JPH1018127A - 水産資材用モノフィラメントおよびその用途 - Google Patents

水産資材用モノフィラメントおよびその用途

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JPH1018127A
JPH1018127A JP17448696A JP17448696A JPH1018127A JP H1018127 A JPH1018127 A JP H1018127A JP 17448696 A JP17448696 A JP 17448696A JP 17448696 A JP17448696 A JP 17448696A JP H1018127 A JPH1018127 A JP H1018127A
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fishing line
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Yasushi Tsubaki
康司 椿
Makoto Okano
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水産資材用モノフィラメントとして求めら
れる強度、柔軟性を損なうことなく、耐摩耗性、水との
なじみ、沈降性を付与し、さらには所望の色に着色する
ことが可能な水産資材用モノフィラメントを提供する。 【解決手段】 本発明の水産資材用モノフィラメント
は、ポリアミドに対し、融点が290℃以下のフッ素系
樹脂を2〜30重量%添加した組成物を溶融紡糸するこ
とにより得られたモノフィラメントであって、比重:
1.15〜1.34、直径(D):0.05〜2.0m
m、引張強度(g/d)≧−1.8×D+8.5、結節
強度(g/d)≧−1.3×D+7.1(ただし、Dは
モノフィラメントの直径(mm)を示す)の特性を有す
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は沈降性、耐摩耗性お
よび強度が均衡してすぐれ、任意の色に着色可能で、特
に釣糸や漁網の用途に適した水産資材用モノフィラメン
トに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、水産資材用合成樹脂モノフィ
ラメントとしては、ナイロン6またはナイロン6を主体
とする共重合ナイロンを中心としたポリアミド系モノフ
ィラメントが好適に用いられている。
【0003】すなわち、ポリアミドモノフィラメント
は、柔軟性に富み、強度も大きく、さらに適度な伸びを
有しており、なかでも釣糸や漁網としての基本的な性能
をバランスよく具備していることから、水産資材用途向
けの素材として好適に用いられてきた。
【0004】しかしながら、これらのポリアミド系モノ
フィラメントは、これを水産資材用に適用した場合に、
一般的に水とのなじみが悪く、水中に沈み難いばかり
か、沈降速度が遅いという欠点があった。。
【0005】例えば、水とのなじみの悪いモノフィラメ
ントを釣糸として使用した場合は、糸は水面に浮いたま
まの状態となり、水面の波や風の影響を受け、魚からの
当たりが取りにくくなるばかりか、当たりを知るための
ウキを移動させてしまい、釣りを行うことすら困難な状
況になる。
【0006】また、沈降速度が遅いモノフィラメントを
釣糸として使用した場合は、水底に住む魚を釣る時に、
目的の深さ(いわゆる棚)に到達するまでに目的外の魚
に餌を取られてしまい、釣果が著しく悪くなるなどの問
題が生じる。
【0007】これらの問題を解決するための従来技術と
しては、ポリアミド系モノフィラメントの高比重化が検
討されており、例えば高比重添加剤としてMO・Fe2
3のフェライトを添加する方法(特開昭60−835
20号公報)および高比重添加剤としてカーボンブラッ
クおよび/またはグラファイトを添加する方法などが提
案されている。
【0008】しかるに、これら高比重添加剤を用いた従
来技術は、高比重な釣糸を得る技術としてはかなりすぐ
れたものではあるが、これら方法で得られる釣糸は、い
ずれも黒褐色となってしまうため、現在釣糸に求められ
ている多様な色調に対応することができないという問題
があって、釣糸としては依然不十分なものであるばかり
か、同様な問題がその他の水産資材用モノフィラメント
にも残されているのが現状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した従来
技術における問題点の解決を課題として検討した結果達
成されたものである。
【0010】したがって、本発明の目的は、水産資材用
モノフィラメントとして求められる強度、柔軟性を損な
うことなく、耐摩耗性、水とのなじみ、沈降性を付与
し、さらには所望の色に着色することが可能な水産資材
用モノフィラメントを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく種々検討を重ねた結果、ポリアミドに添
加する高比重添加剤として、フッ素系樹脂を使用したポ
リアミド系モノフィラメントが、上記の目的を満たすも
のであり、これを釣糸や漁網などの水産資材用に適用し
た場合に、最適の効果が発現することを見出し、本発明
に至った。
【0012】すなわち、本発明の水産資材用モノフィラ
メントは、ポリアミドに対し、融点が290℃以下のフ
ッ素系樹脂を2〜30重量%添加した組成物を溶融紡糸
することにより得られたモノフィラメントであって、比
重:1.15〜1.34、直径(D):0.05〜2.
0mm、引張強度(g/d)≧−1.8×D+8.5、
結節強度(g/d)≧−1.3×D+7.1(ただし、
Dはモノフィラメントの直径(mm)を示す)の特性を
有することを特徴とする。
【0013】また、本発明においては、ポリアミドが相
対粘度(ηr)が3.0〜5.5のポリカプラミド(以
下ナイロン6と呼ぶ)、またはカプロアミド単位(以下
ナイロン6単位と呼ぶ)とヘキサメチレンアジパミド単
位(以下ナイロン66単位と呼ぶ)とからなるナイロン
6/66共重合体である場合、フッ素樹脂が、テトラフ
ルオロエチレン−エチレン共重合体(以下、ETFEと
呼ぶ)、ポリビニリデンフルオライド(以下、PVDF
と呼ぶ)、ポリクロロトリフルオロエチレン(以下、P
CTFEと呼ぶ)、およびポリビニルフルオライド(以
下、PVFと呼ぶ)から選ばれた少なくとも1種である
場合、およびポリアミドモノフィラメントが親水性油剤
で表面処理されている場合がそれぞれ好ましく、これら
の場合にはさらにすぐれた効果を期待することができ
る。
【0014】そして、本発明のポリアミド系モノフィラ
メントは、特に釣糸、漁網などの水産資材用途に好適に
用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明における水産資材用モノフ
ィラメントの主たる構成成分として用いるポリアミドと
しては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、
ナイロン11、ナイロン12、さらにこれら各種ナイロ
ンの相互共重合体が挙げられる。
【0016】本発明においては、これらのポリアミド中
でも、JIS K6810 4.4.1項記載の方法
(硫酸法)に準じて測定した相対粘度(ηr)が3.0
〜5.5の範囲にあるナイロン6またはナイロン6単位
とナイロン66単位とのナイロン6/66共重合体を使
用した場合に最も望ましい効果を得ることができる。
【0017】ただし、これらポリアミドの相対粘度が、
3.0未満では得られるモノフィラメントの強度が不足
して、水産資材用モノフィラメントとしては不十分なも
のとなり、また5.5を越すような非常に高粘度ポリマ
ーの場合は、紡糸時の操業性が極めて低下するなどの好
ましくない傾向が招かれる。
【0018】なお、ナイロン6/66共重合体を用いる
場合、その共重合比率としてはナイロン6単位が98〜
70重量%、ナイロン66単位が2〜30重量%の割合
が好ましい。
【0019】ここで、ナイロン66単位が30重量%以
上で構成されたナイロン6/66共重合ポリマーを用い
た場合は、得られるモノフィラメントの釣糸として強度
が不十分になるという好ましくない傾向が招かれる。
【0020】本発明で高比重添加剤として使用するフッ
素系樹脂の具体例としては、ETFE、ECTFE、P
VDF、PCTFE、およびPVFなどが挙げられる
が、なかでもETFEが特に好ましく使用される。
【0021】ただし、これらのフッ素系樹脂は、その融
点が290℃以下、特に160〜260℃であり、その
ポリアミドに対する添加量が2〜30重量%、好ましく
は4〜26重量%の範囲に制限される。
【0022】すなわち、290℃を越すように高融点の
フッ素系樹脂を用いた場合は、ポリアミドと混合し溶融
紡糸する際に、紡糸機の温度が300℃を越すような高
い紡糸温度の採用が必要となるため、ポリアミドが熱に
より着色したり、分解を生じやすい傾向となり、長時間
の生産を行うことができなくなることから好ましくな
い。
【0023】また、フッ素系樹脂のポリアミドに対する
添加量が30重量%を越える場合は、高比重化および耐
摩耗性の点では好ましいが、得られるモノフィラメント
の強度が低下し、非常に硬く柔軟性に欠けるモノフィラ
メントとなるため好ましくない。逆に、添加量が2重量
%未満の場合には、所望の比重に到達しないばかりか、
耐摩耗性向上効果が得られないため好ましくない。
【0024】本発明の水産資材用モノフィラメントは、
1.15〜1.34の比重を有することを特徴とし、さ
らには1.17〜1.27の範囲であることが好まし
い。
【0025】すなわち、比重が上記の範囲にある本発明
のモノフィラメントを、例えば釣糸として使用した場合
には、特に沈降性にすぐれるため、ヘラ鮒釣りや鯉釣り
で行われるウキ釣りに好適に用いることができる。通
常、これらの釣りでは、針に餌を付けた仕掛け(以降、
単に仕掛けと呼ぶ)を水中に投入後、釣糸とそれを結束
させた釣竿の穂先部分を水中に沈めることが行われてい
るが、これは釣糸が水面に浮いた状態では、波や風の影
響でウキが移動してしまうのを防ぐため、さらには魚か
らの当たりに対して瞬間的な合わせを可能にするためで
ある。しかるに、従来からあるポリアミド系モノフィラ
メントの釣糸は、低比重で水に沈みにくいため、仕掛け
を水中に投入後、竿を手前に引っ張り、釣糸を水中に沈
める操作を必要とし、このことに起因して仕掛けがポイ
ントから外れてしまい、釣果に大きく影響することがし
ばしばあった。
【0026】これに対し、比重が1.15〜1.34の
範囲にある本発明の水産資材用モノフィラメントは、こ
れをウキ釣り用の釣糸として用いた場合に、上記のよう
な不具合を生じることがなく、操作性、当たりの取り易
さ、釣果の改良効果が大きいという特徴があるのであ
る。
【0027】ただし、比重が1.15未満の場合は、従
来からあるポリアミド系モノフィラメント製釣糸と同様
に操作性が劣り、当たりが取りにくく、釣果が小さい傾
向となるため好ましくない。
【0028】また、比重が1.34を越える場合は、沈
降性が大きくなり、糸が水面に浮いたままの状況になら
ず、釣糸が水面の波や風の影響を受けることがなくな
り、しかも竿を手前に引っ張り釣糸を水中に沈める必要
がなくなるが、逆に糸の比重が高すぎるため、糸の重み
でウキが沈みがちになり、さらに竿先からウキまでの釣
糸が沈み過ぎるため、この糸の重みでウキがポイントか
ら手前に移動してしまうなど、実釣面での悪影響を及ぼ
すことになるため好ましくない。
【0029】なお、こうしたウキ釣りを行う場合に、単
に比重が高いモノフィラメントからなる釣糸でよいなら
ば、現在好適に使用できる釣糸としては、ポリフッ化ビ
ニリデン(比重:約1.78)製やポリエステル(比
重:約1.38)製の釣糸が使用できるわけであるが、
これら釣糸がヘラ鮒や鯉釣りの道糸として好適に用いら
れていないのは、比重が高すぎるが故に上記のような問
題が頻発し、満足な釣りが行えないためである。
【0030】本発明の水産資材用モノフィラメントは、
上記ポリマー特性と比重と共に、高い引張強度と結節強
度を有していることを特徴とする。引張強度や結節強度
は、いずれもそのモノフィラメントの直径によって変化
し、直径が大きいほど低下するのが通常であるが、本発
明の水産資材用モノフィラメントにおいては、直径の増
大にともなう強度低下の割合が低いことも特徴の一つで
ある。
【0031】すなわち、本発明の水産資材用モノフィラ
メントは、直径Dが0.05〜2.0mmの範囲にあ
り、さらに直径Dと引張強度および結節強度の関係が、
引張強度(g/d)≧−1.8×D+8.5、結節強度
(g/d)≧−1.3×D+7.1の範囲を満足するこ
とを特徴とする。
【0032】ここで、構成するモノフィラメントの直径
Dが0.05mm未満と細すぎる場合は、剛性が不足す
るため、水産資材用途として単独で用いることができず
好ましくない。また、直径Dが2.0mmを越えるほど
に太すぎる場合は、糸中に気泡(いわゆるボイド)が入
るなど製糸性が劣る傾向になるため好ましくない。さら
に、直径Dが2.0mmを越えるほどに太すぎるモノフ
ィラメントでは、釣糸や漁網として使用する場合には剛
直性が高すぎ、糸をリールに巻いたり釣竿を用いて行う
一般の釣り用には適さなくなり、また漁網として使用す
る場合にも、編網が困難になるなどの問題が生じるため
好ましくない。
【0033】ここで、本発明の水産資材用モノフィラメ
ントを例えば釣糸とする場合に、モノフィラメントの直
径が0.21mm(1.5号)のときの引張強度は8.
1g/d以上、結節強度は6.8g/d以上であり、
0.37mm(5号)のときの引張強度は7.8g/d
以上、結節強度は6.6g/d以上であって、いずれの
場合にもすぐれた強度特性を発現する。
【0034】このように、引張強度と結節強度が同時に
高いことは、水産資材用モノフィラメントとしてどのよ
うな結び方をしても高強度であるという特性を保持する
ために非常に重要である。つまり、比較的小さい曲げ歪
みを受ける場合は引張強度に近く、大きな曲げ歪みを受
ける場合は結節強度でほぼ代表されるからである。
【0035】加えて、本発明の水産資材用モノフィラメ
ントは、これを構成するモノフィラメントの直径Dとサ
ンドペーパー法(後述)による摩耗回数(S)、つまり
耐摩耗性の評価を行ったときの関係が、180−60×
D(ただしDは直径の値)以上で示されるすぐれた耐摩
耗性を有することをも特徴とする。
【0036】上記の関係は、例えば釣糸を構成するモノ
フィラメントの直径が、0.21mm(1.5号)のと
き168回以上、0.37mm(5号)のとき158回
以上の摩耗回数で、釣糸が切断することを示すものであ
り、このように摩耗回数で評価した耐摩耗性に代表され
るすぐれた耐久性は、高比重添加剤としてフッ素系樹脂
を用いたことによるものであり、釣糸、漁網などの水産
資材用モノフィラメントとして非常に好ましい重要な特
性である。
【0037】この耐摩耗性が上記式から逸脱する場合
は、耐久性、特に硬い物と擦過した場合の耐久性が弱い
ことを意味する。すなわち、上記式を逸脱したモノフィ
ラメントを釣糸とした場合には、上述のヘラ鮒や鯉釣り
におけるウキ釣りを行う場合において、魚のいる所望の
棚(深さ)へ仕掛け(餌)を運んでこれらの棚を探る際
に、道糸に固定したウキや重りを移動する必要が生じ、
これらの移動による作業で糸に傷が生じたりさらには糸
切れが生じることになるため好ましくない。また、漁網
に用いた場合も、耐摩耗性が低い場合には、船やこれら
網を巻き取る装置との擦過により、糸切れが頻発し、網
が破れたりするなどの好ましくない傾向が招かれること
になる。
【0038】なお、単にモノフィラメントの耐摩耗性の
みを向上させる技術として、ポリエチレン系樹脂やシリ
コン系成分などを添加したポリアミド系モノフィラメン
トや水産資材用モノフィラメントが従来から知られてい
る。しかるに、これらの成分を含有したモノフィラメン
トは、単純に耐摩耗性のみについての向上効果が得られ
るものの、本発明のモノフィラメントより低比重なもの
となり、本発明のモノフィラメントの特徴である高比重
で沈降性にすぐれるなどの点では数段劣るものしか得る
ことができない。
【0039】したがって、本発明の高比重で沈降性にす
ぐれ、かつ高い耐摩耗性を示す水産資材用ポリアミドモ
ノフィラメントは、従来に比しきわめてすぐれた効果を
発現し得るものであるといえる。
【0040】さらに、本発明の水産資材用ポリアミドモ
ノフィラメントは、親水性油剤で表面処理されているこ
とが好ましい。
【0041】ここで用いられる親水性油剤としては、多
価アルコール脂肪酸部分エステル/ポリエーテル変性シ
リコーン/カチオン・ノニオン系乳化剤/水の混合品、
ポリエーテル変性シリコーン/脂肪酸K塩/水の混合
品、ノニオン系浸透剤/水の混合品、カチオン系界面活
性剤/水の混合品などが挙げられ、これらの付与方法と
しては、親水性油剤の満たされた浴中にモノフィラメン
トを浸漬する方法、親水性油剤をモノフィラメントに噴
霧する方法、親水性油剤をタッチローラーによりモノフ
ィラメントに付着させる方法などを採用することがで
き、親水性油剤を付与させたモノフィラメントは、その
後、乾燥させることにより十分に、その所望とする親水
性の効果を発揮することができる。
【0042】本発明の水産資材用モノフィラメントは、
特定の範囲の融点を持つフッ素系樹脂を高比重添加剤と
し、これをポリアミドに対し2〜30重量%の範囲で添
加し、所望の比重になるようにあらかじめ混合した原料
組成物、または溶融紡糸を行う紡糸機に供給する直前
に、所望の比重になるようにミキシング装置によりポリ
アミドとフッ素樹脂とを混合した原料組成物を用い、通
常の溶融紡糸に使われるエクストルダー型紡糸機によ
り、従来から一般的に採用されている公知の溶融紡糸方
法により製造することができる。
【0043】また、本発明で用いる原料組成物には、上
記高比重添加剤以外にも、その所望特性を阻害しない範
囲で、例えば顔料、染料、耐候剤、酸化防止剤、結晶化
抑制剤および可塑剤などの添加剤を含有させることがで
きる。
【0044】かくしてなる本発明の水産資材用モノフィ
ラメントは、強度、柔軟性を損なうことなく、耐摩耗性
にすぐれ、水とのなじみが良くて沈降速度が速く、さら
には所望の色に着色することが可能なことから、釣糸、
漁網および延縄などの各種水産資材用途に好適に適用す
ることができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明のモノフィラメントを釣糸とし
て使用した場合の実施例を挙げて、本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の
実施例に何ら限定されるものではない。
【0046】また、上記および下記実施例中の水産資材
用モノフィラメントからなる釣糸の物性などは以下の方
法により測定した値である。
【0047】(1)相対粘度(ηr):JIS K68
10 4.4.1項記載の方法(硫酸法)に準じて測定
した。
【0048】(2)融点(℃):JIS−K7121の
定義によった。すなわち、微粉末状にしたフッ素樹脂試
料を5mg秤量しアルミパン中に詰めた後、セイコー電
子工業(株)製示差走査熱量測定機“DSC22”を用
い、加熱速度:10℃/分で昇温後(1st.Ru
n)、続いて冷却速度:10℃/分で冷却。その後さら
に加熱速度:10℃/分で昇温(2nd.Run)した
時の融解ピークの頂点の温度により測定した。
【0049】(3)比重:紡糸後のモノフィラメント試
料を用い、下記の方法により測定した(浮沈法)。すな
わち、試料を5mm以下に切断し、80℃で30分間乾
燥する。これを冷却後、試験管内に入れ、比重をあらか
じめ1.135に調整してある混合液10ccを加え、
25℃の恒温槽に設置する。その後、試料が混合液の中
心に浮遊するように四塩化炭素を加える。次に、あらか
じめ容量(A)および重量(B)が既知であるピクノメ
ーターに該混合液を移し10分間恒温槽で調温する。調
温後、ピクノメーターの標量線に混合液の液面を合わ
せ、混合液の満たされたピクノメーターを取り出し、水
分を拭き取り直示天秤で秤量する(C)。これらの結果
より(C−B)/Aの式で比重を算出した。
【0050】(4)引張強度,結節強度(g/d):J
IS−L1017の定義によった。すなわち、綛状にと
った試料を20℃、65%RHの温湿度調整室で24時
間放置後、(株)オリエンテック社製“テンシロン”U
TM−4−100型引張試験機を用い、試長:250m
m、引張速度:300mm/分の条件で測定した。
【0051】(5)直径(D):デジタルマイクロメー
ター(MITUTOYO製)で釣糸の長径と短径を測定
しその平均値で示した。
【0052】(6)摩耗回数(S):試料を20℃、6
5%RHの温湿度調整室で24時間放置後、d(繊度)
×1/20の荷重を掛けた釣糸(モノフィラメント)
を、180回/分で回転しているサンドペーパー#32
0で被覆した外径50mmφのステンレス棒の上にセッ
トし、さらに、トラバース速度70mm/分(トラバー
ス幅35mm)の条件で釣糸を移動させて切断に至るま
での回転数を測定し、耐摩耗性の評価を行った。
【0053】(7)製糸性(操業性):24時間連続紡
糸を行い、下記の基準で評価した。
【0054】◎(良好)…延伸切れおよび製糸中の未延
伸糸にボイドの発生が全くない ○(普通)…製糸中の未延伸糸にボイドの発生は認めら
れないが延伸切れが1回発生した ×(不良)…延伸切れが2回以上発生または製糸中の未
延伸糸にボイドの発生が認められた。
【0055】(8)沈降性:下記に示す基準で、数名の
釣人により評価した。
【0056】◎(極めて良好)…特に釣竿の操作をしな
くとも釣糸(道糸)の沈みが早く、釣竿の穂先からウキ
にかけて釣糸のタルミもなく良好に使用できる ○(良好)…時折、釣糸が水面に浮いたままの状態が発
生するが、わずかな釣竿の操作で釣糸が沈み、釣糸とし
て十分に使用できる ×(不良)…仕掛けの投入の度に、釣糸が水面に浮いた
ままの状態となる。また、わずかの釣竿の操作では釣糸
が沈まず非常に使いにくい。
【0057】[実施例1]ナイロン6/66共重合体チ
ップ(相対粘度ηr:4.2)92重量%に対し、ET
FEチップ(融点:225℃)を8重量%添加し、さら
に着色剤としてカラーパウダーを0.08%添加したも
のを撹拌ブレンドした原料組成物を、溶融紡糸機に供給
し、290℃の温度で溶融、ノズルから押し出した後、
ただちに温度10℃の水中で冷却固化させ未延伸糸を得
た。
【0058】上記未延伸糸を引き続き、1段目延伸条
件:100℃の水蒸気中で3.8倍、次いで2段目延伸
条件:210℃の不活性気体中で1.55倍延伸(トー
タル延伸倍率5.9倍)で延伸し、その後同じく180
℃の不活性気体中にてリラックス率:0.9倍の熱セッ
ト処理を行った後、親水性油剤をタッチローラーにて付
与させ、直径0.17mmのポリアミド系モノフィラメ
ントからなる釣糸を得た。得られた釣糸の製糸条件、物
性および沈降性評価結果を表1に示す。
【0059】[実施例2〜8および比較例1〜8]実施
例1と同一の製糸プロセスを用い、使用ポリアミドの種
類や相対粘度、使用弗素樹脂の添加率、種類を表1およ
び表2に示したように変更して溶融紡糸を行い、ポリア
ミド系モノフィラメントからなる釣糸を得た。得られた
釣糸の製糸条件、物性および沈降性評価結果を表1およ
び表2に示す。
【0060】
【表1】
【表2】 以上の結果から明らかなように、本発明によるポリアミ
ドモノフィラメント製釣糸は、製糸性が良好であり、い
ずれも十分な引張強度、結節強度を持ち、さらにはすぐ
れた耐摩耗性を示し、沈降性も良好で、釣糸に求められ
る特性をバランス良く持ち合わせており、非常にすぐれ
たものであった。
【0061】一方、表2の結果から、本発明外の比較例
1〜7の場合は、釣糸としての特性が不満足であるか、
製糸性が不満足なものであった。
【0062】すなわち、高比重添加剤としてのフッ素樹
脂の添加量が低い比較例1の場合は、得られるモノフィ
ラメントの比重が低くなり沈降性が悪く、また耐摩耗性
も低く釣糸として不十分なものであった。
【0063】逆に、高比重添加剤の添加量が多すぎた比
較例2の場合は、得られたモノフィラメントは沈降性お
よび耐摩耗性は良好であるが、製糸中に冷却工程で未延
伸糸にボイドが入り延伸切れが発生するなど、製糸性が
悪く不満足であった。また、得られたモノフィラメント
の引張強度、結節強度とも低いものとなり不十分であっ
た。
【0064】また、モノフィラメントの直径が細すぎる
比較例3の場合は、単独で使用するには糸の剛性が低す
ぎ、釣糸としては強さに欠けるものとなった。さらに、
製糸性の点でも、時折延伸切れが発生するなど不安定で
あった。
【0065】逆に、モノフィラメントの直径が太すぎる
比較例4の場合は、冷却工程で糸の真円性が低下した
り、未延伸糸にボイドが発生するなど不安定であり、さ
らに延伸切れも発生し製糸性が非常に不安定であった。
【0066】さらに、相対粘度のポリアミドを使用した
比較例5の場合は、引張強度および結節強度ともに低
く、耐摩耗性も低いモノフィラメントとなってしまい、
釣糸としては不十分なものしか得られなかった。
【0067】逆に、ポリアミドの相対粘度が高すぎる比
較例6の場合は、冷却工程で未延伸糸にボイドが発生
し、延伸切れが頻発するなど、製糸性が非常に悪く不満
足であった。
【0068】また、高比重添加剤としてのフッ素系樹脂
(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニ
ルエーテル共重合体:PFA)の融点が、本発明の範囲
外である比較例7の場合は、製糸条件として適用できる
紡糸温度が高くなりすぎ、ポリアミドが着色を起こし、
さらには分解する状況となり紡糸不能となった。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水産資材
用モノフィラメントは、高強度でかつ耐摩耗性にすぐ
れ、水とのなじみが良く沈降性に富み、さらに任意の色
に着色の可能なすぐれた性能を有している。
【0070】したがって、本発明の水産資材用モノフィ
ラメントは、そのすぐれた特性を生かしてすなわち、釣
糸、漁網および延縄などの水産資材用途に好適に適用す
ることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミドに対し、融点が290℃以
    下のフッ素系樹脂を2〜30重量%添加した組成物を溶
    融紡糸することにより得られたモノフィラメントであっ
    て、比重:1.15〜1.34、直径(D):0.05
    〜2.0mm、引張強度(g/d)≧−1.8×D+
    8.5、結節強度(g/d)≧−1.3×D+7.1
    (ただし、Dはモノフィラメントの直径(mm)を示
    す)の特性を有することを特徴とする水産資材用モノフ
    ィラメント。
  2. 【請求項2】 ポリアミドが相対粘度(ηr)が3.
    0〜5.5のポリカプラミド(ナイロン6)、またはカ
    プロアミド単位(ナイロン6単位)とヘキサメチレンア
    ジパミド単位(ナイロン66単位)とからなるナイロン
    6/66共重合体であることを特徴とする請求項1に記
    載の水産資材用モノフィラメント。
  3. 【請求項3】 フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレ
    ン−エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−
    エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリ
    クロロトリフルオロエチレンおよびポリビニルフルオラ
    イドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の水産資材用モノフィラメン
    ト。
  4. 【請求項4】 ポリアミドモノフィラメントが親水性
    油剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の水産資材用モノフィラメン
    ト。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    モノフィラメントからなることを特徴とする釣糸。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    モノフィラメントからなることを特徴とする漁網。
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