JPH1018047A - 耐黒変性および耐白錆性に優れたクロメート処理鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

耐黒変性および耐白錆性に優れたクロメート処理鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH1018047A
JPH1018047A JP19136496A JP19136496A JPH1018047A JP H1018047 A JPH1018047 A JP H1018047A JP 19136496 A JP19136496 A JP 19136496A JP 19136496 A JP19136496 A JP 19136496A JP H1018047 A JPH1018047 A JP H1018047A
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galvanized steel
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JP19136496A
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Tatsuya Miyoshi
達也 三好
Takahiro Kubota
隆広 窪田
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Masaaki Yamashita
正明 山下
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ni、Co等のフラッシュ処理を施すことな
く、耐黒変性および耐白錆性に優れたクロメート処理鉛
含有溶融亜鉛めっき鋼板を製造すること 【構成】 PbとAlをそれぞれ適量含有する溶融亜鉛
めっき浴でめっきされた鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板を、
pH9以上のアルカリ性水溶液で処理し、水洗した後、
6価クロムイオンと3価クロムイオンと硝酸イオンとを
含有し、3価クロムイオン/6価クロムイオンのモル比
が1/9〜1/1、全クロムイオンに対する硝酸イオン
のモル比が0.1〜1.6に調整されたクロメート処理
液を塗布し、水洗することなく乾燥させ、金属クロム換
算で付着量が5〜50mg/m2のクロメート皮膜を形
成させるもので、めっき表面に濃化したアルミニウムと
鉛がアルカリ性水溶液と硝酸イオンを含有するクロメー
ト処理液によりそれぞれ除去されるため、優れた耐白錆
性と耐黒変性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、クロメート処理による
耐黒変性および耐白錆性に優れたクロメート処理鉛含有
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板の亜鉛めっきによる犠牲防食は最も
効果的で且つ経済的であるため、現在では我国の年間粗
鋼生産量(約1億トン)の約10%に当たる1000万
トンが亜鉛系めっき鋼板として生産され、建材、自動
車、家電等の広い分野で使用されている。亜鉛による犠
牲防食機構は、亜鉛と鉄という2つの金属が接触した状
況下で電池が形成され、より卑な金属である亜鉛が陽極
となり、鉄を陰極化して鉄単独の場合の局部電池形成に
よる陽極溶解を抑止し、鉄の腐食を防止するものであ
る。このような防錆作用は鉄と接触している亜鉛が消失
した時点で終わるため、その作用効果を長期間持続させ
るためには亜鉛層の腐食を抑制することが必要であり、
その対策としてめっき後にクロメート処理を施すことが
広く行われている。
【0003】ところが、亜鉛めっき鋼板をクロメート処
理すると耐食性(耐白錆性)は顕著に改善されるもの
の、逆に保管中や輸送中に鋼板の外観性を大きく損なう
黒変現象が発生するという問題がある。この黒変現象
は、めっき後にスキンパスを行った溶融亜鉛めっき鋼
板、鉛を含有するめっき浴で製造された溶融亜鉛めっき
鋼板並びに数%のアルミニウムを含有する溶融亜鉛−ア
ルミニウムめっき鋼板において特に発生し易いことが知
られている。この黒変現象は、めっき表面のスパングル
中のある特定の結晶方位のところが特に灰黒色になる特
徴があり、このため黒変の発生を抑えるにはスパングル
を周知の方法でミニマイズド化することもある程度有効
である。また、黒変の発生するスパングル内には鉛の粒
子が存在し、これが活性点となって黒変現象を助長する
ため、めっき浴の組成を極低鉛化(Pb:0.01wt
%以下)することにより黒変が発生しにくくなることも
知られている。しかし、溶融亜鉛めっき鋼板に関しては
スパングルを好むユーザーも多く、めっき浴中への鉛添
加は避けられない。
【0004】クロメート処理後の黒変を防止する方法と
して、特開昭59−177381号公報にはNiイオン
またはCoイオン含有水溶液によるフラッシュ処理(化
学的に極微量の金属を析出させる処理)が提案されてお
り、最近ではこのフラッシュ処理がクロメート処理後の
黒変対策として有望視されている。特開昭59−177
381号公報に開示された方法は、亜鉛または亜鉛合金
めっき鋼板のクロメート処理に先立ち、pHが1〜4ま
たは11〜13.5で、且つNiイオン、Coイオンの
1種または2種を含む水溶液で鋼板の表面をフラッシュ
処理し、この処理によって前記金属イオンを金属または
酸化物の形で鋼板表面に析出させた後、水洗し、しかる
後クロメート皮膜を形成させるものである。
【0005】このようなNiやCoによるフラッシュ処
理がクロメート処理後の亜鉛系めっき鋼板の黒変を防止
する機構については未だ定説はないが、金属表面技術協
会の第60回学術講演大会要旨集の第150頁〜第15
1頁の記載によれば、フラッシュされた金属は亜鉛結晶
の粒界に多く析出しており、その後に行なわれる塗布型
クロメート処理によって付着したクロム化合物も同様に
粒界に分布していることから、フラッシュされた金属と
クロム化合物との間に何らかのインタラクション(相互
作用)があり、フラッシュ金属にクロム化合物が吸着固
定化されるものと推察される。
【0006】亜鉛系めっき鋼板の黒変現象は、白錆と同
じく(ZnCO3)x・[Zn(OH)2]yで表される塩
基性炭酸亜鉛が400〜700nmの可視光波長領域の
粒径であるため、光が散乱と吸収を起こしやすく黒く見
えるものと考えられる。黒変は酸素不足の状況下での腐
食生成物であり、特に粒界からの腐食進行に伴って形成
されると考えられ、そのためフラッシュ金属によって粒
界に濃化したクロム化合物が粒界からの腐食を抑止し、
黒錆発生の防止に寄与しているものと考えられる。この
ようにクロメート処理に先立ってNi、Co等をフラッ
シュ処理することは、亜鉛系めっき鋼板の黒変に対して
有力な対策となり得る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなフラッシュ処理をクロメート処理に先立って実施
した場合、黒変の発生は抑制されるが白錆はむしろ発生
し易くなるという問題があることが明らかとなった。こ
れは、フラッシュ処理によってめっき表面に析出したN
iやCoが亜鉛との間で局部電池を形成するためである
と考えられる。したがって本発明の目的は、Ni、Co
等のフラッシュ処理を施すことなく、耐黒変性および耐
白錆性に優れたクロメート処理鉛含有溶融亜鉛めっき鋼
板を製造し得る方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、クロメー
ト処理鉛含有溶融亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性および耐
白錆性を改善することができる方法について種々の実験
と検討を行った結果、めっき後の鋼板に対して、アルカ
リ水溶液による前処理と硝酸イオンを含有した特定組成
のクロメート処理液によるクロメート処理という2工程
処理を施すことにより、優れた耐黒変性および耐白錆性
を有するクロメート処理鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板を工
業的に安定して製造できることを見い出した。本発明は
このような知見に基づきなされたもので、その特徴とす
る構成は以下の通りである。
【0009】[1] Pb:0.05〜0.3重量%、A
l:0.1〜0.3重量%を含有する溶融亜鉛めっき浴
でめっきされた鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板を、pH9以
上のアルカリ性水溶液で処理し、水洗した後、6価クロ
ムイオンと3価クロムイオンと硝酸イオンとを含有し、
3価クロムイオン/6価クロムイオンのモル比が1/9
〜1/1、全クロムイオンに対する硝酸イオンのモル比
が0.1〜1.6に調整されたクロメート処理液を塗布
し、水洗することなく40〜250℃の板温で乾燥し、
金属クロム換算で付着量が5〜50mg/m2のクロメ
ート皮膜を形成させることを特徴とする耐黒変性および
耐白錆性に優れたクロメート処理鉛含有溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法。
【0010】[2] 上記[1]の製造方法において、クロメ
ート処理液がコバルト、ニッケル、ストロンチウム、バ
リウムの各金属イオンの中から選ばれる1種または2種
以上を含有し、全クロムイオンに対する前記金属イオン
の合計のモル比が0.04〜0.2である耐黒変性およ
び耐白錆性に優れた鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法。 [3] 上記[1]の製造方法において、クロメート処理液が
コバルトイオンを含有し、全クロムイオンに対するコバ
ルトイオンのモル比が0.04〜0.2である耐黒変性
および耐白錆性に優れた鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、Pb:0.05〜0.
3重量%、Al:0.1〜0.3重量%を含有する溶融
亜鉛めっき浴でめっきされた鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板
をクロメート処理する方法である。このような鉛含有溶
融亜鉛めっき鋼板において、めっき皮膜中の鉛は美麗な
スパングル模様を得るために、またアルミニウムはめっ
き密着性を向上させるためにそれぞれ必要な成分である
が、これら鉛やアルミニウムはめっき表面に濃化してお
り、このようにめっき表面に鉛やアルミニウム、とりわ
け鉛が濃化した状態で存在するとめっき皮膜が電気化学
的に不均一となり、黒変現象がより一層促進される。ま
た多くの場合、アルミニウムはめっき表層で酸化物とし
て安定に存在しているが、このアルミ酸化物はクロメー
ト処理液と反応しにくいため、均一なクロメート皮膜が
形成されにくく、このためクロメート処理による耐食性
向上を妨げる。
【0012】このような問題に対し、本発明では硝酸を
含有するクロメート処理液に鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板
を接触させるとめっき表面に濃化していた鉛が除去さ
れ、黒変現象を効果的に抑制できることを見い出した。
勿論、このようなクロメート処理によってもめっき表面
の鉛が全て除去される訳ではなく、めっき表面に鉛は残
存するが、上記クロメート処理による黒変抑制効果は顕
著であり、しかもこのクロメート処理によるクロメート
皮膜の形成によって、めっき表面に残存する活性な鉛の
表面が多量のクロムで覆われる結果、耐食性も向上する
ことが判明した。めっき表面に濃化した鉛の除去効果
は、硝酸を含有するクロメート処理液を使用した場合に
特に顕著であり、クロメート処理液に他の無機酸、例え
ばリン酸、硫酸、フッ酸等を含有させても、十分な除去
効果は得られない。
【0013】また、めっき表面に濃化したアルミニウム
の除去については、上記のようなクロム酸と無機酸(硝
酸、リン酸、硫酸、フッ酸等)を配合したクロメート処
理液による処理では不十分であり、検討の結果、クロメ
ート処理液の前工程でアルカリ水溶液による処理を行う
ことにより、めっき表面のアルミニウムを効果的に除去
できることが判った。すなわち、めっき表面に濃化した
鉛やアルミニウムは、従来知られたクロム酸やその一部
を部分還元したクロム酸溶液ではほとんど除去できない
のに対し、上述した2工程処理を実施することによりそ
れらを適切に除去し、耐黒変性を効果的に改善できるこ
とが明らかとなった。
【0014】また、上記の硝酸を含有したクロメート処
理液によるクロメート処理に関しては、6価クロムイオ
ンと3価クロムイオンと硝酸イオンを含有し、硝酸イオ
ンを全クロムイオンとのモル比で0.1〜1.6に調製
したクロメート処理液でクロメート処理することによ
り、極わずかなエッチング量で鉛を効果的に除去できる
こと、またこのようなクロメート処理液は長期間使用し
ても亜鉛などの夾雑イオンの混入によるスラッジ発生が
なく、クロメート処理液の組成を安定して維持できるこ
とが判った。
【0015】以下、本発明の詳細と限定理由について説
明する。本発明がクロメート処理の対象とする鉛含有溶
融亜鉛めっき鋼板は、鋼板をPb:0.05〜0.3重
量%、Al:0.1〜0.3重量%を含有する溶融亜鉛
めっき浴でめっきして得られたものであり、先に述べた
ようにこのような鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板は特に黒変
の問題を生じ易い。めっき浴中の鉛含有量が0.05重
量%未満では、めっき鋼板の美麗なレギュラースパング
ルが十分に得られず、一方、0.3重量%を超えるとそ
の効果が飽和して経済性を損なうばかりでなく、めっき
粒界腐食を起こし易くなる。また、めっき浴中のアルミ
ニウム含有量が0.1重量%未満では十分なめっき密着
性が得られず、一方、0.3重量%を超えるとクロメー
ト処理後に高温多湿環境に曝されると黒変し易くなるた
め好ましくない。
【0016】本発明法では、まず、めっき表面に濃化し
たアルミニウムを除去することを目的として、pH9以
上、好ましくはpH9〜12のアルカリ性水溶液で鉛含
有溶融亜鉛めっき鋼板を前処理する。このアルカリ水溶
液がpH9未満では、めっき表面のアルミニウムの酸化
物が溶解しにくく、クロメート処理液との反応性が低下
し、耐食性の低下を招く。なお、アルカリ性水溶液がp
H12を超えると亜鉛のエッチング量が過剰になり、ク
ロメート処理液の安定性が低下する。
【0017】次いで、上記前処理を施しためっき鋼板を
水洗した後、クロメート処理を施す。このクロメート処
理では、6価クロムイオンと3価クロムイオンと硝酸イ
オンとを含有し、3価クロムイオン/6価クロムイオン
のモル比および全クロムイオンに対する硝酸イオンのモ
ル比が所定の範囲に調製されたクロメート処理液を塗布
し、クロメート皮膜を形成する。前記クロメート処理液
に含まれる3価クロムイオンと6価クロムイオンは、3
価クロムイオン/6価クロムイオンのモル比で1/9〜
1/1、好ましくは1/4〜2/3とする。3価クロム
イオン/6価クロムイオンのモル比が1/9未満では腐
食環境下におけるクロムの溶出が過多となるため長期に
わたる耐食性の維持ができず、またクロム溶出による環
境汚染を招くため好ましくない。一方、3価クロムイオ
ン/6価クロムイオンのモル比が1/1を超えると、6
価クロムイオンによる耐食性の改善効果が十分に得られ
ない。
【0018】クロメート皮膜による白錆発生の防止機構
は、一般的に6価クロムイオンによる亜鉛の腐食を抑制
するインヒビター効果であると理解されており、さらに
クロメート皮膜から溶出する6価クロムイオンが皮膜の
損傷部分を補修する自己補修作用も耐白錆性向上に寄与
しているものと考えられている。しかし、6価クロムイ
オンだけで得られるクロメート皮膜は、水分の介在によ
り6価クロムイオンが過剰に溶出して白錆発生の原因と
なるため、6価クロムイオンの過剰溶出を防止する目的
で3価クロムイオンを配合することが広く行われてい
る。本発明においても同様の目的で、クロメート処理液
中に上記のモル比で3価クロムイオンと6価クロムイオ
ンを含有させる。
【0019】一般に、3価クロムイオンと6価クロムイ
オンのみからなる水溶液では、3価クロムイオンが沈降
しないでイオンとして水溶液中に存在するためには、3
価クロムイオン/6価クロムイオンのモル比を2/3以
下にする必要がある。一方、美麗なスパングル模様を有
する鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板では外観色調が重要視さ
れるケースが多く、このような場合には、クロム付着量
が多いと黄色みが出て外観色調が損われるため、耐食性
をある程度犠牲にしてでもクロム付着量を抑制せざるを
得なくなる。このような問題に対しては、本発明が用い
るクロメート処理液はクロム酸以外の酸成分として硝酸
が添加されているため、表面色調に悪影響を与える6価
クロムイオンの割合を低減させ、3価クロムイオン/6
価クロムイオンのモル比を2/3以上に高める(但し、
上述した上限のモル比1/1を限度として)ことがで
き、これによりクロム付着量を低減させることなく所望
の着色防止効果を得ることができる。
【0020】クロムイオンをクロメート処理液に供給す
るためには、無水クロム酸水溶液を公知の還元剤で部分
還元したものを用いることができ、また3価クロムイオ
ンの供給には硝酸クロムを用いることもできる。クロメ
ート処理液に含まれる硝酸イオンは、硝酸イオン/全ク
ロムイオンのモル比で0.1〜1.6、好ましくは0.
4〜1.2とする。硝酸イオン/全クロムイオンのモル
比が0.1未満では黒変抑制効果が不十分であり、一
方、硝酸イオン/全クロムイオンのモル比が1.6を超
えるとクロメート液のエッチング力が高くなり過ぎ、Z
n、Al等の夾雑イオン混入によるスラッジ発生の原因
となり、安定的に高い耐食性を維持できなくなるため好
ましくない。クロメート液中の硝酸イオンは、硝酸、硝
酸クロム、硝酸コバルト、硝酸亜鉛等により供給するこ
とができる。
【0021】さらに、クロメート処理液にはコバルト、
ニッケル、ストロンチウム、バリウムの各金属イオンの
中から選ばれる1種または2種以上を、全クロムイオン
に対するモル比で0.04〜0.2の範囲で含有させる
ことができる。これらの金属イオンはクロム酸イオンと
の間で難溶性の化合物を生成し、この化合物によってク
ロメート皮膜のバリヤー性が高まることにより耐食性が
向上するものと考えられる。金属イオンの添加量が全ク
ロムイオンに対するモル比で0.04未満では耐食性向
上効果が乏しく、一方、0.2を超えるとクロメート処
理液が沈殿を生じやすくなり、液安定性が低下するため
好ましくない。なお、クロメート処理液には、エッチン
グ作用によってめっき成分から不可避的に混入してくる
Zn、Al、Pb等の金属イオンが含まれる場合がある
が、これら金属イオンの混入は本発明の効果に影響を与
えない。
【0022】また、上記の金属イオンのうち、コバルト
イオンを添加した場合に最も顕著な耐白錆性向上効果が
得られる。本発明者らによる実験の結果、コバルトイオ
ンを含有するクロメート処理液によって得られるクロメ
ート皮膜は、コバルトイオンを含有しない処理液で得ら
れたクロメート皮膜と比較して、皮膜中の6価クロム含
有量はほぼ同等であるが、クロメート皮膜の最表層にお
ける6価クロム含有量が多いことが判明した。このため
コバルトイオンを含有するクロメート皮膜は、コバルト
イオンを含有しないクロメート皮膜と較べて6価クロム
イオンによる自己補修性が高く、耐白錆性が顕著に改善
されるものと考えられる。したがって、クロメート処理
液中に添加する金属イオンとしてはコバルトイオンが最
も好ましい。クロメート処理液中の金属イオンは、塩基
性炭酸塩や炭酸塩、硝酸塩等により供給することができ
る。なお、クロメート処理液には必要に応じてシリカゲ
ルやヒュームドリシリカ等のコロイダルシリカ、水系樹
脂等を添加することができる。
【0023】上記クロメート処理液をめっき鋼板の表面
に塗布した後、水洗することなく40〜250℃の最高
到達板温の範囲で乾燥させる。板温が40℃未満では水
分が残留するため溶解しやすいクロメート皮膜となり、
一方、250℃超では耐食性に有効な6価クロムイオン
が3価クロムイオンに還元されるとともに、高分子化し
ていたクロメート皮膜が低分子化し、これらが耐食性低
下の原因となるため好ましくない。このようにして塗
布、乾燥したクロメート皮膜のクロム付着量は金属クロ
ム換算で5〜50mg/m2、好ましくは10〜30m
g/m2とする。クロメート皮膜の付着量が金属クロム
換算で5mg/m2未満では耐食性が不十分であり、一
方、50mg/m2を超えると着色が著しくなり、鉛含
有溶融亜鉛めっき鋼板の美麗な外観を損なうため好まし
くない。クロメート処理液の塗布法は任意であり、例え
ば、スプレーまたは浸漬後にロール絞りや気体絞りを行
う方法、ロールコート法等の公知の塗布方法を適用する
ことができる。
【0024】
【実施例】Pb:0.1重量%、Al:0.2重量%を
含有する溶融亜鉛めっき浴でめっきされた鉛含有溶融亜
鉛めっき鋼板(めっき付着量:90g/m2、レギュラ
ースパングル材)を下記AまたはBのアルカリ水溶液で
前処理した後、水道水によりスプレー水洗(10秒)
し、乾燥させた後、表1および表2に示す組成のクロメ
ート処理液をロールコート法で塗布し、炉温300℃、
炉内風速2m/secの熱風乾燥炉内で最高到達板温4
0〜270℃の範囲で乾燥させ、クロメート処理鉛含有
溶融亜鉛めっき鋼板の供試材を製造した。また、比較例
としてアルカリ水溶液による前処理を実施することなく
クロメート処理した供試材も製造した。
【0025】得られた供試材について、皮膜外観、耐黒
変性および耐食性の評価を行った。これらの評価は、本
発明例の全部と比較例の一部については、クロメート処
理を開始して間もない段階で製造された供試材と、クロ
メート処理がある程度進行し(処理液1Lに対して供試
材を20m2連続処理した後)、Znが溶解した状態と
なった処理液でクロメート処理を行った供試材の両方に
ついて行った。その結果をクロメート処理液の組成、ク
ロム付着量等とともに表1および表2に示す。
【0026】[アルカリ水溶液による前処理条件] A:pH9の水溶液(温度:60℃、スプレー時間:3
0秒) B:pH13の水溶液(温度:50℃、スプレー時間:
3秒) [性能評価] (1)皮膜外観 色差計で供試材と無処理材とのΔb(供試材のb値−無
処理材のb値)を測定し、下記評価基準で皮膜外観を評
価した。 ◎:Δbが1未満 ○:Δbが1以上、3未満 △:Δbが3以上、5未満 ×:Δbが5以上
【0027】(2)耐黒変性 各供試材から70mm×150mmの試験片を複数枚切
り出し、各試験片の供試面を対面させて1対としたもの
を5〜10対重ねてビニールコート紙にて梱包し、これ
を内側にアクリル板を貼り付けた厚さ10mmの2枚の
ステンレス板の間に挾み、その四隅をボルト締めしてト
ルクレンチで0.67kgf・cm2の荷重をかけ、5
0℃、95%の相対湿度の湿潤箱内に240時間保持し
た後、取り出し、重ね合わせ部の黒変状況を目視にして
判定した。その評価基準は下記の通りである。 ◎:黒変なし ○:極めて軽度に灰色化 △:黒変発生 ×:著しい黒変発生
【0028】(3)耐食性 各供試材ら70mm×150mmの試験片を複数枚切り
出し、これらの試験片にJIS Z 2371に規定され
た塩水噴霧試験を実施し、150時間後の白錆発生面積
を目視で判定した。その評価基準は下記の通りである。 ◎:白錆発生なし ○:白錆発生面積率5%未満 △:白錆発生面積率5%以上、25%未満 ×:白錆発生面積率25%以上
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、皮膜
外観、耐黒変性及び耐白錆性のいずれにも優れた鉛含有
溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製造することができる。
フロントページの続き (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pb:0.05〜0.3重量%、Al:
    0.1〜0.3重量%を含有する溶融亜鉛めっき浴でめ
    っきされた鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板を、pH9以上の
    アルカリ性水溶液で処理し、水洗した後、6価クロムイ
    オンと3価クロムイオンと硝酸イオンとを含有し、3価
    クロムイオン/6価クロムイオンのモル比が1/9〜1
    /1、全クロムイオンに対する硝酸イオンのモル比が
    0.1〜1.6に調整されたクロメート処理液を塗布
    し、水洗することなく40〜250℃の板温で乾燥し、
    金属クロム換算で付着量が5〜50mg/m2のクロメ
    ート皮膜を形成させることを特徴とする耐黒変性および
    耐白錆性に優れたクロメート処理鉛含有溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 クロメート処理液がコバルト、ニッケ
    ル、ストロンチウム、バリウムの各金属イオンの中から
    選ばれる1種または2種以上を含有し、全クロムイオン
    に対する前記金属イオンの合計のモル比が0.04〜
    0.2である請求項1に記載の耐黒変性および耐白錆性
    に優れたクロメート処理鉛含有溶融亜鉛めっき鋼板の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 クロメート処理液がコバルトイオンを含
    有し、全クロムイオンに対するコバルトイオンのモル比
    が0.04〜0.2である請求項1に記載の耐黒変性お
    よび耐白錆性に優れたクロメート処理鉛含有溶融亜鉛め
    っき鋼板の製造方法。
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US09/029,574 US6280535B2 (en) 1996-07-02 1997-06-30 Manufacturing process on chromate-coated lead-containing galvanized steel sheet with anti-black patina property and anti-white rust property
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PCT/JP1997/002261 WO1998000579A1 (fr) 1996-07-02 1997-06-30 Procede de production de feuilles d'acier chromees et galvanisees a chaud, contenant du plomb et ayant une excellente resistance au noircissement et a la formation de rouille blanche
BR9706566A BR9706566A (pt) 1996-07-02 1997-06-30 Processo de fabricação sobre chapa de aço galvanizado contendo chumbo revestida de cromato com propriedade anti-pátina preta e propriedade anti-ferrugem branca
TW086109464A TW393523B (en) 1996-07-02 1997-07-02 Manufacturing method of a lead-containing galvanized steel sheet treated with chromate with excellent blackening resistance and white rust resistance

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