JPH10182253A - キャスタブル耐火物およびその施工体 - Google Patents

キャスタブル耐火物およびその施工体

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JPH10182253A
JPH10182253A JP8345942A JP34594296A JPH10182253A JP H10182253 A JPH10182253 A JP H10182253A JP 8345942 A JP8345942 A JP 8345942A JP 34594296 A JP34594296 A JP 34594296A JP H10182253 A JPH10182253 A JP H10182253A
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Hisashi Nakamura
中村壽志
Kozo Akao
赤尾幸蔵
Toshihiro Isobe
礒部利弘
Kimihiko Takeuchi
竹内公彦
Shiyouichi Itose
糸瀬彰一
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 消化抑制に伴う耐食性および耐スポーリング
性の低下がなく、マグネシア−カルシア質キャスタブル
耐火物が本来有する耐食性、耐スポーリング性、耐スラ
グ浸透性、溶鋼汚染防止などの特性をいかんなく発揮で
きるキャスタブル耐火物を提供すること。 【解決手段】 化学組成でMgO:50〜90重量%、
CaO:8〜45重量%、MgOとCaOの合量が95
重量%以上、Al23 :0.3〜3.5重量%、Fe
23 :0.1〜1.5重量%を含み、かつ表面にリン
酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を有した
焼結マグネシア・カルシア質クリンカーを耐火骨材とし
て配合したキャスタブル耐火物。また、これを鋳込み施
工して製造される施工体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に溶鋼に対する
耐用性に優れたキャスタブル耐火物とその施工体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】溶鋼取鍋、タンディシュなどの溶鋼容器
の内張り、あるいはこれら溶鋼容器に付随する機器類の
耐火物被覆に使用される不定形耐火物として、ろう石
質、ジルコン質などの酸性質キャスタブル耐火物、アル
ミナ−スピネル質、アルミナ−マグネシア質などの中性
質のキャスタブル耐火物が知られている。中でも前記の
中性質は、酸性質に比べて耐スラグ性に優れていること
から、良好な結果を納めている。
【0003】しかし、最近の炉操業の過酷化と耐火物原
単位の低減化指向中で、上記従来材質では十分な耐用性
が得られない。また、中性質および酸性質は溶鋼清浄化
の面からも好ましくない。そこで、塩基性質のマグネシ
ア−カルシア質キャスタブル耐火物が注目されている。
【0004】マグネシア−カルシア質キャスタブル耐火
物は、耐食性および耐スラグ浸透性に優れている。しか
も、中性質および酸性質に見られる溶鋼汚染の問題もな
い。しかし、骨材として使用するマグネシア・カルシア
質アクリンカー中のCaO成分が施工水分と水和〔Ca
O+H2 O→Ca(OH)2 〕し、消化による耐火物組
織ぜい弱化の問題がある。これがネックとなって、その
汎用を阻んでいる。
【0005】そこで、マグネシア−カルシア質キャスタ
ブル耐火物において、耐消化性処理した焼結マグネシア
・カルシア質クリンカーの使用が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば特開平5−34
5680号公報の発明では、特定量のTiO2 およびF
23 の含有でクリンカー自身の耐消化性を付与する
と共に、さらにその表面に耐消化性被膜としてのリン酸
カルシウムとリン酸マグネシウムよりなる薄層を設けた
マグネシア・カルシア質クリンカーを使用している。
【0007】しかし、耐消化性の効果を十分に得るだけ
の量のTiO2 とFe23 を含有させた焼結マグネシ
ア・カルシア質クリンカーは、過焼結と耐火度の低下の
ためか、キャスタブル耐火物の耐スポーリング性および
耐食性が低下し、マグネシア−カルシア質が本来有する
耐用性を十分に生かすことができない。
【0008】本発明は、マグネシア−カルシア質キャス
タブル耐火物のさらなる材質改善を目的としたものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、化学組成でM
gO:50〜90重量%、CaO:8〜45重量%、M
gOとCaOの合量が95重量%以上、Al23
0.3〜3.5重量%、Fe23 :0.1〜1.5重
量%を含み、かつ表面にリン酸カルシウムおよびリン酸
マグネシウムの薄層を有した焼結マグネシア・カルシア
質クリンカーを耐火骨材として配合したキャスタブル耐
火物である。
【0010】本発明によれば、耐食性および耐スポーリ
ング性を損なうことなく耐消化性が向上し、マグネシア
−カルシア質がもつ耐スラグ浸透性および鋼清浄化の特
性をいかんなく発揮したキャスタブル耐火物を得ること
ができる。本発明においてこれらの効果が発揮される機
構は、以下のとおりと考えられる。
【0011】TiO2 を含む焼結マグネシア・カルシア
質クリンカーを使用した従来材質は、TiO2 がクリン
カーの主成分であるMgOあるいはCaOと反応し、C
aO−TiO2 系(融点1460℃)あるいはCaO−
MgO−TiO2 系(融点1407℃)の低融物を生成
し、クリンカー中の気孔を密閉することで耐消化性が向
上する。
【0012】これに対し、本発明で使用する焼結マグネ
シア・カルシア質クリンカーは、特定量Al23 がク
リンカーの主成分であるMgOあるいはCaOと反応
し、CaO−Al23 系(融点1395℃)あるいは
MgO−Al23 −CaO系(融点1345℃)の低
融物を生成し、クリンカー中の気孔を密閉して耐消化性
を防止する。そして、このAl23 系反応生成物が前
記したTiO2 との反応生成物に比べて融点が低いこと
が気孔の密閉度を増し、耐消化性に優れる結果、耐消化
性付与のためのFe23 の含有量を少なくすることが
できる。したがって、クリンカーの過焼結もなく、耐食
性および耐スポーリング性の低下が防止できる。
【0013】焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの
表面に、耐消化被膜としてリン酸カルシウムおよびリン
酸マグネシウムの薄層を設けることは従来材質と同じで
ある。この薄層は、施工水分とCaO成分との接触を遮
断し、焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの耐消化
性を向上させる。
【0014】また、本発明ではクリンカー中のAl2
3 が、クリンカー表面のリン酸カルシウムおよびリン酸
マグネシウムの薄層を強固にする触媒として作用し、薄
層の剥離あるいは磨滅を防止して、耐消化性をより確実
なものにする効果がある。
【0015】焼結マグネシア・カルシア質クリンカー
は、以上のような耐消化処理をしても、マグネシア質ク
リンカーに比べて耐消化性に劣ることは確かである。そ
こで耐火骨材には、本発明の効果を損なわない範囲にお
いて焼結および/または電融のマグネシア質クリンカー
を組み合わせ使用することが好ましい。
【0016】また、焼結マグネシア・カルシア質クリン
カーは、微粉になると比表面積が大きくなって耐消化性
が低下する。また、比表面積が大きくなることで薄層と
してのリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの割
合が過多となり、耐食性低下の傾向となる。このため、
耐火骨材の粒度構成上で必要な微粉部には、焼結または
/および電融のマグネシアクリンカーを使用するのが好
ましい。
【0017】本発明は、平均粒子径0.1〜8μmでB
ET比表面積1〜22m2 /gのアルミナを、耐火骨材
としてさらに20重量%以下含ませてもよい。これによ
り、耐消化性が一段と向上する。これは、耐火骨材粒子
間に比表面積が大きいアルミナ超微粉が介在すること
で、キャスタブル耐火物の混練時および施工時に生じる
骨材粒子同士の摩擦を緩和し、焼結マグネシア・カルシ
ア質クリンカー表面のリン酸カルシウムおよびリン酸マ
グネシウムの剥離または磨滅を防止すためと考えられ
る。
【0018】アルミナ超微粉の組み合わせは、耐スラグ
浸透性の向上にも効果がある。これは、アルミナ超微粉
が耐火物使用中の高温で焼結マグネシア・カルシア質ク
リンカー表面のリン酸マグネシウムのMgO成分と反応
し、スピネル(MgO・Al23 )を生成し、その生
成に伴う体積膨張で施工体組織を緻密化し、耐スラグ浸
透性を向上させるものと思われる。
【0019】このアルミナ超微粉からのAl23 は、
焼結マグネシア・カルシア質クリンカー成分のFe2
3 およびCaO成分とも反応し、融点が高い反応生成物
を生じさせるためか、耐食性の向上にも効果的である。
【0020】本発明では、さらにガラス物質を配合する
ことで、耐消化性が一段と向上する。ガラス物質が耐火
物使用中の高温を受けて溶融し、ガラス皮膜の形成で耐
消化性を向上させることは公知技術である。しかし本発
明の場合、その耐消化性の効果がより顕著である。これ
は、焼結マグネシア・カルシア質クリンカー表面のリン
酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムの薄層の濡れ性
によって、ガラス皮膜がクリンカー表面上で拡散されや
すいためと思われる。
【0021】焼結マグネシア・カルシア質クリンカー表
面の薄層がリン酸マグネシウムおよびリン酸カルシウム
のリン酸系物質であることから、ガラス物質の中でもこ
の薄層材質となじみがよいリン酸塩ガラスが特に好まし
い。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明で使用する焼結マグネシア
・カルシア質クリンカーの化学組成は、MgOが50重
量%未満でCaOが45重量%を超えると耐消化性に劣
り、MgOが90重量%を超え、CaOが8重量%未満
では耐スラグ浸透性および耐スポーリング性に劣る。M
gOとCaOとの合量は、塩基性耐火原料としての耐食
性および耐スラグ性を確保するために、95重量%以上
とする。
【0023】Al23 は0.3重量%未満では耐消化
性において本発明の効果が得られず、3.5重量%を超
えるとクリンカーが焼結過多になるためか、耐スポーリ
ング性に劣る。Al23 のさらに好ましい範囲は、
0.5〜2.5重量%である。Fe23 は、0.1重
量%未満では耐消化性および耐食性において効果が不十
分となり、1.5重量%を超えると耐スポーリング性お
よび耐食性に劣る。さらに好ましい範囲は、0.2重量
%を超え1重量%以下である。
【0024】焼結マグネシア・カルシア質クリンカー中
には、他成分としてSiO2 、B23 などが不可避的
に混在する。また、本発明の効果を損なわない範囲であ
れば、TiO2 を含んでもよい。しかし、これらの他成
分は、合量で0.5重量%以下であることが好ましい。
【0025】なお、本発明で限定した焼結マグネシア・
カルシア質クリンカーの化学成分は、クリンカー表面の
リン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を除
いたものである。したがって、リン酸カルシウムおよび
リン酸マグネシウムの薄層を形成する前段階で測定した
ものに相当する。
【0026】本発明で使用する焼結マグネシア・カルシ
ア質クリンカーの製法は、例えばMgO源として水酸化
マグネシウム、マグネサイト、ブルーサイト、CaO源
として炭酸カルシウム、MgO源と水酸化カルシウム、
生石灰、Al23 源として例えばバイヤー法で得られ
た酸化アルミニウム、さらにFe23 源としての酸化
鉄などを加え、それぞれが本発明で限定した化学成分の
割合になるように混合し、加圧成形後、ロータリーキル
ンで1700〜2000℃程度の高温で焼成する。
【0027】こうして得られた焼結マグネシア・カルシ
ア質クリンカーは、リン酸、その塩類あるいは酸性エス
テルなどのリン酸系有機物の水溶液に浸漬あるいは吹付
けで接触させた後、乾燥する。これにより、リン酸成分
がクリンカーの主成分であるMgOあるいはCaOと反
応し、クリンカー表面にリン酸カルシウムおよびリン酸
マグネシウムの薄層が形成される。
【0028】また、ここでいうリン酸カルシウムは、第
1リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウムおよびその
各種水和物をいう。一方、リン酸マグネシウムは、リン
酸水素マグネシウムの3水塩および7水塩などである。
【0029】クリンカーの表面に形成されるリン酸カル
シウムおよびリン酸マグネシウムの薄層は、例えばEP
MA装置によってその存在を確認できる。
【0030】クリンカー表面のリン酸カルシウムおよび
リン酸マグネシウムの薄層は、前記したように、例えば
リン酸処理によってクリンカー成分のMgOあるいはC
aOから生成し、形成される。したがって、リン酸カル
シウム薄層とリン酸マグネシウム薄層は、リン酸処理前
のクリンカー表面部でのMgOあるいはCaOの露出状
況によって生成状態が異なリ、クリンカー表面において
必ずしも一様でない。しかも、反応生成物であることか
ら、その存在はクリンカー表面部のごく薄い部分に限ら
れる。また、クリンカー表面にはリン酸カルシウム薄
層、リン酸マグネシウム薄層だけでなく、厳密には一部
にFe23 、未反応MgOなども存在する。
【0031】本発明は、前記焼結マグネシア・カルシア
質クリンカーと組み合わせ使用する耐火骨材の種類は特
に限定するのもではない。例えば、焼結または電融のマ
グネシア質クリンカー、カルシア質クリンカー、Al2
3 ・MgO系スピネル質クリンカー、アルミナ、シリ
カ、アルミナ−シリカ、ムライト、ジルコン、ジルコニ
アなど、あるいはこれらを含む耐火物使用後品など耐火
物廃材である。また、表面にリン酸カルシウムあるいは
リン酸マグネシウムの薄層を有しない焼結または電融の
マグネシア・カルシア質クリンカーでもよい。必要によ
り、さらに揮発シリカ、粘土、炭素、炭化物などを組み
合わせる。
【0032】中でも、焼結および/または電融のマグネ
シア質クリンカーとの組み合わせが好ましい。マグネシ
ア質クリンカーは、マグネシア・カルシア質クリンカー
ほどではないしても、他の耐火性骨材に比べると耐食性
および鋼清浄化に優れている。また、マグネシア・カル
シア質クリンカーに比べて耐消化性に優れることから、
微粉としての使用が好ましい。
【0033】マグネシア質クリンカーを組み合わせる場
合は、表面にリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウ
ムの薄層を有する本発明で規定した焼結マグネシア・カ
ルシア質クリンカーを30重量%以上配合し、残部を焼
結および/または電融のマグネシア質クリンカー主体に
するのが好ましい。本発明で規定した焼結マグネシア・
カルシア質クリンカーが30重量%未満では焼結マグネ
シア・カルシア質クリンカーがもつ耐スラグ浸透性およ
び耐食性の効果が不十分となる。
【0034】マグネシア質クリンカーの具体的な材質
は、従来の塩基性質耐火物に使用されているものと特に
変わりなく、化学成分でMgOが90重量%を超えるも
のとする。さらに好ましいMgO含有量は、94重量%
以上である。また、マグネシア質クリンカーの耐火骨材
全体に占める好ましい割合は、10〜70重量%であ
る。
【0035】なお、以上説明した各耐火骨材の化学成分
値は、灼熱基準とする。
【0036】耐火骨材の粒径は、耐火物施工時の流動
性、施工体の密充填化のために、従来材質と同様に粗
粒、中粒、微粒に調整する。また、耐スポーリング性な
どを目的として、その一部を例えば粒径10mm以上の
粗大粒子としてもよい。
【0037】平均粒子径0.1〜8μmでBET比表面
積1〜22m2 /gのアルミナを配合する場合、耐火骨
材全体に占める割合で20重量%以下が好ましい。さら
に好ましくは、3〜15重量%である。平均粒子径およ
びBET比表面積がこの範囲内のアルミナは反応性が高
いために、20重量%を超えると焼結マグネシア・カル
シア質クリンカーのMgO成分との反応でスピネル生成
し、その際の体積膨張で施工体組織に亀裂が生じる。ま
た、MgO−CaO−Al23 系低融物を多量に生成
し、耐スポーリング性および耐食性が低下する。
【0038】平均粒子径0.1〜8μmでBET比表面
積1〜22m2 /gのアルミナは、通常の焼結または電
融のアルミナを微粉砕しても得られ難い。例えば、バイ
ヤー法で得られた水酸化アルミニウムを1000〜15
00℃程度の比較低温で焼成して得た、一般に仮焼アル
ミナと称されるアルミナ超微粉の中から、本発明で限定
した平均粒子径およびBET比表面積を兼ね備えたもの
を選択することで得られる。
【0039】仮焼アルミナは、粉砕品でないためにカッ
ティングエッジを有していないことも、キャスタブル耐
火物の混練時、施工時の振動付与などで生じる骨材粒子
同士の摩擦を低減する。
【0040】ガラス物質は、例えばホウケイ酸ガラス、
ホウ酸ガラス、ケイ酸ガラス、リン酸ガラスなどであ
る。焼結マグネシア・カルシア質クリンカー表面の薄層
がリン酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムのリン酸
系物質であることから、ガラス物質の中でもこの薄層材
質となじみがよいリン酸塩ガラスが好ましい。
【0041】ガラス物質の配合割合は、前記の耐火骨材
100重量部に対して7重量部以下、さらに好ましくは
0.5〜5重量部である。ガラス物質は低融物であり、
配合量が過多となると耐食性および耐スポーリング性に
劣る。
【0042】キャスタブル耐火物に必要な結合剤、分散
剤などの添加およびその添加量などは従来材質と同様で
足りる。結合剤としては、例えばアルミナセメント、ポ
ルトランドセメント、マグネシアセメント、コロイダル
シリカ、ケイ酸ソーダ、リン酸アルミニウム、パルプ廃
液、苦汁などであり、耐火性骨材100重量部に対し
0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部とし、
この範囲において結合剤の種類に応じて適量添加する。
【0043】分散剤は、施工時の流動性を向上させる効
果をもつ。具体例としてはトリポリリン酸ソーダ、ヘキ
サメタリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性
ヘキサメタリン酸ソーダ、ホウ酸ソーダ炭酸ソーダ、ク
エン酸ソーダ、酒石酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、
ポリアクリル酸、スルホン酸ソーダなどである。好まし
い割合は、耐火性骨材100重量部に対し、0.01〜
1重量部である。
【0044】また、本発明の効果を阻害しない範囲で、
各種の硬化剤、硬化遅延剤、乾燥促進剤(例えば金属
粉、有機質ファイバー、発泡剤)、金属ファイバー、無
機ファイバーなどを添加してもよいことも、従来技術と
同様である。
【0045】施工は、以上の配合組成物に施工水分を添
加し、混練後、流し込み、養生、乾燥させる。充填性を
向上させるために、形枠には振動を付与する。溶融金属
容器などの内張りに使用する場合は、中子を用いて直接
内張りする他、予め施工して得た施工体を内張りしても
よい。
【0046】
【実施例】表1は、各例で使用した焼結マグネシア・カ
ルシア質クリンカーの化学成分および耐消化性処理法を
示す。表2は、焼結マグネシア・カルシア質クリンカー
以外の各例で使用した耐火骨材について、平均粒子径、
BET比表面積および化学成分を示す。なお、表1に示
す焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの化学成分
は、耐消化性処理を施す前の測定である。
【0047】表2において平均粒子径およびBET比表
面積は、アルミナ超微粉のみ示した。また、平均粒子径
の測定は、レーザー回折法で測定した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】各例はいずれも配合組成物全体に対する外
掛けで7重量%の施工水を添加し、混練後、振動を付与
した型枠に流し込み、養生・乾燥後、下記の条件にて試
験した。
【0054】耐食性;高周波誘導炉を使用し、CaO/
SiO2 モル比=3、Al23 が10重量%組成の転
炉スラグを侵食剤として溶損させた。1600℃で加熱
溶融させた侵食剤中に試験片を20分間浸漬し、これを
を15サイクル行った後、試験片の溶損寸法を測定し
た。比較例2の溶損寸法を100とした指数で示し、数
値が大きいほど溶損寸法が小さく、耐食性に優れている
ことを示す。
【0055】耐スラグ浸透性;上記の耐スラグ侵食性を
測定した試験片の切断面から、スラグの浸透層厚さを測
定した。比較例2の溶損寸法を100とした指数で示
し、数値が大きいほど浸透寸法が小さく、耐スラグ浸透
性に優れていることを示す。
【0056】耐スポーリング性;前記の転炉スラグを使
用し、回転スラグ侵食試験機にて、温度1600℃×1
時間を5サイクルでスラグ浸透を図った。ついで、この
スラグ浸透後の試験片を1600℃に急加熱し、30分
間保持後、500℃に急冷し、この操作を5サイクル行
った後、試験片の切断面を観察し、スラグ浸透層と未浸
透層との間の亀裂発生の有無および亀裂の程度を下記の
5段階で評価した。
【0057】A…亀裂なし、B…亀裂極少、C…亀裂
少、D…亀裂多、 耐消化性;試験片をオ−トクレ−ブ中に温度130℃、
2.7気圧で6時間保持後、線変化率求めた。
【0058】耐用性;200t溶鋼取鍋のスラグライン
の内張りとして流し込み施工し、実機における損耗速度
を求めた。
【0059】表3において、本発明の実施例は耐侵食
性、耐スラグ浸透性、耐スポーリング性および耐消化性
を兼ね備え、その結果、実機試験においても優れた耐用
性を得た。
【0060】これに対し比較例1ないし比較例6は、本
発明で限定した範囲以外の焼結マグネシア・ カルシア質
クリンカーを使用したものである。十分な耐侵食性、耐
スラグ浸透性、耐スポーリング性および耐消化性を兼ね
備えることができず、本発明実施例に比べ、実機試験に
おける耐用性に劣る。
【0061】なお、マグネシア質クリンカーを配合しな
い実施例1と焼結マグネシア・ カルシア質クリンカーの
割合が少ない実施例5は、請求項2の発明に対しては比
較例に相当する。他の実施例1〜7に比べて耐消化性に
劣る。
【0062】表4は、耐火骨材の一部にアルミナ超微粉
を配合したものであり、耐消化性と耐スラグ浸透性の向
上に一段と効果的である。BET比表面積が0.8m2
/gのアルミナ超微粉Eを使用した実施例14は耐スラ
グ浸透性の向上が顕著でない。また、実施例15はアル
ミナ超微粉の配合割合が多く、亀裂発生のため実施例8
〜13に比べると耐用性に劣る。
【0063】表5は、ガラス物質を配合したものであ
る。耐消化性がより優れている。実施例22はガラス物
質の配合量が多く、耐食性および耐スポーリング性に低
下傾向が見られる。
【0064】
【発明の効果】本発明により得られるマグネシア−カル
シア質キャスタブル耐火物は、従来材質に見られる消化
抑制に伴う耐食性および耐スポーリング性の低下がな
く、マグネシア−カルシア質キャスタブル耐火物が本来
有する耐食性、耐スポーリング性、耐スラグ浸透性、溶
鋼汚染防止などの特性をいかんなく発揮することができ
る。したがって、本発明は、近年の炉操業の苛酷化と鋼
の高品質化に対応できる不定形耐火物として、その産業
的価値はきわめて高い。
フロントページの続き (72)発明者 礒部利弘 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内 (72)発明者 竹内公彦 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内 (72)発明者 糸瀬彰一 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成でMgO:50〜90重量%、
    CaO:8〜45重量%、MgOとCaOの合量が95
    重量%以上、Al23 :0.3〜3.5重量%、Fe
    23 :0.1〜1.5重量%を含み、かつ表面にリン
    酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を有した
    焼結マグネシア・カルシア質クリンカーを耐火骨材とし
    て配合したキャスタブル耐火物。
  2. 【請求項2】 化学組成でMgO:50〜90重量%、
    CaO:8〜45重量%、MgOとCaOの合量が95
    重量%以上、Al23 :0.3〜3.5重量%、Fe
    23 :0.1〜1.5重量%を含み、かつ表面にリン
    酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を有した
    焼結マグネシア・カルシア質クリンカー30重量%以
    上、残部が焼結および/または電融のマグネシア質クリ
    ンカーを主材とする耐火骨材を配合したキャスタブル耐
    火物。
  3. 【請求項3】 耐火骨材100重量部に対して、ガラス
    物質を7重量部以下配合した請求項1または2記載のキ
    ャスタブル耐火物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3記載のキャスタブル耐
    火物を鋳込み施工して製造される施工体。
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