JPH1017938A - 高加工性フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

高加工性フェライト系ステンレス鋼板の製造方法

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JPH1017938A
JPH1017938A JP17498096A JP17498096A JPH1017938A JP H1017938 A JPH1017938 A JP H1017938A JP 17498096 A JP17498096 A JP 17498096A JP 17498096 A JP17498096 A JP 17498096A JP H1017938 A JPH1017938 A JP H1017938A
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hot
stainless steel
sheet
finish
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JP17498096A
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Yasushi Kato
康 加藤
Takeshi Yokota
毅 横田
Susumu Sato
佐藤  進
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 r値が高く、Δrが小さく、しかも鋼帯長さ
方向における材質変動が少ない、フェライト系ステンレ
ス鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 固相域でフェライト単相組織を呈する成
分組成のステンレス鋼スラブを、熱間粗圧延し、得られ
たシートバーを先行するシートバーの後端と接合し、引
き続き、圧延温度範囲 800〜1000℃、かつ最終スタンド
における圧延速度800 m/min以上にて熱間仕上げ圧延す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト系ステ
ンレス鋼板の製造方法に関し、特に深絞り成形性が必要
な厨房機器、電化製品、自動車部品あるいは建材等の使
途に用いて好適な高加工性フェライト系ステンレス鋼板
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼板は、一般
に、オーステナイト系ステンレス鋼板に比べて、耐応力
腐食割れ性に鋼板に優れるとともに安価であることか
ら、各種厨房器具、電化製品、自動車部品、建材等の分
野で幅広く使用されている。しかし一方、従来のフェラ
イト系ステンレス鋼板は、オーステナイト系ステンレス
鋼板よりも、深絞り性に劣るため、この特性が必要な用
途には適さないという難点を抱えており、その改善が強
く求められていた。また同時に、フェライト系ステンレ
ス鋼板には、深絞り成形品の品質や歩留り向上の点か
ら、板面内における深絞り特性の異方性は極力少なく、
均一であることも要求されていた。
【0003】一方、近年、フェライト系ステンレス鋼板
の低コスト化への要求も、ますます増してきつつある。
すなわち、フェライト系ステンレス鋼板は、従来は、連
続鋳造−スラブ加熱−熱間圧延(熱間粗圧延および熱間
仕上げ圧延)−熱延板焼鈍−冷間圧延−仕上げ焼鈍とい
った工程で製造されてきた。このような従来の製造工程
から、熱延板焼鈍を省略した工程による製造技術、ある
いは熱間圧延で1.2 mm程度まで薄くし、冷間圧延以降を
実施しない工程による製造技術、いわゆる冷延板代替鋼
板の製造技術など省プロセスによる製造技術の開発が求
められるようになってきている。
【0004】ところで、このような成形加工特性の向上
や低コスト化への要求を解決するために、これまでにも
幾つかの試みがなされてきた。例えば、特開平6−2719
44号公報には成形性および異方性を向上させるための提
案がある。また、特開昭62−10217 号公報、特開昭62−
10218 号公報および特開昭62−10219 号公報には、ひず
み速度を 150 s-1以上に高めることにより成形性を向上
させるための提案がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平6−271944号公報に開示の技術では、異方性は改善
されるものの、r値は依然として低いうえ、工程的には
熱延板焼鈍以降の工程が必須であるといった問題があっ
た。また、上記の特開昭62−10217 号公報、特開昭62−
10218 号公報および特開昭62−10219 号公報に開示の技
術では、異方性を小さくするのが困難であり、さらに、
高ひずみ−潤滑圧延を必要とするために圧延機への材料
の噛み込み不良やスリップ、板厚変動などを引き起こす
という問題を有していた。そのほか、これらの従来技術
に共通した問題点として、鋼帯の長手方向に安定した材
質が得られず、材質変動、特に、鋼帯の先後端部におけ
る材質低下が避けられないことが挙げられる。
【0006】そこで、この発明は、上記実情に鑑みてな
されたものであり、r値(ランクフォード値)が高く、
Δr(r値の面内異方性)が低く、しかも鋼帯長さ方向
における材質変動が少ない、フェライト系ステンレス鋼
板の製造方法を提供することを目的とする。また、この
発明は、熱延板焼鈍−冷延−仕上げ焼鈍工程でr値:1.
6 以上、Δr:0.2 以下、また熱延板焼鈍省略−冷延−
仕上げ焼鈍工程でr値:1.5 以上、Δr:0.3 以下、さ
らに熱延板焼鈍ままの工程でr値:1.2 以上、Δr:0.
3 以下の特性を満たす、フェライト系ステンレス鋼板の
製造方法を提供することを目的とする。さらに、この発
明は、上記品質の高加工性フェライト系ステンレス鋼板
を低コストで製造するための製造方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題の
解決に向けて、熱間圧延工程に着目して、製造条件を詳
細に検討した結果、特に仕上げ圧延条件を適正に制御す
ることによって、目的が達成できることを知見した。本
発明はこの知見に基づき完成したものであり、その要旨
構成は下記の通りである。 (1) 固相域でフェライト単相組織を呈する成分組成のス
テンレス鋼スラブを、熱間粗圧延し、得られたシートバ
ーを先行するシートバーの後端と接合し、引き続き、圧
延温度範囲 800〜1000℃、かつ最終スタンドにおける圧
延速度 800 m/min以上にて熱間仕上げ圧延することを特
徴とする高加工性フェライト系ステンレス鋼板の製造方
法。
【0008】(2) 固相域でフェライト単相組織を呈する
成分組成のステンレス鋼スラブを、熱間粗圧延し、得ら
れたシートバーを先行するシートバーの後端と接合し、
引き続き、圧延温度範囲 800〜1000℃、かつ最終スタン
ドにおける圧延速度 800 m/min以上にて熱間仕上げ圧延
し、その後、熱延板焼鈍することを特徴とする高加工性
フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0009】(3) 固相域でフェライト単相組織を呈する
成分組成のステンレス鋼スラブを、熱間粗圧延し、得ら
れたシートバーを先行するシートバーの後端と接合し、
引き続き、圧延温度範囲 800〜1000℃、かつ最終スタン
ドにおける圧延速度 800 m/min以上にて熱間仕上げ圧延
し、その後、冷間圧延し、仕上げ焼鈍することを特徴と
する高加工性フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0010】(4) 固相域でフェライト単相組織を呈する
成分組成のステンレス鋼スラブを、熱間粗圧延し、得ら
れたシートバーを先行するシートバーの後端と接合し、
引き続き、圧延温度範囲 800〜1000℃、かつ最終スタン
ドにおける圧延速度 800 m/min以上にて熱間仕上げ圧延
し、その後、熱延板焼鈍し、冷間圧延し、仕上げ焼鈍す
ることを特徴とする高加工性フェライト系ステンレス鋼
板の製造方法。
【0011】(5) 鋼スラブを熱間粗圧延するための加熱
温度が1200℃以下である上記(1) 〜(4) のいずれか1つ
に記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0012】(6) 熱間仕上げ圧延後の巻取温度が 600℃
以上である上記(1) 〜(5) のいずれか1つに記載のフェ
ライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、実験結果に基づいて、本発
明法について説明する。 ・粗圧延終了後のシートバー接合 熱間粗圧延終了後のシートバーを先行するシートバーの
後端と接合し、これによって連続的に熱間仕上げ圧延す
ることは、鋼帯先後端における材質低下を抑制するとと
もに、鋼帯長さ方向中央部の材質を改善して、鋼帯長さ
方向に安定し、優れた材質を確保するうえで不可欠であ
る。この知見を得るもととなった実験について説明す
る。
【0014】SUS430LX(0.0084wt%C−0.3 wt
%Si−0.3 wt%Mn−0.022 wt%P−0.014 wt%Al−0.00
71wt%N−17.1wt%Cr−0.15wt%Ni−0.19wt%Ti)から
なるスラブを加熱後、粗圧延により28mm厚のシート
バーとした。次いで、このシートバーを、先行するシ
ートバーの後端と接合して、連続的に仕上げ圧延(以
下、「連続熱延」と略記する)するか、または接合せ
ずにそのまま通常の仕上げ圧延(以下、「単一熱延」と
略記する)して、厚み4.0 mmに仕上げ、熱延板焼鈍、
酸洗を経て、厚み0.8 mmまで冷間圧延し、仕上げ焼鈍
した。ここで、スラブ厚は195mmとし、スラブ加熱
温度は1160℃とし、粗圧延には3スタンドからなる粗圧
延機を用いた。仕上げ圧延は、6スタンドからなる圧延
機により、圧延温度範囲940 〜860 ℃、最終スタンドで
の圧延速度(出側での速度、以下同じ)830 m/min 、巻
取温度770 ℃の条件で行った。また、熱延板焼鈍温度は
940 ℃、仕上げ焼鈍温度は900 ℃とした。
【0015】得られた鋼帯について、鋼帯長さ方向(鋼
帯の接合を行わない、単一熱延の鋼帯1本分に相当する
長さ)におけるΔrの分布を測定し、図1の結果を得
た。ここで、Δrは、JIS13号B試験片を用いて求
めた面内各方向のr値から、(rL -2rD + rC )/2
により算出した値の絶対値である。ただし、rL 、rD
およびrC は、それぞれ圧延方向、圧延方向に対して4
5°の方向、圧延方向に対して90°の方向のr値を表
す。図1から、熱間仕上げ圧延を連続熱延にすることに
より、単一熱延にした場合に比べて、鋼帯の先行端にお
けるΔrの劣化が大幅に解消され、しかも先行端を含む
鋼帯全長にわたるΔrが著しく改善されていることがわ
かる。以上の結果から、本発明においては、鋼帯を接合
し連続的に熱間仕上げ圧延することが必要である。
【0016】・熱間仕上げ圧延における最終スタンドの
圧延速度 図2は、上記実験の連続熱延において、仕上げ圧延の圧
延速度を種々変化させ、r値に及ぼす影響を調査した結
果である。ここで、r値は、測定のための試験片を鋼帯
の長さ方向先端から5mの位置から採取し、面内各方向
のr値の平均値をr=(rL +2rD + rC )/4により
求めた。ただし、rL 、rD およびrCは、それぞれ圧
延方向、圧延方向に対して45°の方向、圧延方向に対
して90°の方向のr値を表す。図2から、仕上げ圧延
における最終スタンドの圧延速度を800 m/min 以上とす
れば、r値は飛躍的に増加することがわかる。したがっ
て、本発明では、仕上げ圧延における最終スタンドの圧
延速度を800m/min 以上とする。なお、圧延速度の上限
は設備能力(圧延能力)により定まるものであり、特に
定める必要がないが、現状の設備能力では1200 m/min程
度が限界である。
【0017】・熱間仕上げ圧延における圧延温度範囲 次に、仕上げ圧延温度範囲を定める根拠となった実験に
ついて説明する。SUH409(0.0109wt%C−0.5 wt
%Si−0.4 wt%Mn−0.029 wt%P−0.006wt%S−0.012
wt%Al−0.0087wt%N−11.2wt%Cr−0.22wt%Ti)か
らなるスラブを加熱後、粗圧延により28mm厚のシー
トバーとなし、次いで、このシートバーを先行するシー
トバーの後端と接合し、仕上げ圧延の圧延温度範囲(圧
延開始温度〜圧延終了温度)を変化させ、連続熱延によ
り厚み4.0 mmに仕上げ圧延し、熱延板焼鈍、酸洗を経
て、厚み0.8 mmまで冷間圧延し、仕上げ焼鈍した。こ
こで、スラブ厚は195mm、スラブ加熱温度は1130℃
とし、粗圧延には3スタンドからなる粗圧延機を用い
た。仕上げ圧延は、6スタンドからなる圧延機により、
最終スタンドでの圧延速度830 m/min 、巻取温度 715℃
の条件で行った。また、熱延板焼鈍温度は940 ℃、仕上
げ焼鈍温度は900 ℃であった。
【0018】この鋼帯について、上記方法と同様にして
r値を測定した結果を図3に、熱延板の表面欠陥の観察
結果を図4に示す。ただし、熱延板の表面欠陥は、A〜
Dの4ランクの指数で表した。図3から、r値は、仕上
げ圧延の圧延開始温度を1000℃以下に制御するすること
により改善されることがわかる。一方、図4から、仕上
げ圧延の圧延終了温度が 800℃未満になると、熱延板に
表面欠陥が現れる。この表面欠陥は、主に仕上げ圧延時
のスケール食い込みに起因するものであると思われる。
以上の実験から、熱間仕上げ圧延における圧延温度範囲
は、高r値と低表面欠陥の両特性が共に満たされる、 8
00〜1000℃、好ましくは 800〜950 ℃の範囲とする。
【0019】・スラブ加熱 熱間圧延時のスラブ加熱は、常法に従うが、鋼板が加工
されたときの、粒の粗大化による肌荒れの点を考慮する
必要がある場合には、1200℃以下の温度とするのが好ま
しい。特に、従来もっぱら冷延焼鈍板が充当されていた
板厚2.5 mm以下といった鋼板を、熱延−焼鈍のみの工
程で製造するような場合に、スラブ加熱温度を上記範囲
に制御することはきわめて有効である。スラブ加熱温度
が肌荒れに及ぼす影響について、次に説明する。SUS
430LX(0.0084wt%C−0.3 wt%Si−0.3 wt%Mn−
0.022 wt%P−0.014 wt%Al−0.0071wt%N−17.1wt%
Cr−0.15wt%Ni−0.19wt%Ti)からなるスラブを、1080
〜1240℃の種々の温度に加熱後、粗圧延により24 mm
厚のシートバーとした。次いで、このシートバーを連続
熱延により、厚み1.5 mmまで仕上げ圧延し、熱延板焼
鈍し、酸洗して、厚み1.5 mmの焼鈍酸洗板を製造し
た。ここで、スラブ厚は195mmとし、粗圧延には3
スタンドからなる粗圧延機を用いた。仕上げ圧延は、6
スタンドからなる圧延機により、圧延温度範囲840〜970
℃、最終スタンドでの圧延速度870 m/min 、巻取温度
730℃の条件で行った。また、熱延板焼鈍温度は880 ℃
とした。
【0020】上記工程で得られた熱延後の焼鈍酸洗板を
供試材として、エリクセン高さ8mmに張出し加工を行
い、張出し加工部の肌あれの状況を観察し、A〜Dのラ
ンクに分類評価した。その結果を図5に示す。図5か
ら、肌あれは、スラブ加熱温度が1200℃を超えると、顕
著になることがわかる。したがって、スラブ加熱温度は
1200℃以下とするのが好ましく、1170℃以下とすればさ
らに好ましい。なお、スラブ加熱温度が余りに低くなる
と、ロールの負荷を上昇させるので1050℃以上とするこ
とが望ましい。
【0021】・巻取温度 巻取温度は、常法に従えばよいが、より一層深絞り特性
が重視される場合には、 600℃以上とするのがよい。こ
の温度範囲での巻き取りは、特に、熱間圧延後の熱延板
焼鈍を省略して直接冷間圧延する場合に有効である。次
に、巻取温度と深絞り特性との関係を調査した結果を説
明する。SUS430LX(0.0144wt%C−0.25wt%Si
−0.18wt%Mn−0.031 wt%P−0.002 wt%S−0.002 wt
%Al−0.0095wt%N−17.5wt%Cr−0.27wt%Nb)からな
るスラブを、1140℃に加熱後、粗圧延により24 mm厚
のシートバーとした。次いで、このシートバーを連続熱
延により厚み3.5 mmまで仕上げ圧延し、 420〜740 ℃
の種々の温度で巻き取った。その後、熱延板焼鈍を行う
ことなくそのまま酸洗して、厚み0.8 mmまで冷間圧延
し、仕上げ焼鈍した。ここで、スラブ厚は195mmと
し、粗圧延には3スタンドからなる粗圧延機を用いた。
仕上げ圧延は、6スタンドからなる圧延機により、圧延
温度範囲 840〜970 ℃、最終スタンドでの圧延速度87
0 m/minの条件で行った。
【0022】上記工程で得られた鋼帯の長さ方向で先端
から5mの位置から試験片を採取し、面内各方向のr値
(rL 、rD およびrC )を測定し、そのうちの最低値
mi n に及ぼす巻取温度の影響を調べた。その結果を、
図6に示す。図6から、巻取温度が600℃に満たない
と、急激にrmin が低下することがわかる。このことか
ら、熱延後の焼鈍を省略して冷間圧延を行う場合には、
巻取温度を600℃以上とすることが好ましい。なお、
脱スケール性の点からその上限は800℃とするのが望
ましい。
【0023】本発明法が適用されるステンレス鋼は、固
相域でフェライト単相組織を呈する成分組成のステンレ
ス鋼である。というのは、オーステナイト相が高温で生
成した場合には、熱間圧延中に軟質なフェライト相が主
に変形するとともに歪みが集中し、最終的に冷延焼鈍板
となったときに混粒となりやすく均一な組織になりにく
いため、本発明による十分な効果が得られないからであ
る。また、この場合に耐食性も劣化しやすくなる。この
ようなフェライト単相ステンレス鋼の具体的組成として
は、Cr量が11wt%以上のものであればよいが、好まし
くはさらにσ脆化や 475℃脆化を考慮して25wt%以下
のものが挙げられる。Cr以外の合金元素については、通
常、フェライト系ステンレス鋼に含有される範囲でよ
い。
【0024】以上説明したように、熱間圧延とくに熱間
仕上げ圧延を本発明に従って適正に制御して熱延鋼板と
したのち、熱延板焼鈍−冷延−仕上げ焼鈍の工程はもち
ろんのこと、熱延板焼鈍を省略して直接冷延−仕上げ焼
鈍の工程、あるいは熱延板焼鈍のままで冷延や仕上げ焼
鈍を行わない工程など、種々の安価な製造工程によって
も、r値が高く、r値の面内異方性が小さく、鋼帯長さ
方向における材質変動が少ないフェライト系ステンレス
鋼板を製造することができる。さらにまた、本発明に従
って適正に制御して熱延鋼板としたのち、上記種々の工
程で製造すれば、熱延後の表面欠陥や、成形加工表面の
肌荒れなどをも改善した、優れた品質のフェライト系ス
テンレス鋼板を製造することができる。
【0025】
【実施例】表1に示す化学組成の連続鋳造スラブ(厚み
195mm)を、加熱後、3スタンドからなる粗圧延機
によりシートバーとし、このシートバーを、6スタンド
からなる仕上げ圧延機により、種々の条件で熱延板に仕
上げた。さらに、この熱延板に酸洗を施したのち、冷間
圧延、仕上げ焼鈍し鋼帯を製造した。以上の工程のほか
に、熱延板の焼鈍を省略して、冷間圧延、仕上げ焼鈍を
行う工程による鋼帯、熱延板焼鈍のままで、冷間圧延、
仕上げ焼鈍を省略する工程による鋼帯を製造した。仕上
げ圧延にあたっては、シートバーを先行するシートバー
の後端と接合して連続熱延したもののほか、比較のため
に、接合しないで単一熱延したものも製造した。これら
鋼帯の各製造条件を表1に示す。得られた鋼帯の先端か
ら5mの位置から試験片を採取し、前述の方法にしたが
ってr値、Δr、rmin 、肌荒れ指数を求めた。また、
熱延後の鋼帯表面を観察し表面欠陥指数を求めた。その
結果を合わせて表2に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】表2から、本発明に従う条件で製造すれ
ば、熱延板焼鈍−冷延−仕上げ焼鈍工程でr値:1.6 以
上、Δr:0.2 以下、rmin :1.4 以上、また、熱延板
焼鈍省略−冷延−仕上げ焼鈍工程でr値:1.5 以上、Δ
r:0.3 以下、rmin :1.0 以上、さらに熱延板焼鈍ま
まの工程でr値:1.2 以上、Δr:0.3 以下、rmin
1.0 以上が得られ、r値、rmin が高く、Δrが小さ
く、しかも連続熱延を行うことにより鋼帯長さ方向にお
ける材質変動が少ない、加工性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼板を製造することができることがわかる。さ
らに、加熱温度を適正に制御することにより、加工表面
の肌荒れを抑制できることもわかる。これに対し、比較
例ではr値、rmin 、Δrのうちの少なくとも一つが劣
っている。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
r値が高く、r値の面内異方性が小さく、しかも鋼帯長
さ方向における材質変動が少ない、加工性に優れたフェ
ライト系ステンレス鋼板を製造することが可能となる。
また、本発明によれば、連続的に仕上げ圧延するので生
産性が高く、しかも熱延板焼鈍を省略して直接冷延−仕
上げ焼鈍する工程、あるいは熱延板焼鈍のままで冷延や
仕上げ焼鈍を省略する工程など、省工程によっても製造
できるのでフェライト系ステンレス鋼板の低コスト化に
大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼帯長さ方向におけるΔrの分布に及ぼす熱延
方式の差異の影響を示すグラフである。
【図2】r値に及ぼす仕上げ圧延の最終スタンドにおけ
る圧延速度の影響を示すグラフである。
【図3】r値に及ぼす仕上げ圧延の開始温度と終了温度
の影響を示す図である。
【図4】熱間圧延後の表面欠陥に及ぼす圧延終了温度の
影響を示すグラフである。
【図5】加工後の肌荒れに及ぼすスラブ加熱温度の影響
を示すグラフである。
【図6】rmin に及ぼす巻取温度の影響を示すグラフで
ある。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固相域でフェライト単相組織を呈する成分
    組成のステンレス鋼スラブを、熱間粗圧延し、得られた
    シートバーを先行するシートバーの後端と接合し、引き
    続き、圧延温度範囲 800〜1000℃、かつ最終スタンドに
    おける圧延速度 800 m/min以上にて熱間仕上げ圧延する
    ことを特徴とする高加工性フェライト系ステンレス鋼板
    の製造方法。
  2. 【請求項2】固相域でフェライト単相組織を呈する成分
    組成のステンレス鋼スラブを、熱間粗圧延し、得られた
    シートバーを先行するシートバーの後端と接合し、引き
    続き、圧延温度範囲 800〜1000℃、かつ最終スタンドに
    おける圧延速度 800 m/min以上にて熱間仕上げ圧延し、
    その後、熱延板焼鈍することを特徴とする高加工性フェ
    ライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】固相域でフェライト単相組織を呈する成分
    組成のステンレス鋼スラブを、熱間粗圧延し、得られた
    シートバーを先行するシートバーの後端と接合し、引き
    続き、圧延温度範囲 800〜1000℃、かつ最終スタンドに
    おける圧延速度 800 m/min以上にて熱間仕上げ圧延し、
    その後、冷間圧延し、仕上げ焼鈍することを特徴とする
    高加工性フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】固相域でフェライト単相組織を呈する成分
    組成のステンレス鋼スラブを、熱間粗圧延し、得られた
    シートバーを先行するシートバーの後端と接合し、引き
    続き、圧延温度範囲 800〜1000℃、かつ最終スタンドに
    おける圧延速度 800 m/min以上にて熱間仕上げ圧延し、
    その後、熱延板焼鈍し、冷間圧延し、仕上げ焼鈍するこ
    とを特徴とする高加工性フェライト系ステンレス鋼板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】鋼スラブを熱間粗圧延するための加熱温度
    が1200℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載
    のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】熱間仕上げ圧延後の巻取温度が 600℃以上
    である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフェライト
    系ステンレス鋼板の製造方法。
JP17498096A 1996-07-04 1996-07-04 高加工性フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 Pending JPH1017938A (ja)

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JP2002212644A (ja) * 2001-01-15 2002-07-31 Nisshin Steel Co Ltd フェライト系ステンレス鋼板の製造方法

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