JPH0987167A - 輸液及び輸液容器 - Google Patents

輸液及び輸液容器

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JPH0987167A
JPH0987167A JP7269339A JP26933995A JPH0987167A JP H0987167 A JPH0987167 A JP H0987167A JP 7269339 A JP7269339 A JP 7269339A JP 26933995 A JP26933995 A JP 26933995A JP H0987167 A JPH0987167 A JP H0987167A
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bicarbonate
container
infusion
infusion solution
solution
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JP7269339A
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English (en)
Inventor
Keinosuke Isono
啓之介 磯野
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Original Assignee
Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アシドーシス等により腎障害、下痢、嘔吐等
の生じることがない輸液を提供。 【構成】 電解質溶液からなり、血管内に直接投与され
る輸液において、上記電解質に重炭酸を1〜65mEq
/Lの濃度範囲で含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輸液を収容するコンテ
ナ、或いはバック等の輸液容器に関するものであり、よ
り詳細には、投与患者においてアシドーシス等の電解質
異常のない輸液及びその輸液容器に関する。
【0002】
【従来の技術】人体の血漿中の重炭酸濃度は、通常24
mEq/L程度である。輸液により重炭酸を直接体内に
投与する場合、また血液透析や腹膜透析により間接的に
投与する場合等には、それぞれの溶液の重炭酸濃度を血
漿中の濃度に合わせて調合することが望ましい。しか
し、輸液はプラスチックの医療用容器内に充填されて、
通常高圧蒸気滅菌等により完全に滅菌した状態で病院に
提供される。このため、予め重炭酸を容器内の液に調合
しておくと、重炭酸は高圧蒸気滅菌時に殆ど炭酸ガスに
分解する。また、従来のプラスチックの医療用容器に重
炭酸を充填して高圧蒸気滅菌をしなくても、希釈された
溶液内では、重炭酸は炭酸ガスに分解して消失する。こ
のため、透析液等には重炭酸が使用されず、体内でこれ
に代わるものが添加されている。血漿中等の重炭酸濃度
を一定に保つためには、重炭酸に代わるものとしてアセ
テート又はラクテート等が調合される。例えば、高カロ
リー輸液では、以下の組成を有している。
【0003】・水分量 ・・・・400(mL) ・グルコース ・・125(g) ・電解質濃度(mEq/L) Na+ ・・・・25 K+ ・・・・15 Ca2+ ・・・・8 Mg2+ ・・・・3 Cl- ・・・・16 アセテート-・・25 ・浸透圧比 ・・9 ・pH ・・・・約5.0 アセテート又はラクテートは、体内で重炭酸を造り重炭
酸を補う働きをすると共に、グルコース溶液を酸性に維
持して容器内の安定性を図っている。このため、現在、
輸液にアセテート又はラクテート等が頻用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
輸液にアセテート等を用いた場合、アセテート等は直ぐ
に体内で分解されない患者がいるため、患者の体内は一
時的にアシドーシスの傾向が見られる。このため、投与
患者には酸過剰投与、腎障害、下痢、嘔吐などを生じる
ことがある。また特に、高カロリー輸液にあっては、溶
液中にブドウ糖が調合されるため、高圧蒸気滅菌時にブ
ドウ糖の変質をできるだけ避ける理由から容器内の液の
pHは約5.0以下に設定される。このため、かかる輸
液の酸性状態で投与を行うと、下痢や腹痛を生じること
がある。
【0005】従って、本発明の目的は、アシドーシス等
により腎障害、下痢、嘔吐等の生じることがない輸液を
提供することにある。本発明の目的はまた、上記輸液を
長期間の間安定に保持し、また高圧蒸気滅菌時において
も輸液中の糖を全く変質させない輸液容器を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、電解質溶液か
らなり、血管内に直接投与される輸液において、上記電
解質に重炭酸を1〜65mEq/Lの濃度範囲で含むこ
とを特徴とする輸液を提供することにより、上記目的を
達成したものである。本発明に係る輸液によれば、PH
値が5.5〜7.5の範囲内にあることを特徴とするこ
とにより、電解質異常などが見られない輸液とすること
ができる。
【0007】本発明は、上記輸液がプラスチック容器の
本体に充填されてなる輸液容器において、上記容器本体
は複数の室を有し、該室と室との隔離壁の全部又は一部
は上記容器本体外からの剥離が可能で該室と室とを連通
可能にするピールシール部で形成され、上記の少なくと
も一の室には、重炭酸塩がアルカリ性を維持して充填さ
れていることを特徴とする輸液容器を提供することによ
り、上記目的を達成したものである。本発明に係る輸液
容器において、上記容器本体の室は糖及び電解質を含む
母液の充填室と上記重炭酸塩の充填室を有していること
を特徴とすることができる。本発明に係る容器におい
て、上記重炭酸塩がナトリウム塩であることにより、輸
液の主要電解質であるナトリウムの一部を用いることが
できるため、溶液組成の変更をしないで、上記重炭酸を
室内において十分なアルカリ性状態にしうる。
【0008】本発明に係る輸液容器において、上記容器
本体がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする
ことにより、輸液が樹脂の官能基等の影響を受けず、医
療用としての安全性が高まる。また重炭酸ナトリウム塩
等のアルカリ性塩に対しても十分な抵抗性がある。本発
明に係る輸液容器において、上記容器本体の内壁層がポ
リエチレン及びポリプロピレンの混合物からなることを
特徴とすることにより、外部から剥離可能な上記ピール
シール部を容器本体に容易に形成することができる。
【0009】
【作用】上記輸液にあっては、重炭酸塩が直接輸液内に
含まれるため、体内でのPH値が維持され、従来のもの
と相違してアシドーシス等の電解質異常を生じることが
ない。即ち、上記輸液を投与すると、重炭酸の添加割合
に応じてアセテートやラクテート等の電解質を少なくな
くできるため、体内に直接重炭酸が作用し、体内中の重
炭酸濃度が一定になる。更に、重炭酸の添加により、投
与輸液は、pHが5.5〜7.5の範囲に維持すること
ができ、透析における腹痛や下痢等を防止することがで
きる。
【0010】上記輸液容器にあっては、重炭酸が容器本
体の主要な母液の室から分かれて他の室に充填され、ま
た主要母液中の電解質の一部を、重炭酸のアルカリ性塩
剤として割り当て、重炭酸は炭酸ガスとして分解するの
を防止した状態で充填される。このため、容器本体の全
体を高圧蒸気滅菌したときも、殆どの重炭酸が分解せず
に塩として存在させることができる。また容器本体が長
期保存に付された場合でも、重炭酸塩は分解することな
く室内が無菌的に維持される。また重炭酸塩として一部
ナトリウム塩を重炭酸の充填室側に配合するため、高カ
ロリー輸液においては、糖溶液を含む主要な母液のpH
を低くして、ブドウ糖溶液を安定に維持することができ
る。また重炭酸と一度反応すると容易に溶解しないカル
シウム塩も、酸性状態に維持され、混合時も沈殿等は生
じない。従って、室と室とが外部から剥離可能なピール
シール部で仕切られたのと相まって、使用時に重炭酸は
無菌状態で、主要な母液と混合され、輸液として提供さ
れる。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係る輸液及びその輸液容器の
好ましい実施例を添付図面を参照しながら詳述する。図
1は本発明に係る輸液容器の第一実施例の平面図、図2
は第一実施例の輸液容器の使用時の概要図である。
【0012】本実施例にかかる輸液は、5〜50重量%
の糖を含んだ電解質溶液からなり、血管内に直接投与さ
れるものである。そして、輸液は電解質に重炭酸を1〜
65mEq/Lの濃度範囲で含むものである。また、本
実施例の輸液は、PH値が5.5〜7.5の範囲内にあ
る。
【0013】本実施例の輸液を更に詳しく説明すると、
本実施例の輸液は5〜50重量%の糖(主にグルコー
ス)を含む高カロリー輸液である。糖はグルコースを主
体とし、グルコースの他には、果糖、ソルビトール、キ
シリトール、マルトース等が浸透圧比及びPH値を考慮
して適宜添加される。また電解質は、Na++Ca2+
2+Cl-、及びアセテート- 等が適量添加される。ま
た、重炭酸を添加する関係から、その添加量に合わせて
アセテート- 類を減少させて用いられる。本実施例の輸
液は、重炭酸を1〜65mEq/L、特に5〜50mE
q/Lの濃度で含まれることが望ましい。輸液中の重炭
酸濃度がかかる範囲内であれば、投与患者がアシドース
を起こすおそれが少なくなる。更に本実施例の輸液は、
PH値が5.5〜7.5、特に6.0〜7.0の範囲内
であることが望ましい。かかる範囲のPH値は重炭酸塩
の添加により容易に達成され、投与患者に腹痛や下痢を
生じさせるおそれがない。本実施例の輸液は無菌的に投
与されるが、その輸液の調製にあっては、高圧蒸気滅菌
した輸液が使用される。高圧蒸気滅菌は日本薬局方の蒸
気滅菌の基準に基づいて行われ、本実施例では110〜
125℃の温度でオートクレーブ等で行われる。尚、輸
液は各薬剤を無菌的に調合しても良いが、滅菌保証の点
から上記高圧蒸気滅菌が望ましい。
【0014】このような本実施例の輸液にあっては、ア
セテート又はラクテート等の添加を極力抑えているた
め、投与患者のアシドーシスや酸過剰投与の電解質異常
を防止することができる。また輸液のPHを高くするこ
とができるため、投与患者に腹痛や嘔吐等の症状を起こ
させることがない。
【0015】次に、上記輸液に用いられる輸液容器につ
いて詳説する。図1及び図2に示す如く、本実施例の輸
液容器1は、輸液9、10がプラスチック容器の本体2
に充填されてなるものである。そして、輸液容器1の容
器本体2は二つの室5、6を有し、室5と室6との隔離
壁は容器本体2外からの剥離が可能で室5と室6とを連
通可能にするピールシール部4で形成され、一の室5に
は重炭酸塩9がアルカリ性を維持して充填されている。
更に、輸液容器1において、容器本体2の室5及び6は
糖及び電解質を含む母液10の充填室6と重炭酸塩9の
充填室5を有している。そして、重炭酸塩9がナトリウ
ム塩である。
【0016】本実施例に係る輸液容器1を更に詳しく説
明すると、輸液容器1は高カロリー輸液が充填された容
器である。輸液容器1の容器本体2は、壁面が撓む不定
容積性の樹脂容器からなる。本実施例において具体的に
は、容器本体2は、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリ
プロピレンの混合組成物を押出し成形して作製したシー
トを延伸し、所定の大きさに裁断して形成される。裁断
したシートは2枚に重ねられ、2枚のシートは熱溶着に
より所定の四方が完全に固着シールされ、固着シール部
3内が透析液の充填室となる。容器本体2には固着シー
ル部3の他に、外側から互いのシート内壁同士の剥離可
能なピールシール部4が形成される。そして、ピールシ
ール部4により容器本体2は充填室5と充填室6に分割
される。従って、容器本体2は完全な固着シール部3と
ピールシール部4とが形成され、このような異なるシー
ル部の形成については、それ自体公知の完全固着シール
部と剥離可能なシール部を有する医療用容器の製造方法
などを参照して作製することができる。
【0017】即ち、本実施例では、直鎖状低密度ポリエ
チレン(商品名:モアテック、出光石油化学株式会社
製、密度:0.916g/cm3、MI:2)とポリプ
ロピレン(商品名:チッソポリプロ、チッソ株式会社
製、密度:0.90g/cm3、MI:0.7)を6:
4の割合で2本ロール(ロール温度は175℃)により
混練りし、これを熱プレスにより肉厚200μm、長さ
300mm、幅150mmのシートを作製する。次に2
枚の樹脂シートを重ねてその所定の周端を容器の形態と
するためインパルスシーラー(富士インパルス株式会社
製オートシーラFA−300−5W)でシールする。シ
ール条件はシール時間1.5秒間、冷却時間5秒間であ
る。一方、ピールシール部4は、上下から加熱金型で1
0mm幅、長さ150mmの区間を押さえシールする。
かかるシール条件は、130℃〜150℃の間で、12
秒間プレス状態に置いた。尚、プレスによりシール面が
完全に潰れないようにストッパーを設け過大なプレス圧
が及ばないように調整する。尚、容器本体2には、固着
シール部3の形成と同時に、排出口7が形成される。
【0018】容器本体2に汎用なポリオレフィン系樹脂
を用いることは、経済的な面だけでなく、容器の充填物
にとって望ましい。即ち、ポリオレフィン系樹脂は可塑
剤等を含んでおらず、また官能基等を有していないた
め、重炭酸塩9及び母液10からなる輸液に悪影響がな
い。また容器本体2にこのような直鎖状低密度ポリエチ
レン及びポリプロピレンの混合組成物を用いることは、
ピールシール部4を簡単に形成する上で望ましい。
【0019】尚、実施例では、ポリオレフィン系の直鎖
状低密度ポリエチレン及びポリプロピレンのブレンド物
を容器本体2に用いたが、不定容積性の樹脂容器ができ
る限り、他の樹脂に代えても良い。例えば、低密度ポリ
エチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、軟質ポリエステル樹脂、塩素化ポリエチレン樹
脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等
の可撓性に富んだ材料を用いることができる。容器本体
2の壁の厚みは、柔軟性、可撓性を有する限り、特にそ
の厚みを限定するものではない。また、容器本体2は、
多層樹脂構造でも良い。特に、内層にピールシール部4
の成形容易な樹脂層を用い、外層或いは中間層等に炭酸
ガスの難透過性の高い樹脂を用いることが望ましい。こ
のような炭酸ガスのバリア性の高い樹脂層を設けた場
合、容器本体2内の重炭酸塩9が若干分解し、炭酸ガス
を放出したとしても、容器本体2の充填室5からの炭酸
ガス放出が極めて困難となり、容器の長期間の安定保存
が更に保証される。
【0020】輸液は、重炭酸塩9と母液10に分けて容
器本体2に充填され、重炭酸塩9は、容器本体2は充填
室5に充填される。そして、充填室5内はアルカリ性状
態に維持される。即ち、重炭酸はアルカリ塩の状態で充
填室5に充填される。かかるアルカリ塩は、充填室6に
充填されるべき塩の一部が割り当てられる。塩としては
重炭酸が母液10に混合されたときに容易に溶解される
塩が好ましく、このような塩としてはナトリウム塩が望
ましい。従って、本実施例では、充填室5には、炭酸水
素ナトリウム或いは炭酸ナトリウムが充填され、pHが
7以上、特に7.9〜9.0であることが望ましい
(1:30の水溶液としてのpHをいう。)。また、充
填室5で使用された量のナトリウム塩は、母液10中の
ナトリウム塩が差し引かれる。
【0021】充填室5に充填される重炭酸塩9として
は、日本薬局方に基づく重曹等の粉末、日本薬局方に基
づく炭酸水素ナトリウム注射液のような100w/v%
の水溶液(懸濁液)或いは濃厚液としての形態で充填さ
れることが望ましい。本実施例では、このような重炭酸
塩9が上述の配合量に基づいて充填される。上述したよ
うに重炭酸濃度(HCO3 )は、1〜65、特に5〜5
0mEq/Lの範囲であることが望ましい。従って、本
実施例では、容器本体2に液が500mL収納されるこ
とから、重炭酸塩9としての炭酸水素ナトリウムは、
0.042〜2.73gの範囲で用いられる。また重炭
酸塩9の添加により、アセテート又はラクテートの量は
重炭酸塩の添加量に反比例して添加量を減少させること
が望ましい。例えば、重炭酸濃度(HCO3 )を24m
Eq/Lとすれば、ラクテートは0〜30mEq/Lの
範囲であることが望ましい。
【0022】母液10は、容器本体2の大部分をしめる
充填室6に充填され、重炭酸塩9が分離して充填室5に
充填される関係から、ラクテート及びナトリウム塩の理
論量を差し引いた組成液として充填される。また、充填
室6に充填される母液10は、重炭酸塩9と混合される
前に、そのpHが5.5以下であることが望ましく、特
に5.3、更には5.0以下であることが望ましい。こ
のような母液10の酸性化は、充填室5に重炭酸塩9を
分離しナトリウムを奪ったことにより容易に達成され、
上記範囲のpHに母液10が維持された場合には、高圧
蒸気滅菌により母液10を加熱しても、母液10内のブ
ドウ糖等が変質を起こすおそれが極めて少なくなる。
【0023】容器本体2のシール口から充填室5に上述
の重炭酸塩9が無菌的に充填され、ピールシール部4が
形成され、次に、排出口7から充填室6に上述の母液1
0が充填される。その後、排出口7が密封され、容器本
体2は高圧蒸気滅菌される。これにより、充填室5及び
充填室6内が滅菌される。高圧蒸気滅菌は、局方の高圧
蒸気滅菌方法に基づいて行われ、高圧蒸気滅菌には一般
的なオートクレーブが使用され、オートクレーブ内は、
例えば、不活性ガスで置換した後に110乃至130℃
の温度で行う。
【0024】このように構成された輸液容器1では、滅
菌時に、重炭酸塩9が充填室5内で分解を起こさないた
め、充填状態のままで容器本体2に保持される。また容
器1の保存時にあっては、重炭酸塩9の分解も起こさず
に容器本体2内に維持されるため、病院にそのまま提供
することができる。また輸液容器1の使用に際しては、
容器本体2の外側からピールシール部4を剥離し、充填
室5と充填室6とを連通させる。そして、母液10と重
炭酸塩9とが混合され、容器本体2内で電解質異常のな
い輸液ができる。この場合に母液10内のカルシウム等
は極めて低濃度の状態で存在するため、重炭酸塩9との
混合時に炭酸カルシウム等の沈殿を起こすおそれが少な
い。また、重炭酸塩9はアルカリ性状態で存在するた
め、母液10と混合したとき、母液10のpHを上昇さ
せ、結局、輸液のpH調整の役割も果たす。尚、使用に
際してはピールシール部4が開放され、重炭酸塩9と母
液10とを混合した後、排出口7に連通針11を接続し
て輸液の投与を行う。
【0025】上記実施例では、排出口7を充填室6側に
のみ設けたが、これに限ることはなく、充填室5側にも
設けても良い。上記実施例では、充填室5と充填室6と
の隔壁シールを固着シール部3とピールシール部4で形
成したが、ピールシール部4を隔壁シールの全体として
も良い。上記実施例では、充填室5を極めて大きい室と
したが、必要量の重炭酸塩9が充填できる限り、小さい
室であっても良い。上記実施例では、二枚の押出し成形
シートを用いて容器本体2を成形したがこれに限ること
はなく、シートはインフレーション成形された筒状シー
トから容器本体を製造しても良い。また、容器本体2は
ブロー成形したものであっても良い。
【0026】図3は、本発明に係る輸液容器の第二実施
例を示す半断面図である。図3の輸液容器31は、第一
実施例の輸液容器1とほぼ同様に構成されるが、以下の
点が相違する。尚、第一実施例と類似する部分や構成に
ついては図1と同一の符号を付してその詳しい説明を省
略する。本実施例に係る輸液容器31を更に詳しく説明
すると、輸液容器31の容器本体32は、第一実施例の
容器本体2と同様で壁面が撓む不定容積性の樹脂容器か
らなる。排出口33には連通針等の刺針が可能なゴム栓
34か設けられると共に、ゴム栓34の止め材35が設
けられる。排出口33はゴム栓34で液密に封止され、
止め材35はリング状で排出口33に熱溶着されて、ゴ
ム栓34を排出口33に密着させている。また、容器本
体32は、ピールシール部36、37が形成され、ピー
ルシール部36、37を境に重炭酸塩9の第一充填室3
9、第二充填室40、及び容器本体32の大部分を占め
る母液10の充填室42が形成される。
【0027】ゴム栓体34は、排出口33を液密に密封
する弾性部材であり、かかる開口の密封が可能である限
り、熱可塑性エラストマーからなる栓体であってもよ
く、またシリコンゴム栓体等の非腐食性のものを用いて
も良い。また、止め材35は成形口33に熱溶着される
ことから、溶着性を高めるため、容器本体32の樹脂と
同種の樹脂成形物からなる。
【0028】容器本体32に形成されるピールシール部
36、37は、熱シールにより形成され、容器本体32
外からの操作により、内壁同士の剥離が可能で、かかる
剥離により室同士が連通される。ピールシール部の形成
方法は、例えば特開昭63−19149号公報に記載の
シール形成方法を参照することができる。即ち、第一、
第二、及び母液充填室39、40には重炭酸塩9が順次
所定量を小分けして充填され、形成されうるピールシー
ル部36、37を、セラミックで作製した挟持体で内層
同士が密着するように挟持し、かかる状態で高圧蒸気滅
菌等の加熱雰囲気に晒される。これにより、挟持部にピ
ールシール部が形成される。尚、上記以外のそれ自体公
知な方法によりピールシール部を形成しても良い。
【0029】このように構成された輸液容器31にあっ
ては、アシドーシス患者にも電解質異常による障害を防
止して適用することができる。即ち、通常の患者に輸液
を使用する場合は、ピールシール部37のみを剥離開放
して第二充填室40と母液充填室42を連通させ、少量
の重炭酸塩9と母液10とを混合して用いる。また、ア
シドーシスの患者に対しては、第一及び第二充填室3
9、40及び母液充填室42を連通させ、過剰量の重炭
酸塩9と母液10とを混合して適用する。尚、上記実施
例では、高カロリー輸液などに用いたがこれに限るもの
ではなく、アミノ酸製剤や脂肪乳剤などにも重炭酸塩を
適用しても良い。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る輸液に
よれば、重炭酸塩を調合しているので、アシドーシス等
による腎障害が防止される。また、輸液のpHを5.5
〜7.5の範囲とすると、投与患者において下痢、嘔吐
等が生じない。本発明に係る輸液容器によれば、上記輸
液の成分を分割し、異なる室に設け、一の室をアルカリ
性の重炭酸塩で充填したので、また室と室とを外側から
接続可能にしたので、輸液を長期間の間安定に保持し、
更に高圧蒸気滅菌時においても輸液中の糖を全く変質さ
せない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例における輸液容器の断面図である。
【図2】第一実施例の容器の使用時の断面図である。
【図3】第二実施例における輸液容器の断面図である。
【符号の説明】
1、31 輸液容器 2 容器本体 3 固着シール部 4 ピールシール部 5 重炭酸塩の充填室 6 母液の充填室 7 排出ポート 8 吊り下げ部 9 重炭酸塩 10 母液 32 容器本体 36、37 ピールシール部 39、40 充填室 42 母液充填室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 33/14 A61J 1/00 351A

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質溶液からなり、血管内に直接投与
    される輸液において、上記電解質に重炭酸を1〜65m
    Eq/Lの濃度範囲で含むことを特徴とする輸液。
  2. 【請求項2】 PH値が5.5〜7.5の範囲内にある
    ことを特徴とする請求項1記載の輸液。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の輸液がプラスチッ
    ク容器の本体に充填されてなる輸液容器において、 上記容器本体は複数の室を有し、該室と室との隔離壁の
    全部又は一部は上記容器本体外からの剥離が可能で該室
    と室とを連通可能にするピールシール部で形成され、上
    記の少なくとも一の室には、重炭酸塩がアルカリ性を維
    持して充填されていることを特徴とする輸液容器。
  4. 【請求項4】 上記容器本体の室は糖及び電解質を含む
    母液の充填室と上記重炭酸塩の充填室を有していること
    を特徴とする請求項3記載の輸液容器。
  5. 【請求項5】 上記重炭酸塩がナトリウム塩であること
    を特徴とする請求項4記載の輸液容器。
  6. 【請求項6】 上記容器本体がポリオレフィン系樹脂か
    らなることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の
    輸液容器。
  7. 【請求項7】 上記容器本体の内壁がポリエチレン及び
    ポリプロピレンの混合組成物からなることを特徴とする
    請求項6記載の輸液容器。
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