JPH10201820A - 医療用容器 - Google Patents

医療用容器

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JPH10201820A
JPH10201820A JP9019966A JP1996697A JPH10201820A JP H10201820 A JPH10201820 A JP H10201820A JP 9019966 A JP9019966 A JP 9019966A JP 1996697 A JP1996697 A JP 1996697A JP H10201820 A JPH10201820 A JP H10201820A
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JP
Japan
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container
medical
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mother liquor
layer
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JP9019966A
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Soichi Kuroki
宗一 黒木
Tatsuo Suzuki
龍夫 鈴木
Keinosuke Isono
啓之介 磯野
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Material Engineering Technology Laboratory Inc
Original Assignee
Material Engineering Technology Laboratory Inc
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D81/00Containers, packaging elements, or packages, for contents presenting particular transport or storage problems, or adapted to be used for non-packaging purposes after removal of contents
    • B65D81/32Containers, packaging elements, or packages, for contents presenting particular transport or storage problems, or adapted to be used for non-packaging purposes after removal of contents for packaging two or more different materials which must be maintained separate prior to use in admixture
    • B65D81/3261Flexible containers having several compartments
    • B65D81/3266Flexible containers having several compartments separated by a common rupturable seal, a clip or other removable fastening device

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Package Specialized In Special Use (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 蒸気滅菌処理及び保存中に変質、分解を起こ
し易い薬剤を母液と分離して保存でき、使用直前に母液
と薬剤とを無菌的に簡単に混合して用いることのできる
医療用容器を提供。 【解決手段】 可撓性壁を有する樹脂素材からなる第一
容器2と、第一容器に連結される第二容器3とからな
り、第一容器内には容器と共に蒸気滅菌処理された母液
が充填され、第二容器内には使用時に母液と混合される
薬剤が充填され、第二容器に連結される第一容器壁は少
なくとも内層と外層とを有する積層構造からなり、内層
の完全熱溶着シール温度が外層の完全熱溶着シール温度
より高くなるような内層の樹脂素材と外層の樹脂素材と
が用いられており、第二容器は第一容器の外層を介して
完全熱溶着シールで液密に第一容器に連結され、且つ第
二容器に連結される第一容器壁の内層同士は第一容器内
の昇圧によって一部を剥離開放しうるピールシール部6
で形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟な可撓性壁を有す
る樹脂製容器であって、輸液、透析液、臓器保存液等を
収納した医療用容器に関するものであり、特に、母液と
一緒に保存ができない、又は蒸気滅菌などの過酷な処理
ができない薬剤を分離して収容し、使用直前に母液と薬
剤とを無菌的に簡単に混合して用いることのできる医療
用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、輸液、透析液及び臓器保存液の医
療用関係の電解質溶液等は柔軟な樹脂製の容器に充填さ
れて提供されている。このような医療用容器には二枚の
樹脂シートを重ね互いの周縁を熱シールして成形したも
の、射出成形したもの、ブロー成形したもの等がある。
また医療用容器には排出口が形成され、医療用容器が輸
液容器であれば排出口には点滴針等が刺通される。また
高カロリー輸液用剤が充填された医療用容器において
は、二室に分割した容器が提案されている(特開昭63
−19149号公報)。高カロリー輸液用剤中には糖類
とアミノ酸とが含まれるものがあり、かかる医療用容器
ではこれらの溶液を別々の室に収納している。これは、
糖類とアミノ酸を一緒にして高圧蒸気滅菌処理すると、
メイラード反応により変色を起こすからである。このよ
うな医療用容器の互いに隣接する室と室とは隔離シール
部により隔離され、隔離シール部は室を外側から押圧し
て室内を昇圧したときに剥離開放しうるようになってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、二成分
を分けて収容した医療用容器は以下の点で問題が見られ
る。糖溶液やアミノ酸溶液のように蒸気滅菌処理が可能
なものであれば、上記隔離シール部で二室に分けた従来
の医療用容器でも問題はない。しかし、患者に投与され
る薬剤には、上記アミノ酸溶液以外に、溶液では容易に
分解を起こすもの、蒸気滅菌にかければ容易に変質、分
解するものがある。このような易変質、分解薬剤を従来
の医療用容器に二室に分けて収容した場合、これらの薬
剤が蒸気滅菌に耐えられないため、使用不可能となる。
従って、本発明は、蒸気滅菌処理及び保存中に変質、分
解を起こし易い無機塩、有機物、抗生物質、生理活性物
質等の薬剤を使用直前まで母液と分離して安定に保存で
きる一方、使用直前に母液と薬剤とを無菌的に簡単に混
合して用いることのできる医療用容器を提供することを
目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、可撓性壁を有
する樹脂素材からなる第一容器と、上記第一容器に連結
される第二容器とからなり、上記第一容器内には該容器
と共に蒸気滅菌処理された母液が充填され、上記第二容
器内には使用時に上記母液と混合される薬剤が充填さ
れ、上記第二容器に連結される上記第一容器壁は少なく
とも内層と外層とを有する積層構造からなり、上記内層
の完全熱溶着シール温度が上記外層の完全熱溶着シール
温度より高くなるような上記内層の樹脂素材と上記外層
の樹脂素材とが用いられており、上記第二容器は上記第
一容器の外層を介して完全熱溶着シールで液密に該第一
容器に連結され、且つ上記第二容器に連結される上記第
一容器壁の内層同士は該第一容器内の昇圧によって少な
くとも一部を剥離開放しうるピールシール部で形成さ
れ、上記内層同士のピールシール部を剥離開放すること
により上記第一容器と第二容器とが連通して一つの液密
な容器体となると共に上記母液と薬剤が混合されること
を特徴とする医療用容器を提供することにより、上記目
的を達成したものである。
【0005】上記第一容器は可撓性壁を有する。可撓性
壁は撓むことにより容器内の容積が容易に変化するもの
であれば良い。また、第一容器壁は内容物の確認できる
程度に透明性を有する。後述するように、第一容器の使
用に際して母液と薬剤とが容器内で混合されるため、そ
の混合状態を確認する上で必要となるからである。上記
第一容器は樹脂素材からなり、インフレーションフィル
ム、チューブ、シート及びフィルムから成形したもの、
押出成形、射出成形、又はブロー成形したものである。
第一容器の樹脂素材としてはポリオレフィン系樹脂、塩
化ビニル、塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリルニトリ
ル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミド系樹脂等
の汎用樹脂である。また樹脂容器は多層で形成される。
更に最内層は融点の異なる樹脂のブレンド物であること
が望ましい。かかるブレンド物は、後述の完全熱溶着シ
ール部とピールシール部との異なるシール部形成が容易
になる。ブレンド物としては特に、ポリエチレンとポリ
プロピレンのブレンド物が望ましい。また樹脂容器材は
水蒸気、及びガスのバリアー性層が設けられていること
が望ましい。このようなバリアー層は、アルミニウム等
の金属層、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール
等がある。
【0006】上記第一容器に収容される母液は、薬剤の
溶解液及び薬剤が混注される輸液、透析液、臓器保存液
等であり、その成分は例えば、ナトリウム、カリウム、
マグネシウム、カルシウム、クロール、リン等、その他
の人体に存在する無機電解質、酢酸、乳酸、クエン酸
等、その他の人体に存在する有機電解質等であり、ま
た、電解質の他に糖類、アミノ酸、蛋白質、脂肪等のエ
ネルギー、必要により生理活性物質、ビタミン等も含ま
れる。尚、母液は医療用容器に無菌的に充填しても良い
が、第一容器内に液密収容した後、蒸気滅菌処理された
ものである。かかる滅菌処理により、母液の滅菌が確実
になされ、患者への安全な投与ができるからである。
【0007】上記第一容器に連結される第二容器は、可
撓性容器である必要はなく、また樹脂容器である必要は
ない。しかし、第一容器に直接連結するためには第二容
器は樹脂容器であることが望ましい。また、樹脂容器と
する場合は、上述の第一容器に用いられる樹脂素材、成
形物、積層物と同様なものを用いることができる。上記
第二容器に収容される薬剤は、使用時に母液と共に混合
して投与されるにも拘わらず、母液と共存させて保存で
きないか、蒸気滅菌ができない易変性薬剤である。具体
的には抗生物質、生理活性物質、重炭酸塩等のように酸
素や水分で容易に変質し、母液と共存させて保存できな
いもの、生理活性蛋白質、ビタミン類等のように蒸気滅
菌処理等の熱で容易に分解するもの等である。
【0008】第二容器に連結される第一容器壁は、少な
くとも内層と外層とを有する積層構造からなる。第一容
器壁は必ずしも内層と外層に限ることはなく、中間層が
存在していても良い。但し、内層と外層とは以下の条件
を満たす必要がある。また、内層と外層との積層構造は
第一容器の連結部の壁のみに存在しても良く、また第一
容器全体が積層構造でも良い。上記内層と外層の樹脂素
材は、上記内層の完全熱溶着シール温度が上記外層の完
全熱溶着シール温度より高くなるようなものが用いられ
る。完全熱溶着シールとは、熱溶着したシール部を剥離
しようとすると、シール部において破断が生じるシール
である。そして、完全熱溶着シール温度とは、樹脂壁を
ヒートシール、インパルスシール等で加熱或いは高周波
接合装置、超音波接合装置で発熱したときに完全熱溶着
シールが可能となる樹脂温度に達したときである。従っ
て、外層に完全熱溶着シール部を形成しても内層同士に
完全熱溶着シール部が必ずしも形成されない熱シールを
行うことができる。
【0009】上記第二容器が連結される少なくとも一部
の上記第一容器壁の内層同士には剥離開放しうるピール
シール部が形成されている。ピールシール部は弱シール
部とも称され、外部から容器を圧迫し、その内部が一定
の昇圧状態になったときに剥離するシール部、或いはシ
ール部の両外側に摘み部等を設け、摘み部を広げること
により容易に剥離するシール部である。上記ピールシー
ル部の剥離強度は、容器内の圧が0.01〜1.0Kg
f/cm2、特に、0.05〜0.5Kgf/cm2の昇
圧で剥離する強度が望ましい。上記範囲を下回る強度で
あれば、製造、運搬、保存時等の隔離状態を保つための
安全性に欠ける。上記範囲を上回る強度であれば、用時
に第一容器と第二容器同士の連通操作を容易にすること
ができなくなるおそれがある。このようなピールシール
部は上述のように内層が異なる融点或いはピカッド軟化
点を持つ複数の樹脂のブレンド物であることが望まし
い。このようなブレンド物の内層同士を熱シールする
と、半溶融状態となる温度に内層を加熱或いは発熱させ
ることが容易に設定できる。尚、ヒートシール、インパ
ルスシールの加熱温度、加熱時間を厳しく設定すること
により、内層が単独樹脂素材であっても半溶融状態のシ
ール面を形成してピールシール部を形成することができ
るが、やはりピールシール部の形成には内層がブレンド
物であることが望ましい。また上記第二容器は連結され
る第一容器の外層に完全熱溶着シールで液密に固着シー
ルされる。第二容器の外層への連結は第二容器が樹脂容
器であれば直接熱溶着シールができる。この場合、第二
容器の内層は外層と完全熱溶着シールし、且つ第一容器
の内層同士の完全熱溶着シール温度以下で固着される樹
脂素材からなる。上記第二容器は連結部材を介して外層
に液密に取り付けることもできる。かかる場合、第二容
器は樹脂容器に限ることはなく、ガラス製のバイアルで
あっても良い。
【0010】このように構成される医療用容器にあって
は、その製造時に母液を含む第一容器は高圧蒸気滅菌処
理をするが、第二容器は第一容器と別体で薬剤を無菌充
填とすることができる。また、第一容器と第二容器とは
第一容器の外層を介して液密に連結できる一方、その連
結部にピールシール部を形成して置くことができる。即
ち、第一容器の外層と第二容器との完全熱溶着シールの
処理がされた時でも、第一容器と第二容器との連結部に
おける第一容器の内層同士が完全熱溶着シールされるこ
とはない。このため、連結部に完全熱溶着シール部とピ
ールシール部が存在し、医療用容器の使用に際しては、
ピールシール部を剥離するだけで、第一容器内と第二容
器内とが連通して無菌的に一体となる。従って、医療用
容器において、母液に対して変質、分解し易い、また熱
等に変質し易い薬剤の収容、保存、直前使用が可能とな
る。
【0011】本発明に係る請求項2記載の医療用容器
は、請求項1記載の容器において、上記第二容器は上記
第一容器の外層に完全熱溶着しうる連結部材を介して上
記外層に連結されていることを特徴とする。連結部材
は、樹脂シート、筒状樹脂シート、樹脂管等であり、主
に、第一容器の外層と同質の樹脂素材である。第一容器
の外層に完全熱溶着しうる樹脂としては、外層と同質の
樹脂に限らないが、機械的接着強度が完全且つ液密ある
ためには同質樹脂であることが望ましい。かかる連結部
材を第一容器と第二容器との間に介在させることによ
り、製造上、第一容器と第二容器との連結端部を突き合
わせてかかる連結端部を跨いで連結部材をシールすれば
良いので、両者の無菌的な接続が極めて簡単にできる。
また、第二容器を樹脂容器に限ることもなくなり、従来
のガラスバイアルも適用可能となる。本発明に係る請求
項3記載の医療用容器は、請求項2記載の容器におい
て、上記第二容器は、その連結壁が少なくとも内層と外
層とを有する積層構造からなり、上記内層の完全熱溶着
シール温度が上記外層の完全熱溶着シール温度より高く
なるような上記内層の樹脂素材と上記外層の樹脂素材と
が用いられており、その連結壁に該内層同士をピールシ
ールした剥離可能な封止部が形成されていることを特徴
とする。第二容器自体も連結部にピールシール部を有す
るように構成すれば、第一容器と第二容器との製造時の
取り扱いが簡単になる。即ち、第一容器と第二容器とを
連結するに当たっては、無菌雰囲気中であることが望ま
しいが、かかる設備にも限界があり、できる限り無菌連
結するためには第二容器も一旦密封状態とされているこ
とが望ましい。
【0012】本発明に係る請求項4記載の医療用容器
は、請求項1記載の容器において、上記第二容器は、ガ
スバリアー性を有する樹脂壁からなる樹脂容器で形成さ
れていることを特徴とする。第二容器が樹脂容器であれ
ば、保存中に外界の酸素等が透過してくる虞がある。こ
のため、薬剤の長期保存ができない場合がある。しか
し、上記第二容器がガスバリアー性樹脂壁であれば、酸
素等の透過を極力防止することができ、長期化の保存が
可能となる。ガスバリアー性樹脂壁は、ポリ塩化ビニリ
デンやポリビニルアルコール等からなる。また、かかる
第二容器は蒸気滅菌処理に必ずしもかけることがないか
ら、上述のガスバリアー性樹脂壁からの塩化物が溶出し
て薬剤に影響を与える虞も回避できる。本発明に係る請
求項5記載の医療用容器は、請求項1記載の容器におい
て上記第二容器は樹脂層と金属のラミネート層を有し、
使用時に該ラミネート層が剥離可能に形成されているこ
とを特徴とする。第二容器は樹脂容器であり、金属のラ
ミネート層はアルミニウム箔等の層である。ラミネート
層は剥離可能に形成される。樹脂容器は通常ガスバリア
ー性がない一方透明性を有している。第二容器も混合時
に薬剤の溶解状態を確認するために透明性が要求され
る。しかし、このような樹脂容器はガスバリアー性に乏
しいため、保存中に薬剤が容器壁を透過してくる酸素や
水分により変質するおそれがある。また、高圧蒸気滅菌
処理中は、ガス難透過性の樹脂壁であっても容易にガス
が透過する。しかし、本発明のように金属のラミネート
層はガス非透過性であるため、酸素や水蒸気が保存時に
透過することはない。一方、その使用直前にはラミネー
ト層を剥離するのみで第二容器内の薬剤の確認ができ
る。従って、酸素や水分を嫌う薬剤、特に重炭酸塩等が
薬剤として収容されていれば、酸素や水分が全く透過し
てこないので第一容器と共に第二容器も蒸気滅菌処理す
ることもできる。
【0013】本発明に係る請求項6記載の医療用容器
は、請求項1記載の容器において、上記母液が輸液成
分、透析液成分、又は臓器保存液成分であることを特徴
とする。上記母液は抗生物質の薬剤等の単純な溶解液、
希釈液、混合液とすることができるが、輸液、透析液、
臓器保存液とすることができる。輸液としては、細胞外
液補充液、点滴開始液、脱水補給液、維持液、術後回復
液等の電解質輸液剤、糖液、アミノ酸液、脂肪乳剤、高
カロリー輸液剤、血漿増量液、浸透圧利尿剤等がある。
透析液としては、腹膜透析用或いは血液用透析液であ
る。臓器保存液としては、心臓、肝臓、腎臓等の他に角
膜等にも用いられる保存液である。
【0014】本発明はまた、請求項1記載の医療用容器
の製造方法において、上記第一容器と第二容器との連結
部を加熱殺菌或いは加熱滅菌して製造することを特徴と
する医療用容器の製造方法を提供することにより、上記
目的を達成したものである。本発明に係る医療用容器の
製造方法を簡単に説明すると、先ず、第一容器の一部に
ピールシール部を形成し、かかる第一容器に母液を液密
に収容した後、これを蒸気滅菌処理する。蒸気滅菌処理
温度は100℃〜150℃の範囲で行い、特に105℃
〜140℃の範囲で行うことが望ましい。かかる温度範
囲で処理すれば、滅菌処理が迅速且つ確実に成される一
方、樹脂容器に熱変形等の悪影響を与えない。一方、第
二容器に薬剤等を無菌的に収容して無菌室等の無菌雰囲
気中に配する。滅菌後に第一容器を無菌室等の無菌雰囲
気中に配し、第一容器のピールシール部が存在する端部
の外層に第二容器を無菌的に完全熱溶着シールする。こ
の場合、端部は第二容器を連結する前に外界に触れ汚染
に晒されるおそれがある。このため、端部を無菌的に接
続するために環境を万全とし、アルコール殺菌等の化学
的殺菌処理を実施することができる。しかし、更に確実
の無菌接続が望まれる場合がある。そこで、かかる完全
熱溶着シールの際に、そのシール部の加熱或いは発熱の
時間及び温度条件を設定することにより、汚染の虞があ
る第一容器及び第二容器の連結部を加熱殺菌或いは加熱
滅菌することが製造工程の上で簡単にできる。また、か
かる条件設定には内層同士を完全熱溶着シールしない温
度に設定することができるので、予めピールシール部が
形成されている内層同士部分に重複して熱溶着シールを
行ったとしても、そのピールシール部のピール機能は失
われることがない。
【0015】本発明はまた、請求項1記載の医療用容器
の製造方法において、上記第一容器と第二容器との連結
部を低電圧型電子線滅菌処理することを特徴とすること
ができる。一般に照射滅菌処理は第一容器及び第二容器
の連結部の外側から滅菌処理が可能であり、熱等を伴わ
ない点で望ましい。照射線滅菌処理には、γ線、電子
線、及び紫外線による照射線処理がある。しかし、滅菌
の確実性とその経済性及び大量生産適応性の点から以下
の低電圧型電子線照射滅菌処理が望ましい。電子線照射
滅菌において、電子線の透過性は主に加速電圧により決
定され、高エネルギー型では最高13000g/m2
あり、これは、水(比重1g/m2)の厚みで1300
0μmである。しかし、加速電圧装置が大型化するとX
線の遮蔽設備が大がかりになり、また樹脂素材を変質さ
せるおそれがある。このため、中低エネルギー型の1M
eV以下、特に低エネルギー型の500KV以下の加速
電圧装置が望ましく、かかる装置では中エネルギー型で
約1500g/m2 、低エネルギー型で約800g/m
2が限界であるため、電子線透過の厚みは樹脂素材で1
600μm、特に800μmが最適な限度とされる。こ
のことから、電子線滅菌はその加速電圧が1MeV未
満、特に低エネルギー型の500KV〜50KVのもの
であれば、電子線の所定の浸透性が得られる一方、X線
等の放出がほとんどないため、その遮蔽設備を必要とせ
ず、生産ラインにコンパクトに配することができる。即
ち、加速電圧500KVによる電子線の浸透性は約80
0g/m2以下で、特に800μm以下の樹脂肉薄部で
の浸透性が十分に得られる。
【0016】従って、第一容器と第二容器との連結部に
照射線滅菌を直接する場合、連結部の厚みは上記範囲を
下回るものであることが望ましい。また、微生物の殺菌
においては、特開平7−16286号公報にも記載され
るように、放射線菌で指標となるB.pumilus(spores)E-6
01で約0.2Mrad(2kGy)のD値を有する。1
cm2当たり、通常100オーダーの菌が付着している
が、安全性を十分考慮すれば、102オーダーまでの付
着があるとの仮定も成り立つ。また102オーダーでの
滅菌保証レベル(SAL)は生存率10-6%である。電
子線照射装置は連結部が6×0.2Mrad以上、好ま
しく8×0.2Mrad以上で滅菌されるように通電量
とコンベア速度が調整されて滅菌処理がなされる。これ
により、製造上、汚染に晒される虞のある第一容器と第
二容器との連結部は十分な滅菌保証が簡単な操作でなさ
れ、大量製造を可能なものとすることができる。
【0017】
【実施態様】以下、本発明に係る医療用容器及びその製
造方法の好ましい実施態様を添付図面を参照しながら詳
述する。図1は本発明に係る医療用容器の第一実施態様
の正面図である。図2(A)〜(C)は、図1に於ける
I−I線、II−II線、及びIII−III線に沿っ
た断面図である。図3は、第一実施態様の医療用容器の
使用時の正面図である。図4は、本発明に係る医療用容
器の第二実施態様の正断面図である。図5は、図4に於
ける − 線に沿った断面図である。図6は、本発明に
係る医療用容器の第三実施態様の正面図である。図7
(A)〜(C)は、第三実施態様の第二容器の栓体の製
造工程を示す断面図、断面図及び側面図である。図8
(A)及び(B)は、第三実施態様における第二容器に
薬剤を充填する工程を示す断面図である。図9は、第三
実施態様における第一容器と第二容器との連結部を電子
線照射する電子線照射滅菌装置の概要図である。
【0018】本実施例に係る医療用容器1は、図1〜図
3に示す如く可撓性壁を有する樹脂素材からなる第一容
器2と、第一容器2に連結される第二容器3とからな
る。第一容器2内には容器2と共に蒸気滅菌処理された
母液4が充填され、第二容器3内には使用時に母液4と
混合される薬剤5が充填され、第二容器3に連結される
第一容器壁2Aは内層11と外層12とを有する積層構
造からなり、内層11の完全熱溶着シール温度が外層1
2の完全熱溶着シール温度より高くなるような内層11
の樹脂素材と外層12の樹脂素材とが用いられており、
第二容器3は第一容器2の外層12を介して完全熱溶着
シールで液密に第一容器2に連結され、且つ第二容器2
に連結される第一容器壁2Aの内層11、11同士は第
一容器2内の昇圧によって少なくとも一部を剥離開放し
うるピールシール部6で形成され、内層11、11同士
のピールシール部6を剥離開放することにより第一容器
2と第二容器3とが連通して一つの液密な容器体となる
と共に母液4と薬剤5が混合される。第二容器3は、第
一容器2の外層12に完全熱溶着しうる連結部材20を
介して外層12に連結されている。第二容器3は、その
連結壁3Aが内層16と外層17とを有する積層構造か
らなり、内層16の完全熱溶着シール温度が外層17の
完全熱溶着シール温度より高くなるような内層16の樹
脂素材と外層17の樹脂素材とが用いられており、その
連結壁3Aに内層16、16同士をピールシールした剥
離可能な封止部19が形成されている。第二容器3は、
ガスバリアー性を有する樹脂壁3Aからなる樹脂容器で
形成されている。
【0019】第一実施態様に係る医療用容器1を更に詳
しく説明すると、医療用容器1の第一容器2は図1及び
図2に示す如く、インフレーション成形した透明で柔軟
な可撓性樹脂シートを所定の大きさに裁断して裁断端部
13、14が熱溶着シールされて成形されている。シー
トは肉厚が250μmで、内層11が厚み50μmの直
鎖状低密度ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド
物で、外層12が厚み200μmの低密度ポリエチレン
の二層構造からなる。直鎖状低密ポリエチレンは融点が
126℃で、ポリプロピレンは融点が160℃である。
また、内層11は直鎖状低密度ポリエチレンとポリプロ
ピレンとを65:35の割合でブレンドしたものであ
る。従って、外層12は130℃付近の加熱或いは発熱
で完全熱溶着シールが可能であるが、内層11は130
℃付近の加熱或いは発熱では半溶融状態となり完全熱溶
着シールを生じない。裁断端部の一端13には完全熱溶
着シール部7が形成され、完全熱溶着シール部7は内層
11同士が殆ど剥離せず、剥離しようとするとシートの
破断が生じる非剥離シール部である。裁断端部の他の端
14にはピールシール部6が形成され、ピールシール部
6は内層11同士が剥離開放可能に形成されている。ピ
ールシール部6は母液4が収容される第一容器2を0.
2Kgf/cm2以上で圧迫した時に剥離開封する。裁
断端部13の完全熱溶着シール部7にはそのシール形成
時に排出口15が設けられている。排出口15には点滴
用針が刺通されるようになっている。医療用容器1の第
一容器内には母液4が収容され、母液4は生理食塩水か
らなる抗生物質の溶解液である。母液4は第一容器2と
共に高圧蒸気滅菌処理がなされている。
【0020】第二容器3は袋状のブロー成形物からな
り、第二容器壁3Aは内層16が厚み100μmの直鎖
状低密度ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド物
で、外層17が厚み200μmの直鎖状低密度ポリエチ
レンの構造からなる。また、内層16と外層17との間
に中間層10が形成され、中間層10は、延伸ナイロ
ン:15μm/ポリ塩化ビニリデン:15μm/延伸ナ
イロン:15μmで形成される。直鎖状低密ポリエチレ
ンは融点が126℃で、ポリプロピレンは融点が160
℃である。また、内層16は直鎖状低密度ポリエチレン
とポリプロピレンとを65:35の割合でブレンドした
ものである。第二容器3は端部開口18を液密に封止し
た封止部19が形成され、封止部19はピールシール部
となっている。そして、第二容器3内には抗生物質5が
液密に無菌的に収容されている。また、中間層10によ
り樹脂壁3Aは50cc/m2*24hrs*atm 以下の酸素難透過
性膜となっている。第一容器2の裁断端部14と第二容
器3の端部開口18は突き合わされた状態で連結部材2
0で連結される。連結部材20は矩形状の2枚の樹脂シ
ートからなり、樹脂シートは上述の直鎖状低密度ポリエ
チレンからなる。連結部材20は第一容器2及び第二容
器3の突き合わせ端部跨いでそれぞれの外層11、17
を完全に覆って樹脂シート同士が完全熱溶着シールされ
ている。
【0021】次に、第一実施態様の医療用容器1の製造
方法について説明する。先ず第一容器2を製造するに
は、インフレション成形した筒状の上記樹脂シートを所
定の長さに裁断し、樹脂シートの一の端部13に完全熱
溶着シール部7を形成し、他の端部14にピールシール
部6を形成する。ピールシール部6のインパルスシーラ
ー温度は140℃で12秒間行う。かかるヒートシール
温度条件では樹脂シートの内層のポリプロピレンが十分
に溶融しないため剥離可能なシール部として形成され
る。完全熱溶着シール部7のインパルスシーラーの温度
は170℃で、5秒間行う。尚、かかるシールの際にシ
ール部7に排出口15のポートを取り付ける。排出口1
5から上記母液4を第一容器2内に所定量充填し、排出
口15のボートをゴム栓で液密に閉じる。密栓後、第一
容器2をオートクレーブ滅菌装置に搬入して、温度11
5℃で蒸気滅菌処理を行う。一方、第二容器3はブロー
成形により得た容器の口部を裁断して袋状の容器本体を
形成する。次に、第二容器3内に凍結乾燥品である抗生
物質5をクリーンルーム内で所定量無菌的に充填し、裁
断した端部開口18に封止部19を形成する。封止部1
9は上述のピールシール部6の形成条件と同様にして熱
溶着シールにより形成する。
【0022】上記第一容器及び第二容器をクリーンルー
ム内に搬入し、第一容器の端部14及び第二容器の端部
18をエチルアルコールで消毒、乾燥して、かかる部分
を突き合わせ配置する。かかる突き合わせ部分の両側に
ロールに巻かれたリボン状の一対の連結部材20用の樹
脂シートが配され、突き合わせ部分を一対の樹脂シート
が挟んで覆っう状態になったときに熱溶着シーラが作動
し、一対の樹脂シート同士及び樹脂シートとそれぞれ跨
いで配される端部14、18の外層11、17面とを完
全熱溶着シールする。かかる連結部材20の完全熱溶着
シール部のインパルスシーラー温度は140℃で12秒
間、及び温度120℃で10分間行いかかる部分の滅菌
処理を行う。また、リボン状の樹脂シートは所定位置で
カットされ、これにより、本実施態様の医療用容器1を
製造することができる。そして、かかる医療用容器1は
脱酸素剤等を入れたガスバリアー性の包装材で包装して
製品とする。
【0023】このように構成される医療用容器1におい
て、医療用容器1の保存期間中は、水分や酸素等を嫌う
第二容器3中の抗生物質5が変質するおそれがない。一
方使用に際しては、図3に示す如く、第一容器2を外側
から圧迫すれば、ピールシール部6及び封止部19が剥
離開封し、第一容器2内と第二容器3内とが外界に晒さ
れることなく連通する。そして、母液4に抗生物質5が
無菌的に溶解し、排出口15からの患者への投与が可能
となる。また、第一実施態様の医療用容器1の無菌性を
試験するため、第一容器の母液4の代わりに日本薬局方
第十二改正に基づく一般試験法の無菌試験法における無
菌試験用チオグリコール酸培地 及び無菌試験用ブドウ
糖・ペプトン培地を収容して蒸気滅菌し、また第二容器
に所定量の水を入れた後、封止部を形成し、これも蒸気
滅菌し、かかる第一容器と第二容器とを上記実施態様に
基づいて連結したものをそれぞれ10個作製した。そし
て、かかる試験サンプルの全てについて第一容器と第二
容器を連通させ、30〜32℃又は20〜25℃のオー
ブンに一週間置いたが、混濁、沈殿物の発生やその他の
異常は見られなかった。従って、本発明に係る医療用容
器では、第一容器と第二容器とを無菌的に簡単に連結す
ることができる。
【0024】また、図4及び図5は第二実施態様の医療
用容器の正断面図、横断面図である。第二実施態様の医
療用容器21は第一実施態様の医療用容器1と類似の構
造をしており、第一実施態様の医療用容器1と同様な部
材又は構造については図4及び図5に同一の符号を付し
てその詳しい説明を省略する。第二実施態様の医療用容
器21が第一実施態様の医療用容器1と異なる点は以下
の点である。第一容器2と第二容器22は直接連結され
ている。第二容器22は二枚の樹脂シート23、24を
重ね、三方の周縁25が完全熱溶着シールされて一端を
開口端26した袋状に形成されている。図5に示す如く
樹脂シート23、24は、分離可能な外層(PET:1
2μm+AL:9μm+ONY:15μm)27と、中
間層(ONY:15μm+PVDC:15μm+ON
Y:15μm)28と、内層(LLDPE:100μ
m)29とからなる。尚、PETはポリエチレンテレフ
タレートであり、ONYは延伸ナイロンであり、PVD
Cはポリ塩化ビニリデンであり、LLDPEは上述直鎖
状低密ポリエチレンである。かかる樹脂シート23、2
4は外層27により水蒸気及び酸素の非透過性となって
おり、また、外層27を分離した樹脂シ−トは、中間層
28のポリ塩化ビニリデン層により50cc/m2*24hrs*at
m以下の酸素難透過性膜となっている。開口端26に第
一容器2の連結端部14の一部が挿入され、開口端26
の内層28と連結端部14の外層12とが熱溶着シール
されている。かかるシール部30は完全熱溶着シール部
であり、加熱温度140℃で熱シールされている。
【0025】医療用容器21の第二容器22にはPH調
整剤32が収容され、医療用容器21には第一容器2内
の母液31と第二容器22内のPH調整剤32と混ぜた
輸液用剤が収容される。輸液用剤は電解質維持液であ
り、不感蒸泄、尿中排泄により生理的水分や電解質の補
充に使用されるものであり、経口摂取不能で、嘔吐、下
痢、異常発汗等の異常経路からの体液喪失が続いていな
い患者等に適用される。母液31とPH調整剤32と混
ぜた輸液用剤は、浸透圧が血漿の1/2〜2/3の低張
であり、電解質中のNaが30〜60mEq/Lの範囲
で含まれ、Kが10〜30mEq/Lの範囲で含まれ、
Clが20〜50mEq/Lの範囲で含まれる。また、
その他の電解質として、重炭酸が24mEq/Lの範囲
で含有され、アセテート又はラクテートの濃度は、24
mEq/L以下、特に重症肝障害者には、15〜0mE
q/Lの範囲で含まれる。また、輸液用剤は、カロリー
補給も必要とするため、糖類が1〜15重量%の範囲で
含まれる。糖類の含有量が上記範囲を下回ればカロリー
補給の意義が失われ、上記範囲を上回れば、通常の静脈
投与をすると、血管壁に障害を与えるおそれがある。更
に、母液31とPH調整剤32とを混合した輸液用剤
は、そのPH値が6.5〜7.5の範囲にある。
【0026】第二容器22内にはPH調整剤32が収容
され、PH調整剤32は重炭酸ナトリウムの粉末からな
る。重炭酸ナトリウムはアルカリ性剤であり、1:30
の水溶液としてのPH値は8.5〜9.5になる。重炭
酸ナトリウムとしては日本薬局方に基づく重曹粉末であ
る。重炭酸ナトリウムは輸液用剤に24mEq/Lが用
いられ、且つ母液31が100mL収容されることか
ら、炭酸水素ナトリウムは、0.202gの容量で第二
容器22内に収容される。一方、母液31は、輸液用剤
の成分から重炭酸ナトリウム2.4ミリmolを差し引
いた溶液として第一容器2内に収容される。従って、母
液31にはナトリウム塩が少なく調整され、母液31の
PH値は4.0〜5.0の範囲となっている。また、母
液31及びPH調整剤32は医療用容器21と共にオー
トクレーブ滅菌処理が成されている。従って、母液31
のPH値が上述のように低いことから、母液31の糖類
がオートクレーブ中に変色することがないようになって
いる。
【0027】次に、医療用容器21の製造方法について
簡単に説明する。尚、第一容器2の製造方法は第一実施
態様の医療用容器1と同様な製造方法なので、その詳し
い説明を省略する。上記第二容器22において、上記樹
脂シート23、24を矩形状に裁断して、重ねて三方の
周縁をシール温度140℃で完全熱溶着シールして開口
端26を有した第二容器22を形成する。PH調整剤3
2を開口端26から無菌的に所定量充填する。次に、第
二容器22の開口端26内に第一容器2の端部14を挿
入し、開口端26を外側からシール温度140℃で熱溶
着シールして完全熱溶着シール部30を形成する。これ
により、第二容器22の内層29と第一容器2の外層1
2とが固着シールされると共に、PH調整剤32が液密
に第二容器22内に収容される。次に、連結状態の第一
容器2及び第二容器22を母液31及びPH調整剤32
と共にオートクレーブ滅菌処理する。滅菌温度を115
℃で行う。
【0028】このように構成された本実施例態様の医療
用容器21にあっては、第一実施態様と同様な作用効果
を奏する他に、以下の効果がある。第一容器2内の母液
31はPH値が4.0〜5.0であるため、その製造
時、及び保存時において糖類等の変色、変質を起こすお
それがない。医療用容器21を使用する場合、先ず、第
二容器22からアルミニウム層である外層27を分離し
て第二容器22壁を透明容器とし、内部のPH調整剤3
2を確認する。第一容器2内を押圧して端部14のピー
ルシール部6を剥離開放し、第一容器2内と第二容器2
2内とを連通する。これにより、母液31中にPH調整
剤32が溶解し、医療用容器21内に輸液用剤が生じ
る。次に、排出口15に点滴用針を刺通し、患者に点滴
を行う。従って、母液31とPH調整剤32とを混合し
た輸液用剤は、PH値が6.5〜7.5であるため、患
者は従来のような低PH値液の投与異常による下痢、嘔
吐、腎障害等を起こすおそれが少なくなる。また、重炭
酸塩等をPH調整剤32とすることにより、輸液用剤に
重炭酸を電解質として含めることができる。重炭酸は従
来のように母液31中のカルシウムなどと沈殿を生じ難
く、保存時、重炭酸は粉末のPH調整剤32として母液
31とは区別して存在するため、長期間安定な状態に置
くことができ、従来のように母液31に溶解した状態で
保存したときのように炭酸ガスに容易に変化して消失を
起こすおそれがない。そして、このような重炭酸を含む
医療用容器21の使用により、患者は、体内でのPH値
が維持され、従来のものと相違してアシドーシス等の電
解質異常を生じることがない。また、重炭酸の電解質量
の添加割合に応じて酢酸や乳酸等の電解質を少なくなく
できるため、体内に直接重炭酸が作用し、体内中の重炭
酸濃度を一定とすることができる。また、第二容器22
は製造時、特に蒸気滅菌時に非ガス透過性を有し、使用
時に外層27の分離により透明容器となるので、PH調
整剤32は蒸気滅菌時及び保存時においての分解などが
殆ど抑えられる。
【0029】次に図6〜図9に従って第三実施態様の医
療用容器について説明する。第三実施態様の医療用容器
41は第一容器2が第一実施態様の医療用容器1の第一
容器2と類似の構造をしており、異なる点は端部14の
一部にピールシール部6が形成されるとともにその他の
部分が完全熱溶着シールされている点であり、その他に
ついては同様なのでその詳しい説明は省略する。第三実
施態様の医療用容器41の第二容器42はガラス製のバ
イアルであり、第二容器42は開口部43の栓体44に
取り付けられた連結補助部材45を介して第一容器2に
連結されている。また、第一容器2の一端部14と連結
補助部材45の開口端部46とは突き合わせられた状態
で、第一実施態様と同様な連結部材20により連結され
ている。
【0030】図7(A)に示す如く、第二容器42の栓
体44はエチレン−プロピレンの熱可塑性エラストマー
で形成され、半打栓可能なスカート部61と連通孔62
とを有している。また、連結補助部材45は筒状で壁が
可撓性を有する共押出成形物を所定の長さに裁断したも
のであり、外層64が上記直鎖状低密度ポリエチレンで
あり、内層65が上記直鎖状低密度ポリエチレンとプロ
ピレンのブレンド樹脂からなる。栓体44は連通補助部
材45の他の開口端部47に液密に固着されている。図
7(B)及び(C)に示す如く、連通補助部材45の内
層65、65同士が熱溶着シールされて封止部48が形
成され、封止部48はピールシール部で栓体44の連通
孔62を封止している。図8(A)及び(B)に示す如
く、第二容器42内に除菌フィルタを通して抗生物質5
の溶液66が所定量充填され、上記栓体44が第二容器
42の開口部43に半打栓され、凍結乾燥がなされる。
凍結乾燥後、栓体44の打栓を完全にして第二容器42
内に抗生物質5の凍結乾燥品を有したものである。そし
て、かかる第二容器42に設けられた連結補助部材45
の開口端部46と第一容器2の一端部14とが第一実施
態様の容器と同様に突き合わせられ、連結部材20を介
して連結されている。
【0031】次に、第一容器2と第二容器42との連結
部材20の部分のみを両面から図9に示す電子線照射装
置50で電子線照射滅菌する。電子線照射装置50は加
速電圧が500KV以下の電子線照射装置である。電子
線照射装置50は、ベルトコンベア51の上方に設けら
れ、機枠62と、機枠62に形成される窓枠53、窓枠
53に取り付けられた窓箔54、窓枠53の上方を覆っ
ている加速管55、及び加速管55内の真空チャンバ内
に設けられた電子線発生部56からなる。また電子線発
生部56はグリッド57、ガンフレーム58、及びフィ
ラメント59とからなる。フィラメント59は通電さ
れ、加熱させられて熱電子を発生する。熱電子は所定の
電圧が印加されたフィラメント59とグリッド57との
間で加速され、窓箔54からコンベア51上に照射され
る。尚、機枠52は電子線照射により二次的に発生する
X線等の外部漏出を防止するため鉛遮蔽がされている。
従って、フィラメント69の通電量、及び照射電子線量
が調整された加速電圧により、電子線の浸透性を調整す
ることができる。また、コンベア速度を調整して1.6
Mradを連結部材20に照射する。
【0032】このように構成される医療用容器41にお
いても、第一実施態様の医療用容器と同様の作用効果を
奏する。小型の設備で、連結部を外側から容易に滅菌処
理することができる。このため、安全な医療用容器41
を大量生産することができる。上記各実施態様では、医
療用容器に輸液剤を用いたが、腹膜用透析液、人工腎臓
用環流液、人工腎臓用透析液、人工腎臓補充液等の透析
液や臓器保存液を収容した医療用容器に適用することが
できる。上記各実施態様では、第一容器にインフレーシ
ョン樹脂シートから容器本体を成形したが、可撓性で透
明性を有する限り、ブロー成形物、射出成形物、真空成
形物等であっても良い。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る医療用
容器によれば、可撓性壁を有する樹脂素材からなる第一
容器と、上記第一容器に連結される第二容器とからな
り、上記第一容器内には該容器と共に蒸気滅菌処理され
た母液が充填され、上記第二容器内には使用時に上記母
液と混合される薬剤が充填され、上記第二容器に連結さ
れる上記第一容器壁は少なくとも内層と外層とを有する
積層構造からなり、上記内層の完全熱溶着シール温度が
上記外層の完全熱溶着シール温度より高くなるような上
記内層の樹脂素材と上記外層の樹脂素材とが用いられて
おり、上記第二容器は上記第一容器の外層を介して完全
熱溶着シールで液密に該第一容器に連結され、且つ上記
第二容器に連結される上記第一容器壁の内層同士は該第
一容器内の昇圧によって少なくとも一部を剥離開放しう
るピールシール部で形成され、上記内層同士のピールシ
ール部を剥離開放することにより上記第一容器と第二容
器とが連通して一つの液密な容器体となると共に上記母
液と薬剤が混合されるので、蒸気滅菌処理及び保存中に
変質、分解を起こし易い無機塩、有機物、抗生物質、生
理活性物質等の薬剤を使用直前まで母液と分離して安定
に保存できる一方、使用直前に母液と薬剤とを無菌的に
簡単に混合して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る医療用容器の第一実施態様
の正面図である。
【図2】図2(A)〜(C)は、図1に於けるI−I
線、II−II線、及びIII−III線に沿った断面
図である。
【図3】図3は、第一実施態様の医療用容器の使用時の
正面図である。
【図4】図4は、本発明に係る医療用容器の第二実施態
様の正断面図である。
【図5】図5は、図4に於ける − 線に沿った断面図
である。
【図6】図6は、本発明に係る医療用容器の第三実施態
様の正面図である。
【図7】図7(A)〜(C)は、第三実施態様の第二容
器の栓体の製造工程を示す断面図、断面図及び側面図で
ある。
【図8】図8(A)及び(B)は、第三実施態様におけ
る第二容器に薬剤を充填する工程を示す断面図である。
【図9】図9は、第三実施態様における第一容器と第二
容器との連結部を電子線照射する電子線照射滅菌装置の
概要図である。
【符号の説明】
1、21、41 医療用容器 2 第一容器 3 第二容器 4 母液 5 抗生物質(薬剤) 6 ピールシール部 11 第一容器の内層 12 第一容器の外層 14 第一容器の連結端部 16 第二容器の内層 17 第二容器の外層 18 第二容器の開口端部 19 封止部 20 連結部材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性壁を有する樹脂素材からなる第一
    容器と、上記第一容器に連結される第二容器とからな
    り、 上記第一容器内には該容器と共に蒸気滅菌処理された母
    液が充填され、上記第二容器内には使用時に上記母液と
    混合される薬剤が充填され、 上記第二容器に連結される上記第一容器壁は少なくとも
    内層と外層とを有する積層構造からなり、上記内層の完
    全熱溶着シール温度が上記外層の完全熱溶着シール温度
    より高くなるような上記内層の樹脂素材と上記外層の樹
    脂素材とが用いられており、 上記第二容器は上記第一容器の外層を介して完全熱溶着
    シールで液密に該第一容器に連結され、且つ上記第二容
    器に連結される上記第一容器壁の内層同士は該第一容器
    内の昇圧によって少なくとも一部を剥離開放しうるピー
    ルシール部で形成され、 上記内層同士のピールシール部を剥離開放することによ
    り上記第一容器と第二容器とが連通して一つの液密な容
    器体となると共に上記母液と薬剤が混合されることを特
    徴とする医療用容器。
  2. 【請求項2】 上記第二容器は、上記第一容器の外層に
    完全熱溶着しうる連結部材を介して上記外層に連結され
    ていることを特徴とする請求項1記載の医療用容器。
  3. 【請求項3】 上記第二容器は、その連結部が少なくと
    も内層と外層とを有する積層構造からなり、上記内層の
    完全熱溶着シール温度が上記外層の完全熱溶着シール温
    度より高くなるような上記内層の樹脂素材と上記外層の
    樹脂素材とが用いられており、その連結壁に該内層同士
    をピールシールした剥離可能な封止部が形成されている
    ことを特徴とする請求項2記載の医療用容器。
  4. 【請求項4】 上記第二容器は、ガスバリアー性を有す
    る樹脂壁で形成されていることを特徴とする請求項1記
    載の医療用容器。
  5. 【請求項5】 上記第二容器は金属のラミネート層を有
    し、使用時に該ラミネート層が剥離可能に形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の医療用容器。
  6. 【請求項6】 上記母液が輸液成分、透析液成分、又は
    臓器保存液成分であることを特徴とする請求項1記載の
    医療用容器。
  7. 【請求項7】 上記請求項1記載の医療用容器の製造方
    法において、上記第一容器と第二容器との連結部を加熱
    殺菌或いは加熱滅菌して製造することを特徴とする医療
    用容器の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記請求項1記載の医療用容器の製造方
    法において、上記第一容器と第二容器との連結部を低電
    圧型電子線滅菌処理することを特徴とする医療用容器の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7213702B2 (en) 2001-11-02 2007-05-08 Nipro Corporation Small bag-shaped drug container
US9004761B2 (en) 2006-05-01 2015-04-14 Baxter International Inc. Multiple chamber container with mistake proof administration system

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