JPH10191972A - Atp加水分解酵素の安定化方法 - Google Patents

Atp加水分解酵素の安定化方法

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JPH10191972A
JPH10191972A JP345397A JP345397A JPH10191972A JP H10191972 A JPH10191972 A JP H10191972A JP 345397 A JP345397 A JP 345397A JP 345397 A JP345397 A JP 345397A JP H10191972 A JPH10191972 A JP H10191972A
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atp
hydrolase
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atp hydrolase
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Yukiko Higo
幸呼 肥後
Hiromi Uchida
弘美 内田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ATPの測定、血小板凝集抑制剤、生体適合
性の抗血栓材料の製造、血小板の洗浄等に不可欠なAT
P加水分解酵素を安定化させる方法を提供する。 【解決手段】 ATP加水分解酵素をpH6.0〜8.
0の緩衝液中でアルブミン及び防腐剤、更にキレート
剤、タンパク質SH基保護剤等を共存させることを特徴
とするATP加水分解酵素の安定化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ATP加水分解酵
素の安定化方法に関する。更に詳しくは、ATPの測
定、血小板凝集抑制剤、生体適合性の抗血栓材料の製
造、更には血小板の洗浄等に不可欠なATP加水分解酵
素の安定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ATP(アデノシン−5’−三リン酸)
は、アデニン、D−リボース及び3個のリン酸基からな
るヌクレオチドであり、呼吸、発酵及び光合成における
リン酸化反応によって生成される。全ての細胞はATP
を含み、ATPは生体反応、特にエネルギー代謝には不
可欠である。従って、細胞あるいは生体組織におけるA
TPの測定は、細胞あるいは生体組織のエネルギー代謝
活性を知る上で重要な指標となる。また、有用物質生産
のバイオリアクターに、ATPは必須である。ATPの
測定法には、イオン交換カラムでATPを分離し、核酸
に由来する250〜260nmの紫外線吸収量を測定す
ることにより定量する方法、ATPがルシフェリンとホ
タルルシフェラーゼによって反応を起こし560〜58
0nmの光を発する生物発光法を用いて定量する方法
(M. A. DeLuca, Advances in Enzymology, 44, 37 (19
76) )があるが、ATPをATP加水分解酵素で加水分
解し、生じた無機リン酸を比色定量(C. H. Fiske and
Y. Subbarow, J. Biol. Chem., 66, 375 (1925) )して
ATP量を定量する方法、あるいは生じた水素イオンの
量を測定してATPを定量する方法(特開昭61−12
2560)も知られている。
【0003】また、ATP加水分解酵素のうちアピラー
ゼ(ATP−ジホスファターゼ)は、ATPをADP
(アデノシン−5’−二リン酸)と無機リン酸に、更に
生じたADPをAMP(アデノシン−5’−一リン酸)
と無機リン酸に加水分解する二段階の反応を触媒する酵
素であるが、これ自体、血小板凝集抑制剤として使用さ
れている(特表昭63−500842)。これは、アピ
ラーゼが血小板凝集誘発剤、つまりトロンビン形成プロ
セスの開始剤として作用するADP(A. Gaarderand A.
Hellem, Nature, 192, 531 (1961) )を加水分解する
ためである。更に、アピラーゼは上記の作用により、人
工臓器、血液ポンプまたは人工血行回路などの材料とし
て、あるいはこれらの器具のコーティング材料として使
用される生体適合性の抗血栓材料の製造に不可欠であ
る。
【0004】アピラーゼは、血小板凝集能検査において
も欠かせない酵素であることも知られている。血小板凝
集能検査は、先天性出血性疾患、特に先天性血小板機能
異常症の診断に欠くことのできない検査であり、その多
くは多血小板漿(血小板+血漿)を用いて実施されてい
る。しかし、各種血小板機能異常を詳細に検討する場
合、血小板を洗浄し血漿成分の影響を排除することが必
要である。血小板の洗浄に用いられるTyrode液に
は、アピラーゼが添加されており(三上ら, 室蘭製鉄所
病院医誌, 28, 70 (1990) )、その有効性が示唆されて
いる。
【0005】しかし、アピラーゼを初めとしたATP加
水分解酵素は非常に不安定で、失活しやすいことが知ら
れている。例えば、アピラーゼはガラスビーズとの接触
で容易に失活する。このため、マレイン酸−エチレン共
重合体やポリスチレンによるマトリックスや、高分子微
粒子界面の脂質吸着層によりATP加水分解酵素を固定
化させ、安定化を図る方法が示されている。しかし、こ
れらの固定化方法では、固定化の際の失活や基質と酵素
との結合頻度の大幅な低下が生じるため、有効な安定化
方法とはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のような事実を鑑
み、本発明は、アピラーゼを初めとするATP加水分解
酵素を、種々の固定化方法を用いることなく、長期間に
渡って高い活性を保持させ、しかも凍結や凍結乾燥後も
高い活性を有することのできる安定化方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、ATP加
水分解酵素をpH6.0〜8.0の緩衝液中でアルブミ
ン及び防腐剤を共存させることを特徴とするATP加水
分解酵素の安定化方法に関する。
【0008】更に本発明は、ATP加水分解酵素をpH
6.0〜8.0の緩衝液中でアルブミン及び防腐剤を共
存させ、更にキレート剤を共存させることを特徴とする
上記のATP加水分解酵素の安定化方法に関する。
【0009】更に本発明は、ATP加水分解酵素をpH
6.0〜8.0の緩衝液中でアルブミン及び防腐剤を共
存させ、更にタンパク質SH基保護剤を共存させること
を特徴とする上記のATP加水分解酵素の安定化方法に
関する。
【0010】更に本発明は、ATP加水分解酵素がアピ
ラーゼである上記のATP加水分解酵素の安定化方法に
関する。
【0011】更に本発明は、pH6.0〜8.0の緩衝
液がグッドの緩衝液で総括される緩衝液のうちの1つで
ある上記のATP加水分解酵素の安定化方法に関する。
【0012】更に本発明は、アルブミンがウシ血清アル
ブミンである上記のATP加水分解酵素の安定化方法に
関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の安定化方法は、ATP加
水分解酵素をpH6.0〜8.0の緩衝液中でアルブミ
ン及び防腐剤、更にキレート剤やタンパク質SH基安定
化剤を共存させる方法である。本発明に到達したのは、
緩衝液の作用するpH領域、緩衝液の濃度、及び金属と
の結合係数等の性質を吟味し良好な緩衝液を選択したこ
と、ATP加水分解酵素の変性防止と活性部位の保護の
作用をする添加剤を検討し、アルブミン、キレート剤、
タンパク質SH基安定化剤が有効であることを見出した
こと、及びATP加水分解酵素の活性を阻害しない防腐
剤を見出したことによる。これにより、ATP加水分解
酵素を、長期間に渡って高い活性を保持させ、しかも凍
結や凍結乾燥後も高い活性を有することが可能となった
【0014】本発明のATP加水分解酵素とは、ATP
を加水分解しADPあるいはAMPと無機リン酸に加水
分解する酵素のことであるが、ATPの分解産物である
ADPをAMPと無機リン酸に加水分解する活性を有す
る酵素も含まれる。具体的には、アデノシントリホスフ
ァターゼ(酵素番号:EC3.6.1.3、ATP+H
2 O→ADP+無機リン酸の反応を触媒する)、アピラ
ーゼ(EC3.6.1.5、ATP+H2 O→ADP+
無機リン酸、ADP+H2 O→AMP+無機リン酸の反
応を触媒する)、ATPピロホスファターゼ(EC3.
6.1.8、ATP+H2 O→AMP+ピロリン酸の反
応を触媒する)が示されるが、市販品として入手が容易
なアピラーゼが頻繁に利用されている。
【0015】上記のATP加水分解酵素は、中性付近に
活性の至適pHを有し、また中性付近のpHで安定であ
る。従って、ATP加水分解酵素の安定化には、pH=
6.0〜8.0、好ましくはpH=6.5〜7.8の緩
衝液を用いることが必要である。このための緩衝液に
は、pHが中性領域を示す「蛋白質・酵素の基礎実験
法」(堀尾、山下編著:南江堂 (1981) )432〜43
5頁記載の緩衝液を用いることができる。この中でも、
1)水に溶けやすい、2)生体膜を通過しにくい、3)
イオン強度が低い、4)種々の陽イオンと錯塩形成能が
低いか形成してもその塩は水溶性である、などの特徴を
有するグッドの緩衝液で総括される以下の緩衝液、すな
わち、MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)緩衝
液、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン)系緩衝液、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシ
エチル)−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、MO
PS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)緩衝液、H
EPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−
2−エタンスルホン酸)緩衝液、などを用いることが望
ましい。緩衝液の濃度は、2〜100mM、好ましくは
10〜50mMが望ましい。緩衝液濃度が2mM未満の
場合、充分な緩衝能を得ることは難しく、一方、100
mMを越える濃度の緩衝液を用いても、ATP加水分解
酵素の安定性向上は期待できない。
【0016】pH6.0〜8.0の緩衝液中でATP加
水分解酵素と共存するアルブミンは、ATP加水分解酵
素と結合してATP加水分解酵素の構造を安定させ、変
性を防止する作用を有する。パパイン、トリプシン、キ
モトリプシン等のタンパク質に認められるタンパク質分
解活性を示さない、可溶性のタンパク質であれば、上記
の目的で用いることは可能であるが、アルブミンで総称
される以下の可溶性タンパク質、即ち、オボアルブミ
ン、ラクトアルブミン、血清アルブミン、ロイコシン、
レグメリン、リシンから選ばれる一種類以上のタンパク
質を用いることが好ましく、特にウシ血清アルブミン
(BSA)を用いることが望ましい。アルブミンの添加
量は、ATP加水分解酵素を含む緩衝液1ml当たり
0.1〜50mg、好ましくは0.5〜10mgが望ま
しい。
【0017】本発明のATP加水分解酵素の安定化方法
に用いられる防腐剤は、混入する微生物の影響を最小限
にするためのもので、ペニシリンG−Na塩、ペニシリ
ンG−K塩、アンピシリン、クロラムフェニコール、ス
トレプトマイシン、カナマイシン、テトラサイクリン、
オキシテロラサイクリンなどの抗生物質、アジ化ナトリ
ウムなどのアジ化物、クレゾールなどのフェノール化合
物、乳酸、クエン酸、安息香酸、プロピオン酸、デヒド
ロ酢酸、オキシ安息香酸、ソルビン酸などの酸が挙げら
れる。この中で、特にアジ化ナトリウムを用いることが
好ましい。防腐剤の添加量は、ATP加水分解酵素を含
む緩衝液の0.01〜5.0%、好ましくは0.05〜
2.0%が望ましい。
【0018】ATP加水分解酵素の安定化には、キレー
ト剤が共存することも効果のある場合がある。キレート
剤は、主に重金属の捕捉剤として作用するものである
が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、商品名Ver
sene)、ビス−(O−アミノフェノキシ)−エタン
−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、エチレ
ングリコール−ビス−(β−アミノエチルエーテル)
N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、ニトリロ三
酢酸(トリグリシン、アンモニア三酢酸塩、トリロン
A)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢
酸(CDTA)、ジエチレントリアミノペンタ酢酸(D
TPA)、クエン酸塩、アルギニン、ハイポザンチン、
4,5−ジヒドリキシベンゼン−1,3−ジスルホン
酸、クラウンエーテルタイプ化合物およびこれら分子の
全ての誘導体および前駆体などを使用することができ
る。
【0019】また、キレート剤と同様、タンパク質SH
基保護剤が共存することもATP加水分解酵素の安定化
に効果のある場合がある。タンパク質SH基保護剤は、
ATP加水分解酵素の活性中心に存在するSH基を保護
し安定して作用させるためのもので、グルタチオン、ジ
チオスレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などを使用するこ
とができるが、ジチオスレイトール(DTT)が特に好
ましい。
【0020】ATP加水分解酵素はカルシウムイオンや
マグネシウムイオンにより活性化することが認められて
おり、ATP加水分解酵素を安定化させる目的で、これ
らのイオンが共存することが望ましい。その添加量は、
カルシウムイオンは0.1〜50mM、好ましくは1〜
20mMであり、マグネシウムイオンはカルシウムイオ
ンの100分の1〜10分の1である。
【0021】更に、ATP加水分解酵素を安定化させる
目的で、グルコース、フルクトース、アラビノース、キ
シロース、サッカロース、トレハロース、ラクトース、
マルトース、キシロビオースなどの糖類、マンニトー
ル、キシリトール、ズルシトール、ソルビトール、リビ
トール、グルシトールなどの糖アルコール、PEG(ポ
リエチレングリコール)#400、PEG#600など
の水溶性高分子、グリシン、セリン、プロリン、グルタ
ミン酸、アラニンなどのアミノ酸、トリメチルアミンな
どのアミン類、グリセロールなどの多価アルコールなど
を添加することもできる。
【0022】本発明のATP加水分解酵素の安定化方法
は、水溶液状態でのATP加水分解酵素の安定化を目的
としたものであるが、水溶液を凍結あるいは凍結乾燥さ
せた後、融解あるいは適当な溶液を添加して凍結乾燥品
を溶解させた場合も、長期間に渡って高い活性が保持さ
れる。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明するが、
本発明の範囲がこれらの実施例にのみ限定されるもので
はない。
【0024】(実施例1)25mMのHEPES−Na
OH緩衝液(pH7.0)を用いて、以下のような組成
のATP加水分解酵素含有水溶液を調製した。 ATP加水分解酵素含有水溶液組成; アピラーゼ(ジャガイモ由来、Sigma社製Grade ) BSA(INTERGEN社製) 1.0mg/ml NaN3 0 .1% EDTA 0.1mM DTT 1.0mM CaCl2 2.0mM MgCl2 0.05mM なお、上記ATP加水分解酵素含有水溶液中の酵素活性
値を、ΔlogRLU/分=2.0となるように調製し
た。
【0025】本発明では、ATP加水分解酵素の活性値
を、ATP加水分解酵素によって基質であるATPが加
水分解される速度をもって表す。従って、酵素活性の測
定は被検液中のATP量の減少を経時的に測定すること
で実施され、被検液中のATP量は、ATPの鋭敏な定
量法であるホタルルシフェラーゼを用いた生物発光反応
から得られる相対発光量(RLU;相対発光量、R elat
ive L ightU nit )を指標として測定される。本発明で
は、非連続的に被検液より一定量を採取してATP量を
生物発光反応(ルシフェリン/ホタルルシフェラーゼを
含有する発光試薬(東洋インキ製造(株)製 商品名:
菌士郎)を用いる)で測定し、得られた値から1分間当
たりの相対発光量の対数値の減少量(ΔlogRLU/
分)を計算し、その値をもってATP加水分解酵素の活
性値とした。
【0026】(実施例2)実施例1の25mMのHEP
ES−NaOH緩衝液(pH7.0)の代わりに25m
MのMES緩衝液(pH6.5)を用いて、その他は実
施例1と全く同様の組成でATP加水分解酵素含有水溶
液を調製した。
【0027】(実施例3)実施例1の25mMのHEP
ES−NaOH緩衝液(pH7.0)の代わりに10m
MのHEPES緩衝液(pH7.0)を用いて、その他
は実施例1と全く同様の組成でATP加水分解酵素含有
水溶液を調製した。
【0028】(実施例4)実施例1のBSAの代わりに
オボアルブミン(ニワトリ卵由来、Sigma社製Gr
ade )を用いて、その他は実施例1と全く同様の組
成でATP加水分解酵素含有水溶液を調製した。
【0029】(実施例5)実施例1のアピラーゼの代わ
りにアデノシントリホスファターゼ(カエル腎由来、S
igma社製)を用いて、その他は実施例1と全く同様
の組成でATP加水分解酵素含有水溶液を調製した。
【0030】(比較例1)実施例1の25mMのHEP
ES−NaOH緩衝液(pH7.0)の代わりに25m
Mのコハク酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を用い
て、その他は実施例1と全く同様の組成でATP加水分
解酵素含有水溶液を調製した。
【0031】(比較例2)実施例1の25mMのHEP
ES−NaOH緩衝液(pH7.0)の代わりに25m
MのGTA緩衝液(pH9.0)(「蛋白質・酵素の基
礎実験法」435頁記載)を用いて、その他は実施例1
と全く同様の組成でATP加水分解酵素含有水溶液を調
製した。
【0032】(比較例3)実施例1に示されたATP加
水分解酵素含有水溶液より、BSAを除いた組成のAT
P加水分解酵素含有水溶液を調製した。
【0033】(比較例4)実施例1に示されたATP加
水分解酵素含有水溶液より、NaN3 を除いた組成のA
TP加水分解酵素含有水溶液を調製した。
【0034】実施例1〜5、及び比較例1〜4に示され
たATP加水分解酵素含有水溶液の調製直後のATP加
水分解酵素活性値を、上記の方法で測定後、内面を撥水
処理したガラス瓶に入れ、それぞれ4℃、25℃、35
℃で48時間保ち、再度ATP加水分解酵素活性値を測
定した。(48時間後のATP加水分解酵素活性値/調
製直後のATP加水分解酵素活性値)×100の値を計
算し、これをもって酵素活性の保持率(%)とした。表
1に実施例1〜5、及び比較例1〜4の酵素活性の保持
率を示した。本発明のATP加水分解酵素の安定化方法
の条件を満足する実施例1〜5では、48時間後も酵素
活性は高く保持されることが認められたが、比較例1〜
4の条件では酵素活性の保持率が低く、ATP加水分解
酵素の安定化方法としては不適切であった。
【0035】
【表1】
【0036】実施例1、及び比較例1〜4に示されたA
TP加水分解酵素含有水溶液の、調製直後のATP加水
分解酵素活性値を上記の方法で測定後、内面を撥水処理
したガラス瓶に入れ、−20℃で凍結させた。1日後に
これを25℃で融解させ、溶液を混和後ATP加水分解
酵素活性値を測定した。再度これを−20℃で凍結さ
せ、翌日融解後ATP加水分解酵素活性値を測定すると
いう操作を更に二度繰り返した。それぞれのATP加水
分解酵素活性値から、前述の計算方法と同様にして1日
目、2日目、及び3日目の酵素活性の保持率(%)を計
算した。表2に、実施例1、及び比較例1〜4の酵素活
性の保持率を示した。本発明のATP加水分解酵素の安
定化方法では、凍結−融解を繰り返しても酵素活性は高
く保持されることが認められたが、比較例1〜4の条件
では、凍結−融解を一度行っただけで酵素活性が大きく
低下し、ATP加水分解酵素の安定化方法としては不適
切であった。ATP加水分解酵素を、ATPの測定や、
生体適合性の抗血栓材料の製造、血小板の洗浄等に用い
る場合、余ったATP加水分解酵素含有水溶液を凍結保
存する方法が取られるが、本発明のATP加水分解酵素
の安定化方法は、ATP加水分解酵素含有水溶液の凍結
保存にも有効であることが認められた。
【0037】
【表2】
【0038】実施例1、及び比較例1〜4に示されたA
TP加水分解酵素含有水溶液の、調製直後のATP加水
分解酵素活性値を上記の方法で測定後、内面を撥水処理
したガラス瓶に入れ、LABCONCO凍結乾燥システ
ムを用いて凍結乾燥させた。これを4℃で保存し、1カ
月、3カ月、及び6カ月後に蒸留水を加えて溶解し、溶
液のATP加水分解酵素活性値を測定した。それぞれの
ATP加水分解酵素活性値から、前述の計算方法と同様
にして1カ月後、3カ月後、及び6カ月後の酵素活性の
保持率(%)を計算した。表3に、実施例1、及び比較
例1〜4の酵素活性の保持率を示した。本発明のATP
加水分解酵素の安定化方法では、凍結乾燥後も酵素活性
は高く保持されることが認められたが、比較例1〜4の
条件では、凍結乾燥により酵素活性が大きく低下し、A
TP加水分解酵素の安定化方法としては不適切であっ
た。本発明のATP加水分解酵素の安定化方法は、AT
P加水分解酵素含有水溶液の凍結乾燥にも有効であるこ
とが認められた。
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】本発明は、ATPの測定、血小板凝集抑
制剤、生体適合性の抗血栓材料の製造、血小板の洗浄等
に不可欠なATP加水分解酵素を安定化させる方法であ
り、ATP加水分解酵素をpH6.0〜8.0の緩衝液
中でアルブミン及び防腐剤、更にキレート剤やタンパク
質SH基保護剤等を共存させることで、ATP加水分解
酵素を安定化させることができた。本発明により、AT
P加水分解酵素を、種々の固定化方法を用いることな
く、長期間に渡って高い活性を保持させることが可能で
あった。また、本発明のATP加水分解酵素の安定化方
法は、ATP加水分解酵素含有水溶液の凍結、及び凍結
乾燥後の活性保持にも有効であった。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ATP加水分解酵素をpH6.0〜8.
    0の緩衝液中でアルブミン及び防腐剤を共存させること
    を特徴とするATP加水分解酵素の安定化方法。
  2. 【請求項2】 ATP加水分解酵素をpH6.0〜8.
    0の緩衝液中でアルブミン及び防腐剤を共存させ、更に
    キレート剤を共存させることを特徴とする請求項1記載
    のATP加水分解酵素の安定化方法。
  3. 【請求項3】 ATP加水分解酵素をpH6.0〜8.
    0の緩衝液中でアルブミン及び防腐剤を共存させ、更に
    タンパク質SH基保護剤を共存させることを特徴とする
    請求項1記載のATP加水分解酵素の安定化方法。
  4. 【請求項4】 ATP加水分解酵素がアピラーゼである
    請求項1、請求項2または請求項3記載のATP加水分
    解酵素の安定化方法。
  5. 【請求項5】 pH6.0〜8.0の緩衝液がグッドの
    緩衝液で総括される緩衝液のうちの1つである請求項
    1、請求項2または請求項3記載のATP加水分解酵素
    の安定化方法。
  6. 【請求項6】 アルブミンがウシ血清アルブミンである
    請求項1、請求項2または請求項3記載のATP加水分
    解酵素の安定化方法。
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