JPH10176510A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JPH10176510A
JPH10176510A JP33833296A JP33833296A JPH10176510A JP H10176510 A JPH10176510 A JP H10176510A JP 33833296 A JP33833296 A JP 33833296A JP 33833296 A JP33833296 A JP 33833296A JP H10176510 A JPH10176510 A JP H10176510A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベーン式のバルブタイミング可変機構を備え
るバルブタイミング制御装置において、バルブタイミン
グ可変機構自体の回転による慣性から生じる羽根車(ベ
ーン)の進角方向への応答性を改善する。 【解決手段】 ハウジング16と羽根車19との相対回
動位相を変更するために、それらハウジング16と羽根
車19との間に形成される第1及び第2油圧室30,3
1に対する油圧制御を行う。羽根車19を進角せしめる
ために第1油圧室30にOCV40より供給される作動
油の油路S1a,S1bの断面積を同羽根車19を遅角
せしめるために第2油圧室31に供給される作動油の油
路S2a,S2bの断面積よりも大きく形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の気筒に
設けられた吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方
のバルブタイミングを変更制御するためのバルブタイミ
ング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の気筒に設けられた
吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期、即ちバルブタイ
ミングを変更可能とする制御装置が種々提案されている
(例えば、特開平8−121122号公報に開示された
「内燃機関用バルブタイミング調節装置」等)。図12
は、従来におけるバルブタイミング制御装置の一構成例
を示している。
【0003】同図に示すように、このバルブタイミング
制御装置は、そのバルブタイミングの可変機構として、
カムシャフト101の先端部に設けられた内部ロータ
(以下羽根車という)102と、同シャフト101に対
して相対回転可能に設けられたギア又はタイミングプー
リに連結されてこの羽根車102を収容するハウジング
103とを備える。上記ギア又はタイミングプーリに
は、クランクシャフト(図示略)の回転力が伝達され
る。
【0004】一方、ハウシング103内に収容された羽
根車102はその外周部において、径方向に延びる羽根
104を複数個(同例では2個)有する。ハウジング1
03は、その内周側に突出した複数個(同例では2個)
の凸部105を有する。そして同機構にあっては、ハウ
ジング103のこれら凸部105間が羽根車102の各
羽根104により区画されて第1圧力室107及び第2
圧力室108が形成されている。これら圧力室107及
び108は、カムシャフト内部に設けられた油通路10
9と連通しており、ポンプ111から圧送される油圧用
油の流通が切替バルブ112及び逆止弁113により制
御されることによって、同圧力室107あるいは108
に選択的に油圧が供給されるようになる。
【0005】すなわち、同装置において、バルブタイミ
ングを遅らせる場合、切替バルブ112を図面左方向に
操作して第2圧力室108内の油圧を増加させることに
より、羽根車102をカムシャフト101あるいはバル
ブタイミング可変機構の回転方向(図12に矢指)とは
逆方向(以下、この方向を「遅角方向」という)に相対
回転させる。この相対回転により、カムシャフト101
によって開閉されるバルブ(図示略)のバルブタイミン
グが遅らせられる。
【0006】これに対して、バルブタイミングを進める
場合、切替バルブ112を図面右方向に操作して第1圧
力室107内の油圧を増加させることにより、羽根車1
02をカムシャフト101あるいはバルブタイミング可
変機構の回転方向と同方向(以下、この方向を「進角方
向」という)に相対回転させる。この相対回転によって
バルブタイミングが進められる。
【0007】又上記の構成で、羽根車102及びそのハ
ウジング103といった両回転体間における相対的な回
転位相の変更には第1圧力室107と第2圧力室108
内にかかる油圧の差が要件となるため、両回転体の間隙
を通じたそれら両圧力室間の漏出は可能な限り抑制され
るべきであり、このためハウジング103と羽根車10
2間の摺動接触面には封止部材115が設けられてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、こうしたバ
ルブタイミング制御装置にあっては上述のように、第
1、第2圧力室107及び108に油圧を送り込み、そ
れら両圧力室107及び108の油圧を切替バルブ11
2により適度にバランスさせてバルブタイミングを制御
している。
【0009】ところが、同装置にあっては、機関の運転
に伴い、上記バルブタイミング可変機構自体が図12に
矢指した方向に高速に回転するため、上記羽根車102
の自重による慣性力が常に働き、同羽根車102の特に
進角方向への応答性が悪化する傾向にある。このため、
進角方向のある目的とするバルブタイミングに制御すべ
く上記切替バルブ112を切替えても同バルブタイミン
グが即座に進角制御されないなど、制御性において尚課
題を残すものとなっている。前記羽根車102の運動性
及び制御性は、たとえ機関の運転中であろうとも、遅角
・進角方向共に高く互いにほぼ均等であることが理想で
ある。
【0010】本発明は前述した実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、内燃機関のバルブ
タイミング制御装置において、バルブタイミング可変機
構自体の回転による慣性から生じる羽根車の進角・遅角
方向への運動性の不均等及び制御不良を改善することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、内燃機関の出力軸及び
カムシャフトの一方に連動して回転するとともに内部に
凹部を有するハウジングと、同機関出力軸及びカムシャ
フトの他方に連結されてこのハウジング内に回動自在に
収容されるとともに、同ハウジングの前記凹部を区画す
る受圧羽根を有してその両側に第1及び第2の液室を形
成する羽根車とを備え、該形成される液室への液圧制御
に基づくそれらハウジング及び羽根車の相対回転位相の
変更に応じて前記カムシャフトにより開閉駆動されるバ
ルブのバルブタイミングを制御する内燃機関のバルブタ
イミング制御装置において、前記第1及び第2の液室の
うちの前記バルブタイミングを進角せしめる側の液室に
対する液圧制御に基づく前記羽根車の運動性を他の側の
液室に対する液圧制御に基づく同羽根車の運動性よりも
高める進角応答補助機構を備えることを要旨とする。
【0012】上記構成によれば、羽根車の進角方向への
運動性が遅角方向に比べて相対的に向上し、同羽根車の
前記慣性力に起因する進角方向への制御性の悪化が是正
される。
【0013】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記進
角応答補助機構は、前記第1及び第2の液室のうちの前
記バルブタイミングを進角せしめる側の液室に対する液
圧通路の通路抵抗を他の側の液室に対する液圧通路の通
路抵抗よりも小としたものであることを要旨とする。
【0014】上記構成によれば、バルブタイミングを進
角せしめる側の液室に対する作動液の流動性が他の側の
液室に対する作動液の流動性に比べて相対的に向上し、
ひいては羽根車の進角方向への応答性が好適に向上す
る。
【0015】請求項3に記載の発明は、請求項2記載の
内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記第
1及び第2の液室のうちの前記バルブタイミングを進角
せしめる側の液室に対する液圧通路の通路断面積を他の
側の液室に対する液圧通路の通路断面積よりも大きくし
たことを要旨とする。
【0016】上記構成によれば、同一条件下での上記バ
ルブタイミングを進角せしめる側の液室に対する作動液
の単位時間当たり流量が他の側の液室に対する作動液の
単位時間当たり流量に比べて相対的に増大し、同バルブ
タイミングを進角せしめる側の液室に対する作動液の流
動性向上が的確に図られる。
【0017】請求項4に記載の発明は、請求項2記載の
発明において、前記第1及び第2の液室のうちの前記バ
ルブタイミングを進角せしめる側の液室に対する液圧通
路は他の側の液室に対する液圧通路よりもその通路長が
短いことを要旨とする。
【0018】上記の構成によれば、同一条件下での上記
バルブタイミングを進角せしめる側の液室に対する作動
液の同液室への単位量到達時間が他の側の液室に対する
作動液の同液室への単位量到達時間に比べて相対的に短
縮され、この場合も、同バルブタイミングを進角せしめ
る側の液室に対する作動液の流動性向上が的確に図られ
る。
【0019】請求項5に記載の発明は、請求項1記載の
内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記進
角応答補助機構は、前記第1及び第2の液室のうちの前
記バルブタイミングを進角せしめる側の液室に面する前
記受圧羽根の受圧面積を他の側の液室に面する同受圧羽
根の受圧面積よりも大としたことを要旨とする。
【0020】上記構成によれば、バルブタイミングを進
角せしめる側の液室に面する受圧羽根の押力が他の側の
液室に面する同受圧羽根の押力に比べて相対的に増大
し、ひいては羽根車の進角方向への応答性が好適に向上
する。
【0021】請求項6に記載の発明は、請求項1記載の
内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記進
角応答補助機構内は、前記第1及び第2の液室のうちの
前記バルブタイミングを進角せしめる側の液室の液密性
を他の側の液室の液密性よりも大としたことを要旨とす
る。
【0022】上記構成によれば、バルブタイミングを進
角せしめる側の液室からの作動液の漏出量が他の側の液
室からの同作動液の漏出量に比べ相対的に減少し、ひい
ては羽根車の進角方向への応答性が好適に向上する。
【0023】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
のバルブタイミング制御装置において、前記ハウジング
と前記羽根車とはその摺接面に所定の間隙を有して相対
回転するものであり、前記第1及び第2の液室のうちの
前記バルブタイミングを進角せしめる側の液室に対応し
て設けられる間隙は他の側の液室に対応して設けられる
間隙よりも小さいことを要旨とする。
【0024】通常、上記各液室からの作動液の漏出は、
相対回転するハウジングと羽根車との間に設けられた上
記間隙を通じて行われる。このため、バルブタイミング
を進角せしめる側の液室に対応して設けられる間隙が他
の側の液室に対応して設けられる間隙よりも小さい同構
成によれば、上記バルブタイミングを進角せしめる側の
液室からの作動液の漏出量減少が的確に図られる。
【0025】請求項8に記載の発明は、請求項1記載の
バルブタイミング制御装置において、前記進角応答補助
機構は、前記第1及び第2の液室のうちの前記バルブタ
イミングを進角せしめる側の液室へ作動液を供給する作
動液供給通路の液密性を他の側の液室への作動液供給通
路の液密性よりも大としたものであることを要旨とす
る。
【0026】上記構成によれば、第1及び第2の液室の
うちの前記バルブタイミングを進角せしめる側の液室へ
作動液を供給する作動液供給通路における作動液の漏出
量が、他の側の液室への作動液供給通路における作動液
の漏出量に比べ相対的に減少し、ひいては羽根車の進角
方向への応答性が好適に向上する。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)以下、上記の発明に係る内燃機関のバ
ルブタイミング制御装置を具体化した第1の実施形態に
ついて図面を参照して説明する。
【0028】この実施形態では、内燃機関としてのガソ
リンエンジンにおいて、その吸気側カムシャフトに対し
て設けられたバルブタイミング制御装置について説明す
る。図1は、吸気側カムシャフト(以下、単に「カムシ
ャフト」という)11の先端側(同図の左側)に設けら
れたバルブタイミング可変機構(以下「VVT」とい
う)12、及び同VVT12に油を供給するためのオイ
ルポンプ13(以下、単に「ポンプ」という)、同機構
12に供給する油圧を調節するためのオイルコントロー
ルバルブ(以下「OCV」という)40等を示す断面図
である。
【0029】同図に示すように、シリンダヘッド14の
上端部及びベアリングキャップ15は、カムシャフト1
1のジャーナル11aを回転可能に支持する。カムシャ
フト11は、その先端部に拡径部11bを有する。拡径
部11bの外周に相対回転可能に設けられたスプロケッ
ト17は、その外周にタイミングチェーン(図示略)が
掛けられる外歯17aを有する。同チェーンは、クラン
クシャフト(図示略)の回転力をスプロケット17に伝
達する。
【0030】カムシャフト11は、その基端側(図1の
右側)に複数のカム(図示略)を有し、それらカムは吸
気バルブ(図示略)の上端部に当接する。カムシャフト
11の回転に伴って、各カムは吸気バルブを開閉する。
【0031】拡径部11b及びスプロケット17の先端
面に順に取り付けられた側板18、ハウジング16、及
びハウジングカバー20は、ボルト21によりスプロケ
ット17に固定され同スプロケット17と一体に回転す
る。カムシャフト11の先端面にボルト22によって取
り付けられた羽根車19は、図示しないノックピンによ
って同シャフト11に固定され同シャフト11と一体に
回転する。
【0032】図2は図1の2−2線に沿った断面を示す
(尚、図1は図2の1−1線に沿った断面を示す)。同
図に示すように、羽根車19は、その中央部に位置する
円筒状のボス23と、同ボス23を中心に略90°毎の
間隔をもって形成された4つの羽根(受圧羽根)24と
を備える。
【0033】又、ハウジング16は、その内側におい
て、中心へ向かって突出し互いに所定の間隔をもって配
置された4つの突状部25を有する。各突状部25の間
にそれぞれ形成された凹部は上記羽根車19の各羽根2
4を収容する。各羽根24の外周面は凹部の内周面に接
し、各突状部25の内周面は、ボス23の外周面に接し
ている。
【0034】図4は各羽根24の一つを拡大して示し、
図5は図4の5−5線に沿った断面を示す。両図に示す
ように、各羽根24は、その外周面にそれぞれ形成され
た溝27を有する。各溝27内には、シールプレート2
8がそれぞれ配置されている。各シールプレート28
は、上記突状部25の間に形成された凹部の内周面に接
している。各シールプレート28と各溝部27の底壁と
の間には弾性部材としての板バネ29がそれぞれ配設さ
れている。各板バネ29は、各プレート28を上記凹部
の内周面に向けて押圧している。なお、これらシールプ
レート28は、羽根24の外周面とハウジング16に形
成された凹部の内周面との間を封止するための封止部材
に相当する。
【0035】一方、ハウジングカバー20(図1)は、
ハウジング16及び羽根車19の先端側面を覆ってい
る。各羽根24は、このカバー20、ハウジング16の
凹部26、ボス23、及び側板18によって囲まれた4
つの空間を各々2つの油圧室30,31(図2、図4)
に区画する。スプロケット17の回転方向(図2におい
て矢印で示す)と逆方向(以下、この方向を「遅角方
向」という)の側に位置する第1油圧室30には、バル
ブタイミングを進める際に油が供給される。回転方向と
同方向(以下、この方向を「進角方向」という)の側に
位置する第2油圧室31には、バルブタイミングを遅ら
せる際に油が供給される。
【0036】又、図1,図2に示すように、羽根24の
一つは、断面円形状をなしカムシャフト11の軸方向に
沿って延びる貫通孔32を有する。貫通孔32内に移動
可能に設けられたロックピン33は、その内部に収容孔
33aを有する。この収容孔33a内に設けられたスプ
リング35は、同ピン33を側板18に形成された係止
穴34に向けて付勢する。ロックピン33が係止穴34
に係合することにより、ハウジング16に対する羽根車
19の位置は、図2に示すように、各第1油圧室30側
の羽根24の側面が、各突状部25から若干離間する位
置に固定される。これにより、羽根車19と側板18と
の間の相対的な回転が規制され、カムシャフト11とス
プロケット17とが一体に回転する。なお、こうしたロ
ックピン33を設けて羽根車19と側板18(ハウジン
グ16)との間の相対回転を規制することにより、例え
ばエンジンの始動時等、同VVT12の不安定な作動状
態に起因する異音等の発生も好適に回避されるようにな
る。
【0037】羽根車19は、その先端面に形成された油
溝36を有する。同溝36はカバー20に形成された長
穴37と、貫通孔32とを連通する。油溝36及び長穴
37は、貫通孔32の内部においてロックピン33より
も先端側にある空気或いは油を外部に排出する機能を有
する。
【0038】次に、図1〜図3を併せ参照して、上述し
た各第1油圧室30及び各第2油圧室31に対して油の
給排を行うための油圧通路Pについて説明する。シリン
ダヘッド14は、その内部に形成された進角側油路3
8、遅角側油路39を有する。各油路38,39は、O
CV40の後述する第1のポート55及び第2のポート
56に接続されている。OCV40は、オイルフィルタ
41、ポンプ13、オイルストレーナ42を介してオイ
ルパン43に通じている。
【0039】進角側油路38は、ジャーナル11aの全
周に形成された油溝44、ジャーナル11aの内部に形
成された油孔45を介して、カムシャフト11の内部に
形成された油通路46に通じている。同油通路46の先
端側は、羽根車19のボス23の基端側内周部、ボルト
22、及び側板18によって区画された環状空間47に
開口する。図2に示すように、ボス23の内部、各羽根
24及び各突状部25の一部において、放射状に形成さ
れた4つの油孔48は、環状空間47と各第1油圧室3
0とを連通し、環状空間47内に供給された油を各第1
油圧室30に供給する。ロックピン33の外周壁と貫通
孔32の内周壁とによって囲まれる環状の空間よりなる
油圧室49は、油孔48の一つにより環状空間47と通
じている。
【0040】一方遅角側油路39は、シリンダヘッド1
4の上端部及びベアリングキャップ15に形成された油
溝50に通じている。拡径部11bに形成された油孔5
3は、この油溝50と、側板18の基端側面と拡径部1
1bの先端側面との間に形成された環状の油空間51と
を連通する。側板18は、図1、図2に示すように各突
状部25の側面近傍にて開口する4つの油孔52を有す
る。各油孔52は、油空間51と各第2油圧室31とを
連通し、同油圧室31内に油空間51内の油を供給す
る。又、油空間51は前述した係止穴34にも通じてお
り、同係止穴34内には同空間51内の油が供給され
る。
【0041】進角側油路38、油溝44、油孔45、油
通路46、環状空間47、及び各油孔48は、各第1油
圧室30に油を供給するための第1油路P1を構成し、
遅角側油路39、油溝50、油孔53、油空間51、及
び各油孔52は、各第2油圧室31に油を供給するため
の第2油路P2を構成する。各油路P1,P2は油圧通
路Pを構成する。
【0042】ここで、本実施形態にあっては、前記油路
P1を構成する各油通路の断面積は前記油路P2を構成
する各油通路の断面積に対し相対的に大きく形成されて
いる。
【0043】前記OCV40は、第1油路P1及び第2
油路P2と、ポンプ13及びオイルパン43との連通状
態を切り換える。図1に示すように、OCV40を構成
するケーシング54は、第1〜第5のポート55〜59
を有する。第1のポート55は進角側油路38に、第2
のポート56は遅角側油路39にそれぞれ通じている。
第3及び第4のポート57,58はオイルパン43に、
第5のポート59はオイルフィルタ41を介してポンプ
13の吐出側に通じている。
【0044】ケーシング54の内部において往復可能に
設けられたスプール60は、円柱状をなす4つの弁体6
1を有する。電磁ソレノイド62は、スプール60を図
1に示す「遅角位置」と、図3に示す「進角位置」との
間で移動させる。ケーシング54内に設けられたスプリ
ング64は、スプール60を「遅角位置」側へ向けて付
勢する。
【0045】電子制御装置(以下「ECU」という)6
5は、電磁ソレノイド62の駆動態様をデューティ制御
する。すなわちECU65は、電磁ソレノイド62を1
00%のデューティ比で駆動することにより、スプール
60の位置を「進角位置」に保持する。これにより、図
3に示すように、進角側油路38は第1のポート55及
び第5のポート59を介してポンプ13の吐出側に接続
され、遅角側油路39は第2のポート56及び第4のポ
ート58を介してオイルパン43に接続される。その結
果、各第1油圧室30内には第1油路P1を通じて油が
供給される一方で、各第2油圧室31内の油は第2油路
P2を通じてオイルパン43に戻される。
【0046】又ECU65は、電磁ソレノイド62に対
する通電制御を停止(デューティ比が0%)することに
より、スプール60の位置を「遅角位置」に保持する。
これにより、図1に示すように、遅角側油路39が第2
のポート56及び第5のポート59を介してポンプ13
の吐出側に接続される一方で、進角側油路38が第1の
ポート55及び第3のポート57を介してオイルパン4
3に接続される。その結果、各第2油圧室31内には第
2油路P2を通じて油が供給される一方で、各第1油圧
室30内の油は第1油路P1を通じてオイルパン43に
戻される。
【0047】更にECU65は、電磁ソレノイド62を
50%のデューティ比で駆動することにより、スプール
60の位置を「保持位置」に保持する。これにより、ス
プール60の弁体61は、第1及び第2のポート55,
56を閉塞する。その結果、第1油圧室30及び第2油
圧室31に対する油の供給及び排出は行われず、各油圧
室30,31の油圧は現状の状態に保持される。
【0048】ECU65に接続された回転数センサ66
及び吸気圧センサ67はそれぞれ、エンジンの回転数、
及び吸気圧力を検出する。ECU65に接続されたクラ
ンク角センサ68及びカム角センサ69はそれぞれ、ク
ランクシャフト(図示略)及びカムシャフト11の回転
位相を検出する。ECU65は各センサ66〜69から
入力される検出信号に基づき、エンジンの運転状態に適
合するカムシャフト11の目標回転位相(目標バルブタ
イミング)を算出し、且つ同カムシャフトの実回転位相
(実バルブタイミング)を検出する。そしてECU65
は、これらカムシャフト11の実回転位相と目標回転位
相との偏差が所定値以下となるようにOCV40を制御
する。
【0049】次に、上記のように構成された本実施形態
の動作について説明する。本実施形態によれば、エンジ
ンが始動されると、ポンプ13によって吸引されたオイ
ルパン43内の油が同ポンプ13から第1油路P1内に
圧送される。これにより、油圧室49内の油圧が増加
し、ロックピン33はその油圧によって係止穴34から
抜ける。その結果、羽根車19とスプロケット17との
相対回転が許容された状態となる。そして、吸気バルブ
は、カムシャフト11の回転により所定のバルブタイミ
ングをもって開閉される。
【0050】ECU65は、吸気バルブのバルブタイミ
ングを進めるために、電磁ソレノイド62を100%の
デューディ比で駆動する。その結果、各第1油圧室30
には油が供給され、各第2油圧室31内の油はオイルパ
ン43に戻される。従って、各第1油圧室30内の油圧
が各第2油圧室31内の油圧よりも相対的に増加するた
め、各羽根24には前記「進角方向」の回転力が作用す
る。そして、この回転力により羽根車19はスプロケッ
ト17に対して「進角方向」に相対的に回転し、カムシ
ャフト11の回転位相がスプロケット17の回転位相に
対して相対的に進角されることにより、吸気バルブのバ
ルブタイミングが現状よりも進められる。本実施形態に
おいて、羽根車19がスプロケット17に対して「進角
方向」に相対回転し、各羽根24が各突状部25に当接
した状態となると、バルブタイミングは最も進んだ状態
となる。
【0051】これに対して、ECU65は、吸気バルブ
のバルブタイミングを遅らせるために、電磁ソレノイド
62に対する通電を停止する(デューティ比が0%)。
この結果、各第2油圧室31には油が供給され、各第1
油圧室30内の油はオイルパン43に戻される。従っ
て、各第2油圧室31内の油圧が各第1油圧室30内の
油圧よりも相対的に増加するため、各羽根24には前記
「遅角方向」の回転力が作用する。そして、この回転力
により羽根車19はスプロケット17に対して「遅角方
向」に相対的に回転し、カムシャフト11の回転位相が
スプロケット17の回転位相に対して相対的に遅角され
ることにより、吸気バルブのバルブタイミングが現状よ
りも遅らせられる。本実施形態において、羽根車19が
スプロケット17に対して「遅角方向」に相対回転し、
各羽根24が各突状部25に当接した状態となると、バ
ルブタイミングは最も遅れた状態となる。
【0052】ECU65は、吸気バルブのバルブタイミ
ングを現状のバルブタイミングに保持するために、電磁
ソレノイド62を50%のデューティ比で駆動する。こ
の結果、各油圧室30,31への油の供給及び各油圧室
30,31からの油の排出は行われなくなる。従って、
羽根車19とスプロケット17との相対回転は停止する
ため、吸気バルブのバルブタイミングは現状のタイミン
グに保持される。
【0053】上記のように、ECU65が電磁ソレノイ
ド62を通電制御することにより、吸気バルブのバルブ
タイミングを最遅角のタイミングと最進角のタイミング
との間で所定のタイミングに連続的(無段階)に変更す
ることができ、更にそのバルブタイミングを保持するこ
とができる。
【0054】図6は、図1〜図5に示した本実施形態の
バルブタイミング制御装置における上記第1油路P1及
び第2油路P2の形成態様を模式的に示した概略図であ
る。オイルパン43からOCV40を通じてVVT12
内へ作動油の給排を行うことは前述の通りである。ここ
で、油路S1aは、上記第1油路P1のうちの主にVV
T12に至るまでの油路構造を模式的に示したものであ
り、また油路S2aは、上記第2油路P2のうちの主に
VVT12に至るまでの油路構造を模式的に示したもの
である。一方、油路S1bは、上記第1油路P1のうち
の主にVVT12内での油路構造を模式的に示したもの
であり、油路S2bは、上記第2油路P2のうちの主に
VVT12内での油構造を模式的に示したものである。
同図に示されるように、また上述したように、本実施形
態にあっては、VVT12に至る油経路、及びVVT1
2内での油経路において、第1油路P1は第2油路P2
に比べてその断面積が相対的に大きく形成されている。
【0055】従来こうしたバルブタイミング制御装置の
作動に際し、当該エンジンの運転時にはVVT12本体
も高速回転されるために、羽根車19に慣性が常に働
き、同羽根車19の進角方向への応答性を悪化させると
いう問題があったことは前述の通りである。しかしこの
点、本実施形態にあっては、進角側への応答を補助する
上記の油路構造の採用により第1油圧室30へ供給でき
る単位時間当たりの油量が第2油圧室31へ供給できる
量よりも相対的に増大することとなり、羽根車19の進
角方向への運動性が相対的に向上している。
【0056】このことを、図11を参照して更に詳述す
る。図11は、ECU65からのバルブ変更指令を受け
た際、OCV40の動作に対しVVT12内における羽
根車19が進角側及び遅角側へどのように応答するか
を、それぞれ従来のバルブタイミング制御装置と本実施
形態のバルブタイミング制御装置との間で比較したもの
である。
【0057】同図において、横軸は時間(t)を、縦軸
は進角方向を正とした場合のハウジングに対する羽根車
19の位相角度(ω)を示す。又同図において、羽根車
19の位相の最大値、すなわち羽根車19が最も進角よ
りに位置しているときの位相をωmaxとし、同羽根車
19の位相の最小値、すなわち羽根車19が最も遅角よ
りに位置しているときの位相をωminとする。又、E
CU65が羽根車19を進角方向又は遅角方向に位相変
更させる命令、すなわちバルブタイミング変更指令を発
信した時刻をt1とする。この時刻t1から位相の変更
完了に要する時間が短いほどバルブタイミング変更指令
に対するVVT12の応答性は良いといえる。
【0058】ここで、従来のバルブタイミング制御装置
においては、VVT12自身の回転による羽根車19の
慣性力の影響で、遅角側への変更、すなわちωmaxか
らωminへの変更に際しては、時間Δt2と、比較的
短時間にその位相変更が完了するものの、逆の進角側へ
の変更すなわちωminからωmaxへの変更に際して
は、同図11に実線にて示すように、その位相変更が完
了するまでに時間Δt3と比較的長い時間を要してい
た。
【0059】この点、本実施形態のバルブタイミング制
御装置においては、羽根車19の位相変更で特に進角方
向への動作に相対的な改善がみられ、該進角側への変更
に際しても、同図11に一点鎖線にて示すように、遅角
側への変更とほぼ同等の時間Δt2にてその位相変更が
完了されるようになる。
【0060】以上説明したように、本実施形態によれば
以下に示す効果が得られる。 (a)本実施形態において、進角せしめる側の第1油圧
室30内に油圧を供給する経路、すなわち第1油路P1
の断面は遅角せしめる側の第2油圧室31内に油圧を供
給する経路、すなわち第2油路P2の断面と比して大で
ある。従って、油圧ポンプ13から供給される同等の油
圧下においては、第1油圧室30内に流入する油の単位
時間当たり流量が 、第2油圧室31内に流入する油の
単位時間当たり流量に比べ相対的に増大し、羽根車19
をハウジング16に対して相対回動させる際、特に進角
方向への応答性が好適に改善される。 (第2実施形態)次に、この発明の第2の実施形態を、
前記第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0061】図7は第2の実施形態のバルブタイミング
制御装置の特にVVT12とOCV40とを連絡する油
経路を模式的に示した斜視図である。本実施形態のバル
ブタイミング制御装置において、そのVVT12及びO
CV40は、第1の実施形態で示されたものとほぼ同一
の構造及び機能を有している(図1〜図5参照)。
【0062】すなわち同装置においても、吸気側カムシ
ャフト11の先端部に設けられたVVT12は、クラン
クシャフト(図示略)の駆動力がタイミングチェーンを
介して伝達されるスプロケット17、このスプロケット
17に固定され、同スプロケット17と一体に回転する
ハウジング16及びハウジングカバー20、そしてこの
ハウジング16の内部に配設され、前記吸気側カムシャ
フト11の先端に固定されて、同カムシャフト11と一
体に回転する羽根車(図示略)より構成されている。
【0063】ここで、このVVT12とOCV40間に
あって、ハウジング16とこれに収容される羽根車との
相対回動に必要な駆動力を伝達する作動油の油路P1及
びP2は、それぞれ図1において示したように、油路P
1にあってはカムシャフトジャーナル11a内部の油孔
45から油溝44を通じ、又油路P2にあっては同ジャ
ーナル11aの拡径部11bに形成された油孔53から
油溝50を通じて、これらVVT12とOCV40とを
連絡している。図7においては、これら2系統の油路P
1及びP2をそれぞれ油路P1a及びP2aとして概念
的に図示している。
【0064】本実施形態にあっては同図7に示されるよ
うに、遅角側の油路P2aが屈曲していて比較的その通
路長が長いのに対し、進角側の油路P1aは、直線的に
形成されていてその通路長が相対的に短くなり、かつ、
屈曲がないため液圧通路抵抗が小さくなっている。この
ため本実施形態のバルブタイミング制御装置において
は、OCV40より送出された油が進角側の第1油圧室
(図示略)に到達するまでの時間は、遅角側の第2油圧
室(図示略)に到達するまでの時間よりも短くなる。そ
してこの場合も、進角側への応答を補助するこのような
油路構造を採用したことで、VVT12においては、そ
の羽根車の進角方向への運動性が相対的に向上されるよ
うになる。
【0065】又、こうして羽根車の進角方向への運動性
が向上されることで、その応答性も改善され、先の図1
1に一点鎖線にて示されるように、進角側と遅角側と
で、ほぼ同等の応答性が得られるようになる。
【0066】以上説明したように、本実施形態によれば
以下に示す効果が得られる。 (b)本実施形態においては、VVT12の各油圧室と
OCV40間に形成される油路P1aとP2aのうち、
進角側の油路P1aが遅角側の油路P2aより短い。従
って、OCV40からの油の送出に対し、進角側の第1
油圧室には遅角側の第2油圧室よりも短い時間で同油が
到達することとなり、羽根車の進角方向への応答性も好
適に改善される。 (第3実施形態)次に、この発明の第3の実施形態を、
前記第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0067】本実施形態のバルブタイミング制御装置に
おいて、そのVVT12は、図8に示されるように、進
角側の第1油圧室30に面する受圧面と遅角側の第2油
圧室31に面する受圧面とでその受圧面積の異なる羽根
24aを有する羽根19aを採用している。又、羽根車
19aのこうした形状に応じて、そのハウジングも、同
図8に符号16aとして示される形状のものを採用して
いる。
【0068】本実施形態にあってはこのように、羽根車
19aとして上記受圧面積の異なる羽根24aを備えた
ものを採用しているため、オイルポンプからの油圧を受
けた4枚の羽根24aは、遅角方向に比べ進角方向への
作動時においてより大きな力を受けることとなる。すな
わちこの場合も、進角側への応答を補助するこのような
構造の採用により、羽根車19aは、同進角方向におい
てその運動性がより高まるようになる。
【0069】又、こうして羽根車の進角方向への運動性
が向上されることで、その応答性も改善され、先の図1
1に一点鎖線にて示されるように、進角側と遅角側と
で、ほぼ同等の応答性が得られるようになる。
【0070】以上説明したように、本実施形態によれば
以下に示す効果が得られる。 (c)本実施形態において、前記VVT12は羽根車1
9aが回転位相の変更時に油から受ける羽根24aの両
側の受圧面のうち、第1油圧室30側の受圧面が第2油
圧室31側の受圧面に比して大である。従って、油圧が
同等の場合でも受圧面全体にかかる力は進角側の第1油
圧室30側でより大きくなり、羽根車19aの進角方向
への応答性も好適に改善される。 (第4実施形態)次に、この発明の第4の実施形態を、
前記第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0071】図9は、本実施形態のバルブタイミング制
御装置のうち、そのVVT12について回転軸を中心に
ハウジング16内の油圧室30、31と羽根車19の形
状及び配置を示す断面図である。又、同図9の10−1
0線に沿った断面図が図10に示される。
【0072】図9に示すように、羽根車19は、第1の
実施形態と同様、4枚の羽根24によって各々その両側
を第1油圧室30と第2油圧室31に区画し、OCV
(図示略)からそれら油圧室30、31に供給される油
圧を駆動力としてハウジング16に対し進角方向又は遅
角方向に相対回動することで、バルブタイミングの変更
を可能としている。
【0073】又本実施形態にあっては、図9及び図10
に示すように、進角側の第1油圧室30に対応してその
ハウジング16と羽根車19とに例えば樹脂製からなる
堰71、72をそれぞれ設け、羽根車19とハウジング
16内周面との摺接面において、進角側の第2油圧室3
1に比べ、進角側の第1油圧室30の間隔が小さくなる
ようにしている。
【0074】すなわち、本実施形態では、VVT12内
において、羽根車19とハウジング16内周面との摺接
面の間隙が第1油圧室30側と第2油圧室31側で互い
に異なるため、VVT12の作動中における同間隙を通
じた油の漏出量も第1油圧室30と第2油圧室31とで
異なるようになる。具体的には、油の漏出量は第2油圧
室31より第1油圧室30において小さく、従って油密
性も第2油圧室31より第1油圧室30において相対的
に高い。
【0075】このため、VVT12にあっては、進角側
の第1油圧室30に供給された油圧がより有効に羽根車
19の回動に作用することとなる。すなわちこの場合
も、進角側への応答を補助するこのような構造の採用に
より、同羽根車19は進角方向への運動性が相対的に向
上されるようになる。
【0076】又、こうして羽根車の進角方向への運動性
が向上されることで、その応答性も改善され、先の図1
1に一点鎖線にて示されるように、進角側と遅角側と
で、ほぼ同等の応答性が得られるようになる。
【0077】以上説明したように、本実施形態によれば
以下に示す効果が得られる。 (d)本実施形態において、ハウジング16の内周面と
羽根車19の外周面間の摺接面に存在する間隙が、遅角
側の第2油圧室31側に比し、進角側の第1油圧室30
側において相対的に狭くなっている。従って、前記間隙
を通じて漏出する作動油は、第2油圧室31側に比し第
1油圧室30側においてより規制される。言い換えれ
ば、第1油圧室30の内部密閉性(油密性)が第2油圧
室31内に比し相対的に高まり、ポンプから供給される
油圧に対する羽根車19の進角方向への応答性が好適に
改善される。 (第5実施形態)次に、この発明の第5の実施形態を、
第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0078】本実施形態のバルブタイミング制御装置に
おいて、そのVVT12及びOCV40は、第1の実施
形態で示されたものとほぼ同一の構造及び機能を有して
いる(図1〜図5参照)。
【0079】すなわち同装置においても、吸気側カムシ
ャフト11の先端部に設けられたVVT12は、クラン
クシャフト(図示略)の駆動力がタイミングチェーンを
介して伝達されるスプロケット17、このスプロケット
17に固定され、同スプロケット17と一体に回転する
ハウジング16及びハウジングカバー20、そしてこの
ハウジング16の内部に配設され、前記吸気側カムシャ
フト11の先端に固定されて、同カムシャフト11と一
体に回転する羽根車(図示略)より構成されている。
【0080】又、図1に示されるように、進角側油路3
8は、ジャーナル11aの全周に形成された油溝44、
ジャーナル11aの内部に形成された油孔45を介し
て、カムシャフト11の内部に形成された油通路46に
通じている。
【0081】一方遅角側油路39は、シリンダヘッド1
4の上端部及びベアリングキャップ15に形成された油
溝50に通じている。拡径部11bに形成された油孔5
3は、この油溝50と、側板18の基端側面と拡径部1
1bの先端側面との間に形成された環状の油空間51と
を連通する。
【0082】ここで、上記ジャーナル11aにあって
は、シリンダヘッド14やベアリングキャップ15との
摺接部分においてそれぞれ進角側油路38と遅角側油路
39とに対するシールが施されるようになっており、本
実施形態にあっては特に、進角側油路38に対するシー
ル幅(図1に[a」として付記)が他方の遅角側油路3
9に対するシール幅(図1に「b」として付記)よりも
大きく形成されている。
【0083】このため、VVT12にあっては、前記進
角側に対応する第1油路P1における油密性は前記遅角
側に対応する第2油路P2における油密性に比して相対
的に高く、これによりポンプから供給される油の運動性
も進角側油路においてより向上されるようになる。
【0084】又、こうして羽根車の進角方向への運動性
が向上されることで、その応答性も改善され、先の図1
1に一点鎖線にて示されるように、進角側と遅角側と
で、ほぼ同等の応答性が得られるようになる。
【0085】以上説明したように、本実施形態によれば
以下に示す効果が得られる。 (e)本実施形態において、進角側に対応した第1油路
P1と、遅角側に対応した第2油路P2とを比べると、
第1油路P1が第2油路P2に比して相対的に高い油密
性を保持する。従って、ポンプから供給される油圧に対
して羽根車19の進角方向への応答性が好適に改善され
る。
【0086】なお、上記第1〜第5実施形態を以下のよ
うに変更して具体化することも可能である。 (1)上記シールプレート28に相当する封止部材は、
ハウジング16の突状部25と羽根車19のボス23と
の摺接面に設けてもよい。
【0087】(2)同封止部材は、ハウジング16の凹
部と羽根24との摺接面及び前記ハウジング16の突状
部25と羽根車19のボス23との摺接面の両方に設け
てもよい。
【0088】(3)羽根車19が有する羽根24の数
は、3以下、又は5以上でもよい。 (4)各実施形態においてはハウジング16はスプロケ
ット17に、羽根車19はカムシャフト11にそれぞれ
固定され連動するとしたが、異なる組合わせとして羽根
車19がスプロケット17に、そしてハウジング16が
カムシャフト11にそれぞれ固定され連動する機構とす
ることもできる。
【0089】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、次のような効果を奏する。請求項1に記載した
発明では、羽根車の進角方向への運動性が遅角方向に比
べて相対的に向上し、同羽根車の前記慣性力に起因する
進角方向への制御性の悪化が是正される。
【0090】請求項2に記載した発明では、バルブタイ
ミングを進角せしめる側の液室に対する作動液の流動性
が他の側の液室に対する作動液の流動性に比べて相対的
に向上し、ひいては羽根車の進角方向への応答性が好適
に向上する。
【0091】請求項3に記載した発明では、同一条件下
での上記バルブタイミングを進角せしめる側の液室に対
する作動液の単位時間当たり流量が他の側の液室に対す
る作動液の単位時間当たり流量に比べて相対的に増大
し、同バルブタイミングを進角せしめる側の液室に対す
る作動液の流動性向上が的確に図られる。
【0092】請求項4に記載した発明では、同一条件下
での上記バルブタイミングを進角せしめる側の液室に対
する作動液の同液室への単位量到達時間が他の側の液室
に対する作動液の同液室への単位量到達時間に比べて相
対的に短縮され、この場合も、同バルブタイミングを進
角せしめる側の液室に対する作動液の流動性向上が的確
に図られる。
【0093】請求項5に記載した発明では、バルブタイ
ミングを進角せしめる側の液室に面する受圧羽根の押力
が他の側の液室に面する同受圧羽根の押力に比べて相対
的に増大し、ひいては羽根車の進角方向への応答性が好
適に向上する。
【0094】請求項6に記載した発明では、バルブタイ
ミングを進角せしめる側の液室からの作動液の漏出量が
他の側の液室からの同作動液の漏出量に比べ相対的に減
少し、ひいては羽根車の進角方向への応答性が好適に向
上する。
【0095】請求項7に記載の発明では、バルブタイミ
ングを進角せしめる側の液室からの作動液の漏出量減少
が的確に図られ、同液室の液密性が向上する。請求項8
に記載した発明では、第1及び第2の液室のうちの前記
バルブタイミングを進角せしめる側の液室へ作動液を供
給する作動液供給通路における作動液の漏出量が、他の
側の液室への作動液供給通路における作動液の漏出量に
比べ相対的に減少し、ひいては羽根車の進角方向への応
答性が好適に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるバルブタイミング制御装置の第
1の実施形態を示す断面図。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図。
【図3】OCVの作動様態の一例を示す断面図。
【図4】羽根及びシールプレート等を拡大して示す断面
図。
【図5】図4の5−5線に沿った断面図。
【図6】同第1の実施形態の要部構造を模式的に示す概
略図。
【図7】第2の実施形態の要部構造を模式的に示す斜視
図。
【図8】第3の実施形態の要部構造を模式的に示す断面
図。
【図9】第4の実施形態の要部構造を模式的に示す断面
図。
【図10】図9の10−10線に沿った断面図。
【図11】バルブタイミング変更指令に対するVVTの
応答性を示すグラフ。
【図12】従来のバルブタイミング制御装置の一例を示
す概略図。
【符号の説明】
11…吸気側カムシャフト、12…VVT(バルブタイ
ミング可変機構)、14…内燃機関の一部を構成するシ
リンダヘッド、16,16a…ハウジング、17…スプ
ロケット、18…側板、19,19a…羽根車、20…
ハウジングカバー、23…ボス、24,24a…羽根
(受圧羽根)、25…突状部、28…封止部材としての
シールプレート、30…第1圧力室、31…第2圧力
室、71,72…堰、P1,P1a,P2,P2a…油
通路。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の出力軸及びカムシャフトの一
    方に連動して回転するとともに内部に凹部を有するハウ
    ジングと、同機関出力軸及びカムシャフトの他方に連結
    されてこのハウジング内に回動自在に収容されるととも
    に、同ハウジングの前記凹部を区画する受圧羽根を有し
    てその両側に第1及び第2の液室を形成する羽根車とを
    備え、該形成される液室への液圧制御に基づくそれらハ
    ウジング及び羽根車の相対回転位相の変更に応じて前記
    カムシャフトにより開閉駆動されるバルブのバルブタイ
    ミングを制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置
    において、 前記第1及び第2の液室のうちの前記バルブタイミング
    を進角せしめる側の液室に対する液圧制御に基づく前記
    羽根車の運動性を他の側の液室に対する液圧制御に基づ
    く同羽根車の運動性よりも高める進角応答補助機構を備
    えることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の内燃機関のバルブタイミ
    ング制御装置において、 前記進角応答補助機構は、前記第1及び第2の液室のう
    ちの前記バルブタイミングを進角せしめる側の液室に対
    する液圧通路の通路抵抗を他の側の液室に対する液圧通
    路の通路抵抗よりも小としたものであることを特徴とす
    る内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第1及び第2の液室のうちの前記バ
    ルブタイミングを進角せしめる側の液室に対する液圧通
    路は他の側の液室に対する液圧通路よりもその通路断面
    積が大きい請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミン
    グ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2の液室のうちの前記バ
    ルブタイミングを進角せしめる側の液室に対する液圧通
    路は他の側の液室に対する液圧通路よりもその通路長が
    短い請求項2記載の内燃機関のバルブタイミング制御装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の内燃機関のバルブタイミ
    ング制御装置において、 前記進角応答補助機構は、前記第1及び第2の液室のう
    ちの前記バルブタイミングを進角せしめる側の液室に面
    する前記受圧羽根の受圧面積を他の側の液室に面する同
    受圧羽根の受圧面積よりも大としたものであることを特
    徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の内燃機関のバルブタイミ
    ング制御装置において、 前記進角応答補助機構は、前記第1及び第2の液室のう
    ちの前記バルブタイミングを進角せしめる側の液室の液
    密性を他の側の液室の液密性よりも大としたものである
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装
    置。
  7. 【請求項7】 前記ハウジングと前記羽根車とはその摺
    接面に所定の間隙を有して相対回転するものであり、前
    記第1及び第2の液室のうちの前記バルブタイミングを
    進角せしめる側の液室に対応して設けられる間隙は他の
    側の液室に対応して設けられる間隙よりも小さい請求項
    6記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のバルブタイミング制御装
    置において、前記進角応答補助機構は、前記第1及び第
    2の液室のうちの前記バルブタイミングを進角せしめる
    側の液室へ作動液を供給する作動液供給通路の液密性を
    他の側の液室への作動液供給通路の液密性よりも大とし
    たものであることを特徴とする内燃機関のバルブタイミ
    ング制御装置。
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