JP3292033B2 - 材質均一性と耐食性の優れた電池外筒用鋼板の製造方法 - Google Patents

材質均一性と耐食性の優れた電池外筒用鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DI(Draw and I
roning)成形等によって製造される電池外筒用鋼板、特
に2ピース電池外筒缶に好適な材質均一性と耐食性の優
れた電池外筒用鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、アルカリ乾電池やリチウム電池等
の電池外筒缶の軽量化、製造工程の簡略化、素材および
製造コスト低減、さらには側胴部の薄肉化による充填剤
の容量増加等の観点から、電池の端子部と側胴部を一体
成形した所謂2ピース電池外筒缶が開発され(例えば特
公平7−99686号公報)、既に実用化されている。
このような電池外筒缶は、板厚0.4〜0.5mm程度
の鋼板を円形ブランクに打ち抜いた後に円筒状に深絞り
成形する工程と、この円筒パーツを複数のしごきダイに
よってしごき加工する工程とからなる、所謂DI成形に
よって製缶される。このDI成形は側胴部の胴長を稼ぐ
と同時に缶壁厚を薄くするもので、側胴部の缶壁は最終
的に0.15mm程度の厚さまで薄肉化される。
【0003】2ピース電池缶は端子部等の加工部が特に
腐食し易いことから、素材鋼板には成形性だけでなく優
れた耐食性も要求され、このため2ピース電池外筒缶用
鋼板には耐食性を確保するためにNiめっきが施される
のが一般的である。従来、2ピース電池外筒缶に使用さ
れる鋼板及びその製造方法に関して次のような提案がな
されている。
【0004】 電池特性および耐食性を考慮して、D
I成形時に缶体表面に形成される微小な割れが電池性能
に有効であるとする技術(特開平5−21044号公
報) 熱延及び冷延条件を調整して最終的な鋼板のr値と
Δr値を規定するとともに、ワークロールシフトにより
鋼板幅方向の板厚を均一にする技術(特開平6−344
003号公報) 2ピース電池外筒缶用途の鋼板を連続焼鈍で製造す
るために、鋼中炭素量を0.009wt%以下(実質的
には0.002〜0.003wt%)にする技術(特開
平6−346150号公報) DI成形時の型寿命を延ばすために鋼板の表面粗さ
を規定した技術(特開平6−346282号公報) 電池缶の耐食性の観点から、Niめっき層の膜厚お
よび形態を制御する技術(特開平6−346284号公
報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなDI成形
或いは複数回の深絞り成形により製造される2ピースの
電池外筒缶では、円筒加工後の円周方向の成形高さが不
揃いとなること、すなわちイヤリングの発生がしばしば
問題となる。このイヤリングが大きい場合にはトリム代
が大きくなるため、材料歩留が低下して製造コストの増
大を招く。特に、電池用の外筒缶の場合には、同様な成
形方法で製缶される食缶や飲料缶に較べ円形ブランクの
直径が小さいために、鋼板の幅方向中央部から切り出さ
れたブランクについてはイヤリング性が良好であって
も、鋼板のエッジ部近傍から切り出されたブランクでは
イヤリング性が劣る傾向がある。また、コイルの長手方
向で比較した場合にも、コイル長手方向のトップ部(以
下、T部という)やボトム部(以下、B部という)から
切り出されたブランクは、長手方向中間部(以下、M部
という)から切り出されたブランクに較べイヤリング性
が劣る傾向がある。
【0006】DI成形におけるイヤリング発生を防止す
る技術に関しては、先に挙げた特開平6−344003
号公報に、冷圧率を鋼種に応じて適宜設定すること、熱
間圧延後コイルに巻き取るまでの間に鋼板幅方向の両側
を加熱して金属組織を等軸粒とすること、冷間圧延時に
ワークロールをシフトさせることで鋼板の板厚を幅方向
に均一化すること等が述べられているが、これらの技術
を用いても鋼板幅方向端部や長手方向端部でのイヤリン
グ性の劣化を完全に抑えることは困難である。また、先
に挙げたその他の提案もこのようなイヤリング性の問題
を解決し得るものではなく、現状では鋼板幅方向端部や
長手方向端部でのイヤリング性の劣化を抑制し、鋼板全
体で均一且つ優れたイヤリング性を確保するための有効
な解決策は見い出されていない。
【0007】したがって本発明の目的は、上記した従来
技術の課題を解決し、鋼板幅方向及び長手方向で均一且
つ優れたイヤリング性を有し、しかも加工部の耐食性に
も優れた電池外筒用鋼板の製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、2ピース
電池缶に供される電池外筒用鋼板のコイル幅方向及び長
手方向端部でのイヤリング性の劣化を抑制し、且つ加工
部の耐食性を向上させる方法について鋭意検討を重ねた
結果、低炭素鋼にCrを適量添加した鋼を用い、熱間仕
上圧延開始時における鋼片の幅方向中央部とエッジ部と
の表面温度差、熱延仕上温度及び巻取温度等を特定の範
囲に制御すること、さらに好ましくはバッチ焼鈍時の雰
囲気ガス中の水素濃度を高めることにより上記課題を解
決し得ることを見い出した。本発明はこのような知見に
基づきなされたもので、その特徴とする構成は以下の通
りである。
【0009】(1) C:0.03〜0.06wt%、s
ol.Al:0.010〜0.030wt%、Cr:
0.03〜0.10wt%を含有し、N:0.0025
wt%以下(但し、無添加の場合を含む)からなる鋼組
成を有する鋼片を熱間圧延するに際し、鋼片の幅方向中
央部の表面温度Tc(℃)とエッジ部(但し、最エッジ
部から幅方向中央寄り50mmの位置)の表面温度Te
(℃)の温度差[Tc−Te]が20℃以下の状態から
仕上圧延を開始し若しくは粗圧延を行わない場合には熱
間圧延を開始し、仕上温度:Ar3点以上、巻取温度:
540℃以上600℃未満で熱間圧延し、酸洗後、82
〜88%の冷圧率で冷間圧延し、次いで620〜700
℃の温度でバッチ焼鈍した後、調質圧延することを特徴
とする材質均一性と耐食性の優れた電池外筒用鋼板の製
造方法。
【0010】(2) 上記(1)の製造方法において、熱延仕
上圧延機の入側に配置したエッジヒータにより鋼片エッ
ジ部を加熱することを特徴とする材質均一性と耐食性の
優れた電池外筒用鋼板の製造方法。 (3) 上記(1)または(2)の製造方法において、バッチ焼
鈍時の雰囲気ガス中の水素濃度を25〜100vol%
とすることを特徴とする材質均一性と耐食性の優れた電
池外筒用鋼板の製造方法。 (4) 上記(1)、(2)または(3)の製造方法により製造され
た鋼板の両面に、少なくともNiめっき層および/また
はFe−Ni合金化めっき層を形成することを特徴とす
る材質均一性と耐食性の優れた電池外筒用めっき鋼板の
製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に至った経緯と本発
明の詳細及び限定理由について説明する。本発明者らは
イヤリング性の鋼板コイル幅方向及び長手方向での均一
性を高める方法、すなわち鋼板コイル幅方向端部及び長
手方向端部でのイヤリング性の劣化を抑制する方法につ
いて、本質的な冶金的要因を考慮して以下のような検討
を行った。イヤリングの大小は鋼板の面内異方性の大小
に起因するものであり、面内異方性は鋼板の集合組織に
より変化する。すなわち、イヤリング性の鋼板コイル幅
方向及び長手方向での不均一性は鋼板の集合組織の不均
一性に起因するものである。そして、鋼板の集合組織は
鋼組成と熱間圧延条件、冷間圧延条件及び焼鈍条件の影
響を受け、これらの組み合わせにより変化する。
【0012】そこで、まず本発明者らは熱間仕上圧延に
着目し、その熱延条件がイヤリング性に及ぼす影響につ
いて詳細に調査、検討を行った。その結果、鋼片幅方向
の両エッジ部は中央部に較べて温度低下が大きいために
仕上温度が低下し、板厚表層が部分的に低温仕上とな
り、このことがエッジ部のイヤリング性劣化の原因の一
つであることを見い出した。すなわち、高温仕上の場合
には熱延板の集合組織はランダムであり、組織も整粒で
あるが、表層低温仕上となった場合の集合組織はランダ
ムではなく、表層に圧延集合組織が形成され、さらに巻
取温度に応じて表層のみ粗粒化した混粒組織或いは加工
組織が残った混粒組織となる。このため、冷間圧延、焼
鈍後の集合組織が鋼板幅方向中央部とエッジ部とで異な
り、イヤリング性の幅方向位置による不均一性を誘発し
ていることが判った。そしてさらに検討を行った結果、
このような問題を解決するためには、熱間仕上圧延機に
装入される鋼片の幅方向中央部の表面温度Tc(℃)と
エッジ部(但し、最エッジ部から幅方向中央寄り50m
mの位置)の表面温度Te(℃)の温度差[Tc−T
e]が20℃以下の状態から熱間仕上圧延を開始し、且
つ仕上温度をAr3点以上として熱間圧延を行うことが
有効であることが判った。また、仕上圧延開始時の鋼片
の表面温度を上記のように制御するには、熱延仕上圧延
機の入側に配置した粗バーエッジヒータにより鋼片エッ
ジ部を加熱することが効果的であることも判った。ここ
で、本発明において鋼片エッジ部の表面温度Te(℃)
を最エッジ部(エッジ端部)から鋼片幅方向中央寄り5
0mmの位置における表面温度で代表するのは、次のよ
うな理由による。すなわち、粗バーのエッジ部(最エッ
ジ部〜最エッジ部から幅方向中央寄り100mm程度の
位置)は幅中央部に較べて表面温度が低く且つ最エッジ
部(エッジ端部)に近いほど温度低下が大きい。このた
め最エッジ部近傍は温度が不安定であり、且つ測定精度
も劣るため、イヤリング性との良好な相関を有する正確
な温度測定が困難である。そこで本発明では、粗バー表
面温度が安定しており、且つ測定精度も良好であり、し
かもエッジ部の温度を代表できる位置である、最エッジ
部から幅方向中央寄り50mm位置の表面温度をもって
エッジ部の表面温度Te(℃)とした。
【0013】仕上圧延開始時における鋼片の幅方向中央
部の表面温度Tc(℃)とエッジ部の表面温度Te
(℃)との温度差[Tc−Te]が、製造された鋼板の
幅方向各部でのイヤリング性に及ぼす影響について調査
を行った。その結果を図1に示す。この調査では、C:
0.04wt%、sol.Al:0.020wt%、
N:0.0020wt%を含有する低炭素鋼の鋼片を用
い、これを熱間圧延する際に、 仕上圧延機入側に配
置された粗バーエッジヒータにより鋼片のエッジ部を加
熱し、仕上圧延開始時における上記温度差[Tc−T
e]を20℃以下とした場合と、 上記粗バーエッジ
ヒータを使用せず、仕上圧延開始時における上記温度差
[Tc−Te]を20℃超とした場合とについて、それ
ぞれ製造された鋼板の幅方向でのイヤリング率の変化を
調べた。熱間圧延は仕上温度:Ar3点以上、巻取温
度:560℃とし、熱間圧延後の鋼板は酸洗後84%の
冷圧率で冷間圧延した後、バッチ焼鈍(640℃、雰囲
気ガス:HNXガス,7%H2−残N2)及び調質圧延を
行なって板厚0.4mmの電池外筒用鋼板コイルとし
た。このコイルのM部の板幅方向各部(エッジ部及びそ
の近傍部、1/4幅部、幅中央部)から図4に示すよう
にして45mmφの円形ブランクを打ち抜き、絞り比
2.15でカップ状に深絞り成形し、その際のイヤリン
グ率を測定した。イヤリング率は円周方向各位置の側壁
部の成形高さを測定し、成形高さの最大値と最小値の差
を高さ最小値で割った百分率で表した。
【0014】図1によれば、粗バーエッジヒータを使用
せず鋼片幅方向中央部の表面温度Tc(℃)とエッジ部
の表面温度Te(℃)との温度差[Tc−Te]が20
℃を超える場合は、鋼板の幅中央部、1/4幅部ではイ
ヤリング率は良好であるが、最エッジ部からブランキン
グしたものはイヤリング率が8%を超えており、幅中央
部に較べてイヤリング性が著しく劣っていることが判
る。これに対し、粗バーエッジヒータを使用して鋼片エ
ッジ部を加熱し上記温度差[Tc−Te]を20℃以下
とした場合は鋼板エッジ部でのイヤリング性の劣化はほ
とんど認められず、鋼板幅方向全域にわたって良好なイ
ヤリング性が得られている。なお、図1では鋼板幅方向
の片側のみを示しているが、幅方向の他側についても同
様の結果が得られた。また、上記鋼板をNiめっきした
ものにつても同様の調査を行なったが、図1とほぼ同様
の結果が得られた。
【0015】次に、鋼片の幅方向中央部の表面温度Tc
(℃)とエッジ部の表面温度Te(℃)との温度差[T
c−Te]の大きさが鋼板エッジ部のイヤリング性に及
ぼす影響について調査を行った。その結果を図2に示
す。この調査では、図1に関する調査と同様の条件で鋼
板コイルを製造し、その際の粗バーエッジヒータによる
加熱の有無及び加熱条件を変え、仕上圧延開始時におけ
る鋼片(粗バー)のエッジ端部から幅中央寄り50mm
位置の表面温度Te(℃)と幅方向中央部の表面温度T
c(℃)の温度差[Tc−Te]が種々異なるように鋼
片エッジ部を加熱した。製造された鋼板の最エッジ部
(図4の最もエッジ部寄りの部位)から円形ブランクを
採取し、図1に関する調査と同様の条件で成形及びイヤ
リング率の測定を行った。
【0016】図2によれば、上記温度差[Tc−Te]
が小さいほど鋼板エッジ部のイヤリング率は低下し、温
度差[Tc−Te]が20℃以下ではその効果が特に顕
著となり、鋼板エッジ部においてもイヤリング率が3%
以下となっていることが判る。また、上記鋼板をNiめ
っきしたものにつても同様の調査を行なったが、図2と
ほぼ同様の結果が得られた。以上の結果から、熱間圧延
において鋼片の幅方向中央部の表面温度Tc(℃)とエ
ッジ部の表面温度Te(℃)の温度差[Tc−Te]が
20℃以下の状態から仕上圧延を開始することにより、
鋼板幅方向で均一且つ優れたイヤリング性が得られるこ
とが判った。また、粗圧延を省略して鋳造後の鋼片をそ
のまま仕上圧延に相当する熱間圧延に供する場合にも、
この熱間圧延開始時における上記温度差[Tc−Te]
を20℃以下にすることにより同様の効果が得られるこ
とが判った。
【0017】次に、鋼組成と巻取温度の影響について検
討した結果を示す。上述したように、鋼板幅方向におけ
るイヤリング性の均一性を高めるためには鋼片エッジ部
での仕上温度の低下を回避することが第一の条件となる
が、さらにAl、Nを含有する低炭素鋼のバッチ焼鈍材
においては、熱延段階でのAlN(アルミナイトライ
ド)の固溶、析出状態を制御することが重要であること
が判った。すなわち、熱延板の幅方向や長手方向でAl
Nの固溶、析出状態が異っている場合、その後の冷間圧
延、バッチ焼鈍による再結晶集合組織の形成状態が鋼板
幅方向や長手方向で異なり、その結果イヤリング性も鋼
板の幅方向及び長手方向位置によって異なることにな
る。このような熱延段階でのAlNの固溶、析出状態に
起因した不均一性は、その後の冷圧率や焼鈍温度等を制
御しても解消することは困難である。検討の結果、この
ようなAlNの固溶、析出状態に基づくイヤリング性の
不均一性の問題を解消し、鋼板幅方向及び長手方向での
イヤリング性の均一性をさらに高めるためには、鋼中の
sol.Al量とN量を適正化し、且つ600℃未満の
低温巻取を行なうことが有効であることが判った。
【0018】図3は鋼板コイルのT部とM部について、
巻取温度が鋼板幅方向のイヤリング性に及ぼす影響を調
査した結果を示している。この調査では、図1に関する
調査と同じ組成の鋼片を用いて、仕上圧延直前の鋼片の
エッジ部を粗バーエッジヒータで加熱することにより仕
上圧延開始時の上記温度差[Tc−Te]を20℃以下
とするとともに、Ar3点以上の仕上温度で仕上圧延を
行なった後、560℃と620℃の2水準の巻取温度で
熱延巻取を行なった。熱間圧延後の鋼板は、酸洗後56
0℃巻取材については冷圧率84%で、また620℃巻
取材についてはM部のイヤリング率を低下させるために
冷圧率86%で、それぞれ冷間圧延した後、バッチ焼鈍
(640℃、雰囲気ガス:HNXガス,7%H2−残
2)及び調質圧延を行なって板厚0.4mmの電池外
筒用鋼板コイルとした。得られたコイルのT部及びM部
の鋼板幅方向の各部(エッジ部及びその近傍部、1/4
幅部、幅中央部)から円形ブランクを採取し、図1に関
する調査と同様の条件で成形及びイヤリング率の測定を
行なった。
【0019】図3によれば、560℃程度の低温巻取を
行なった鋼板では幅方向、長手方向ともにイヤリング率
はほぼ均一で低く保たれていることが判る。これに対し
て、620℃程度の中温以上の巻取を行なった場合に
は、M部の幅方向中央部ではイヤリング率を低く抑える
ことができるものの、M部のエッジ部及びT部のイヤリ
ング性が劣り、鋼板幅方向、長手方向でのイヤリング性
の均一性が劣っている。これはM部の幅方向中央部では
熱延段階でAlNが析出しているが、M部のエッジ部や
T部では熱延段階でAlNが完全に析出していないため
バッチ焼鈍の加熱中にAlNが析出し、AlNの析出状
態(割合)がコイル位置によって異なっているためであ
る。なお、上記鋼板をNiめっきしたものにつても同様
の調査を行なったが、図3とほぼ同様の結果が得られ
た。このような調査結果に基づき、鋼板幅方向及び長手
方向でのイヤリング性の均一性が確保できる低温巻取温
度の領域を調査した結果、600℃未満好ましくは58
0℃以下の巻取温度であれば、イヤリング性の均一性を
改善できることが判った。
【0020】電池外筒用鋼板は、イヤリング性のみなら
ず良好な耐食性を有していることが要求され、このため
電池外筒用鋼板にはNiめっきが施され、めっきままで
または熱拡散処理によって鋼板とNiめっき層の界面を
Fe−Ni合金層とした状態でDI成形に供されるのが
通常である。しかし、めっき鋼板に絞りや曲げ等の厳し
い加工が行なわれた場合、表層のNiめっき層またはF
e−Ni合金層に微細なクラックが生じて鉄地界面が露
出する場合があり、このような状態ではNiめっきによ
る耐食性向上効果が十分に発揮できなくなる。そこで本
発明では、Niめっき処理およびこのめっき層の熱拡散
処理による基本的な耐食性向上対策に加え、加工条件に
よってめっき層に微小なクラックが不可避的に生じる場
合を想定して、地鉄自体に耐食性を付与することを検討
し、その結果適量のCr添加が耐食性向上に効果的であ
ることを見い出した。
【0021】C:0.04wt%、sol.Al:0.
020wt%、N:0.0021wt%を含有し、これ
にCrを0〜0.16wt%の範囲で添加した鋼片を、
本発明条件に従って熱間圧延(温度差[Tc−Te]≦
20℃、仕上温度:Ar3点以上、巻取温度:570
℃)、酸洗、冷間圧延(冷圧率:85%)、バッチ焼鈍
(650℃、雰囲気ガス:HNXガス,7%H2−残
2)及び調質圧延した後、厚さ3μのNiめっきを施
して電池外筒用めっき鋼板を製造し、このめっき鋼板を
2ピース電池外筒缶相当の円筒成形缶に成形して、その
端子部の耐食性に及ぼすCr添加量の影響を調査した。
その結果を図5に示す。この調査では、Niめっき後の
熱拡散処理によるFe−Ni合金層を有するめっき鋼板
とこのようなFe−Ni合金層のないめっき鋼板の両方
について耐食性の評価を行なった。耐食性は、JIS Z 23
71に準拠した塩水噴霧試験(35℃、NaCl:5%)
により、端子加工部に腐食欠陥が発生しない最長試験時
間で評価した。
【0022】図5によれば、鋼板に0.03wt%以上
のCrを添加することにより、Fe−Ni合金層の有無
に拘りなく耐食性が顕著に向上していることが判る。し
かし、Crを0.10wt%を超えて添加すると却って
耐食性が劣化している。これは、Crを過剰に添加する
と下地鋼板の極表層に緻密なCrの酸化皮膜が形成され
ることによりNiめっき性が劣化し、これに起因した耐
食性の劣化が顕在化するためであると考えられる。以上
の結果から、鋼板中に0.03〜0.10wt%のCr
を添加することにより、電池外筒用鋼板の耐食性を効果
的に改善できることが判った。
【0023】さらに、本発明では材質(特に、イヤリン
グ性)の均一性と加工部の耐食性をより一層向上させる
ために、バッチ焼鈍を水素濃度が25〜100vol%
の雰囲気ガス中で実施することが有効であることを見い
出した。まず、本発明ではバッチ焼鈍時の雰囲気ガス組
成が鋼板のイヤリング性に及ぼす影響を調査した。C:
0.04wt%、sol.Al:0.020wt%、
N:0.0018wt%、Cr:0.04wt%の鋼片
を本発明条件に従って熱間圧延(温度差[Tc−Te]
≦20℃、仕上温度:Ar3点以上、巻取温度:560
℃)、酸洗、冷間圧延(冷圧率:85%)、バッチ焼鈍
(650℃)及び調質圧延して電池外筒用鋼板コイルを
製造した。バッチ焼鈍は、雰囲気ガスを一般的に用いら
れているHNXガス(H2:3〜10%、N2:残部)と
した場合と100%水素ガスとした場合について実施し
た。上記鋼板コイルの内周部、中央部及び外周部の各両
エッジ部(バッチ焼鈍時の上側エッジ部及び下側エッジ
部)及び幅方向中央部から円形ブランクを採取し、図1
に関する調査と同様の条件で成形及びイヤリング率の測
定を行なった。その結果を図6に示す。
【0024】図6によれば、100%水素雰囲気でバッ
チ焼鈍した場合には、コイル内周部、中央部、外周部の
いずれにおいても鋼板幅方向でのイヤリング率はほぼ一
定であり、雰囲気ガスとしてHNXガスを用いた通常焼
鈍に較べてイヤリング率がさらに改善され且つ均一化さ
れていることが判る。これは雰囲気ガスの水素濃度が高
いために、通常のHNXガスに較べて雰囲気ガスの熱伝
導率が向上する結果、バッチ焼鈍時にコイル内の各部位
が均一に加熱され、温度分布が小さくなるためであると
考えられる。
【0025】次に、バッチ焼鈍の雰囲気ガス中の水素濃
度がめっき鋼板の耐食性に及ぼす影響を調査した。図6
に関する調査と同様の組成の鋼片を、本発明条件に従っ
て熱間圧延(温度差[Tc−Te]≦20℃、仕上温
度:Ar3点以上、巻取温度:560℃)、酸洗、冷間
圧延(冷圧率:84%)した後、雰囲気ガス中の水素ガ
ス濃度を種々変化させてバッチ焼鈍(650℃)を行な
い、調質圧延後、めっき厚4μmのNiめっきを施して
電池外筒用めっき鋼板を製造し、このめっき鋼板を2ピ
ース電池外筒缶相当の円筒缶に成形し、端子部の耐食性
に及ぼす焼鈍雰囲気ガス中の水素濃度の影響を調査し
た。その結果を図7に示す。この調査では、Niめっき
後の熱拡散処理によるFe−Ni合金層を有するめっき
鋼板とこのようなFe−Ni合金層のないめっき鋼板の
両方について、図5に関する調査と同様の試験条件及び
評価法で耐食性の評価を行なった。
【0026】図7によれば、通常の焼鈍雰囲気である7
vol%程度の水素濃度の場合に対し、雰囲気中の水素
濃度を25vol%以上とすることにより耐食性が大き
く向上していることが判る。これは水素濃度を高めるこ
とによりSi、Mn、O、C等の元素の鋼板表層への濃
化が極めて少なくなるために鋼板表面の清浄性が向上
し、この結果Niめっきの密着性が向上したこと、また
Fe−Ni合金層を有する場合にはそのFe−Ni合金
層の厚みが大きくなるとともにめっき密着性も向上した
ことによるものと考えられる。
【0027】以下、本発明の鋼組成及び製造条件の限定
理由について具体的に説明する。まず、鋼組成の限定理
由は以下の通りである。 C:Cは電池外筒缶として必要な耐圧強度、パネリング
強度、座屈強度等の強度を確保するために極めて重要な
元素である。C量が0.03wt%未満では電池外筒缶
として必要な強度を得ることが困難となる。一方、C量
が0.06wt%を超えると炭化物の量が増大するた
め、鋼板強度は上昇するものの下地鋼板の耐食性が劣化
し、またDI成形時の加工性も低下する。このためC量
は0.03〜0.06wt%とする。
【0028】sol.Al:Al量の規制は後述するN
量及び熱延巻取温度の規制とともに、材質均一性、特に
イヤリング性の鋼板幅方向、長手方向の均一性を良好に
保つために極めて重要な元素である。sol.Alは脱
酸のためには0.010wt%以上の添加を必要とす
る。一方、0.030wt%を超える多量のAlを添加
すると、熱延段階において鋼板コイルのT部やエッジ部
ではNが固溶しているのに対し、鋼板コイルのM部や鋼
板幅中央部では一部AlNが析出するという状態とな
り、巻取温度を600℃未満に制御しても、鋼板幅方
向、長手方向位置によりイヤリング率が不均一化してし
まう。このためsol.Al量は0.010〜0.03
0wt%とする。
【0029】N:本発明ではNは極力低減することが好
ましい。N量が多い場合には0.010wt%以上のA
lを添加したとしても焼鈍後に固溶Nが残留しやすくな
り、時効性が低下するとともに、集合組織が変化してイ
ヤリング率の増大をもたらす。また、sol.Al量、
巻取温度を適正化しても、鋼板幅方向、長手方向のAl
Nの固溶、析出状態の不均一を解消することが困難とな
り、イヤリング性が鋼板位置で不均一化する原因とな
る。これらの悪影響を回避するため、Nは0.0025
wt%以下(但し、無添加の場合を含む)とする。 Cr:Crは本発明において鋼板の耐食性を一層向上さ
せるために添加する必須元素である。図5に示したよう
に0.03〜0.10wt%のCrを添加することによ
りめっき鋼板の加工後の耐食性が向上するため、本発明
ではCr量を0.03〜0.10wt%とする。
【0030】本発明ではその他の元素については特に限
定しないが、Si、Mn、P、Sについては、それぞれ
以下の範囲とすることが望ましい。 Si:Siは意図的な添加を行わない場合でも不純物成
分として鋼中に残留し、鋼板の耐食性及びNiめっき等
の密着性を劣化させる。しがって、良好な耐食性を確保
するためには、その含有量を0.02wt%以下(但
し、無添加の場合を含む)とすることが好ましい。 Mn:Mnは鋼中SをMnSとして析出させることによ
ってスラブの熱間割れを防止する。Sを析出固定するた
めにはMnを0.1wt%以上添加することが好まし
い。一方、Mnを多量に添加するとSiと同様に鋼板の
耐食性及びNiめっき等の密着性を劣化させるため、
0.6wt%以下とすることが好ましい。
【0031】P:Pはフェライト粒界に偏析して粒界を
脆化させ、DI成形時の加工性を低下させるとともに、
Niめっき等の密着性を低下させる元素であるため、そ
の含有量は極力少ない方が望ましく、0.02wt%以
下(但し、無添加の場合を含む)とすることが好まし
い。 S:Sはスラブの熱間割れ防止の観点から極力少ない方
が望ましく、0.02wt%以下(但し、無添加の場合
を含む)とすることが望ましい。 残部:実質的にFeからなるが、上述した本発明の効果
が損なわれない限度で他の元素を含有することを妨げな
い。
【0032】次に本発明の製造条件について説明する。
一般に上述した組成の鋼を転炉溶製し、これを連続鋳造
することによりスラブを得る。このスラブの熱間圧延
は、粗圧延した後仕上圧延するか若しくは粗圧延をする
ことなく熱間仕上圧延機に相当する圧延機に直接装入し
て熱間圧延を行う。その際(すなわち前者の場合では仕
上圧延、後者の場合では熱間圧延を行なう際)、先に図
1及び図2を示して述べたように、鋼片の幅方向中央部
の表面温度Tc(℃)とエッジ部の表面温度Te(℃)
の温度差[Tc−Te]が20℃以下の状態から仕上圧
延(後者の場合には熱間圧延)を開始し、Ar3点以上
の仕上温度で熱間圧延を行う。上記の温度差[Tc−T
e]が20℃を超えると、鋼板エッジ部のイヤリング性
が劣化し、鋼板幅方向で均一且つ優れたイヤリング性が
得られない。なお、上記温度差[Tc−Te]を20℃
以下とするための具体的な手段としては、仕上圧延直前
に配置した粗バーエッジヒータを用いて鋼片エッジ部を
加熱することが好ましい。
【0033】熱延仕上温度がAr3点を下回ると熱延板
に集合組織が形成されるとともに、表層結晶粒が粗大化
したり或いは加工組織が残存する場合があり、冷間圧
延、焼鈍後のイヤリング性が劣化する原因となる。この
ため仕上温度はAr3点以上とする。なお、熱間圧延時
の鋼片加熱温度は特に限定する必要はなく、通常行われ
る加熱温度の範囲である1050〜1250℃程度とす
ればよい。また、仕上圧延直前に粗バーエッジヒータを
使用して鋼片エッジ部を加熱する場合には、通常よりも
スラブ加熱温度を低めにすることが可能である。また、
所謂直送圧延(鋳造後のスラブを直接熱間圧延機に装入
して圧延する方式、または鋳造後のスラブを常温まで冷
却することなく再加熱した後、熱間圧延機に装入して圧
延する方式)による製造も可能である。さらに、上記温
度差[Tc−Te]≦20℃を確保するためにスラブエ
ッジヒータや保温カバー等の併用も有効である。
【0034】熱延巻取温度が600℃以上では、図3に
示されるように熱延段階でのAlNの析出状態が鋼板幅
方向及び長手方向位置によって異なるために、イヤリン
グ性の均一性が劣る。一方、巻取温度を540℃未満の
低温にしても材質均一性はそれ以上改善されることはな
く、逆に鋼板が硬質化してDI成形性が低下する。この
ため本発明では、熱延鋼板の幅方向、長手方向のほぼ全
域にわたってAlNを析出させずに固溶させておき、イ
ヤリング性の均一性を高めるために、巻取温度を540
℃以上600℃未満、好ましくは540℃以上580℃
以下とする。このようにして得られた熱延鋼板を酸洗、
冷間圧延した後、バッチ焼鈍による再結晶焼鈍を行い、
しかる後調質圧延を行うことにより電池外筒用鋼板が製
造される。冷間圧延における冷圧率はイヤリング性を制
御するために重要な条件であり、イヤリング率を安定し
て小さくするために82〜88%に限定する。
【0035】再結晶焼鈍は、これを連続焼鈍で行った場
合には時効性、イヤリング性、DI成形性が劣るため、
バッチ焼鈍で行なう。バッチ焼鈍の焼鈍温度が620℃
未満では未再結晶組織が残るためイヤリング性が劣化
し、またイヤリング性の均一性も低下する。一方、焼鈍
温度が700℃を超えると過度の粒成長により組織が粗
粒化するためイヤリング性が劣化する。このためバッチ
焼鈍の焼鈍温度は620〜700℃とする。なお、バッ
チ焼鈍の焼鈍時間はコイル各部が上記焼鈍温度に達すれ
ばよいため特に限定しない。一般的には均熱時間で10
時間程度を限度に実施することが好ましい。また、より
一層良好な材質均一性(特に、イアリング性の均一性)
と耐食性を得るためには、図6及び図7に示すようにバ
ッチ焼鈍の雰囲気ガス中の水素濃度を25〜100vo
l%とすることが好ましい。また、100%水素ガス雰
囲気中でバッチ焼鈍を行うことにより、加熱時間、冷却
時間を短縮することが可能となり、生産性も向上する。
調質圧延の伸長率は特に限定しないが、通常0.5〜2
%程度が望ましく、ブライト仕上とすることが好まし
い。
【0036】通常、電池外筒用鋼板の両面には、製缶し
た後の耐食性を確保するためのめっき層および/または
合金化めっき層等の耐食被覆層が形成される。適用され
るめっき層、合金化めっき層としては、耐食性を確保で
きるものであればその種類に特別な制約はなく、単層ま
たは複層のめっき層および/またはこのめっき層を熱拡
散処理して得られた合金化めっき層を鋼板の両面に形成
すればよい。但し、特に優れた耐食性を得るためには、
少なくともNiめっき層またはFe−Ni合金化めっき
層を設けることが好ましい。このFe−Ni合金化めっ
き層はNiめっき層を熱拡散処理して得られるもので、
Niめっき層の全部を合金化(Fe−Ni)させたもの
でもよいし、下地鋼板とNiめっき層との界面のみを合
金化させたものでもよい。このような合金層を生成させ
ることにより、耐食性はさらに向上する。
【0037】いずれにしても、本発明条件により付与さ
れる耐食性と複合化させることで特に優れた耐食性を確
保するためには、鋼板両面にそれぞれ、少なくとも1層
のNiめっき層および/またはFe−Ni合金化めっき
層を設けることが好ましい。また、Niめっき層および
/またはFe−Ni合金化めっき層の上層にSnめっき
層を設け、さらに耐食性を高めることもできる。Niめ
っき厚は特に限定しないが、両面ともに1〜5μm程度
の厚さとするのが望ましく、両面等厚めっき、差厚めっ
きのいずれでもよい。また、Niめっき層を熱拡散処理
する際の加熱条件も特に限定しないが、600〜700
℃で30秒〜3分程度加熱することが好ましい。また、
この熱拡散処理後にさらに0.5〜2%程度の調質圧延
を行い表面粗さを調整することが望ましい。この2回目
の調質圧延後に再度Niめっきを行うことにより、耐食
性は一段と向上する。なお、本発明法により製造される
鋼板はDI成形用途に限定されるものではなく、絞り成
形用途にも適用することができる。
【0038】
【実施例】
〔実施例1〕表1及び表2に示す組成の鋼を転炉溶製し
た後、連続鋳造によりスラブとし、このスラブを120
0℃に加熱し、粗圧延した後、仕上圧延直前の粗バーの
エッジ部を粗バーエッジヒータにより加熱して、粗バー
の幅方向中央部の表面温度Tc(℃)とエッジ部の表面
温度Te(℃)の温度差[Tc−Te]が表3及び表4
に示す数値となるようにし、仕上温度:Ar3点以上で
熱間圧延した。なお、一部の粗バー(No.9,No.
14,No.21,No.26)については粗バーエッ
ジヒータを使用せずに熱間圧延を行った。巻取温度は表
3及び表4に示す温度とし、鋼番1〜21は板厚2.5
mm、鋼番22〜35は板厚2.8mmの熱延鋼板とし
た。これらの熱延鋼板を酸洗後、それぞれ0.40m
m、0.45mmまで冷圧率84%で冷間圧延し、次い
でバッチ焼鈍炉(炉内雰囲気ガス:HNXガス,7%H
2−残N2)にて650℃で再結晶焼鈍を行った。焼鈍後
の鋼板に伸長率1.3%の調質圧延を行った後、鋼板の
両面にNiめっきを行い、650℃で1分の熱拡散処理
を施した。但し、鋼番26〜35については熱拡散処理
を行なわずにNiめっきままの状態とした。
【0039】これらのめっき鋼板コイルのT部及びM部
の幅方向中央部と最エッジ部から、45mmφの円形ブ
ランクを打ち抜き、絞り比2.15でカップ状に深絞り
成形し、成形後のイヤリング率を測定した。イヤリング
率は円周方向各位置の側壁部の成形高さを測定し、成形
高さの最大値と最小値の差を高さ最小値で割った百分率
で表した。さらに、この深絞り後のカップをDI成形に
よりプラス端子を有する単3電池外筒缶相当の円筒缶に
加工し、耐食性を評価した。耐食性は、JIS Z 2371に準
拠して塩水噴霧試験(35℃、NaCl:5%)を行
い、端子加工部に腐食欠陥が発生しない最長試験時間に
より評価した。これらの評価結果を表3及び表4に示
す。これによれば、本発明法により製造された鋼板は、
比較例の鋼板に較べてイヤリング性の幅方向、長手方向
の均一性と耐食性がともに優れていることが判る。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】〔実施例2〕表1及び表2の鋼番2、7、
9、14、23、27、31の7鋼種について転炉溶製
した後、連続鋳造によりスラブとし、このスラブを11
50℃に加熱し、2粗圧延した後、仕上圧延直前の粗バ
ーのエッジ部を粗バーエッジヒータにより加熱して上記
温度差[Tc−Te]を0℃として仕上圧延を開始し、
仕上温度:Ar3点以上、巻取温度:560℃で熱間圧
延し、板厚2.5mmの熱延鋼板とした。これらの熱延
鋼板を酸洗後、板厚0.4mmに冷圧率84%で冷間圧
延し、次いでバッチ焼鈍炉にて650℃で再結晶焼鈍を
行った。その際、焼鈍雰囲気ガス中の水素濃度を表5に
示す種々の濃度に変化させた。焼鈍後の鋼板に伸長率
1.3%の調質圧延を行った後、鋼板の両面にNiめっ
きを行い、650℃で1分の熱拡散処理を施した後、再
度調質圧延を行なった。これらのめっき鋼板のイヤリン
グ率と耐食性を実施例1と同様の方法で評価した。その
評価結果を表5に示す。これによれば、バッチ焼鈍の雰
囲気ガス中の水素濃度を高めることにより、イヤリング
性の鋼板幅方向、長手方向での均一性および耐食性がさ
らに一段と向上していることが判る。
【0045】
【表5】
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、電池
外筒用鋼板、とりわけDI成形により製缶される2ピー
ス電池外筒用鋼板に関して、優れたイヤリング性が鋼板
幅方向及び長手方向で均一に得られ、しかも耐食性にも
優れた鋼板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上圧延開始時における鋼片の幅方向中央部の
表面温度Tc(℃)とエッジ部の表面温度Te(℃)と
の温度差[Tc−Te]を20℃以下とした場合と20
℃超とした場合について、鋼板幅方向各部のイヤリング
率を示すグラフ
【図2】仕上圧延開始時における鋼片の幅方向中央部の
表面温度Tc(℃)とエッジ部の表面温度Te(℃)と
の温度差[Tc−Te]の大きさが鋼板エッジ部のイヤ
リング性に及ぼす影響を示すグラフ
【図3】熱延巻取温度が鋼板の幅方向及び長手方向各部
のイヤリング性に及ぼす影響を示すグラフ
【図4】鋼板幅方向の各部から円形ブランクを打ち抜く
際のブランク採取位置を示した説明図
【図5】鋼板中のCr添加量が鋼板の耐食性に及ぼす影
響を示すグラフ
【図6】バッチ焼鈍の雰囲気を100%水素ガスとした
場合とHNXガスとした場合について、鋼板コイルの幅
方向及び長手方向のイヤリング率を示すグラフ
【図7】バッチ焼鈍の雰囲気ガス中の水素濃度が鋼板の
耐食性に及ぼす影響を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粟屋 敬 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 古屋 博英 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−267242(JP,A) 特開 昭59−38338(JP,A) 特開 平1−321009(JP,A) 特開 平6−154826(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 - 9/48 C21D 8/00 - 8/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.03〜0.06wt%、so
    l.Al:0.010〜0.030wt%、Cr:0.
    03〜0.10wt%を含有し、N:0.0025wt
    %以下(但し、無添加の場合を含む)からなる鋼組成を
    有する鋼片を熱間圧延するに際し、鋼片の幅方向中央部
    の表面温度Tc(℃)とエッジ部(但し、最エッジ部か
    ら幅方向中央寄り50mmの位置)の表面温度Te
    (℃)の温度差[Tc−Te]が20℃以下の状態から
    仕上圧延を開始し若しくは粗圧延を行わない場合には熱
    間圧延を開始し、仕上温度:Ar3点以上、巻取温度:
    540℃以上600℃未満で熱間圧延し、酸洗後、82
    〜88%の冷圧率で冷間圧延し、次いで620〜700
    ℃の温度でバッチ焼鈍した後、調質圧延することを特徴
    とする材質均一性と耐食性の優れた電池外筒用鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 熱延仕上圧延機の入側に配置したエッジ
    ヒータにより鋼片エッジ部を加熱することを特徴とする
    請求項1に記載の材質均一性と耐食性の優れた電池外筒
    用鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 バッチ焼鈍時の雰囲気ガス中の水素濃度
    を25〜100vol%とすることを特徴とする請求項
    1または2に記載の材質均一性と耐食性の優れた電池外
    筒用鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3の製造方法により
    製造された鋼板の両面に、少なくともNiめっき層およ
    び/またはFe−Ni合金化めっき層を形成することを
    特徴とする材質均一性と耐食性の優れた電池外筒用めっ
    き鋼板の製造方法。
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