JPH09108309A - 医療用容器の滅菌包装方法 - Google Patents

医療用容器の滅菌包装方法

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JPH09108309A
JPH09108309A JP8087167A JP8716796A JPH09108309A JP H09108309 A JPH09108309 A JP H09108309A JP 8087167 A JP8087167 A JP 8087167A JP 8716796 A JP8716796 A JP 8716796A JP H09108309 A JPH09108309 A JP H09108309A
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JP
Japan
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container
bicarbonate
electrolyte solution
sterilizing
solution
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JP8087167A
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English (en)
Inventor
Keinosuke Isono
啓之介 磯野
Hiroyuki Shichi
宏幸 志知
Hiroshi Motobayashi
博志 本林
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Material Engineering Technology Laboratory Inc
Original Assignee
Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルカローシスもアシドーシスも生じること
がない、電解質異常のない輸液、透析液、及び臓器保存
剤等の医療用容器の滅菌包装方法を提供。 【構成】 電解質溶液が収容される医療用容器の滅菌包
装方法において、上記容器を柔軟な可撓性樹脂容器から
形成し、また該容器を複数の室に形成すると共に、該室
と室との隔離壁を使用時に上記容器の外側から開放可能
に形成し、上記一の室に重炭酸塩を上記電解質溶液と隔
離して固体状態で収容し、その後、上記容器を包装体で
液密に包装し、該包装物をオートクレーブ滅菌すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輸液又は透析液を収容
するコンテナ、或いはバック等の医療用容器の滅菌包装
方法に関するものであり、より詳細には、患者において
アルカローシス又はアシドーシス等の電解質異常のない
液及びその医療用容器についての滅菌包装方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】人体の血漿中の重炭酸濃度は、通常24
mEq/L程度である。輸液により重炭酸を直接体内に
投与する場合、また血液透析や腹膜透析により間接的に
投与する場合等には、それぞれの溶液の重炭酸濃度を血
漿中の濃度に合わせて調合することが望ましい。しか
し、輸液や透析液はプラスチックの医療用容器内に充填
されて、通常高圧蒸気滅菌等により完全に滅菌した状態
で病院に提供される。このため、予め重炭酸を容器内の
液に調合しておくと、重炭酸は高圧蒸気滅菌時に殆ど炭
酸ガスに分解する。また、従来のプラスチックの医療用
容器に重炭酸を充填して高圧蒸気滅菌をしなくても、希
釈された溶液内では、重炭酸は炭酸ガスに分解して消失
する。このため、透析液等には重炭酸が使用されず、体
内でこれに代わるものが添加されている。血漿中等の重
炭酸濃度を一定に保つためには、重炭酸に代わるものと
してアセテート又はラクテート等が調合される。例え
ば、腹膜透析液では、以下の組成を有している。
【0003】電解質濃度(mEq/L)は、ナトリウム
(Na+ )を50〜150mEq/Lの濃度範囲で、カ
ルシウム(Ca2+)を0〜6mEq/Lの濃度範囲で、
マグネシウム(Mg2+)を0〜3mEq/Lの濃度範囲
で、塩素(Cl-)を40〜135mEq/Lの濃度範
囲で、アセテート(H3CCOO-)又はラクテート(H
3CCH(OH)COO-)を30〜45mEq/Lの濃
度範囲で、ブドウ糖(g/dl)を1〜8w/v%の濃
度範囲で含み、浸透圧(mOsm/l)は300〜68
0の範囲にあり、pH値は約5.5である。アセテート
又はラクテートは、体内で重炭酸を造り、透析時に消失
する重炭酸を補う働きをする。このため、現在、腎臓透
析等における透析液にアセテート又はラクテート等が頻
用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
腹膜透析等の透析液にアセテート等を用いた場合、アセ
テート等は直ぐに体内で分解されない患者がいるため、
患者の体内は一時的にアシドーシスの傾向が見られる。
また、腎蔵病患者は、最初から代謝が悪く重炭酸濃度が
健常人より低い傾向にあるため、より重篤な疾患とな
る。また、透析開始後、時間が進むにつれて体内のアセ
テート等の分解が進むと、今度は、逆にアルカローシス
が生じる。このため、アシドーシスでは嘔吐や頭痛が生
じ、重炭酸濃度が増加したアルカローシスにあっては、
悪心、傾眠、不整脈等が見られる。このような問題は、
輸液においてもある。また特に、腹膜透析(CAPD)
にあっては、透析液中にブドウ糖が調合されるため、高
圧蒸気滅菌時にブドウ糖の変質をできるだけ避ける理由
から容器内の透析液のpHは約5.5に設定される。こ
のため、かかる透析液の酸性状態で腹膜透析を行うと、
腹痛を生じたり、また白血球障害により容易に感染症を
起こす場合がある。更に、病院内であれば滅菌重炭酸を
容器内の溶液に投与することは可能であるが、腹膜透析
は家庭内での治療であるため、かかる処置もできない。
更に、輸液の場合においても、同様にアセテート及びラ
クテートの使用により、同様に電解質異常を生じること
がある。このような輸液及び透析液等の不都合を解決す
るため、乳酸の代わりに重炭酸を使用した医療用容器が
提案されている(特開昭61−22865号公報)。こ
れは、重炭酸溶液と溶解液との2剤を別々の容器に無菌
分注して収容され、使用時に無菌混合操作を行う。ま
た、特開平6−105905号公報には、少なくとも二
室を有する通気性プラスチック容器に血液アルカリ化剤
としての重炭酸溶液と、カルシウムイオン又はこれとマ
グネシウムイオンとを含む電解質溶液とが別々に収容さ
れており、更に還元糖が必要に応じて上記電解質溶液と
同室に収容されているか、又は上記各室とは個別の第三
室に収容された医療用容器が提案され、医療用容器はガ
スバリア性の包装材で包装されている。しかし、これら
の構成の医療用容器では、重炭酸が溶液として存在する
ため長期間の保存が難しく、重炭酸が容易に分解して炭
酸ガスを放出し、その成分量が変わってしまう。また、
複数室に分けた医療用容器では蒸気滅菌時の加温により
容易に分解してしまう。
【0005】従って、本発明の目的は、重炭酸濃度を安
定に維持し長期間の保存が可能で、滅菌処理も問題がな
い医療用容器の滅菌包装方法を提案することにある。本
発明の目的はまた、アルカローシスもアシドーシスも生
じることがない、電解質異常のない輸液、透析液、及び
臓器保存剤等の医療用容器の滅菌包装方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、電解質溶液が
収容される医療用容器の滅菌包装方法において、上記容
器を柔軟な可撓性樹脂容器から形成し、また該容器を複
数の室に形成すると共に、該室と室との隔離壁を使用時
に上記容器の外側から開放可能に形成し、上記一の室に
重炭酸塩を上記電解質溶液と隔離して固体状態で収容
し、その後、上記容器を包装体で液密に包装し、該包装
物をオートクレーブ滅菌することを特徴とする医療用容
器の滅菌包装方法を提供することにより、上記目的を達
成したものである。本発明に係る滅菌包装方法におい
て、上記隔離壁の全部又は一部を上記容器外から剥離可
能なピールシール部で形成することが望ましい。本発明
に係る滅菌包装方法において、上記包装体を炭酸ガス透
過性が3×10-3〜3×102(cc*mm/cm2*sec*cmHg*10
10)の樹脂シートで形成することが望ましい。
【0007】
【作用】上記医療用容器にあっては、重炭酸塩が粉末、
顆粒、打錠等の固体状態で収容され、電解質溶液と分け
られる。このため、重炭酸塩は溶液状態と異なり炭酸ガ
スを発生させて分解することが殆どない。特に、オート
クレーブ滅菌処理の際の高温時においてもその分解が殆
ど抑制される。また包装体で包装した状態でオートクレ
ーブ滅菌処理することにより、医療用容器は加温時でも
包装体内において相対湿度が高い状態に維持されるた
め、重炭酸塩の収容室からの結合水の放出が極力抑えら
れ、重炭酸塩が結合水を失って分解するおそれが少なく
なる。また一方、冷却時には医療用容器壁が結露でべた
付きを内部に生じさせないので重炭酸塩に悪影響を与え
ない。上記医療用容器にあっては、重炭酸塩の室と電解
質溶液の室との間の隔離壁はその使用時に容器外から開
放が可能なため、重炭酸塩は無菌的に電解質溶液に混合
され、容器内には重炭酸を含む輸液剤、透析液或いは臓
器保存液ができる。外側から開放可能な隔離壁として
は、剥離可能なピールシール、一端が閉止された連通管
からなりその管の一部を破壊することにより開放するク
リックチップ、隔離壁のシート同士を挟む挟持手段等が
既に存在するが、特に、隔離等をピールシール部で形成
すれば、その隔離壁のために容器壁シート以外の部材を
必要とせずその製造が大量生産に好適であり、またピー
ルシール部の開放後は連通開口を広く取ることができる
ため、重炭酸塩と電解質溶液との混合がスムーズに行わ
れる。
【0008】
【実施例】以下、本発明に係る医療用容器の滅菌包装方
法の好ましい実施例を添付図面を参照しながら詳述す
る。図1は本発明に係る医療用容器の滅菌包装方法によ
り包装された第一実施例のの医療用容器の平断面図であ
る。
【0009】図1に示す如く、電解質溶液2が収容され
る医療用容器1の滅菌包装方法において、容器1を柔軟
な可撓性樹脂容器から形成し、また容器1を複数の室
4、5に形成すると共に、室4と室5との隔離壁6を使
用時に容器1の外側から開放可能に形成し、収容室5に
重炭酸塩3を電解質溶液2と隔離して固体状態で収容
し、その後、容器2を包装体20で液密に包装し、包装
物21をオートクレーブ滅菌する。また、滅菌包装方法
において、隔離壁6を容器2外から剥離可能なピールシ
ール部で形成する。更に、滅菌包装方法において、包装
体20を炭酸ガス透過性が3×10-3〜3×102(cc*
mm/cm2*sec*cmHg*1010)の樹脂シートで形成する。
【0010】本実施例を更に説明すると、図2に示す医
療用容器1を直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.9
16g/cm3、MI:2)とポリプロピレン(密度:
0.90g/cm3、MI:0.7)との樹脂シートで
形成する。樹脂シートは直鎖状低密度ポリエチレンとポ
リプロピレンとを6:4の割合で2本のロール(ロール
温度が175℃)により混練りし、これを肉厚200μ
m、幅200mmにインフレーション成形する。成形し
た筒状シートを長さ500mmに裁断し、インパルスシ
ーラー(富士インパルス株式会社製オートシーラFA−
300−5W)で一端部1Aを熱溶着により固着シール
する。かかる固着シールの際に口部材7を取り付ける。
シール条件はシール時間1.5秒間、冷却時間5秒間で
ある。次に図2に示す如く、シートの所定の中間部に隔
離壁(ピールシール部)6を外部から剥離可能となるよ
うに形成する。隔離壁6は、上下から130℃乃至15
0℃の加熱金型で10mm幅、長さ200mmの区間を
12秒間プレス状態に置いた。尚、プレスによりシール
面が完全に潰れないようにストッパーを設けて過大なプ
レス圧が及ばないように調整する。これにより隔離壁6
は滅菌時、及び保存時において収容室4と収容室5とを
液密に隔離するシール力を有する一方、使用時には容器
1外からの破壊開封可能なシール力となっている。従っ
て、収容室4と収容室5とを使用時に無菌連通させるこ
とができる。尚、医療用容器1では隔離壁6の全体をピ
ールシール部で形成したが、隔離壁6の一部に形成して
も良い。
【0011】次に、電解質溶液2を口部材7から収容部
4内に充填し、口部材7をゴム栓8で密栓する。次に図
2の状態から、医療用容器1の他端部1Bの開放開口か
ら重炭酸塩3を充填し、他端部1Bをインパルスシーラ
ーで上述の一端部71Aと同様に熱溶着により固着シー
ルし、図3に示す如く収容部5を密封する。収容室4の
電解質溶液2は、ナトリウム(Na+ )を20〜45m
Eq/Lの濃度範囲で、塩素(Cl- )を50mEq/
Lで、カリウム(K-)を20mEq/Lで、燐酸イオ
ンを3mEq/Lで、ブドウ糖を5w/v%で含んでい
る。ナトリウム(Na+ )量は重炭酸塩3で用いられる
分が差し引かれ、その結果、ナトリウム(Na+ )量は
収容室5に収容される重炭酸塩3量により変動し、電解
質溶液2のPH値が3.0〜5.5の範囲に設定され
る。電解質溶液2のPH値が上記範囲を上回ると、電解
質溶液は高圧蒸気滅菌時に変色、変質を起こす虞があ
る。一方、上記範囲内にあれば、電解質溶液2は100
℃以上の高圧蒸気滅菌時に変色や変質を起こす虞がな
い。尚、第一実施例では、電解質溶液72のナトリウム
(Na+)量は20mEq/Lとなっている。重炭酸塩
3は、電解質溶液2に混合したときの重炭酸(HC
3 -)が5〜40mEq/Lの濃度範囲になるように収
容室5に収容される。重炭酸塩3は、電解質溶液2に添
加されるアセテート及びラクテートに代えて、その収容
量が決定される。重炭酸塩3の収容量が上記範囲を下回
ると、重炭酸による電解質異常を抑制する効果が十分で
なく、また上記範囲を上回ると、アルカリローシスの虞
がある。重炭酸塩3は固体状態の粉末、顆粒、錠剤等で
あり、実施例においては日本薬局方の重曹が収容室5に
収容される。収容量は電解質溶液2に混合したときの重
炭酸(HCO3 -)が25mEq/Lとなる。
【0012】次に、図4に示す如く、包装体20で医療
用容器1を包装する。包装はインフレーション成形物し
た包装体20内に医療用容器1を収納後、両端を熱シー
ルして液密に密封して包装する。包装体20は、炭酸ガ
ス透過性が3×10-3〜3×102(cc*mm/cm2*sec*cmH
g*1010)、特に102(cc*mm/cm2*sec*cmHg*1010)以下
の素材であり、実施例ではポリエチレンテレフタレート
である。次に、包装物21を高圧蒸気滅菌処理する。高
圧蒸気滅菌処理は日本薬局方の蒸気滅菌の基準に基づい
て行われ、本実施例では100〜130℃の温度でオー
トクレーブ等で行われる。特に、滅菌温度は105℃〜
125℃の範囲であることが望ましい。上記範囲内であ
れば、容器1及び包装物21の変形はなく、確実な滅菌
が可能となっている。
【0013】次に、このように滅菌包装された包装物2
1内の医療用容器1について説明する。包装物21の滅
菌直後、温度30℃及び60℃の環境に70日置いたと
きの包装物21内の重炭酸塩3が変質したか否かを調べ
た。変量は以下の方法によって測定し、その結果を表1
に示した。測定はウィンクラー法に従って行った。先
ず、医療用容器1の収容部5のみを開放して重炭酸ナト
リウムを取り出し、これを適宜精秤して試料粉末とす
る。精秤量の試料粉末を蒸留水に溶かして定容したもの
を試料液とする。試料液の一部を取り、メチルオレンジ
指示薬を加え、塩酸標準液で滴定して、水酸化ナトリウ
ムと炭酸水素ナトリウムの合量を求める。別に同量の試
料液を取り、過剰の水酸化ナトリウム液を加え、次に塩
化バリウム液を過剰に加えて炭酸塩を沈殿させた後、沈
殿を濾過することなくフェノールフタレンを指示薬とし
て塩酸標準液で逆滴定する。水酸化ナトリウムを変量と
して求めた。尚、重炭酸塩の標準品から測定誤差範囲は
±2%であった。また、包装物21の滅菌直後のものに
ついては重炭酸塩3の重量変化も調べた。
【0014】
【表1】
【0015】このように構成された医療用容器1にあっ
ては、表1に示す如く長期間、重炭酸塩3を安定に維持
することができる。これは、オートクレーブ滅菌時に医
療用容器1の外側の雰囲気、即ち相対湿度などが急激な
変化を受けず、固体である重炭酸塩3が加温により結晶
水を奪われることもなく、また過剰な水蒸気雰囲気によ
り重炭酸塩3の収容室5をべた付きを生じさせることも
ない。そして、その使用に際しては、図5に示す如く、
隔離壁6を容器1の外側から剥離し、収容部4と収容部
5とを連通して一室とする。隔離壁6はピールシール部
であることから、電解質溶液2と重炭酸塩3とは無菌的
に確実に混合することができ、重炭酸イオンを含む輸液
剤9を提供することができる。外側から開放可能な隔離
壁としては、剥離可能なピールシール、一端が閉止され
た連通管からなりその管の一部を破壊することにより開
放するクリックチップ、隔離壁のシート同士を挟む挟持
手段等が既に存在するが、特に、隔離等をピールシール
部で形成すれば、容器1壁シート以外の部材を必要とせ
ずその製造が大量生産に好適であり、またピールシール
部の開放後は連通開口を広く取ることができるため、重
炭酸塩3と電解質溶液2との混合がスムーズに行われ
る。混合された輸液剤9は、そのPH値が6.0〜7.
5の範囲に維持される。このため、過剰酸性状態での輸
液時の腹痛、嘔吐等を生じさせる虞がない。また、血漿
中の重炭酸イオン量と同等を維持するため、肝障害の患
者に投与した場合でもアシドーシス等の電解質異常を生
じさせる虞もない。
【0016】上記実施例において、重炭酸塩3はナトリ
ウム塩である。本発明では、ナトリウム塩以外にカリウ
ム塩、リチウム塩等の他の塩を適用しても良い。また重
炭酸塩3の収容室5には、重炭酸塩以外に水酸化物、炭
酸塩等を必要により共存させても良い。上記実施例にお
いて、糖類をブドウ糖とした。本発明では、ブドウ糖以
外の糖類の使用をしても良い。上記実施例において、医
療用容器1を低張電解質維持液の容器とした。本発明で
は、細胞外液補充液、点滴開始液、脱水補給液、術後回
復液等の電解質輸液剤、糖液剤、アミノ酸液、脂肪乳
剤、高カロリー輸液剤、血漿増量液、浸透圧利尿剤等の
容器としても良い。また、糖液とアミノ酸液とを隔離し
て保存するような医療用容器にあっては、重炭酸塩の収
容室以外に、それぞれの各室を分けるために3室〜5室
等に分けた医療用容器を用いても良い。
【0017】次に、本発明に係る医療用容器の滅菌包装
方法の第二実施例について詳説する。図6に示す如く、
第二実施例の医療用容器としての腹膜透析用容器31
は、第一実施例の輸液容器とほぼ同様に構成されるが、
以下の点が相違する。尚、第一実施例と類似する部分や
構成については図1と同一の符号を付してその詳しい説
明を省略する。本実施例に係る医療用容器の滅菌方法を
更に詳しく説明すると、腹膜透析用容器31の容器本体
32は、壁面が撓む不定容積性の樹脂容器であり、具体
的には直鎖状低密度ポリエチレンをブロー成形して作製
する。そして、ブロー成形口33は透析液の充填口又は
排出口として形成する。成形口33には、連通針等の刺
針が可能なゴム栓34か設けられると共に、ゴム栓34
の止め材35が設けられる。成形口33はゴム栓34で
液密に封止され、止め材35はリング状で成形口33に
熱溶着されて、ゴム栓34を成形口33に密着させてい
る。また、容器本体32は、ピールシール部36、3
7、38が形成され、ピールシール部36、27、38
を境に重炭酸塩3の第一充填室39、第二充填室40、
及び第三充填室41が形成され、更に、容器本体32の
大部分を占める母液22の充填室42が形成される。
【0018】容器本体32をブロー成形することは、従
来のように2枚のシートを裁断しその周縁を完全シール
してバックを形成する手間、及び排出部材等の取り付け
の手間が省け、特に製造上好ましい。ゴム栓体34は、
成形口33を液密に密封する弾性部材であり、かかる開
口の密封が可能である限り、熱可塑性エラストマーから
なる栓体であってもよく、またシリコンゴム栓体等の非
腐食性のものを用いても良い。また、止め材35は成形
口33に熱溶着されることから、溶着性を高めるため、
容器本体32の樹脂と同種の樹脂成形物からなる。
【0019】容器本体32に形成されるピールシール部
36、37、38は、熱シールにより形成され、容器本
体32外からの操作により、内壁同士の剥離が可能で、
かかる剥離により室同士が連通される。ピールシール部
の形成方法は、例えば特開昭63−19149号公報に
記載のシール形成方法を参照することができる。即ち、
第一、第二、及び第三充填室39、40、41には重炭
酸塩9が順次所定量を小分けして充填され、形成されう
るピールシール部39、40、41を、セラミックで作
製した挟持体で内層同士が密着するように挟持し、かか
る状態で加熱雰囲気に晒される。これにより、挟持部に
ピールシール部が形成される。尚、上記以外のそれ自体
公知な方法によりピールシール部を形成しても良い。
【0020】更に、容器本体32は、包装材45で覆わ
れ、包装材45は炭酸ガスの難透過性シートから形成さ
れる。かかるシートの炭酸ガスの透過性は、3×10-3
〜3×102(cc*mm/cm2*sec*cmHg*1010)、特に102
(cc*mm/cm2*sec*cmHg*1010)以下であることが望まし
い。本実施例に於ける包装材45はポリエチレンテレフ
タレートが用いられ、包装材45内には、炭酸ガスを発
生させる脱酸素剤46が収納され、より炭酸ガスが容器
本体2からでないようにしてある。そして、包装材45
と共に腹膜透析液用容器31をオートクレーブ滅菌処理
する。
【0021】このように構成された腹膜透析用容器31
にあっては、アルカローシス〜アシドーシス患者でも電
解質異常による障害を防止することができる。即ち、ア
ルカローシスの患者に腹膜透析を使用する場合は、ピー
ルシール部38のみを剥離開放して第三充填室41と母
液充填室42を連通させ、少量の重炭酸塩3と母液22
とを混合して用いる。また、通常の患者に対しては、第
二及び第三充填室40、41及び母液充填室42を連通
させ、通常量の重炭酸塩3と母液22とを混合して適用
する。更に、アシドーシスの患者に対しては、第一、第
二、及び第三充填室39、40、41と母液充填室42
の全てが連通され、多めの重炭酸塩3と母液22とを混
合して用いる。これにより、種々の電解質異常の患者に
対しても適宜適用することができる。また、容器本体3
2は炭酸ガスの難透過性の包装体45で包装され、また
脱酸素剤46により、かなりの長期保存なども保証され
る。
【0022】上記各実施例において、樹脂容器に直鎖状
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びプ
ロピレンの混練り物のシートを用いた。このようなポリ
オレフィン系樹脂は、官能基を持たない点などで影響さ
れ難く、母液3に影響を与えない点で好ましい。しか
し、本発明においては、これに限る必要はない。例え
ば、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、軟質ポリエステル樹脂、塩素
化ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸
ビニル共重合体等の可撓性に富んだ材料を用いることが
できる。また樹脂シートは、異なる樹脂の多層ラミネー
トであっても良い。この場合、特に、外層或いは中間層
等に炭酸ガスの難透過性の高い樹脂を用いても良い。炭
酸ガスのバリア性の高い樹脂としては、高密度ポリエチ
レン、塩化ビニリデン、ポリエステル、ナイロン、ビニ
ロン等がある。上記各実施例において、包装体20或い
は包装材45にポリエチレンテレフタレートを用いた。
しかし、ガスバリア性シートには、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
エチレンテレフタレート、ナイロン等のポリアミドなど
が挙げられ、本発明ではこれらを用いることができる。
上記各実施例において、樹脂容器に筒状のインフレーシ
ョン成形物或いはブロー成形物を用いた。本発明におい
て、樹脂容器は、押出し成形物、真空成形物、射出成形
物等でも良い。上記各実施例において、重炭酸塩3を粉
末とした。本発明においては、固体形態であれば、顆
粒、打錠等の形態であっても良い。上記各実施例におい
て、重炭酸塩3をナトリウム塩とした。本発明におい
て、ナトリウム塩以外に、カリウム塩、リチウム塩等に
適用しても良い。上記各実施例において、重炭酸塩3の
みを収容した。本発明において、重炭酸塩以外に、炭酸
塩、水酸塩を適宜添加しても良い。上記実施例におい
て、無菌連通する隔離壁6をピールシール部とした。か
かる外部から開放可能な隔離壁は輸液容器においては特
に望ましい。本発明においては、外部からの開放可能な
手段に、クリックチック等の破壊開放可能な連通管や室
と室とを分ける挟持体等のそれ自体公知の開放可能な手
段を設けても良い。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る医療用
容器の滅菌方法によれば、電解質溶液が収容される医療
用容器の滅菌包装方法において、上記容器を柔軟な可撓
性樹脂容器から形成し、また該容器を複数の室に形成す
ると共に、該室と室との隔離壁を使用時に上記容器の外
側から開放可能に形成し、上記一の室に重炭酸塩を上記
電解質溶液と隔離して固体状態で収容し、その後、上記
容器を樹脂フィルムで液密に包装し、該包装物をオート
クレーブ滅菌するので、重炭酸濃度を安定に維持し長期
間の保存が可能で、滅菌処理も問題がない医療用容器の
滅菌包装ができ、アルカローシスもアシドーシスも生じ
ることがない、電解質異常のない輸液、透析液、及び臓
器保存剤等の医療用容器の滅菌包装方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る医療用容器の滅菌包装方法により
包装した第一実施例における医療用容器の平断面図であ
る。
【図2】第一実施例における医療用容器の滅菌方法の製
造過程の平断面図である。
【図3】第一実施例における医療用容器の滅菌方法の製
造過程の平断面図である。
【図4】第一実施例における医療用容器の滅菌方法の製
造過程の平断面図である。
【図5】第一実施例における医療用容器の使用時の平断
面図である。
【図6】第二実施例における腹膜透析用容器の半断面図
である。
【符号の説明】
1 医療用容器 2 電解質溶液 3 重炭酸塩 4、5 収容室 6 隔離壁 7 口部材 8 ゴム栓 9 輸液剤 20 包装体 21 包装物 32 容器本体 33 成形口部 34 ゴム栓 35 止め材 36、37、38 ピールシール部 39、40、41 充填室 42 母液充填室 45 包装材 46 脱酸素剤

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解質溶液が収容される医療用容器の滅菌
    包装方法において、上記容器を柔軟な可撓性樹脂容器か
    ら形成し、また該容器を複数の室に形成すると共に、該
    室と室との隔離壁を使用時に上記容器の外側から開放可
    能に形成し、上記一の室に重炭酸塩を上記電解質溶液と
    隔離して固体状態で収容し、その後、上記容器を包装体
    で液密に包装し、該包装物をオートクレーブ滅菌するこ
    とを特徴とする医療用容器の滅菌包装方法。
  2. 【請求項2】上記隔離壁の全部又は一部を上記容器外か
    ら剥離可能なピールシール部で形成する請求項1記載の
    医療用容器の滅菌包装方法。
  3. 【請求項3】上記包装体を炭酸ガス透過性が3×10-3
    〜3×102(cc*mm/cm2*sec*cmHg*1010)の樹脂シート
    で形成する請求項2記載の医療用容器の滅菌包装方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009509683A (ja) * 2005-09-29 2009-03-12 アルコン,インコーポレイティド 二室型溶液包装システム

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