JPH10179689A - 医療用容器 - Google Patents

医療用容器

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JPH10179689A
JPH10179689A JP8357945A JP35794596A JPH10179689A JP H10179689 A JPH10179689 A JP H10179689A JP 8357945 A JP8357945 A JP 8357945A JP 35794596 A JP35794596 A JP 35794596A JP H10179689 A JPH10179689 A JP H10179689A
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JP
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medical container
mother liquor
container
infusion
bicarbonate
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JP8357945A
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Inventor
Hiroshi Motobayashi
博志 本林
Hiroyuki Shichi
宏幸 志知
Keinosuke Isono
啓之介 磯野
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Original Assignee
Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 腎障害、下痢、嘔吐等の生じることがなく、
また投与時のPH値も高く維持できる輸液用剤、透析液
用剤、及び臓器保存剤等の医療用剤が充填された医療用
容器を提供。 【構成】 可撓性壁を有する樹脂素材からなり且つ排出
口を具備し、内部に母液とPH調整剤とが分けて充填さ
れる医療用容器であって、上記母液とPH調整剤とは隔
離シール部で隔離されたそれぞれの収納室に充填され、
上記隔離シール部は該収納室内の昇圧によって少なくと
も一部を剥離開放しうるピールシール部で形成され、ま
た、上記PH調整剤が収納される収納室に上記排出口が
形成されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟な可撓性壁を有す
る樹脂製容器であって、輸液、透析液、臓器保存液等を
収納した医療用容器に関するものであり、特に、患者へ
の適用に際して従来から問題となっている電解質異常、
例えば、肝障害者等に見られるアシドーシス症状の緩和
や輸液時の嘔吐、悪寒等を軽減することができる輸液、
透析液、臓器保存液等を提供すると共に、これ等の主要
成分の保存性を高めることができる医療用容器に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】最近、輸液、透析液及び臓器保存液の医
療用関係の電解質溶液等は柔軟な樹脂製の容器に充填さ
れて提供されている。このような医療用容器には二枚の
樹脂シートを重ね互いの周縁を熱シールして成形したも
の、射出成形したもの、ブロー成形したもの等がある。
また医療用容器には排出口が形成され、医療用容器が輸
液容器であれば排出口には点滴針等が刺通される。また
高カロリー輸液用剤が充填された医療用容器において
は、二室に分割した容器が提案されている(特開昭63
−19149号公報)。高カロリー輸液用剤中には糖類
とアミノ酸とが含まれるものがあり、かかる医療用容器
ではこれらの溶液を別々の室に収納している。これは、
糖類とアミノ酸を一緒にして高圧蒸気滅菌処理すると、
メイラード反応により変色を起こすからである。このよ
うな医療用容器の互いに隣接する室と室とは隔離シール
部により隔離され、隔離シール部は室を外側から押圧し
て室内を昇圧したときに剥離開放しうるようになってい
る。従って、製造時及び保存時は糖類溶液とアミノ酸溶
液とは区分して収納され、その使用の際には、容器本体
を圧迫するだけで容易に両液を混ぜ、完全な糖類−アミ
ノ酸溶液からなる高カロリー輸液用剤を提供できるよう
になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
医療用容器は以下の点で問題が見られる。医療用剤であ
る頻用電解質維持液用剤、血漿増量剤及び高カロリー輸
液用剤には電解質の他に、糖類、例えば、グルコース、
フルクトース、キシリトース、ソルビトース等が1〜5
0重量%の範囲で含まれる。更にはアミノ酸等も添加さ
れている。透析液や保存液においてもこのような糖類が
添加されている。しかし、このような糖類が添加された
医療用剤のPH値が6.0以上であれば、上述の医療用
容器に充填して蒸気滅菌した場合、液剤中の糖類が直ぐ
に変色したり、また保存期間中に変色したりすることが
ある。このため、PH値を5.5以下、特に、5.0以
下に維持して医療用剤等を調整して医療用容器に収納
し、滅菌処理を行っている。しかしながら、PH値を
5.5以下に、特にPH値を5.0以下にした医療用剤
を提供すると、投与患者又は適用患者が下痢、嘔吐、腎
障害等を起こす原因となり、患者に軽度の負担、場合に
よっては重度の負担がかかることがある。
【0004】また、人体の血漿中の重炭酸濃度は、通常
24mEq/L程度である。輸液により重炭酸を直接体
内に投与する場合、また血液透析や腹膜透析により間接
的に投与する場合等には、それぞれの溶液の重炭酸濃度
を血漿中の濃度に合わせて調合することが望ましい。し
かし、輸液用剤等は上述のように樹脂製の医療用容器内
に充填されて、通常高圧蒸気滅菌等により完全に滅菌し
た状態で病院に提供される。このため、予め重炭酸を容
器内に電解質液として調合しておくと、重炭酸は高圧蒸
気滅菌時に殆ど炭酸ガスに分解する。また、従来のプラ
スチックの医療用容器に重炭酸を充填して高圧蒸気滅菌
をしなくても、希釈された溶液内では、重炭酸は炭酸ガ
スに分解して消失する。このため、輸液用剤や透析液等
には重炭酸が用いられず、体内でこれに替わるものが添
加されている。血漿中等の重炭酸濃度を一定に保つため
には、重炭酸に替わるものとしてアセテート又はラクテ
ート等が調合されている。しかしながら、従来の輸液用
剤等に多量のアセテート等を用いた場合、アセテート等
は直ぐに体内で分解されない患者、例えば肝障害のある
患者がいるため、患者の体内はアシドーシスの傾向が見
られる。
【0005】従って、本発明は、腎障害、下痢、嘔吐等
の生じることがなく、また投与時のPH値も高く維持で
きる輸液用剤、透析液用剤、及び臓器保存剤等の医療用
剤が充填された医療用容器を提供することを目的とす
る。本発明はまた、アシドーシス等の電解質異常等を起
こすことのない輸液用剤、透析液用剤、及び臓器保存剤
等の医療用剤が充填された医療用容器を提供することを
目的とする。本発明は更に、容器内に上記の好ましい医
療用剤を安全で、確実に提供できる構造とした医療用容
器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明性及び可
撓性の壁を有する樹脂素材からなり且つ排出口を具備
し、内部に母液とPH調整剤とが分けて充填される医療
用容器であって、上記母液とPH調整剤とは隔離シール
部で隔離されたそれぞれの収納室に充填され、上記隔離
シール部は該収納室内の昇圧によって少なくとも一部を
剥離開放しうるピールシール部で形成され、また、上記
PH調整剤が収納される収納室に上記排出口が形成され
ていることを特徴とする医療用容器を提供することによ
り、上記目的を達成したものである。
【0007】上記医療用容器は可撓性壁を有する。可撓
性壁は撓むことにより医療用容器内の容積が容易に変化
するものであれば良い。また、医療用容器壁は内容物の
確認できる程度に透明性を有する。後述するように、医
療用容器の使用に際して母液とPH調整剤とが容器内で
混合されるため、その混合状態を確認する上で必要とな
るからである。上記医療用容器は樹脂素材からなり、イ
ンフレーションフィルム、チューブ、シート及びフィル
ムから成形したもの、押出成形、射出成形、又はブロー
成形したものである。医療用容器の樹脂素材としてはポ
リオレフィン系樹脂、塩化ビニル、塩化ビニリデン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹
脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹
脂、ポリアミド系樹脂等の汎用樹脂である。また樹脂容
器は単層又は多層で形成されていても良い。更に最内層
は融点の異なる樹脂のブレンド物であることが望まし
い。かかるブレンド物は、後述の完全シール部とピール
シール部との異なるシール部形成が容易になる。ブレン
ド物としては特に、ポリエチレンとポリプロピレンのブ
レンド物が望ましい。また樹脂容器材は単層であれ、多
層であれ、水蒸気、及びガスのバリアー性層が設けられ
ていることが望ましい。このようなバリアー層は、アル
ミニウム等の金属層、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニル
アルコール等がある。
【0008】上記医療用容器内には母液とPH調整剤と
が分けて充填される。母液は輸液、透析液、臓器保存液
に用いられる成分であり、例えば、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、クロール、リン等、そ
の他の人体に存在する無機電解質、酢酸、乳酸、クエン
酸等、その他の人体に存在する有機電解質等であり、ま
た、電解質の他に糖類、アミノ酸、蛋白質、脂肪等のエ
ネルギー、必要により生理活性物質、ビタミン等も含ま
れる。尚、母液は医療用容器に無菌的に充填しても良い
が、医療用容器の収納室に液密収容した後、蒸気滅菌処
理されたものであることが望ましい。かかる滅菌処理に
より、母液の滅菌が確実になされ、患者への安全な投与
ができるからである。PH調整剤は、上記電解質を構成
する無機塩又は有機塩である。また、これらのPH調整
剤が母液に溶解したとき、本来の輸液用剤、透析液用
剤、及び臓器保存液用剤が構成される。従って、本発明
では母液中の電解質成分の一部がPH調整剤として分離
して医療用容器に収納される。PH調整剤として具体的
には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、燐酸ナトリウ
ム、燐酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等の無機塩、又は酢酸ナトリウム、酢
酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、クエン酸
ナトリウム、クエン酸カリウム等の有機塩である。
【0009】上記母液とPH調整剤とは隔離シール部で
隔離されたそれぞれの収納室に充填され、上記隔離シー
ル部は該収納室内の昇圧によって少なくとも一部を剥離
開放しうるピールシール部で形成される。上記ピールシ
ール部は弱シール部とも称され、外部から室或いは容器
を圧迫し、内部が一定の昇圧状態になったときに剥離す
るシール部である。上記ピールシール部の剥離強度は、
室内の圧が0.01〜1.0Kgf/cm2、特に、
0.05〜0.5Kgf/cm2の昇圧で剥離する強度
が望ましい。上記範囲を下回る強度であれば、製造、運
搬、保存時等の隔離状態を保つための安全性に欠ける。
上記範囲を上回る強度であれば、用時に室と室同士の連
通操作を容易にすることができなくなるおそれがある。
上記PH調整剤が収納される収納室には上記排出口が形
成されている。輸液用或いは腹膜透析用の医療用容器で
あれば、排出口は点滴用等の針が刺通される構造となっ
ている。また、その他に臓器保存液用の医療用容器であ
れば、通常のキャップ等で液密に閉じた排出口となって
いる。
【0010】次に、本発明に係る医療用容器の製造方法
を説明する。先ず、上記樹脂素材を用いて可撓性の容器
本体を成形し、隔離シール部を形成した後、一の収納室
に母液を充填する。隔離シール部に於けるピールシール
部の形成は、それ自体公知の方法を採用することができ
る。例えば、容器本体の内層の樹脂の融点又はピカット
軟化温度に基づいてヒートシール温度、ヒート時間等の
条件を設定することにより、隔離シール部の上記剥離強
度を得ることができる。収納室に上記母液を液密に充填
した後、容器本体と共に上記母液を蒸気滅菌処理する。
滅菌温度は100〜140℃、特に、105℃〜120
℃の範囲で高圧蒸気滅菌を行うことが望ましい。滅菌温
度が上記範囲以下では母液の滅菌処理が十分になされな
いおそれがあり、また滅菌時間がかかり過ぎる不具合が
ある。上記範囲を上回る滅菌温度では、容器自体が軟化
して変形し、また隔離シール部の剥離強度を変えてその
機能を失わせるおそれがある。滅菌処理後、排出口が設
けられた他の収納室に上記PH調整剤を充填して充填口
を液密に閉じる。PH調整剤は無菌充填しても良く、ま
た無菌保証を高めるために、上記PH調整剤を充填した
後、蒸気滅菌や、収納室の外側から加熱滅菌や、γ線、
電子線、紫外線等の照射滅菌等をしても良い。尚、排出
口はかかるPH調整剤の充填の直前に収納室に形成して
も良く、また、上記蒸気滅菌処理前、或いは母液の充填
前に収納室に形成しても良い。
【0011】このように構成した医療用容器にあって
は、PH調整剤をアルカリ性にして、母液のPH値をで
きるだけ低くしている。このため、母液は蒸気滅菌時、
及びその後の保存時においても変色、変質等を起こすお
それがない。特に、糖類等が含まれていても変色、変質
が生じにくい。一方、その使用に際しては、収納室を外
側から押圧することにより、隔離シール部が剥離開放し
PH調整剤が母液に無菌的操作で溶解する。このため、
母液のPH値が上昇して最適値となるので、これを患者
に投与或いは適用しても下痢、嘔吐、腎障害等を起こす
おそれが少なくなる。更に、医療現場では、忙しさに忙
殺され、隔離シール部を剥離開放しないで母液のみを患
者に適用するミスが生じる場合がある。しかし、本発明
に係る医療用容器では、PH調整剤の収納室に排出口が
設けられているので、必ず隔離シール部を剥離開放して
母液とPH調整剤とを混合しなければ、患者に点滴や適
用できなくなっている。従って、医療用容器の操作上、
輸液等の医療用剤を安全で、確実に提供した後、点滴等
ができる。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載の医
療用容器において、上記PH調整剤が、重炭酸塩又は炭
酸塩からなることを特徴とする。PH調整剤は、上述の
無機塩、有機塩であっても良いが、重炭酸塩又は炭酸塩
を含むことにより、以下の作用効果が更に生じる。医療
用剤が輸液や腹膜透析液の場合、かかる重炭酸塩等をP
H調整剤とすることにより、重炭酸が直接液内に含まれ
ることとなる。従来、長く保存する医療用容器におい
て、このような重炭酸の添加した輸液用剤が提案された
ものの、保存中、重炭酸塩は電解質溶液として母液に存
在するため炭酸ガスに容易に変化して消失を起こしてい
た。このため、かかる電解質を含む医療用容器は未だ明
確な提供がなされていない。しかしながら、本発明にあ
っては、重炭酸が主要な母液の収納室から分かれて他の
収納室に充填され、また主要母液中の塩の一部を、重炭
酸のアルカリ性塩剤として割り当て、重炭酸は炭酸ガス
として分解するのを防止した状態で収納室に充填され
る。このため、殆どの重炭酸が分解せずに塩として存在
させることができる。従って、このような重炭酸を含む
医療用容器が提供されることとなり、かかる医療用容器
の使用により、患者は、体内でのPH値が維持され、従
来のものと相違してアシドーシス等の電解質異常を生じ
ることがない。また、重炭酸の電解質量の添加割合に応
じて酢酸や乳酸等の電解質を少なくなくできるため、体
内に直接重炭酸が作用し、体内中の重炭酸濃度を一定と
することができる。母液に重炭酸塩を溶解したとき、そ
の重炭酸の電解質濃度は1〜40mEq/L、特に、5
〜30mEq/Lとなることが望ましい。上記範囲を下
回る場合は、重炭酸により上記アシドーシス等に対する
効果が十分に達成されなおそれがある。また、上記範囲
を上回れば、アルカリローシスのおそれが生じる。ま
た、請求項2記載の発明は重炭酸塩の添加により、投与
輸液剤のPH値を最適値まで高めることができる。この
ような医療用剤は、通常の透析液及び臓器保存液にも十
分に適用できるものである。
【0013】請求項3記載の本発明は、請求項1記載の
医療用容器において、上記母液が輸液成分又は透析液成
分であり、上記母液のPH値が5.5以下であり、上記
母液に上記PH調整剤を溶解したときのPH値が6.0
〜8.5となることを特徴とする。PH調整剤をアルカ
リ性塩とし、上記母液に含まれるべき塩基を少なくして
上記母液のPH値を5.5以下、より好ましくは5.0
〜2.0の範囲とすることにより、特に母液中に存在す
る糖類等が高圧蒸気滅菌中に変色等の変質を起こすおそ
れが少なくなる。上記母液に上記PH調整剤を溶解した
ときの輸液剤又は透析液剤のPH値が6.0〜8.5、
より好ましくは、6.5〜7.5の範囲とすることによ
り、患者への投与或いは適用の際に、患者に下痢や嘔吐
や腎障害や感染症等の併発のおそれが極めて少なくな
る。請求項4記載の本発明は、請求項3記載の医療用容
器において、上記母液の輸液剤成分は更に複数の収納室
に区分されて収納されていることを特徴とする。糖類及
びアミノ酸等を一緒に投与することを必要とする高カロ
リー輸液においては、糖類の溶液とアミノ酸との溶液を
分けて蒸気滅菌する必要がある。このため、上記のよう
に母液成分を更に分けて収納することが望まれる場合が
ある。そして、この場合、高カロリー輸液においては、
糖溶液を含む母液成分のPH値を低くして、ブドウ糖溶
液を安定に維持することができる。
【0014】請求項5記載の本発明は、請求項1記載の
医療用容器において、上記可撓性壁を有する樹脂素材
は、少なくとも内層が異なる融点を有するポリオレフィ
ン系樹脂ブレンド物からなることを特徴とする。医療用
容器の最内層は収納成分に悪影響を与えない点でポリオ
レフィン系樹脂が望ましい。例えば、直鎖状低密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体等である。また、これらの樹
脂の中でも耐熱性、透明性等の点からメタロセン触媒を
用いて製造した樹脂であることが望ましい。また最内層
のブレンド物の融点の温度差は大きいことが望ましく、
また融点の温度は低い範囲であることも望ましい。この
ような融点の関係にあるポリオレフィン系樹脂であれ
ば、ヒートシールの温度管理、特にピールシール部を形
成する場合には両者の融点の間のヒートシール温度を採
用することにより、ブレンド物の一部を溶融させて剥離
強度の調節が簡単にできる。
【0015】
【実施例】以下、本発明に係る医療用容器の好ましい実
施例を添付図面を参照しながら詳述する。図1は本発明
に係る医療用容器の第一実施例の正断面図である。図2
は第一実施例の医療用容器の使用時の正断面図である。
図3は第一実施例の医療用容器の変形例を示す正断面図
である。図4は本発明に係る医療用容器の第二実施例の
正断面図である。図5は第二実施例の医療用容器の使用
時の正断面図である。
【0016】本実施例に係る医療用容器1は、図1及び
図2に示す如く透明性及び可撓性の壁を有する樹脂素材
からなり且つ排出口2を具備し、内部に母液3とPH調
整剤4とが分けて充填される医療用容器である。医療用
容器1は、母液3とPH調整剤4とは隔離シール部5で
隔離されたそれぞれの収納室6、7に充填され、上記隔
離シール部5は該収納室6、7内の昇圧によって剥離開
放しうるピールシール部で形成され、また、上記PH調
整剤4が収納される収納室6に上記排出口2が形成され
ている。
【0017】第一実施例に係る医療用容器1を更に詳し
く説明すると、医療用容器1は図1及び図2に示す如
く、インフレーション成形した透明で柔軟な可撓性樹脂
シートを所定の大きさに裁断して裁断端部1A、1Bが
熱溶着シールされて成形されている。シートは肉厚が2
50μmで、内層が厚み50μmの直鎖状低密度ポリエ
チレンとポリプロピレンとのブレンド物で、外層が厚み
200μmの低密度ポリエチレンの二層構造からなる。
直鎖状低密ポリエチレンは融点が126℃で、ポリプロ
ピレンは融点が160℃である。また、内層は直鎖状低
密度ポリエチレンとポリプロピレンとを65:35の割
合でブレンドしたものである。端部シール部1A、1B
は固着シール部で殆ど剥離せず、剥離しようとするとシ
ートの破断が生じる非剥離シール部である。医療用容器
1は隔離シール部5によってPH調整剤4の収納室6と
母液3の収納室7により区分されている。隔離シール部
5は剥離開封可能なシール部として形成され、母液3の
収納室7を0.2Kgf/cm2以上で圧迫した時に剥
離開封する。端部シール部1Aには排出口2が設けられ
ている。排出口2は樹脂製の排出ポート21と排出ポー
ト21の開口を閉止するゴム栓22とからなり、ゴム栓
22に点滴用針8が刺通されるようになっている。
【0018】図2に示す如く、本実施例の医療用容器1
には母液3とPH調整剤4と混ぜた輸液用剤9が収容さ
れ、輸液用剤9は電解質維持液であり、不感蒸泄、尿中
排泄により生理的水分や電解質の補充に使用されるもの
であり、経口摂取不能で、嘔吐、下痢、異常発汗等の異
常経路からの体液喪失が続いていない患者等に適用され
る。母液3とPH調整剤4と混ぜた輸液用剤9は、浸透
圧が血漿の1/2〜2/3の低張であり、電解質中のN
aが30〜60mEq/Lの範囲で含まれ、Kが10〜
30mEq/Lの範囲で含まれ、Clが20〜50mE
q/Lの範囲で含まれる。また、その他の電解質とし
て、重炭酸が24mEq/Lの範囲で含有され、アセテ
ート又はラクテートの濃度は、24mEq/L以下、特
に重症肝障害者には、15〜0mEq/Lの範囲で含ま
れる。また、輸液用剤9は、カロリー補給も必要とする
ため、糖類が1〜15重量%の範囲で含まれる。糖類の
含有量が上記範囲を下回ればカロリー補給の意義が失わ
れ、上記範囲を上回れば、通常の静脈投与をすると、血
管壁に障害を与えるおそれがある。更に、本実施例の輸
液用剤9は、そのPH値が6.5〜7.5の範囲にあ
る。
【0019】図1に示す如く、医療用容器1における収
納室6にはPH調整剤4が収納され、PH調整剤4は重
炭酸ナトリウムの粉末からなる。重炭酸ナトリウムはア
ルカリ性剤であり、1:30の水溶液としてのPH値は
8.5〜9.5になる。重炭酸ナトリウムとしては日本
薬局方に基づく重曹粉末である。重炭酸ナトリウムは輸
液用剤9に24mEq/Lが用いられ、且つ医療用容器
1に液が1000mL収納されることから、炭酸水素ナ
トリウムは、2.02gの容量で収納室6に収納され
る。一方、母液3は、輸液用剤9の成分から重炭酸ナト
リウム24ミリmolを差し引いた溶液として収納室7
に収納される。従って、母液3にはナトリウム塩が少な
く調整され、母液3のPH値は4.0〜5.0の範囲と
なっている。また、母液3は医療用容器1と共にオート
クレーブ滅菌処理が成されている。
【0020】次に、本実施例の医療用容器1の製造方法
について簡単に説明する。先ず、インフレション成形し
た上記樹脂シートを所定の長さに裁断し、樹脂シートの
中間部に隔離シール部5を形成する。隔離シール部5の
ヒートシール温度は140℃で12秒間行う。かかるヒ
ートシール温度条件では樹脂シートの内層のポリプロピ
レンが十分に溶融しないため剥離可能なシール部として
形成される。次に、裁断された一端部1Aを熱溶着シー
ルする。ヒートシール温度は170℃で、5秒間行い、
互いの端縁を固着シール部とする。尚、かかるヒートシ
ールの際に端縁に排出ポート21を取り付ける。樹脂シ
ート内を熱溶着シールする。洗滌、乾燥する。ヒートシ
ール温度は170℃で、5秒間行い、互いの端縁を固着
シール部として容器本体を製造する。母液3を容器本体
と共にオートクレーブ滅菌処理する。滅菌温度を115
℃で行う。次に、排出ポート21から上記PH調整剤4
を収納室6に無菌充填し、充填後、排出口16をゴム栓
22で液密に閉じる。尚、PH調整剤4の無菌充填後、
収納室6を110℃程度の加熱滅菌、或いは電子線滅菌
を収納室6の外側から行っても良い。
【0021】このように構成された本実施例の医療用容
器1にあっては、収納室7の母液3はPH値が4.0〜
5.0であるため、その製造時、及び保存時において糖
類等の変色、変質を起こすおそれがない。医療用容器1
を使用する場合、先ず、収納室7を押圧して隔離シール
部5を剥離開放し、収納室6と収納室7とを連通する。
これにより、母液3中にPH調整剤4が溶解し、医療用
容器1内に輸液用剤9が生じる。次に、排出口2のゴム
栓22に点滴用針8を刺通し、患者に点滴を行う。従っ
て、母液3とPH調整剤4とを混合した輸液用剤9は、
PH値が6.5〜7.5であるため、患者に投与しても
下痢、嘔吐、腎障害等を起こすおそれが少なくなる。ま
た、医療用容器1は、PH調整剤4の収納室6に排出口
2が設けられ、必ず隔離シール部5を剥離開放して母液
3とPH調整剤4とを混合しなければ、患者に点滴でき
ないので、隔離シール部5を剥離開放しないで母液3の
みを患者に適用するミスを生じることはない。更に、重
炭酸塩等をPH調整剤4とすることにより、輸液用剤9
に重炭酸を電解質として含めることができる。また、保
存時、重炭酸は粉末のPH調整剤4として母液3とは区
別して存在するため、長期間安定な状態に置くことがで
き、従来のように、母液に存在するために炭酸ガスに容
易に変化して消失を起こすおそれがない。従って、この
ような重炭酸を含む医療用容器1の使用により、患者
は、体内でのPH値が維持され、従来のものと相違して
アシドーシス等の電解質異常を生じることがない。ま
た、重炭酸の電解質量の添加割合に応じて酢酸や乳酸等
の電解質を少なくなくできるため、体内に直接重炭酸が
作用し、体内中の重炭酸濃度を一定とすることができ
る。
【0022】図3は、第一実施例の変形例を示す医療用
容器31である。医療用容器31は体内の投与液として
用いられる電解質液が収容された医療用容器、特に高張
糖質液からなり、中心静脈経路より投与される高カロリ
ー輸液剤の医療用容器である。かかる医療用容器31内
は3つの室32、33、34に分かれ、室32と室33
と及び室33と室34との隔離シール部35、36の全
部はピールシール部で形成され、第一室32には第一母
液41が収納されて容器と共に蒸気滅菌がなされ、第二
室33には第二母液42が収納され蒸気滅菌が成されて
いる。また、排出口37が設けられた第三室34にはP
H調整剤43が無菌充填されている。第一母液41、第
二母液42及びPH調整剤43が混合すると高カロリー
輸液用剤となる。高カロリー輸液用剤は中心静脈から投
与され、糖質が10乃至50重量%、特に15乃至30
重量%の範囲で含まれる高カロリー輸液剤である。かか
る輸液剤は、腸管などの大量切除、小腸病変、重症下痢
症などの患者に栄養補給を目的として行われる。糖質
は、主にブドウ糖が用いられるが、ブドウ糖の他には、
フルクトース、キシリトース、ソルビトース等も用いら
れる。高カロリー輸液用剤には、糖質の他に適宜電解質
が含有され、電解質としては、Na(ナトリウム)、K
(カリウム)、Cl(クロール)、Ca(カルシウ
ム)、Mg(マグネシウム)等が挙げられる。また、必
要により、Zn(亜鉛)、P(リン)、Fe(鉄)、C
u(銅)等の微量金属類、及びクエン酸、グルコン酸、
酢酸(アセテート類)、乳酸(ラクテート類)等の有機
酸も添加される。これらの電解質及び有機酸は、塩酸
塩、乳酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、グルコン酸
塩、グリセロリン酸塩として用いられ、Caにあって
は、グリセロリン酸塩として用いられる。また、沈殿な
どを生じないようにP供給を十分にするために、多価ア
ルコール又は糖のリン酸エステルなどが用いられる。N
aは0〜160、特に20〜80mEq/Lの範囲濃度
で用いられる。Kは0〜80、特に10〜70mEq/
Lの範囲濃度で用いられる。Clは0〜160、特に2
0〜80mEq/Lの範囲濃度で用いられる。Caは0
〜20、特に4〜15mEq/Lの範囲濃度で用いられ
る。Mgは0〜25、特に6〜20mEq/Lの範囲濃
度で用いられる。Pは0〜500、特に120〜350
mg/Lの範囲濃度で用いられる。Znは0〜40、特
に5〜30μmolの範囲濃度で用いられる。高カロリ
ー輸液用剤には、アセテート又はラクテート等の電解質
の替わりに重炭酸が24mEq/Lの濃度で含有され
る。かかる高カロリー輸液用剤のPH値は6.5〜7.
5となっている。また、高カロリー輸液用剤には、糖質
以外に、三大栄養素であるアミノ酸製剤が含まれてい
る。
【0023】第一母液41は上記糖質と電解質との母液
成分からなる。但し、PH調整剤43である重炭酸ナト
リウムが第三室34に充填されるため、輸液用剤から重
炭酸ナトリウムが除かれたものである。このため、第一
母液41のPH値は5.0以下となっている。第二母液
42はアミノ酸製剤である。アミノ酸製剤としては、必
須アミノ酸(E)と非必須アミノ酸(N)とが配合さ
れ、その配合比はほぼ1程度に維持される。またアミノ
酸投与は十分量の糖質と併用投与することが必要であ
り、アミノ酸中の窒素1gに対する投与カロリー量の割
合は150〜200を目標としている。また、肝性昏睡
に陥った患者には分岐鎖アミノ酸製剤が投与される。ア
ミノ酸製剤は、輸液剤中に0.5〜15、特に1〜10
重量%で含有することが望ましい。アミノ酸は、グリシ
ン、L−アラニン、L−プロリン、L−アスパラギン
酸、L−セリン、L−チロシン、L−グルタミン酸、L
−システイン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−
バリン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルア
ラニン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−ア
ルギニン、L−ヒスチジン等がある。アミノ酸は、遊離
アミノ酸だけでなく、その無機塩類、有機塩類、生体内
で加水分解可能なエステル、2以上のペプチド等のよう
にダイマーとして使用される場合もある。PH調整剤4
3は第一実施例と同様に粉末の重炭酸ナトリウムが無菌
充填されている。このように構成される医療用容器31
においては、第一実施例と同様な作用効果を奏する他
に、糖類とアミノ酸類とが区分して配されるため、メイ
ラード反応を起こすことがない。
【0024】次に、本発明に係る医療用容器の第二実施
例を図4及び図5に従って説明する。図4及び図5に示
す如く、本実施例の医療用容器51は循環系での透析
液、即ち糖を含んだ電解質溶液からなり、腹腔内に注入
される腹膜透析液の医療用容器である。そして、医療用
容器51は、可撓性壁を有する樹脂素材からなり且つ排
出口52を具備し、に母液53とPH調整剤54とが分
けて充填される。母液53とPH調整剤54とは隔離シ
ール部55で隔離されたそれぞれの収納室56、57に
充填され、隔離シール部55は収納室56、57内の昇
圧によって少なくとも一部を剥離開放しうるピールシー
ル部で形成され、また、PH調整剤54が収納される収
納室57に排出口52が形成されている。
【0025】本実施例に係る腹膜透析液の医療用容器5
1を更に詳しく説明すると、容器51は、急性或いは慢
性腹膜透析用の透析液を含む腹膜透析液用容器である。
本実施例において具体的には、容器51は、高密度ポリ
エチレンを押出し成形して作製したシートを延伸し、所
定の大きさに裁断して形成されたものである。裁断した
シートは2枚に重ねられ、2枚のシートは熱溶着により
所定の四方が完全に固着シールされ、周縁シール部51
A及び隔離シール部55の所定の部分は非剥離状態にな
っている。樹脂シートは、厚みが50μmで、波長25
0nmにおける紫外線透過率が厚み10μmで60%以
上で、特に70%以上で、その密度が0.95〜0.8
5g/cm3の範囲にある特性を有する。かかる樹脂シ
ートであれば、収納室57の外側から収納室57内が十
分に紫外線照射できる。医療用容器51は長さが500
mmで幅が300mmに形成されており、医療用容器5
1の容器壁の厚みは、100〜10μm、特に60〜3
0μmであることが望ましい。容器壁の厚みが上記範囲
を上回ると、後述する紫外線照射装置によるPH調整剤
54の照射滅菌が困難となり、大量生産ラインに乗せ難
くなる。また上記範囲を下回ると、容器壁の破断する機
会が多くなる不具合がある。隔離シール部55の中央の
一部にはピールシール部が形成されている。
【0026】母液53とPH調整剤54とが混合した腹
膜透析液59は、電解質に重炭酸を15mEq/Lの濃
度範囲で含み、且つpHが6.0〜7.5の範囲であ
る。また、PH調整剤54は酢酸ナトリウム及び重炭酸
ナトリウムであり、糖質を含んだ母液53に配合される
電解質は、Na+ を90〜150mEq/Lの濃度範
囲で、Ca2+ を0〜6mEq/Lの濃度範囲で、Mg
2+ を0〜3mEq/Lの濃度範囲で、Cl- を90〜
135mEq/Lの濃度範囲で含み、液浸透圧が300
〜680mOsm/lである。母液53は収納室56に
2000mL収納され、PH値が5.5以下に維持さ
れ、母液53は収納室56内で高圧蒸気滅菌処理されて
いる。高圧蒸気滅菌処理温度は110℃である。PH調
整剤54は、酢酸ナトリウムが20ミリmol、重炭酸
ナトリウムが30ミリmol用いられている。PH調整
剤54が充填された収納室56の厚みは、容器壁の厚み
を含めて、200μm以下、特に120μm以下であ
る。収納室56を両面から照射滅菌する場合、上記範囲
内にあれば、簡易な紫外線照射滅菌装置により簡単にす
ることができる。PH調整剤54は収納室57の外側か
ら内部に照射滅菌されている。本実施例では収納室57
内の照射滅菌は紫外線照射滅菌によりなされている。本
発明の照射滅菌処理は、γ線、電子線、及び紫外線によ
る照射滅菌処理でも良い。しかし、極めて簡単な設備に
より滅菌できる点、及びその経済性及び大量生産適応性
の点から低電圧型電子線照射滅菌或いは紫外線照射滅菌
も望ましい。
【0027】このように構成された本実施例の腹膜透析
液の医療用容器51では、PH調整剤54中の重炭酸塩
が第一実施例と同様に容器51外へと消失するおそれが
ない。また、重炭酸塩及び酢酸塩は紫外線照射時に変質
等を生じるおそれのない物質であるため、紫外線照射滅
菌が問題なく容器壁越しになされ、確実な滅菌がなされ
ている。腹膜透析液の医療用容器51の使用に際して
は、収納室56と収納室57が連通され、母液53とP
H調整剤54とが混合され、容器51内で腹膜用透析液
59ができる。母液53と混合したとき、PH調整剤5
4は母液53のPH値を上昇させ、結局、容器51内
に、無菌的にPH調整された腹膜透析液59が家庭内で
も提供されることとなる。患者に適用する場合は、容器
51の排出ポート52にカテーテル等の連通針が刺通さ
れ、カテーテルは患者の腹腔内に接続される。そして、
容器51内の透析液59が腹腔内に流入して透析が行わ
れる。この場合、透析液59中の重炭酸の濃度が、患者
側の体液中の濃度に合わせてあるため、体液から重炭酸
が透析液中に流出して、アシドーシスを起こすことがな
い。また、重炭酸の濃度を調整することにより、アルカ
ローシス等も防止し、電解質異常を起こすことがない。
上記実施例では、医療用容器51の充填物を腹膜用透析
液59とした。しかし、本発明では、かかる透析液に限
る必要はなく、人工腎臓用環流液、人工腎臓用透析液、
人工腎臓補充液等にも有用に適用することができる。上
記各実施例では、医療用容器を輸液用剤或いは透析液に
用いたが、臓器保存液等に用いても良い。上記各実施例
では、インフレーション樹脂シートから容器本体を成形
したが、可撓性で透明性を有する限り、ブロー成形物、
射出成形物、真空成形物等であっても良い。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る医療用
容器によれば、透明性及び可撓性の壁を有する樹脂素材
からなり且つ排出口を具備し、内部に母液とPH調整剤
とが分けて充填される医療用容器であって、上記母液と
PH調整剤とは隔離シール部で隔離されたそれぞれの収
納室に充填され、上記隔離シール部は該収納室内の昇圧
によって少なくとも一部を剥離開放しうるピールシール
部で形成され、また、上記PH調整剤が収納される収納
室に上記排出口が形成されているので、腎障害、下痢、
嘔吐等の生じることがなく、また投与時のPH値も高く
維持できる輸液用剤、透析液用剤、及び臓器保存剤等の
医療用剤が充填された医療用容器とすることができる。
また、アシドーシス等の電解質異常等を起こすことのな
い輸液用剤、透析液用剤、及び臓器保存剤等の医療用剤
が充填された医療用容器とすることができる。更に操作
上、容器内に上記の好ましい医療用剤を安全で、確実に
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る医療用容器の第一実施例の
正断面図である。
【図2】図2は第一実施例の医療用容器の使用時の正断
面図である。
【図3】図3は第一実施例の医療用容器の変形例を示す
正断面図である。
【図4】図4は本発明に係る医療用容器の第二実施例の
正断面図である。
【図5】図5は第二実施例の医療用容器の使用時の正断
面図である。
【符号の説明】
1、31、51 医療用容器 1A、1B 端縁シール部 2 排出口 3 母液 4 PH調整剤 5 隔離シール部 6、7 収納室

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性壁を有する樹脂素材からなり且つ
    排出口を具備し、内部に母液とPH調整剤とが分けて充
    填される医療用容器であって、 上記母液とPH調整剤とは隔離シール部で隔離されたそ
    れぞれの収納室に充填され、上記隔離シール部は該収納
    室内の昇圧によって少なくとも一部を剥離開放しうるピ
    ールシール部で形成され、また、上記PH調整剤が収納
    される収納室に上記排出口が形成されていることを特徴
    とする医療用容器。
  2. 【請求項2】 上記PH調整剤が、重炭酸塩又は炭酸塩
    からなることを特徴とする請求項1記載の医療用容器。
  3. 【請求項3】 上記母液が輸液成分又は透析液成分であ
    り、上記母液のPH値が5.5以下であり、上記母液に
    上記PH調整剤を溶解したときのPH値が6.0〜8.
    5となることを特徴とする請求項1記載の医療用容器。
  4. 【請求項4】 上記母液の輸液成分は更に複数の収納室
    に区分されて収納されていることを特徴とする請求項3
    記載の医療用容器。
  5. 【請求項5】 上記可撓性壁を有する樹脂素材は、少な
    くとも内層が異なる融点を有するポリオレフィン系樹脂
    ブレンド物からなることを特徴とする請求項1記載の医
    療用容器。
JP8357945A 1996-12-26 1996-12-26 医療用容器 Pending JPH10179689A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9004761B2 (en) 2006-05-01 2015-04-14 Baxter International Inc. Multiple chamber container with mistake proof administration system

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9004761B2 (en) 2006-05-01 2015-04-14 Baxter International Inc. Multiple chamber container with mistake proof administration system

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