JPH10193500A - 酸化チタン含有積層シート - Google Patents

酸化チタン含有積層シート

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JPH10193500A
JPH10193500A JP9002313A JP231397A JPH10193500A JP H10193500 A JPH10193500 A JP H10193500A JP 9002313 A JP9002313 A JP 9002313A JP 231397 A JP231397 A JP 231397A JP H10193500 A JPH10193500 A JP H10193500A
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titanium oxide
water
film
layer
laminated sheet
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JP9002313A
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Michihiko Sato
道彦 佐藤
Kazuchiyo Takaoka
和千代 高岡
Yasuhiro Aizawa
泰洋 相澤
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酸化チタンの光触媒的分解作用を利用した優れ
た有害物質光分解能を有し、水中あるいは高湿度条件下
に長期間の使用しても酸化チタンがシートから脱離する
ことのない耐水性に富む酸化チタン含有積層シートを提
供する。 【解決手段】支持体の少なくとも一方の面に少なくとも
酸化チタンを含有する層を有し、更にその上に少なくと
も皮膜形成性無機物と耐水剤とを含有する層を有するこ
とを特徴とする酸化チタン含有積層シート。また、支持
体の少なくとも一方の面に、少なくとも酸化チタンを含
有する層、少なくとも皮膜形成性無機物を含有する層、
及び少なくとも耐水剤を含有する層をこの順に積層して
なることを特徴とする酸化チタン含有積層シート。ま
た、これら酸化チタン含有積層シートに於て、支持体と
少なくとも酸化チタンを含有する層の間に、少なくとも
皮膜形成性無機物を含有する層を有する酸化チタン含有
積層シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、支持体の少なくと
も一方の面に少なくとも酸化チタン含有層を設けてなる
酸化チタン含有積層シートに関し、詳しくは脱臭能及び
耐候性等に優れた酸化チタン含有積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】世界規模での地球環境の見直し及び改善
努力がなされるなか、民度の向上や生活環境に対する関
心の高揚に伴い、環境破壊物質の社会的排出抑止だけで
なく自助努力による生活改善の気運が高まっている。日
常生活に於て、例えば悪臭の消散は、芳香剤のび漫によ
る消極的消臭だけではなく、活性炭等のガス吸着物質に
よる脱臭、更には吸着ガスの分解に到る積極的消臭等へ
要求が移行しつつある。また、殺菌あるいは抗菌に関し
ても水処理等の工業規模から、MRSA院内感染や老人
介護等身近な問題として要求が増加している。
【0003】この様な脱臭及び殺菌等の要求に対し、近
年酸化チタンが注目を集めている。酸化チタンは従来か
ら、適度な硬度と無毒性から歯磨剤等に、また卓越した
着色力及び隠蔽力を有する白色顔料として古くから塗料
等に利用されている他、紫外線吸収剤として化粧品等に
使用されているが、酸化チタンの光触媒能力の検討も行
なわれており、特開昭61−135669号公報では硫
化物の分解、特公平2−62297号公報では窒素酸化
物の光分解、特開平3−69695号公報には脱臭の他
に抗(殺)菌作用、特開平6−256540号公報には
大腸菌等の殺菌の他に水苔等の活性抑制能を有すること
が開示されている。
【0004】日常生活に於ける卑近な脱臭剤としては活
性炭に代表されるガス吸着剤等が挙げられ、また殺菌剤
には強酸や強塩基の他に所謂殺菌剤等が挙げられる。脱
臭剤としてのガス吸着剤は、異臭物質を吸着するだけで
やがては飽和して吸着能力、即ち脱臭能力が失活してし
まう。また、強酸や強塩基あるいは殺菌剤は程度の差こ
そあれ劇毒性を有しており、人体に対しても多少の悪影
響を及ぼす。これらの欠点に対し、酸化チタンは効果の
即時性に劣るものの、本質的に異臭物質や菌等の光触媒
的分解作用を有するため、効果は失活することなく永続
性に富み、更に先に記した様に無毒性である利点を有す
る。
【0005】しかしながら、酸化チタン単独では実用構
造強度を有する皮膜を形成させることが困難なため、こ
れら酸化チタンを含有する有害物質光分解性材料の形態
としては、特公平7−87891号公報及び特開平4−
256755号公報に記載の如く、酸化チタンを包含す
る光反応性半導体と顆粒形成体とを混合成形して粒状物
とするか、粒状物に酸化チタン等を担持させたものや、
酸化チタンと紙料、紡糸原料、及び発泡原料等の支持体
形成材とに場合により結着剤と共に混合して一体シート
化するか、皮膜性を有する結着剤と共に予め形成された
紙、不織布、織布、フェルト、及びポリウレタンフォー
ム等の支持体に酸化チタンを含浸または塗布したシート
状物、及びその加工品等が挙げられる。
【0006】何れにせよ、酸化チタンの有害物質光分解
効果は、少なくとも有害物質が酸化チタンとの接触によ
って分解が誘引されるから、単純には酸化チタンの担持
量が多い程良く、更には支持体の表層にあって支持体と
の結着剤から酸化チタンが露出している程向上する。従
って、上記酸化チタンを包含する光反応性半導体と顆粒
形成体とを混合成形した粒状物や一体化シートの場合
は、酸化チタンが顆粒成形体及び支持体形成材、結着剤
等で被覆されるため、酸化チタンと有害物質との接触、
更には酸化チタンへの活性光の到達が阻害されて、期待
する有害物質光分解効果が得られない。
【0007】そこで、特開平1−111100号及び同
1−156576号公報には、酸化チタンを包含する脱
臭剤を支持体あるいは支持体形成材からエッチングによ
って露出させることが記載されている。しかしながら、
この処理は支持体マトリクス中からの酸化チタンの脱離
(粉落ち)を促進させるばかりでなく、支持体自体を劣
化させるため好ましくない。また、粒状物に酸化チタン
を担持させたものや、酸化チタンを含浸あるいは塗布し
たシート状物に於ても、酸化チタンに直接接触して担持
または支持する粒状物や支持体が被酸化性であれば、酸
化チタンの有害物質光分解作用によって粒状物や支持体
が分解を被り、やはり酸化チタンの粉落ちが促進して好
ましくない。
【0008】そこで、上記欠点を改善するため検討し、
支持体の少なくとも一方の面に少なくとも酸化チタンを
含有する層を設け、更にその上に少なくとも皮膜形成性
無機物を含有する層を設けてなる酸化チタン含有積層シ
ートを提案した。酸化チタン含有層上に皮膜形成性無機
物含有層を設けた場合は、酸化チタン含有層に皮膜形成
性有機物を併用したり、または酸化チタン含有層上に有
機質皮膜を有する場合に比して、長期間の使用によって
もこれら有機物が酸化チタンによって分解されることが
なく、従って酸化チタンの積層シートからの脱離が防止
される。また、皮膜形成性無機物含有層は、一般に有機
物皮膜に比して気体透過性が良好であるため、酸化チタ
ン含有層を皮膜形成性無機物含有層で積層しても、有害
物質光分解能は然程損なわれない。
【0009】この酸化チタン含有積層シートは、通常の
生活空間で使用する限りに於ては永続して使用が可能で
あるが、このシートを水中で使用したり、あるいは表面
の汚れを濡れたタオル等で除去しようとした場合、皮膜
形成性無機物含有層に水分が浸透する結果、皮膜強度が
次第に低下し、皮膜形成性無機物含有層のみならず酸化
チタン含有層までも脱離してしまうことになる。
【0010】そこで、少なくとも酸化チタン含有層への
水の接触を抑止する意味に於ては、酸化チタン等の光半
導体の表面に撥水性を付与した光触媒が特開平6−38
5号公報に開示されている。しかしこの場合、光触媒表
面が撥水性付与物質によって被覆されているため、少な
くとも有害物質との接触が阻害される結果、期待する有
害物質光分解効果が得られない。また、光照射によって
生じた活性種が撥水性付与物質を分解してしまい、撥水
性が低下してしまう欠点を有している。
【0011】また、酸化チタン等の光触媒粒子と、好ま
しくは撥水性を有する光触媒活性耐蝕性バインダーとの
混合層を有する光触媒作用を有する部材が、特開平8−
131841号公報に開示されている。上記の場合に比
べ、光触媒粒子を固定するバインダーは分解され難くく
なるものの、この場合も光触媒粒子表面が光触媒活性耐
蝕性バインダーによって被覆されているため、少なくと
も有害物質との接触が阻害される結果、期待する有害物
質光分解効果が得られない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、支持
体上の少なくとも一方の面に酸化チタン含有層を設けて
なる酸化チタン含有積層シートに於て、酸化チタンの光
触媒的分解作用を利用した優れた有害物質光分解能を有
し、水を含む布帛で表面を払拭したり、高湿度条件下に
於ける長期間の使用によっても酸化チタンがシートから
脱離することのない耐水性に富む酸化チタン含有積層シ
ートを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため検討した結果、支持体の少なくとも一方の
面に少なくとも酸化チタンを含有する層を有し、更にそ
の上に少なくとも皮膜形成性無機物と耐水剤とを含有す
る層を有することを特徴とする酸化チタン含有積層シー
トにより上記課題を解決した。
【0014】酸化チタン含有層上に少なくとも皮膜形成
性無機物と耐水剤を含有する層を設ければ、酸化チタン
表面に直接耐水層を形成する場合に比して、長期間の使
用によってもこれら耐水剤が酸化チタンによって分解さ
れることが少なく、従って水を含む布帛による払拭及び
高湿潤条件下に曝されても酸化チタン及び皮膜形成性無
機物の積層シートからの脱離が防止され、耐候性が著し
く向上する。
【0015】また、支持体の少なくとも一方の面に、少
なくとも酸化チタンを含有する層、少なくとも皮膜形成
性無機物を含有する層、及び少なくとも耐水剤を含有す
る層が、この順に積層されている酸化チタン含有積層シ
ートであれば、酸化チタン含有層と耐水剤含有層とはそ
の間に設けられた皮膜形成性無機物含有層によって隔絶
されるため、耐水剤は酸化チタンによって全く分解され
ることなく、しかも少なくとも支持体と反対面は耐水剤
含有層が最外層だから、水分の浸透を効率よく防止で
き、更に耐候性が向上する。
【0016】また、上記の酸化チタン含有積層シートに
於て、支持体と少なくとも酸化チタンを含有する層の間
に、少なくとも皮膜形成性無機物を含有する層を有して
いれば、上記と同様に、酸化チタン含有層と支持体とは
この皮膜形成性無機物含有層によって隔絶されるため、
支持体は酸化チタンの有害物質光分解効果によって劣化
を被ることなく、耐久性が向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の酸化チタン含有
積層シートに係わる構成要素とその形成方法を層構成順
に詳細に説明する。本発明の酸化チタン含有積層シート
は、支持体の少なくとも一方の面に、場合により少なく
とも皮膜形成性無機物を含有する層を設け、その上に少
なくとも酸化チタンを含有する層と、少なくとも皮膜形
成性無機物及び耐水剤を含有する層とをこの順に設けて
なるか、少なくとも酸化チタンを含有する層、少なくと
も皮膜形成性無機物を含有する層、及び少なくとも耐水
剤を含有する層をこの順に積層されている酸化チタン含
有積層シートである。
【0018】本発明に係わる支持体としては、主に植物
繊維で構成された紙及び主に合成樹脂(繊維)で構成さ
れた不織布が用いられる。本発明に係わる支持体原料に
用いる植物繊維としては、針葉樹材及び広葉樹材からの
クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、及びアルカリパルプ等
の化学パルプ、セミケミカルパルプ、セミメカニカルパ
ルプ、及び機械パルプ等の木材繊維や、楮、ミツマタ、
藁、ケナフ、竹、リンター、バガス、及びエスパルト等
の植物性非木材繊維の他、レーヨン等の再生繊維及びセ
ルロース誘導体繊維等の天然物加工繊維等を用いても良
い。
【0019】更に、ポリエチレン及びポリプロピレン等
のオレフィン系樹脂、デクロン等のポリエステル系樹
脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体樹
脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、アクリラン、オー
ロン、ダイネル、及びベレル等のポリアクリロニトリル
系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリス
チレン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリ
エーテル、ポリビニルアルコール系樹脂、ジエン系樹
脂、及びポリウレタン系樹脂等からなる熱可塑性合成樹
脂繊維、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ア
ルキド樹脂、及びエポキシ樹脂等の熱硬化性合成樹脂繊
維の他、シリコーン系繊維、フッ素系繊維、ステンレス
ウール等の金属繊維、及び各種ガラス繊維等が挙げられ
る。本発明に用いられる繊維群は単一種でも、または2
種以上を組合わせて用いても良い。
【0020】上記植物繊維原料を本発明に係わる支持体
に加工する際には、所望によりロジン及びその変性物、
植物蝋または無水マレイン酸系、α−オレフィン系、及
びスチレン/アクリル酸エステル系合成樹脂のエマルシ
ョン、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク
酸、及び無水ステアリン酸等のサイズ剤、澱粉及びその
変性物、グァーガム及びその変性物、デキストリン、カ
ルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリアク
リルアミド、ポリアミドエピクロルヒドリン、各種エマ
ルション(含むラテックス)、尿素ホルマリン樹脂、及
びメラミンホルマリン樹脂等の紙力増強剤及び結着剤の
他、歩留まり向上剤、界面活性剤、消泡剤、染料、蛍光
増白剤、酸化防止剤、及びスライムコントロール剤等の
各種添加剤を添加して抄造しても良い。支持体抄造に
は、丸網抄紙機、長網抄紙機、ヤンキー抄紙機、ツイン
ワイヤー抄紙機、ハイブリッドフォーマー及びトップフ
ォーマー等のコンビネーション抄紙機等が使用できる。
【0021】更に、本発明に係わる支持体に用いる植物
繊維としては、シート化する前にこの植物繊維に水溶性
無機物を作用させた後、この無機物を水不溶化して担持
させた無機物担持繊維を用いても良い。植物繊維(パル
プ)に水溶性無機物を不溶化して担持させる方法として
は、特開平3−146766号、同3−152295
号、同4−18193号、同4−24299号、及び同
4−57964号公報等に記載の方法がある。即ち、親
水性繊維材料に特定の気体または水溶液と反応して水不
溶性の無機物を生成する水溶性無機化合物を含有する水
溶液を含浸しさせた後、これらの無機物を水不溶化させ
る気体または水溶液と接触させることで、この繊維材料
内部に水不溶性の無機物を担持させることができる。
【0022】また、本発明に係わる支持体に用いる不織
布は、上記合成樹脂繊維を水に懸濁し、抄紙法によりシ
ート状にする湿式法、樹脂接着によるレジンボンド、針
による交錯を利用したニードルパンチ、糸により編み上
げたステッチボンド、あるいは熱により接着させるサー
マルボンド等の所謂乾式法、高圧水をノズルから噴射し
て繊維同士を交絡させる水流交絡法、直接紡糸しながら
シート化するスパンボンド、直接紡糸する際に霧吹きの
原理を応用して微細繊維を作りながらシート化するメル
トブロー法等によって製造することができる。不織布の
厚み、空隙率、空隙の形状、開孔度、柔軟性、弾力性、
毛羽立ち、及び風合い等は、上記製造方法を選択するこ
とによって調整できる。また、本発明では水系処理を施
すため、不織布にある程度の水濡れ性が必要となり、親
水性繊維によりウェブを製造したものが好ましい。更
に、シート強度の点からスパンボンドやスパンレース法
にて不織布を加工することが好ましい。
【0023】上記の支持体上に、少なくとも酸化チタン
を含有する層を形成させる。本発明に係わる酸化チタン
源としては、従来汎用の酸化チタンの他、含水酸化チタ
ン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、
及び水酸化チタンと呼称されているチタン酸化物または
水酸化物を全て包含する。これら酸化チタン源から本発
明で使用する酸化チタンを種々の方法で製造する。即
ち、硫酸チタニル、塩化チタン、及び有機チタン化合物
等を必要に応じて核形成用種子の共存下に加水分解する
方法(加水分解法)、必要に応じて核形成用種子を共存
させながら、硫酸チタニル、塩化チタン、及び有機チタ
ン化合物等にアルカリ剤を添加して中和する方法(中和
法)、塩化チタン及び有機チタン化合物等を気相酸化す
る方法(気相酸化法)、更に加水分解法及び中和法で得
られた酸化チタンを焼成する方法(焼成法)等が挙げら
れる。本発明に係わる酸化チタンは、その表面に水酸基
を多く有するものが特に好ましい。
【0024】本発明の目的である有害物質光分解能を決
定する重要な因子の一つは酸化チタンにあり、その分解
能は酸化チタンが被分解物質とより多く接触することで
向上し、従って傾向的には酸化チタンの比表面積は大き
い程良い。本発明に係わる酸化チタンの比表面積は、B
ET表面積測定器にて容易に測定できるが、実用的分解
能に勘案すれば、本発明に係わる酸化チタンの好ましい
比表面積は100m2/g以上である。また、殆どの酸化
チタンは多孔質性を有さず、単純に小粒径をもって充て
ることができる。本発明に係わる酸化チタンの好ましい
一次粒子の粒径は30nm以下で、更に好ましくは10
nm以下である。
【0025】本発明には、硫酸法酸化チタンの製造工程
に於て、硫酸チタニル溶液を熱加水分解して得られる含
水酸化チタンをアルカリ洗浄して硫酸分を除去した後、
塩酸や硝酸等の強酸で解膠した含水酸化チタンが好適に
利用できる。この含水酸化チタンは、一次粒子が数nm
程度のアナターゼ型の微結晶(ゾル)であり、これを中
和後に乾燥させると200m2/g以上の比表面積を有す
る酸化チタンが得られる。比表面積等は中和時に添加す
るアルカリ種、pH上昇速度、及び液温等によってもあ
る程度の制御が可能である。
【0026】その他の方法で製造される酸化チタンに関
しても、本発明の酸化チタン含有積層シートに適用する
ためには、酸化チタンの比表面積を制御することが好ま
しいが、比表面積制御法としては加水分解、中和、酸
化、及び焼成等の粒子形成工程に於て調整する方法が挙
げられる。上記中和前の酸性ゾルを本発明に係わる支持
体に含浸後、表面pHを上昇させると酸化チタンが支持
体上で凝集するが、この付着物を100℃前後で乾燥さ
せると、粒径が微細で200m2/g以上の比表面積を有
する酸化チタンが得られるため、特に好適である。ま
た、本発明に係わる皮膜形成性無機物が酸性液で不安定
化される様であれば、担持前に酸性ゾルの液pH等を予
め調整しておくことが望ましい。
【0027】本発明に係わる酸化チタン含有層中の酸化
チタンの量は、二酸化チタン換算で2〜50g/m2が好
ましい。一般的に、酸化チタンの量が多くなるにつれ、
有害物質光分解能は向上する反面粉落ち性は悪化し、酸
化チタンが2g/m2を下回ると、殆ど粉落ちは観られな
くなる(即ち、その上に皮膜形成性無機物で被覆する意
味がなくなる)が、実質的に有害物質光分解効果が発現
されない。また、逆に酸化チタンの量が50g/m2を上
回ると、これ以上酸化チタンを増量しても酸化チタンが
酸化チタンを被覆して、有害物質光分解能の向上は期待
できない反面、皮膜形成性無機物で被覆しても、粉落ち
する場合があって好ましくない。酸化チタンの更に好ま
しい量は10〜30g/m2である。
【0028】本発明に係わる酸化チタン含有層には、更
に少なくとも自己皮膜形成性の結着剤を少量併用するこ
ともできる。本発明に用いられる結着剤としては、澱
粉、天然ガム類、キトサン、アルギン酸塩、カルボキシ
メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等の
セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコ
ール、アクリル系エマルション、スチレン系エマルショ
ン、塩化ビニル系エマルション、及び塩化ビニリデン系
エマルション等の合成樹脂エマルション、スチレン−ブ
タジエン共重合体及びアクリロニトリル−ブタジエン共
重合体等の各種ラテックス等が挙げられる。
【0029】本発明に係わる上記酸化チタン含有液の支
持体への塗設方法は、コンベンショナルサイズプレス、
ゲートロールサイズプレス、及びフィルムトランスファ
ー方式のサイズプレス装置等により含浸する方法、ロー
ルコーター、ロッド(バー)コーター、ブレードコータ
ー、スプレーコーター、エアードクター(ナイフ)コー
ター、及びカーテンコーター等のコーターにより一般の
塗抹工程と同様の方法で所望により少量の適当な結着剤
と共に塗布する方法等が挙げられる。特に含浸法に於て
は、予め支持体を湿潤させて於ても良い。
【0030】本発明に係わる酸化チタン含有層を塗設す
るに当り、支持体表面が水濡れ性に劣る様であれば、酸
化チタン含有塗液に適当な界面活性剤を含有させたり、
酸化チタン含有層塗設に先立って、支持体表面をコロナ
処理、グロー放電処理、プラズマ処理、電子線照射処
理、遠紫外線照射処理、オゾン処理、及び界面活性剤等
の物理的化学的処理により水濡れ性を向上させておくこ
とが好ましい。
【0031】以上の様にして設けた酸化チタン含有層上
に、少なくとも皮膜形成性無機物と耐水剤とを少なくと
も同一の層に含有する層を積層させるか、少なくとも皮
膜形成性無機物を含有する層及び少なくとも耐水剤を含
有する層をこの順に積層させて、本発明の酸化チタン含
有積層シートが得られる。
【0032】先ず、皮膜形成性無機物を説明する。本発
明に係わる皮膜形成性無機物とは、水を主体とする溶媒
中に安定または準安定的に分散し得る水不溶性無機物微
粒子であって、少なくとも皮膜形成し得る無機物であ
る。本発明で云う皮膜形成性とは、適当な分散媒中に本
発明に係わる無機物を分散後、本発明に係わる支持体や
酸化チタン含有層上に塗布して乾燥した際に、少々の外
力を加えても落剥することなしに連続性を保持しうるこ
とを意味する。従って、乾燥経時により皮膜がひび割れ
るか粉体状に戻り、例えば塗設皮膜表面に指等で軽く接
触するだけで粉状物が接触体に少なからず転写する様で
あれば、本発明に於ては皮膜形成性を有するものではな
いものとする。
【0033】本発明に係わる皮膜形成性無機物の具体例
としては、サポナイト、ヘクトライト、及びモンモリロ
ナイト等のスメクタイト群、バーミキュライト群、カオ
リナイト及びハロイサイト(10Å)等のカオリナイト
−蛇紋石群、セピオライト等の天然粘土鉱物の他、コロ
イダルシリカ、コロイダルアルミナ、及びこれらの変性
物や合成無機高分子化合物等が挙げられる。
【0034】本発明で云う上記変性物に於ける変性と
は、天然鉱物中より不純物や特定の原子団を除去した
り、天然鉱物構成元素中の所望元素を適当な方法で処理
して他の元素と交換したり、別の化合物で化学処理して
特に鉱物表面の物性を改変し、元の鉱物固有の特性を伸
張したり新たなる特性を持たせることであり、本発明で
云う変性物の具体例としては、Ca−モンモリロナイト
を水の存在下で炭酸ナトリウム等と処理してイオン交換
を行なったNa−モンモリロナイトや、例えばカチオン
界面活性剤及び/またはノニオン界面活性剤で処理した
物が挙げられる。
【0035】また、本発明で云う合成無機高分子化合物
とは、天然鉱物と同等の組成を得る様、若しくは同等組
成の一部の元素を同等以上の特性を発現させる様に置換
した型で、二種類以上の化合物を反応させて得られる物
であり、天然雲母族に於て構造中の水酸基をフッ素で置
換した元素組成を有する所謂フッ素雲母や、合成スメク
タイト等が挙げられる。フッ素雲母の代表例としては、
フッ素金雲母〔KMg3(AlSi310)F2〕、フッ
素四珪素雲母〔KMg2.5(Si410)F2〕、テニオ
ライト〔KMg2Li(Si410)F2〕が挙げられ
る。
【0036】本発明に係わる上記無機物は、少なくとも
塗液中でコロイドを呈する物が好ましく、従ってこれら
を利用する際には、特に天然物については微粒子に粉砕
し、かつ非コロイド分は予め適当な方法で除去しておく
必要がある。また、塗液として調製する際に、液の粘性
が著しく高い様であれば、ヘキサメタリン酸塩等の分散
剤(粘度降下剤)を併用しても良い。以上の内、本発明
で好ましく用いられる皮膜形成性無機物としては、調液
性即ち皮膜形成性無機物液分散性や塗布性等の塗液特性
に優れるばかりでなく、機械的及び耐候的に皮膜強度の
優れるコロイダルアルミナ及びコロイダルシリカが挙げ
られる。
【0037】コロイダルアルミナとは、無定形あるいは
擬ベーマイト(広義のベーマイトを包含する)状アルミ
ナ水和物の、所謂羽毛状、繊維状、あるいは盤状等の分
散形状を有するコロイド状物である。市販のコロイダル
アルミナの例としては、川研ファインケミカル製アルミ
ナゾル−10、アルミナゾル−20、アルミナクリアゾ
ル、アルミナゾル−SH5、アルミナゾル−CSA5
5、アルミナゾル−SV102、及びアルミナゾル−S
B52、触媒化成工業製カタロイド(Cataloi
d)−AS(AS−1、AS−2、AS−3)及びカタ
ロイドAP、及び日産化学工業製アルミナゾル−10
0、アルミナゾル−200、及びアルミナゾル−520
等が挙げられる。
【0038】また、コロイダルシリカとは、粒子径が4
〜100nm程度の非晶質無水珪酸のコロイド状物であ
る。これらには、従来汎用の無変性のコロイダルシリカ
の他に、シリカ表面をアンモニア、カルシウム、及びア
ルミナ等のイオンや化合物で修飾し、粒子のイオン性や
pH変動に対する挙動を変えた変性コロイダルシリカも
包含される。市販のコロイダルシリカの例としては、旭
電化工業製アデライトAT−20、アデライトAT−2
0N、アデライトAT−30A、及びアデライトAT−
20Q等、触媒化成工業製カタロイドSA、カタロイド
SN、カタロイドS−30L、カタロイドSI−30、
カタロイドSI−50、カタロイドSI−350、及び
カタロイドSI−45P等、デュポン社製ルドックスL
S、ルドックスHS−30、ルドックスSM−30、ル
ドックスAS、及びルドックスAM等、日産化学工業製
スノーテックス−20、スノーテックス−N、スノーテ
ックス−O、スノーテックス−S、スノーテックス−S
S、スノーテックス−20L、スノーテックス−XL、
スノーテックス−AK、及びスノーテックス−UP等、
日本化学工業製シリカドール−20、シリカドール−2
0A、及びシリカドール−20P等が挙げられる。
【0039】また、本発明に係わる耐水剤としては、水
に対して防水性(非浸透性)を発現する防水剤と、本質
的に水を弾く撥水剤とが挙げられる。本発明で言う防水
剤とは、少なくともそれ単独で皮膜を形成し、かつその
皮膜の一方面に水が付着した場合、水に溶解もしくは分
散して実質的に皮膜が破壊されず、水が少なくとも液状
態では他方面へ実質的に浸透不能な特性を有する皮膜を
形成するもので、その皮膜表面の撥水性は問わない。一
方、本発明で言う撥水剤とは、少なくともそれ単独での
皮膜性は必ずしも必要とせず、また撥水剤含有層の一方
面に水が付着した場合、少なくとも気体状態では他方面
へと浸透するものであっても良いが、その皮膜表面は撥
水性を有するものである。
【0040】上記防水剤及び撥水剤は、便宜的な区別を
与えたに過ぎず、本発明に係わる耐水剤は、以上の様に
定義されたその少なくとも何れか一方の定義を満足して
いれば良い。尚、本発明に於て、本発明に係わる耐水剤
の単独層の接触角(水、20℃)が90度以上であれ
ば、その層は撥水性を有するものとし、その撥水性面を
与える耐水剤は、仮に上記防水剤の特性を有していても
撥水剤と呼称する。本発明に用いる撥水剤として、10
0度以上の接触角を有するものであり、更には110度
以上の撥水性を有するものが好適である。
【0041】本発明に係わる防水剤としては、上記特性
の他に、水もしくは水と混和可能な溶媒に溶解もしくは
安定分散し、溶媒除去するか必要により更に加熱するこ
とにより皮膜形成するものが好ましく、その例として
は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル系重
合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリ酢酸ビニル、
酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−エチレン
共重合体、塩化ビニル含有重合体、及び塩化ビニリデン
含有重合体等のラテックスや広義のエマルション、ポリ
ビニルブチラール樹脂、多価イソシアネートと多価アミ
ンもしくは多価アルコールとにより得られるポリウレタ
ンウレア、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリ
ン樹脂、及びベンゾグアナミン−ホルマリン樹脂等のア
ミノ化合物とホルムアルデヒドとの重合反応により得ら
れるアミノプラスト樹脂等が挙げられる。
【0042】また、本発明に係わる撥水剤としては、フ
ッ素系、シリコーン系、ワックスエマルション系、アク
リル樹脂パラフィンワックス併用系、メラミン系、メチ
ロールアミド系、金属錯塩系、及びアルキル尿素系等が
挙げられる。これらには、溶剤溶解型、水分散型(乳化
型)、反応開始剤(触媒)併用重合型(2液混合型)が
あり、何れのものも用いることができる。
【0043】本発明に係わる耐水剤として、防水剤は本
発明の課題である水中あるいは高湿度条件下に於ける長
期間の使用には最適であるとしても、その皮膜性から有
害物質(気体)の酸化チタン含有層との接触を著しく阻
害し、本発明の本質的目的である有害物質の除去効果を
喪失する可能性が高い。一方、高湿下に於て、例え耐水
剤含有層や酸化チタン含有層が湿潤したとしても、その
ことこそが気体の酸化チタン層との接触を意味するか
ら、湿潤によってこれらの層の劣化や落剥がなければ、
本発明に係わる耐水剤としては撥水剤の方が好ましい。
これらの中でも、撥水性付与の容易さ及び撥水能やその
耐候性等から、フッ素系及びシリコーン系撥水剤が好適
である。
【0044】本発明に用いるフッ素系撥水剤としては、
一般に撥水撥油剤として使用されているフッ素系化合物
を使用することができる。本発明に用いるフッ素系化合
物の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、テ
トラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合物等のパーフルオロ脂肪族化合物、ポリペンタデカフ
ルオロオクチル(メタ)アクリレート及びポリトリフル
オロエチル(メタ)アクリレート等のポリパーフルオロ
アルキルアクリレートまたはメタクリレート、ペンタデ
カフルオロオクタノール及びペンタデカフルオロデカノ
ール等のポリフルオロアルコールとヘキサメチレンジイ
ソシアナート及びトルエンジイソシアナート等のポリイ
ソシアナートとの反応によるパーフルオロウレタン樹
脂、特開昭62−205181号公報記載のポリフルオ
ロアルコールとポリイソシアナートとの反応生成物にテ
レフタル酸と飽和多塩基酸と飽和多価アルコールとをラ
ンダム共重合させたもの等が挙げられる。
【0045】また、本発明に用いるシリコーン系撥水剤
としては、一般に撥水剤、柔軟剤、離型剤、あるいは滑
剤として使用されているシリコーン系化合物が使用でき
る。本発明に用いるシリコーン系化合物としては、ジメ
チルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキ
サン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシロキ
サン−メチルフェニルシロキサン共重合物、ジメチルシ
ロキサンやメチルフェニルシロキサンとシリコーン以外
とのブロック共重合物、ジメチルポリシロキサンの分子
末端あるいは側鎖にアミノ基、エポキシ基、水酸基、及
びポリエーテル基等を導入することによって変性したポ
リシロキサン化合物、及びアルキル(メタ)アクリレー
トのアルキル基のジメチルポリシロキサンやメチルフェ
ニルポリシロキサンの(一部)置換体等が挙げられる。
【0046】これらフッ素系撥水剤やシリコーン系撥水
剤を含む撥水剤は、単独あるいは2種以上を混合あるい
は積層して使用することができる。これらの撥水剤は、
水に乳化させて、あるいは溶剤に溶解した状態で使用す
る。これらの撥水剤を本発明に係わるシート状基材また
はそれを構成する繊維に付与する方法としては、これら
の撥水剤を含有する処理液を用い、浸漬法、パディング
法、及びスプレー法等により処理する方法が挙げられ
る。また、撥水剤を含有する処理液には、撥水剤及び溶
剤(分散剤)の他に、結着剤、界面活性剤、架橋剤、静
電剤、柔軟剤、硬仕上げ剤、及び各種着色剤等を混合す
ることができる。
【0047】本発明に係わる皮膜形成性無機物含有層中
の皮膜形成性無機物の量は、1〜100g/m2が好まし
い。一般的に、皮膜形成性無機物の量が多くなるにつ
れ、皮膜形成性無機物含有層自体及びそれによる酸化チ
タン含有層の皮膜強度は向上する反面、有害物質光分解
能は悪化する。そこで、皮膜形成性無機物が1g/m2
下回ると、実質的に皮膜強度は皮膜形成性無機物被覆前
と変わらない。一方、皮膜形成性無機物の被覆量は10
0g/m2程度で充分であり、これ以上皮膜形成性無機物
を増量させても、有害物質光分解能が悪化するばかりで
好ましくない。皮膜形成性無機物の更に好ましい量は2
〜50g/m2であり、最適量は5〜40g/m2である。
【0048】本発明の酸化チタン含有積層シートに要求
される耐水性能は、表面の汚れを濡れた布帛等で除去す
る場合、即ちシート表面が短時間ではあっても水の接触
を伴って擦られる場合や、高温湿度条件下で長期間の使
用する場合、即ちシート表面は擦られることはなくと
も、水蒸気が長時間接触する場合の双方に於て、少なく
とも酸化チタン含有層に水分が浸透したとしても、その
ために皮膜強度が次第に低下し、酸化チタン含有層が落
剥してしまうことがない程度である。
【0049】ここで、布帛等の汚れ除去手段の摺接によ
る積層の強度は、水の浸透による積層の強度と同一の尺
度で計れないが、耐水剤の量を増加させても、少なくと
も撥水性(水の接触角)は一定の上限があるし、一方耐
水剤によって機械的皮膜強度の向上が図れるとしても、
その皮膜強度は撥水性の上限を与える最低耐水剤量程度
では到底上限に達しない。従って、本発明に於ては、水
の接触角が上限に達する耐水剤の最低量をもって決定し
て差し支えない。ところで、接触角の上限値は耐水剤の
種類によって変わるが、その上限値を与える耐水剤の量
はその種類に関係なくほぼ一定である。本発明で用いる
耐水剤の量は、本発明の酸化チタン含有積層シートの最
上層の構成が、耐水剤からなる層か皮膜形成性無機物と
耐水剤からなる層かによっても異なるが、総じて0.0
2〜10g/m2が好ましく、最適量は0.1〜2g/m2
である。
【0050】本発明の酸化チタン含有積層シートは、支
持体上に少なくとも酸化チタンを含有する層と、少なく
とも皮膜形成性無機物と耐水剤を含有する層とを、また
は少なくとも酸化チタンを含有する層、少なくとも皮膜
形成性無機物を含有する層、及び少なくとも耐水剤を含
有する層を、この順で少なくとも1層づつ積層したもの
であるが、酸化チタン含有層及び耐水剤含有層には皮膜
強度の向上等のために上記皮膜形成性無機物を併用して
も良いし、酸化チタン含有層及び皮膜形成性無機物含有
層には耐水性の向上等のために上記耐水剤を併用しても
良い。
【0051】また、接着性向上等のため所望により各々
の層を塗設するに当たって下引き層や中間層を積層して
も良い。特に、酸化チタンの光触媒能によって劣化を被
り易い支持体を用いる場合は、支持体と少なくとも酸化
チタンを含有する層の間に、主として非酸化性物質から
なる下引き層を設けることが望ましい。非酸化性物質と
しては、上記皮膜形成性無機物の他、クレー、カオリ
ン、タルク、炭酸カルシウム、セリサイト、硫酸バリウ
ム、アルミナ、シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化アル
ミニウム、光触媒能を有さない酸化チタンや酸化亜鉛等
の皮膜形成能を有さない非酸化性顔料等が挙げられる。
非酸化性顔料は上記皮膜形成性無機物と組合わせて用い
ることが好ましい。
【0052】更に、これらを含有する下引き層の皮膜強
度を向上させるため、自己皮膜形成性の結着剤を少量併
用しても良い。結着剤としては、澱粉、天然ガム類、キ
トサン、アルギン酸塩、セルロース誘導体、ポリビニル
アルコール、アクリル系エマルション、スチレン系エマ
ルション、塩化ビニル系エマルション、及び塩化ビニリ
デン系エマルション等の合成樹脂エマルション、スチレ
ン−ブタジエン共重合体等のラテックス等が挙げられ
る。下引き層の塗布厚は0.5〜30μmが好ましく、
更には2〜10μmが好適である。
【0053】また、本発明の酸化チタン含有積層シート
は、一方の面を更に別の支持体または目的装置等に接合
させたり、一方の面だけに目的分解物を含む気体を供給
したりする使用形態では、支持体の一方の面だけに少な
くとも酸化チタンを含有する層と、少なくとも皮膜形成
性無機物と耐水剤を含有する層とを、または少なくとも
酸化チタンを含有する層、少なくとも皮膜形成性無機物
を含有する層、及び少なくとも耐水剤を含有する層を、
この順に設けても良いが、支持体の両面に積層しても良
い。支持体の両面に酸化チタン含有層を始めとする各層
を設ける場合、一方の面と他方の面とで、積層の構成や
各層に含有される構成成分が同一でなくとも良い。
【0054】
【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳細に説明
するが、本発明はその主旨を越えない限り、これらに限
定されるものではない。尚、重量部、重量比、塗布量、
及び重量%は、特に断りがない限り、それぞれ非蒸発
(乾燥残)分である。
【0055】実施例1 広葉樹晒クラフトパルプ70重量部及び針葉樹晒クラフ
トパルプ30重量部をそれぞれろ水度(カナディアンス
タンダードフリーネス)350ml及び400mlに別
叩解した後、これらの混合パルプ100重量部に対しア
ルケニル無水コハク酸(王子ナショナル製;ファイブラ
ン)とカチオン化澱粉(王子ナショナル製;Cato
F)との等量混合乳化物1重量部、及びポリアミドエピ
クロルヒドリン(荒川化学社製;アラフィクス−10
0)0.25重量部を添加して、長網抄紙機により坪量
80g/m2の原紙Aを抄造した。
【0056】浸漬型含浸処理装置を用い、ヒドロキシア
パタイトとスチレン/アクリル系エマルション(旭化成
製;ポリトロンF320)の重量比4:1の水分散液に
微量の界面活性剤(ポリオキシエチレンモノラウレー
ト)を添加した水性液中に、固形分塗布量が約3g/m2
(両面)になる様に枚葉に裁断した原紙Aを浸漬しなが
ら通紙し、熱風で乾燥して支持体Aを得た。
【0057】一方、通常の硫酸法酸化チタンの製造工程
に於ける中間生成物である硫酸チタニルを熱加水分解し
て含水酸化チタンを得た。この含水酸化チタンを水酸化
ナトリウム水溶液で洗浄後、塩酸で解膠して乳白色半透
明の酸化チタン含有液(液pH=1.2)を得た。この
酸化チタン含有液を高剪断ミキサーに投入し、高速攪拌
しながらアルカリ水溶液を徐々に滴下して液pHを4ま
でゆっくり上昇させ、更に20分間攪拌して酸化チタン
分散液Aを得た。
【0058】浸漬型含浸処理装置を用い、上記酸化チタ
ン分散液A中に上記で作製した支持体Aを浸漬しながら
通紙し、支持体A上に塗布量が約30g/m2(両面)に
なる様に両面均等に酸化チタン含有層を設け、熱風で乾
燥して酸化チタン層塗設シートaを得た。この酸化チタ
ン層塗設シートaの表面を擦ったところ、指に粉体が付
着し、皮膜の剥離が認められた。
【0059】上記酸化チタン層塗設シートaの酸化チタ
ン含有層面に、皮膜形成性無機物であるコロイダルアル
ミナ(触媒化成工業製;カタロイド AS-3)を酸化ア
ルミニウム換算塗布量9g/m2(片面)で両面塗工して
熱風で乾燥させた。更に、減圧乾燥器を用いて減圧下4
0℃で2時間乾燥させて、酸化チタン含有積層シートA
を得た。この酸化チタン含有積層シートAの表面を指で
擦ったところ、粉体等の付着や皮膜の剥離は観られなか
ったが、水滴を落として指で擦ったところ、すぐには変
化なかったものの、やがて皮膜形成性無機物含有層及び
酸化チタン含有層共崩壊し、支持体A表面が露出した。
【0060】更に、この酸化チタン含有積層シートAの
皮膜形成性無機物含有層面に、耐水剤であるシリコーン
系撥水剤(日本ユニカー製;FZ−4658)の5重量
%水分散液を塗布量が0.2g/m2(片面)となる様に
両面塗工し、80℃温風乾燥機にて10分間乾燥させ、
酸化チタン含有積層シート甲を得た。この酸化チタン含
有積層シート甲の表面を指で擦ったが、粉体等の付着や
皮膜の剥離は観られなかった。また、このシート甲に水
滴を落としてシートを傾けたところ、水滴は容易に落
ち、良好な撥水性を示した。再度水滴を落とし、暫く後
にその部分を紙ワイパーで擦ったが、粉体等の付着や皮
膜の剥離は観られず、良好な耐水性皮膜性を有してい
た。
【0061】比較例1 実施例1で作製した酸化チタン層塗設シートaの酸化チ
タン含有層面に、実施例1で調製したシリコーン系撥水
剤水分散液を、実施例1と同様に塗布量が0.2g/m2
(片面)となる様に両面塗工し、80℃温風乾燥機にて
10分間乾燥させ、酸化チタン含有積層シート乙を得
た。実施例1と同様に、この酸化チタン含有積層シート
乙に水滴を落としてシートを傾けたところ、水滴は容易
に落ち、良好な撥水性を示した。しかしながら、再度水
滴を落とし、暫く後にその部分を紙ワイパーで擦ったと
ころ、直ちに酸化チタン含有層の剥離が認められた。
【0062】実施例2 実施例1で作製した酸化チタン含有積層シートAの皮膜
形成性無機物含有層面に、耐水剤であるフッ素系撥水剤
(大日本インキ化学製;ディックガードF−400)の
水性塗液を塗布量0.3g/m2(片面)で両面塗工し、
80℃温風乾燥機にて10分間乾燥させ、酸化チタン含
有積層シート丙を得た。実施例1と同様に、この酸化チ
タン含有積層シート丙の表面を指で擦ったが、粉体等の
付着や皮膜の剥離は観られなかった。また、このシート
丙に水滴を落としてシートを傾けたところ、水滴は容易
に落ち、良好な撥水性を示した。再度水滴を落とし、暫
く後にその部分を紙ワイパーで擦ったが、粉体等の付着
や皮膜の剥離は観られず、実施例1と同様に良好な耐水
性皮膜性を有していた。
【0063】実施例3 実施例1で作製した酸化チタン層塗設シートaの酸化チ
タン含有層面に、皮膜形成性無機物であるコロイダルシ
リカ(日産化学工業製;スノーテックス−XL)と、実
施例1で用いた耐水剤であるシリコーン系撥水剤との重
量比24:1の混合物を、塗布量12g/m2(片面)で
両面塗工し熱風で乾燥させた。更に、減圧乾燥器を用い
減圧下40℃で2時間乾燥させて、酸化チタン含有積層
シート丁を得た。実施例1と同様に、この酸化チタン含
有積層シート丁の表面を指で擦ったが、粉体等の付着や
皮膜の剥離は観られなかった。また、このシート丁に水
滴を落としてシートを傾けたところ、水滴は容易に落
ち、良好な撥水性を示した。再度水滴を落とし、暫く後
にその部分を指で擦ったが、粉体等の付着や皮膜の剥離
は観られず、実施例1と同様に良好な耐水性皮膜性を有
していた。
【0064】実施例4 実施例1で作製した支持体Aに、皮膜形成性無機物であ
るコロイダルシリカ(旭電化工業製;アデライトAT−
20S)を塗布量8g/m2(片面)で両面塗工し熱風で
乾燥させた。これに、実施例1で調製した酸化チタン分
散液Aを塗布量が約15g/m2(片面)になる様にして
酸化チタン含有層を設け、熱風で乾燥して酸化チタン層
塗設シートbを得た。
【0065】上記酸化チタン層塗設シートbの酸化チタ
ン含有層面に、皮膜形成性無機物である合成スメクタイ
ト(コープケミカル製;SWF)及びコロイダルシリカ
(触媒化成工業製;カタロイドSI−45P)の重量比
(但し、コロイダルシリカは二酸化珪素換算)で1:2
の混合分散液を、塗布量10g/m2(片面)で両面塗工
して熱風で乾燥させた。更に、減圧乾燥器を用いて減圧
下40℃で2時間乾燥させて、酸化チタン含有積層シー
トBを得た。この酸化チタン含有積層シートBの表面を
指で擦ったところ、粉体等の付着や皮膜の剥離は観られ
なかったが、水滴を落として指で擦ったところ、すぐに
は変化なかったものの、やがて皮膜形成性無機物含有層
及び酸化チタン含有層共崩壊した。
【0066】更に、この酸化チタン含有積層シートBの
皮膜形成性無機物含有層面に、耐水剤であるシリコーン
系撥水剤(東芝シリコーン製;TSW831)と触媒
(東芝シリコーン製;CW80)とを液同士で1:1に
混合し、水で10倍に希釈した液を塗布量が0.2g/
2(片面)となる様に両面塗工し、80℃温風乾燥機
にて10分間乾燥させ、酸化チタン含有積層シート戊を
得た。実施例1と同様に、この酸化チタン含有積層シー
ト戊の表面を指で擦ったが、粉体等の付着や皮膜の剥離
は観られなかった。また、このシート戊に水滴を落とし
てシートを傾けたところ、水滴は容易に落ち、良好な撥
水性を示した。再度水滴を落とし、暫く後にその部分を
紙ワイパーで擦ったが、粉体等の付着や皮膜の剥離は観
られず、実施例1と同様に良好な耐水性皮膜性を有して
いた。
【0067】実施例5 繊度1.5d、繊維長15mmのポリエチレンテレフタ
レート繊維(帝人製)60重量部と、芯鞘構造を有する
低融点熱融着性繊維(ユニチカ製;メルティ#408
0、鞘部:ポリエチレンテレフタレート共重合体、芯
部:ポリエチレンテレフタレート)40重量部とを、少
量の界面活性剤(ヘキサグリセリルラウレート)と共に
水中に投入し、パルパーにて繊維の束がなくなるまで強
攪拌した。水で希釈後、アジテーターにて緩やかに攪拌
しながらポリアクリルアミド水溶液を添加して増粘さ
せ、攪拌を継続して均一に分散した繊維のスラリーを得
た。このスラリーを用い、目付け量が80g/m2になる
様に円網抄紙機にて抄造し、120℃のシリンダー熱風
で乾燥して不織布である支持体Bを得た。
【0068】一方、酸化チタン(石原産業製;ST−3
1、比表面積220m2/g)60重量部と無機顔料(水
澤化学工業製;ミズカナイトAP)40重量部とを、界
面活性剤(デカグリセリルイソステアレート)を微量含
有する水に添加して攪拌混合し、酸化チタン分散液Bを
調製した。
【0069】上記の支持体Bをコロナ処理した後、この
酸化チタン分散液Bを浸漬型含浸処理装置を用いて実施
例1と同様に浸漬しながら処理し、支持体B上に塗布量
が約50g/m2(両面)になる様に両面均等に酸化チタ
ン含有層を設け、熱風で乾燥して酸化チタン層塗設シー
トcを得た。この酸化チタン層塗設シートcの表面を擦
ったところ、指に粉体が付着し、皮膜の剥離が認められ
た。
【0070】この酸化チタン層塗設シートcの酸化チタ
ン層面に、皮膜形成性無機物であるコロイダルアルミナ
(日産化学工業製;アルミナゾル−100)、コロイダ
ルシリカ(日産化学工業製;スノーテックス−YL)、
及び耐水剤であるシリコーン系撥水剤(東芝シリコーン
製;UM−120)の各々を重量比で20:10:1に
混合した液を、塗布量12g/m2(片面)で両面塗工し
て熱風で乾燥させた。更に、減圧乾燥器を用いて減圧下
40℃で2時間乾燥させ、酸化チタン含有積層シート己
を得た。実施例1と同様に、この酸化チタン含有積層シ
ート己の表面を指で擦ったが、粉体等の付着や皮膜の剥
離は観られなかった。また、このシート己に水滴を落と
し、シートを傾けたところ、水滴は容易に転がり落ち
た。再度水滴を落とし、暫く後にその部分を紙ワイパー
で擦ったが、粉体等の付着や皮膜の剥離は観られず、実
施例1と同様に良好な耐水性皮膜性を有していた。
【0071】比較例2 アルミノシリケート(水澤化学工業製;シルトンAMT
−08、主成分:アルミナ、シリカ、このものは皮膜性
を有さない)と、実施例4で用いたシリコーン系撥水剤
とを、重量比30:1で界面活性剤(デカグリセリルイ
ソステアレート)を微量含有する水に添加して攪拌混合
し、実施例5で作製した酸化チタン層塗設シートcの酸
化チタン含有層面に、実施例5と同様に塗布量12g/
2(片面)で両面塗工して熱風で乾燥させ、酸化チタ
ン含有積層シート庚を得た。実施例1と同様に、この酸
化チタン含有積層シート庚に水滴を落としてシートを傾
けたところ、水滴は容易に落ち、良好な撥水性を示し
た。しかしながら、再度水滴を落とし、暫く後にその部
分を紙ワイパーで擦ったところ、比較例1と同様に直ち
に酸化チタン含有層の剥離が認められた。
【0072】実施例6 繊度0.15デニール(d)(繊維径約4μm)、繊維
長7.5mmのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人
製)40重量部と、繊度1.5d(繊維径約12.4μ
m)、繊維長15mmのポリエステル系難燃繊維(帝人
製;トレビラCS)60重量部とを界面活性剤(ヘキサ
グリセリルラウレート)と共に水中に投入し、パルパー
にて繊維の束がなくなるまで強攪拌した。水で希釈後、
アジテーターにて緩やかに攪拌しながらポリアクリルア
ミド水溶液を添加して増粘させ、攪拌を継続して均一に
分散した繊維のスラリーを得た。このスラリーを用い、
目付け量が80g/m2になる様に円網抄紙機にて抄造し
て不織布を得た。
【0073】次いで、この不織布を100メッシュ相当
のステンレスの金網支持体上に積載し、ウェブ上より水
流を噴射して繊維の交絡を行なった。交絡にはノズルを
装着した5つのノズルヘッドを用い、表裏各1回の交絡
を行なった。表1に各ヘッドのノズル(水流)径、ノズ
ル(水流)間隔と圧力を示す。但し、両面ともNo5の
ヘッドは表面調整用として、低圧で細い水流を用いた。
交絡終了後、エアースルードライアーを用いてこの不織
布を乾燥し、支持体Cを得た。
【0074】
【表1】
【0075】膜形成性無機物であるNa−モンモリロナ
イト(クニミネ工業製;クニピア−F)5重量部を水9
5重量部に添加し、Na−モンモリロナイトの粒子が観
られなくなるまで攪拌して皮膜形成性無機物含有層形成
用塗液を調製した。上記支持体Cに、この皮膜形成性無
機物含有層形成用塗液を浸漬型含浸処理装置を用いて浸
漬しながら処理し、塗布量が約15g/m2(両面)にな
る様に両面均等に皮膜形成性無機物含有層を設け、熱風
で乾燥させた。
【0076】このシートの皮膜形成性無機物含有層上
に、実施例1で調製した酸化チタン分散液Aを塗布量が
約15g/m2(片面)になる様に両面塗工し、熱風で乾
燥して酸化チタン層塗設シートdを得た。この酸化チタ
ン層塗設シートdの表面を擦ったところ、指に粉体が付
着し、皮膜の剥離が認められた。
【0077】上記酸化チタン層塗設シートdの酸化チタ
ン含有層面に、皮膜形成性無機物であるコロイダルシリ
カ(日産化学工業製;スノーテックス−20L)を塗布
量11g/m2(片面)で両面塗工して熱風で乾燥させ
た。更に、減圧乾燥器を用いて減圧下40℃で2時間乾
燥させて、酸化チタン含有積層シートCを得た。この酸
化チタン含有積層シートCの表面を指で擦ったところ、
粉体等の付着や皮膜の剥離は観られなかったが、水滴を
落として指で擦ったところ、すぐには変化なかったもの
の、やがて皮膜形成性無機物含有層及び酸化チタン含有
層共崩壊した。
【0078】更に、この酸化チタン含有積層シートCの
皮膜形成性無機物含有層面に、耐水剤であるシリコーン
系撥水剤(日本ユニカー製;FZ−4158)の5重量
%水分散液を塗布量が0.3g/m2(片面)となる様に
両面塗工し、80℃温風乾燥機にて10分間乾燥させ、
酸化チタン含有積層シート辛を得た。実施例1と同様
に、この酸化チタン含有積層シート辛の表面を指で擦っ
たが、粉体等の付着や皮膜の剥離は観られなかった。ま
た、このシート辛に水滴を落としてシートを傾けたとこ
ろ、水滴は容易に落ち、良好な撥水性を示した。再度水
滴を落とし、暫く後にその部分を紙ワイパーで擦った
が、粉体等の付着や皮膜の剥離は観られず、実施例1と
同様に良好な耐水性皮膜性を有していた。
【0079】上記実施例1〜6及び比較例1及び2で作
製した酸化チタン含有積層シート甲〜辛、及び実施例5
で作製した酸化チタン層塗設シートcをそれぞれ10c
m×10cmに裁断した。これらを、内法が20cm×
20cm×20cmの密閉可能であって内部が艶消し黒
に仕上げられた容器の床から10cmの位置に水平に保
持した。この密閉容器に悪臭の代表的化合物であるアセ
トアルデヒドを各々約400ppm注入し、6Wのブラ
ックランプを用いて一定時間照射し、各々の容器の残存
アセトアルデヒド濃度を測定した。結果を表2に記す。
【0080】また、耐水性は、上記で実施した、酸化チ
タン含有積層シート甲〜辛のそれぞれの耐水剤含有層面
に水滴を落とした場合の、水滴または水滴と接触する皮
膜の変化の程度を目視評価した。下記表2中、「傾斜」
とは水滴を落としてシートを傾けた場合の水滴の除去の
程度を評価し、「払拭」とは水滴を落とし、暫く後にそ
の部分を紙ワイパーで擦った場合の粉体等の付着や皮膜
の剥離の程度を評価した。尚、酸化チタン層塗設シート
cは、上述した様に、乾燥状態ですら皮膜が脆弱であっ
たので、耐水性試験は実施していない。それぞれの結果
を併せて表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】アセトアルデヒド除去性につては実施例1
で作製した支持体Aについても行なったところ、残存ア
セトアルデヒド量は325ppmであった。このこと及
び表2から、明らかに酸化チタン含有層を設けたシート
はアセトアルデヒドが減少しており、支持体、被覆無機
物の性状、及び被覆の有無に関係なく酸化チタン含有層
を有するシートは何れも有害物質除去材として効果があ
ると云える。
【0083】しかしながら、酸化チタン含有層上に皮膜
形成性無機物含有層、或いは耐水剤を含有する層のいず
れか一方でも設けない場合は、皮膜強度或いは耐水性が
乏しく、容易に皮膜が脱落し実用上問題となる結果とな
った。
【0084】これらに比し、本発明に係わる皮膜形成性
無機物含有層、及び耐水剤含有層を酸化チタン含有層上
に設けたシート(積層シート甲、丙、丁、戊、己及び
辛)は、酸化チタン含有層への有害物質の接触を妨げず
に耐水性良く被覆するから、有害物質除去の表2に明ら
かな様に有害物質であるアセトアルデヒド分解能が優れ
るばかりでなく、耐水性に優れている。また、本発明に
係わる皮膜形成性無機物含有層は酸化チタンの光分解の
影響を受けず、経時によって無機物皮膜が劣化しないか
ら、ブラックランプを連続照射する経時皮膜強度試験に
於ても、耐水性が悪化することのない優れた結果が得ら
れた。
【0085】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の酸化チタン
含有積層シートに光を照射することによって、悪臭等の
有害物質を高効率で低濃度化することができる。この様
な酸化チタン含有積層シートは、個人で適度な大きさに
切断し、有害物質を除去したい場所に置き、太陽光や蛍
光灯に曝露するだけで容易に有害物質を除去することが
できるため、悪臭の程度や設置場所に応じて手軽に効率
よく使用できる。
【0086】また、本発明の酸化チタン含有積層シート
は、酸化チタン含有層上に少なくとも皮膜形成性無機物
と耐水剤を含有する層を設けてなり、支持体上に設けら
れた酸化チタン含有層を少なくとも皮膜形成性無機物が
補強し、かつ酸化チタン表面に直接耐水層を形成する場
合に比して、長期間の使用によってもこれら耐水剤が酸
化チタンによって分解されることが少なく、従って水中
及び高湿潤条件下に於ても酸化チタン及び皮膜形成性無
機物の積層シートからの脱離が防止され、耐候性が著し
く向上する。
【0087】また、支持体の少なくとも一方の面に、少
なくとも酸化チタンを含有する層、少なくとも皮膜形成
性無機物を含有する層、及び少なくとも耐水剤を含有す
る層が、この順に積層されている形態の酸化チタン含有
積層シートであれば、酸化チタン含有層と耐水剤含有層
とはその間に設けられた皮膜形成性無機物含有層によっ
て隔絶されるため、耐水剤は酸化チタンによって全く分
解されることなく、しかも少なくとも支持体と反対面は
耐水剤含有層が最外層だから、水分の浸透を効率よく防
止でき、更に耐候性が向上する。
【0088】従って、本発明の酸化チタン含有積層シー
トは、表面を払拭したり、高湿度条件下に於ける長期間
の使用によっても酸化チタンがシートから脱離すること
のない耐水性に富む酸化チタン含有積層シートとなる。
更に、この皮膜形成性無機物皮膜は熱的にも安定であ
り、本質的に不燃性であるため、熱源の近くで使用して
も安全性が向上する秀逸な効果を有する。
【0089】また、上記の酸化チタン含有積層シートに
於て、支持体と少なくとも酸化チタンを含有する層の間
に、少なくとも皮膜形成性無機物を含有する層を有して
いれば、上記と同様に、酸化チタン含有層と支持体とは
この皮膜形成性無機物含有層によって隔絶されるため、
支持体は酸化チタンの有害物質光分解効果によって劣化
を被ることなく、耐久性が向上する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも一方の面に少なくと
    も酸化チタンを含有する層を有し、更にその上に少なく
    とも皮膜形成性無機物と耐水剤とを含有する層を有する
    ことを特徴とする酸化チタン含有積層シート。
  2. 【請求項2】 支持体の少なくとも一方の面に、少なく
    とも酸化チタンを含有する層、少なくとも皮膜形成性無
    機物を含有する層、及び少なくとも耐水剤を含有する層
    がこの順に積層されていることを特徴とする酸化チタン
    含有積層シート。
  3. 【請求項3】 支持体と少なくとも酸化チタンを含有す
    る層の間に、少なくとも皮膜形成性無機物を含有する層
    を有する請求項1または2記載の酸化チタン含有積層シ
    ート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015163441A1 (ja) * 2014-04-25 2015-10-29 凸版印刷株式会社 ガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015163441A1 (ja) * 2014-04-25 2015-10-29 凸版印刷株式会社 ガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体
JP2015208924A (ja) * 2014-04-25 2015-11-24 凸版印刷株式会社 ガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体

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