JPH10183620A - ケーシングドライバの回転反力除去装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単にかつ安全にセットすることが出来るケ
ーシングドライバの回転反力除去装置を簡素な構成で安
価に実現する。 【解決手段】 補助クレーンによって基枠１１が吊ら
れ、その端部がベースフレーム２に挿入される。挿入
後、基枠１１はピン１２によってベースフレーム２に固
定される。引き続いてバー１３が補助クレーンによって
吊られ、その一端部が基枠１１の他端部にピン１４によ
って連結される。その後、バー１３の他端部が吊られ、
突出部１３ａがピン１４を中心にして上方に回動させら
れる。そして、バー１３の他端部が降下させられ、突出
部１３ａが上方からブラケット１５に収納させられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、場所打ち杭の施工
中にケーシングドライバに加わる回転反力を除去するケ
ーシングドライバの回転反力除去装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】鋼管類（ケーシング）が地盤中に圧入さ
れる際には、ケーシングドライバによってケーシングが
回転させられたり揺動させられ、ケーシングが地盤中に
押し込まれる。この際、ケーシングドライバにはケーシ
ングからその回転の向きと逆の向きに回転反力が加わ
る。この回転反力は、従来、以下のような回転反力除去
装置によって除去されている。

【０００３】従来の第１のケーシングドライバの回転反
力除去装置はアンカーを用いたものであり、図５および
図６に示される。図５（ａ）に示すように、ケーシング
ドライバ１のベースフレーム２に反力ビーム３が接続ピ
ン４によって連結され、この反力ビーム３の内側にアン
カーガイド５が挿入される。このアンカーガイド５には
アンカー６が挿入され、このアンカー６上に同図（ｂ）
に示すようにウエイト７が吊り上げられる。アンカー６
は同図（ｃ）に示すようにウエイト７の自重によって地
中８に打ち込まれる。

【０００４】図６（ａ）はこのような回転反力除去装置
がセットされたケーシングドライバ１の平面図であり、
同図（ｂ）はその側面図である。なお、同図において図
５と同一部分には同一符号を付してその説明は省略す
る。同図に示すようにケーシング９はケーシングドライ
バ１の掘削中心に把持され、回転または揺動されて地中
８に圧入される。この際、ケーシング９からケーシング
ドライバ１に加わる回転反力は、ベースフレーム２，反
力ビーム３およびアンカーガイド５を伝ってアンカー６
に与えられ、除去される。

【０００５】また、特公平７−６１９４号公報に開示さ
れた従来の第２のケーシングドライバの回転反力除去装
置もある。同公報の回転反力除去装置では、ケーシング
ドライバ本体に基部フレームが取り付けられ、この基部
フレームにビームがつなげられている。ビームの先端に
はベースフレームが取り付けられており、このベースフ
レームは一対のサイドフレームの一方に設けられた軸に
連結されている。ケーシングが圧入される際に、ケーシ
ングドライバに加わる回転反力は、基部フレーム，ビー
ム，ベースフレーム，軸およびサイドフレームを介して
中掘り掘削機に伝えられ、除去される。

【０００６】また、同公報には、ベースフレームをサイ
ドフレームに連結することなく、中掘り掘削機のクロー
ラ側面にベースフレームを当て木を介して当接させる作
業形態も開示されている。この作業形態では、ベースフ
レームに伝わる回転反力が掘削機に直接伝えられ、除去
される。

【０００７】また、特公平６−７４５８７号公報に開示
された従来の第３のケーシングドライバの回転反力除去
装置もある。同公報の回転反力除去装置では、ケーシン
グドライバ本体に基部フレームが取り付けられ、この基
部フレームに継ぎフレームがつなげられている。継ぎフ
レームの先端にはベースフレームが取り付けられてお
り、このベースフレームは一対のブラケットに取り付け
られた複数のボルトに挟持されている。これらブラケッ
トは中掘り掘削機が載置される固定フレームに設けられ
ている。ケーシングドライバに加わる回転反力は、基部
フレーム，継ぎフレーム，ボルトおよび固定フレームを
介して中掘り掘削機に伝えられ、除去される。

【０００８】また、実開平１−１０５６４５号公報に開
示された従来の第４のケーシングドライバの回転反力除
去装置もある。同公報の回転反力除去装置では、ケーシ
ングドライバのベースフレームにビームの一端が揺動可
能に取り付けられている。このビームの他端には反力受
け部が形成されており、この反力受け部に対応してブラ
ケットが設けられている。また、ビームとベースフレー
ムとの間には油圧シリンダが取り付けられている。ケー
シングを圧入する際には、中掘り掘削機のクローラが反
力受け部とブラケットとの間に挟まれる。ケーシングド
ライバに加わる回転反力は、ビームおよび反力受け部を
介してクローラに伝えられ、除去される。

【０００９】また、実開昭６１−８４７３７号公報に開
示された従来の第５のケーシングドライバの回転反力除
去装置もある。同公報の回転反力除去装置では、揺動押
込装置（ケーシングドライバ）の基台（ベースフレー
ム）に枠体が枢支され、この枠体にリンクアームの一端
が連結されている。このリンクアームの他端は作業機に
連結されている。ケーシングドライバに加わる回転反力
は、枠体およびリンクアームを介して作業機に伝えら
れ、除去される。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の第１のケーシングドライバの回転反力除去装置で
は、地中にアンカーを打ち込む作業に多くの労力を要す
る。特に、掘削現場の地表にコンクリートが打設されて
いる場合には、この打ち込み作業に大変多くの労力を要
し、作業効率は大変悪かった。また、アンカーはウエイ
トによって地中に打ち込まれるため、打ち込み時に周囲
に物が飛散するなどして安全性に問題があった。さら
に、施工場所を別の場所に移す際には、打ち込んだアン
カーを引き抜く必要があり、この引き抜き作業にも労力
を要した。

【００１１】また、上記従来の第２のケーシングドライ
バの回転反力除去装置は、装置が大がかりであり、価格
も高くなってしまう。また、サイドフレームを用いずに
ビーム先端のベースフレームを掘削機のクローラ側面に
直接当接させる作業形態によれば、装置は簡略化される
が、ベースフレームが固定されていないためにずれるこ
とがある。この結果、ずれたベースフレームによってク
ローラのシューを痛めることがある。

【００１２】また、上記従来の第３のケーシングドライ
バの回転反力除去装置では、掘削機が載置される大きな
固定フレームを必要とする。このため、やはり装置が大
がかりになって作業準備に手間取り、また、多数のボル
トを締め付けなければならないので作業に多くの労力を
要する。また、価格を低減させることも出来ない。

【００１３】また、上記従来の第４のケーシングドライ
バの回転反力除去装置では、掘削機のクローラを反力受
け部およびブラケットで挟んで回転反力を受けている。
このため、この装置でもクローラが傷つきやすい。ま
た、木材をクローラとの間に介在させたとしても、木材
がずれてしまうとクローラが傷ついてしまう。

【００１４】また、上記従来の第５のケーシングドライ
バの回転反力除去装置では、装置をセットする際、枠体
とリンクアームとをピンで連結し、さらにリンクアーム
と作業機とをピンで連結しなければならない。このた
め、ケーシングの圧入作業にあたり、回転反力除去装置
を簡易にセットすることが出来なかった。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
を解決するためになされたもので、ケーシングドライバ
のベースフレームに一端部が固定され，ケーシングドラ
イバに生じる回転反力を受ける基枠と、この基枠の他端
部に一端部が枢支され，基枠で受けられた回転反力を伝
達するバーと、ケーシング中掘り用掘削機の機体に設け
られ，バーの他端部を係止してバーに伝達される回転反
力を掘削機に与えるブラケットとからケーシングドライ
バの回転反力除去装置を構成した。

【００１６】また、上記バーの他端部に突出部を設け、
上記ブラケットを、この突出部を上方から収納する上方
が開口した容器状にした。

【００１７】このような構成によれば、ケーシングドラ
イバに加わる回転反力は、ベースフレーム，基枠，バー
を介して掘削機に与えられ、除去される。

【００１８】また、バーの先端部に設けた突出部を容器
状のブラケットに上方から収納させることにより、バー
とブラケットとの連結は簡単に行える。

【００１９】

【発明の実施の形態】次に、本発明によるケーシングド
ライバの回転反力除去装置の一実施形態について説明す
る。

【００２０】図１は本実施形態によるケーシングドライ
バの回転反力除去装置の使用状態を示す側面図であり、
図２（ａ）は図１のII−II線矢視平面図，図２（ｂ）は
同図（ａ）のｂ−ｂ線矢視断面図である。これら各図に
おいて同一部分には同一符号が付してある。

【００２１】ケーシングドライバ１のベースフレーム２
には、本実施形態による回転反力除去装置を構成する基
枠１１の一端部が固定されている。この基枠１１はコの
字状をしており、ベースフレーム２への固定は一対の外
れ止めピン１２によって行われている。基枠１１の他端
部には、バー１３のハの字状をした一端部が一対のピン
１４によって連結されている。このピン結合によってバ
ー１３は基枠１１に枢支されており、バー１３はピン１
４を中心として地表面に垂直に上下動する。

【００２２】バー１３の他端部には突出部１３ａが設け
られている。この突出部１３ａはバー１３の長手方向に
直交する短い円柱状体からなり、この円柱状体の両端部
は半球状に突出している。この突出部１３ａはブラケッ
ト１５に収納されている。ブラケット１５は、中掘り掘
削機を構成するクローラクレーン１９のロワーフレーム
１６の前面に設けられており、両サイドのクローラ１７
の間に位置する。

【００２３】ブラケット１５は図３の一部拡大斜視図に
示すように上方が開口した箱状をしており、その左右に
は補強板１８が設けられている。この補強板１８は、ブ
ラケット１５の水平方向に加わる回転反力に対して作用
し、ブラケット１５の機械的強度を増している。

【００２４】また、図２に示すように、基枠１１および
バー１３にはそれぞれ吊りラグ１１ａ，１３ｂが設けら
れている。また、図１に示すように、クレーン１９には
ハンマーグラブ２０が吊られている。このハンマーグラ
ブ２０により、地中に圧入されたケーシング２１内が掘
削され、ケーシング２１内の土砂が地上に排出される。

【００２５】このような構成において、ケーシング２１
の圧入作業時には、図４に示すように、基枠１１および
バー１３がピン１４によって連結され、さらに吊りブラ
ケット２２によってこれらが一直線状に保持される。そ
して、吊りラグ１３ｂおよび吊りブラケット２２にロー
プ２３が掛けられ、基枠１１およびバー１３は補助クレ
ーンによって吊られる。吊られた基枠１１はその端部が
ベースフレーム２に挿入される。挿入後、基枠１１は図
２に示すようにピン１２によってベースフレーム２に固
定される。その後、吊りブラケット２２は取り外され
る。次に、バー１３の端部が吊られ、図２（ｂ）の二点
鎖線に示すように、突出部１３ａがピン１４を中心にし
て上方に回動させられる。そして、バー１３の端部が矢
示の向きに降下させられ、突出部１３ａが上方からブラ
ケット１５に収納させられる。

【００２６】次に、ケーシング２１がケーシングドライ
バ１に把持される。把持されたケーシング２１はケーシ
ングドライバ１によって回転させられ、または揺動させ
られて地中に圧入される。この際、ケーシング２１から
ケーシングドライバ１に加わる回転反力は、ベースフレ
ーム２を介して基枠１１に受けられ、さらにバー１３に
よってブラケット１５に伝えられる。

【００２７】この際、Ｔの字状の突出部１３ａは箱状の
ブラケット１５に嵌まり合っているため、左回転および
右回転の双方向の回転反力が突出部１３ａからブラケッ
ト１５に伝えられる。また、突出部１３ａの両端部は半
球状に突出しているため、この際、突出部１３ａの両端
部はブラケット１５の内面と滑らかに当接する。ブラケ
ット１５に伝えられたこの回転反力は、クレーン１９の
ロワーフレーム１６に与えられ、クレーン１９の自重に
よって除去される。

【００２８】このような本実施形態によれば、基枠１
１，バー１３およびブラケット１５という簡素な構成で
回転反力除去装置を実現することが出来る。従って、本
実施形態によれば回転反力除去装置の価格を低減するこ
とが出来る。また、本実施形態では、回転反力を除去す
るため、従来のように地中にアンカーを打ち込む必要も
ない。このため、回転反力除去装置は簡単にかつ安全に
セットされる。従って、施工現場の移動も容易に行うこ
とが可能である。

【００２９】また、回転反力をクレーン１９に伝えるバ
ー１３はブラケット１５に確実に係止されているため、
バー１３の先端がずれてクレーン１９のクローラ１７等
を傷めるといったことはない。

【００３０】また、バー１３の先端部に設けた突出部１
３ａを容器状のブラケット１５に上方から収納させるだ
けで、バー１３とブラケット１５との連結が行える。従
って、回転反力除去装置は簡単にセットされ、ケーシン
グ圧入作業の作業効率は向上する。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ケ
ーシングドライバに加わる回転反力は、ベースフレー
ム，基枠，バーを介して掘削機に与えられ、除去され
る。このため、簡素な構成で回転反力除去装置が実現さ
れ、装置価格は低減される。また、地中にアンカーを打
ち込む必要もないため、装置は簡単にかつ安全にセット
される。従って、施工現場の移動も容易に行える。ま
た、回転反力を掘削機に伝えるバーはブラケットに確実
に係止され、バーの先端がずれて掘削機を傷めることは
ない。

【００３２】また、バーの先端部に設けた突出部を容器
状のブラケットに上方から収納させることにより、バー
とブラケットとの連結は簡単に行える。従って、回転反
力除去装置は簡単にセットされ、ケーシング圧入作業の
作業効率は向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態によるケーシングドライバ
の回転反力除去装置の使用状態を示す側面図である。

【図２】本実施形態によるケーシングドライバの回転反
力除去装置の平面および側断面を示す図である。

【図３】本実施形態によるケーシングドライバの回転反
力除去装置を構成するブラケットの拡大斜視図である。

【図４】本実施形態によるケーシングドライバの回転反
力除去装置の設置法を示す側面図である。

【図５】従来の第１のケーシングドライバの回転反力除
去装置の設置法を示す図である。

【図６】従来の第１のケーシングドライバの回転反力除
去装置の平面および側面を示す図である。

【符号の説明】

１…ケーシングドライバ ２…ベースフレーム １１…基枠 １２…外れ止めピン １３…バー １３ａ…突出部 １４…ピン １５…ブラケット １６…ロワーフレーム １７…クローラ １８…補強板 １９…クレーン（中掘り掘削機） ２０…ハンマーグラブ ２１…ケーシング

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングドライバのベースフレームに
   一端部が固定されケーシングドライバに生じる回転反力
   を受ける基枠と、この基枠の他端部に一端部が枢支され
   前記基枠で受けられた回転反力を伝達するバーと、ケー
   シング中掘り用掘削機の機体に設けられ前記バーの他端
   部を係止して前記バーに伝達される回転反力を前記掘削
   機に与えるブラケットとから構成されたケーシングドラ
   イバの回転反力除去装置。
2. 【請求項２】 前記バーは他端部に突出部を有し、前記
   ブラケットはこの突出部を上方から収納する上方が開口
   した容器状をしていることを特徴とする請求項１記載の
   ケーシングドライバの回転反力除去装置。
3. 【請求項３】 前記バーの突出部は前記バーの長手方向
   に直交する短い円柱状体からなり、この円柱状体の両端
   部は半球状に突出しており、前記ブラケットはこの円柱
   状体を収納する上方が開口した箱状をしていることを特
   徴とする請求項２記載のケーシングドライバの回転反力
   除去装置。