JPH1017937A - 加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法Info
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Abstract
鈍を省略しても加工性(深絞り性と耐リジング性)に優
れるフェライト系ステンレス鋼板を製造する。 【解決手段】 Cr:11wt%以上を含有するステンレス鋼
スラブを1180℃以下に加熱し、次いで熱間圧延を、粗圧
延後段の1パス以上を圧下率35%以上、かつ仕上圧延温
度開始温度を900 ℃以下、仕上圧延終了温度を800 ℃以
上で施して600 ℃以上で巻取った後、酸洗、冷間圧延及
び仕上焼鈍の順序工程を施す。
Description
の製造方法、なかでも熱延板焼鈍を省略しても高加工性
が得られるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法に関
する。
は、fcc 結晶構造を有するSUS 304 に代表されるオース
テナイト系ステンレス鋼板に比べて耐応力腐食割れ性に
優れるとともに安価であることから、各種厨房器具、自
動車部品、建材などの分野で幅広く使用されている。そ
の一方でフェライト系ステンレス鋼板は、オーステナイ
ト系ステンレス鋼板に比較すると、深絞り性に劣ってい
るために、用途に制約があった。また、フェライト系ス
テンレス鋼板は、絞り加工を施す場合に、リジングと呼
ばれる圧延方向に沿った凹凸の縞模様、しわ欠陥が発生
し易く、この縞模様は商品の美観を損ねる原因となって
いたため、この点でもオーステナイト系ステンレス鋼に
比べ加工性に劣るとされていた。したがって、従来から
深絞り性の向上、及びリジングの抑制、がフェライ
ト系ステンレス鋼板における主要課題であった。
ス鋼板の深絞り性及び耐リジング性の向上に関する技術
が以下のように提案されている。 (a) 特開平7−126757号公報には、熱延時の粗圧
延に際し、最終パスの圧下率とその前のパスの圧下率と
の合計値を70%以上、前記粗圧延の最終パス出側の圧延
速度を200 m/min 以上とし、前記粗圧延の仕上温度を11
00〜800 ℃とする、耐リジング性に優れるフェライト系
ステンレス鋼板の製造方法が開示されている。
Cr:9〜22%、Al:0.03〜0.2 %、N:0.005 〜0.045
%を含有するフェライト系ステンレス鋼板を1050〜1200
℃に加熱後、熱間圧延に際して、900 〜1050℃の温度範
囲で少なくとも1パス以上を圧下率10%以上かつ圧延速
度600 mpm 以上で圧延後、750 ℃以上の温度で巻取り、
冷延、仕上圧延を行う、成形性および耐リジング性に優
れ、しかも異方性の小さいフェライト系ステンレス鋼板
の製造方法が開示されている。
C:0.02%以下、N:0.02以下、Cr:11〜21%を含有し
て更にTi,Nb及びMoを複合添加したステンレス鋼スラブ
を1220℃以上に加熱し、850 〜950 ℃の仕上温度で熱間
圧延し、550 ℃以下で巻取り、熱延板焼鈍することな
く、冷延、仕上焼鈍を行う、高温強度および成形加工性
の優れたフェライト系ステンレス薄鋼板の製造方法が開
示されている。
r:10〜20%で、C:0.10%以下、N:0.04%以下、A
l:0.002 %以下でかつTi:0.03〜0.50%、Nb:0.03〜
0.50%、B:0.0005〜0.0100%などを含有したフェライ
ト系ステンレス鋼のスラブを熱間圧延するに際し、900
℃以下の圧下率を50%以下とし、800 ℃以下の仕上り温
度で圧延を終了し、コイル巻取温度を600 ℃以上として
コイリングした後、焼鈍するか、焼鈍を省略し、その後
冷間圧延と焼鈍を行う方法が開示されている。
ス鋼板は通常、所定の成分組成に溶製後、連続鋳造し、
得られた連続鋳造スラブを加熱後に熱間圧延−熱延板焼
鈍−冷間圧延−仕上焼鈍の工程を施して製造される。こ
のように通常の製造工程においては、熱間圧延後に焼鈍
が必ず行われていることから、普通鋼板では熱延板焼鈍
が省略されていることと比較するとエネルギーを多量に
要している。そこで、省エネルギー化の観点から、熱延
板焼鈍を省略することもまた、フェライト系ステンレス
鋼板を製造する際に強く望まれるようになってきた。
した従来技術をみると、(a) の特開平7−126757
号公報の技術では、i)耐リジング性とr値向上の点か
ら、粗圧延強潤滑強圧下が有効であることが示されてい
るが、圧延時のスリップやかみ込み不良が生じ易く、生
産性が劣る、ii) また、r値のとくに、rm1n 向上効果
が少なく、熱延板焼鈍を省略すると十分な耐リジング性
と成形加工性(深絞り性)とが得られない。他方、(b)
の特開平6−271943号公報、(c) の特開平6−1
7992号公報及び(d) の特公平8−26436号公報
にそれぞれ開示された技術は、熱延板焼鈍を省略可能な
らしめる技術ということはできる。しかし(b) の特開平
6−271943号公報に開示された技術は、AlN の熱
延時の析出を積極的に用いた技術であり、しかも圧延速
度が600 mpm 以上と設備的に制約も大きく、商用工程で
安定して製造するのは難しく、得られた特性も十分満足
なものではなかった。また、(c) の特開平6−1799
2号公報及び(d) の特公平8−26436号公報にそれ
ぞれ開示された技術では、r値の異方性もやや大きく、
また、十分な耐リジング性を得ることが難しいかった。
ジング性の向上技術では、特に、熱延板焼鈍の省略を図
った場合に十分ではないのが実状である。結局のとこ
ろ、鋼中の成分元素や、熱延時の特定条件に着目するこ
とのみでは、実際の使用上、十分満足するような高加工
性(深絞り性と耐リジング性)を有するフェライト系ス
テンレス鋼板を、熱延板焼鈍を施すことなく、高生産性
を確保して製造するのは困難であった。
省プロセスのために熱延板焼鈍を省略しても加工性(深
絞り性と耐リジング性)に優れるフェライト系ステンレ
ス鋼板を製造することのできる方法を提案することにあ
る。
以上を含有するステンレス鋼スラブを1180℃以下に加熱
し、次いで熱間圧延を、粗圧延後段の1パス以上を圧下
率35%以上、かつ仕上圧延温度開始温度を900 ℃以下、
仕上圧延終了温度を800 ℃以上で施して600 ℃以上で巻
取った後、酸洗、冷間圧延及び仕上焼鈍の工程を施すこ
とを特徴とする加工性に優れるフェライト系ステンレス
鋼板の製造方法である。
wt%以下、N:0.015 wt%以下、及び4×(C+N)≦
Ti≦0.3 wt%を満足するTiを含有するものであること
が、より好ましい。
構成のとおりに限定した理由について説明する。
下、熱間圧延における粗圧延後段の1パス以上の圧下率
が35%以上:スラブ再加熱温度と粗圧延後段の圧下率
は、耐リジング性の点から重要である。この知見は、以
下の実験により得られた結果に基づく。
−0.015 %Al−0.027 %P−0.004 %S−0.0078%C−
0.0066%N−0.17%Tiの組成(%は全てwt%)になるSU
S 430LX の連続鋳造スラブ(厚み195 mm)を用い、スラ
ブ加熱温度を1050〜1225℃、粗圧延最終段の圧下率を10
%〜57%の範囲で種々に変化させて熱間圧延の粗圧延を
施し板厚30mmのシートバーとした後、仕上圧延により板
厚4mmの熱延板を作製した。なお、ここで仕上圧延条件
とコイル巻取温度は、この発明に従う条件の範囲内とし
た。得られた熱延板を酸洗によるスケール除去に供した
後、冷間圧延により板厚0.7 mmとし、引き続き910 ℃、
30秒の再結晶焼鈍を行った。
鋼板について、耐リジング性の評価をした。この耐リジ
ング性の評価は、圧延方向に25%の引張歪を加えた後の
表面の凹凸の度合いを、大、中、小で評価した。その結
果を図1に示す。スラブ再加熱温度SRTが1180℃以上
では、たとえ圧下率を大きくしても十分な耐リジング性
が得られないことがわかる。また、圧下率が35%未満で
は、たとえSRTが1180℃以下でも同様に十分な耐リジ
ング性が得られないことが分かる。したがって、この発
明ではSRTが1180℃以下で、なおかつ粗圧延後段の1
パス以上の圧下率は35%以上に限定する。
いが、あまりに低すぎると強圧下時に圧延材表面に疵が
入り易くなるため、好ましくは1050℃以上が良い。ま
た、粗圧延後段(複数の圧延パスを前半、後半に2分し
た場合の後半のパスをいう)の圧下については、2パス
以上をそれぞれ圧下率35%以上で行ってもこの発明の効
果は得られるので、2パス以上の組み合わせを行っても
良い。更に、粗圧延の後段で1パス以上行う35%以上の
圧下の圧下率上限は設けないが、あまりに大きすぎると
ロールスリップや表面疵の生成などの問題を招き易くな
るので、好ましくは60%以下が良い。
度が800 ℃以上:仕上圧延温度は、深絞り性とr値の異
方性の点から重要な条件である。この知見は、以下の実
験により得られた結果に基づく。
成の連続鋳造スラブを用いて、SRT及び粗圧延条件を
この発明に従う条件で熱間の粗圧延を施したのち、仕上
圧延開始温度(FET)と仕上圧延終了温度(FDT)
を種々に変化させて仕上圧延を行ってから、この発明に
従う温度範囲でコイルを巻き取った。得られた熱延板を
実験1と同様に酸洗、冷間圧延及び再結晶焼鈍を施し
た。かくして得られたフェライト系ステンレス鋼板につ
いて、r値をL方向、D方向、C方向にそれぞれ測定し
た。その結果を図2に示す。仕上圧延開始温度FETが
900 ℃以下でなおかつ仕上圧延終了温度FDTが800 ℃
以上の領域で深絞り性の指標となる平均r値((rL+
rC +2rD )/4)が大きいことが分かる。したがっ
て、仕上圧延開始温度を900 ℃以下、仕上圧延終了温度
を800 ℃以上に限定する。なお、r値の異方性について
は、圧延温度範囲が低温側、すなわち仕上圧延終了温度
が800 ℃以下になると大きくなる傾向があることも分か
った。
℃以下、仕上圧延終了温度が800 ℃以上の仕上圧延条件
のうち、特に850 ℃±30℃の範囲で仕上圧延が行われる
と平均r値がとりわけ大きく(図2の◎印)、またr値
の異方性も非常に小さくなる傾向が見られることから、
好ましくは圧延開始温度を880 ℃以下、圧延終了温度を
820 ℃以上とする。
は、r値の3方向中の最小値(rmin )の点から重要で
ある。この知見は、以下の実験結果より得られた。
じ成分を有する連続鋳造スラブを用いて、スラブ加熱温
度、熱間粗圧延及び仕上圧延条件をこの発明に従う条件
の範囲とし、巻取温度を420 〜780 ℃の種々の温度にし
た。得られた熱延板を実験2と同様に冷延−焼鈍を施し
た後、r値の測定を行った。図3に、rmin の値に及ぼ
す巻取温度(CT)の影響をグラフで示すが、巻取温度
CTを600 ℃以上にすることより、rmin が著しく向上
し、深絞り性が向上するとともに異方性も小さくなるこ
とが分かる。したがって、巻取温度CTは600 ℃以上に
限定する。熱延板をコイルに巻き取った後は、常法に従
い酸洗−冷間圧延−仕上焼鈍を施せば良い。
鋼の化学組成については、ステンレス鋼の必須成分であ
るCrを11wt%以上で含有させる他は、特に限定するもの
ではないが、この発明の効果を十分にかつ安定して得る
ためには、C:0.015 wt%以下、N:0.015 wt%以下、
及び4×(C+N)≦Ti≦0.3 wt%を満足するTiを含有
するものが好適に適用される。
及ぼす成分であるが、その一方でTi添加によりその悪影
響を低減することが可能である。したがって、特に過酷
な加工に供される素材としては、C,Nを低減した上
で、Tiを適正量を添加することが好ましく、それゆえ
C、N及びTiの範囲はC:0.015 wt%以下、N:0.015
wt%以下、及び4×(C+N)≦Ti≦0.3 wt%とするの
が好ましい。なお、Tiは過剰に添加すると熱延時にTiO2
起因の表面欠陥が生じ易いので、Tiの上限は0.3 wt%と
することが好ましい。
要に応じて添加させることが可能であり、不純物成分も
含めて以下に好ましい範囲を示すが、この発明はこれに
限定されるものではない。 Si:1.0 wt%以下、Mn:1.0 wt%以下、Al:0.1 wt%以
下、P:0.05wt%以下、S:0.015 wt%以下、O:0.01
wt%以下、Ca:0.002 wt%以下、Mg:0.002 wt%以下、
REM :0.015 wt%以下、Ni:0.7 wt%以下、Cu:0.5 wt
%以下、Co:0.3 wt%以下、V:0.5 wt%以下、Zr:0.
3 wt%以下、Nb:0.3 wt%以下、W:0.3 wt%以下、T
a:0.3 wt%以下、B:0.003 wt%以下、Mo:1.5 wt%
以下
(厚み195 mm)を、表2に示す種々の条件で熱間圧延を
行った。熱間圧延は3列からなる粗圧延機で板厚28mmま
で圧延後、更に6列からなる仕上圧延機で3mm厚まで圧
延してからコイルに巻き取った。得られた熱延鋼帯は脱
スケール後、冷間圧延により板厚0.7 mmとし、850 〜94
0 ℃で仕上焼鈍を施した。
ジングの評価とr値の測定(L方向、D方向、C方向)
を行った。これらの測定結果を表2に併記する。この発
明に従う適合例では、いずれもリジングの発生が抑制さ
れ、しかも深絞り性が向上していることがわかる。ま
た、r値の異方性も少ない。一方、この発明の要件を一
つでも外れる比較例では、リジングの発生の抑制、深絞
り性の改善、異方性の向上の少なくとも一つが達成でき
ず、加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板が得ら
れないことが分かる。
ー、省プロセスを目的に熱延板焼鈍工程を省略しても、
加工性(深絞り性と耐リジング性)に優れるフェライト
系ステンレス鋼板を製造することができる。なお、この
発明によって製造されたフェライト系ステンレス鋼板に
対しては、従来から適用されていたあらゆる表面仕上方
法や表面処理方法が問題なく適用できる。
グ発生の程度に及ぼす影響を示す図である。
値に及ぼす影響を示す図である。
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 Cr:11wt%以上を含有するステンレス鋼
スラブを1180℃以下に加熱し、次いで熱間圧延を、粗圧
延後段の1パス以上を圧下率35%以上、かつ仕上圧延温
度開始温度を900 ℃以下、仕上圧延終了温度を800 ℃以
上で施して600 ℃以上で巻取った後、酸洗、冷間圧延及
び仕上焼鈍の工程を施すことを特徴とする加工性に優れ
るフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 ステンレス鋼スラブが、C:0.015 wt%
以下、N:0.015 wt%以下、及び4×(C+N)≦Ti≦
0.3 wt%を満足するTiを含有するものである請求項1記
載の加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造
方法。
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---|---|---|---|
JP16887096A JP3721640B2 (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
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CN115976312A (zh) * | 2022-12-28 | 2023-04-18 | 成都先进金属材料产业技术研究院股份有限公司 | 一种铁素体不锈钢00Cr17及其加热方法 |
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1996
- 1996-06-28 JP JP16887096A patent/JP3721640B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN107429366A (zh) * | 2015-09-22 | 2017-12-01 | Posco公司 | 铁素体系不锈钢及其制造方法 |
US20180179607A1 (en) * | 2015-09-22 | 2018-06-28 | Posco | Ferritic stainless steel and method of manufacturing the same |
CN115976312A (zh) * | 2022-12-28 | 2023-04-18 | 成都先进金属材料产业技术研究院股份有限公司 | 一种铁素体不锈钢00Cr17及其加热方法 |
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