JPH10181615A - 衝撃吸収式ステアリングシャフトとその製造方法 - Google Patents

衝撃吸収式ステアリングシャフトとその製造方法

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JPH10181615A
JPH10181615A JP2701498A JP2701498A JPH10181615A JP H10181615 A JPH10181615 A JP H10181615A JP 2701498 A JP2701498 A JP 2701498A JP 2701498 A JP2701498 A JP 2701498A JP H10181615 A JPH10181615 A JP H10181615A
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small
diameter
steering shaft
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アウターシャフト12とインナーシャフト1
4との結合部の耐熱性を確保し、しかもコラプス荷重の
低減を図る。 【構成】 アウターシャフト12一端の小径部25の内
周面に形成した雌セレーション11と、インナーシャフ
ト14一端の大径部26の外周面に形成した雄セレーシ
ョン13とを係合させる。小径部25先端の第二変形部
28の内周面を大径部26の基端部外周面に、大径部2
6先端の第一変形部27の外周面を小径部25の基端部
内周面に、それぞれ強く当接させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車のステアリン
グ装置に組み込んで、ステアリングホイールの動きをス
テアリングギヤに伝達する為に利用する衝撃吸収式ステ
アリングシャフト及びその製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用操舵装置に於いて、ステアリン
グホイールの動きをステアリングギヤに伝達する為、図
11に示す様な伝達機構を使用している。この図11に
示した様に、ステアリングシャフト1の上端部には、ス
テアリングホイール2を固定している。又、ステアリン
グコラム3は、上部、下部両ブラケット4、5により、
インスツルメントパネル6の下面に固定している。上記
第一のステアリングシャフト1は、このステアリングコ
ラム3の内側を、回転自在に挿通している。又、上記第
一のステアリングシャフト1の下端部で上記ステアリン
グコラム3の下端開口から突出した部分は、第一の自在
継手7を介して、第二のステアリングシャフト8の上端
部に連結している。更に、この第二のステアリングシャ
フト8の下端部は、第二の自在継手9を介して、ステア
リングギヤ(図示せず)に通じる第三のステアリングシ
ャフト10に連結している。
【0003】自動車用操舵装置の伝達機構は、上述の様
に構成する為、上記ステアリングホイール2の動きは、
ステアリングコラム3を挿通した第一のステアリングシ
ャフト1、第一の自在継手7、第二のステアリングシャ
フト8、第二の自在継手9、第三のステアリングシャフ
ト10を介して、ステアリングギヤに伝達される。そし
て、このステアリングギヤが車輪に、上記ステアリング
ホイール2の動きに対応した舵角を付与する。
【0004】ところで、この様に構成される自動車用操
舵装置に於いて、衝突時に運転者を保護する為、ステア
リングコラム3、及び各ステアリングシャフト1、8
を、衝撃に伴なって全長が縮まる衝撃吸収式のものとす
る事が、一般的に行なわれてる。この様な、衝撃吸収式
のステアリングシャフトとして従来から、例えば、特開
平2−286468号公報に記載されたものが知られて
いる。
【0005】この公報に記載された、従来構造の第1例
である衝撃吸収式ステアリングシャフトは、図12〜1
3に示す様に構成している。即ち、内周面に雌セレーシ
ョン11を形成したアウターシャフト12と、外周面に
この雌セレーション11と係合する雄セレーション13
を形成したインナーシャフト14とを、雌セレーション
11の内側に雄セレーション13を挿入した状態に組み
合わている。又、インナーシャフト14の外周面に形成
した凹部15、15と、アウターシャフト12の内周面
との間の空間16、16に、このアウターシャフト12
に形成した通孔19、19を通じて合成樹脂17、17
を注入し固化している。これらの構成により、アウター
シャフト12とインナーシャフト14とを互いに結合
し、衝撃吸収式ステアリングシャフト18としている。
【0006】上述の様に構成する従来構造の第1例の場
合、衝突に伴なって上記衝撃吸収式ステアリングシャフ
ト18に、軸方向に亙り大きな力が作用すると、上記合
成樹脂17、17が、上記空間16、16と通孔19、
19との連続部分で剪断される。そして、上記アウター
シャフト12とインナーシャフト14との相対的変位を
自在として、上記衝撃吸収式ステアリングシャフト18
の全長が縮まるのを許容する。
【0007】又、実公昭58−51096号公報には、
図14〜15に示す様な構造の衝撃吸収式ステアリング
シャフト18が記載されている。この従来構造の第2例
の場合、上記第1例の構造に加え、インナーシャフト1
4の中間部に小径部20を形成している。そして、この
小径部20の周囲に配置した鋼球21、21を、アウタ
ーシャフト12の内周面に形成した雌セレーション11
の谷部11a、11aに嵌合させる事により、衝撃吸収
式ステアリングシャフト18としている。
【0008】この従来構造の第2例の場合、衝突に伴な
って、この衝撃吸収式ステアリングシャフト18の軸方
向に亙り大きな力が作用すると、合成樹脂17が空間1
6と通孔19との連続部分で剪断される。そして、上記
アウターシャフト12とインナーシャフト14との相対
的変位を自在として、上記衝撃吸収式ステアリングシャ
フト18の全長が縮まるのを許容する。この様に衝撃吸
収式ステアリングシャフト18の全長が縮まる際には、
上記鋼球21、21が雌セレーション11の内側面を塑
性変形させつつ、上記アウターシャフト12とインナー
シャフト14との相対的変位を許容する。
【0009】更に、実開昭63−147363号公報に
は、図16〜17に示す様な構造の衝撃吸収式ステアリ
ングシャフト18が記載されている。この従来構造の第
3例の場合、アウターシャフト12の端部を、角部を丸
くした略三角形筒状に、インナーシャフト14の端部を
六角形筒状に、それぞれ形成している。そして、これら
両シャフト12、14の端部同士をスライド自在に嵌合
させると共に、アウターシャフト12の内周面とインナ
ーシャフト14の外周面との間の隙間空間22、22内
に鋼球21、21を、上記アウターシャフト12に形成
した通孔23を通じ圧入して、衝撃吸収式ステアリング
シャフト18としている。
【0010】この従来構造の第3例の場合、衝突に伴な
って衝撃吸収式ステアリングシャフト18の軸方向に亙
り大きな力が作用すると、上記鋼球21、21がアウタ
ーシャフト12の内周面とインナーシャフト14の外周
面とを塑性変形させつつ、上記アウターシャフト12と
インナーシャフト14との相対的変位を許容する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これら従来
から知られた衝撃吸収式ステアリングシャフトの場合、
次に述べる様な、解決すべき問題が存在する。先ず、図
12〜13に示した従来構造の第1例の場合、アウター
シャフト12とインナーシャフト14との結合支持を、
合成樹脂17、17のみで行なっている。この為、耐熱
性が不足し、高温になり易いエンジンルーム内に設置す
る場合等、使用条件によっては、十分な捩り耐久性能を
得られない可能性がある。
【0012】又、図14〜15に示した従来構造の第2
例の場合、雌セレーション11の谷部11aの内側面に
対して、各鋼球21、21がそれぞれ2個所位置で当接
しており、衝突時にはこの2個所位置を塑性変形させつ
つ、アウターシャフト12とインナーシャフト14との
相対的変位を許容する。この様な構造を採用している
為、各鋼球21、21は殆ど回転せず、主として滑りな
がら変位するので、衝撃吸収式ステアリングシャフト1
8の全長を縮める為に要する力(所謂コラプス荷重)が
大きくなりがちである。コラプス荷重が大きくなると、
衝突事故の際、衝突によるステアリングギヤの後退が途
中で吸収されなくなったり(図11に示した第二のステ
アリングシャフト8に適用した場合)、或は運転者の身
体がステアリングホイールに衝突する事に伴なってこの
ステアリングホイールに加わる前向きの衝撃が吸収され
ず、ステアリングホイールに衝突した運転者の身体に大
きな衝撃が加わり易くなる(図11に示した第一のステ
アリングシャフト8に適用した場合)為、好ましくな
い。
【0013】又、図16〜17に示した従来構造の第3
例の場合、鋼球21、21をアウターシャフト12の通
孔23から組み込む作業に手間を要し、製作費が嵩むだ
けでなく、軸方向位置を規制しにくく、安定した性能を
得にくい。又、アウターシャフト12とインナーシャフ
ト14との結合部の曲げ方向の剛性を確保する事が難し
く、ステアリングシャフト18全体としての曲げ剛性が
低くなる。ステアリングシャフト18全体の曲げ剛性の
不足は、安定した回転力伝達の妨げとなるだけでなく、
衝突事故の際にステアリングシャフト18を縮める(コ
ラプスさせる)為に要するコラプス荷重を不安定にする
原因となる為、好ましくない。
【0014】更に、特開昭62−143763号公報に
は、アウターシャフトの端部内周面に形成した雌スプラ
インとインナーシャフトの端部外周面に形成した雄スプ
ラインとを係合させると共に、上記アウターシャフトの
端部を断面の直径方向内方に押圧して、上記雌スプライ
ンと雄スプラインとを、この雄スプラインの全長に亙っ
て弾性的に係合させる、衝撃吸収式ステアリングシャフ
トが記載されている。この従来構造の第4例の場合に
は、コラプス荷重の低減と曲げ剛性の確保とを両立させ
る事が難しい。即ち、上記公報に記載された、従来構造
の第4例の場合には、インナーシャフトの端部に形成し
た大径部に雄セレーションを、この大径部の全長に亙っ
て形成し、この雄セレーションを全長に亙って、インナ
ーシャフトの内周面に形成した雌セレーションに係合さ
せている。上記コラプス荷重が過大になる事を防止する
為には、上記雄セレーションを形成した大径部の軸方向
を短くし、この雄セレーションと上記雌セレーションと
の係合長さを短くする必要がある。一方、これら両セレ
ーションの係合長さを短くすると、上記アウターシャフ
トとインナーシャフトとの結合部の曲げ剛性を確保する
事が難しく、ステアリングシャフト全体としての曲げ剛
性が低くなる。本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフ
トとその製造方法は、上述の様な不都合を何れも解消す
べく発明したものである。
【0015】
【課題を解決する為の手段】本発明の衝撃吸収式ステア
リングシャフトとその製造方法のうち、請求項1に記載
した衝撃吸収式ステアリングシャフトは、例えば図12
〜13、或は図14〜15に示した従来構造の場合と同
様に、一端部に少なくとも内径を小さくした小径部を有
し、この小径部の内周面に雌セレーションを形成した筒
状のアウターシャフトと、一端部に少なくとも外径を大
きくした大径部を有し、この大径部の外周面に上記雌セ
レーションと係合する雄セレーションを形成したインナ
ーシャフトとから成り、上記雌セレーションと雄セレー
ションとを係合させる事で、上記アウターシャフトとイ
ンナーシャフトとを結合している。特に、本発明の衝撃
吸収式ステアリングシャフトに於いては、上記小径部の
軸方向の一部が上記大径部の軸方向一部に圧入嵌合され
ると共に、上記小径部の軸方向残部と大径部の軸方向残
部とは互いに緩く係合している。
【0016】又、請求項2に記載した衝撃吸収式ステア
リングシャフトの製造方法は、上記小径部の一部を直径
方向内方に塑性変形させて変形部を形成した後、この小
径部を上記大径部に対して軸方向に変位させる事によ
り、上記小径部の軸方向の一部で上記変形部に対応する
部分を上記大径部の軸方向一部に圧入嵌合すると共に、
上記小径部の軸方向残部で上記変形部から外れた部分と
大径部の軸方向残部とを互いに緩く係合させる。
【0017】
【作用】上述の様に構成し、造る、本発明の衝撃吸収式
ステアリングシャフトの場合、小径部の軸方向一部と大
径部の軸方向一部(に形成した変形部)との圧入嵌合部
に働く摩擦力によって、アウターシャフトとインナーシ
ャフトとを互いに結合する。又、これらアウターシャフ
トとインナーシャフトとは、上記圧入嵌合部だけでな
く、雄セレーションと雌セレーションとの全長に亙る係
合に基づいて互いに結合している為、これら両シャフト
の結合部の曲げ剛性を十分に高くして、衝撃吸収式ステ
アリングシャフト全体としての曲げ剛性を十分に高くで
きる。
【0018】又、衝突時に軸方向に亙り強い力が加わっ
た場合には、上記圧入嵌合部に働く摩擦力に抗してアウ
ターシャフトとインナーシャフトとが、軸方向に亙って
相対的に変位し、衝撃吸収式ステアリングシャフトの全
長を縮める。上記曲げ剛性を確保すべく、上記両セレー
ション同士の係合長さを長くしても、雄セレーションと
雌セレーションとが互いに強く摩擦係合する部分の軸方
向長さを大きくする必要はない。従って、衝撃吸収式ス
テアリングシャフトが縮み始める為に要する荷重を十分
に小さくできる。この為、本発明の衝撃吸収式ステアリ
ングシャフトによれば、衝突時に於ける運転者保護の充
実を図る為の設計が容易になる。
【0019】
【実施例】図1〜8は、本発明の実施例を示している。
本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフト24は、前述
した従来の衝撃吸収式ステアリングシャフト18(図1
2〜17)と同様に、アウターシャフト12とインナー
シャフト14とを軸方向(図1の左右方向)に亙る相対
的変位自在に組み合わせる事により、軸方向に亙る衝撃
力が加わった場合に全長が縮まる様に構成している。こ
のうちのアウターシャフト12は、全体を円管状として
おり、一端部(図1、5の左端部)に絞り加工を施す事
で、この一端部に小径部25を形成している。そして、
この小径部25の内周面に、雌セレーション11を形成
している。一方のインナーシャフト14も、全体を円管
状としており、一端部(図1、2の右端部)を押し広げ
る事で、大径部26を形成している。そして、この大径
部26の外周面に、上記アウターシャフト12の内周面
に形成した雌セレーション11と係合する、雄セレーシ
ョン13を形成している。
【0020】又、上記大径部26の先端部(図1、2の
右端部)は直径方向内方に少し押し潰す事により、長さ
Lに亙って、断面が長円形の第一変形部27を形成して
いる。この第一変形部27の長径d1 は、上記大径部2
6の本体部分の直径d0 よりも大きく、同じく短径d2
は、この直径d0 よりも小さい(d1 >d0 >d2 )。
尚、雄セレーション13を形成した大径部26部分の径
は、何れもセレーションのピッチ円相当部分の径(pc
d)で表わす。
【0021】一方、上記小径部25の先端部(図1、5
の左端部)は、やはり直径方向内方に少し押し潰す事に
より、長さLに亙って、断面が長円形の第二変形部28
を形成している。この第二変形部28の長径D1 は、上
記小径部25の本体部分の直径D0 よりも大きく、同じ
く短径D2 は、この直径D0 よりも小さい(D1 >D0
>D2 )。尚、雌セレーション11を形成した小径部2
5部分の径は、何れもセレーションのピッチ円相当部分
の径(pcd)で表わす。
【0022】又、上記小径部25の直径D0 は、上記大
径部26の直径d0 よりも僅かに大きく(D0 >d0
して、上記雌セレーション11と雄セレーション13と
が、上記第一、第二両変形部27、28以外の部分で
は、緩く係合する様にしている。但し、上記第一変形部
27の長径d1 は、上記小径部25の本体部分の直径D
0 よりも少し大きく(d1 >D0 )、上記第二変形部2
8の短径D2 は、上記大径部28の本体部分の直径d0
よりも少し小さく(D2 <d0 )している。
【0023】上述の様な形状を有するアウターシャフト
12とインナーシャフト14とは、前記第一変形部27
及び上記第二変形部28を形成した後、図1に示す様に
組み合わせて、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフ
ト24とする。即ち、上記アウターシャフト12の一端
部に形成した小径部25の内側に、インナーシャフト1
4の一端部に形成した大径部26を位置させて、上記小
径部25の内周面に形成した雌セレーション11と上記
大径部26の外周面に形成した雄セレーション13とを
係合させる。この状態で上記大径部26の先端部に形成
された第一変形部27は、弾性変形(或は塑性変形)し
つつ、上記小径部25の基端部(図1、5の右端部)に
押し込まれる。又、上記小径部25の先端部に形成され
た第二変形部28は、やはり弾性変形(或は塑性変形)
しつつ、上記大径部26の基端部(図1、2の左端部)
に押し込まれる。
【0024】従って、上記アウターシャフト12とイン
ナーシャフト14とを、図1に示す様に組み合わせた状
態では、上記第一変形部27の外周面が小径部25の基
端部内周面と、上記第二変形部28の内周面が大径部2
6の基端部外周面と、それぞれ摩擦係合する。この結
果、上記アウターシャフト12とインナーシャフト14
とは、両シャフト12、14間での回転力の伝達を自在
に、且つ強い力が加わらない限り、軸方向に亙る相対的
変位を不能として、互いに結合される。
【0025】この様に、アウターシャフト12とインナ
ーシャフト14との結合を、金属製のアウターシャフト
12とインナーシャフト14とに形成された、第一、第
二両変形部27、28と相手部材との圧入嵌合により行
なう為、結合部の耐熱性が十分となり、使用条件によっ
て結合部の支持力が不足する事がなくなる。又、第一、
第二両変形部27、28は、上記アウターシャフト12
とインナーシャフト14との結合部で、軸方向に離隔し
た2個所位置に設けられている為、上記アウターシャフ
ト12とインナーシャフト14との結合部の曲げ剛性も
十分に確保される。
【0026】更に、衝突時に軸方向に亙って強い力が加
わった場合には、上記第一、第二両変形部27、28に
よる圧入嵌合部に働く摩擦力に抗して、アウターシャフ
ト12とインナーシャフト14とが、軸方向に亙って相
対的に変位し、衝撃吸収式ステアリングシャフト24の
全長を縮める。本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフ
ト24の場合、全長を縮める為に要する力は、上記2個
所の圧入嵌合部に働く摩擦力に打ち勝つだけのもので足
りる。従って、衝撃吸収式ステアリングシャフト24の
全長を縮める為に要するコラプス荷重が大きくなる事な
く安定し、衝突事故の際、ステアリングホイールに衝突
した運転者の身体に大きな衝撃力が加わるのを有効に防
止出来る。
【0027】例えば、本発明の衝撃吸収式ステアリング
シャフト24を、前述の図11に示した第一のステアリ
ングシャフト1として使用した場合には、運転者の身体
がステアリングホイール2に加わる、所謂二次衝突の際
に、上記第一のステアリングホイール1が突っ張る事を
防止する。そして、上記運転者の身体がぶつかったステ
アリングホイール2を前方に向け円滑に変位させて、運
転者保護の充実を図れる。又、本発明の衝撃吸収式ステ
アリングシャフト24を、前述の図11に示した第二の
ステアリングシャフト8として使用した場合には、自動
車が他の自動車等のぶつかる、所謂一次衝突の際に、上
記第一、第二のステアリングシャフト1、8を連結して
いる第一の自在継手7が後方(図11の右方)に変位す
るのを防止する。そして、上記第一のステアリングシャ
フト1の下端部が後方に変位しつつ揺動するのを防止し
て、上記ステアリングホイール2が上方に変位する事を
防止する。
【0028】尚、上記衝撃吸収式ステアリングシャフト
24を縮める為に要するコラプス荷重は、前記第一、第
二両変形部27、28の長さ寸法Lの他、長径d1 、D
1 を変える事により、任意に調節可能である。又、前記
2個所の圧入嵌合部は、アウターシャフト12の一端部
に形成した小径部25とインナーシャフト14の一端部
に形成した大径部26との係合部の両端部に設けている
為、衝撃吸収式ステアリングシャフト24の全長を縮め
る為に要する力の大きさは、図8に示す様に、途中から
(衝撃吸収式ステアリングシャフト24の収縮量が前記
長さ寸法Lを越えて、第一変形部27が小径部25より
外れ、第二変形部28が大径部26より外れてから)小
さくなる。この様に力が小さくなる迄に要するストロー
ク量(収縮量)は、上記第一、第二両変形部27、28
の長さ寸法Lを変える事により、任意に設定出来る。
【0029】尚、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャ
フト24を構成するアウターシャフト12の一端部に第
二変形部28を形成する場合に於いて、図9に示す様
に、小径部25の先端部(図9の左端部)を大径部26
の基端部(図9の左端部)よりも少し突出させた状態
に、上記アウターシャフト12とインナーシャフト14
とを組み合わせ、この状態で、上記小径部25の先端部
を直径方向に押し潰せば、押し潰し量を過大にする事な
く、設計値通りの寸法を有する第二変形部を形成出来
る。又、インナーシャフト14の一端部に第一変形部2
7を形成する場合には、図10に示す様な長円形断面を
有する型29を、上記インナーシャフト14の一端部に
形成した大径部26の先端部内に押し込み、この先端部
を塑性変形させる。更に、図示は省略したが、上記第
一、第二両変形部27、28の一方又は双方を薄肉に形
成する事により、当該変形部27、28を変形し易く
し、前記コラプス荷重の低減化、安定化を図る事も出来
る。
【0030】
【発明の効果】本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフ
トとその製造方法は、以上に述べた通り構成され作用す
る為、十分な耐熱性並びに剛性を確保しつつ、コラプス
荷重を十分に低く安定させる衝撃吸収式ステアリングシ
ャフトを実現出来て、衝突事故の際に於ける運転者の安
全確保を有効に図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す要部断面図。
【図2】インナーシャフトの断面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】同B−B断面図。
【図5】アウターシャフトの断面図。
【図6】図5のC−C断面図。
【図7】同D−D断面図。
【図8】ステアリングシャフトの収縮量と荷重との関係
を示す線図。
【図9】第二変形部を形成する状態の1例を示す断面
図。
【図10】第一変形部を形成する型の1例を示す断面
図。
【図11】本発明の対象となる衝撃吸収式ステアリング
シャフトを組み込んだ、ステアリング機構の1例を示す
側面図。
【図12】従来構造の第1例を示す縦断側面図。
【図13】図12のE−E断面図。
【図14】従来構造の第2例を示す縦断側面図。
【図15】図14のF−F断面図。
【図16】従来構造の第3例を示す半部縦断側面図。
【図17】図16のG−G断面図。
【符号の説明】
1 第一のステアリングシャフト 2 ステアリングホイール 3 ステアリングコラム 4 上部ブラケット 5 下部ブラケット 6 インスツルメントパネル 7 第一の自在継手 8 第二のステアリングシャフト 9 第二の自在継手 10 第三のステアリングシャフト 11 雌セレーション 11a 谷部 12 アウターシャフト 13 雄セレーション 14 インナーシャフト 15 凹部 16 空間 17 合成樹脂 18 衝撃吸収式ステアリングシャフト 19 通孔 20 小径部 21 鋼球 22 隙間空間 23 通孔 24 衝撃吸収式ステアリングシャフト 25 小径部 26 大径部 27 第一変形部 28 第二変形部 29 型

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部に少なくとも内径を小さくした小
    径部を有し、この小径部の内周面に雌セレーションを形
    成した筒状のアウターシャフトと、一端部に少なくとも
    外径を大きくした大径部を有し、この大径部の外周面に
    上記雌セレーションと係合する雄セレーションを形成し
    たインナーシャフトとから成り、上記雌セレーションと
    雄セレーションとを係合させる事で、上記アウターシャ
    フトとインナーシャフトとを結合した衝撃吸収式ステア
    リングシャフトに於いて、上記小径部の軸方向の一部が
    上記大径部の軸方向一部に圧入嵌合されると共に、上記
    小径部の軸方向残部と大径部の軸方向残部とは互いに緩
    く係合している事を特徴とする衝撃吸収式ステアリング
    シャフト。
  2. 【請求項2】 一端部に少なくとも内径を小さくした小
    径部を有し、この小径部の内周面に雌セレーションを形
    成した筒状のアウターシャフトと、一端部に少なくとも
    外径を大きくした大径部を有し、この大径部の外周面に
    上記雌セレーションと係合する雄セレーションを形成し
    たインナーシャフトとから成り、上記雌セレーションと
    雄セレーションとを係合させる事により、上記アウター
    シャフトとインナーシャフトとを結合した衝撃吸収式ス
    テアリングシャフトの製造方法であって、上記小径部の
    一部を直径方向内方に塑性変形させて変形部を形成した
    後、この小径部を上記大径部に対して軸方向に変位させ
    る事により、上記小径部の軸方向の一部で上記変形部に
    対応する部分を上記大径部の軸方向一部に圧入嵌合する
    と共に、上記小径部の軸方向残部で上記変形部から外れ
    た部分と大径部の軸方向残部とを互いに緩く係合させる
    衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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