有量が5重量部以下であることを特徴とする請求項12に記載のベントナイト粉体の製造方法。
- 前記第2のステップにおいて、前記含塩素無機塩の添加量が粘土分100重量部(乾燥物換算)に対して0.02乃至2重量部とされることを特徴とする請求項12に記載のベントナイト粉体の製造方法。
- 体積平均粒子径d(50)が3乃至20μmであることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト粉体。
- 出荷後30日経過した時点におけるb値が6以下であることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト粉体。
- 鉄分が酸化物換算で0.5重量部乃至5重量部だけ含まれていることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト粉体。
- その用途として、製紙用添料、布製品用柔軟化剤を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載のベントナイト粉体。
- 第3のステップにおける粉砕は、出荷前15日以内に行うことを特徴とする請求項12に記載のベントナイト粉体の製造方法。
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