JPH10171139A - 電荷輸送性材料及びそれを用いた電子写真用感光体 - Google Patents

電荷輸送性材料及びそれを用いた電子写真用感光体

Info

Publication number
JPH10171139A
JPH10171139A JP32995596A JP32995596A JPH10171139A JP H10171139 A JPH10171139 A JP H10171139A JP 32995596 A JP32995596 A JP 32995596A JP 32995596 A JP32995596 A JP 32995596A JP H10171139 A JPH10171139 A JP H10171139A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
charge
substituted
resin
phthalocyanine
charge transporting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32995596A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Iwasaki
真宏 岩崎
Katsumi Nukada
克己 額田
Wataru Yamada
渉 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP32995596A priority Critical patent/JPH10171139A/ja
Publication of JPH10171139A publication Critical patent/JPH10171139A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解性、成膜性、機械的強度、繰り返し安定
性に優れた電荷輸送性ポリマー、及び、該ポリマーを用
いた電子写真用感光体を提供しようとするものである。 【解決手段】 下記一般式(I)で表されるポリエステ
ルを含有する電荷輸送材料、及び、該電荷輸送材料を感
光層又は電荷輸送層に含有する電子写真用感光体であ
る。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、電子写真用感光体
や有機電界発光素子などに用いる電荷輸送性材料及び該
電荷輸送性材料を用いた電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルカルバゾール(PVK)に代
表される電荷輸送性ポリマーは、電子写真用感光体の光
導電材料や、第36回応用物理学関係連合講演会予稿集
31p−K−12(1990)などに記載されたよう
な、有機電界発光素子材料として有望なものである。こ
れらはともに層を形成させて電荷輸送層として使用す
る。ここで電荷輸送層を形成する材料としては、PVK
に代表される電荷輸送性ポリマーと、電荷輸送性の低分
子化合物をポリマー中に分散した低分子分散系のものと
がよく知られている。
【0003】有機電界発光素子では、低分子の電荷輸送
材料を蒸着して用いるのが一般的である。また、低分子
分散系のものは、材料の多様性があり、高機能のものが
得られやすいことから、特に電子写真用感光体では主流
になっている。
【0004】電子写真用感光体に関しては、近年、有機
感光体の高性能化に伴い、高速の複写機やプリンターに
も使用されるようになってきたが、高速の複写機やプリ
ンターに用いる場合、必ずしも現在の性能では十分でな
く、特に有機感光体については、一層長寿命化すること
が切望されている。
【0005】有機感光体の寿命を決定する重要な因子の
一つが電荷輸送層の磨耗である。現在の主流である低分
子分散系の電荷輸送層については、電気的な特性に関し
ては十分に満足できる性能のものが得られつつあるが、
低分子化合物をポリマー中に分散して用いるため、本質
的には機械的強度が劣り、磨耗に対して弱いという欠点
があった。
【0006】また、有機電界発光素子の場合には、発生
するジュール熱により、低分子の電荷輸送材料が溶融
し、結晶化などによる膜のモルホロジー変化が起こりや
すいという欠点があった。
【0007】これに対し、電荷輸送性ポリマーは、上記
の欠点を大きく改善できる可能性があるため、現在盛ん
に研究されている。例えば、米国特許第4806443
号明細書には、電荷輸送性ポリマーとして特定のジヒド
ロキシアリールアミンとビスクロロホルメートを重合し
たポリカーボネートが記載され、米国特許第48064
44号明細書には、特定のジヒドロキシアリールアミン
とホスゲンを重合したポリカーボネートが記載されてい
る。
【0008】また、米国特許第4801517号明細書
には、電荷輸送性ポリマーとしてビスヒドロキシアルキ
ルアリールアミンとビスクロロホルメート又はホスゲン
を重合したポリカーボネートが記載され、米国特許第4
937165号明細書及び米国特許第4959288号
明細書には、特定のジヒドロキシアリールアミン又はビ
スヒドロキシアルキルアリールアミンとビスクロロホル
メートを重合したポリカーボネート、又は、特定のジヒ
ドロキシアリールアミン又はビスヒドロキシアルキルア
リールアミンとビスアシルハライドを重合したポリエス
テルが記載されている。
【0009】さらに、米国特許第5034296号明細
書には、電荷輸送性ポリマーとして特定のフルオレン骨
格を有するアリールアミンのポリカーボネート又はポリ
エステルが記載され、また、米国特許第4983482
号明細書には、特定のフルオレン骨格を有するアリール
アミンのポリウレタンが記載されている。
【0010】さらにまた、特公昭59ー28903号公
報には、電荷輸送性ポリマーとして特定のビススチリル
ビスアリールアミンを主鎖としたポリエステルが記載さ
れ、また、特開昭61ー20953号公報、特開平1ー
134456号公報、特開平1ー134457号公報、
特開平1ー134462号公報、特開平4ー13306
5号公報、特開平4ー133066号公報、特開平6ー
236049号公報、、特開平6ー295077号公
報、特開平7ー325409号公報などには、ヒドラゾ
ンや、トリアリールアミンなどの電荷輸送性の置換基を
ペンダントとしたポリマー及びそれを用いた感光体が記
載されている。
【0011】特に、テトラアリールベンジジン骨格を有
するポリマーは、"The Sixth International Congress
on Advances in Non-impact Prrinting Technologies,
306(1990)" にも報告されているように、モビリティー
が高く、実用性の高いものである。このように、電荷輸
送性ポリマーは低分子分散系での欠点を解決すべく、盛
んに研究されてはいるものの、機械的強度に優れ、かつ
モビリティーも十分高く、電気特性の繰り返し安定性が
高いものは、現在でも満足できるものがなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、こ
れらの問題点を解消し、溶解性、成膜性はもとより機械
的強度に優れ、高い光感度と繰り返し安定性に優れた電
荷輸送性ポリマー、及び、該ポリマーを用いた電子写真
用感光体を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問
題点に鑑み鋭意検討した結果、下記一般式(I)で表さ
れる電荷輸送性ポリエステルが機械的強度に優れ、これ
を用いた感光体は、高い繰り返し安定性を確保できるこ
とを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明の構成
は次のとおりである。
【0014】(1) 下記一般式(I)で表されるポリエス
テルを含有する電荷輸送材料。
【0015】
【化2】
【0016】(式中、Xは水素、置換又は未置換のアル
キル基、置換又は未置換のアリール基を示し、R1 、R
2 はそれぞれ独立に水素、アルコキシ基、ハロゲン、置
換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール
基、Yは置換又は未置換の2価のアルキル基、又は、置
換又は未置換の2価のアリール基を示す。また、Tは枝
分かれしてもよい2価の脂肪族基を示し、nは0又は1
を示す。Ar1 、Ar2はそれぞれ独立に置換又は未置
換のアリール基を示す。mは5〜5000の整数を示
す。)
【0017】(2) 導電性支持体上に感光層を設けてなる
電子写真用感光体において、上記の一般式(I)で表さ
れる電荷輸送性ポリエステルを少なくとも1種以上、前
記感光層に含有することを特徴とする電子写真用感光
体。 (3) 導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層を設け
てなる電子写真用感光体において、上記の一般式(I)
で表される電荷輸送性ポリエステルを少なくとも1種以
上、前記電荷輸送層に含有することを特徴とする電子写
真用感光体。
【0018】(4) 感光層に含有される電荷輸送材料とし
て、上記の一般式(I)で表される電荷輸送性ポリエス
テルを少なくとも1種以上含有し、かつ、電荷発生材料
として、ハロゲン化ガリウムフタロシアニン、ハロゲン
化スズフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシア
ニン及びオキシチタニルフタロシアニンの群から選択さ
れる1種以上含有することを特徴とする上記(2) 又は
(3) 記載の電子写真用感光体。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明で使用する電荷輸送性ポリ
エステルは、上記の一般式(I)で表すことができる。
式中の、置換基Xは〔化3〕、Yは〔化4〕、Tは〔化
5〕に記載の基からそれぞれ選択される。またR1 及び
2 は〔化6〕、Ar1 及びAr2 は〔化7〕に記載の
基から独立して選択される。なお、Ar1 及びAr2
少なくとも一方は、2つ以上の共役したビフェニル等の
芳香族を有する方が光酸化に対して安定であり好まし
い。
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】本発明の電荷輸送性ポリエステルは、下記
一般式(A)で表される側鎖にトリフェニルアミン骨格
を有するビスフェノール成分と、一般式(B)で表され
る二酸塩化物との重縮合で合成可能である。また、一般
式(B)の代わりに、一般式(C)のジエステル成分と
のエステル交換反応によっても合成可能である。ここ
で、R3 はメチル、エチル、プロピル等のアルキル基を
示す。なお、R1 、R2は一般式(I)と同じである。
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】〔一般式(A)と二酸塩化物(B)から触
媒重合法で合成する方法〕一般式(A)と二酸塩化物
(B)を等量混合し、ピリジンやトリエチルアミンなど
の有機塩基性触媒を用いて重合する。有機塩基性触媒
は、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1〜10当
量、好ましくは2〜5当量の範囲で用いられる。溶剤と
しては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(TH
F)、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレ
ンなどが有効であり、電荷輸送性モノマー1重量部に対
して、1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部の
範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できる。
【0030】反応終了後、反応溶液をそのまま、メタノ
ール、エタノールなどのアルコール類や、アセトンなど
のポリマーを溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、電荷輸送
性ポリマーを析出させ、分離した後、水や有機溶剤で十
分に洗浄し、乾燥させる。さらに、必要であれば適当な
有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポ
リマーを析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。
【0031】再沈殿処理の際には、メカニカルスターラ
ーなどで、効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。
再沈殿処理の際に、電荷輸送性ポリマーを溶解する溶剤
は、電荷輸送性ポリマー1重量部に対して、1〜100
重量部、好ましくは2〜50重量部の範囲で用いられ
る。また、貧溶剤は電荷輸送性ポリマー1重量部に対し
て、1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量
部の範囲で用いられる。
【0032】〔一般式(A)と二酸塩化物(B)から界
面重合法で合成する方法〕また、界面重合法で合成する
こともできる。即ち、一般式(A)のフェノール類を水
に加え、当量以上の塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等)を加えて溶解した後、激しく撹拌しながら2
価フェノール類と当量の二酸塩化物(B)の溶液を加え
て重合する。その際、水はビスフェノール類(A)1重
量部に対して、1〜1000重量部、好ましくは2〜5
00重量部の範囲で用いられる。
【0033】ビスフェノール類(A)がアルカリ水溶液
に溶け難いときには、メタノール、エタノール、アセト
ン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン
など、水に任意に混じる副溶媒を適量添加することもで
きる。二酸塩化物(B)を溶解する溶剤としては、塩化
メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トルエ
ン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどが有効
である。反応温度は任意に設定でき、反応を促進するた
めに、アンモニウム塩、スルホニウム塩などの相間移動
触媒を用いることが有効である。相間移動触媒は、電荷
輸送性モノマー1重量部に対して、0.1〜10重量
部、好ましくは0.2〜5重量部の範囲で用いられる。
重合後、上記と同様に再沈殿処理して精製してもよい。
【0034】〔一般式(A)とジエステル(C)から合
成する方法〕一般式(A)とジエステル(C)を等量混
合し、硫酸、リン酸などの無機酸、チタンアルコキシ
ド、カルシウム、コバルトなどの酢酸塩又は炭酸塩、亜
鉛や鉛の酸化物を触媒に用いて加熱し、エステル交換に
より合成する。反応は、反応温度200〜300℃で行
い、アルコール成分の脱離による重合を促進するために
0.01〜100mmHg、特に0.05〜20mmHgの範囲
で減圧して反応させることが好ましい。また、アルコー
ル成分を脱離しやすくするために共沸可能な1ークロロ
ナフタレンなどの高沸点溶剤を用いて、常圧下でアルコ
ールを共沸で除きながら反応させることもできる。重合
後、上記と同様に再沈殿処理して精製してもよい。
【0035】本発明の電荷輸送性ポリエステルは、一般
式(B)の二酸塩化物又は(C)のジエステル成分を種
々選択することにより、相溶性や成膜性などのポリマー
物性を制御することが可能である。また、一般式(A)
のビスフェノール成分を2種以上、好ましくは2〜5
種、さらに好ましくは2〜3種用いることにより、ポリ
マーの合成が可能となる。電荷輸送性ポリマーの重合度
mは、低過ぎると成膜性が劣り、強固な膜を得ることが
難しく、また、高過ぎると溶剤への溶解度が低くなり、
加工性が悪くなるため、5〜5000、好ましくは10
〜3000、より好ましくは15〜1000の範囲で設
定される。
【0036】本発明の上記一般式(I)で示される電荷
輸送性ポリマーの具体例を表1〜11に示すが、これら
に限定されるものではない。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】
【表9】
【0046】
【表10】
【0047】
【表11】
【0048】また、本発明の電荷輸送性ポリマーは、こ
れまでに提案されているビスアゾ顔料、トリスアゾ願
料、フタロシアニン顔料、スクアリリウム顔料、ペリレ
ン顔料、ジブロモアントアントロンなど、全ての電荷発
生材料と組み合せて用いることができる。その中でも、
本発明者等が先に提案した特開平5ー98181号公報
に記載のハロゲン化ガリウムフタロシアニン結晶、特開
平5ー140472号公報及び特開平5ー140473
号公報に記載のハロゲン化スズフタロシアニン結晶、特
開平5ー263007号公報及び特開平5ー27959
1号公報に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結
晶、特開平4−189873号公報及び特開平5ー43
813号公報に記載のオキシチタニルフタロシアニン水
和物結晶などを用いることにより、特に高感度で、繰り
返し安定性に優れる電子写真感光体を得ることができ
る。
【0049】さらに、本発明に用いる結晶型クロロガリ
ウムフタロシアニンは、特開平5ー98181号公報に
記載したように、公知の方法で製造されるクロロガリウ
ムフタロシアニン結晶を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミ
ル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等
で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後溶剤と共にボー
ルミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉
砕処理を行うことによって製造できる。
【0050】その際に用いる溶剤は、芳香族類(トルエ
ン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムア
ミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類
(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多
価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポ
リエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベン
ジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル
類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセト
ン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキサイ
ド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン等)、これら数種の混合系、水とこれらの有機溶剤の
混合系などを挙げることができる。
【0051】使用される溶剤は、クロロガリウムフタロ
シアニン1重量部に対して、1〜200重量部、好まし
くは10〜100重量部の範囲で用いる。上記の処理温
度は、0℃〜溶剤の沸点までの範囲、好ましくは10〜
60℃の範囲が適当である。また、粉砕の際に食塩、ぼ
う硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は顔
料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍用い
る。
【0052】結晶型ジクロロスズフタロシアニンは、特
開平5ー140472号公報及び特開平5ー14047
3号公報に記載したように、公知の方法で製造されるジ
クロロスズフタロシアニン結晶を、前記のクロロガリウ
ムフタロシアニンと同様に粉砕、溶剤処理することによ
り得ることができる。
【0053】結晶型ヒドロキシガリウムフタロシアニン
は、特開平5ー263007号公報及び特開平5ー27
9591号公報に記載したように、公知の方法で製造し
たクロロガリウムフタロシアニン結晶を、酸又はアルカ
リ性溶液中での加水分解又はアシッドペースティングを
行ってヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を合成
し、直接溶剤処理を行うか、又は、合成によって得たヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン結晶を溶剤と共にボー
ルミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉
砕処理を行うか、溶剤を用いずに乾式粉砕処理を行った
後に溶剤処理して製造することができる。
【0054】上記の処理において使用する溶剤は、芳香
族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメ
チルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族
アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール
等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、
グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アル
コール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール
等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケ
トン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチル
スルホキサイド、エーテル類(ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン等)、さらに、これら数種の混合系、水
とこれら有機溶剤との混合系などである。
【0055】使用される溶剤は、ヒドロキシガリウムフ
タロシアニン1重量部に対して、1〜200重量部、好
ましくは10〜100重量部の範囲で用いる。処理温度
は、0〜150℃、好ましくは室温〜100℃の範囲で
行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用
いることもできる。磨砕助剤は顔料1部に対し0.5〜
20倍、好ましくは1〜10倍用いる。
【0056】結晶型オキシチタニルフタロシアニンは、
特開平4−189873号公報及び特開平5ー4381
3号公報に記載されているように、公知の方法で製造さ
れたオキシチタニルフタロシアニン結晶をアシッドペー
スティングするか、又は、ボールミル、乳鉢、サンドミ
ル、ニーダー等を用い、無機塩と共にソルトミリングを
行って、X線回折スペクトルにおいて27.2°にピー
クを持つ、比較的結晶性の低いオキシチタニルフタロシ
アニン結晶とした後、直接溶剤処理を行うか、又は、溶
剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を
用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することが
できる。
【0057】アシッドペースティングに用いる酸として
は、硫酸が好ましく、濃度70〜100%、好ましくは
95〜100%のものが使用され、溶解温度は、−20
〜100℃、好ましくは0〜60℃の範囲に設定され
る。濃硫酸の量は、オキシチタニルフタロシアニン結晶
の重量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍
の範囲に設定される。析出させる溶剤としては、水、又
は、水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられ、水
とメタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、又
は、水とベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤の混合溶
剤が特に好ましい。析出させる温度については特に制限
はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好
ましい。
【0058】また、オキシチタニルフタロシアニン結晶
と無機塩との比率は、重量比で1/0.1〜1/20
で、1/0.5〜1/5の範囲が好ましい。上記の溶剤
処理に使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロ
ベンゼン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタ
ノール、ブタノール等)、ハロゲン系炭化水素類(ジク
ロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン等)、又
は、これらの数種の混合系、水とこれら有機溶剤の混合
系などを挙げることができる。使用される溶剤は、オキ
シチタニルフタロシアニン100重量部に対して、1〜
100重量部、好ましくは5〜50重量部の範囲で用い
る。処理温度は、室温〜100℃、好ましくは50〜1
00℃の範囲で行う。磨砕助剤は顔料に対し0.5〜2
0倍、好ましくは1〜10倍用いる。
【0059】図1〜6は、本発明の電子写真用感光体の
断面を示す模式図である。図1の感光体は、導電性支持
体3上に電荷発生層1が設けられ、その上に電荷輸送層
2が設けたものである。図2の感光体は、導電性支持体
3上に下引層4を設け、さらにその上に図1の感光体の
各層を設けたものである。図3の感光体は、図1の感光
体の表面に保護層5を設けたものである。図4の感光体
は、図2の感光体の表面に保護層5を設けたものであ
る。図5及び図6の感光体は単層構成のもので、図5の
感光体は、導電性支持体3上に電荷発生材料及び電荷輸
送材料を含有する感光層6のみを設けたものであり、図
6の感光体は、図5の感光体の導電性支持体3と感光層
6の間に下引層4を設けたものである。
【0060】導電性支持体は、アルミニウム、ニッケ
ル、クロム、ステンレス鋼等の金属、又は、アルミニウ
ム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス、金、
バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO(Indium
Tin Oxide)等の薄膜をこーとしたプラスチックフィル
ム、又は、導電性付与剤を塗布若しくは含浸させた紙若
しくはプラスチックフィルム等を挙げることができる。
これらの導電性支持体は、ドラム状、シート状、プレー
ト状等の種々の形状で使用されるが、これらに限定され
るものではない。
【0061】また、導電性支持体の表面は、必要に応
じ、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことがで
きる。例えば、表面の酸化処理、薬品処理、着色処理な
ど、また、砂目立て等の乱反射処理などを行うことがで
きる。他方、導電性支持体と電荷発生層又は感光層との
間に下引層を設けてもよい。この下引層は積層構造から
なる感光体の帯電時に導電性支持体から感光層への電荷
の注入を阻止するとともに、感光層を導電性支持体に対
して一体的に接着保持させる接着層としての作用、場合
によっては導電性支持体の光の反射防止作用等を示す。
【0062】この下引層に用いる結着樹脂は、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタク
リル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、
ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステ
ル樹脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリ
グルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱
粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウ
ムキレート化合物、チタニルキレート化合物、チタニル
アルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカッ
プリング剤等の公知の材料を用いることができる。
【0063】また、下引層の厚みは0.01〜10μ
m、好ましくは0.05〜2μmの範囲が適当である。
下引層の塗布方法としては、ブレードコーティング法、
マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング
法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エア
ーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の
通常の方法を用いることができる。
【0064】電荷輸送層は、本発明の電荷輸送性ポリマ
ーを単独で用いるか、公知の結着樹脂や他のヒドラゾン
系電荷輸送材料、トリアリールアミン系電荷輸送材料、
スチルベン系電荷輸送材料などと併用することができ
る。結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエ
ステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化
ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン
共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シ
リコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニル
カルバゾール、ポリシランなどの公知の樹脂を用いるこ
とができるがこれらに限定されるものではない。
【0065】これらの結着樹脂のうち下記構造式(II)
〜(VII)で示されるポリカーボネート樹脂、又は、それ
らを共重合させたポリカーボネート樹脂を用いた場合
は、相溶性がよく均一な膜が得られ、特に良い特性を示
す。配合比(重量比)は電荷輸送性ポリマー:結着樹脂
=10:0〜8:10の範囲が好ましい。また、他の電
荷輸送材料と混合する場合には、電荷輸送性ポリマー+
結着樹脂:電荷輸送材料=10:0〜10:8の範囲が
好ましい。
【0066】
【化11】
【0067】
【化12】
【0068】
【化13】
【0069】
【化14】
【0070】
【化15】
【0071】
【化16】
【0072】電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広
範な絶縁性樹脂から選択することができるが、ポリ−N
−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリ
ビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマー
から選択することもできる。好ましい結着樹脂として
は、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂
(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ア
クリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリ
ジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル
ピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。これらの結着樹
脂は単独又は2種以上を混合して用いることもできる。
【0073】結着樹脂:電荷発生材料の配合比(重量
比)は10:1〜1:10の範囲が好ましい。なお、こ
こで使用する電荷発生材料は〔0047〕に例示したも
のを使用できる。これらを分散させる方法としてはボー
ルミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法
等の通常の方法を用いることができる。この分散におい
て、電荷発生材料の粒子を0.5μm以下、好ましくは
0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の
粒子サイズにすることが有効である。
【0074】これらの分散に用いる溶剤としては、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノー
ル、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセ
ルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テ
トラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホル
ム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単
独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0075】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 〔ビスフェノール体の合成例1〕1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−[N−(ビフェニル−4−イ
ル)−N−(3,4−ジメチルフェニル)−4−アミノ
フェニル]エタンの合成 1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−[N−
(ビフェニル−4−イル)−N−(3,4−ジメチルフ
ェニル)]エタン9.0gをトルエン30mlに溶解
し、窒素雰囲気下、1.0 mol/Lジイソブチルアルミニ
ウムハイドライドのトルエン溶液45mlを加え、3日間
還流した。その反応液を、300mlの水に加えた後、1
N塩酸50mlを加えて酸性とした。その際、反応液は析
出した無機塩のため白色懸濁液となった。その白色懸濁
液に酢酸エチル400mlを加え、上層のトルエンと酢酸
エチルの混合有機層及び下方の水層に分離した。分液漏
斗中で、有機層な中性になるまで水洗いした。そして、
有機層中の少量の無機塩及びエマルジョン成分を除去す
るため、セライトを通してろ過した。ろ液を硫酸ナトリ
ウムを用いて乾燥した後、乾燥剤の硫酸ナトリウムをろ
別した。ろ液のトルエンと酢酸エチルを留去すると、淡
黄色の粘ちょうな粗生成物が残った。その生成物をシリ
カゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン
=1:3)で精製処理した後、酢酸エチルとn−ヘキサ
ンの混合溶液から再結晶させて、灰白色粉末のビスフェ
ノール体7.2g(収率84.0%、mp117〜11
9℃)を得た。このビスフェノール体のIRスペクトル
を図7に示した。
【0076】〔ビスフェノール体の合成例2〕2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−[N−(ビフェ
ニル−4−イル)−N−(3,4−ジメチルフェニル)
−4−アミノフェニル]ブタンの合成 2,2’−ビス(4−メトキシフェニル)−4−[N−
(ビフェニル−4−イル)−N−(3,4−ジメチルフ
ェニル)−4−アミノフェニル]ブタン12.0gをト
ルエン40 ml に溶解し、窒素雰囲気下、1.0 mol/L
ジイソブチルアルミニウムハイドライドのトルエン溶液
70 ml を加え、4日間還流した。その液を水300 m
l に加えたあと、1N塩酸50 ml を加えて酸性にし
た。その白色懸濁液を酢酸エチル500 ml で抽出した
後、水洗し、セライトを通してろ過した。乾燥後、溶媒
を除き、シリカゲル(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:
2)で処理し、淡黄色油状物9.0g(収率78.6
%)を得た。この淡黄色油状物のIRスペクトルを図8
に示した。
【0077】〔ビスフェノール体の合成例3〕1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[N−(ビフェ
ニル−4−イル)−N−(3,4−ジメチルフェニル)
−4−アミノフェニル]−フェニルメタンの合成 1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−[N−
(ビフェニル−4−イル)−N−(3,4−ジメチルフ
ェニル)−4−アミノフェニル]−フェニルメタン1
2.0gをトルエン40 ml に溶解し、窒素雰囲気下、
1.0 mol/Lジイソブチルアルミニウムハイドライドの
トルエン溶液70 ml を加え、3日間還流した。その液
を水300 ml に加えたあと、1N塩酸50 ml を加え
て酸性にした。その白色懸濁液を酢酸エチル600 ml
にて抽出した後、水洗し、セライトを通してろ過した。
乾燥後、溶媒を除きシリカゲル(酢酸エチル:n−ヘキ
サン=1:2)で処理した。トルエンより再結晶し、無
色粉末結晶10.1g(収率88.0%、mp227〜
229℃)を得た。この無色粉末結晶のIRスペクトル
を図9に示した。
【0078】〔電荷発生材料の合成例1〕1,3−ジイ
ミノイソインドリン30部及び3塩化ガリウム9.1部
をキノリン230部中にいれ、200℃で3時間反応さ
せた後、生成物をろ別し、アセトン、メタノールで洗浄
し、次いで、湿ケーキを乾燥後、クロロガリウムフタロ
シアニン結晶28部を得た。得られたクロロガリウムフ
タロシアニン結晶3部を、自動乳鉢(ヤマト科学社製、
Lab−Mill,UT−21型)で3時間乾式粉砕
し、この粉砕物0.5部を、ガラスビーズ(直径1mm)
60部と共に室温下、ベンジルアルコール20部中で2
4時間ミリング処理した後、ガラスビーズをろ別し、メ
タノール10部で洗浄して乾燥した。得られた結晶の強
い回折ピークを調べたところ、7.4°、16.6°、
25.5°及び28.3°に強い回折ピークを有するク
ロロガリウムフタロシアニン結晶であった。これを電荷
発生材料CG−1という。
【0079】〔電荷発生材料の合成例2〕フタロニトリ
ル50g及び無水塩化第2スズ27gを1−クロルナフ
タレン350 ml 中に加え、195℃で5時間反応させ
た後、生成物をろ別し、1−クロルナフタレン、アセト
ン、メタノール、次いで水で順次洗浄した後、減圧乾燥
して、ジクロロスズフタロシアニン結晶18.3gを得
た。このジクロロスズフタロシアニン結晶5gを食塩1
0g及び直径20 mm のメノウボール500gと共にメ
ノウ製ポットに入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社
製、P−5型)を用いて400 rpmで10時間粉砕した
後、十分に水洗して乾燥した。0.5gを、テトラヒド
ロフラン(THF)15g、直径1 mm のガラスビーズ
30gと共に室温で24時間ミリング処理した後、ガラ
スビーズをろ別し、メタノールで洗浄し、乾燥した。得
られた結晶の強い回折ピークを調べたところ、8.5
°、11.2°、14.5°及び27.2°に強い回折
ピークを有するジクロロスズフタロシアニン結晶を得
た。これを電荷発生材料CG−2という。
【0080】〔電荷発生材料の合成例3〕電荷発生材料
の合成例1で得られたクロロガリウムフタロシアニン結
晶3部を濃硫酸60部に0℃で溶解した後、5℃の蒸留
水450部に上記溶液を滴下し、結晶を再析出させた。
蒸留水、希アンモニア水、又は水酸化ナトリウム水溶液
などの塩基性水溶液等で洗浄した後乾燥し、2.5部の
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。この結
晶を自動乳鉢(電荷発生材料の合成例1に同じ)で5.
5時間粉砕した後、粉砕物0.5部をジメチルホルムア
ミド15部、直径1mm のガラスビーズ30部と共に2
4時間ミリングした後、結晶を分離し、メタノールで洗
浄し、乾燥した。得られた結晶の強い回折ピークを調べ
たところ、7.5°、9.9°、12.5°、16.3
°、18.6°、25.1°、及び28.3°に強い回
折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結
晶を得た。これを電荷発生材料CG−3という。
【0081】〔電荷発生材料の合成例4〕1,3−ジイ
ミノイソインドリン30部、チタニウムテトラブトキシ
ド17部を1−クロルナフタレン200部中に入れ、窒
素気流下190℃で5時間反応させた後、生成物をろ過
し、アンモニア水、水、アセトンで順次洗浄し、オキシ
チタニウムフタロシアニン40部を得た。このオキシチ
タニウムフタロシアニン結晶5部と塩化ナトリウム10
部を自動乳鉢(電荷発生材料の合成例1に同じ)を用い
て3時間粉砕した。その後、蒸留水で充分に洗浄し、乾
燥して4.8部のオキシチタニウムフタロシアニン結晶
を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶
は、27.3°に明瞭なピークを示すものであった。得
られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶2部を蒸留
水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤中で、5
0℃で1時間撹拌した後、ろ過し、メタノールで十分洗
浄し、乾燥した。得られた結晶の強い回折ピークを調べ
たところ、27.3°に強い回折ピークを有するオキシ
チタニウムフタロシアニン水和物結晶(特開平5─43
813号公報記載)を得た。これを電荷発生材料CG−
4という。
【0082】〔実施例1:電荷輸送性ポリエステル(化
合物28)の合成〕ビスフェノール体の合成例1で合成
した1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−
[N−(ビフェニル−4−イル)−N−(3,4−ジメ
チルフェニル)−4−アミノフェニル]エタン3.0g
を乾燥したテトラヒドロフラン(THF)30mlに溶
解し、蒸留精製したトリエチルアミン1.6gを加え
た。その後、窒素雰囲気下、THF20 ml に溶解した
フタル酸ジクロリド1.084gを室温で30分かけて
滴下した。滴下後2時間撹拌し、析出した塩をろ過し
た。ろ液を撹拌中のメタノール200 ml に再沈し、淡
黄色のポリマー3.3gを得た。このポリマーの分子量
をGPCで測定したところ、Mw=4.4×104 (ス
チレン換算、mは約60)であった。このポリマーのI
Rスペクトルを図10に示した。
【0083】〔実施例2:電荷輸送性ポリエステル(化
合物62)の合成〕ビスフェノール体の合成例2で合成
した2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−
[N−(ビフェニル−4−イル)−N−(3,4−ジメ
チルフェニル)−4−アミノフェニル]ブタン4.0g
を30%水酸化ナトリウム水溶液5mlに溶解した後、
ホモミキサーに入れテトラエチルアンモニウムクロリド
0.5g及び蒸留水20 ml を加えて溶解した。この液
に、1,2−ジクロロエタン30 ml に溶解したテレフ
タル酸ジクロリド1.5gを加え、直ちにホモミキサー
の回転数を12000 rpmにし、そのまま20分間攪拌
した。これを放置して上層の水相と、下層の1,2−ジ
クロロエタンの黄色有機層に分離し、この有機層を良く
水洗いした後、メタノール250 ml に再沈した。析出
したポリマーをろ過した後、乾燥し、黄色ポリマー4.
6gを得た。この黄色ポリマーの分子量をGPCで測定
したところ、Mw=5.7×104 (スチレン換算、m
は約80)であった。この黄色ポリマーのIRスペクト
ルを図11に示した。
【0084】〔実施例3:電荷輸送性ポリエステル(化
合物73)の合成〕ビスフェノール体の合成例3で合成
した1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−
[N−(ビフェニル−4−イル)−N−(3,4−ジメ
チルフェニル)−4−アミノフェニル]−フェニルメタ
ン3.0gを乾燥したテトラヒドロフラン(THF)3
0 ml に溶解し、トリエチルアミン1.6gを加えた。
その後、窒素雰囲気下、THF15mlに溶解したスベ
ロイルジクロリド1.02gを氷冷下、30分かけて滴
下した。滴下後、室温に戻し1時間撹拌した。析出した
塩をろ過した後、ろ液を撹拌中のメタノール200 ml
に再沈し、無色のポリマー3.1gを得た。無色のポリ
マーの分子量をGPCで測定したところ、Mw=4.1
×104 (スチレン換算、mは約55)であった。この
無色のポリマーのIRスペクトルを図12に示した。
【0085】〔実施例4:感光体の作製〕アルミニウム
基板上にジルコニウム化合物(マツモト製薬社製、オル
ガチックスZC540)10部及びシラン化合物(日本
ユンカー社製、A1110)1部とi−プロパノール4
0部及びブタノール20部からなる溶液を浸漬コーティ
ング法でに塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、膜
厚0.5μmの下引層を形成した。
【0086】次いで、電荷発生材料の合成例1で作製し
たCG−1を1部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化
学社製、エスレックBM−S)1部及び酢酸n−ブチル
100部と混合し、ガラスビーズ(直径1mm)30部
と共にペイントシェーカーで1時間処理して分散した。
得られた塗布液を上記の下引層の上に浸漬コーティング
法で塗布し、100℃で10分間加熱乾燥した。
【0087】その後、電荷輸送性ポリエステル(28)
0.2部をモノクロロベンゼン1.5部に溶解し、得ら
れた塗布液を上記の電荷発生層の上にワイヤーバーコー
ティング法で塗布し、120℃で1時間加熱乾燥、膜厚
15μmの電荷輸送層を形成して感光体を完成した。
【0088】(試験法)このようにして得た電子写真用
感光体の電子写真特性を、静電複写紙試験装置(川口電
気社製、エレクトロスタティックアナライザーEPA−
8100)を用いて、常温常湿(20℃、40%RH)
の環境下で、−6kVのコロナ放電を行い、帯電させた
後、タングステンランプの光を、モノクロメーターを用
いて800 nm の単色光にし、感光体表面上で1μW/
cm2 になるように調整し、照射した。そして、その表面
電位V0 (ボルト)、半減露光量E1/2 (erg/cm2)を測
定し、その後10 luxの白色光を1秒間照射し、残留電
位VR(ボルト)を測定した。さらに、上記の帯電、露
光を1000回繰り返した後のV0 ,E1/2 ,VRPを測
定し、また、その変動量をΔV0 ,ΔE1/2 ,ΔVRP
表し、その結果を表12に示した。
【0089】
【表12】
【0090】〔実施例5〜11:感光体の作製〕電荷発
生材料の合成例1〜4で作製したCG−1〜CG−4と
CTの組合せを表12に示すようにして実施例4と同様
に電子写真用感光体を作製し評価した。結果を表12に
示した。
【0091】〔実施例12:感光体の作製〕実施例4に
おいて、電荷輸送性ポリマー(28)0.2部の代わり
に、電荷輸送性ポリマー(62)0.12部、上記(V
I)で表される結着樹脂0.08部を用いた以外は、実
施例4と同様に電子写真用感光体を作製し、評価した。
結果を表12に示した。
【0092】〔比較例1:感光体の作製〕実施例4にお
いて、電荷輸送性ポリマー(28)0.2部の代わり
に、PVK0.2部を用いた以外は、実施例4と同様に
電子写真用感光体を作製し、評価した。結果を表12に
示した。
【0093】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、溶解性、成膜性、機械的強度に優れ、高い光感度
と繰り返し安定性に優れた電荷輸送性ポリマー、及び、
該ポリマーを用いた電子写真用感光体の提供を可能にし
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体の断面を示す模式図
である。
【図2】本発明のもう1つの電子写真用感光体の断面を
示す模式図である。
【図3】本発明のもう1つの電子写真用感光体の断面を
示す模式図である。
【図4】本発明のもう1つの電子写真用感光体の断面を
示す模式図である。
【図5】本発明のもう1つの電子写真用感光体の断面を
示す模式図である。
【図6】本発明のもう1つの電子写真用感光体の断面を
示す模式図である。
【図7】ビスフェノール体の合成例1で得たもののIR
スペクトルを示した図である。
【図8】ビスフェノール体の合成例2で得たもののIR
スペクトルを示した図である。
【図9】ビスフェノール体の合成例3で得たもののIR
スペクトルを示した図である。
【図10】実施例1で得た電荷輸送性ポリエステル(表
4の化合物28)のIRスペクトルを示した図である。
【図11】実施例2で得た電荷輸送性ポリエステル(表
9の化合物62)のIRスペクトルを示した図である。
【図12】実施例3で得た電荷輸送性ポリエステル(表
11の化合物73)のIRスペクトルを示した図であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるポリエステ
    ルを含有する電荷輸送材料。 【化1】 (式中、Xは水素、置換又は未置換のアルキル基、置換
    又は未置換のアリール基を示し、R1 、R2 はそれぞれ
    独立に水素、アルコキシ基、ハロゲン、置換又は未置換
    のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、Yは置換
    又は未置換の2価のアルキル基、又は、置換又は未置換
    の2価のアリール基を示す。また、Tは枝分かれしても
    よい2価の脂肪族基を示し、nは0又は1を示す。Ar
    1 、Ar2はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール
    基を示す。mは5〜5000の整数を示す。)
  2. 【請求項2】 導電性支持体上に感光層を設けてなる電
    子写真用感光体において、請求項1記載の一般式(I)
    で表される電荷輸送性ポリエステルを少なくとも1種以
    上、前記感光層に含有することを特徴とする電子写真用
    感光体。
  3. 【請求項3】 導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸
    送層を設けてなる電子写真用感光体において、請求項1
    記載の一般式(I)で表される電荷輸送性ポリエステル
    を少なくとも1種以上、前記電荷輸送層に含有すること
    を特徴とする電子写真用感光体。
  4. 【請求項4】 感光層に含有される電荷輸送材料とし
    て、請求項1記載の一般式(I)で表される電荷輸送性
    ポリエステルを少なくとも1種以上含有し、かつ、電荷
    発生材料として、ハロゲン化ガリウムフタロシアニン、
    ハロゲン化スズフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフ
    タロシアニン及びオキシチタニルフタロシアニンの群か
    ら選択される1種以上を含有することを特徴とする請求
    項2又は3記載の電子写真用感光体。
JP32995596A 1996-12-10 1996-12-10 電荷輸送性材料及びそれを用いた電子写真用感光体 Pending JPH10171139A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32995596A JPH10171139A (ja) 1996-12-10 1996-12-10 電荷輸送性材料及びそれを用いた電子写真用感光体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32995596A JPH10171139A (ja) 1996-12-10 1996-12-10 電荷輸送性材料及びそれを用いた電子写真用感光体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10171139A true JPH10171139A (ja) 1998-06-26

Family

ID=18227143

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32995596A Pending JPH10171139A (ja) 1996-12-10 1996-12-10 電荷輸送性材料及びそれを用いた電子写真用感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10171139A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003104297A1 (ja) * 2002-06-06 2003-12-18 日本化薬株式会社 ポリエステル樹脂及びこれから得られた発泡体
JP2010079108A (ja) * 2008-09-26 2010-04-08 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2012077128A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Unitika Ltd オルガノシロキサン共重合樹脂
JP2013073015A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Fuji Xerox Co Ltd 電荷輸送性ポリエステル樹脂、電荷輸送性ポリエステル樹脂溶解液、光電変換デバイス、および電子写真感光体

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003104297A1 (ja) * 2002-06-06 2003-12-18 日本化薬株式会社 ポリエステル樹脂及びこれから得られた発泡体
JP2010079108A (ja) * 2008-09-26 2010-04-08 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2012077128A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Unitika Ltd オルガノシロキサン共重合樹脂
JP2013073015A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Fuji Xerox Co Ltd 電荷輸送性ポリエステル樹脂、電荷輸送性ポリエステル樹脂溶解液、光電変換デバイス、および電子写真感光体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2865029B2 (ja) 電荷輸送性ポリエステルを用いた有機電子デバイス
JP2894257B2 (ja) 新規電荷輸送性ポリマー、その製造法およびそれを用いた有機電子デバイス
JP3058069B2 (ja) 新規な電荷輸送性ポリマーおよびそれを用いた有機電子デバイス
US5734003A (en) Charge transporting polymer, process for producing the same, and organic electronic device containing the same
JP2865020B2 (ja) 新規な電荷輸送性ポリマーおよびそれを用いた有機電子デバイス
JPH05279591A (ja) ヒドロキシガリウムフタロシアニンの新規な結晶の製造方法とその方法で製造された結晶を用いる電子写真感光体
JPH1138656A (ja) 電子写真感光体
US5604064A (en) Charge-transporting polymer and organic electronic device using the same
JP2827976B2 (ja) 電荷輸送性共重合ポリエステルを用いた有機電子デバイス
JP3422140B2 (ja) ランダム共重合した電荷輸送性ポリエステル樹脂を用いた有機電子デバイス
JP3496541B2 (ja) 電荷輸送性ポリエステルおよびそれを用いた有機電子デバイス
JPH10133402A (ja) 電子写真用感光体
JP3097289B2 (ja) 電子写真感光体
JPH10171139A (ja) 電荷輸送性材料及びそれを用いた電子写真用感光体
JP3243981B2 (ja) 電荷輸送性樹脂の精製方法、それを利用した電子写真感光体および電子写真装置
JP2850665B2 (ja) 電子写真感光体
JP3097293B2 (ja) 電子写真感光体
JP2827915B2 (ja) 電子写真用感光材料およびそれを用いた電子写真感光体
JPH0693203A (ja) ハロゲン含有ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶およびそれを用いた電子写真感光体
JP3538973B2 (ja) 電子写真感光体
JP2007182556A (ja) ポリビニルアセタール樹脂、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JPH05320167A (ja) チタニルフタロシアニン結晶及びそれを用いた電子写真感光体
JP3185476B2 (ja) 電子写真感光体
EP0687958A1 (en) Charge-transporting polymer and organic electron device using same
JPH05247361A (ja) クロロガリウムフタロシアニン結晶の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040430

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040713

A02 Decision of refusal

Effective date: 20041109

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02