JPH10177783A - 磁気メモリ素子、この磁気メモリ素子の情報記録方法および情報記憶装置 - Google Patents

磁気メモリ素子、この磁気メモリ素子の情報記録方法および情報記憶装置

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JPH10177783A
JPH10177783A JP8334168A JP33416896A JPH10177783A JP H10177783 A JPH10177783 A JP H10177783A JP 8334168 A JP8334168 A JP 8334168A JP 33416896 A JP33416896 A JP 33416896A JP H10177783 A JPH10177783 A JP H10177783A
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JP8334168A
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Haruoki Yamane
治起 山根
Kiminori Maeno
仁典 前野
Masanobu Kobayashi
政信 小林
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11CSTATIC STORES
    • G11C11/00Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor
    • G11C11/56Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using storage elements with more than two stable states represented by steps, e.g. of voltage, current, phase, frequency
    • G11C11/5607Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using storage elements with more than two stable states represented by steps, e.g. of voltage, current, phase, frequency using magnetic storage elements

Abstract

(57)【要約】 【課題】 出力値が大きく且つ高密度化が容易な磁気メ
モリ素子を提供する。 【解決手段】 巨大磁気抵抗効果を用いて情報を記録す
る情報記録部を2個備え、且つ、これらの2個の情報記
録部110,150に同時に逆方向の磁界を与えるよう
に設けられた磁界形成用電極130を備える。そして、
これらの情報記録部110,150の抵抗値の差を記憶
情報とすることにより、参照用磁気メモリ素子を用いる
ことなく十分な出力レベルを確保する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、非磁性体を介し
て積層された2層以上の強磁性体の磁化方向の差を情報
として記憶するとともにこの磁化方向の差を電気抵抗値
として読み出す情報記録部を用いた磁気メモリ素子と、
この磁気メモリ素子の情報記録方法と、情報記憶装置と
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような情報記録部を用いた磁
気メモリ素子として、巨大磁気抵抗(GMR;Giant Ma
gnetoresistance )効果を利用したものが知られてい
る。この巨大磁気抵抗効果は、磁気抵抗(MR;Magnet
oresistance )効果の一種であるが、抵抗の変化量が非
常に大きいという特徴を有している。
【0003】この巨大磁気抵抗効果を利用した磁気メモ
リ素子としては、例えば、特開平6−295419号公
報に記載されたものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この特開平6−295
419号公報に記載された磁気メモリ素子は、同公報の
図3に示されているように、非磁性体を介して積層され
た2層の強磁性体(同公報中では「第1の軟強磁性層」
および「第2の強磁性層」)からなる1個の情報記録部
と、この情報記録部に磁界を与える一対の磁界形成用電
極(同公報中では「非磁性金属材料薄膜層」および「書
込み線」)とを備えている。ここで、第2の強磁性層
は、反強磁性層との交換結合等によって所定の磁化方向
に固定されており、非常に大きい外部磁界を与えない限
り磁化方向が反転することはない(同公報の第5カラム
第38行〜第45行参照)。一方、第1の軟強磁性層の
磁化方向は、所定の弱い外部磁界を与えることによって
反転させることができる。
【0005】かかる磁気メモリ素子に対する情報の記録
は、情報記録部に縦方向の磁界と横方向の磁界とを同時
に印加して、第1の軟強磁性層の磁化方向のみを設定す
ることにより行なう(同公報の第5カラム第50行〜第
6カラム第12行参照)。ここで、縦方向の磁界は書込
み線を流れる縦方向書込み電流により誘導され、横方向
の磁界は非磁性金属材料薄膜層を流れる横書込み/セン
ス電流によって誘導される。そして、このような互いに
直行する電流を用いた書込み方法を実現することによ
り、ワード線とビット線とを用いたマトリクス状のメモ
リセルアレイを有する情報記憶装置を実現している(同
公報の図5参照)。
【0006】一方、この磁気メモリ素子からの情報の読
出しは、第1の軟強磁性層および第2の強磁性層を並列
に接続して電流を流したときの抵抗値を測定することに
よって、行なうことができる。この抵抗値は、これらの
強磁性層の磁化方向が同一方向であるときに最小とな
り、逆方向であるときに最大となる(同公報の第6カラ
ム第23行〜第27行参照)。したがって、このように
して測定した抵抗値を所定の抵抗値と比較することによ
って、情報の読出しを行なうことができる。
【0007】同公報の図5に示された情報記憶装置で
は、この所定の抵抗値を、参照MR記憶素子によって得
ている。すなわち、情報を記録するときには活動MR素
子のみに対して書込みを行ない、情報を読出すときには
この活動MR素子のセンス電流と参照MR素子のセンス
電流とをセンス増幅器で比較することによって書込み情
報の値を判断している(同公報の第7カラム第13行〜
第21行)。
【0008】しかしながら、上述したような従来の磁気
メモリ素子には、最小抵抗値と最大抵抗値との差がせい
ぜい数パーセント程度であるため、検出信号値の大きさ
が十分ではなく、S/N比も悪いという課題があった。
【0009】また、情報を読出す際に参照用のMR素子
を使用するため、各メモリセルが合計2個のMR素子を
備えなければならず、このため高密度化が図りにくく小
面積化が困難であるという欠点があった。
【0010】このため、出力値が大きく、高密度化が容
易な磁気メモリ素子および情報記録装置が嘱望されてい
た。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)第1の発明は、非磁性体を介して積層された2層
以上の強磁性体の磁化方向の差を情報として記憶すると
ともにこの磁化方向の差を電気抵抗値として読み出す情
報記録部を用いた磁気メモリ素子に関するものである。
【0012】そして、この第1の発明は、基板上に設け
られた第1の情報記録部と、この第1の情報記録部の近
傍に設けられた第2の情報記録部と、第1の情報記録部
および前記第2の情報記録部に同時に逆方向の磁界を与
えるように第1の情報記録部および第2の情報記録部の
近傍に設けられた磁界形成用電極とを備えている。
【0013】このような構成によれば、第1の情報記憶
部および第2の情報記憶部に逆方向の磁界を与えて異な
る抵抗値を設定することができるので、検出信号値を2
倍にすることができるとともに、この検出信号値のS/
N比を向上させることが可能となる。
【0014】(2)第2の発明は、第1の発明に係る磁
気メモリ素子に2値化情報を記録するための情報記録方
法に関するものである。
【0015】そして、この第2の発明では、第1の値を
記録する場合には第2の情報記録部の磁化方向の差のみ
が零となるような電流を磁界形成用電極の第1の方向に
流し、第2の値を記録する場合には、第1の情報記録部
の磁化方向の差のみが零となるような電流を磁界形成用
電極の第2の方向に流すこととしている。
【0016】このような方法によれば、簡単な手順で、
1個の磁界形成用電極によって2個の情報記録部(第1
の情報記録部および第2の情報記録部)に同時に情報の
書込みを行なうことができる。
【0017】(3)第3の発明は、第1の発明に係る磁
気メモリ素子に3値化情報を記録するための情報記録方
法に関するものである。
【0018】そして、この第3の発明では、第1の値を
記録する場合には第2の情報記録部の磁化方向の差のみ
が零となるような電流を磁界形成用電極の第1の方向に
流し、第2の値を記録する場合には第1の情報記録部の
磁化方向の差のみが零となるような電流を磁界形成用電
極の第2の方向に流し、第3の値を記録する場合には第
1の情報記録部の磁化方向の差と第2の情報記録部の前
記磁化方向の差とが同一となるような電流を第1の方向
または第2の方向に流すこととしている。
【0019】このような方法によれば、簡単な手順で1
個の磁界形成用電極によって2個の情報記録憶(第1の
情報記録部および第2の情報記録部)に同時に情報の書
込みを行なうことができるとともに、1個の磁気メモリ
素子に3値化情報を記録することができるので、メモリ
の記憶容量を向上させることができる。
【0020】(4)第4の発明は、第1の発明に係る磁
気メモリ素子をマトリクス状に配列してなるメモリセル
アレイを有する情報記憶装置に関するものである。
【0021】そして、この第4の発明は、列方向のそれ
ぞれの磁気メモリ素子の磁界形成用電極の一端と接続さ
れた第1の記録電流供給線と、同一列のそれぞれの磁気
メモリ素子の磁界形成用電極の他端と接続された第2の
記録電流供給線と、列方向のそれぞれの磁気メモリ素子
の第1の情報記録部および第2の情報記録部に設けられ
たそれぞれの強磁性体の一端と接続された第1の抵抗値
検出線と、同一列のそれぞれの磁気メモリ素子の第1の
情報記録部に設けられたそれぞれの強磁性体の他端と接
続された第2の抵抗値検出線と、同一列のそれぞれの磁
気メモリ素子の第2の情報記録部に設けられたそれぞれ
の強磁性体の他端と接続された第3の抵抗値検出線と、
第2の抵抗値検出線および第3の抵抗値検出線の電流値
または電圧値から第1の情報記録部の電気抵抗値と第2
の情報記録部の電気抵抗値とを比較する抵抗比較手段と
を備えている。
【0022】このような構成によれば、第1の発明に係
る磁気メモリ素子を使用して情報記憶装置を構成するこ
とができるので、各メモリセル(磁気メモリ素子)第1
の情報記録部および第2の情報記録部に逆方向の磁界を
与えて異なる抵抗値を設定することができ、これらの抵
抗値を比較することによって情報の読出しを行なうこと
ができるので、参照用の磁気メモリ素子は不要となる。
そして、これにより、メモリセルアレイの高密度化が図
り安くなるので、小面積で大容量の情報記憶装置を得る
ことが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、図面を用いて説明する。なお、図中、各構成成分
の大きさ、形状および配置関係は、この発明が理解でき
る程度に概略的に示してあるにすぎず、また、以下に説
明する数値的条件は単なる例示にすぎないことを理解さ
れたい。
【0024】第1の実施の形態 まず、この発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素
子およびその情報記録方法について、図1〜図3を用い
て説明する。
【0025】図1は、この実施の形態に係る磁気メモリ
素子の構造を模式的に示す斜視図である。
【0026】同図に示したように、この磁気メモリ素子
100において、ガラス基板101上には第1の情報記
録部110が設けられ、この第1の情報記録部110上
には例えば膜厚0.5μmのSiO2 膜からなる第1の
絶縁層120が設けられ、この第1の絶縁層120上に
は例えば膜厚1.0μmのCu膜からなる磁界形成用電
極130が設けられ、この磁界形成用電極130上には
例えば膜厚0.5μmのSiO2 膜からなる第2の絶縁
層140が設けられ、さらに、この第2の絶縁層140
上には第2の情報記録部150が設けられている。
【0027】ここで、第1の情報記録部110は、ガラ
ス基板101上に形成された例えば膜厚6.0nmのC
o膜からなる第1の強磁性体層111と、この第1の強
磁性体層111の表面に形成された例えば膜厚2.8n
mのCu膜からなる非磁性体層112と、この非磁性体
層112の表面に形成された例えば膜厚6.0nmのC
o膜からなる第2の強磁性体層113と、この第2の強
磁性体層113の表面に形成された例えば膜厚21.0
nmのFeMn合金膜からなる反強磁性体層114とを
備えている。
【0028】一方、第2の情報記録部150は、絶縁層
140上に形成された例えば膜厚21.0nmのFeM
n合金膜からなる反強磁性体層154と、この反強磁性
体層154上に形成された例えば膜厚6.0nmのCo
膜からなる第2の強磁性体層153と、この第2の強磁
性体層153上に形成された例えば膜厚2.8nmのC
u膜からなる非磁性体層152と、この非磁性体層15
2上に形成された例えば膜厚6.0nmのCo膜からな
る第1の強磁性体層151とを備えている。
【0029】このように、第1の情報記録部110と第
2の情報記録部150とは、各層の積層順序が互いに逆
になっている。
【0030】また、第1の情報記録部110の側面に
は、例えば膜厚が1.0μmのCu膜からなる抵抗値検
出用電極161,162が、互いに対向するように形成
されている。そして、これらの強磁性体層111,11
3間に電流を流すことにより、第1の強磁性体層111
および第2の強磁性体層113を並列に接続してなる合
成抵抗の値を測定することができる。
【0031】同様に、第2の情報記録部150の側面に
は、強磁性体層151,153に上記強磁性体層11
1,113と同一方向の電流を流すことができるよう
に、例えば膜厚が1.0μmのCu膜からなる抵抗値検
出用電極163,164が、互いに対向するように形成
されている。そして、これらの強磁性体層151,15
3間に電流を流すことにより、第1の強磁性体層151
および第2の強磁性体層153を並列に接続してなる合
成抵抗の値を測定することができる。
【0032】このような構成の磁気メモリ素子は、それ
ぞれ通常のスパッタリング法等の薄膜形成技術および通
常のフォトリソグラフィーを用いたエッチング技術を使
用して、まず、第1の情報記録部110の各層111,
112,113,114を形成し、次に、抵抗値検出用
電極161,162を形成し、第3に、絶縁層120、
磁界形成用電極130および絶縁層140からなる積層
構造を形成し、第4に、第2の情報記録部150の各層
151,152,153,154を形成し、最後に、抵
抗値検出用電極163,164を形成することにより、
作製することができる。
【0033】次に、図1に示した情報記録部110,1
50の特性について、図2を用いて説明する。
【0034】図2(A)および(B)は、第1の情報記
録部110の磁気抵抗特性を直流四端子法で測定した結
果を示すグラフである。ここで、四端子法とは、四電極
法とも呼ばれ、素子の電極(ここでは抵抗値検出用電極
161,162)とは別に設けたプローブ電極によって
電位降下を検出することにより、抵抗を測定する方法で
ある。この方法によれば、電極のインピーダンスの影響
を排除して高精度の抵抗測定を行なうことが可能であ
る。
【0035】図2(A)は、第1の情報記録部110の
磁気抵抗曲線を示すグラフであり、横軸は磁界の強度
[Oe]を、縦軸は強磁性体層111,113の磁化方
向が同一であるときを基準とした抵抗値の変化率[%]
を示している。また、同図において、aは磁界の強度を
−400[Oe]から+400[Oe]まで増加させた
場合であり、bは磁界の強度を+400[Oe]から−
400[Oe]まで減少させた場合である。なお、この
グラフは、第2の強磁性体層113と反強磁性体層11
4との交換結合の方向を負側とした場合を示している。
【0036】図2(A)に示したように、第1の情報記
録部110に印加される外部磁界の強度を−400[O
e]から増加させていくと、この磁界強度が約+40
[Oe]を越えてから第1の強磁性体層111の磁化方
向が変化し、最後には反転する。一方、第2の強磁性体
層113は、反強磁性体層114との交換結合により固
定されているので、磁化方向は変化しない。これによ
り、第1の強磁性体層111の磁化方向と第2の強磁性
体層113の磁化方向とが逆方向となるので、この第1
の情報記録部110の電気抵抗(すなわち第1の強磁性
体層111と第2の強磁性体層113とを並列接続して
得られる合成抵抗)の値は約6.0%だけ増加する。
【0037】その後、第1の情報記録部110に印加さ
れる外部磁界の強度をさらに増加させていき、この磁界
強度が約+200[Oe]を越えると、第2の強磁性体
層113の磁化方向が変化し、最後には反転する。これ
により、第1の強磁性体層111の磁化方向と第2の強
磁性体層113の磁化方向とが同方向となるので、この
第1の情報記録部110の電気抵抗は減少する。
【0038】一方、磁界形成用電極130に流す電流を
変化させて第1の情報記録部110に印加される外部磁
界の強度を+400[Oe]から減少させていった場合
には、この磁界強度が約−40[Oe]に達したとき
に、第1の強磁性体層111の磁化方向のみが変化して
この第1の強磁性体層111の磁化方向と第2の強磁性
体層113の磁化方向とが逆方向となり、第1の情報記
録部110の電気抵抗が約5.5%だけ増加する。そし
て、第1の情報記録部110に印加される外部磁界の強
度をさらに減少させていき、この磁界強度が約−60
[Oe]よりも小さくなると第2の強磁性体層113の
磁化方向が変化して第1の強磁性体層111の磁化方向
と第2の強磁性体層113の磁化方向とが同方向とな
り、第1の情報記録部110の電気抵抗は減少する。
【0039】このように、この実施の形態に係る第1の
情報記録部110は、ヒステリシス特性を示している。
【0040】ここで、第1の情報記録部110に情報を
記録するためには、後述するように、第1の強磁性体層
111の磁化方向のみを反転させ、第2の強磁性体層1
13の磁化方向は固定しておかなければならない。した
がって、磁界形成用電極130に電流を流すことによっ
て第1の情報記録部110に印加する外部磁界の強度
は、例えば、約−60[Oe]から約+60[Oe]ま
での間で変化させる必要がある。
【0041】図2(B)は、第1の情報記録部110に
印加する外部磁界の強度を約−60[Oe]から約+6
0[Oe]までの間で変化させたときの磁気抵抗曲線を
示すグラフであり、横軸は磁界の強度[Oe]を、縦軸
は強磁性体層111,113の磁化方向が同一であると
きを基準とした抵抗値の変化率[%]を示している。ま
た、同図において、符号cは磁界の強度を−60[O
e]から+60[Oe]まで増加させた場合を示してお
り、符号dは磁界の強度を+60[Oe]から−60
[Oe]まで減少させた場合を示している。なお、この
グラフは、予め第1の情報記録部110に−200[O
e]の外部磁界を与えて強磁性体層111,113の磁
化方向を正方向にそろえた場合を示しており、また交換
結合の方向は負側であるとする。
【0042】図2(B)に示したように、第1の情報記
録部110に印加される外部磁界の強度を−60[O
e]から増加させていった場合には、この磁界強度が約
+30[Oe]に達したときに、第1の強磁性体層11
1の磁化方向のみが反転してこの第1の強磁性体層11
1の磁化方向と第2の強磁性体層113の磁化方向とが
逆方向となるので、第1の情報記録部110の電気抵抗
が約6.0%だけ増加する。
【0043】一方、第1の情報記録部110に印加され
る外部磁界の強度を+60[Oe]から減少させていっ
た場合には、この磁界強度が約−15[Oe]に達した
ときに、第1の強磁性体層111の磁化方向のみがさら
に反転してこの第1の強磁性体層111の磁化方向と第
2の強磁性体層113の磁化方向とが同方向となるの
で、第1の情報記録部110の電気抵抗が低下する。
【0044】したがって、磁界形成用電極130に電流
を流して第1の情報記録部110に印加する外部磁界の
強度を例えば+40[Oe]または−40[Oe]とす
ることにより、この第1の情報記録部110に抵抗値の
違いによる情報記録を行なうことができる。
【0045】なお、第2の情報記録部150に情報を記
録する原理も、第1の情報記録部110の場合と同様で
ある。ただし、この実施の形態では、第1の情報記録部
110と第2の情報記録部150とを磁界形成用電極1
30に対して逆の方向に設けているので、この磁界形成
用電極130に電流を流したときに第2の情報記録部1
50に印加される外部磁界の方向は第1の情報記録部1
10とは逆となり、したがって第1の強磁性体層111
の磁化方向も逆になる。
【0046】続いて、図1に示した磁気メモリ素子10
0の情報を記録する方法および読出す方法について、図
3(A)および(B)を用いて説明する。
【0047】図3(A)は、この磁気メモリ素子100
を用いて情報の記録および読出しを行なう際の回路構成
を示す模式図である。図3(A)において、図1と同じ
符号を付した構成部は、それぞれ、図1と同じものを示
している。
【0048】図3(A)に示したように、第1の抵抗検
出回路301は、抵抗値検出用電極161,162に接
続されている。この第1の抵抗検出回路301は、これ
らの抵抗値検出用電極161,162を介して第1の情
報記録部110に定電流I1を流し、このときの電圧値
から第1の情報記録部110の抵抗を検出する。そし
て、この検出結果を示す信号S1 を出力する。
【0049】同様に、第2の抵抗検出回路302は抵抗
値検出用電極163,164に接続されており、これら
の抵抗値検出用電極163,164を介して第2の情報
記録部150に定電流I2 を流したときの電圧値から第
2の情報記録部150の抵抗を検出する。そして、この
検出結果を示す信号S2 を出力する。
【0050】比較回路303は、信号S1 を+入力端子
から入力するとともに信号S2 を−入力端子から入力し
て両信号の差S1 −S2 を算出し、読出データDとし
て、出力端子304を介して外部に出力する。
【0051】磁界形成用電極130には、図示しない電
流源によって、図面に垂直な方向の電流が供給される。
すなわち、この磁界形成用電極130に流れる電流の方
向は、上述した抵抗検出回路301,302によって情
報記録部110,150に流される電流I1 ,I2 と直
交する。
【0052】次に、図3(A)に示した回路を用いて磁
気メモリ素子100に対する情報の記録および読出しを
行なう際の動作について、図3(B)を用いて説明す
る。
【0053】磁気メモリ素子100に対しては、予め初
期設定として、外部から情報記録部110,150に、
磁界強度が例えば−300[Oe]の同方向の磁界を印
加する。これにより、情報記録部110,150に形成
された各強磁性体層111,113,151,153
(図3(A)では図示せず)の磁化方向は、すべて正方
向に設定される。なお、この初期化は、通常は、製造工
程の最終段階で行なわれる。
【0054】そして、この磁気メモリ素子100に情報
「0」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極130
に正方向(すなわち図3(A)の紙面の裏側から表側へ
の方向)の電流を流すことにより、磁界強度が例えば4
0[Oe]の磁界を発生させる。これにより、図3
(B)の第1段に示したように、第1の情報記録部11
0には強度が+40[Oe](正方向)の磁界B11が印
加され、且つ、第2の情報記録部150には強度が−4
0[Oe](負方向)の磁界B21が印加される。したが
って、情報記録部110,150に形成された各強磁性
体層111,113,151,153のうち、第1の情
報記録部110の第1の強磁性体層111のみが反転し
て負方向を向く。一方、第2の情報記録部150の第1
の強磁性体層151は、磁化方向が外部磁界の方向と同
じなので反転しない。また、各情報記録部110,15
0の第2の強磁性体層113,153は、上述したよう
に反強磁性体層114,154(図3(A)では図示せ
ず)との交換結合のために、この磁界強度(40[O
e])では磁界方向にかかわらず反転しない。
【0055】このため、第1の情報記録部110では2
層の強磁性体層111,113の磁化方向は逆方向とな
り、また、第2の情報記録部150では2層の強磁性体
層151,153の磁化方向は同方向となる。したがっ
て、図3(B)の第1段に示したように、第1の情報記
録部110の抵抗(すなわち強磁性体層111,113
を並列接続したときの合成抵抗)は高抵抗となり、ま
た、第2の情報記録部150の抵抗(すなわち強磁性体
層151,153を並列接続したときの合成抵抗)は低
抵抗となる。そして、これにより、磁気メモリ素子10
0に抵抗値の違いによる情報「0」を記録することがで
きる。
【0056】一方、このようにして磁気メモリ素子10
0に記録された情報を読出す場合には、第1の抵抗検出
回路301によって第1の情報記録部110の抵抗を検
出すると同時に、第2の抵抗検出回路302によって第
2の情報記録部150の抵抗を検出する。そして、検出
結果を信号S1 ,S2 の信号値(ハイレベルまたはロー
レベル)として出力する。上述したように、このとき第
1の情報記録部110は高抵抗であり、第2の情報記録
部150は低抵抗であるので、信号S1 はハイレベルと
なり、信号S2 はローレベルとなる。したがって、比較
回路303の出力はD1 =S1 −S2 は正の値(すなわ
ち正の信号レベル)となる。このようにして、磁気メモ
リ素子100に記録された情報「0」を読出すことがで
きる。
【0057】また、この磁気メモリ素子100に情報
「1」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極130
に負方向(すなわち図3(A)の紙面の表側から裏側へ
の方向)の電流を流すことにより、磁界強度が例えば4
0[Oe]の磁界を発生させる。これにより、図3
(B)の第2段に示したように、第1の情報記録部11
0には強度が−40[Oe](負方向)の磁界B12が印
加され、且つ、第2の情報記録部150には強度が+4
0[Oe](正方向)の磁界B22が印加される。したが
って、各強磁性体層111,113,151,153の
うち、第2の情報記録部150の第1の強磁性体層15
1のみが反転して負方向を向き、他の強磁性体層11
1,113,153は反転しない。このため、第1の情
報記録部110では2層の強磁性体層111,113の
磁化方向は同方向となり、第2の情報記録部150では
2層の強磁性体層151,153の磁化方向が逆方向と
なる。したがって、図3(B)の第2段に示したよう
に、第1の情報記録部110の抵抗は低抵抗となり、第
2の情報記録部150の抵抗は高抵抗となる。そして、
これにより、磁気メモリ素子100に抵抗値の違いによ
る情報「1」を記録することができる。
【0058】一方、このようにして磁気メモリ素子10
0に記録された情報を読出す場合には、上述の場合と同
様に、第1の抵抗検出回路301によって第1の情報記
録部110の抵抗を検出するとともに第2の抵抗検出回
路302によって第2の情報記録部150の抵抗を検出
する。そして、これらの検出結果を示す信号S1 ,S2
を比較回路303で比較することにより、磁気メモリ素
子100に記録された情報「1」(すなわち負の信号レ
ベル)を読出すことができる。
【0059】このように、この実施の形態に係る磁気メ
モリ素子は、2個の情報記録部110,150を設ける
とともにこれらの情報記録部110,150に逆方向の
磁界を印加して情報を記録することとしたので、これら
の情報記録部110,150に異なる抵抗値を設定する
ことができる。したがって、読出し時の出力信号値を従
来の2倍にすることができるとともに、その分だけS/
N比の向上も図ることができる。
【0060】また、2個の情報記録部110,150に
対して1個の磁界形成用電極130を設ければよく、参
照用の磁気メモリ素子を用いる必要もないので、高密度
化が図り安く小面積化が容易となる。
【0061】なお、この実施の形態では、第1の情報記
録部110と第2の情報記録部150とで各層の積層順
序を逆にしたが、同じ積層順序にしてもよい。
【0062】また、この実施の形態では、情報記録部を
2個設けることとしたが、磁界形成用電極の上側と下側
にそれぞれ情報記録部を複数個ずつ設けることとしても
よい。
【0063】さらに、この実施の形態では、第1の情報
記録部110が高抵抗で且つ第2の情報記録部150が
低抵抗の場合の情報を「0」とし、第1の情報記録部1
10が低抵抗で且つ第2の情報記録部150が高抵抗の
場合の情報を「1」としたが、この逆であってもよいこ
とはもちろんである。
【0064】加えて、この実施の形態では、磁界形成用
電極130に流す定電流I1 ,I2の方向と情報記録部
110,150に流す電流の方向とを直交方向とした
が、このような方向に限定されるものではなく、記録・
読出しが可能な範囲で任意に設定することができる。
【0065】併せて、強磁性体層111,113,15
1,153の形成材料はCoに限定されるものではな
く、例えばFe、Niや、Fe、NiおよびCoの合金
等であってもよい。
【0066】さらに、反強磁性体層114,154の形
成材料は、NiMn、IrMn、NiO等であってもよ
い。
【0067】第2の実施の形態 次に、この発明の第2の実施の形態について説明する。
【0068】この実施の形態は、上述の第1の実施の形
態と同じ構造の磁気メモリ素子に3値化情報を記録する
ものである。すなわち、磁気メモリ素子は第1の実施の
形態と同じであるが、情報記録方法が第1の実施の形態
と異なる。
【0069】したがって、この実施の形態に係る磁気メ
モリ素子の構造については、説明を省略する。
【0070】以下、この実施の形態に係る情報記録方法
について、図1、図4および図5を用いて説明する。
【0071】まず、図1に示した情報記録部110,1
50の特性について、図4を用いて説明する。
【0072】図4は、第1の情報記録部110の磁気抵
抗特性を説明するためのグラフであり、図2(B)を模
式化したものである。このグラフにおいて、横軸は磁界
の強度[Oe]を、縦軸は抵抗値の変化率[%]を、そ
れぞれ規格化したものである。
【0073】図4および図2(B)から判るように、第
1の情報記録部110に印加される外部磁界の強度を−
60[Oe]から増加させていった場合(符号e参照)
に第1の強磁性体層111の磁化方向が反転する磁界強
度(約+30[Oe])の絶対値とこの外部磁界の強度
を+60[Oe]から減少させていった場合(符号f参
照)に第1の強磁性体層111の磁化方向が反転する磁
界強度(約−15[Oe])の絶対値とは同じ値にはな
らず、このため、図4のグラフは縦軸に対して非対称と
なっている。これは、各強磁性体111,113間の磁
気的な結合に起因するものである。
【0074】したがって、図4に示したように、この情
報記録部110に対して印加する外部磁界の強度が+H
a のときは第1の強磁性体層111が反転して高抵抗と
なるが磁界の強度が+Hb のときは低抵抗となり、且
つ、磁界の強度が−Ha のときおよび−Hb のときはと
もに低抵抗となるように、磁界の強度の絶対値Ha およ
びHb を定めることができる。そして、このような値の
磁界の強度±Ha および±Hb を情報記録部110の強
磁性体層111,113に印加することにより、後述の
ようにして3値化情報の記録を行なうことが可能とな
る。
【0075】なお、第2の情報記録部150に情報を記
録する原理も、第1の情報記録部110の場合と同様で
ある。
【0076】続いて、この実施の形態に係る磁気メモリ
素子の情報を記録する方法および読出す方法について、
図5(A)および(B)を用いて説明する。
【0077】図5(A)において、図3(A)と同じ符
号を付した構成部は、ぞれぞれ図3(A)と同じものを
示している。すなわち、図5(A)に示したこの実施の
形態の読出し回路の構成は図3(A)と同一であり、磁
界形成用電極130に供給される電流(したがって情報
記録部110,150に印加される外部磁界)にのみ第
1の実施の形態との差異がある。
【0078】また、予め(例えば製造工程の最終段階
等)に、初期設定として、外部から情報記録部110,
150に、磁界強度が例えば−300[Oe]の同方向
の磁界を印加して各強磁性体層111,113,15
1,153(図5(A)では図示せず)の磁化方向をす
べて正方向に設定しておく点も、第1の実施の形態の場
合と同様である。
【0079】まず、この磁気メモリ素子100に情報
「0」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極130
に正方向(すなわち図5(A)の紙面の裏側から表側へ
の方向)の電流を流すことにより、磁界強度がHa (例
えば40[Oe])の磁界を発生させる。これにより、
図5(B)の第1段に示したように、第1の情報記録部
110には強度が+Ha (正方向)の磁界B11が印加さ
れ、且つ、第2の情報記録部150には強度が−Ha
(負方向)の磁界B21が印加される。したがって、情報
記録部110,150に形成された各強磁性体層11
1,113,151,153のうち、第1の情報記録部
110の第1の強磁性体層111は負方向を向く。一
方、第2の情報記録部150の第1の強磁性体層151
は、磁化方向が外部磁界の方向と同じなので正の方向を
向く。また、各情報記録部の110,150の第2の強
磁性体層113,153は、上述したように反強磁性体
層114,154(図3(A)では図示せず)との交換
結合により、この磁界強度Ha では磁界方向に係らず正
の方向を向いたままである。
【0080】このため、第1の情報記録部110では2
層の強磁性体層111,113の磁化方向が逆方向とな
り、また、第2の情報記録部150では2層の強磁性体
層151,153の磁化方向は同方向となる。したがっ
て、図5(B)の第1段に示したように、第1の情報記
録部110の抵抗は高抵抗となり、また、第2の情報記
録部150の抵抗は低抵抗となる。そして、これによ
り、磁気メモリ素子100に抵抗値の違いによる情報
「0」を記録することができる。
【0081】一方、このようにして磁気メモリ素子10
0に記録された情報を読出す場合には、第1の実施の形
態の場合と同様、第1の抵抗検出回路301によって第
1の情報記録部110の抵抗を検出すると同時に、第2
の抵抗検出回路302によって第2の情報記録部150
の抵抗を検出する。そして、検出結果を信号S1 ,S2
の信号値(ハイレベルまたはローレベル)として出力す
る。上述したように、このとき第1の情報記録部110
は高抵抗であり、第2の情報記録部150は低抵抗であ
るので、信号S1 はハイレベルとなり、信号S2 はロー
レベルとなる。したがって、比較回路303の出力はD
=S1 −S2 は正の値(すなわち正の信号レベル)とな
る。このようにして、磁気メモリ素子100に記録され
た情報「0」を読出すことができる。
【0082】また、この磁気メモリ素子100に情報
「1」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極130
に負方向(すなわち図3(A)の紙面の表側から裏側へ
の方向)の電流を流すことにより、磁界強度がHa の磁
界を発生させる。これにより、図5(B)の第2段に示
したように、第1の情報記録部110には強度が−Ha
(負方向)の磁界B12が印加され、且つ、第2の情報記
録部150には強度が+Ha (正方向)の磁界B22が印
加される。したがって、各強磁性体層111,113,
151,153のうち、第2の情報記録部150の第1
の強磁性体層151は負方向を向き、他の強磁性体層1
11,113,153は正方向を向く。このため、第1
の情報記録部110では2層の強磁性体層111,11
3の磁化方向が同方向となり、第2の情報記録部150
では2層の強磁性体層151,153の磁化方向が逆方
向となる。したがって、図5(B)の第2段に示したよ
うに、第1の情報記録部110の抵抗は低抵抗となり、
第2の情報記録部150の抵抗は高抵抗となる。そし
て、これにより、磁気メモリ素子100に抵抗値の違い
による情報「1」を記録することができる。
【0083】一方、このようにして磁気メモリ素子10
0に記録された情報を読出す場合には、上述の場合と同
様に、第1の抵抗検出回路301によって第1の情報記
録部110の抵抗を検出するとともに第2の抵抗検出回
路302によって第2の情報記録部150の抵抗を検出
する。そして、これらの検出結果を示す信号S1 ,S2
を比較回路303で比較することにより、磁気メモリ素
子100に記録された情報「1」(すなわち負の信号レ
ベル)を読出すことができる。
【0084】さらに、この磁気メモリ素子100に情報
「2」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極130
に負方向の電流を流して、磁界強度がHb (例えば15
[Oe])の磁界を発生させる。これにより、図5
(B)の第3段に示したように、第1の情報記録部11
0には強度が−Hb (負方向)の磁界B13が印加され、
且つ、第2の情報記録部150には強度が+Hb (正方
向)の磁界B23が印加される。したがって、強磁性体層
111,151は反転しない。このため、情報記録部1
10,150ともに2層の強磁性体層111,113お
よび151,153の磁化方向が同方向となるので、図
5(B)の第3段に示したように、情報記録部110,
150の抵抗はともに低抵抗となる。そして、これによ
り、磁気メモリ素子100に情報「2」を記録すること
ができる。
【0085】一方、このようにして磁気メモリ素子10
0に記録された情報を読出す場合には、上述の場合と同
様に、第1の抵抗検出回路301によって第1の情報記
録部110の抵抗を検出するとともに第2の抵抗検出回
路302によって第2の情報記録部150の抵抗を検出
する。そして、これらの検出結果を示す信号S1 ,S2
を比較回路303で比較することにより、磁気メモリ素
子100に記録された情報「2」(すなわち零レベル)
を読出すことができる。
【0086】このように、この実施の形態に係る磁気メ
モリ素子によれば、上述の第1の実施例の場合と同様、
2個の情報記録部110,150を設けて情報を記録す
ることとしたので、読出し時の出力信号値を従来の2倍
にすることができるとともに、その分だけS/N比の向
上も図ることができる。
【0087】また、2個の情報記録部110,150に
対して1個の磁界形成用電極130を設ければよく、参
照用の磁気メモリ素子を用いる必要もないので、高密度
化が図り安く小面積化が容易となる。
【0088】さらに、1個の磁気メモリ素子に3値化情
報を記録することができるので、第1の実施の形態に場
合よりも、同一サイズでの記録容量を向上させることが
できる。
【0089】なお、この実施の形態では、第1の情報記
録部110が高抵抗で且つ第2の情報記録部150が低
抵抗の場合の情報を「0」とし、第1の情報記録部11
0が低抵抗で且つ第2の情報記録部150が高抵抗の場
合の情報を「1」とし、第1の情報記録部および第2の
情報記録部がともに低抵抗の場合の情報を「2」とした
が、抵抗と情報値との関係はこれに限定されるものでは
なく、任意に定めてよいことはもちろんである。
【0090】また、磁界形成用電極130に流す電流の
方向と情報記録部110,150に流す定電流I1 ,I
2 の方向とが直交方向でなくてもよいことは、上述の第
1の実施の形態の場合と同様である。
【0091】第3の実施の形態 次に、この発明の第3の実施の形態に係る磁気メモリ素
子およびその情報記録方法について、図6〜図8を用い
て説明する。
【0092】図6(A)〜(C)は、この実施の形態に
係る磁気メモリ素子の構造を模式的に示す斜視図であ
る。
【0093】同図(A)に示したように、この磁気メモ
リ素子600において、ガラス基板601上には6段の
積層単位611からなる第1の情報記録部610が設け
られ、この第1の情報記録部610上には例えば膜厚
0.5μmのSiO2 膜からなる第1の絶縁層620が
設けられ、この第1の絶縁層620上には例えば膜厚
1.0μmのCu膜からなる磁界形成用電極630が設
けられ、この磁界形成用電極630上には例えば膜厚
0.5μmのSiO2 膜からなる第2の絶縁層640が
設けられ、さらに、この第2の絶縁層640上には6段
の積層単位651からなる第2の情報記録部650が設
けられている。
【0094】ここで、第1の情報記録部610の各積層
単位611は、同図(B)に示したように、例えば膜厚
6.0nmのCo膜からなる第1の強磁性体層612
と、この第1の強磁性体層612の表面に形成された例
えば膜厚2.0nmのCu膜からなる非磁性体層613
と、この非磁性体層613の表面に形成された例えば膜
厚6.0nmのNi30Fe25Co45膜からなる第2の強
磁性体層614と、この第2の強磁性体層614の表面
に形成された例えば膜厚2.0nmのCu膜からなる非
磁性体層615とを備えている。なお、第1の強磁性体
層612は、第2の強磁性体層614よりも大きい保磁
力を有している。
【0095】一方、第2の情報記録部650の各積層単
位651の構造も第1の情報記憶部610の場合と同様
であり、同図(C)に示したように、例えば膜厚6.0
nmのCo膜からなる第1の強磁性体層652と、この
第1の強磁性体層652の表面に形成された例えば膜厚
2.0nmのCu膜からなる非磁性体層653と、この
非磁性体層653の表面に形成された例えば膜厚6.0
nmのNi30Fe25Co45膜からなる第2の強磁性体層
654と、この第2の強磁性体層654の表面に形成さ
れた例えば膜厚2.0nmのCu膜からなる非磁性体層
655とを備えている。この第2の情報記録部650で
も、第1の強磁性体層652は、第2の強磁性体層65
4よりも大きい保磁力を有している。
【0096】このように、この実施の形態では、第1の
情報記録部610および第2の情報記録部650におい
て、各層の積層順序は同一となっている。
【0097】また、第1の情報記録部610の側面に
は、例えば膜厚が1.0μmのCu膜からなる抵抗値検
出用電極661,662が、互いに対向するように形成
されている。そして、これらの強磁性体層612,61
4間に電流を流すことにより、各第1の強磁性体層61
2および各第2の強磁性体層614を並列に接続してな
る合成抵抗の値を測定することができる。
【0098】同様に、第2の情報記録部650の側面に
は、強磁性体層652,654に上記強磁性体層61
2,614と同一方向の電流を流すことができるよう
に、例えば膜厚が1.0μmのCu膜からなる抵抗値検
出用電極663,664が、互いに対向するように形成
されている。そして、これらの強磁性体層652,65
4間に電流を流すことにより、各第1の強磁性層651
および各第2の強磁性層653を並列に接続してなる合
成抵抗の値を測定することができる。
【0099】このような構成の磁気メモリ素子は、それ
ぞれ通常のスパッタリング法等の薄膜形成技術および通
常のフォトリソグラフィーを用いたエッチング技術を使
用して、まず、第1の情報記録部610の積層構造を形
成し、次に、抵抗値検出用電極661,662を形成
し、第3に、絶縁層620、磁界形成用電極630およ
び絶縁層640からなる積層構造を形成し、第4に、第
2の情報記録部650の積層構造を形成し、最後に、抵
抗値検出用電極663,664を形成することにより、
作製することができる。
【0100】次に、図6に示した情報記録部610,6
50の特性について、図7を用いて説明する。
【0101】図7(A)および(B)は、第1の情報記
録部610の磁気抵抗特性を直流四端子法で測定した結
果を示すグラフである。
【0102】図7(A)は、第1の情報記録部610の
磁気抵抗曲線を示すグラフであり、横軸は磁界の強度
[Oe]を、縦軸は強磁性体層612,613の磁化方
向が同一であるときを基準とした抵抗値の変化率[%]
を示している。また、同図において、符号gは磁界の強
度を−400[Oe]から+400[Oe]まで増加さ
せた場合であり、符号hは磁界の強度を+400[O
e]から−400[Oe]まで減少させた場合である。
【0103】図7(A)に示したように、第1の情報記
録部610に印加される外部磁界の強度を−400[O
e]から増加させていくと、この磁界強度が約+60
[Oe]を越えてから、各積層単位611に設けられた
各第2の強磁性体層614の磁化方向がそれぞれ変化
し、最後には反転する。一方、各積層単位611に設け
られた各第1の強磁性体層612は、保磁力が大きいの
で、この磁界強度では反転しない。これにより、各積層
単位611で第1の強磁性体層612の磁化方向と第2
の強磁性体層614の磁化方向とが逆方向となるので、
この第1の情報記録部610の電気抵抗(すなわち各第
1の強磁性体層612と各第2の強磁性体層614とを
並列接続して得られる合成抵抗)の値は約6.6%だけ
増加する。
【0104】その後、第1の情報記録部610に印加さ
れる外部磁界の強度をさらに増加させていき、この磁界
強度が約+120[Oe]を越えると、各積層単位61
1で第1の強磁性体層612の磁化方向が変化し、最後
には反転する。これにより、各第1の強磁性体層612
の磁化方向と各第2の強磁性体層614の磁化方向とが
同方向となるので、この第1の情報記録部610の電気
抵抗は減少する。
【0105】一方、磁界形成用電極630に流す電流を
変化させて第1の情報記録部610に印加される外部磁
界の強度を+400[Oe]から減少させていった場合
には、この磁界強度が約−60[Oe]よりも小さくな
ったときに、各積層単位611で第2の強磁性体層61
4の磁化方向のみが変化して第1の強磁性体層612の
磁化方向と第2の強磁性体層614の磁化方向とが逆方
向となり、第1の情報記録部610の電気抵抗が約6.
6%だけ増加する。そして、第1の情報記録部610に
印加される外部磁界の強度をさらに減少させていき、こ
の磁界強度が約−140[Oe]よりも小さくなると第
1の強磁性体層612の磁化方向が変化してこの第1の
強磁性体層612の磁化方向と第2の強磁性体層614
の磁化方向とが同方向となり、第1の情報記録部610
の電気抵抗は減少する。
【0106】このように、この実施の形態に係る第1の
情報記録部610も、第1の実施の形態の場合と同様、
ヒステリシス特性を有している。
【0107】ここで、第1の情報記録部610に情報を
記憶するためには、後述するように、第2の強磁性体層
614の磁化方向のみを反転させ、第1の強磁性体層6
12の磁化方向は固定しておかなければならない。した
がって、磁界形成用電極630に電流を流すことによっ
て第1の情報記録部610に印加する外部磁界の強度
は、約−140[Oe]から約+120[Oe]までの
間で変化させる必要がある。
【0108】図7(B)は、第1の情報記録部610に
印加する外部磁界の強度を約−100[Oe]から約+
100[Oe]までの間で変化させたときの磁気抵抗曲
線を示すグラフであり、横軸は磁界の強度[Oe]を、
縦軸は強磁性体層612,614の磁化方向が同一であ
るときを基準とした抵抗値の変化率[%]を示してい
る。また、同図において、iは磁界の強度を−100
[Oe]から+100[Oe]まで増加させた場合であ
り、jは磁界の強度を+100[Oe]から−100
[Oe]まで減少させた場合である。なお、このグラフ
は、予め情報記録部610に−200[Oe]の外部磁
界を与えて強磁性体層612,614の磁化方向を正方
向にそろえた場合を示している。
【0109】図7(B)に示したように、第1の情報記
録部610に印加される外部磁界の強度を−100[O
e]から増加させていった場合には、この磁界強度が約
+60[Oe]を越えてから第2の強磁性体層614の
磁化方向のみが反転して第1の強磁性体層612の磁化
方向と第2の強磁性体層614の磁化方向とが逆方向と
なるので、第1の情報記録部610の電気抵抗が約6.
4%だけ増加する。
【0110】一方、第1の情報記録部610に印加され
る外部磁界の強度を+100[Oe]から減少させてい
った場合には、この磁界強度が約−20[Oe]よりも
小さくなってから第2の強磁性体層614の磁化方向の
みが反転して第1の強磁性体層612の磁化方向と第2
の強磁性体層614の磁化方向とが同方向となるので、
第1の情報記録部610の電気抵抗が低下する。
【0111】したがって、磁界形成用電極630に電流
を流すことによって第1の情報記録部610に印加する
外部磁界の強度を例えば+80[Oe]または−80
[Oe]とすることによって、この第1の情報記録部6
10に抵抗値の違いによる情報記録を行なうことができ
る。
【0112】なお、第2の情報記録部650に情報を記
録する原理も、第1の情報記録部610の場合と同様で
ある。ただし、この実施形態では、第1の情報記録部6
10と第2の情報記録部650とを磁界形成用電極63
0に対して逆の方向に設けているので、この磁界形成用
電極630に電流を流したときに第2の情報記録部65
0に印加される外部磁界の方向は第1の情報記録部61
0とは逆となり、したがって第2の強磁性体層652の
磁化方向も逆になる。
【0113】続いて、図6に示した磁気メモリ素子60
0の情報を記録する方法および読出す方法について、図
8(A)および(B)を用いて説明する。
【0114】図8(A)は、この磁気メモリ素子600
を用いて情報の記録および読出しを行なう際の回路構成
を示す模式図である。図8(A)において、図6と同じ
符号を付した構成部は、それぞれ、図6と同じものを示
している。
【0115】図8(A)に示したように、第1の抵抗検
出回路301は、抵抗値検出用電極661,662に接
続されている。この第1の抵抗検出回路301は、これ
らの抵抗値検出用電極661,662を介して第1の情
報記録部610に定電流I1を流し、このときの電圧値
から第1の情報記録部610の抵抗を検出する。そし
て、この検出結果を示す信号S1 を出力する。
【0116】同様に、第2の抵抗検出回路302は抵抗
値検出用電極663,664に接続されており、これら
の抵抗値検出用電極663,664を介して第2の情報
記録部650に定電流I2 を流したときの電圧値から第
2の情報記録部650の抵抗を検出する。そして、この
検出結果を示す信号S2 を出力する。
【0117】比較回路303は、信号S1 を+入力端子
から入力するとともに信号S2 を−入力端子から入力し
て両信号の差S1 −S2 を算出し、読出データDとし
て、出力端子304を介して外部に出力する。
【0118】磁界形成用電極630には、図示しない電
流源によって、図面に垂直な方向の電流が供給される。
すなわち、この磁界形成用電極630に流れる電流の方
向は、上述した抵抗検出回路301,302によって情
報記録部610,650に流される電流と直交する。
【0119】次に、図8(A)に示した回路を用いて磁
気メモリ素子600に対する情報の記録および読出しを
行なう際の動作について、図8(B)を用いて説明す
る。
【0120】磁気メモリ素子600に対しては、予め
(例えば製造段階の最終工程等)、初期設定として、外
部から情報記録部610,650に、磁界強度が例えば
−200[Oe]の同方向の磁界を印加する。これによ
り、情報記録部610,650に形成された各強磁性体
層612,614,652,654(図8(A)では図
示せず)の磁化方向は、すべて正方向に設定される。
【0121】そして、この磁気メモリ素子600に情報
「0」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極630
に正方向(すなわち図8(A)の紙面の裏側から表側へ
の方向)の電流を流すことにより、磁界強度が例えば8
0[Oe]の磁界を発生させる。これにより、図8
(B)の第1段に示したように、第1の情報記録部61
0には強度が+80[Oe](正方向)の磁界B11が印
加され、且つ、第2の情報記録部650には強度が−8
0[Oe](負方向)の磁界B21が印加される。したが
って、情報記録部610,650の各積層単位611,
651に形成された各強磁性体層612,614,65
2,654のうち、第1の情報記録部610の各積層単
位611に形成された第2の強磁性体層614のみが反
転して負方向を向く。一方、第2の情報記録部650の
各積層単位651に設けられた第2の強磁性体層654
は、磁化方向が外部磁界の方向と同じなので反転しな
い。また、各情報記録部610,650の各積層単位6
11,651に設けられた第1の強磁性体層612,6
52は、上述したように保磁力が大きいので、この磁界
強度(80[Oe])では磁界方向に係らず反転しな
い。
【0122】このため、第1の情報記録部610の各積
層単位611では2層の強磁性体層612,614の磁
化方向が逆方向であり、また、第2の情報記録部650
の各積層単位では2層の強磁性体層652,654の磁
化方向は同方向となる。したがって、図8(B)の第1
段に示したように、第1の情報記録部610の抵抗は高
抵抗となり、また、第2の情報記録部650の抵抗は低
抵抗となる。そして、これにより、磁気メモリ素子60
0に抵抗値の違いによる情報「0」を記録することがで
きる。
【0123】一方、このようにして磁気メモリ素子60
0に記録された情報を読出す場合には、第1の抵抗検出
回路301によって第1の情報記録部610の抵抗を検
出すると同時に、第2の抵抗検出回路302によって第
2の情報記録部650の抵抗を検出する。そして、検出
結果を信号S1 ,S2 の信号値(ハイレベルまたはロー
レベル)として出力する。上述したように、このとき第
1の情報記録部610は高抵抗であり、第2の情報記録
部650は低抵抗であるので、信号S1 はハイレベルと
なり、信号S2 はローレベルとなる。したがって、比較
回路303の出力はD=S1 −S2 は正の値(すなわち
正の信号レベル)となる。このようにして、磁気メモリ
素子600に記録された情報「0」を読出すことができ
る。
【0124】また、この磁気メモリ素子600に情報
「1」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極630
に負方向(すなわち図8(A)の紙面の表側から裏側へ
の方向)の電流を流すことにより、磁界強度が例えば8
0[Oe]の磁界を発生させる。これにより、図8
(B)の第2段に示したように、第1の情報記録部61
0には強度が−80[Oe](負方向)の磁界B12が印
加され、且つ、第2の情報記録部650には強度が+8
0[Oe](正方向)の磁界B22が印加される。したが
って、各強磁性体層612,614,652,654の
うち、第2の情報記録部650の積層単位651に形成
された第2の強磁性体層654のみが反転して負方向を
向き、他の強磁性体層612,614,652は反転し
ない。このため、第1の情報記録部610では2層の強
磁性体層612,614の磁化方向が同方向となり、第
2の情報記録部650では2層の強磁性体層652,6
54の磁化方向が逆方向となる。したがって、図8
(B)の第2段に示したように、第1の情報記録部61
0の抵抗は低抵抗となり、第2の情報記録部650の抵
抗は高抵抗となる。そして、これにより、磁気メモリ素
子600に抵抗値の違いによる情報「1」を記録するこ
とができる。
【0125】一方、このようにして磁気メモリ素子60
0に記録された情報を読出す場合には、上述の場合と同
様に、第1の抵抗検出回路301によって第1の情報記
録部610の抵抗を検出するとともに第2の抵抗検出回
路302によって第2の情報記録部650の抵抗を検出
する。そして、これらの検出結果を示す信号S1 ,S2
を比較回路303で比較することにより、磁気メモリ素
子600に記録された情報「1」(すなわち負の信号レ
ベル)を読出すことができる。
【0126】このようにして、この実施の形態に係る磁
気メモリ素子600は、上述の第1の実施の形態および
第2の実施の形態と同様に、読出し時の出力信号値およ
びS/N比の向上を図ることができ、また、高密度化・
小面積化が容易となる。
【0127】なお、この実施の形態では、第1の情報記
録部610の各積層単位611と第2の情報記録部65
0の各積層単位651とで各層の積層順序を同一にした
が、逆の積層順序にしてもよい。
【0128】また、この実施の形態では、積層単位61
1,651をそれぞれ6個ずつ設けることとしたが、1
個ずつ以上であれば何個ずつ設けてもよい。
【0129】さらに、この実施の形態では、第1の情報
記録部610が高抵抗で且つ第2の情報記録部650が
低抵抗の場合の情報を「0」とし、第1の情報記録部6
10が低抵抗で且つ第2の情報記録部650が高抵抗の
場合の情報を「1」としたが、この逆であってもよいこ
とはもちろんである。
【0130】加えて、この実施の形態では磁界形成用電
極630に流す電流の方向と情報記録部610,650
に流す定電流I1 ,I2 の方向とが直交方向でなくても
よい点は、上述の各実施の形態の場合と同様である。
【0131】併せて、強磁性体層612,614,65
2,654の形成材料は、例えばFe、Ni等であって
もよい。
【0132】第4の実施の形態 次に、この発明の第4の実施の形態について説明する。
【0133】この実施の形態は、上述の第3の実施の形
態と同じ構造の磁気メモリ素子に3値化情報を記録する
ものである。すなわち、磁気メモリ素子は第3の実施の
形態と同じであるが、情報記録方法が第3の実施の形態
と異なる。
【0134】したがって、この実施の形態に係る磁気メ
モリ素子の構造については、説明を省略する。
【0135】以下、この実施の形態に係る情報記録方法
について、図6、図9および図10を用いて説明する。
【0136】まず、図6に示した情報記録部610,6
50の特性について、図9を用いて説明する。
【0137】図9は、第1の情報記録部610の磁気抵
抗特性を説明するためのグラフであり、図7(B)を模
式化したものである。このグラフにおいて、横軸は磁界
の強度[Oe]を、縦軸は抵抗値の変化率[%]を、そ
れぞれ規格化したものである。
【0138】図9および図7(B)から判るように、第
1の情報記録部610に印加される外部磁界の強度を−
100[Oe]から増加させていった場合(符号k参
照)に第2の強磁性体層614の磁化方向が反転する磁
界強度(約+60[Oe])の絶対値とこの外部磁界の
強度を+100[Oe]から減少させていった場合(符
号l参照)に第2の強磁性体層614の磁化方向が反転
する磁界強度(約−30[Oe])の絶対値とは同じ値
にはならず、このため、図9のグラフは縦軸に対して非
対称となっている。これは、各強磁性体612,614
間の磁気的な結合に起因するものである。
【0139】したがって、図9に示したように、この情
報記録部610に対して印加する外部磁界の強度が+H
a のときは第2の強磁性体層614が反転して高抵抗と
なるが磁界の強度が+Hb のときは低抵抗となり、且
つ、磁界の強度が−Ha のときおよび−Hb のときはと
もに低抵抗となるように、磁界の強度の絶対値Ha およ
びHb を定めることにより、第2の実施の形態の場合と
同様にして、3値化情報の記録を行なうことが可能とな
る。
【0140】なお、第2の情報記録部650に情報を記
録する原理も、第1の情報記録部610の場合と同様で
ある。
【0141】続いて、この実施の形態に係る磁気メモリ
素子の情報を記録する方法および読出す方法について、
図10(A)および(B)を用いて説明する。
【0142】図10(A)において、図8(A)と同じ
符号を付した構成部は、ぞれぞれ図8(A)と同じもの
を示している。すなわち、図10(A)に示したこの実
施の形態の読出し回路の構成は図8(A)と同一であ
り、磁界形成用電極630に供給される電流(したがっ
て情報記録部610,650に印加される外部磁界)に
のみ第3の実施の形態との差異がある。
【0143】また、予め初期設定として、外部から各情
報記録部610,650に、磁界強度が例えば−300
[Oe]の同方向の磁界を印加して各強磁性体層61
2,614,652,654(図10(A)では図示せ
ず)の磁化方向をすべて正方向に設定しておく点も、第
3の実施の形態の場合と同様である。
【0144】まず、この磁気メモリ素子600に情報
「0」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極630
に正方向(すなわち図10(A)の紙面の裏側から表側
への方向)の電流を流すことにより、磁界強度がHa
(例えば80[Oe])の磁界を発生させる。これによ
り、図10(B)の第1段に示したように、第1の情報
記録部610には強度が+Ha (正方向)の磁界B11
印加され、且つ、第2の情報記録部650には強度が−
a (負方向)の磁界B21が印加される。したがって、
情報記録部610,650の各積層単位611,651
に形成された各強磁性体層612,614,652,6
54のうち、第1の情報記録部610の第2の強磁性体
層614は負方向を向く。一方、第2の情報記録部65
0の第2の強磁性体層654は、磁化方向が外部磁界の
方向と逆なので正の方向を向く。また、各情報記録部の
610,650の第1の強磁性体層612,652は、
上述したように保磁力が大きいので、この磁界強度Ha
では磁界方向に係らず正の方向を向いたままである。
【0145】このため、第1の情報記録部610では各
積層単位611の強磁性体層612,614の磁化方向
が逆方向となり、また、第2の情報記録部650では各
積層単位651の強磁性体層652,654の磁化方向
は同方向となる。したがって、図10(B)の第1段に
示したように、第1の情報記録部610の抵抗は高抵抗
となり、また、第2の情報記録部650の抵抗は低抵抗
となる。そして、これにより、磁気メモリ素子600に
抵抗値の違いによる情報「0」を記録することができ
る。
【0146】一方、このようにして磁気メモリ素子60
0に記録された情報を読出す場合には、第1の実施の形
態の場合と同様、第1の抵抗検出回路301によって第
1の情報記録部610の抵抗を検出すると同時に、第2
の抵抗検出回路302によって第2の情報記録部650
の抵抗を検出する。そして、検出結果を信号S1 ,S2
の信号値(ハイレベルまたはローレベル)として出力す
る。上述したように、このとき第1の情報記録部610
は高抵抗であり、第2の情報記録部650は低抵抗であ
るので、信号S1 はハイレベルとなり、信号S2 はロー
レベルとなる。したがって、比較回路303の出力はD
=S1 −S2 は正の値(すなわち正の信号レベル)とな
る。このようにして、磁気メモリ素子600に記録され
た情報「0」を読出すことができる。
【0147】また、この磁気メモリ素子600に情報
「1」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極630
に負方向(すなわち図10(A)の紙面の表側から裏側
への方向)の電流を流すことにより、磁界強度がHa
磁界を発生させる。これにより、図10(B)の第2段
に示したように、第1の情報記録部610には強度が−
a (負方向)の磁界B12が印加され、且つ、第2の情
報記録部650には強度が+Ha (正方向)の磁界B22
が印加される。したがって、各強磁性体層612,61
4,652,654のうち、第2の情報記録部650の
第1の強磁性体層652は負方向を向き、他の強磁性体
層612,614,654は正方向を向く。このため、
第1の情報記録部610では各積層単位611の強磁性
体層612,614の磁化方向が同方向となり、第2の
情報記録部650では各積層単位651の強磁性体層6
52,654の磁化方向が逆方向となる。したがって、
図10(B)の第2段に示したように、第1の情報記録
部610の抵抗は低抵抗となり、第2の情報記録部65
0の抵抗は高抵抗となる。そして、これにより、磁気メ
モリ素子600に抵抗値の違いによる情報「1」を記録
することができる。
【0148】一方、このようにして磁気メモリ素子60
0に記録された情報を読出す場合には、上述の場合と同
様に、第1の抵抗検出回路301によって第1の情報記
録部610の抵抗を検出するとともに第2の抵抗検出回
路302によって第2の情報記録部650の抵抗を検出
する。そして、これらの検出結果を示す信号S1 ,S2
を比較回路303で比較することにより、磁気メモリ素
子600に記録された情報「1」(すなわち負の信号レ
ベル)を読出すことができる。
【0149】さらに、この磁気メモリ素子600に情報
「2」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極630
に負方向の電流を流して、磁界強度がHb (例えば40
[Oe])の磁界を発生させる。これにより、図10
(B)の第3段に示したように、第1の情報記録部61
0には強度が−Hb (負方向)の磁界B13が印加され、
且つ、第2の情報記録部650には強度が+Hb (正方
向)の磁界B23が印加される。したがって、強磁性体層
614,654はともに正方向となる。このため、情報
記録部610,650ともに各積層単位611,651
の強磁性体層612,614および652,654の磁
化方向が同方向となるので、図10(B)の第3段に示
したように、情報記録部610,650の抵抗はともに
低抵抗となる。そして、これにより、磁気メモリ素子6
00に情報「2」を記録することができる。
【0150】一方、このようにして磁気メモリ素子60
0に記録された情報を読出す場合には、上述の場合と同
様に、第1の抵抗検出回路301によって第1の情報記
録部610の抵抗を検出するとともに第2の抵抗検出回
路302によって第2の情報記録部650の抵抗を検出
する。そして、これらの検出結果を示す信号S1 ,S2
を比較回路803で比較することにより、磁気メモリ素
子600に記録された情報「2」(すなわち零レベル)
を読出すことができる。
【0151】このように、この実施の形態に係る磁気メ
モリ素子によれば、上述の第1〜第3の実施例の場合と
同様にして、出力信号値およびS/N比の向上を図るこ
とができ、また、高密度化および小面積化が容易とな
る。
【0152】さらに、上述の第2の実施の形態の場合と
同様、1個の磁気メモリ素子に3値化情報を記録するこ
とができるので記録容量を向上させることができる。
【0153】なお、第1の情報記録部610および第2
の情報記録部650の抵抗値と情報値との関係が限定さ
れるものではない点は、上述の第2の実施の形態と同様
である。
【0154】また、磁界形成用電極630に流す電流の
方向と情報記録部610,650に流す電流の方向とが
直交方向でなくてもよいことは、上述の各実施の形態の
場合と同様である。
【0155】第5の実施の形態 次に、この発明の第5の実施の形態に係る磁気メモリ素
子およびその情報記録方法について、図11〜図13を
用いて説明する。
【0156】図11は、この実施の形態に係る磁気メモ
リ素子の構造を模式的に示す斜視図である。
【0157】同図に示したように、この磁気メモリ素子
1100において、ガラス基板1101上には第1の情
報記録部1110が設けられ、この第1の情報記録部1
110上には例えば膜厚1.0μmのCu膜からなる磁
界形成用電極1120が設けられ、さらに、この磁界形
成用電極1120上には第2の情報記録部1130が設
けられている。
【0158】ここで、第1の情報記録部1110は、例
えば膜厚10.0nmのNi30Fe25Co45膜からなる
第1の強磁性体層1111と、この第1の強磁性体層1
111の表面に形成された例えば膜厚2.0nmのCu
膜からなる非磁性体層1112と、この非磁性体層11
12の表面に形成された例えば膜厚2.0nmのNi30
Fe25Co45膜からなる第2の強磁性体層1113と、
この第2の強磁性体層1113の表面に形成された例え
ば膜厚27.0nmのNiO膜からなる反強磁性体層1
114とを備えている。
【0159】一方、第2の情報記録部1130は、例え
ば膜厚27.0nmのNiO膜からなる反強磁性体層1
134と、この反強磁性体層1134の表面に形成され
た例えば膜厚2.0nmのNi30Fe25Co45膜からな
る第2の強磁性体層1133と、この第2の強磁性体層
1133の表面に形成された例えば膜厚2.0nmのC
u膜からなる非磁性体層1132と、この非磁性体層1
132の表面に設けられた例えば膜厚10.0nmのN
30Fe25Co45膜からなる第1の強磁性体層1131
とを備えている。
【0160】このように、この実施の形態では、第1の
情報記録部1110および第2の情報記録部1130に
おいて、各層の積層順序は逆になっている。
【0161】また、第1の情報記録部1110の側面に
は、例えば膜厚が1.0μmのCu膜からなる抵抗値検
出用電極1141,1142が、互いに対向するように
形成されている。そして、これらの強磁性体層111
1,1113に電流を流すことにより、第1の強磁性体
層1111と第2の強磁性体層1113とを並列に接続
してなる合成抵抗の値を測定することができる。
【0162】これと同様に、第2の情報記録部1130
の側面には、強磁性体層1131,1133に上述の強
磁性体層1111,1113と同一方向の電流を流すこ
とができるように、例えば膜厚が1.0μmのCu膜か
らなる抵抗値検出用電極1143,1144が、互いに
対向するように形成されている。そして、これらの強磁
性体層1131,1133に電流を流すことにより、第
1の強磁性体層1131と第2の強磁性体層1133と
を並列に接続してなる合成抵抗の値を測定することがで
きる。
【0163】このような構成の磁気メモリ素子は、それ
ぞれ通常のスパッタリング法等の薄膜形成技術および通
常のフォトリソグラフィーを用いたエッチング技術を使
用して、まず、第1の強磁性体層1111、非磁性体層
1112および第2の強磁性体層1113からなる積層
構造を形成し、次に、抵抗検出用電極1141,114
2を形成し、第3に、反強磁性体層1114、磁界形成
用電極1120および反強磁性体層1134からなる積
層構造を形成し、第4に、第2の強磁性体層1133、
非磁性体層1132および第1の強磁性体層1131か
らなる積層構造を形成し、最後に、抵抗検出用電極11
43,1144を形成することにより、作製することが
できる。
【0164】次に、図11に示した情報記録部111
0,1130の特性について、図12を用いて説明す
る。
【0165】図12(A)および(B)は、第1の情報
記録部1110の磁気抵抗特性を直流四端子法で測定し
た結果を示すグラフである。
【0166】図12(A)は、第1の情報記録部111
0の磁気抵抗曲線を示すグラフであり、横軸は磁界の強
度[Oe]を、縦軸は強磁性体層1111,1113の
磁化方向が同一であるときを基準とした抵抗値の変化率
[%]を示している。また、同図において、mは磁界の
強度を−800[Oe]から+800[Oe]まで増加
させた場合であり、nは磁界の強度を+800[Oe]
から−800[Oe]まで減少させた場合である。
【0167】図12(A)に示したように、第1の情報
記録部1110に印加される外部磁界の強度を−800
[Oe]から増加させていくと、この磁界強度が約+2
0[Oe]を越えてから第1の強磁性体層1111の磁
化方向が変化し、最後には反転する。一方、第2の強磁
性体層1113は、反強磁性体層1114との交換結合
により、この磁界強度では反転しない。これにより、第
1の強磁性体層1111の磁化方向と第2の強磁性体層
1113の磁化方向とが逆方向となるので、この第1の
情報記録部1110の電気抵抗の値は約6.0%だけ増
加する。
【0168】その後、第1の情報記録部1110に印加
される外部磁界の強度をさらに増加させていくと第2の
強磁性体層1113の磁化方向が徐々に変化し、最後に
は反転する。これにより、強磁性体層1111,111
3の磁化方向が同方向となるので、この第1の情報記録
部1110の電気抵抗は減少する。
【0169】一方、磁界形成用電極1120に流す電流
を変化させて第1の情報記録部1110に印加される外
部磁界の強度を+800[Oe]から減少させていった
場合には、この磁界強度が約−10[Oe]よりも小さ
くなってから、第1の強磁性体層1111の磁化方向の
みが変化し、最後には反転して強磁性体層1111,1
113の磁化方向が逆方向となり、第1の情報記録部1
110の電気抵抗が約5.8%だけ増加する。そして、
第1の情報記録部1110に印加される外部磁界の強度
をさらに減少させていくと第2の強磁性体層1113の
磁化方向が徐々に傾き、この磁界強度が約−500[O
e]に達すると反転して強磁性体層1111,1113
の磁化方向が同方向となり、第1の情報記録部1110
の電気抵抗は減少する。
【0170】このように、この実施の形態による第1の
情報記録部1110も、ヒステリシス特性を有してい
る。
【0171】ここで、第1の情報記録部1110に情報
を記憶するためには、後述するように、第1の強磁性体
層1111の磁化方向のみを反転させ、第2の強磁性体
層1113の磁化方向は固定しておかなければならな
い。したがって、磁界形成用電極1120に電流を流す
ことによって第1の情報記録部1110に印加する外部
磁界の強度は、例えば約−40[Oe]から約+40
[Oe]までの間で変化させることが望ましい。
【0172】図12(B)は、第1の情報記録部111
0に印加する外部磁界の強度を約−40[Oe]から約
+40[Oe]までの間で変化させたときの磁気抵抗曲
線を示すグラフであり、横軸は磁界の強度[Oe]を、
縦軸は強磁性体層1111,1113の磁化方向が同一
であるときを基準とした抵抗値の変化率[%]を示して
いる。また、同図において、符号oは磁界の強度を−4
0[Oe]から+40[Oe]まで増加させた場合であ
り、符号pは磁界の強度を+40[Oe]から−40
[Oe]まで減少させた場合である。なお、このグラフ
は、予め情報記憶部1110に−500[Oe]の外部
磁界を与えて強磁性体層1111,1113の磁化方向
を正方向にそろえた場合を示している。
【0173】図12(B)に示したように、第1の情報
記録部1110に印加される外部磁界の強度を−40
[Oe]から増加させていった場合には、この磁界強度
が約+20[Oe]を越えてから第1の強磁性体層11
11の磁化方向のみが反転して強磁性体層1111,1
113の磁化方向が逆方向となるので、第1の情報記録
部1110の電気抵抗が約6.4%だけ増加する。
【0174】一方、第1の情報記録部1110に印加さ
れる外部磁界の強度を+40[Oe]から減少させてい
った場合には、この磁界強度が約−10[Oe]よりも
小さくなってから第1の強磁性体層1111の磁化方向
のみが反転して強磁性体層1111,1113の磁化方
向が同方向となるので、第1の情報記録部1110の電
気抵抗が低下する。
【0175】したがって、磁界形成用電極1120に電
流を流すことによって第1の情報記録部1110に印加
する外部磁界の強度を例えば+30[Oe]または−3
0[Oe]とすることにより、この第1の情報記録部1
110に抵抗値の違いによる情報記録を行なうことがで
きる。
【0176】なお、第2の情報記録部1130に情報を
記録する原理も、第1の情報記録部1110の場合と同
様である。ただし、この実施形態では、第1の情報記録
部1110と第2の情報記録部1130とを磁界形成用
電極1120に対して逆の方向に設けているので、この
磁界形成用電極1120に電流を流したときに第2の情
報記録部1130に印加される外部磁界の方向は第1の
情報記録部1110とは逆となり、したがって第1の強
磁性体層1131の磁化方向も逆になる。
【0177】続いて、図11に示した磁気メモリ素子1
100の情報を記録する方法および読出す方法につい
て、図13(A)および(B)を用いて説明する。
【0178】図13(A)は、この磁気メモリ素子11
00を用いて情報の記録および読出しを行なう際の回路
構成を示す模式図である。図13(A)において、図1
1と同じ符号を付した構成部は、それぞれ、図11と同
じものを示している。
【0179】図13(A)に示したように、第1の抵抗
検出回路301は、抵抗値検出用電極1141,114
2に接続されている。この第1の抵抗検出回路301
は、これらの抵抗値検出用電極1141,1142を介
して第1の情報記録部1110に定電流I1 を流し、こ
のときの電圧値から第1の情報記録部1110の抵抗を
検出する。そして、この検出結果を示す信号S1 を出力
する。
【0180】同様に、第2の抵抗検出回路302は抵抗
値検出用電極1143,1144に接続されており、こ
れらの抵抗値検出用電極1143,1144を介して第
2の情報記録部1130に定電流I2 を流したときの電
圧値から第2の情報記録部1130の抵抗を検出する。
そして、この検出結果を示す信号S2 を出力する。
【0181】比較回路303は、信号S1 を+入力端子
から入力するとともに信号S2 を−入力端子から入力し
て両信号の差S1 −S2 を算出し、読出データDとし
て、出力端子304を介して外部に出力する。
【0182】磁界形成用電極1120には、図示しない
電流源によって、図面に垂直な方向の電流が供給され
る。すなわち、この磁界形成用電極1120に流れる電
流の方向は、上述した抵抗検出回路301,302によ
って情報記録部1110,1130に流される電流と直
交する。
【0183】次に、図13(A)に示した回路を用いて
磁気メモリ素子1100に対する情報の記録および読出
しを行なう際の動作について、図13(B)を用いて説
明する。
【0184】磁気メモリ素子1100に対しては、予め
(例えば製造工程の最終段階)、初期設定として、外部
から情報記録部1110,1130に、磁界強度が例え
ば−700[Oe]の同方向の磁界を印加する。これに
より、情報記録部1110,1130に形成された各強
磁性体層1111,1113,1131,1133(図
13(A)では図示せず)の磁化方向は、すべて正方向
に設定される。
【0185】そして、この磁気メモリ素子1100に情
報「0」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極11
20に正方向(すなわち図13(A)の紙面の裏側から
表側への方向)の電流を流すことにより、磁界強度が例
えば30[Oe]の磁界を発生させる。これにより、図
13(B)の第1段に示したように、第1の情報記録部
1110には強度が+30[Oe](正方向)の磁界B
11が印加され、且つ、第2の情報記録部1130には強
度が−30[Oe](負方向)の磁界B21が印加され
る。したがって、情報記録部1110,1130の各強
磁性体層1111,1113,1131,1133のう
ち、第1の情報記録部1110の第1の強磁性体層11
11のみが反転して負方向を向く。一方、第2の情報記
録部1130の第1の強磁性体層1131は、磁化方向
が外部磁界の方向と同じなので反転しない。また、各情
報記録部1110,1130の第2の強磁性体層111
3,1133は、反強磁性体層1114,1134との
交換結合のために、この磁界強度(30[Oe])では
磁界方向に係らず反転しない。
【0186】このため、第1の情報記録部1110では
2層の強磁性体層1111,1113の磁化方向が逆方
向であり、また、第2の情報記録部1130の強磁性体
層1131,1133の磁化方向は同方向となる。した
がって、図13(B)の第1段に示したように、第1の
情報記録部1110の抵抗は高抵抗となり、また、第2
の情報記録部1130の抵抗は低抵抗となる。そして、
これにより、磁気メモリ素子1100に抵抗値の違いに
よる情報「0」を記録することができる。
【0187】一方、このようにして磁気メモリ素子11
00に記録された情報を読出す場合には、第1の抵抗検
出回路301によって第1の情報記録部1110の抵抗
を検出すると同時に、第2の抵抗検出回路302によっ
て第2の情報記録部1130の抵抗を検出する。そし
て、検出結果を信号S1 ,S2 の信号値(ハイレベルま
たはローレベル)として出力する。上述したように、こ
のとき第1の情報記録部1110は高抵抗であり、第2
の情報記録部1130は低抵抗であるので、信号S1
ハイレベルとなり、信号S2 はローレベルとなる。した
がって、比較回路303の出力はD=S1 −S2 は正の
値(すなわち正の信号レベル)となる。このようにし
て、磁気メモリ素子1110に記録された情報「0」を
読出すことができる。
【0188】また、この磁気メモリ素子1100に情報
「1」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極112
0に負方向(すなわち図13(A)の紙面の表側から裏
側への方向)の電流を流すことにより、磁界強度が例え
ば30[Oe]の磁界を発生させる。これにより、図1
3(B)の第2段に示したように、第1の情報記録部1
110には強度が−30[Oe](負方向)の磁界B12
が印加され、且つ、第2の情報記録部1130には強度
が+30[Oe](正方向)の磁界B22が印加される。
したがって、各強磁性体層1111,1113,113
1,1133のうち、第2の情報記録部1130の第1
の強磁性体層1131のみが反転して負方向を向き、他
の強磁性体層1111,1113,1133は反転しな
い。このため、第1の情報記録部1110では2層の強
磁性体層1111,1113の磁化方向が同方向とな
り、第2の情報記録部1130では2層の強磁性体層1
131,1133の磁化方向が逆方向となる。したがっ
て、図13(B)の第2段に示したように、第1の情報
記録部1110の抵抗は低抵抗となり、第2の情報記録
部1130の抵抗は高抵抗となる。そして、これによ
り、磁気メモリ素子1100に抵抗値の違いによる情報
「1」を記録することができる。
【0189】一方、このようにして磁気メモリ素子11
00に記録された情報を読出す場合には、上述の場合と
同様に、第1の抵抗検出回路301によって第1の情報
記録部1110の抵抗を検出するとともに第2の抵抗検
出回路302によって第2の情報記録部1130の抵抗
を検出する。そして、これらの検出結果を示す信号S
1 ,S2 を比較回路303で比較することにより、磁気
メモリ素子1110に記録された情報「1」(すなわち
負の信号レベル)を読出すことができる。
【0190】このように、この実施の形態に係る磁気メ
モリ素子1100によれば、情報記録部1110,11
30と磁界形成用電極1120との間に絶縁層を設ける
必要がないので、上述の各実施の形態の場合よりも製造
プロセスを簡略化することが可能となる。
【0191】また、読出し時の出力信号値およびS/N
比の向上を図ることができる点および高密度化・小面積
化が容易となる点は、上述の第1〜第4の実施の形態と
同様である。
【0192】なお、この実施の形態では、第1の情報記
録部1110と第2の情報記録部1130とで各層の積
層順序を逆にしたが、同一の積層順序にしてもよい。
【0193】また、この実施の形態では、情報記録部1
110,1130において、各層1111〜1114か
らなる積層単位および各層1131〜1134からなる
積層単位をそれぞれ1個ずつ設けることとしたが、それ
ぞれ2個以上設けることとしてもよい。
【0194】さらに、この実施の形態では、第1の情報
記録部1110が高抵抗で且つ第2の情報記録部113
0が低抵抗の場合の情報を「0」とし、第1の情報記録
部1110が低抵抗で且つ第2の情報記録部1130が
高抵抗の場合の情報を「1」としたが、この逆であって
もよいことはもちろんである。
【0195】加えて、この実施の形態では、磁界形成用
電極1120に流す電流の方向と情報記録部1110,
1130に流す定電流I1 ,I2 の方向とを直交方向と
したが、このような方向に限定されるものではなく、記
録・読出しが可能な範囲で任意に設定することができ
る。
【0196】併せて、強磁性体層1111,1113,
1131,1133の形成材料は、他の強磁性材料、例
えばCo、Fe、Ni等であってもよい。
【0197】さらに、反強磁性体層1114,1134
の形成材料は、例えばCoOやα−Fe23 等であっ
てもよい。
【0198】第6の実施の形態 次に、この発明の第6の実施の形態について説明する。
【0199】この実施の形態は、上述の第5の実施の形
態と同じ構造の磁気メモリ素子に3値化情報を記録する
ものである。すなわち、磁気メモリ素子は第5の実施の
形態と同じであるが、情報記録方法が第5の実施の形態
と異なる。
【0200】したがって、この実施の形態に係る磁気メ
モリ素子の構造については、説明を省略する。
【0201】以下、この実施の形態に係る情報記録方法
について、図11、図14および図15を用いて説明す
る。
【0202】まず、図11に示した情報記録部111
0,1130の特性について、図14を用いて説明す
る。
【0203】図14は、第1の情報記録部1110の磁
気抵抗特性を説明するためのグラフであり、図12
(B)を模式化したものである。このグラフにおいて、
横軸は磁界の強度[Oe]を、縦軸は抵抗値の変化率
[%]を、それぞれ規格化したものである。
【0204】図14および図12(B)から判るよう
に、第1の情報記録部1110に印加される外部磁界の
強度を−40[Oe]から増加させていった場合(符号
q参照)に第1の強磁性体層1111の磁化方向が反転
する磁界強度(約+20[Oe])の絶対値とこの外部
磁界の強度を+40[Oe]から減少させていった場合
(符号r参照)に第1の強磁性体層1111の磁化方向
が反転する磁界強度(約−10[Oe])の絶対値とは
同じ値にはならず、このため、図14のグラフは縦軸に
対して非対称となっている。これは、各強磁性体層11
11,1113間の磁気的な結合に起因するものであ
る。
【0205】したがって、図14に示したように、この
磁気記録部1110に対して印加する外部磁界の強度が
+Ha のときは第2の強磁性体層1113が反転して高
抵抗となるが磁界の強度が+Hb のときは低抵抗とな
り、且つ、磁界の強度が−Haのときおよび−Hb のと
きはともに低抵抗となるように、磁界の強度の絶対値H
a およびHb を定めることにより、第2、第4の実施の
形態の場合と同様にして、3値化情報の記録を行なうこ
とが可能となる。
【0206】なお、第2の情報記録部1130に情報を
記録する原理も、第1の情報記録部1110の場合と同
様である。
【0207】続いて、この実施の形態に係る磁気メモリ
素子の情報を記録する方法および読出す方法について、
図15(A)および(B)を用いて説明する。
【0208】図15(A)において、図13(A)と同
じ符号を付した構成部は、ぞれぞれ図13(A)と同じ
ものを示している。すなわち、図15(A)に示したこ
の実施の形態の読出し回路の構成は図13(A)と同一
であり、磁界形成用電極1120に供給される電流(し
たがって情報記録部1110,1130に印加される外
部磁界)にのみ第5の実施の形態との差異がある。
【0209】また、予め初期設定として、外部から各情
報記録部1110,1130に、磁界強度が例えば−5
00[Oe]の同方向の磁界を印加して各強磁性体層1
111,1113,1131,1133(図15(A)
では図示せず)の磁化方向をすべて正方向に設定してお
く点も、上述の第5の実施の形態の場合と同様である。
【0210】まず、この磁気メモリ素子1100に情報
「0」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極112
0に正方向(すなわち図15(A)の紙面の裏側から表
側への方向)の電流を流すことにより、磁界強度がHa
(例えば40[Oe])の磁界を発生させる。これによ
り、図15(B)の第1段に示したように、第1の情報
記録部1110には強度が+Ha (正方向)の磁界B11
が印加され、且つ、第2の情報記録部1130には強度
が−Ha (負方向)の磁界B21が印加される。したがっ
て、情報記録部1110,1130の各強磁性体層11
11,1113,1131,1133のうち、第1の情
報記録部1110の第1の強磁性体層1111は負方向
を向く。一方、第2の情報記録部1130の第1の強磁
性体層1131は、磁化方向が外部磁界の方向と逆なの
で正の方向を向く。また、各情報記録部1110,11
30の第2の強磁性体層1113,1133は、反強磁
性体層1114,1134(図15では図示せず)との
交換結合により、この磁界強度Ha では磁界方向に係ら
ず正の方向を向いたままである。
【0211】このため、第1の情報記録部1110では
強磁性体層1111,1113の磁化方向が逆方向とな
り、また、第2の情報記録部1130では強磁性体層1
131,1133の磁化方向は同一方向となる。したが
って、図15(B)の第1段に示したように、第1の情
報記録部1110の抵抗は高抵抗となり、また、第2の
情報記録部1130の抵抗は低抵抗となる。そして、こ
れにより、磁気メモリ素子1100に抵抗値の違いによ
る情報「0」を記録することができる。
【0212】一方、このようにして磁気メモリ素子11
00に記録された情報を読出す場合には、第1の実施の
形態の場合と同様、第1の抵抗検出回路301によって
第1の情報記録部1110の抵抗を検出すると同時に、
第2の抵抗検出回路302によって第2の情報記録部1
130の抵抗を検出する。そして、検出結果を信号S
1 ,S2 の信号値(ハイレベルまたはローレベル)とし
て出力する。上述したように、このとき第1の情報記録
部1110は高抵抗であり、第2の情報記録部1130
は低抵抗であるので、信号S1 はハイレベルとなり、信
号S2 はローレベルとなる。したがって、比較回路30
3の出力はD=S1 −S2 は正の値(すなわち正の信号
レベル)となる。このようにして、磁気メモリ素子11
00に記録された情報「0」を読出すことができる。
【0213】また、この磁気メモリ素子1100に情報
「1」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極112
0に負方向(すなわち図15(A)の紙面の表側から裏
側への方向)の電流を流すことにより、磁界強度がHa
の磁界を発生させる。これにより、図15(B)の第2
段に示したように、第1の情報記録部1110には強度
が−Ha (負方向)の磁界B12が印加され、且つ、第2
の情報記録部1130には強度が+Ha (正方向)の磁
界B22が印加される。したがって、各強磁性体層111
1,1113,1131,1133のうち、第2の情報
記録部1130の第1の強磁性体層1131は負方向を
向き、他の強磁性体層1111,1113,1133は
正方向を向く。このため、第1の情報記録部1110で
は強磁性体層1111,1113の磁化方向が同方向と
なり、第2の情報記録部1130では強磁性体層113
1,1133の磁化方向が逆方向となる。したがって、
図15(B)の第2段に示したように、第1の情報記録
部1110の抵抗は低抵抗となり、第2の情報記録部1
130の抵抗は高抵抗となる。そして、これにより、磁
気メモリ素子1100に抵抗値の違いによる情報「1」
を記録することができる。
【0214】一方、このようにして磁気メモリ素子11
00に記録された情報を読出す場合には、上述の場合と
同様に、第1の抵抗検出回路301によって第1の情報
記録部1110の抵抗を検出するとともに第2の抵抗検
出回路302によって第2の情報記録部1130の抵抗
を検出する。そして、これらの検出結果を示す信号S
1 ,S2 を比較回路303で比較することにより、磁気
メモリ素子1100に記録された情報「1」(すなわち
負の信号レベル)を読出すことができる。
【0215】さらに、この磁気メモリ素子1100に情
報「2」を書込む場合には、例えば磁界形成用電極11
20に負方向の電流を流して、磁界強度がHb (例えば
15[Oe])の磁界を発生させる。これにより、図1
5(B)の第3段に示したように、第1の情報記録部1
110には強度が−Hb (負方向)の磁界B13が印加さ
れ、且つ、第2の情報記録部1130には強度が+Hb
(正方向)の磁界B23が印加される。したがって、強磁
性体層1113,1133は、ともに正方向となる。こ
のため、情報記録部1110,1130ともに強磁性体
層1111,1113および1131,1133の磁化
方向が同方向となるので、図15(B)の第3段に示し
たように、情報記録部1110,1130の抵抗はとも
に低抵抗となる。そして、これにより、磁気メモリ素子
1110に情報「2」を記録することができる。
【0216】一方、このようにして磁気メモリ素子11
00に記録された情報を読出す場合には、上述の場合と
同様に、第1の抵抗検出回路301によって第1の情報
記録部1110の抵抗を検出するとともに第2の抵抗検
出回路302によって第2の情報記録部1130の抵抗
を検出する。そして、これらの検出結果を示す信号S
1 ,S2 を比較回路303で比較することにより、磁気
メモリ素子1100に記録された情報「2」(すなわち
零レベル)を読出すことができる。
【0217】このように、この実施の形態に係る磁気メ
モリ素子によれば、上述の各実施の形態の場合と同様、
出力信号値およびS/N比の向上を図ることができ、ま
た、高密度化および小面積化が容易となる。
【0218】さらに、上述の第2、第4の実施の形態の
場合と同様、1個の磁気メモリ素子に3値化情報を記録
することができるので、記録容量を向上させることが可
能となる。
【0219】なお、この実施の形態では、第1の情報記
録部1110と第2の情報記録部1130とで各層の積
層順序を同じにしてもよい点、情報記録部を磁界形成用
電極の上側と下側にそれぞれ情報記録部を複数個ずつ設
けることとしてもよい点、および、磁界形成用電極11
20に流す定電流I1 ,I2 と情報記録部1110,1
130に流す電流とを直交方向に限定しなくてもよい点
は、第1〜第5の実施の形態の場合と同じである。
【0220】さらに、この実施の形態でも、第1の情報
記録部および第2の情報記録部の抵抗値と情報値との関
係が限定されるものではない点は、上述の第2、第4の
実施の形態と同様である。
【0221】第7の実施の形態 次に、この発明の第7の実施の形態として、第1の実施
の形態に係る磁気メモリ素子100(図1参照)を用い
た情報記憶装置の実施の形態の一例について、図16を
用いて説明する。
【0222】図16に示したように、この実施の形態に
係る情報記憶装置では、磁気メモリ素子100からなる
u×v個の磁気メモリセルM11〜Muvがマトリクス状に
配列されており、これによってメモリセルアレイを構成
している。なお、図16では簡略化のためにM11〜M22
のみを示している。
【0223】また、第1の記録電流供給線a1 〜au
同一行の各磁気メモリセルM11〜Muvの磁界形成用電極
(図示せず)の一端にそれぞれ接続されており、第2の
記録電流供給線b1 〜bv は同一列の各磁気メモリセル
11〜Muvの磁界形成用電極130の他端にそれぞれ接
続されている。
【0224】さらに、第1の抵抗値検出線A1 〜Au
は、同一行の各磁気メモリセルM11〜Muvの抵抗値検出
用電極161,163(図16では図示せず)を介し
て、第1の情報記録部110および第2の情報記録部1
50の各強磁性体層111,113,151,153
(図16では図示せず)の一端と接続されている。一
方、第2の抵抗値検出線B1 〜Bv は、同一列の各磁気
メモリセルM11〜Muvの抵抗値検出用電極162(図1
6では図示せず)を介して、第1の情報記録部110の
各強磁性体層111,113の他端と接続されている。
同様に、第3の抵抗値検出線C1 〜Cv は、同一列の各
磁気メモリセルM11〜Muvの抵抗値検出用電極164
(図16では図示せず)を介して、第2の情報記録部1
50の各強磁性体層151,153の他端と接続されて
いる。
【0225】ここで、第1の記録電流供給線a1 〜au
は記録用行選択回路1601に、第2の記録電流供給線
1 〜bv は記録用列選択回路1602に、それぞれ接
続されている。かかる記録用行選択回路1601と記録
用列選択回路1602とは、第1の記録電流供給線a1
〜au および第2の記録電流供給線b1 〜bv からそれ
ぞれ1本ずつを選択することができる。そして、選択さ
れた2本の電流供給線を用いて、磁気メモリセルM11
uvの磁界形成用電極130に正方向および負方向のい
ずれの電流を流すこともできる。すなわち、かかる記録
用行選択回路1601と記録用列選択回路1602と
が、この発明の記録制御手段を構成している。
【0226】一方、第1の抵抗値検出線A1 〜Au は読
出用行選択回路1603に、第2の抵抗値検出線B1
v および第3の抵抗値検出線C1 〜Cv は読出用列選
択回路1604に、それぞれ接続されている。読出用行
選択回路1603は第1の抵抗値検出線A1 〜Au から
1本の検出線を選択することができ、また、読出用列選
択回路1604は、第2の抵抗値検出線B1 〜Bv およ
び第3の抵抗値検出線C1 〜Cv から同じ列のものを1
本ずつ選択することができる。そして、選択された各検
出線を用いて、第1の抵抗値検出線A1 〜Au 側から第
2の抵抗値検出線B1 〜Bv 側に流れる定電流(すなわ
ち図1の抵抗値検出用電極161から抵抗値検出用電極
162に流れる定電流I1 )および第1の抵抗値検出線
1 〜Au 側から第3の抵抗値検出線C1 〜Cv 側に流
れる定電流(すなわち図1の抵抗値検出用電極163か
ら抵抗値検出用電極164に流れる定電流I2 )を、磁
気メモリセルM11〜Muvに供給することができる。すな
わち、かかる読出用行選択回路1603と読出用列選択
回路1604とが、この発明の読出制御手段を構成して
いる。
【0227】さらに、読出用列選択回路1604は、第
2の抵抗値検出線B1 〜Bv および第3の抵抗値検出線
1 〜Cv のうち選択されたものを、出力端子B0 ,C
0 を介して抵抗比較回路1605に接続する。この抵抗
比較回路1605は、第2の抵抗値検出線B1 〜Bv
よび第3の抵抗値検出線C1 〜Cv の電流値から第1の
情報記録部110の電気抵抗値と第2の情報記録部15
0の電気抵抗値とをそれぞれ検出して、これらの検出結
果を比較した結果を出力することができる。
【0228】次に、図16に示した情報記憶装置の動作
について、磁気メモリセルM11についての記録および読
出しを行なう場合を例に採って説明する。
【0229】この磁気メモリセルM11に情報「0」を記
録する場合には、まず、記録用行選択回路1601で第
1の記録電流供給線a1 を選択するとともに、記録用列
選択回路1602で第2の記録電流供給線b1 を選択す
る。そして、第1の記録電流供給線a1 側から第2の記
録電流供給線b1 側に流れる電流(この電流方向を正方
向とする)を、磁気メモリセルM11の磁界形成用電極1
30に供給する。これにより、図3で説明したような原
理によって、この磁気メモリセルM11の第1の情報記憶
部110の抵抗を高抵抗に、第2の情報記憶部150の
抵抗を低抵抗に設定することができ、したがって情報
「0」を記録することができる。
【0230】また、この磁気メモリセルM11に情報
「1」を記録する場合には、まず、上述の場合と同様
に、記録用行選択回路1601および記録用列選択回路
1602で第1の記録電流供給線a1 および第2の記録
電流供給線b1 を選択する。そして、第2の記録電流供
給線b1 側から第1の記録電流供給線a1 側に流れる電
流(すなわち負方向の電流)を磁気メモリセルM11の磁
界形成用電極130に供給することによって、この磁気
メモリセルM11の第1の情報記録部110の抵抗を低抵
抗に、第2の情報記録部150の抵抗を高抵抗にそれぞ
れ設定し、情報「1」を記録することができる。
【0231】一方、この磁気メモリセルM11に記憶され
た情報を読出す場合には、まず、読出用行選択回路16
03によって第1の抵抗値検出線A1 を、読出用列選択
回路1604によって第2の抵抗値検出線B1 および第
3の抵抗値検出線C1 を、それぞれ選択する。そして、
第1の抵抗値検出線A1 側から第2の抵抗値検出線B1
および第3の抵抗値検出線C1 側に流れる定電流を、磁
気メモリセルM11に供給する。これにより、この磁気メ
モリセルM11には、抵抗値検出用電極161から抵抗値
検出用電極162に流れる定電流I1 および抵抗値検出
用電極163から抵抗値検出用電極164に流れる定電
流I2 が供給される。ここで、第2の抵抗値検出線B1
に流れる電流および第3の抵抗値検出線C1 に流れる定
電流I2は、そのまま抵抗比較回路1605に供給され
る。この抵抗比較回路1605は、第2の抵抗値検出線
1 と第3の抵抗値検出線C1 との電圧値を比較する。
この電圧値の差が、第1の情報記録部110の電気抵抗
値と第2の情報記録部150の電気抵抗値との差に相当
する。そして、この比較によって得られた検出結果を、
情報値として外部に出力する。
【0232】なお、他の磁気メモリセルに対する情報の
記録および読出しを行なう差異の動作も磁気メモリセル
11の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0233】このように、この実施の形態に係る情報記
憶装置によれば、第1の実施の形態に係る磁気メモリ素
子100を磁気メモリセルM11〜Muvとして用いたの
で、各磁気メモリセルM11〜Muvが有する情報記録部1
10,150に逆方向の磁界を印加することにより異な
る抵抗値を設定することができる。したがって、従来の
情報記憶装置と比較して読出し時の出力信号値を2倍に
することができるとともに、その分だけS/N比の向上
も図ることができる。
【0234】また、2個の情報記録部に対して1個の磁
界形成用電極を設ければよく、参照用の磁気メモリセル
を用いる必要もないので、従来の情報記憶装置と比較し
て配線パターンやメモリセルの形成に要する面積を小さ
くすることができ、したがって、高密度化や小面積化を
図ることが容易となる。
【0235】なお、この実施の形態では、第1の情報記
録部110および第2の情報記録部150に定電流を流
したときの電圧値を比較することによって磁気メモリセ
ルM11〜Muvに記録された情報値を読出すこととした
が、これらの情報記録部110,150に定電圧電流を
流したときの電流値を比較することとしてもよい。
【0236】また、この実施の形態では、磁気メモリセ
ルM11〜Muvとして第1の実施の形態に係る磁気メモリ
素子を使用したが、第3の実施の形態や第5の実施の形
態に係る磁気メモリ素子(図6、図11参照)を使用す
ることも可能である。この場合も、この実施の形態とま
ったく同様の構成および動作で情報の記録および読出し
を行なうことができる。
【0237】第8の実施の形態 次に、この発明の第8の実施の形態として、第2の実施
の形態に係る磁気メモリ素子(図1参照)を用いた情報
記憶装置の実施の形態、すなわち3値化情報の記録を行
なう情報記憶装置の実施の形態の一例について、図17
を用いて説明する。
【0238】ここで、図17において、図16と同じ符
号を付した構成部は、それぞれ図16の場合と同じもの
を示している。すなわち、この実施の形態に係る情報記
憶装置では、記録用行選択回路1701および記録用列
選択回路1702の内部構成のみが、図16に示した第
7の実施の形態の情報記憶装置の構成と異なる。
【0239】ここで、記録用行選択回路1701は第1
の記録電流供給線a1 〜au に、記録用列選択回路17
02は第2の記録電流供給線b1 〜bv に、それぞれ接
続されている。そして、かかる記録用行選択回路170
1と記録用列選択回路1702とは、第1の記録電流供
給線a1 〜au および第2の記録電流供給線b1 〜bv
からそれぞれ1本ずつを選択し、かかる2本の電流供給
線を用いて磁気メモリセルM11〜Muvの磁界形成用電極
130に3種類の電流を流すことができる。すなわち、
かかる記録用行選択回路1701と記録用列選択回路1
702とは、各磁気メモリセルM11〜Muvの情報記録部
110,150に印加される磁界強度の絶対値が40
[Oe]となるような電流を正方向(すなわち第1の記
録電流供給線a1 〜au 側から第2の記録電流供給線b
1 〜bv 側への方向)および負方向(すなわち第2の記
録電流供給線b1 〜bv 側から第1の記録電流供給線a
1 〜au 側への方向)に流すことができるとともに、か
かる情報記録部110,150に印加される磁界強度の
絶対値が20[Oe]となるような電流を負方向に流す
ことができるように、構成されている。
【0240】次に、図17に示した情報記憶装置の動作
について、磁気メモリセルM11についての記録および読
出しを行なう場合を例に採って説明する。
【0241】この磁気メモリセルM11に情報「0」を記
録する場合の動作は、第7の実施の形態と同様であり、
まず、記録用行選択回路1701および記録用列選択回
路1702で第1の記録電流供給線a1 および第2の記
録電流供給線b1 を選択する。そして、磁気メモリセル
11v の情報記録部110,150に印加される磁界強
度の絶対値が40[Oe]となるような値の定電流を、
第1の記録電流供給線a1 側から第2の記録電流供給線
1 側への方向(すなわち正方向)に流す。これによ
り、図5で説明したような原理によって、この磁気メモ
リセルM11の第1の情報記録部110の抵抗を高抵抗
に、第2の情報記録部150の抵抗を低抵抗に設定する
ことができ、したがって情報「0」を記録することがで
きる。
【0242】また、この磁気メモリセルM11に情報
「1」を記録する場合には、まず、記録用行選択回路1
701および記録用列選択回路1702で第1の記録電
流供給線a1 および第2の記録電流供給線b1 を選択し
て、磁気メモリセルM11v の情報記録部110,150
に印加される磁界強度の絶対値が40[Oe]となるよ
うな値の定電流を、負方向に流す。これにより、この磁
気メモリセルM11の第1の情報記録部110の抵抗を低
抵抗に、第2の情報記録部150の抵抗を高抵抗にそれ
ぞれ設定することができるので、情報「1」を記録する
ことができる。
【0243】さらに、この磁気メモリセルM11に情報
「2」を記録する場合には、まず、記録用行選択回路1
701および記録用列選択回路1702で第1の記録電
流供給線a1 および第2の記録電流供給線b1 を選択し
て、磁気メモリセルM11v の情報記録部110,150
に印加される磁界強度の絶対値が20[Oe]となるよ
うな値の定電流を、負方向に流す。これにより、この磁
気メモリセルM11の第1の情報記録部110および第2
の情報記録部150の抵抗は低抵抗に設定されるので、
情報「2」を記録することができる。
【0244】一方、この磁気メモリセルM11に記憶され
た情報を読出す場合は、第7の実施の形態の場合と同
様、まず、読出用行選択回路1603および読出用列選
択回路1604によって第1の抵抗値検出線A1 、第2
の抵抗値検出線B1 および第3の抵抗値検出線C1 をそ
れぞれ選択し、続いて、第1の抵抗値検出線A1 側から
第2の抵抗値検出線B1 および第3の抵抗値検出線C1
側に流れる定電流を、磁気メモリセルM11に供給する。
そして、抵抗比較回路1605が、第2の抵抗値検出線
1 と第3の抵抗値検出線C1 との電圧値を比較した結
果を出力する.これにより、磁気メモリセルM11が有す
る情報記録部110,150の抵抗値が高抵抗/低抵抗
(情報値「0」)、低抵抗/高抵抗(情報値「1」)ま
たは低抵抗/低抵抗(情報値「2」)のいずれに相当す
るかを判断することができる。
【0245】なお、他の磁気メモリセルに対する情報の
記録および読出しを行なう際の動作も磁気メモリセルM
11の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0246】このように、この実施の形態に係る情報記
憶装置によれば、第2の実施の形態に係る磁気メモリ素
子100を磁気メモリセルM11〜Muvとして用いたの
で、従来の情報記憶装置と比較して読出し時の出力信号
値を2倍にすることができるとともに、その分だけS/
N比の向上も図ることができる。
【0247】また、2個の情報記録部に対して1個の磁
界形成用電極を設ければよく、参照用の磁気メモリセル
を用いる必要もないので、高密度化や小面積化を図るこ
とが容易となる。
【0248】さらに、3値化情報の記憶が可能となるの
で、記憶容量の増大等を図ることができる。
【0249】なお、この実施の形態でも、第7の実施の
形態と同様、情報記録部110,150に定電圧電流を
流したときの電流値を比較することとしてもよい。
【0250】また、第4の実施の形態や第6の実施の形
態に係る磁気メモリ素子を使用することも可能であり、
この場合もこの実施の形態とまったく同様の構成および
動作で3値化情報の記録および読出しを行なうことがで
きる。
【0251】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明に
よれば、出力値が大きく且つ高密度化が容易な磁気メモ
リ素子および情報記憶装置を提供することができる。
【0252】また、この発明によれば、かかる磁気メモ
リ素子に対して簡単な手順で2値化情報または3値化情
報の記録を行なうことができる、磁気メモリ素子の情報
記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子の構造
を示す斜視図である。
【図2】(A)、(B)ともに、第1の実施の形態に係
る情報記録部の特性を示すグラフである。
【図3】(A)は第1の実施の形態に係る磁気メモリ素
子から情報を読出すための回路構成を示す電気回路図、
(B)は記録・再生動作を説明するための図である。
【図4】第2の実施の形態に係る情報記録部の特性を模
式的に示すグラフである。
【図5】(A)は第2の実施の形態に係る磁気メモリ素
子から情報を読出すための回路構成を示す電気回路図、
(B)は記録・再生動作を説明するための図である。
【図6】(A)〜(C)ともに、第3の実施の形態に係
る磁気メモリ素子の構造を示す斜視図である。
【図7】(A)、(B)ともに、第3の実施の形態に係
る情報記録部の特性を示すグラフである。
【図8】(A)は第3の実施の形態に係る磁気メモリ素
子から情報を読出すための回路構成を示す電気回路図、
(B)は記録・再生動作を説明するための図である。
【図9】第4の実施の形態に係る情報記録部の特性を模
式的に示すグラフである。
【図10】(A)は第4の実施の形態に係る磁気メモリ
素子から情報を読出すための回路構成を示す電気回路
図、(B)は記録・再生動作を説明するための図であ
る。
【図11】第5の実施の形態に係る磁気メモリ素子の構
造を示す斜視図である。
【図12】(A)、(B)ともに、第5の実施の形態に
係る情報記録部の特性を示すグラフである。
【図13】(A)は第5の実施の形態に係る磁気メモリ
素子から情報を読出すための回路構成を示す電気回路
図、(B)は記録・再生動作を説明するための図であ
る。
【図14】第6の実施の形態に係る情報記録部の特性を
模式的に示すグラフである。
【図15】(A)は第6の実施の形態に係る磁気メモリ
素子から情報を読出すための回路構成を示す電気回路
図、(B)は記録・再生動作を説明するための図であ
る。
【図16】第7の実施の形態に係る情報記憶装置の要部
構成を示す電気回路図である。
【図17】第8の実施の形態に係る情報記憶装置の要部
構成を示す電気回路図である。
【符号の説明】
100 磁気メモり素子 101 ガラス基板 110 第1の情報記録部 111,113,151,153 強磁性体層 120,140 絶縁層 130 磁界形成用電極 150 第2の情報記録部 161,162,163,164 抵抗値検出用電極 301 第1の抵抗検出回路 302 第2の抵抗検出回路 303 比較回路 304 出力端子

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性体を介して積層された2層以上の
    強磁性体の磁化方向の差を情報として記憶するとともに
    この磁化方向の差を電気抵抗値として読み出す情報記録
    部を用いた磁気メモリ素子において、 基板上に設けられた第1の前記情報記録部と、 この第1の情報記録部の近傍に設けられた第2の前記情
    報記録部と、 前記第1の情報記録部および前記第2の情報記録部に同
    時に逆方向の磁界を与えるように、この第1の情報記録
    部およびこの第2の情報記録部の近傍に設けられた磁界
    形成用電極と、 を備えたことを特徴とする磁気メモリ素子。
  2. 【請求項2】 前記第1の情報記録部の表面に第1の絶
    縁膜を介して前記磁界形成用電極が設けられ、且つ、こ
    の磁界形成用電極の表面に第2の絶縁膜を介して前記第
    2の情報記録部が設けられたことを特徴とする請求項1
    に記載の磁気メモリ素子。
  3. 【請求項3】 前記第1の情報記録部の表面に直接前記
    磁界形成用電極が設けられ、且つ、この磁界形成用電極
    の表面に直接前記第2の情報記録部が設けられたことを
    特徴とする請求項1に記載の磁気メモリ素子。
  4. 【請求項4】 前記第1の情報記録部および前記第2の
    情報記録部が、第1の強磁性体層と、この第1の強磁性
    体層の表面に形成された非磁性体層と、この非磁性体層
    の表面に形成された第2の強磁性体層と、この第2の強
    磁性体層の表面に形成された反強磁性体層とを備えたこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気メ
    モリ素子。
  5. 【請求項5】 前記第1の情報記録部および前記第2の
    情報記録部が、前記第1の強磁性体層、前記非磁性体
    層、前記第2の強磁性体層および前記反強磁性体層から
    なる積層単位を複数個積層してなることを特徴とする請
    求項4に記載の磁気メモリ素子。
  6. 【請求項6】 前記第1の強磁性体層、前記非磁性体
    層、前記第2の強磁性体層および前記反強磁性体層の積
    層順序が前記第1の情報記録部と前記第2の情報記録部
    とで同一であることを特徴とする請求項4または5に記
    載の磁気メモリ素子。
  7. 【請求項7】 前記第1の強磁性体層、前記非磁性体
    層、前記第2の強磁性体層および前記反強磁性体層の積
    層順序が前記第1の情報記録部と前記第2の情報記録部
    とで逆であることを特徴とする請求項4または5に記載
    の磁気メモリ素子。
  8. 【請求項8】 前記第1の強磁性体層および第2の強磁
    性体層が、Fe、Ni、Coまたはこれらの合金からな
    る層であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに
    記載の磁気メモリ素子。
  9. 【請求項9】 前記反強磁性体層が、FeMn、NiM
    n、IrMn、NiO、CoOまたはα−Fe23
    らなる層であることを特徴とする請求項4〜7のいずれ
    かに記載の磁気メモリ素子。
  10. 【請求項10】 前記反強磁性体層が、NiO、CoO
    またはα−Fe23 からなる層であることを特徴とす
    る請求項3および7に記載の磁気メモリ素子。
  11. 【請求項11】 前記第1の情報記録部および前記第2
    の情報記録部が、第1の強磁性体層と、この第1の強磁
    性体層の表面に形成された第1の非磁性体層と、この非
    磁性体層の表面に形成された、前記第1の強磁性体層よ
    りも小さい保磁力を有する第2の強磁性体層と、この第
    2の強磁性体層の表面に形成された第2の非磁性体層と
    を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁
    気メモリ素子。
  12. 【請求項12】 前記第1の情報記録部および前記第2
    の情報記録部が、前記第1の強磁性体層、前記第1の非
    磁性体層、前記第2の強磁性体層および前記第2の非強
    磁性体層からなる積層単位を複数個積層してなることを
    特徴とする請求項11に記載の磁気メモリ素子。
  13. 【請求項13】 前記第1の強磁性体層、前記第1の非
    磁性体層、前記第2の強磁性体層および前記第2の非磁
    性体層の積層順序が前記第1の情報記録部と前記第2の
    情報記録部とで同一であることを特徴とする請求項11
    または12に記載の磁気メモリ素子。
  14. 【請求項14】 前記第1の強磁性体層、前記第1の非
    磁性体層、前記第2の強磁性体層および前記第2の非磁
    性体層の積層順序が前記第1の情報記録部と前記第2の
    情報記録部とで逆であることを特徴とする請求項11ま
    たは12に記載の磁気メモリ素子。
  15. 【請求項15】 前記第1の強磁性体層および第2の強
    磁性体層が、Fe、Ni、Coまたはこれらの合金から
    なる層であることを特徴とする請求項11〜14のいず
    れかに記載の磁気メモリ素子。
  16. 【請求項16】 前記第1の情報記録部の電気抵抗値と
    前記第2の情報記録部の電気抵抗値とを比較する抵抗比
    較手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜15
    のいずれかに記載の磁気メモリ素子。
  17. 【請求項17】 非磁性体を介して積層された2層以上
    の強磁性体の磁化方向の差を情報として記憶するととも
    にこの磁化方向の差を電気抵抗値として読み出す第1の
    情報記録部および第2の情報記録部と、これら第1の情
    報記録部および第2の情報記録部に同時に逆方向の磁界
    を与える磁界形成用電極とを備える磁気メモリ素子の情
    報記録方法であって、 第1の値を記録する場合には、前記第2の情報記録部の
    前記磁化方向の差のみが零となるような電流を前記磁界
    形成用電極の第1の方向に流し、 第2の値を記録する場合には、前記第1の情報記録部の
    前記磁化方向の差のみが零となるような電流を前記磁界
    形成用電極の第2の方向に流す、 ことを特徴とする磁気メモリ素子の情報記録方法。
  18. 【請求項18】 前記磁界形成用電極の前記第1の方向
    に第1の値の電流を流したときには前記第1の情報記録
    部の前記磁化方向の差が180度且つ前記第2の情報記
    録部の前記磁化方向の差が0度となり、前記磁界形成用
    電極の前記第2の方向に第2の値の電流を流したときに
    は前記第1の情報記録部の前記磁化方向の差が0度且つ
    前記第2の情報記録部の前記磁化方向の差が180度と
    なるように、前記第1の方向と前記第2の方向とがなす
    角度、前記第1の値および前記第2の値が定められたこ
    とを特徴とする請求項17に記載の磁気メモリ素子の情
    報記録方法。
  19. 【請求項19】 前記第1の方向と前記第2の方向との
    なす角度が180度であり、且つ、前記第1の値と前記
    第2の値との絶対値が同一であることを特徴とする請求
    項17または18に記載の磁気メモリ素子の情報記録方
    法。
  20. 【請求項20】 前記第1の方向および前記第2の方向
    が、前記磁化方向の差を電気抵抗値として読出すために
    流す電流の方向と直交することを特徴とする請求項17
    〜19のいずれかに記載の磁気メモリ素子の情報記録方
    法。
  21. 【請求項21】 非磁性体を介して積層された2層以上
    の強磁性体の磁化方向の差を情報として記憶するととも
    にこの磁化方向の差を電気抵抗値として読み出す第1の
    情報記録部および第2の情報記録部と、これら第1の情
    報記録部および第2の情報記録部に同時に逆方向の磁界
    を与える磁界形成用電極とを備える磁気メモリ素子の情
    報記録方法であって、 第1の値を記録する場合には、前記第2の情報記録部の
    前記磁化方向の差のみが零となるような電流を前記磁界
    形成用電極の第1の方向に流し、 第2の値を記録する場合には、前記第1の情報記録部の
    前記磁化方向の差のみが零となるような電流を前記磁界
    形成用電極の第2の方向に流し、 第3の値を記録する場合には、前記第1の情報記録部の
    前記磁化方向の差と前記第2の情報記録部の前記磁化方
    向の差とが同一となるような電流を前記第1の方向また
    は前記第2の方向に流す、 ことを特徴とする磁気メモリ素子の情報記録方法。
  22. 【請求項22】 前記磁界形成用電極の前記第1の方向
    に第1の値の電流を流したときには前記第1の情報記録
    部の前記磁化方向の差が180度且つ前記第2の情報記
    録部の前記磁化方向の差が0度となり、前記磁界形成用
    電極の前記第2の方向に第2の値の電流を流したときに
    は前記第1の情報記録部の前記磁化方向の差が0度且つ
    前記第2の情報記録部の前記磁化方向の差が180度と
    なり、前記磁界形成用電極の前記第2の方向に第3の値
    の流したときには前記第1の情報記憶部の前記磁化方向
    の差が0度且つ前記第2の情報記憶部の前記磁化方向の
    差が0度となるように、前記第1の方向と前記第2の方
    向とのなす角度、前記第1の値、前記第2の値および前
    記第3の値が定められたことを特徴とする請求項21に
    記載の磁気メモリ素子の情報記録方法。
  23. 【請求項23】 前記第1の方向と前記第2の方向との
    なす角度が180度であり、且つ、前記第1の値と前記
    第2の値との絶対値が同一であることを特徴とする請求
    項21または22に記載の磁気メモリ素子の情報記録方
    法。
  24. 【請求項24】 前記第1の方向および前記第2の方向
    が、前記磁化方向の差を電気抵抗値として読出すために
    流す電流の方向と直交することを特徴とする請求項21
    〜23のいずれかに記載の磁気メモリ素子の情報記録方
    法。
  25. 【請求項25】 非磁性体を介して積層された2層以上
    の強磁性体の磁化方向の差を情報として記録するととも
    にこの磁化方向の差を電気抵抗値として読み出す第1の
    情報記録部および第2の情報記録部と、これら第1の情
    報記録部および第2の情報記録部に同時に逆方向の磁界
    を与える磁界形成用電極とを備える磁気メモリ素子をマ
    トリクス状に配列してなるメモリセルアレイを有する情
    報記憶装置において、 同一行のそれぞれの前記磁気メモリ素子の前記磁界形成
    用電極の一端と接続された複数の第1の記録電流供給線
    と、 同一列のそれぞれの前記磁気メモリ素子の前記磁界形成
    用電極の他端と接続された複数の第2の記録電流供給線
    と、 同一行のそれぞれの前記磁気メモリ素子の前記第1の情
    報記録部および第2の情報記録部に設けられたそれぞれ
    の前記強磁性体の一端と接続された複数の第1の抵抗値
    検出線と、 同一列のそれぞれの前記磁気メモリ素子の前記第1の情
    報記録部に設けられたそれぞれの前記強磁性体の他端と
    接続された複数の第2の抵抗値検出線と、 同一列のそれぞれの前記磁気メモリ素子の前記第2の情
    報記録部に設けられたそれぞれの前記強磁性体の他端と
    接続された複数の第3の抵抗値検出線と、 前記第2の抵抗値検出線および前記第3の抵抗値検出線
    の電流値または電圧値を用いて前記第1の情報記録部の
    電気抵抗値と前記第2の情報記録部の電気抵抗値とを比
    較する抵抗比較手段と、 を備えたことを特徴とする情報記憶装置。
  26. 【請求項26】 情報の記録時に、任意の行の前記第1
    の記録電流供給線および任意の列の前記第2の記録電流
    供給線を1本ずつ選択することによって1個の前記磁気
    メモリ素子を特定するとともに、このようにして選択さ
    れた前記第1の記録電流供給線および前記第2の記録電
    流供給線を用いてこの特定された磁気メモリ素子に電流
    を供給する記録制御手段と、 情報の読出し時に、任意の行の前記第1の抵抗値検出線
    と任意の列の前記第2の抵抗値検出線および前記第3の
    抵抗値検出線を1本ずつ選択することによって1個の前
    記磁気メモリ素子を特定するとともに、このようにして
    選択された前記第1の抵抗値検出線を介して前記第1の
    情報記録部および前記第2の情報記録部に電流または電
    圧を供給し、このときに選択されている前記第2の抵抗
    値検出線および前記第3の抵抗値検出線の前記電流また
    は前記電圧を前記抵抗比較手段に供給する読出制御手段
    と、 をさらに備えたことを特徴とする請求項25に記載の情
    報記憶装置。
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KR100498662B1 (ko) * 2001-11-14 2005-07-01 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 메모리 셀과 동일한 소자를 이용하여 필요한 정보를프로그램하는 박막 자성체 기억 장치 및 그 정보 프로그램방법

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