JPH0951932A - 腹膜透析液用容器 - Google Patents

腹膜透析液用容器

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JPH0951932A
JPH0951932A JP7230726A JP23072695A JPH0951932A JP H0951932 A JPH0951932 A JP H0951932A JP 7230726 A JP7230726 A JP 7230726A JP 23072695 A JP23072695 A JP 23072695A JP H0951932 A JPH0951932 A JP H0951932A
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JP
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container
bicarbonate
peritoneal
mother liquor
electrolyte
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JP7230726A
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English (en)
Inventor
Keinosuke Isono
啓之介 磯野
Hiroshi Motobayashi
博志 本林
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Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 腹膜透析中に体内の重炭酸濃度を安定に維持
し、アルカローシスもアシドーシスも生じることがな
い、電解質異常のない腹膜透析液を、長期間の間安定保
存し、また高圧蒸気滅菌時においても透析液を全く変質
させない腹膜透析液用容器を提供。 【構成】 糖を含んだ電解質溶液からなり、腹腔内に注
入される腹膜透析液の容器において、上記腹膜透析液
は、糖及び電解質を含む母液に重炭酸が溶解される液か
らなり、上記母液が充填されるプラスチック容器本体
に、無菌的に連通可能な室又は接続容器が設けられ、上
記室又は接続容器には重炭酸塩が充填されてなることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、腹膜透析の透析液を収
容するコンテナ、或いはバック等の医療用容器に関する
ものであり、より詳細には、患者においてアルカローシ
ス又はアシドーシス等の電解質異常のない腹膜透析液及
びその医療用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】人体の血漿中の重炭酸濃度は、通常24
mEq/L程度である。輸液により重炭酸を直接体内に
投与する場合、また血液透析や腹膜透析により間接的に
投与する場合等には、それぞれの溶液の重炭酸濃度を血
漿中の濃度に合わせて調合することが望ましい。しか
し、輸液や透析液はプラスチックの医療用容器内に充填
されて、通常高圧蒸気滅菌等により完全に滅菌した状態
で病院に提供される。このため、予め重炭酸を容器内の
液に調合しておくと、重炭酸は高圧蒸気滅菌時に殆ど炭
酸ガスに分解する。また、従来のプラスチックの医療用
容器に重炭酸を充填して高圧蒸気滅菌をしなくても、希
釈された溶液内では、重炭酸は炭酸ガスに分解して消失
する。このため、透析液等には重炭酸が使用されず、体
内でこれに代わるものが添加されている。血漿中等の重
炭酸濃度を一定に保つためには、重炭酸に代わるものと
してアセテート又はラクテート等が調合される。例え
ば、腹膜透析液では、以下の組成及び特性を有してい
る。
【0003】・電解質濃度(mEq/L) Na+ ・・・・130〜150 K+ ・・・・必要により Ca2+ ・・・・1〜6 Mg2+ ・・・・0〜3 Cl- ・・・・90〜135 ラクテート-・・30〜45 ・ブドウ糖(g/dl)・・・1〜8 ・浸透圧(mOsm/l)・・300〜680 ・pH ・・・・約5.5 アセテート又はラクテートは、体内で重炭酸を造り、透
析時に消失する重炭酸を補う働きをする。このため、現
在、腎臓透析等における透析液にアセテート又はラクテ
ート等が頻用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
腹膜透析等の透析液にアセテート等を用いた場合、アセ
テート等は直ぐに体内で分解されない患者がいるため、
患者の体内は一時的にアシドーシスの傾向が見られる。
また、腎蔵病患者は、最初から代謝が悪く重炭酸濃度が
健常人より低い傾向にあるため、より重篤な疾患とな
る。また、透析開始後、時間が進むにつれて体内のアセ
テート等の分解が進むと、今度は、逆にアルカローシス
が生じる。このため、アシドーシスでは嘔吐や頭痛が生
じ、重炭酸濃度が増加したアルカローシスにあっては、
悪心、傾眠、不整脈等が見られる。また、腹膜透析(C
APD)にあっては、透析液中にブドウ糖が調合される
ため、高圧蒸気滅菌時にブドウ糖の変質をできるだけ避
ける理由から容器内の透析液のpHは約5.5に設定さ
れる。このため、かかる透析液の酸性状態で腹膜透析を
行うと、腹痛を生じたり、また白血球障害により容易に
感染症を起こす場合がある。更に、病院内であれば滅菌
重炭酸を容器内の溶液に投与することは可能であるが、
腹膜透析は家庭内での治療であるため、かかる処置もで
きない。
【0005】従って、本発明の目的は、腹膜透析中に体
内の重炭酸濃度を安定に維持し、アルカローシスもアシ
ドーシスも生じることがない、電解質異常のない腹膜透
析液を、長期間の間安定保存し、また高圧蒸気滅菌時に
おいても透析液を全く変質させない腹膜透析液用容器を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、糖を含んだ電
解質溶液からなり、腹腔内に注入される腹膜透析液の容
器において、上記腹膜透析液は、糖及び電解質を含んだ
母液に重炭酸が溶解される液であり、上記母液が充填さ
れるプラスチック容器本体に、無菌的に連通可能な室又
は接続容器が設けられ、上記室又は接続容器には重炭酸
塩が充填されてなることを特徴とする腹膜透析液用容器
を提供することにより、上記目的を達成したものであ
る。
【0007】本発明に係る腹膜透析液用容器において、
上記腹膜透析液は、電解質に重炭酸を1〜40mEq/
Lの濃度範囲で含み、且つpHが5.7〜7.5の範囲
であることを特徴とすることにより、アシドーシス患者
だけでなく、アルカローシス患者にも適用することがで
き、また、透析における腹痛や感染症を防止することが
できる。本発明に係る腹膜透析液用容器において、上記
重炭酸塩はナトリウム塩であり、該ナトリウム塩により
上記室又は接続容器内がアルカリ性に維持されることを
特徴とすることにより、透析液の主要電解質であるナト
リウムの一部を用いることができるため、溶液組成の変
更をしないで、上記重炭酸を室内において十分なアルカ
リ性状態にしうる。
【0008】本発明に係る腹膜透析液用容器において、
上記糖を含んだ母液に配合される電解質は、Na+
90〜150mEq/Lの濃度範囲で、Ca2+ を0〜
6mEq/Lの濃度範囲で、Mg2+ を0〜3mEq/
Lの濃度範囲で、Cl- を90〜135mEq/Lの
濃度範囲で、アセテート又はラクテート-を0〜40m
Eq/Lの濃度範囲で含み、液浸透圧が300〜680
mOsm/lであることを特徴とすることにより、電解
質異常などが見られない腹膜透析液とすることができ
る。
【0009】
【作用】上記腹膜透析液用容器にあっては、重炭酸が容
器本体の主要な母液から分かれて充填され、また主要母
液中の電解質の一部を、重炭酸のアルカリ性塩剤として
割り当て、重炭酸は炭酸ガスとして分解するのを防止し
た状態で室又は接続容器に充填される。このため、容器
本体の全体を高圧蒸気滅菌したときも、殆どの重炭酸が
分解せずに塩として存在させるることができる。また容
器本体が長期保存に付された場合でも、重炭酸塩は分解
することなく室内又は接続容器内に無菌的に維持され
る。尚、これらの重炭酸塩は、粉末或いは、水、アルコ
ールの懸濁液、濃厚液として提供される。
【0010】また重炭酸塩として一部ナトリウム塩を重
炭酸の充填室側等に配合するため、糖溶液を含む主要な
母液のpHを低くして、ブドウ糖溶液を安定に維持する
ことができる。また重炭酸と一度反応すると容易に溶解
しないカルシウム塩も、酸性状態に維持されて沈殿を生
じず、カルシウム塩の低濃度溶液に重炭酸塩を混合する
ことから混合時も沈殿等のおそれがない。従って、容器
本体内と重炭酸の充填室又は接続容器とが、使用時に無
菌状態で母液と混合され、腹膜透析液として提供され
る。
【0011】従って、容器に充填された上記腹膜透析液
にあっては、従来の透析液と相違してアシドーシスやア
ルカローシス等の電解質異常を生じることがない。上記
腹膜透析液で透析すると、重炭酸の添加割合に応じてア
セテートやラクテート等の電解質が少なくなっているた
め、体内に直接重炭酸が作用し、体内中の重炭酸濃度が
一定になる。更に、重炭酸の添加により、透析液は、p
Hが5.7〜7.5の範囲に維持することができ、透析
における腹痛や感染症を防止することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明に係る腹膜透析液用容器の好ま
しい実施例を添付図面を参照しながら詳述する。図1は
本発明に係る腹膜透析液用容器の第一実施例の平面図で
あり、図2(a)は図1のI−I線に沿った第一実施例
の接続容器と容器本体との接続部の断面図、図2(b)
は図2(a)のII−II線に沿った第一実施例の接続
容器と容器本体との接続部の断面図であり、図3は、第
一実施例の腹膜透析液用容器を用いた概要図である。
【0013】図1〜図3に示す如く、本実施例の腹膜透
析液用容器1は、糖を含んだ電解質溶液からなり、腹腔
内に注入される腹膜透析液の容器である。そして、腹膜
透析液は、糖及び電解質を含んだ母液4に重炭酸塩6が
溶解される液であり、母液4が充填されるプラスチック
容器本体2に、無菌的に連通可能な接続容器5が設けら
れ、接続容器5には重炭酸塩6が充填されてなる。
【0014】腹膜透析液は、電解質に重炭酸を1〜40
mEq/Lの濃度範囲で含み、且つpHが5.7〜7.
5の範囲である。また、重炭酸塩6はナトリウム塩であ
り、ナトリウム塩により接続容器5内がアルカリ性に維
持される。糖を含んだ母液4に配合される電解質は、N
+ を90〜150mEq/Lの濃度範囲で、Ca2+
を0〜6mEq/Lの濃度範囲で、Mg2+ を0〜3m
Eq/Lの濃度範囲で、Cl- を90〜135mEq
/Lの濃度範囲で、アセテート又はラクテート-を0〜
40Eq/Lの濃度範囲で含み、液浸透圧が300〜6
80mOsm/lである。
【0015】また容器本体2と接続容器5との無菌的連
通可能な構造は、接続容器5が容器本体2に連通可能に
接続されると共に、接続容器5内と容器本体2内との間
を塞ぐシール部12が形成され、シール部12は、外部
からの剥離が可能で接続容器5内と容器本体2内との無
菌的連通を可能にする剥離可能なシール部である。
【0016】本実施例に係る腹膜透析液用容器1を更に
詳しく説明すると、容器1は、急性或いは慢性腹膜透析
用の透析液を含む腹膜透析液用容器である。腹膜透析液
用容器1の容器本体2は、壁面が撓む不定容積性のプラ
スチック容器からなる。本実施例において具体的には、
容器本体2は、直鎖状低密度ポリエチレンを押出し成形
して作製したシートを延伸し、所定の大きさに裁断して
形成される。裁断したシートは2枚に重ねられ、2枚の
シートは熱溶着により所定の四方が完全に固着シールさ
れ、固着シール部3内が母液4の充填部となる。
【0017】容器本体2の固着シール部3の形成の際に
接続容器5が連通可能に接続される。即ち、図2(a)
に示すごとく、接続容器5の接続口部7は容器本体2を
形成する2枚のシート8、9の間に挿入されて熱溶着シ
ールされる。接続容器5はブロー成形容器であり、外層
10と内層11とならなる多層容器である。外層10は
容器本体2と同様な直鎖状低密度ポリエチレンからな
り、内層11は直鎖状低密度ポリエチレンとポリプロピ
レンとのブレンド物からなる。容器本体2と外層10と
を熱溶着により完全に固着シールする温度条件でも、内
層11同士は、その熱溶着のシール条件でも完全な固着
シール部とならない。即ち、図2(b)に示す如く、容
器本体2に固着シール部3を熱シーラーなどで形成する
際に、容器本体2の2枚のシート8、9同士及び接続容
器5の外層10とシート8又は9とは完全な固着シール
部3が形成される。一方、接続容器5の接続口部7の壁
は可撓性を有し、固着シールの際に潰れて接続容器5の
内層11、11同士がシールされ、接続口部7が閉じら
れるが、外側から剥離可能なシール部12が形成され
る。
【0018】容器本体2及び接続容器5の全体に充填さ
れる本発明に係る透析液の組成は、持続性自己管理腹膜
透析用透析液(CAPD)、間歇的腹膜透析用透析液
(IPD)、低Ca−CAPD用透析液等の種類によっ
てその組成に若干差が見られ、以下の範囲で使用され
る。 ・電解質濃度(mEq/L) Na+ ・・・・125〜150 K+ ・・・・必要により Ca2+ ・・・・0〜6 Mg2+ ・・・・0〜3 Cl- ・・・・90〜135 アセテート又はラクテート-・・0〜40 HCO3 ・・1〜40 ・ブドウ糖(g/dl)・・・1〜5 ・浸透圧(mOsm/l)・・300〜680 ・pH ・・・・5.7〜7.5
【0019】透析液中の重炭酸濃度(HCO3 )は、1
〜40、特に4〜40、更には20〜30mEq/Lの
範囲であることが望ましい。上記範囲を下回ると、電解
質異常を十分に防止することができず、また上記範囲を
上回ればアルカローシスとなるおそれがある。従って、
本実施例では、容器本体2に透析液が2L収納されるこ
とから、重炭酸塩としての炭酸水素ナトリウムは、0.
168〜6.52gの範囲で用いられる。また重炭酸塩
6の添加により、アセテート又はラクテートの量は重炭
酸塩の添加量に反比例して添加量を減少させることが望
ましい。例えば、重炭酸濃度(HCO3 )を24mEq
/Lとすれば、ラクテートは0〜30mEq/Lの範囲
であることが望ましい。また、透析液は、pHが5.7
〜7.5、特に6.2〜7.2であることが望ましい。
透析液がこのようなpH範囲にあると、透析時に腹痛等
を生じるおそれがない。
【0020】腹膜透析液は、重炭酸塩6と母液4に分け
て充填され、重炭酸塩6は、接続容器5に充填される。
そして、接続容器5内はアルカリ性状態に維持される。
即ち、重炭酸はアルカリ塩の状態で接続容器5に充填さ
れる。かかるアルカリ塩は、容器本体2の母液4に充填
されるべき塩の一部が割り当てられる。塩としては重炭
酸が母液4に混合されたときに容易に溶解される塩が好
ましく、このような塩としてはナトリウム塩が望まし
い。従って、本実施例では、接続容器5には、炭酸水素
ナトリウム或いは炭酸ナトリウムが充填され、pHが7
以上、特に7.9〜9.0であることが望ましい(1:
30の水溶液としてのpHをいう。)。また、接続容器
5で使用された量のナトリウム塩は、母液4中のナトリ
ウム塩が差し引かれる。接続容器5に充填される重炭酸
塩6としては、日本薬局方に基づく重曹等の粉末、日本
薬局方に基づく炭酸水素ナトリウム注射液のような10
0w/v%の水溶液(懸濁液)或いは濃厚液としての形
態で充填されることが望ましい。本実施例では、このよ
うな重炭酸塩6が上述の配合量に基づいて充填される。
【0021】母液10は、容器本体2に充填され、重炭
酸塩6が分離して接続容器5に充填される関係から、透
析液からラクテート及びナトリウム塩の理論量を差し引
いた組成液として充填される。即ち、母液4は、 ・電解質濃度(mEq/L) Na+ ・・・・90〜150 K+ ・・・・必要により Ca2+ ・・・・0〜6 Mg2+ ・・・・0〜3 Cl- ・・・・90〜135 アセテート又はラクテート-・・0〜40 ・ブドウ糖(g/dl)・・・1〜8 ・浸透圧(mOsm/l)・・300〜680の範囲に
あることが望ましい。
【0022】また、母液4は、重炭酸塩6と混合される
前に、そのpHが5.5以下であることが望ましく、特
に5.3、更には5.0以下であることが望ましい。こ
のような母液4の酸性化は、重炭酸塩6を分離したこと
により容易に達成され、上記範囲のpHに母液4が維持
された場合には、高圧蒸気滅菌により母液4を加熱して
も、母液4内のブドウ糖等が変質を起こすおそれが極め
て少なくなる。容器本体2には、排出ポート13、13
が形成され、母液4が排出ポート13から充填され、排
出ポート13が液密に閉じられ、接続容器5を接続した
状態で高圧蒸気滅菌される。高圧蒸気滅菌は、局方の高
圧蒸気滅菌方法に基づいて行われ、高圧蒸気滅菌には一
般的なオートクレーブが使用され、オートクレーブ内
は、例えば、不活性ガスで置換した後に100乃至13
0℃の温度で行う。
【0023】このように構成された腹膜透析液用容器1
は、滅菌時に、重炭酸塩6が滅菌時等の過酷な加熱条件
でも分解を起こさないため、充填状態のままで容器本体
2に保持される。また容器1の保存時にあっては、重炭
酸塩6の分解も起こさずに容器本体2内に維持されるた
め、病院だけでなく家庭内にもそのまま提供することが
できる。腹膜透析液用容器1の使用に際しては、容器本
体2の外側から剥離可能なシール部12を剥離し、容器
本体2内と接続容器5内とを連通させる。そして、母液
4と重炭酸塩6とが混合され、容器本体2内で透析液が
できる。この場合に母液4内のカルシウム等は極めて低
濃度の状態で存在するため、重炭酸塩6との混合時に炭
酸カルシウム等の沈殿を起こすおそれが少ない。また、
重炭酸塩6はアルカリ性状態で存在するため、母液4と
混合したとき、母液4のpHを上昇させ、結局、透析液
のpH調整の役割も果たす。従って、容器本体2内に、
無菌的にpH調整された腹膜透析液が家庭内でも提供さ
れることとなる。
【0024】図3に示す如く、剥離可能なシール部12
の剥離後、患者20に適用する場合は、容器1の排出ポ
ート7に連通針21を介して接続管22が容器本体2内
と連通される。また接続管22はカテーテル23に接続
され、カテーテル23は患者20の腹腔24内に接続さ
れる。これにより、容器本体2内の透析液が腹腔24内
に流入して透析が行われる。この場合、透析液中の重炭
酸の濃度が、患者20側の体液中の濃度と変わりがない
ため、体液から重炭酸が透析液中に流出して、アシドー
シスを起こすことがない。また、重炭酸の濃度を調整す
ることにより、アルカローシス等も防止し、電解質異常
を起こすことがない。
【0025】上記実施例では、容器本体2を押出し成形
によるシートから作製したがこれに限るものではない。
例えば、インフレーション成形したチューブ状シートを
所定の長さで裁断し、両端を固着シールして容器本体を
作製しても良い。また、容器本体2をブロー成形したも
のでも良い。上記実施例の容器本体2に直鎖状低密度ポ
リエチレンを用いた。このような汎用性のあるオレフィ
ン系樹脂は経済的である上、母液4などに可塑剤のよう
な溶出物がでず、しかも官能基等がないため母液4に悪
影響を与えるおそれがない。但し、本実施例において
は、直鎖状低密度ポリエチレン以外の樹脂を容器本体に
用いることができる。例えば、高密度ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、軟質ポリエステル樹脂、塩素
化ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸
ビニル共重合体等の可撓性に富んだ材料を用いることが
できる。また、容器本体2の壁の厚みは、柔軟性、可撓
性を有する限り、特にその厚みを限定するものではな
い。また、容器本体2は、多層樹脂構造でも良い。
【0026】上記接続容器5にはブロー成形物を用いた
が、押出し延伸シートあるいはインフレーション成形シ
ート等から作製しても良い。また、接続容器5は、外層
10に直鎖状低密度ポリエチレンを設け、内層11に直
鎖状例密度ポリエチレンとプロピレンとの多層構造のも
のとした。これは、内層11同士に剥離可能なシール部
12が容易にできる一方、外層10が容器本体2のシー
ト8、9に固着シールされるため、一回の熱溶着シール
操作で容易にできる利点がある。また、内層11と外層
10とは相溶性が高いため接着層を必要としないで積層
できる点でも医療用容器上、好ましい構造となってい
る。尚、上記実施例では、固着シール部3の形成と共
に、剥離可能なシール部12を接続容器5の接続口部7
に形成したが、上記多層構造の接続容器を使用しない場
合は、固着シール部3と剥離可能なシール部12とをそ
れぞれ別個のシール方法で別々の場所にシール形成して
も良い。
【0027】従って、接続容器5は、直鎖状低密度ポリ
エチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂に限る
ことはなく、上述のように本体2で使用できる樹脂を用
いることができる。また、多層の接続容器5を用いる場
合、外層或いは中間層等に炭酸ガスの難透過性の高い樹
脂を用いることが望ましい。このような炭酸ガスのバリ
ア性の高い樹脂層を設けた場合、容器本体2内の重炭酸
塩6が若干分解し、炭酸ガスを放出したとしても、接続
容器5からの炭酸ガス放出が極めて困難となり、容器で
の長期間の安定保存が更に保証される。
【0028】・ 試験評価 本実施例品を以下のように評価した。尚、本実施例品
は、接続容器5に5.00gの炭酸水素ナトリウムの粉
末、懸濁液、及び10w/vの溶液をそれぞれ充填した
ものを用い、母液4は上記電解質及び糖量の範囲内で作
製して容器本体2に2L充填し、上記方法でシール部3
及び12を形成し、121℃の高圧蒸気滅菌を行って作
製した。そして、剥離可能なシール部12を開放して、
炭酸水素ナトリウムを日本薬局方に基づいて定量した結
果、全ての実施例品の炭酸水素ナトリウムの作製前後の
量の変化は±5%重量であった。
【0029】図4及び図5は、本発明に係る第二実施例
の腹膜透析液用容器についての構造上の要部判断面図で
ある。腹膜透析液用容器31の図4及び図5に示されな
い部分の構造は第一実施例の腹膜透析用容器1とほぼ同
様な構造なのでその詳しい説明を省略する。腹膜透析液
用容器31が第一実施例のものと異なる点は、容器本体
2と接続容器33(バイアル)との無菌的連通可能な構
造において、容器本体2に接続口32が形成され、接続
口32にバイアル33が配せられ、接続口32には容器
本体2内とバイアル33内とを連通させる連通針33が
設けられることである。
【0030】本実施例を更に説明すると、接続口32
は、固着シール部3に固着して取り付けられるプラスチ
ック製の筒状接続ポート材からなり、接続口32内には
連通針34が遊嵌挿入される。連通針34は内部が中空
で先端に母液4の通路口35が形成されると共に、刺針
部となっている。連通針34はプラスチック針で成形さ
れ、接続口32の先端の隔離膜36及びバイアル33の
ゴム栓37に刺針可能となっている。バイアル33は吊
り部付のバイアルホルダー38に保持され、ホルダー3
8には接続部39が形成され、接続部39は接続口32
の先端に無菌的に且つ液密に外嵌される。尚、接続は、
容器本体2の母液4が高圧蒸気滅菌された後に行われ
る。バイアル33内には、重炭酸塩6が無菌的に充填さ
れ、その口部にゴム栓37がなされる。また接続部39
は接続口32との接続の際に過酸化水素水による化学滅
菌がなされており、連通針34が接続口32から突き出
しても無菌状態が維持される。
【0031】このような構造の腹膜透析液用容器31に
あっては、その使用に際して、図5に示す如く、連通針
34が図5の矢印Aの方向に容器本体2外から移動操作
され、連通針34の通路口35を介して容器本体2内と
バイアル33内とが無菌的に連通される。このため、母
液4と重炭酸塩6との一部が混合し、母液4に完全に重
炭酸が溶解することにより、容器本体2内には電解質異
常の生じない腹膜透析液が提供され、第一実施例と同様
な作用効果を示す。上記実施例では、バイアル33はガ
ラス製を使用したが、プラスチック製のボトルであって
も良い。また、連通針34は、容器本体2内に設けて外
側から移動操作を可能にして、無菌的な容器と容器との
接続を可能にしたが、これに限る必要はなく、連通針を
用いて無菌的に容器本体2内とバイアル33などの接続
容器内と連通できる限り、本実施例に含まれるものであ
る。
【0032】図6は、本発明に係る腹膜透析液用容器の
第三実施例の平面図である。図6に示す腹膜透析液用容
器41と第一実施例の容器1と相違する点は以下の点に
ある。本実施例の腹膜透析液用容器41のプラスチック
容器本体42は、複数の室43、44を有し、室43と
室44との隔離壁の一部は容器本体42外から剥離し室
43と室44を連通可能にするピールシール部45で形
成され、一の室43には、重炭酸塩6の懸濁液がアルカ
リ性を維持して充填されている。
【0033】本実施例に係る腹膜透析液用容器41を更
に詳しく説明すると、容器本体42は、壁面が撓む不定
容積性の樹脂容器からなり、直鎖状低密度ポリエチレン
及びポリプロピレンの混合組成物を押出し成形して作製
したシートを延伸し、所定の大きさに裁断して形成され
る。裁断したシートは2枚に重ねられ、2枚のシートは
熱溶着により所定の四方が完全に固着シールされ、固着
シール部3内が腹膜透析液の充填室となる。容器本体4
2には固着シール部3の他に、外側から互いのシート内
壁同士の剥離可能なピールシール部45が形成される。
そして、ピールシール部45により容器本体42は第一
充填室43と第二充填室44に分割される。従って、容
器本体42は完全な固着シール部3とピールシール部4
5とが形成され、このような異なるシール部の形成につ
いては、それ自体公知の完全固着シール部と剥離可能な
シール部を有する医療用容器の製造方法などを参照して
作製することができる。
【0034】更に、容器本体42は、包装材47で覆わ
れ、包装材47は炭酸ガスの難透過性シートから形成さ
れる。かかるシートの炭酸ガスの透過性は、300(cc
*mm/cm2*sec*cmHg*1010)以下、特に100(cc*mm/cm2
*sec*cmHg*1010)以下であることが望ましい。特に、こ
のようなシート樹脂としては、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチ
レンテレフタレート、ナイロン等のポリアミドなどが挙
げられる。本実施例に於ける包装材47はポリエチレン
テレフタレートが用いられ、包装材47内には、炭酸ガ
スを発生させる脱酸素剤48が収納され、より炭酸ガス
が容器本体2からでないようにしてある。
【0035】尚、実施例では、ポリオレフィン系の直鎖
状低密度ポリエチレン及びポリプロピレンのブレンド物
を容器本体2に用いたが、不定容積性の樹脂容器ができ
る限り、他の樹脂に代えても良い。例えば、低密度ポリ
エチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、軟質ポリエステル樹脂、塩素化ポリエチレン樹
脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等
の可撓性に富んだ材料を用いることができる。容器本体
42の壁の厚みは、柔軟性、可撓性を有する限り、特に
その厚みを限定するものではない。また、容器本体2
は、多層樹脂構造でも良い。特に、内層にピールシール
部45の成形容易な樹脂層を用い、外層或いは中間層等
に炭酸ガスの難透過性の高い樹脂を用いることが望まし
い。このような炭酸ガスのバリア性の高い樹脂層を設け
た場合、容器本体42内の重炭酸塩6が若干分解し、炭
酸ガスを放出したとしても、容器本体42の第一充填室
43からの炭酸ガス放出が極めて困難となり、容器の長
期間の安定保存が更に保証される。
【0036】このように構成された電解質異常がない腹
膜透析液用容器41は、滅菌時に、重炭酸塩6が第一充
填室43内で分解を起こさないため、充填状態のままで
容器本体42に保持される。また容器41の保存時にあ
っては、重炭酸塩6の分解も起こさずに容器本体42内
に維持されるため、病院だけでなく家庭内にもそのまま
提供することができる。また、容器本体32は炭酸ガス
の難透過性の包装体47で包装され、また脱酸素剤48
により、かなりの長期保存なども保証される。腹膜透析
液用容器41の使用に際しては、容器本体42の外側か
らピールシール部45を剥離し、第一充填室43と第二
充填室44とを連通させる。そして、母液10と重炭酸
塩9とが混合され、容器本体2内で透析液ができる。
【0037】本実施例では、重炭酸塩6の室を一室した
が、かかる室を2以上の室に分けても良い。例えば、重
炭酸塩を三室に分け順次開放できるようにすれば、アル
カローシス〜アシドーシス患者にも電解質異常による障
害を防止して適用することができる。即ち、アルカロー
シスの患者に腹膜透析を使用する場合は、重炭酸塩の一
室のみを剥離開放して、少量の重炭酸塩6と母液4とを
混合して用いる。また、通常の患者に対しては、二室程
度開放して、通常量の重炭酸塩6と母液4とを混合して
適用する。更に、アシドーシスの患者に対しては、二以
上の室を開放して多量の重炭酸塩6と母液4とを混合し
て用いる。これにより、種々の電解質異常の患者に対し
ても適宜適用することができる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る腹膜透
析液用容器によれば、上記腹膜透析液は、糖及び電解質
を含む母液に重炭酸が溶解される液からなり、上記母液
が充填されるプラスチック容器本体に、無菌的に連通可
能な室又は接続容器が設けられ、上記室又は接続容器に
は重炭酸塩が充填されるので、腹膜透析中に体内の重炭
酸濃度を安定に維持し、アルカローシスもアシドーシス
も生じることがない、電解質異常のない腹膜透析液を、
長期間の間安定保存し、また高圧蒸気滅菌時においても
透析液を全く変質させない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例における腹膜透析液用容器の平面図
である。
【図2】(a)は図1におけるI−I線に沿った断面図
であり、(b)は図2(a)にII−II線に沿った断
面図である。
【図3】第一実施例の容器の使用時の概略図である。
【図4】第二実施例における腹膜透析用容器の要部の半
断面図である。
【図5】第二実施例における腹膜透析用容器の要部の半
断面図である。
【図6】第三実施例における腹膜透析液用容器の平面図
である。
【符号の説明】
1、31、41 腹膜透析液用容器 2、42 容器本体 3 固着シール部 4 母液 5 接続容器 6 重炭酸塩 7 接続口 8、9 容器本体のシート 10 接続口の外層 11 接続口の内層 12 剥離可能なシール部 20 患者 21 連結針 22 連結管 23 カテーテル 24 腹腔 47 包装材 48 脱酸素剤

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖を含んだ電解質溶液からなり、腹腔内
    に注入される腹膜透析液の容器において、 上記腹膜透析液は、糖及び電解質を含む母液に重炭酸が
    溶解される液からなり、 上記母液が充填されるプラス
    チック容器本体に、無菌的に連通可能な室又は接続容器
    が設けられ、 上記室又は接続容器には重炭酸塩が充填されてなること
    を特徴とする腹膜透析液用容器。
  2. 【請求項2】 上記腹膜透析液は、電解質に重炭酸を1
    〜40mEq/Lの濃度範囲で含み、且つpHが5.7
    〜7.5の範囲であることを特徴とする請求項1記載の
    腹膜透析液用容器。
  3. 【請求項3】 上記重炭酸塩はナトリウム塩であり、該
    ナトリウム塩により上記室又は接続容器内がアルカリ性
    に維持されることを特徴とする請求項1又は2記載の腹
    膜透析液用容器。
  4. 【請求項4】 上記糖を含んだ母液に配合される電解質
    は、 Na+ を90〜150mEq/Lの濃度範囲で、 Ca2+ を0〜6mEq/Lの濃度範囲で、 Mg2+ を0〜3mEq/Lの濃度範囲で、 Cl- を90〜135mEq/Lの濃度範囲で、 アセテート又はラクテート-を0〜40mEq/Lの濃
    度範囲で含み、液浸透圧が300〜680mOsm/l
    であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の
    腹膜透析液用容器。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011500578A (ja) * 2007-10-11 2011-01-06 バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド ピロホスフェートを含む滅菌透析溶液

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JP2011500578A (ja) * 2007-10-11 2011-01-06 バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド ピロホスフェートを含む滅菌透析溶液

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