JPH1017325A - 酸化インジウム粉末及びその製造方法 - Google Patents

酸化インジウム粉末及びその製造方法

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JPH1017325A
JPH1017325A JP19298596A JP19298596A JPH1017325A JP H1017325 A JPH1017325 A JP H1017325A JP 19298596 A JP19298596 A JP 19298596A JP 19298596 A JP19298596 A JP 19298596A JP H1017325 A JPH1017325 A JP H1017325A
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JP
Japan
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indium
oxide powder
indium oxide
hydroxide
powder
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JP19298596A
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English (en)
Inventor
Masaya Yukinobu
雅也 行延
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 形状異方性を有し、適度な大きさで凝集が起
こりにくいITO粉末製造用の酸化インジウム粉末、及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 長径の平均が1〜2μm、短径の平均が
0.1〜0.2μm、長径の短径に対する比の平均が5〜
10の棒状粒子からなる酸化インジウム粉末。この酸化
インジウム粉末は、塩化インジウムを含む溶液に尿素を
添加した後、加熱して水酸化インジウムを析出させ、そ
の析出開始から30分以内に析出した水酸化インジウム
を分離回収し、仮焼する方法により製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インジウム−錫酸
化物(ITO)粉末の製造に用いる酸化インジウム粉
末、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】透明電極用塗料の導電フィラーとして用
いられるITO粉末では、その各粉末粒子が球状である
よりも棒状又は鱗片状等の形状異方性を有する方が、膜
形成した場合に導電パスが形成されやすく、従って少量
で導電性を発現しやすいため望ましいとされている。
【0003】そこで、形状異方性を有するITO粒子の
製造が種々検討され、その主なものとして湿式反応によ
り液相から直接ITO粉末を生成させる方法がある。例
えば特開平6−227815号公報には、塩化インジウ
ムと塩化スズの水溶液のアンモニア中和によって、短径
0.05〜0.07μm、長径0.3〜0.35μmの針状
のITO粉末を得た例が見られる。しかし、このような
液相から直接ITO粉末を製造する方法では、安定して
形状異方性を有するITO粉末を得ることが難しく、し
かもインジウムと錫の析出速度が異なると組成が不均一
になりやすいという問題がある。
【0004】一方、形状異方性を有する酸化インジウム
粉末を形成した後、これに錫をドープして焼成すること
によりITO粉末を製造する方法も検討されている。例
えば特開平4−325415号公報には、硝酸インジウ
ム水溶液のアンモニア水中和により0.03〜0.3μm
の針状の水酸化インジウム粉末を得た後、これを仮焼す
ることにより酸化インジウム粉末を製造する方法が開示
されている。しかし、得られる酸化インジウム粉末は
0.3〜0.8μmの塊状となっており、個々の形状が針
状であるか否か明確な記載はない。
【0005】いずれにしても、上記した従来の方法で
は、形状異方性を有する酸化インジウム粉末ないしはI
TO粉末を安定して得ることは難しく、しかも得られる
粉末粒子は平均粒径が0.5μm以下の微細な粒子であ
るから、それらは凝集して大きな塊状になりやすく、透
明電極用塗料の導電フィラーとして満足できるものでは
なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の事情に鑑み、ITO粉末の製造に用いる酸化イン
ジウム粉末であって、形状異方性を有すると共に、適度
な大きさであって凝集が起こりにくい酸化インジウム粉
末を提供すること、及びこの酸化インジウム粉末を簡単
に且つ安定して製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する酸化インジウム粉末は、主に、長
径の平均が1〜2μm、短径の平均が0.1〜0.2μ
m、長径の短径に対する比の平均が5〜10の酸化イン
ジウムの棒状粒子からなることを特徴とするものであ
る。
【0008】また、この酸化インジウム粉末の本発明に
よる製造方法は、塩化インジウムを含む溶液に尿素を添
加した後、加熱して水酸化インジウムを析出させ、水酸
化インジウムの析出開始から30分以内に析出した水酸
化インジウムを全て分離回収し、得られた水酸化インジ
ウムを仮焼することを特徴とする。
【0009】この酸化インジウム粉末の製造方法におい
ては、上記のごとく析出した水酸化インジウムを分離回
収した後、その濾液を再び加熱して水酸化インジウムを
析出させ、析出開始から30分以内に分離回収する操作
を繰り返すことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明方法では、塩化インジウム
水溶液の尿素を用いた中和反応により水酸化インジウム
を析出させ、その析出反応を長く継続させず、30分以
内で析出した酸化インジウムを分離回収する。この方法
により、棒状の水酸化インジウム粉末が得られ、更にこ
れを仮焼することで、長径の平均が1〜2μm、短径の
平均が0.1〜0.2μmで、アスペクト比の平均が5〜
10の棒状酸化インジウム粒子から主になる酸化インジ
ウム粉末を得ることができる。
【0011】塩化インジウムの中和反応に尿素を用いる
のは、加熱により尿素が徐々に分解してアンモニアが生
成し、このアンモニアにより下記化学式1に示す中和反
応が液全体にゆっくり起こるため、水酸化インジウムが
棒状に析出しやすいからである。水溶液にアンモニアを
直接添加したのでは、中和反応が局所的に且つ瞬時に起
こるため、棒状の水酸化インジウムを析出させることは
困難である。
【0012】
【化1】In3++3/2(NH2)2CO+9/2H2O→
In(OH)3↓+3NH4 ++3/2CO2
【0013】塩化インジウム水溶液は、水溶液中の全イ
ンジウムの50%以上を塩化インジウムとすることが好
ましい。残りの部分は、例えば硝酸インジウム等の他の
インジウム塩を用いることも可能である。また、水溶液
中のインジウム濃度は、5〜100g/lとすることが
好ましい。インジウム濃度が5g/l未満では希薄すぎ
るため生産性が低下し、逆に100g/lを越えると濃
厚すぎるため析出する水酸化インジウム粒子が凝集しや
すくなるからである。
【0014】上記塩化インジウム水溶液に尿素を溶解し
た後、加熱することにより尿素の分解が生じ、上記化学
式1の中和反応が進行する。中和に用いる尿素の量は、
化学式1の反応当量の2〜10倍当量が好ましい。尿素
の分解はおよそ80℃以上で始まり、中和反応により水
溶液のpHが上昇してくると水酸化インジウムの析出に
伴って水溶液が白濁し始める。この時点から反応を30
分以内にとどめ、析出した水酸化インジウムを全て分離
回収する。30分を越えて反応を継続させると、針状の
水酸化インジウム粒子に混って、立方形状の粒子が混在
してくるため好ましくない。
【0015】このように、30分以内の反応時間で一旦
棒状粒子を分離回収した後、回収後の濾液を再び加熱す
れば、中和反応が続行されて、棒状の水酸化インジウム
が再び析出を開始する。従って、この析出開始から30
分以内に、析出した水酸化インジウムを全て分離回収す
れば良い。以上の操作を繰り返し行うことで、立方形状
粒子の発生がなく、棒状の水酸化インジウム粉末のみを
得ることができる。尚、析出した水酸化インジウム粒子
の水溶液からの分離回収は、濾過等の通常の方法で行う
ことができる。
【0016】析出反応を30分を越えて継続することで
棒状粒子中に立方形状の粒子が混在してくる原因につい
ては明らかではないが、水酸化インジウムは棒状粒子に
比べて立方形状粒子が安定なために、反応時間の経過に
伴って棒状粒子が消失して徐々に立方形状の粒子に変化
するものと考えられる。
【0017】かくして得られた棒状の水酸化インジウム
粉末を300℃〜1300℃で仮焼することにより、水
酸化インジウムが脱水され、棒状の酸化インジウム粉末
を得ることができる。尚、高温で仮焼した方が、棒状の
酸化インジウム粒子を構成する個々の微細な1次粒子の
大きさが大きくなる。
【0018】
【実施例】実施例1 インジウムメタルを当量の1.2倍の濃塩酸に溶解し
て、塩化インジウム水溶液(インジウム;337g/
l、液比重;1.61)を得た。この塩化インジウム水
溶液76.4gに尿素50.1gを加え、更に純水を加え
て液量を800mlとし、均一な水溶液(インジウム;
20g/l、尿素;4倍当量)とした。
【0019】この水溶液を加熱して沸騰させ、尿素が分
解して生成するアンモニアにより、塩化インジウムの中
和反応を行った。析出物により水溶液が白濁しはじめて
から25分後に、水溶液の約半分を分取し、残りの約半
分の水溶液はそのまま反応を継続させた。
【0020】分取した約半分の水溶液を濾別して、析出
している水酸化インジウムを回収した。得られた水酸化
インジウム粉末を400℃で仮焼し、酸化インジウム粉
末を得た。得られた酸化インジウム粉末は、図1の走査
型電子顕微鏡写真に示すように、棒状の酸化インジウム
粒子のみからなっていた。また、この棒状粒子は、長径
の平均が1〜2μm、短径の平均が0.1〜0.2μm、
アスペクト比の平均が5〜10の範囲に含まれていた。
【0021】上記のごとく濾別により棒状の水酸化イン
ジウムを分離した濾液は、再び加熱して沸騰させ、20
分間の中和反応を行った後、析出した水酸化インジウム
の分離回収及び仮焼を同様に行い、図2の走査型電子顕
微鏡写真に示す棒状粒子のみからなる酸化インジウム粉
末を得た。
【0022】一方、先の中和反応において、水溶液が白
濁し始めてから25分後に約半分を分取した残りの水溶
液は、引き続き反応を進め、上記白濁の開始から40分
間反応を続行した。この水溶液から分離回収して得られ
た水酸化インジウム粒子は、図3の走査型電子顕微鏡写
真に示すように、棒状粒子が少なく、立方形状の粒子が
多く存在していた。この粉末を400℃で仮焼して得ら
れた酸化インジウム粉末も、同様に棒状粒子と立方形状
粒子が混在していた。
【0023】実施例2 実施例1で用いた塩化インジウム水溶液16.0gに、
インジウムメタルを濃硝酸に溶解して得た硝酸インジウ
ム溶液(インジウム;500g/l、液比重;1.9
3)2.4gと尿素12.5gを加え、更に純水を加えて
液量100mlの均一な水溶液(インジウム;40g/
l、尿素;4倍当量)とした。
【0024】この水溶液を加熱して沸騰させ、実施例1
と同様に中和反応を行った。水溶液が白濁し始めてから
30分後に、析出した水酸化インジウムを濾過により全
て分離回収した。その水酸化インジウム粉末を500℃
で仮焼して、殆どが棒状の酸化インジウム粒子からなる
粉末を得た。この棒状の酸化インジウム粉末の走査型顕
微鏡写真を図4に示す。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、平均で長径が1〜2μ
m、短径が0.1〜0.2μmで、アスペクト比が5〜1
0の棒状粒子からなる、形状異方性を有する酸化インジ
ウム粉末を提供することができる。この棒状の酸化イン
ジウム粉末は、適度な大きさで凝集が起こりにくく、透
明電極用塗料の導電フィラーとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で析出開始から25分後に分離回収し
た水酸化インジウムを仮焼して得られた酸化インジウム
粉末の走査型電子顕微鏡写真(8000倍)である。
【図2】実施例1で水酸化インジウムを分離回収した濾
液を再加熱し、その析出開始から20分後に分離回収し
た水酸化インジウムを仮焼して得られた酸化インジウム
粉末の走査型電子顕微鏡写真(8000倍)である。
【図3】実施例1において析出開始から40分後に分離
回収した水酸化インジウム粉末の走査型電子顕微鏡写真
(8000倍)である。
【図4】実施例2で析出開始から30分後に分離回収し
た水酸化インジウムを仮焼して得られた酸化インジウム
粉末の走査型電子顕微鏡写真(8000倍)である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主に、長径の平均が1〜2μm、短径の
    平均が0.1〜0.2μm、長径の短径に対する比の平均
    が5〜10の酸化インジウムの棒状粒子からなる酸化イ
    ンジウム粉末
  2. 【請求項2】 塩化インジウムを含む溶液に尿素を添加
    した後、加熱して水酸化インジウムを析出させ、水酸化
    インジウムの析出開始から30分以内に析出した水酸化
    インジウムを全て分離回収し、得られた水酸化インジウ
    ムを仮焼することを特徴とする酸化インジウム粉末の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 析出した水酸化インジウムを分離回収し
    た後、その濾液を再び加熱して水酸化インジウムを析出
    させ、その析出開始から30分以内に分離回収する操作
    を繰り返すことを特徴とする、請求項2に記載の酸化イ
    ンジウム粉末の製造方法。
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