JP3588406B2 - キャスタブル耐火物およびその施工体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に溶鋼に対する耐用性に優れたキャスタブル耐火物とその施工体に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶鋼取鍋、タンディシュなどの溶鋼容器の内張り、あるいはこれら溶鋼容器に付随する機器類の耐火物被覆に使用される不定形耐火物として、ろう石質、ジルコン質などの酸性質キャスタブル耐火物、アルミナ−スピネル質、アルミナ−マグネシア質などの中性質のキャスタブル耐火物が知られている。中でも前記の中性質は、酸性質に比べて耐スラグ性に優れていることから、良好な結果を納めている。
【0003】
しかし、最近の炉操業の過酷化と耐火物原単位の低減化指向中で、上記従来材質では十分な耐用性が得られない。また、中性質および酸性質は溶鋼清浄化の面からも好ましくない。そこで、塩基性質のマグネシア−カルシア質キャスタブル耐火物が注目されている。
【0004】
マグネシア−カルシア質キャスタブル耐火物は、耐食性および耐スラグ浸透性に優れている。しかも、中性質および酸性質に見られる溶鋼汚染の問題もない。しかし、骨材として使用するマグネシア・カルシア質アクリンカー中のCaO成分が施工水分と水和〔CaO+H O→Ca(OH) 〕し、消化による耐火物組織ぜい弱化の問題がある。これがネックとなって、その汎用を阻んでいる。
【0005】
そこで、マグネシア−カルシア質キャスタブル耐火物において、耐消化性処理した焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの使用が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば特開平5−345680号公報の発明では、特定量のTiO およびFe の含有でクリンカー自身の耐消化性を付与すると共に、さらにその表面に耐消化性被膜としてのリン酸カルシウムとリン酸マグネシウムよりなる薄層を設けたマグネシア・カルシア質クリンカーを使用している。
【0007】
しかし、耐消化性の効果を十分に得るだけの量のTiO とFe を含有させた焼結マグネシア・カルシア質クリンカーは、過焼結と耐火度の低下のためか、キャスタブル耐火物の耐スポーリング性および耐食性が低下し、マグネシア−カルシア質が本来有する耐用性を十分に生かすことができない。
【0008】
本発明は、マグネシア−カルシア質キャスタブル耐火物のさらなる材質改善を目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、化学組成でMgO:50〜90重量%、CaO:8〜45重量%、MgOとCaOの合量が95重量%以上、Al23 :0.3〜3.5重量%、Fe23 :0.1〜1.5重量%を含み、かつ表面にリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を有した焼結マグネシア・カルシア質クリンカーを耐火骨材とし、該耐火骨材100重量部に対して、ガラス物質を7重量部以下配合したキャスタブル耐火物である。
【0010】
本発明によれば、耐食性および耐スポーリング性を損なうことなく耐消化性が向上し、マグネシア−カルシア質がもつ耐スラグ浸透性および鋼清浄化の特性をいかんなく発揮したキャスタブル耐火物を得ることができる。本発明においてこれらの効果が発揮される機構は、以下のとおりと考えられる。
【0011】
TiO を含む焼結マグネシア・カルシア質クリンカーを使用した従来材質は、TiO がクリンカーの主成分であるMgOあるいはCaOと反応し、CaO−TiO 系(融点1460℃)あるいはCaO−MgO−TiO 系(融点1407℃)の低融物を生成し、クリンカー中の気孔を密閉することで耐消化性が向上する。
【0012】
これに対し、本発明で使用する焼結マグネシア・カルシア質クリンカーは、特定量Al がクリンカーの主成分であるMgOあるいはCaOと反応し、CaO−Al 系(融点1395℃)あるいはMgO−Al −CaO系(融点1345℃)の低融物を生成し、クリンカー中の気孔を密閉して耐消化性を防止する。そして、このAl 系反応生成物が前記したTiO との反応生成物に比べて融点が低いことが気孔の密閉度を増し、耐消化性に優れる結果、耐消化性付与のためのFe の含有量を少なくすることができる。したがって、クリンカーの過焼結もなく、耐食性および耐スポーリング性の低下が防止できる。
【0013】
焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの表面に、耐消化被膜としてリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を設けることは従来材質と同じである。この薄層は、施工水分とCaO成分との接触を遮断し、焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの耐消化性を向上させる。
【0014】
また、本発明ではクリンカー中のAl が、クリンカー表面のリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を強固にする触媒として作用し、薄層の剥離あるいは磨滅を防止して、耐消化性をより確実なものにする効果がある。
【0015】
焼結マグネシア・カルシア質クリンカーは、以上のような耐消化処理をしても、マグネシア質クリンカーに比べて耐消化性に劣ることは確かである。そこで耐火骨材には、本発明の効果を損なわない範囲において焼結および/または電融のマグネシア質クリンカーを組み合わせ使用することが好ましい。
【0016】
また、焼結マグネシア・カルシア質クリンカーは、微粉になると比表面積が大きくなって耐消化性が低下する。また、比表面積が大きくなることで薄層としてのリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの割合が過多となり、耐食性低下の傾向となる。このため、耐火骨材の粒度構成上で必要な微粉部には、焼結または/および電融のマグネシアクリンカーを使用するのが好ましい。
【0017】
本発明は、平均粒子径0.1〜8μmでBET比表面積1〜22m /gのアルミナを、耐火骨材としてさらに20重量%以下含ませてもよい。これにより、耐消化性が一段と向上する。これは、耐火骨材粒子間に比表面積が大きいアルミナ超微粉が介在することで、キャスタブル耐火物の混練時および施工時に生じる骨材粒子同士の摩擦を緩和し、焼結マグネシア・カルシア質クリンカー表面のリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの剥離または磨滅を防止すためと考えられる。
【0018】
アルミナ超微粉の組み合わせは、耐スラグ浸透性の向上にも効果がある。これは、アルミナ超微粉が耐火物使用中の高温で焼結マグネシア・カルシア質クリンカー表面のリン酸マグネシウムのMgO成分と反応し、スピネル(MgO・Al )を生成し、その生成に伴う体積膨張で施工体組織を緻密化し、耐スラグ浸透性を向上させるものと思われる。
【0019】
このアルミナ超微粉からのAl は、焼結マグネシア・カルシア質クリンカー成分のFe およびCaO成分とも反応し、融点が高い反応生成物を生じさせるためか、耐食性の向上にも効果的である。
【0020】
本発明では、さらにガラス物質を配合することで、耐消化性が一段と向上する。ガラス物質が耐火物使用中の高温を受けて溶融し、ガラス皮膜の形成で耐消化性を向上させることは公知技術である。しかし本発明の場合、その耐消化性の効果がより顕著である。これは、焼結マグネシア・カルシア質クリンカー表面のリン酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムの薄層の濡れ性によって、ガラス皮膜がクリンカー表面上で拡散されやすいためと思われる。
【0021】
焼結マグネシア・カルシア質クリンカー表面の薄層がリン酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムのリン酸系物質であることから、ガラス物質の中でもこの薄層材質となじみがよいリン酸塩ガラスが特に好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの化学組成は、MgOが50重量%未満でCaOが45重量%を超えると耐消化性に劣り、MgOが90重量%を超え、CaOが8重量%未満では耐スラグ浸透性および耐スポーリング性に劣る。MgOとCaOとの合量は、塩基性耐火原料としての耐食性および耐スラグ性を確保するために、95重量%以上とする。
【0023】
Al は0.3重量%未満では耐消化性において本発明の効果が得られず、3.5重量%を超えるとクリンカーが焼結過多になるためか、耐スポーリング性に劣る。Al のさらに好ましい範囲は、0.5〜2.5重量%である。Fe は、0.1重量%未満では耐消化性および耐食性において効果が不十分となり、1.5重量%を超えると耐スポーリング性および耐食性に劣る。さらに好ましい範囲は、0.2重量%を超え1重量%以下である。
【0024】
焼結マグネシア・カルシア質クリンカー中には、他成分としてSiO 、B などが不可避的に混在する。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、TiO を含んでもよい。しかし、これらの他成分は、合量で0.5重量%以下であることが好ましい。
【0025】
なお、本発明で限定した焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの化学成分は、クリンカー表面のリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を除いたものである。したがって、リン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を形成する前段階で測定したものに相当する。
【0026】
本発明で使用する焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの製法は、例えばMgO源として水酸化マグネシウム、マグネサイト、ブルーサイト、CaO源として炭酸カルシウム、MgO源と水酸化カルシウム、生石灰、Al 源として例えばバイヤー法で得られた酸化アルミニウム、さらにFe 源としての酸化鉄などを加え、それぞれが本発明で限定した化学成分の割合になるように混合し、加圧成形後、ロータリーキルンで1700〜2000℃程度の高温で焼成する。
【0027】
こうして得られた焼結マグネシア・カルシア質クリンカーは、リン酸、その塩類あるいは酸性エステルなどのリン酸系有機物の水溶液に浸漬あるいは吹付けで接触させた後、乾燥する。これにより、リン酸成分がクリンカーの主成分であるMgOあるいはCaOと反応し、クリンカー表面にリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層が形成される。
【0028】
また、ここでいうリン酸カルシウムは、第1リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウムおよびその各種水和物をいう。一方、リン酸マグネシウムは、リン酸水素マグネシウムの3水塩および7水塩などである。
【0029】
クリンカーの表面に形成されるリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層は、例えばEPMA装置によってその存在を確認できる。
【0030】
クリンカー表面のリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層は、前記したように、例えばリン酸処理によってクリンカー成分のMgOあるいはCaOから生成し、形成される。したがって、リン酸カルシウム薄層とリン酸マグネシウム薄層は、リン酸処理前のクリンカー表面部でのMgOあるいはCaOの露出状況によって生成状態が異なリ、クリンカー表面において必ずしも一様でない。しかも、反応生成物であることから、その存在はクリンカー表面部のごく薄い部分に限られる。また、クリンカー表面にはリン酸カルシウム薄層、リン酸マグネシウム薄層だけでなく、厳密には一部にFe 、未反応MgOなども存在する。
【0031】
本発明は、前記焼結マグネシア・カルシア質クリンカーと組み合わせ使用する耐火骨材の種類は特に限定するのもではない。例えば、焼結または電融のマグネシア質クリンカー、カルシア質クリンカー、Al ・MgO系スピネル質クリンカー、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ムライト、ジルコン、ジルコニアなど、あるいはこれらを含む耐火物使用後品など耐火物廃材である。また、表面にリン酸カルシウムあるいはリン酸マグネシウムの薄層を有しない焼結または電融のマグネシア・カルシア質クリンカーでもよい。必要により、さらに揮発シリカ、粘土、炭素、炭化物などを組み合わせる。
【0032】
中でも、焼結および/または電融のマグネシア質クリンカーとの組み合わせが好ましい。マグネシア質クリンカーは、マグネシア・カルシア質クリンカーほどではないしても、他の耐火性骨材に比べると耐食性および鋼清浄化に優れている。また、マグネシア・カルシア質クリンカーに比べて耐消化性に優れることから、微粉としての使用が好ましい。
【0033】
マグネシア質クリンカーを組み合わせる場合は、表面にリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を有する本発明で規定した焼結マグネシア・カルシア質クリンカーを30重量%以上配合し、残部の主材を焼結および/または電融のマグネシア質クリンカーにする(又は残部の全てを焼結および/または電融のマグネシア質クリンカーにする)のが好ましい。本発明で規定した焼結マグネシア・カルシア質クリンカーが30重量%未満では焼結マグネシア・カルシア質クリンカーがもつ耐スラグ浸透性および耐食性の効果が不十分となる。さらに、耐火骨材として、前記耐火骨材100重量部に対して、ガラス物質を7重量部以下に配合するのが好ましい。
【0034】
マグネシア質クリンカーの具体的な材質は、従来の塩基性質耐火物に使用されているものと特に変わりなく、化学成分でMgOが90重量%を超えるものとする。さらに好ましいMgO含有量は、94重量%以上である。また、マグネシア質クリンカーの耐火骨材全体に占める好ましい割合は、10〜70重量%である。
【0035】
なお、以上説明した各耐火骨材の化学成分値は、灼熱基準とする。
【0036】
耐火骨材の粒径は、耐火物施工時の流動性、施工体の密充填化のために、従来材質と同様に粗粒、中粒、微粒に調整する。また、耐スポーリング性などを目的として、その一部を例えば粒径10mm以上の粗大粒子としてもよい。
【0037】
平均粒子径0.1〜8μmでBET比表面積1〜22m /gのアルミナを配合する場合、耐火骨材全体に占める割合で20重量%以下が好ましい。さらに好ましくは、3〜15重量%である。平均粒子径およびBET比表面積がこの範囲内のアルミナは反応性が高いために、20重量%を超えると焼結マグネシア・カルシア質クリンカーのMgO成分との反応でスピネル生成し、その際の体積膨張で施工体組織に亀裂が生じる。また、MgO−CaO−Al 系低融物を多量に生成し、耐スポーリング性および耐食性が低下する。
【0038】
平均粒子径0.1〜8μmでBET比表面積1〜22m /gのアルミナは、通常の焼結または電融のアルミナを微粉砕しても得られ難い。例えば、バイヤー法で得られた水酸化アルミニウムを1000〜1500℃程度の比較低温で焼成して得た、一般に仮焼アルミナと称されるアルミナ超微粉の中から、本発明で限定した平均粒子径およびBET比表面積を兼ね備えたものを選択することで得られる。
【0039】
仮焼アルミナは、粉砕品でないためにカッティングエッジを有していないことも、キャスタブル耐火物の混練時、施工時の振動付与などで生じる骨材粒子同士の摩擦を低減する。
【0040】
ガラス物質は、例えばホウケイ酸ガラス、ホウ酸ガラス、ケイ酸ガラス、リン酸ガラスなどである。焼結マグネシア・カルシア質クリンカー表面の薄層がリン酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムのリン酸系物質であることから、ガラス物質の中でもこの薄層材質となじみがよいリン酸塩ガラスが好ましい。
【0041】
ガラス物質の配合割合は、前記の耐火骨材100重量部に対して7重量部以下、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。ガラス物質は低融物であり、配合量が過多となると耐食性および耐スポーリング性に劣る。
【0042】
キャスタブル耐火物に必要な結合剤、分散剤などの添加およびその添加量などは従来材質と同様で足りる。結合剤としては、例えばアルミナセメント、ポルトランドセメント、マグネシアセメント、コロイダルシリカ、ケイ酸ソーダ、リン酸アルミニウム、パルプ廃液、苦汁などであり、耐火性骨材100重量部に対し0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部とし、この範囲において結合剤の種類に応じて適量添加する。
【0043】
分散剤は、施工時の流動性を向上させる効果をもつ。具体例としてはトリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、ホウ酸ソーダ炭酸ソーダ、クエン酸ソーダ、酒石酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸、スルホン酸ソーダなどである。好ましい割合は、耐火性骨材100重量部に対し、0.01〜1重量部である。
【0044】
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、各種の硬化剤、硬化遅延剤、乾燥促進剤(例えば金属粉、有機質ファイバー、発泡剤)、金属ファイバー、無機ファイバーなどを添加してもよいことも、従来技術と同様である。
【0045】
施工は、以上の配合組成物に施工水分を添加し、混練後、流し込み、養生、乾燥させる。充填性を向上させるために、形枠には振動を付与する。溶融金属容器などの内張りに使用する場合は、中子を用いて直接内張りする他、予め施工して得た施工体を内張りしてもよい。
【0046】
【実施例】
表1は、各例で使用した焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの化学成分および耐消化性処理法を示す。表2は、焼結マグネシア・カルシア質クリンカー以外の各例で使用した耐火骨材について、平均粒子径、BET比表面積および化学成分を示す。なお、表1に示す焼結マグネシア・カルシア質クリンカーの化学成分は、耐消化性処理を施す前の測定である。
【0047】
表2において平均粒子径およびBET比表面積は、アルミナ超微粉のみ示した。また、平均粒子径の測定は、レーザー回折法で測定した。
【0048】
【表1】
Figure 0003588406
【0049】
【表2】
Figure 0003588406
【0050】
【表3】
Figure 0003588406
【0051】
【表4】
Figure 0003588406
【0052】
【表5】
Figure 0003588406
【0053】
各例はいずれも配合組成物全体に対する外掛けで7重量%の施工水を添加し、混練後、振動を付与した型枠に流し込み、養生・乾燥後、下記の条件にて試験した。
【0054】
耐食性;高周波誘導炉を使用し、CaO/SiO モル比=3、Al が10重量%組成の転炉スラグを侵食剤として溶損させた。1600℃で加熱溶融させた侵食剤中に試験片を20分間浸漬し、これをを15サイクル行った後、試験片の溶損寸法を測定した。比較例2の溶損寸法を100とした指数で示し、数値が大きいほど溶損寸法が小さく、耐食性に優れていることを示す。
【0055】
耐スラグ浸透性;上記の耐スラグ侵食性を測定した試験片の切断面から、スラグの浸透層厚さを測定した。比較例2の溶損寸法を100とした指数で示し、数値が大きいほど浸透寸法が小さく、耐スラグ浸透性に優れていることを示す。
【0056】
耐スポーリング性;前記の転炉スラグを使用し、回転スラグ侵食試験機にて、温度1600℃×1時間を5サイクルでスラグ浸透を図った。ついで、このスラグ浸透後の試験片を1600℃に急加熱し、30分間保持後、500℃に急冷し、この操作を5サイクル行った後、試験片の切断面を観察し、スラグ浸透層と未浸透層との間の亀裂発生の有無および亀裂の程度を下記の5段階で評価した。
【0057】
A…亀裂なし、B…亀裂極少、C…亀裂少、D…亀裂多、
耐消化性;試験片をオ−トクレ−ブ中に温度130℃、2.7気圧で6時間保持後、線変化率求めた。
【0058】
耐用性;200t溶鋼取鍋のスラグラインの内張りとして流し込み施工し、実機における損耗速度を求めた。
【0059】
表3において、本発明の実施例は耐侵食性、耐スラグ浸透性、耐スポーリング性および耐消化性を兼ね備え、その結果、実機試験においても優れた耐用性を得た。
【0060】
これに対し比較例1ないし比較例6は、本発明で限定した範囲以外の焼結マグネシア・ カルシア質クリンカーを使用したものである。十分な耐侵食性、耐スラグ浸透性、耐スポーリング性および耐消化性を兼ね備えることができず、本発明実施例に比べ、実機試験における耐用性に劣る。
【0061】
なお、マグネシア質クリンカーを配合しない実施例1と焼結マグネシア・ カルシア質クリンカーの割合が少ない実施例5は、請求項2の発明に対しては比較例に相当する。表3に示されるように、実施例1は、他の実施例〜7に比べて耐消化性に劣る。また、実施例1及び5は、他の実施例2〜4,6,7に比べて、耐スラグ浸透性および耐食性の点で劣っている。
【0062】
表4は、耐火骨材の一部にアルミナ超微粉を配合したものであり、耐消化性と耐スラグ浸透性の向上に一段と効果的である。BET比表面積が0.8m /gのアルミナ超微粉Eを使用した実施例14は耐スラグ浸透性の向上が顕著でない。また、実施例15はアルミナ超微粉の配合割合が多く、亀裂発生のため実施例8〜13に比べると耐用性に劣る。
【0063】
表5は、ガラス物質を配合したものである。耐消化性がより優れている。実施例22はガラス物質の配合量が多く、耐食性および耐スポーリング性に低下傾向が見られる。
【0064】
【発明の効果】
本発明により得られるマグネシア−カルシア質キャスタブル耐火物は、従来材質に見られる消化抑制に伴う耐食性および耐スポーリング性の低下がなく、マグネシア−カルシア質キャスタブル耐火物が本来有する耐食性、耐スポーリング性、耐スラグ浸透性、溶鋼汚染防止などの特性をいかんなく発揮することができる。したがって、本発明は、近年の炉操業の苛酷化と鋼の高品質化に対応できる不定形耐火物として、その産業的価値はきわめて高い。

Claims (4)

  1. 化学組成でMgO:50〜90重量%、CaO:8〜45重量%、MgOとCaOの合量が95重量%以上、Al23 :0.3〜3.5重量%、Fe23 :0.1〜1.5重量%を含み、かつ表面にリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を有した焼結マグネシア・カルシア質クリンカーを耐火骨材とし、該耐火骨材100重量部に対して、ガラス物質を7重量部以下配合したキャスタブル耐火物。
  2. 化学組成でMgO:50〜90重量%、CaO:8〜45重量%、MgOとCaOの合量が95重量%以上、Al23 :0.3〜3.5重量%、Fe23 :0.1〜1.5重量%を含み、かつ表面にリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を有した焼結マグネシア・カルシア質クリンカー30重量%以上とし、残部の主材を焼結および/または電融のマグネシア質クリンカーとした耐火骨材とするとともに、該耐火骨材100重量部に対して、ガラス物質を7重量部以下配合したキャスタブル耐火物。
  3. 化学組成でMgO:50〜90重量%、CaO:8〜45重量%、MgOとCaOの合量が95重量%以上、Al23 :0.3〜3.5重量%、Fe23 :0.1〜1.5重量%を含み、かつ表面にリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムの薄層を有した焼結マグネシア・カルシア質クリンカー30重量%以上とし、残部焼結および/または電融のマグネシア質クリンカーとした耐火骨材とするとともに、該耐火骨材100重量部に対して、ガラス物質を7重量部以下配合したキャスタブル耐火物。
  4. 請求項1ないし3記載のキャスタブル耐火物を鋳込み施工して製造される施工体。
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