JPH1018179A - 繊維及びシート状物 - Google Patents

繊維及びシート状物

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JPH1018179A
JPH1018179A JP18996396A JP18996396A JPH1018179A JP H1018179 A JPH1018179 A JP H1018179A JP 18996396 A JP18996396 A JP 18996396A JP 18996396 A JP18996396 A JP 18996396A JP H1018179 A JPH1018179 A JP H1018179A
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JP
Japan
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fiber
trimethylglycine
fibers
sheet
spinning
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JP18996396A
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Kazufumi Kato
一史 加藤
Keiko Okuda
恵子 奥田
Kenji Hama
健二 浜
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 トリメチルグリシンを含有する繊
維。 これらの繊維からなるセルロース系のシート状
物。 これらの繊維からなる合成繊維系のシート状
物。 【効果】 保湿性や帯電防止性や耐黄変性に優れ、かつ
風合いや柔軟性がよい。このため、各種の繊維製品に利
用され、特に安全性が高い事から直接肌に接する場所に
好適な繊維製品を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた柔軟性・保
湿性・黄変防止効果・帯電防止性を有する繊維に関する
ものである。詳細には、本発明は、黄変がなく、優れた
柔軟性・保湿性を有したセルロース系繊維からなるシー
ト状物、及び優れた帯電防止性・柔軟性・保湿性を有し
た合成繊維からなるシート状物に関するものである。こ
れらの繊維からつくられたシート状物は肌着、裏地、靴
下、ストッキング等の繊維製品や、おむつ・生理用品等
の衛生用品など、直接肌に接する場所に好適な繊維製品
を与える。
【0002】
【従来の技術】近年、生活様式の多様化から繊維素材に
対して様々な機能性の要求がなされ、特に快適・衛生思
考から繊維製品への要求が強い。従来から、繊維及び繊
維製品へ、帯電防止、風合いや柔軟性のアップ、加工性
や染色性アップ等などを目的としていろいろな方法が用
いられている。例えば、特開昭55ー30426号公
報、特公昭57ー390号公報ではベタイン型の両性界
面活性剤が洗濯時の帯電防止剤や柔軟仕上げ剤として提
案されている。また特公昭56ー47306号公報では
ヒドロキサム酸ベタイン表面活性剤が織物の柔軟仕上げ
剤として開示されている。特公昭59ー45784号公
報では繊維の製造工程における帯電防止効果を利用した
製造工程油剤として、特開昭58ー180685号公報
では同じ様な効果を目的としてポリエステル繊維の紡績
工程油剤としてそれぞれベタイン型の界面活性剤が利用
されている。
【0003】また、特開昭52ー137099号公報で
はヒドロキシベタイン型の帯電防止剤が合成繊維用に、
特開平4ー361669号公報ではセルロース系繊維製
品用に光沢や柔軟性アップとして仕上げ剤として開示さ
れている。また、特公昭63ー24116号公報や特開
昭58ー60068号公報では、衛材用の不織布製品の
表面改質剤として帯電防止性を改良させ、肌触り性をよ
くし、液流れ性の改良等の目的でベタイン型界面活性剤
が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の改質剤に用いられているベタイン型の化合物は、いず
れも炭化水素鎖長の長い化合物であり、両イオン性の界
面活性剤としての機能を利用し、親水性のアップを行
い、これによる帯電防止効果を狙ったものであった。こ
れらは界面活性剤であることから、繊維や繊維製品へ加
工する場合に泡立ちが起こり、これを防ぐために改質剤
中にわざわざ消泡剤を混ぜ合わせる必要が生じていた。
【0005】これに対して、本発明で用いるトリアミノ
グリシンは表面張力が74.5dine/cmであり、
事実上界面活性効果を有しないことから、広く繊維の改
質剤として使用できる。一方、特開平7ー189170
号公報、特開平7ー189171号公報では、トリメチ
ルグリシンやその他の加工剤を利用して、紙の柔軟性を
増すための加工剤が開示されている。しかしながら、こ
れらは紙の効果でしかなく、繊維製品が持つ強度や引き
裂き強度の高さを有しないばかりか、またこれらの紙製
品は特に濡れたときの強度が低いことから、幅広い実用
には適さなかった。
【0006】さらに、今日では繊維製品の用途の拡大に
ともない、消費者の安全性・快適性などの要望が強く、
前述した加工剤ではその要求を満たすことが困難になっ
てきた。例えば、直接肌に当たる部分に使用される繊維
製品では、加工剤の成分によって肌あれが生じたりし
た。また、今日では肌を直接守るために繊維製品に対し
ても保湿性を向上させる要求が増したり、繊維製品の風
合いの更なる向上が望まれている。
【0007】さらに、連続な長繊維からなる布帛は衣料
にした場合、その強度や耐久性能は短繊維からなる布帛
よりよかったが、風合いや肌触り性は若干劣っていた。
しかしながら、本発明におけるトリメチルグリシンで改
質された長繊維布帛は、強度や耐久性能などの長所を保
持しながら、風合いや肌触り性が改善されることによっ
て、消費者にとってより快適に繊維製品を使用できると
いうメリットが得られる。
【0008】そこで、本発明では、上記にみられるよう
な加工性の悪さを改善し、繊維製品の風合い・柔軟性の
効果が高く、繊維製品の保湿効果や肌触り性を改良した
安全性の高い繊維及び繊維製品を提供することを目的と
する。また、これらの効果と併せて、特にセルロース系
の繊維では黄変防止効果が高く、一方合成繊維では帯電
防止効果が高く、かつ合成繊維が有する弱点である撥水
性を改良して肌触り性を改良した繊維製品を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題に
ついて種々鋭意検討した結果、トリメチルグリシンを繊
維に含有させることによって、上記の課題を達成できる
ことを見出した。すなわち、本発明は: 基本的に下記式(1) で表されるトリメチルグリシン
を含有する繊維を提供する。また、
【化2】 記載の繊維からなるシート状物であって、該繊維
がセルロース系繊維であるシート状物を提供する。ま
た、 記載の繊維からなるシート状物であって、該繊維
が合成繊維であるシート状物を提供する。
【0010】以下に本発明を詳細に説明する。本発明
で、柔軟性、保湿性、帯電防止性を付与する改質剤に用
いるトリメチルグリシン(別名グリシンベタイン)の構
造式は下記式(1) に示されるものである。
【化3】
【0011】本発明の加工剤であるトリメチルグリシン
はグリシンのアミノ基がトリメチル化された分子内塩を
形成した両イオン性の物質であるが、この製法として
は、化学合成品でも、天然物からの抽出物でも良い。し
かしながら、好ましくは天然物からの抽出物が良く、そ
の抽出方法は、特に限らないが、砂糖大根(ビート
糖)、麦芽、果実、茸類、えび、蟹、たこ、いか等の天
然の動植物からの粉砕物のクロマトグラフ法が最も一般
的である。このように、食品、生物に含まれている物質
であるため、この安全性は非常に高く、素肌に対する刺
激性も少ないばかりか、かえって保湿性を付与する効果
が現れる。
【0012】本発明で改質剤の主原料であるトリメチル
グリシンは、固体のままでも、また何等かの溶液状でも
良い。但し、繊維製品に改質加工をすることを考えた場
合、液体状が好ましく、特に水溶液やアルコール溶液が
好ましい態様である。またこれらの溶液の主原料のトリ
メチルグリシンの薬液濃度は特に限定されずその溶解液
にたいする溶解度によって決定されるべきであるが、例
えば水溶液では、0.1重量%〜溶解度の範囲内の濃度
に、エタノール溶液では0.1重量%〜9重量%に調整
することができる。また、改質液を実際の現場で使用す
る場合は、適当な濃度に希釈して使用することができ
る。
【0013】また、本発明の改質剤は主原料のトリメチ
ルグリシンの他に、その目的に応じて他の改質剤を併用
して使用することもできる。例えば、制電性付与の目的
で一般の界面活性剤が使用できるし、保湿・柔軟加工の
目的でグリセリンやグリコール類との併用も何等差し支
えない。また、トリメチルグリシンは水溶性が高いた
め、一般的には耐洗濯性が無いが、洗濯性を特に要求さ
れる分野では樹脂等の固定化剤を利用しして耐洗濯性を
上げることができる。また、本改質剤のトリメチルグリ
シンには、防腐・抗菌効果もあることは特筆すべきこと
である。例えば、本材料の数%の水溶液で一般の菌類に
対して抗菌効果があるばかりか、数十%で防かび効果も
期待される。
【0014】しかしながら、繊維への抗菌効果をより期
待する場合には、他の抗菌剤と併用するべきである。但
し、トリメチルグリシンを添加することによる相乗効果
は期待される。このように、本発明では、他の改質剤と
併用して使用してもその効果は低下しないが、せっかく
安全性が高いトリメチルグリシンを使用し、風合いや肌
触り等を増すことによって人体に対して優しい繊維製品
になることを考えた場合、その添加剤は安全性の高い物
質を選択するべきであり、またその使用量も最低限に控
えるべきである。
【0015】本発明において、シート状物を構成する繊
維素材としては、一般に繊維状からなるものであるなら
ば特に制限されないが、例えば、綿、麻、キュプラ繊維
やレーヨン繊維、アセテート繊維等のセルロース系繊
維;羊毛、毛、絹等のタンパク質繊維;アクリル繊維、
ポリパラフェニレン繊維、ビニロン繊維、ポリウレタン
繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン610等のポリアミド繊維、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポ
リエステル繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの
ポリオレフィン繊維等の合成繊維が挙げられる。
【0016】本発明でシート状物を構成する繊維の形状
は、長繊維や短繊維からなる繊維束の集まりで得られ
る。連続した長繊維から作られたシート状物は、衣料に
した場合に、その強度や耐久性能は短繊維から作られた
シート状物よりよかったが、風合いや肌触り性は若干劣
っていた。本発明のトリメチルグリシンで改質された長
繊維布帛は強度や耐久性能などの長所を保持しながら、
風合いや肌触り性が改善される。このため、トリメチル
グリシンによる改質効果は、長繊維においてよりその効
果を発揮する。
【0017】例えば、直接肌に触れる肌着やファンデー
ション、さらにはタオルや赤ちゃんのおむつに使用され
るトップシート等は、その肌触り性の良さから一般には
短繊維からなるシート状物が使用されていた。しかしな
がら、本発明の改質された長繊維シート状物では、強度
や耐久性を持ち、かつ肌触り性や風合いや保湿効果があ
ることから、連続な長繊維から得られたシート状物で、
より快適に使用できるようになる。本発明において、シ
ート状物を構成する繊維の製造方法は特に限らないが、
繊維素材を溶剤へ溶解させ繊維化する溶液紡糸、繊維素
材を溶融させてオリフィスから押出し繊維状にする溶融
紡糸、また繊維素材を開繊させた後に紡績する紡績方法
等、通常繊維化する方法なら、繊維素材に合わせてどの
ような繊維化の方法でも採用できる。
【0018】また、本発明における繊維とは、上記の素
材を紡糸・紡績方法等で得たものを云うし、またシート
状物とは、該繊維を用いてシート状にしたものを云う。
また、特に綿繊維やキュプラ繊維やレーヨン繊維等のセ
ルロース系繊維では、セルロースの持つ特質上から、風
合いが硬く仕上がったり、できた製品が黄変化するとい
う欠点を有するが、これらを改善する意味でトリメチル
グリシンで改質させたセルロース系繊維からなるシート
状物でできた繊維製品はこれらの欠点が改善される。
【0019】特に、セルロースの黄変の作用機構は、紡
糸されたセルロース系繊維内部にヘミセルロースといっ
た低分子量の黄変物質が存在し、これらが酸化作用等で
変化し、さらに糸やシート上を移動し、特に局在化した
部分が黄変につながると考えられる。本発明中のトリメ
チルグリシンはこれらの黄変化機構に何らかの阻害作用
を起こすものと推定される。また、ポリエステル、ポリ
オレフィン、ポリアミド等の溶融紡糸された繊維からな
るシート状物は、セルロース系や綿等の繊維に比べると
基本的に親水性が低いために、帯電性や保湿性が悪いと
いう根本的な欠点がある。
【0020】このため、これらの繊維製品を衣料にした
場合、帯電性が高いためにまとわりつきがある。また、
さらに直接肌に触れる場所で使用される場合には、発汗
作用によって人体からでた水分がこもったり、水滴にな
ったりすることにより不快感を起こし、ひどい場合には
肌あれを引き起こすこともある。この意味でトリメチル
グリシンを付与させた合成繊維及びシート状物は風合
い、柔軟性、保湿性が改良され、人体に対して優しい繊
維製品となる。
【0021】本発明において、繊維素材及びシート状物
にトリメチルグリシンを付与した状態は、混練後の紡糸
や繊維への含漬等で繊維素材内部に包含された状態、紡
糸後に繊維表面に油剤として付与された状態、また布状
物に対して後から塗布し繊維や布の表面に付与された状
態がとれる。本発明において、トリメチルグリシンを繊
維及びシート状物に添加して改質する方法は、特に問わ
ずいろいろな方法がとれる。
【0022】例えば、直接溶融ポリマーに混練したり、
紡糸後に繊維の仕上げ油剤として付与したり、またシー
ト状物になった状態の後に塗布する方法等がとれる。こ
の中で、簡易でコストのかからない方法は、繊維の仕上
げ時の油剤としてキスロール等で付着させる方法、シー
ト状物に対する塗工機による塗布、含浸機による含浸、
噴霧機によるスプレー等が挙げられる。また、短繊維の
抄造法による湿式不織布の製造では、その分散液に直接
混ぜ合わせることも簡便でコストのかからない機能付与
方法である。
【0023】また、例えばキュプラやレーヨン繊維など
のような湿式紡糸する方法では、紡糸原液に直接混ぜ込
む方法や、或いは紡糸後の未乾燥状態の繊維をトリメチ
ルグリシンの水溶液状態で接触させ繊維表面又は内部に
付着または含浸させる方法がとれる。特に、キュプラや
レーヨン繊維などのようなセルロース系の素材にはトリ
メチルグリシンは親和性がよく、上記の方法はより好ま
しい態様である。即ち、一般に紡糸後に改質剤を付与し
ただけでは、後の染色時や洗濯時に加工剤が流れ出てし
まい、その効果が低下するのに対して、セルロース系の
繊維素材では、その親和性の高さから特にトリメチルグ
リシンの固定化剤を使用しなくても、その効果は持続す
る。この親和性の高さから、セルロース系の繊維素材は
合繊系の繊維素材に比べて、紡糸後の油剤付与やシート
状物の塗工の方法でも、その効果の持続性や耐久性は高
い。
【0024】本発明で繊維素材のトリメチルグリシンの
含有量は、特に規定されないが、一般的には0.01〜
50重量%が良い。しかしながら、繊維製品の種類や繊
維製品が使用される状況においてその量や濃度を規定す
ればよく、例えば、セルロース系繊維での黄変防止に対
してだけの目的には繊維質重量に対して0.01重量%
〜5重量%のトリメチルグリシンでよく、好ましくは
0.05重量%〜3重量%でよい。他方、合成繊維系繊
維の帯電防止には、0.01重量%〜10重量%、好ま
しくは0.1重量%〜3重量%がよい。また、柔軟性の
目的では0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.5
重量%〜5重量%がよい。また、保湿効果の目的では
0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.5重量%〜
10重量%がよい。いずれにしても、その使用目的、使
用素材によって適宜に含有量は決められるべきである。
【0025】本発明のトリメチルグリシンを含有してな
るシート状物は、織物、編物、不織布、フェルト、キル
ティング様の綿を不織布や織編物でサンドした物、ある
いは綿そのものをシート状に加工した物などの形態で用
いられる。また、本発明で得られた繊維は、一般の汎用
の繊維や他の機能を有する繊維と共に、混繊、混紡、交
撚、交織、交編などによって複合して使用することは、
消費者にとってより好ましい態様になる。むろんこれら
は、必要に応じて染色、樹脂加工などの種々の加工処理
を施して目的とする製品に仕上げることができる。
【0026】先にも述べたが、本発明のさらに良い点
は、人体や皮膚に対して安全性が高いことである。例え
ば、従来から使用されてきた改質剤の有害性は人間にも
及ぶものとして知られているし、アレルギーや皮膚疾患
を誘発することが懸念されている。しかしながら、トリ
メチルグリシンは、天然系の食品添加剤、化粧品原料と
しても知られ、多くの食品に使用されているばかりか、
皮膚に対しての安全性も高い。
【0027】このように得られた布、不織布等のシート
状物は、風合いが良く、保湿性も高く、安全性も高い。
このため、本発明のトリメチルグリシンで改質された繊
維からなるシート状物は広く製品化される。また特に安
全性、風合い等の快適性が高いことから直接肌に接する
繊維製品には好適である。例えば肌着、靴下、ブラウ
ス、各種の裏地等に使用される一般の衣料製品、おむつ
生理用品などの衛生材料用品、包帯、皮膚貼付剤基布、
パッド、衣料用ベットシーツやガウン、手術着などの医
療用の繊維製品、化粧用パフ、フェイスマスク等の化粧
用品、また例えば布団の中綿や側地、毛布、シーツ、タ
オル、枕カバー、寝具に使用される繊維製品など様々な
用途に利用可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により更に
詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を説明する
ものであって、決して限定するものではない。なお、実
施例中に特に限って規定しない場合は重量%を示す。 (実施例1)特公昭52ー6381号公報に記載された
再生セルロース不織布製造法に従って、銅アンモニアセ
ルロース繊維連続フィラメントの50g/m2 不織布を
作成した。但し、セルロース不織布を得る段階で、最終
的に繊維を乾燥固化させる前に、即ちまだ水を含んだ状
態の繊維に、トリメチルグリシンを水溶液状で付与し
た。このときトリメチルグリシンの水溶液濃度は10w
t%であり、1m2 当たり約5gの水溶液が付与するよ
うに設定した。すなわち、トリメチルグリシンの添加量
はセルロース系不織布に対して約1wt%になるよう調
整した。さらにトリメチルグリシンを添加した後乾燥し
目的の不織布とした。このとき得られた不織布は、単糸
径1.5dよりなり、目付けが約50g/m2 であっ
た。紡糸の段階で糸切れなどの問題は発生せず、製糸性
も良好であった。これらの結果は表1にまとめた。
【0029】(実施例2)実施例1と同じ方法でトリメ
チルグリシンの添加量のみセルロースに対して0.5w
t%として実施例1と同様の手順で不織布を得、評価し
た。このときの添加方法は水溶液の濃度を約5wt%と
し、1m2 当たり約5gの水溶液が付与するように設定
した。このとき得られた不織布は、単糸径1.5dより
なり、目付けが約50g/m2 であった。これらの結果
は表1にまとめた。
【0030】(実施例3)実施例1と同じ方法でトリメ
チルグリシンの添加量のみセルロースに対して0.1w
t%として実施例1と同様の手順で不織布を得、評価し
た。このときの添加方法は水溶液の濃度を約1wt%と
し、1m2 当たり約5gの水溶液が付与するように設定
した。このとき得られた不織布は、単糸径1.5dより
なり、目付けが約50g/m2 であった。これらの結果
は表1にまとめた。
【0031】(実施例4)本実施例ではトリメチルグリ
シンを繊維に付与する方法のみを変化させて、後の条件
は実施例1と同様の操作で目的の不織布を得た。セルロ
ース不織布を得る段階で、繊維を乾燥固化させた後に、
キスロールにてトリメチルグリシンの水溶液を塗布し
た。このときトリメチルグリシンの水溶液濃度は20w
t%であり、1m2 当たり約2.5gの水溶液が付与す
るように設定した。添加後はさらに乾燥を行い、試料と
した。このとき、トリメチルグリシンの添加量はセルロ
ース系不織布に対して約1wt%になるよう調整した。
このとき得られた不織布は、単糸径1.5dよりなり、
目付けが約50g/m2 であった。これらの結果は表1
にまとめた。
【0032】(実施例5)本実施例ではトリメチルグリ
シンを繊維に付与する方法は実施例4と同様の操作で目
的の不織布を得、トリメチルグリシンの添加量をセルロ
ース系不織布に対して約10wt%になるよう調整し
た。なお、添加方法は溶液のシャワー方式とし、このと
きのトリメチルグリシンの水溶液濃度は20wt%であ
り、1m2 当たり約25gの水溶液が付与するように設
定した。このとき得られた不織布は、目付けが約60g
/m2 であった。これらの結果は表1にまとめた。
【0033】(実施例6)本実施例ではトリメチルグリ
シンを繊維に付与する方法のみを変化させて、後の条件
は実施例1と同様の操作で目的の不織布を得た。即ち、
実施例1の紡糸原液のなかに直接トリメチルグリシンを
添加し、そのまま水洗し、乾燥した。このとき、銅アン
モニアセルロースの紡糸原液は、乾燥不織布としてのセ
ルロースの量に対してトリメチルグリシンが1wt%と
なるように調整した。紡糸原液の組成は最終的にセルロ
ース10wt%、アンモニア7wt%、銅3.6wt
%、トリメチルグリシン0.1wt%とし、セルロース
成分に対するトリメチルグリシンの割合は約1wt%と
した。このとき紡糸原液は約2000ポイズであった。
得られた不織布は、単糸径1.6dよりなり、目付けが
約50g/m2 であった。紡糸の段階で糸切れなどの問
題は発生せず、製糸性も良好であった。これらの結果は
表1にまとめた。
【0034】(比較例1)実施例1と同じ方法で、トリ
メチルグリシンを添加せず、実施例1と同様の手順で不
織布を得、評価した。得られた不織布は、単糸径1.5
dよりなり、目付けが約50g/m2 であった。これら
の結果は表1にまとめた。
【0035】(比較例2)実施例4と同じ方法で、トリ
メチルグリシンの代わりにラウリルモノグリセライドと
ステアリルアミノエチルエタノールアマイドベタインの
混合物(20:80)を実施例4と同様の手順で(添加
量1wt%)添加し、不織布を得、評価した。得られた
不織布は、単糸径1.5dよりなり、目付けが約50g
/m2 であった。これらの結果は表1にまとめた。
【0036】
【表1】
【0037】<評価方法>評価方法は以下の方法によっ
た。 柔らかさの評価:JIS Lー1096の剛軟性評
価A法(45゜カンチレバー法とC法(クラーク法)に
よってそれぞれを評価した。 黄変の評価:布(50cm角)に蒸留水を12.5
g染み込ませた後、これを4分の1にたたみ、これを巻
物にした。その後、この巻物をポリエチレン性の袋に封
入し、加速試験として100℃で48時間放置した。そ
の後黄変の評価として、4段階の評価を行った。 褐色に着色:×、黄色く変色:△、若干黄色味を帯び
る:○、変化無し:◎とした。
【0038】 モニター試験評価:モニター試験とし
て以下の評価を実施した。乾燥状態と湿潤状態の布の
イ)肌触り、ロ)保湿性、ハ)肌あれ試験を実施した。
乾燥状態の布は、各条件で得られてきた布を用いた。一
方湿潤状態の布は生理食塩水を布重量に対して100重
量%含浸させた物を用いた。 イ)肌触り(柔らかさ、風合い)の試験 得られた布を用い、モニター各人に直接触ってもらい評
価した。モニターの数は20名とした。評価結果は以下
の3段階として、該当項目を選択する方法を用い、20
名の平均値を記載した。 非常に柔らかく風合いがよい:1、やや柔らかい:2、
硬くて触り心地が悪い:3 試験は乾燥状態と湿潤状態の2種の布を用いた。
【0039】ロ)保湿性(しっとり感)の試験 得られた布を用い、モニター各人にそれぞれ両手に10
cm角の布を5時間接触してもらい評価した。モニター
の数は20名とした。評価結果は以下の3段階として、
該当項目を選択する方法を用い、20名の平均値を記載
した。 非常にしっとりとしている:1、ややしっとりした感じ
がする:2、特に何も感じない:3 試験は乾燥状態と湿潤状態の2種の布を用いた。
【0040】ハ)肌あれ試験 得られた布を用い、モニター各人にそれぞれ両手を10
分間接触させた後、風乾した。この操作を1日あたり2
回の割合で同一の箇所で1カ月間繰り返した。その後肌
の状態を表1に示した各状態として自己申告させた。モ
ニターの数は20名とした。試験は湿潤状態の布のみを
使用した。
【0041】(実施例7)公知の方法にしたがって調製
した銅アンモニア法レーヨン繊維の紡糸液にトリメチル
グリシンの水溶液(25wt%)を添加して約2000
ポイズの紡糸原液を調整した。紡糸原液の組成は最終的
にセルロース10wt%、アンモニア7wt%、銅3.
6wt%、トリメチルグリシン0.1wt%とし、セル
ロース成分に対するトリメチルグリシンの割合は約1w
t%とした。
【0042】このように調製した紡糸原液を通常の湿式
流下紡糸法に従い紡糸して本発明の繊維を得た。紡糸条
件は紡糸口金穴径0.6mm、紡糸口金孔数45で2段
口斗を用い、一段口斗に注入する凝固液即ち温水の温度
を34℃、注入量を420m/分とし、2段口斗に注入
する凝固液の温度を67℃に設定し、注入量を420m
/分とし、紡糸速度135m/分で紡糸して75d/5
4fの本発明の繊維を得た。紡糸の段階で糸切れなどの
問題は発生せず、製糸性も良好であった。以上のように
得られた繊維を平織りし、目付けが約60g/m2 の織
物を得、評価を行った。その結果を表2にまとめた。
【0043】(実施例8)実施例7と同じ方法でトリメ
チルグリシンの添加方法のみ変えて目的の繊維を得た。
即ち、紡糸原液にトリメチルグリシンを混合せずに紡糸
した。得られた繊維は75d/54fで、これを平織り
し、目付けが約60g/m2 の織物を得た。この後、ス
プレー方式でトリメチルグリシンの水溶液濃度を付与
し、評価した。このときトリメチルグリシンの水溶液濃
度は20wt%であり、1m2 あたり約3gの水溶液が
付与するように設定した。添加後はさらに乾燥を行い、
試料とした。このとき、トリメチルグリシンの添加量は
織物に対して約1wt%になるよう調整した。これらの
結果は表2にまとめた。
【0044】(比較例3)実施例8と同じ方法で、トリ
メチルグリシンを添加せず、実施例7と同様の手順で織
物を得、評価した。これらの結果は表2にまとめた。 (比較例4)実施例8と同じ方法で、トリメチルグリシ
ンを添加せず、代わりにラウリルモノグリセライドとス
テアリルアミノエチルエタノールアマイドベタインの混
合物(20:80)を実施例7と同様の手順で(添加量
1wt%)添加し、織物を得、評価した。これらの結果
は表2にまとめた。
【0045】
【表2】 <評価方法>剛軟度評価のうちC法(クラーク法)とパ
ネラーによる肌荒れテスト以外は、表1記載の実施例1
から5までの方法に従った。
【0046】(実施例9)スパンボンド法で得られた2
0g/m2 の布織布を用意した(旭化成工業(株)社
製;繊維径:2.5デニール、素材:ポリプロピレ
ン)。この後、グラビアロール方式でトリメチルグリシ
ンの水溶液濃度を付与し、評価した。このときトリメチ
ルグリシンの水溶液濃度は2wt%であり、1m2 あた
り約10gの水溶液を付与するように設定した。添加後
はさらに乾燥を行い、試料とした。このとき、トリメチ
ルグリシンの添加量は合繊系不織布に対して約1wt%
になるよう調整した。これらの結果は表3にまとめた。
【0047】(比較例5)実施例9と同じ方法で、トリ
メチルグリシンを添加せず、得られたポリプロピレンの
スパンボンド不織布を評価した。これらの結果は表3に
まとめた。 (比較例6)実施例9と同じ方法で、トリメチルグリシ
ンを添加せず、代わりに2ーステアリルー1ーカルボキ
シメチルー1ーヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタ
インを実施例9と同様の手順で(添加量1wt%)添加
し、加工不織布を得、評価した。これらの結果は表3に
まとめた。
【0048】(実施例10)2成分の接着性の短繊維
(チッソ(株)社製;長さ:約38mm、繊維径:3デ
ニール、素材:PE/PPの鞘芯の疎水性繊維)をカー
ド法により積層し、熱エンボス加工して目付け20g/
2 の不織布を作成した。この後、グラビアロール方式
でトリメチルグリシンの水溶液濃度を付与し、評価し
た。このときトリメチルグリシンの水溶液濃度は2wt
%であり、1m2 当たり約10gの水溶液が付与するよ
うに設定した。添加後はさらに乾燥を行い、試料とし
た。このとき、トリメチルグリシンの添加量は合繊系不
織布に対して約1wt%になるよう調整した。これらの
結果は表3にまとめた。
【0049】(比較例7)実施例10と同じ方法で、ト
リメチルグリシンを添加せず、得られたポイントボンド
の短繊維不織布を評価した。これらの結果は表3にまと
めた。 (比較例8)実施例10と同じ方法で、トリメチルグリ
シンを添加せず、代わりに2ーステアリルー1ーカルボ
キシメチルー1ーヒドロキシエチルイミダゾリニウムベ
タインを実施例10と同様の手順で(添加量1wt%)
添加し、加工不織布を得、評価した。これらの結果は表
3にまとめた。
【0050】
【表3】
【0051】<評価方法> 剛軟度の評価は、表1記載の実施例1から6までの
方法に従った。 また、新たに布の帯電性評価をJIS L−109
4のA法(半減期測定)とB法(摩擦耐電圧測定法:摩
擦布は綿布)で行った。 一方、黄変の評価と湿潤時の肌触り性のモニター評
価は行わなかった。 また、保湿性のモニター評価は以下の評価方法をと
った。得られた布やモニター各人の条件は表1評価と同
一としたが、評価結果は以下の4段階とし記載した。 非常にしっとりとしている:1、ややしっとりした感じ
がする:2、特に何も感じない:3、べたついて違和感
を感じる:4 試験は乾燥状態と湿潤状態の2種の布を用いた。 肌あれのモニター試験は、得られた布を用い、パネ
ラー各人にそれぞれ両手を1時間接触させた後、風乾し
た。この操作を1日当たり1回の割合で同一の箇所で1
カ月間繰り返した。その後肌の状態を表1に示した各状
態として自己申告させた。モニターの数は20名とし
た。試験のはじめは乾燥時の試作反のみを使用した。
【0052】
【発明の効果】本発明のトリメチルグリシンで改質した
シート状物は、保湿性や帯電防止性や耐黄変性に優れ、
かつ風合いや柔軟性がよいことから各種の繊維製品に利
用され、特に安全性が高い事から直接肌に接する場所に
好適な繊維製品を得ることができる。このため、例えば
肌着、靴下、ブラウス、各種の裏地等に使用される一般
の衣料製品、また例えば包帯、衛生布巾、ワイパー、皮
膚貼付剤基布、衣料用ベットシーツやガウン、手術着な
どの医療用の繊維製品、おむつ生理用品などの衛生材料
用品、化粧用パフ、フェイスマスク等の化粧用品、また
例えば布団の中綿や側地、毛布、シーツ、枕カバー、ク
ロス、タオルなどの寝装品に使用される繊維製品など様
々な用途に利用可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基本的に下記式(1) で表されるトリメチ
    ルグリシンを含有する繊維。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の繊維からなるシート状物
    であって、該繊維がセルロース系繊維であることを特徴
    とするシート状物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の繊維からなるシート状物
    であって、該繊維が合成繊維であることを特徴とするシ
    ート状物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006196205A (ja) * 2005-01-11 2006-07-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水二次電池およびその正極ペーストの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006196205A (ja) * 2005-01-11 2006-07-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水二次電池およびその正極ペーストの製造方法
JP4617886B2 (ja) * 2005-01-11 2011-01-26 パナソニック株式会社 非水二次電池およびその正極ペーストの製造方法

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