JPH10170210A - 誘導型位置検出装置 - Google Patents

誘導型位置検出装置

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JPH10170210A
JPH10170210A JP29491597A JP29491597A JPH10170210A JP H10170210 A JPH10170210 A JP H10170210A JP 29491597 A JP29491597 A JP 29491597A JP 29491597 A JP29491597 A JP 29491597A JP H10170210 A JPH10170210 A JP H10170210A
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signal
secondary coil
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康弘 湯浅
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伸行 赤津
Kazuya Sakamoto
和也 坂元
Hiroshi Sakamoto
宏 坂本
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 小型かつシンプルな構造の誘導型位置検出装
置を構成する。 【解決手段】 所定の交流信号によって励磁される1次
コイル1P、及び所定距離離隔された第1及び第2の位
置においてそれぞれ配置された第1及び第2の2次コイ
ル2C,2S、を含むコイル部10と、検出対象たる直
線的な又は曲線的な変位に応答して前記コイル部10に
対して相対的に変位される磁気応答部材5であって、こ
の磁気応答部材5の前記コイル部に対する相対的変位に
応じた異なる誘導出力信号が前記各2次コイル2C,2
Sから夫々出力されるようにしたものと、前記2次コイ
ルの一方からの前記誘導出力信号の電気的位相を略90
度ずらす位相シフト回路と、前記2次コイルの他方から
の前記誘導出力信号と前記位相シフト回路の出力信号と
を合成し、少なくとも前記第1及び第2の位置間におけ
る前記磁気応答部材の相対的変位位置に応じた電気的位
相角を示す出力交流信号を得る回路とを具える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導出力を生じる
2次コイルの配置又は励磁のための1次コイルの配置を
2極構造とした誘導型位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より知られた誘導型直線位置検出装
置としては差動トランスがある。差動トランスは、1つ
の1次巻線を1相で励磁し、差動接続された2つの2次
巻線の各配置位置において検出対象位置に連動する鉄心
コアの直線位置に応じて差動的に変化するリラクタンス
を生ぜしめ、その結果として得られる1相の誘導出力交
流信号の電圧振幅レベルが鉄心コアの直線位置を示すよ
うにしたものである。この差動トランスにおいては、誘
導電圧が差動的に変化するように設けられた2つの2次
巻線が設けられた範囲において、該誘導電圧値が対直線
位置に関して直線性を示す範囲でしか、直線位置を検出
することができないものであり、該誘導電圧値の対直線
位置の変化の関数が周期関数(例えばサイン関数のよう
な三角関数)の1サイクルにわたって変化することはな
い。従って、検出可能範囲を拡張するには巻線長とコア
長を長くするしかなく、自ずと限度があると共に、装置
の大型化をもたらす。また、検出対象直線位置に相関す
る電気的な位相を示す出力を得ることが不可能である。
また、誘導出力信号の電圧振幅レベルは、鉄心コアの直
線位置のみならず、温度変化等の周辺環境の影響を受け
やすいので、精度に難点がある。
【0003】これに対して、検出対象直線位置に相関す
る電気的位相角を持つ交流信号を出力するようにした位
相シフトタイプの誘導型直線位置検出装置も知られてい
る。例えば、特開昭49−107758号、特開昭53
−106065号、特開昭55−13891号、実公平
1−25286号などに示されたものがある。この種の
従来知られた位相タイプの誘導型直線位置検出装置にお
いては、検出対象位置に連動する可動鉄心コアの直線変
位方向に関して互いにずらして配置された例えば2つの
1次巻線を互いに電気的位相のずれた2相の交流信号
(例えばsin ωtとcos ωt)でそれぞれ励磁し、各1
次巻線による2次側誘導信号を合成して1つの2次出力
信号を生成するようにしている。励磁用の交流信号に対
するこの2次出力信号における電気的位相ずれが、検出
対象位置に連動する鉄心コアの直線位置を示している。
また、実公平1−25286号に示されたものにおいて
は、複数の鉄心コアを所定ピッチで断続的に繰り返し設
け、1次及び2次巻線が設けられた範囲よりも広い範囲
にわたる直線位置検出を可能にしている。
【0004】上述した従来の位相シフトタイプの誘導型
直線位置検出装置は、差動トランスに比べて多くの点で
利点を持っているが、また、欠点も有している。例え
ば、少なくとも2相の励磁用交流信号(例えばsin ωt
とcos ωt)を用意しなければならないため、励磁回路
の構成が複雑になるという問題点がある。また、温度変
化等によって1次及び2次巻線のインピーダンスが変化
すると、2次出力信号における電気的位相ずれに誤差が
生じるという欠点もあった。更に、複数の鉄心コアを所
定ピッチで断続的に繰り返し設け、1次及び2次巻線が
設けられた範囲よりも広い範囲にわたる直線位置検出を
可能にした場合において、1次及び2次巻線を設ける範
囲を可動鉄心コアの1ピッチの長さよりも長い範囲で設
けねばならないため、巻線アセンブリ全体のサイズが大
きくなってしまい、検出装置の小型化に限度があった。
すなわち、鉄心コアの1ピッチの長さをPとすると、4
相タイプの場合、各相巻線の配置間隔を最小でも「3P
/4」としなければならず、全体ではその4倍の「4×
(3P/4)=3P」の配置領域が必要であり、従って
最小でも可動鉄心コアの3ピッチ分の長さの範囲にわた
って巻線アセンブリを設けなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】また、従来の位相シフ
トタイプの誘導型位置検出装置においては、サイン相や
コサイン相のように出力位相の異なるコイルは、必ず、
異なる極配置で設けなければならない。例えば、4相タ
イプなら必ず少なくとも4極型のコイル配置構成とな
る。従って、位置検出装置の構成を小型化するには自ず
と限度があった。また、位相シフトタイプに限らず、レ
ゾルバ等も含めて、従来の誘導型位置検出装置において
は、少なくとも1サイクルの位相変化を得るように複数
の極配置で各コイルを配置することを基本原則としてい
る。従って、位置検出装置の使用目的が、比較的狭い範
囲での位置検出で済むような場合であっても、コイルの
極数を減らすことはできず、資源の利用効率が悪かっ
た。本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、2次コ
イル又は1次コイルの極配置を基本的に2極構造とし
て、小型かつシンプルな構造により、必要な範囲での位
置検出を可能にした誘導型位置検出装置を提供しようと
するものである。また、所定の比較的狭い角度範囲で往
復動する検出対象の位置を、小型かつシンプルな構造に
より、検出しうるようにした誘導型位置検出装置を提供
しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る誘導型位置
検出装置は、所定の交流信号によって励磁される1次コ
イル、及び所定距離離隔された第1及び第2の位置にお
いてそれぞれ配置された第1及び第2の2次コイル、を
含むコイル部と、検出対象たる直線的な又は曲線的な変
位に応答して前記コイル部に対して相対的に変位される
磁気応答部材であって、この磁気応答部材の前記コイル
部に対する相対的変位に応じた異なる誘導出力信号が前
記各2次コイルから夫々出力されるようにしたものと、
前記2次コイルの一方からの前記誘導出力信号の電気的
位相を略90度ずらす位相シフト回路と、前記2次コイ
ルの他方からの前記誘導出力信号と前記位相シフト回路
の出力信号とを合成し、少なくとも前記第1及び第2の
位置間における前記磁気応答部材の相対的変位位置に応
じた電気的位相角を示す出力交流信号を得る回路とを具
えたものである。
【0007】この場合、第1及び第2の2次コイルが第
1及び第2の位置においてそれぞれ配置され、2極構造
となっている。なお、公知のように、磁気応答部材は、
磁性体又は導電体のどちらを用いてもよく、また、両者
を適宜組み合わせたハイブリッド構造でもよい。磁性体
の場合は、磁気応答部材のコイルへの近接に応じてパー
ミアンスが増加し、誘導レベルが上がる。反対に導電体
の場合は、磁気応答部材のコイルへの近接に応じて渦電
流損が生じ、誘導レベルが下がる。ここでは、磁気応答
部材が磁性体であるとして説明する。磁気応答部材が第
1の位置に在る第1の2次コイルに最も近接して該第1
の2次コイルに最大レベル(例えば1)の誘導を生じさ
せるとき、第2の位置に在る第2の2次コイルには最小
レベル(例えば0)の誘導しか生じない。この状態を例
えば角度θで示し、θ=0度とすると、第1の2次コイ
ルの出力はcosθに相当し、第2の2次コイルの出力
はsinθに相当する。逆に、磁気応答部材が第2の位
置に在る第2の2次コイルに最も近接して該第2の2次
コイルに最大レベル(例えば1)の誘導を生じさせると
き、第1の位置に在る第1の2次コイルには最小レベル
(例えば0)の誘導しか生じない。すなわち、sinθ
=1,cosθ=0であるから、θ=90度に相当す
る。
【0008】このように、第1の位置から第2の位置ま
での間の磁気応答部材の変位は、角度θにして、0度か
ら90度までの変位に換算して表現することができる。
すなわち、第1の位置から第2の位置までの間の磁気応
答部材の変位に対応して第1の2次コイルに生じる誘導
出力信号は、見掛け上、「cosθ・sinωt」と表
わせる。ただし、θは0度〜90度であり、sinωt
は交流成分である。同様に、第1の位置から第2の位置
までの間の磁気応答部材の変位に対応して第2の2次コ
イルに生じる誘導出力信号は、見掛け上、「sinθ・
sinωt」と表わせる。ただし、θは0度〜90度で
ある。
【0009】ここで、位相シフト回路において、2次コ
イルの一方(例えば第2の2次コイル)からの前記誘導
出力信号の電気的位相を略90度ずらすと、 「sinθ・sin(ωt+90度)」=sinθ・c
osωt が得られる。よって、この位相シフト回路の出力と2次
コイルの一方(例えば第1の2次コイル)からの前記誘
導出力信号とを合成(例えば加算合成;あるいは減算合
成でもよい)すると、概算的に示すと、 cosθ・sinωt+sinθ・cosωt=sin
(ωt+θ) となり、磁気応答部材の相対的変位位置に応じた電気的
位相角θを示す出力交流信号を得ることができる。ただ
し、前述のように、θはほぼ0度〜90度の範囲に限定
される。
【0010】従来の位相シフトタイプ誘導型位置検出装
置やレゾルバにおいては、上記のような変位に応じた位
相出力を得るには、360度を4分割して、90度毎に
サイン、コサイン、マイナスサイン、マイナスコサイン
の4極構成でコイルを配置しなければならなかった。す
なわち、1サイクル=360度の範囲の位相変化を得る
ように複数の極配置で各コイルを配置することを基本原
則としていたのである。これでは、位置検出装置の使用
目的が、位相角にして360度の範囲全部の検出を要す
る場合はよいのであるが、60度等の比較的狭い限られ
た範囲での揺動運動の位置(角度)を検出するような場
合、無駄が多く、位置検出装置という資源の利用効率が
悪かったものである。これに対して、本発明は、少なく
とも2つの2次コイルを第1及び第2の位置に配置する
だけでよい(つまり2極構造)ので、簡素な構成とな
り、位相角に換算して90度程度の範囲内の狭い限られ
た範囲での位置検出(例えば揺動運動の位置/角度の検
出)を、無駄なく、効率的な資源利用によって行うこと
ができるようになる。なお、1次コイルは、各2次コイ
ルと同じ位置にそれぞれ設けてもよいし、違う位置、例
えば第1及び第2の位置の中間の位置、に設けてもよ
い。前者の場合、見掛け上も、全体で、2極構造とな
る。後者の場合は、見掛け上は、全体で、3極構造とな
る。
【0011】更に、本発明に係る誘導型位置検出装置
は、所定の交流信号によって励磁される1次コイル、及
び所定距離離隔された第1及び第2の位置においてそれ
ぞれ配置された第1及び第2の主2次コイル、前記第1
の主2次コイルと同じ前記第1の位置に配置された第1
の副2次コイル、前記第2の主2次コイルと同じ前記第
2の位置に配置された第2の副2次コイルを含み、前記
主2次コイルの誘導係数よりも前記副2次コイルの誘導
係数が小さいコイル部と、検出対象たる直線的な又は曲
線的な変位に応答して前記コイル部に対して相対的に変
位される磁気応答部材であって、この磁気応答部材の前
記コイル部に対する相対的変位に応じた異なる誘導出力
信号が前記各2次コイルから夫々出力されるようにした
ものと、前記第1の主2次コイルと第2の副2次コイル
の誘導出力信号を差動合成した信号の電気的位相を略9
0度ずらす位相シフト回路と、前記第2の主2次コイル
と第1の副2次コイルの誘導出力信号を差動合成した信
号と前記位相シフト回路の出力信号とを合成し、少なく
とも前記第1及び第2の位置間における前記磁気応答部
材の相対的変位位置に応じた電気的位相角を示す出力交
流信号を得る回路とを具えたものである。
【0012】この場合も、第1及び第2の主2次コイル
が第1及び第2の位置においてそれぞれ配置され、ま
た、第1及び第2の副2次コイルも第1及び第2の位置
においてそれぞれ配置されるので、2極構造となってい
る。一方、第1の主2次コイルと第2の副2次コイルの
誘導出力信号を差動合成すること、及び第2の主2次コ
イルと第1の副2次コイルの誘導出力信号を差動合成す
ること、という構成から明らかなように、差動合成され
る主2次コイルと副2次コイルにおけるインダクタンス
変化の関数は、本来、逆相関係となるべきである。よっ
て、第1の位置に在る第1の主2次コイルに生じる誘導
出力信号を、「cosθ・sinωt」と表わす場合、
それと差動合成されるべき第2の位置に在る第2の副2
次コイルに生じる誘導出力信号は、本来、「−cosθ
・sinωt」となるべきであるが、この第2の位置の
相は、前述のようにサイン相であるから、そのような関
係にはならないはずである。すなわち、第2の位置に在
る第2の主2次コイルに生じる誘導出力信号が、「si
nθ・sinωt」と表わされるからである。
【0013】ここで、本発明では、主2次コイルの誘導
係数よりも副2次コイルの誘導係数を小さく設定してい
ることがポイントである。これにより、見掛上の角変換
を行うことができる。例えば、副2次コイルのコイル巻
数を、主2次コイルのコイル巻数の半分に設定すること
により、その誘導係数を小さくする例を考えてみる。そ
うすると、第2の位置における本来の相は、上記のよう
にsinθであるから、−cosθの相はこれに90度
遅れているところ、コサイン相の1/2のインダクタン
ス減少によって見掛け上60度進相となり(cos60
度=1/2)、sinθよりも約30度だけ遅れたマイ
ナスコサイン成分に相当する誘導が該第2の位置で第2
の副2次コイルに生じることになる。同様に、第1の位
置においては、第1の副2次コイルにおいて見掛け上3
0度進相(sin30度=1/2)のマイナスサイン成
分に相当する誘導が生じる。これによって、第1の位置
から第2の位置の間の磁気応答部材の変位に対応する電
気的位相角θの変化範囲は約−30度から約+120度
の範囲となり、0度から90度までの範囲に比べて、前
後に約30度位つづ拡大されるみことになる。従って、
この電気的位相角θを測定して位置検出データを得る場
合に、検出分解能を向上させることができることとな
る。
【0014】この場合も、従来の位相シフトタイプ誘導
型位置検出装置やレゾルバにおいては、上記のような変
位に応じた位相出力を得るには、360度を4分割し
て、90度毎にサイン、コサイン、マイナスサイン、マ
イナスコサインの4極構成でコイルを配置しなければな
らなかったところ、本発明では、主コイルと副コイルを
同じ位置に配置することにより、2極構造で済ませるこ
とができる。しかも、位相角に換算して測定可能な範囲
を90度よりも前後にある程度拡大することができるの
で、測定分解能を向上させることができる。
【0015】なお、上記のような主コイルと副コイルを
同一位置に設ける発想は、電気的位相を測定するタイプ
の位置検出装置に限らず、振幅電圧レベルを測定するタ
イプにも適用することができる。すなわち、記第1の主
2次コイルと第2の副2次コイルの誘導出力信号を差動
合成して第1の出力交流信号を取り出し、また、前記第
2の主2次コイルと第1の副2次コイルの誘導出力信号
を差動合成して第2の出力交流信号を取り出す。そし
て、両出力交流信号の振幅レベルの比又は差に基づき、
少なくとも前記第1及び第2の位置間における前記磁気
応答部材の相対的変位位置を検出するようにすることが
できる。この場合も、測定分解能を向上させることがで
き、簡易なアナログ出力電圧の形で、かつ、測定精度が
相対的に向上された位置検出出力を得る場合に適してい
る。
【0016】また、上記のような主コイルと副コイルを
同一位置に設ける発想は、2相の交流信号(例えばsi
nωtとcosωt)で励磁する位相シフトタイプ誘導
型位置検出装置にも適用できる。すなわち、本発明に係
る位相シフトタイプ誘導型位置検出装置は、所定距離離
隔された第1及び第2の位置においてそれぞれ配置され
た第1及び第2の主1次コイル、前記第1の主1次コイ
ルと同じ前記第1の位置に配置された第1の副1次コイ
ル、前記第2の主1次コイルと同じ前記第2の位置に配
置された第2の副1次コイル、前記各1次コイルによる
誘導出力を取り出すための2次コイルを含み、前記第1
の主1次コイルと第2の副1次コイルが第1の交流信号
によって互いに逆相励磁され、前記第2の主1次コイル
と第1の副1次コイルが前記第1の交流信号とは電気的
位相のずれた所定の第2の交流信号によって互いに逆相
励磁されるコイル部と、検出対象たる直線的な又は曲線
的な変位に応答して前記コイル部に対して相対的に変位
される磁気応答部材であって、この磁気応答部材の前記
コイル部に対する相対的変位に応じた異なる誘導出力信
号が前記2次コイルに出力されるようにしたものとを具
備し、少なくとも前記第1及び第2の位置間における前
記磁気応答部材の相対的変位位置に応じた電気的位相角
を示す出力交流信号が2次コイルから得られるようにし
たものである。
【0017】この場合も、従来装置に比べて、上記と同
様の効果を得ることができる。また、このような位相シ
フトタイプの場合も、上記と同様に各主1次コイルの誘
導係数より各副1次コイルの誘導係数を小さくするよう
にしてよい。上記の各例において、前記磁気応答部材
が、所定の角度範囲内で円弧状の軌跡で往復動するよう
な形態で、本発明を実施することができる。例えば、扇
形の磁気応答部材が、円弧状に左右に移動するような形
態で、位置検出装置を構成することができる。そのよう
な位置検出装置は、軸の僅かな動きを精度よく、しか
も、簡易な構成で、検出するのに適しており、様々な分
野での新規な位置検出装置として利用することができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発
明の実施の形態を詳細に説明しよう。図1は、本発明に
係る位置検出装置を曲線(部分的回転)型の位置検出器
として構成した例を示す。固定されたコイル部10は、
所定距離離隔された第1及び第2の位置においてそれぞ
れ配置された第1の2次コイル2cと、第2の2次コイ
ル2sと、その中間に配置された1次コイル1pとを含
む。回転軸(若しくは揺動軸)3に扇型の可動部4が設
けられており、この可動部4における円弧寄りの位置に
磁気応答部材5が設けられており、各コイルに非接触的
に対応している。公知のように、磁気応答部材5は、磁
性体又は導電体のどちらを用いてもよく、また、両者を
適宜組み合わせたハイブリッド構造でもよい。磁性体の
場合は、磁気応答部材5のコイルへの近接に応じてパー
ミアンスが増加し、誘導レベルが上がる。反対に導電体
の場合は、磁気応答部材のコイルへの近接に応じて渦電
流損が生じ、誘導レベルが下がる。以下では、磁気応答
部材5が磁性体であるとして説明する。また、可動部4
の全体が磁気応答部材5であってもよい。
【0019】1次コイル1pは、所定の1相の交流信号
(例えば便宜sinωtとする)によって励磁され、そ
の磁界を各2次コイルに及ぼす。磁気応答部材5の幅
は、一方の2次コイル2cと1次コイル1pとをカバー
する程度の大きさであり、1次コイル1pからの磁気が
磁気応答部材5を通って2次コイル2c又は2sに流れ
る。各コイルは、磁気の通りをよくするために鉄心コア
に巻回されてなる構成であるのがよい。2次コイル2c
と2sの間隔は、例えば、可動部4の回動角度にして9
0度位に対応するものであってよいが、これに限らず、
それ以上であってもよいし、それ以下であってもよい。
なお、磁気応答部材5が一方の2次コイル2cに最も接
近しているときは、他方の2次コイル2sには磁気応答
部材5が全く近づいておらず、逆に磁気応答部材5が他
方の2次コイル2sに最も接近しているときは、一方の
2次コイル2cには磁気応答部材5が全く近づいていな
い、というような関係である。これにより、磁気応答部
材5の相対的変位に応じた異なる誘導出力信号が各2次
コイル2c,2sから出力される。
【0020】磁気応答部材5が第1の2次コイル2cに
最も近接して該第1の2次コイル2cに最大レベル(例
えば1)の誘導を生じさせるとき、別の位置に在る第2
の2次コイル2sには最小レベル(例えば0)の誘導し
か生じない。この状態を例えば角度θで示し、θ=0度
とすると、第1の2次コイル2cの出力レベルはcos
θに相当し、第2の2次コイル2sの出力レベルはsi
nθに相当すると、考えることができる。逆に、磁気応
答部材5が第2の2次コイル2sに最も近接して該第2
の2次コイルに最大レベル(例えば1)の誘導を生じさ
せるとき、第1の2次コイル2cには最小レベル(例え
ば0)の誘導しか生じない。すなわち、sinθ=1,
cosθ=0であるから、θ=90度に相当する。
【0021】このように、第1の2次コイル2cに最接
近する位置から第2の2次コイル2sに最接近する位置
までの間の磁気応答部材5の変位は、角度θにして、0
度から90度までの変位に換算して表現することができ
る。従って、この範囲での磁気応答部材5の変位に対応
して第1の2次コイル2sに生じる誘導出力信号は、見
掛け上、「cosθ・sinωt」と表わせる。ただ
し、θは0度〜90度であり、sinωtは交流成分で
ある。同様に、磁気応答部材5の変位に対応して第2の
2次コイル2sに生じる誘導出力信号は、見掛け上、
「sinθ・sinωt」と表わせる。ただし、θは0
度〜90度である。
【0022】第2の2次コイル2sの出力(sinθ・
sinωt)が位相シフト回路6に入力され、その電気
的位相が略90度ずらされ、「sinθ・cosωt」
に変換される。そして、回路7において、位相シフト回
路6の出力と第1の2次コイル2cの出力とが合成(例
えば加算合成;あるいは減算合成でもよい)され、概算
的に示して、 cosθ・sinωt+sinθ・cosωt=sin
(ωt+θ) という出力交流信号を得る。こうして、磁気応答部材5
の相対的変位位置に応じた電気的位相角θを示す出力交
流信号を得ることができる。ただし、θはほぼ0度〜9
0度の範囲に限定される。
【0023】この回路7の出力を、適当な位相測定回路
8に入力すれば、その電気的位相角θを、デジタル的に
若しくはアナログ的に測定することができる。位相測定
回路8は、公知のパルスカウント方式又はアナログ電圧
積分方式等などによって適宜構成してよい。なお、可動
部4の回動角度φの絶対値と、それに対応して検出され
る上記電気的位相角θの絶対値とは必ずしも一致しな
い。しかし、概ね、2次コイル2c,2sの配置間隔が
ほぼ90度であれば略一致する。要するに、2次コイル
2c,2sの配置間隔が、電気的位相角θにして略90
度の幅に対応している。
【0024】図2は、上記の関係をベクトル図で示した
ものである。X軸がcosθすなわち第1の2次コイル
2cの出力レベル、Y軸がsinθすなわち第2の2次
コイル2sの出力レベル、である。X値とY値をベクト
ル合成したベクトルの角度がθである。なお、1次コイ
ル1pは、各2次コイル2c,2sと同じ位置にそれぞ
れ分けて設けてもよい。上記の場合、可動部4の回動検
出範囲を検出可能範囲の限界ぎりぎりに設定すると、そ
の範囲の両端では精度が落ちるため、中ほどの範囲で位
置検出を行うように設計するとよい。
【0025】図3は、図1の位置検出装置を改良した実
施例を示し、検出分解能を向上させると共に、検出可能
範囲の限界ぎりぎりの使用でも或る程度精度が出せるよ
うにしたものである。図1の相違について説明すると、
上記第1及び第2の2次コイル2c,2sが主2次コイ
ルとして機能し、それぞれと同じ位置に、それよりも巻
数の少ない(誘導係数の小さい)副2次コイル2s’と
2c’を設けている。つまり、第1の2次コイル2cの
位置に第1の副2次コイル2s’を配置し、第2の2次
コイル2sの位置に第2の副2次コイル2c’を配置す
る。第1の主2次コイル2cに対して、第2の副2次コ
イル2c’が逆相のインダクタンス変化を示すとする
と、第2の副2次コイル2c’の出力レベルは、−co
sθで表わせるが、誘導係数を小さくしてあるため、真
の逆相ではないので、便宜上、これを−cosθ’で示
すこととする。同様に、第2の主2次コイル2sに対す
る第1の副2次コイル2s’の出力レベルを、−sin
θ’で示すこととする。
【0026】第1の主2次コイル2cの誘導出力信号c
osθ・sinωt(これをCsinωtで示す)と、
第2の副2次コイル2c’の誘導出力信号−cosθ’
・sinωt(これを−C’sinωtで示す)とを、
回路9で差動合成し、レベル増加された出力「(C+
C’)sinωt」を得る。また、第2の主2次コイル
2sの誘導出力信号sinθ・sinωt(これをSs
inωtで示す)と、第1の副2次コイル2s’の誘導
出力信号−sinθ’・sinωt(これを−S’si
nωtで示す)とを、回路11で差動合成し、レベル増
加された出力「(S+S’)sinωt」を得る。そし
て、この回路11の出力を位相シフト回路6に入力し、
その電気的位相を略90度ずらし、「(S+S’)co
sωt」を得る。そして、回路7において、位相シフト
回路6の出力と回路9の出力とを合成(例えば加算合
成;あるいは減算合成でもよい)し、概算的に示して、 (C+C’)sinωt+(S+S’)cosωt=s
in(ωt+θ) という出力交流信号を得る。こうして、磁気応答部材5
の相対的変位位置に応じた電気的位相角θを示す出力交
流信号を得ることができる。ただし、θは0度〜90度
の範囲よりもその前後にいくらか拡大される。従って、
検出分解能を向上させると共に、検出可能範囲の限界ぎ
りぎりの使用でも或る程度精度が出せるようになる。
【0027】この点について説明すると、主2次コイル
の誘導係数よりも副2次コイルの誘導係数を小さく設定
していることがポイントである。これにより、見掛上の
角変換を行うことができる。例えば、副2次コイルのコ
イル巻数を、主2次コイルのコイル巻数の半分に設定す
ることにより、その誘導係数を小さくする例を考えてみ
る。そうすると、第2の主2次コイル2sの位置におけ
る本来の相は上記のようにsinθであるから、第2の
副2次コイル2c’の誘導出力レベル−cosθ’はこ
れに90度遅れているところ、コサイン相の1/2のイ
ンダクタンス減少によって見掛け上60度進相となり
(cos60度=1/2)、sinθよりも約30度だ
け遅れたマイナスコサイン成分に相当する誘導が該第2
の副2次コイル2c’に生じることになる。同様に、第
1の副2次コイル2s’において見掛け上30度進相
(sin30度=1/2)のマイナスサイン成分に相当
する誘導出力レベル−sinθ’が生じる。
【0028】これによって、第1及び第2の主2次コイ
ル2c,2s間の磁気応答部材5の変位に対応する電気
的位相角θの変化範囲は、図1の例における0度から9
0度までの範囲に比べて、約±30度拡大されて、−3
0度から約+120度の範囲となる。従って、この電気
的位相角θを測定して位置検出データを得る場合に、検
出分解能を向上させることができることとなる。この拡
大幅は、主2次コイルと副2次コイルの誘導係数の比率
に応じて変化させることができる。これをベクトル図に
よって示すと図4のようである。第4象限のベクトル1
2が、第1の主2次コイル2c及び第2の副2次コイル
2c’に磁気応答部材5が最接近しているときの角度θ
のベクトル、第2象限のベクトル13が、第2の主2次
コイル2s及び第1の副2次コイル2s’に磁気応答部
材5が最接近しているときの角度θのベクトル、を示
す。
【0029】なお、図3に示したような主コイルと副コ
イルを同一位置に設ける発想は、電気的位相を測定する
タイプの位置検出装置に限らず、振幅電圧レベルを測定
するタイプにも適用することができる。すなわち、回路
9により記第1の主2次コイルと第2の副2次コイルの
誘導出力信号を差動合成して第1の出力交流信号(C+
C’)sinωtを取り出し、また、回路11により前
記第2の主2次コイルと第1の副2次コイルの誘導出力
信号を差動合成して第2の出力交流信号(S+S’)s
inωtを取り出す。そして、両出力交流信号をそれぞ
れ整流して振幅レベル電圧C+C’及びS+S’を得
て、両振幅レベル電圧の比又は差に基づき、少なくとも
前記第1及び第2の位置間における前記磁気応答部材の
相対的変位位置を検出するようにすることができる。こ
の場合も、測定分解能を向上させることができ、簡易な
アナログ出力電圧の形で、かつ、測定精度が相対的に向
上された位置検出出力を得る場合に適している。
【0030】また、上記のような主コイルと副コイルを
同一位置に設ける発想は、図5に示すように、2相の交
流信号(例えばsinωtとcosωt)で励磁する位
相シフトタイプ誘導型位置検出装置にも適用できる。図
5は、1次コイルと2次コイルの関係を図3とは逆に
し、中央のコイル1Pが2次コイル、他が1次コイルと
なっている。すなわち、第1の主1次コイル2cを所定
の交流信号cosωtで励磁し、それと同じ位置に在る
第1の副1次コイル2s’をそれよりも90度位相のず
れた交流信号−sinωtで励磁する。また、第2の主
1次コイル2sを−sinωtと逆相の交流信号sin
ωtで励磁し、それと同じ位置に在る第2の副1次コイ
ル2c’をcosωtと逆相の交流信号−cosωtで
励磁する。各1次コイルによる誘導電圧の合成により、
位相シフトが生じ、磁気応答部材5の相対的変位位置に
応じた電気的位相角θを示す出力交流信号が2次コイル
1pから得られる。この場合も、従来装置に比べて、上
記と同様の効果を得ることができる。また、このような
位相シフトタイプの場合も、上記と同様に各主1次コイ
ル2c,2sの誘導係数より各副1次コイル2c’,2
s’の誘導係数を小さくするようにしてよい。
【0031】上記各例のように、磁気応答部材5が、所
定の角度範囲内で円弧状の軌跡で往復動するような形態
からなる位置検出装置は、軸3の僅かな動きを精度よ
く、しかも、簡易な構成で、検出するのに適しており、
様々な分野での新規な位置検出装置として利用すること
ができる。
【0032】図6は、本発明の2極型位置センサの一実
施例を示す略図である。この2極型位置センサ300は
直線位置検出装置として構成されており、サイン相とコ
サイン相に相当する2極分の2次コイル302S,30
2Cを設けたものである。その分だけ、位置に応じて検
出できる位相ずれ成分θの範囲は、360度全部で現わ
れず、略90度以内の範囲に限定される。しかし、比較
的狭い範囲での直線位置又は角度θの振れ又は傾きを検
出する等の限られた用途によっては、これで十分であ
り、そのような用途においてそ、簡易な2極型位置セン
サとして応用することができる。
【0033】この2極型位置センサ300は、1相の交
流信号によって励磁される少なくとも1つの1次コイル
301及び該1次コイルの近傍において互いに所定距離
離隔して配置された第1及び第2の2次コイル302
S,302Cとを含むコイル部と、検出対象たる直線的
な又は曲線的な変位に応答して前記コイル部に対して相
対的に変位される磁気応答部材303であって、この磁
気応答部材303の前記コイル部に対する相対的変位に
応じた誘導出力信号が前記2つの2次コイル302S,
302Cから夫々出力されるようにしたものとを具備す
る。更に、各2次コイル302S,302Cからの前記
誘導出力信号の振幅関数の位相ずれ成分θを測定するた
めの手段を適宜設ける。検出対象たる直線変位は、可動
部304に伝達される。可動部304の所定位置には磁
気応答部材303が設けられていて、検出対象たる直線
変位に応じて磁気応答部材303が変位する。図7
(a),(b),(c)は、上記直線型の2極型位置セ
ンサ300における1次及び2次コイル301,302
S,302Cの配置のバリエーションを示す。
【0034】図8は、本発明に係る位置検出装置に適用
される新規なディジタル位相検出回路40の一実施形態
を示している。図8において、検出回路部41では、カ
ウンタ42で所定の高速クロックパルスCKをカウント
し、そのカウント値に基づき励磁信号発生回路43から
励磁用の交流信号(例えばsinωt)を発生し、コイ
ル部10の1次コイル2a(又は11〜14)に与え
る。カウンタ42のモジュロ数は、励磁用の交流信号の
1周期に対応しており、説明の便宜上、そのカウント値
の0は、基準のサイン信号sinωtの0位相に対応して
いるものとする。コイル部10の2次コイル2b(又は
21〜24)から出力される2相の出力交流信号A=si
nθ・sinωtとB=cosθ・sinωtは、検出回路部41に
入力される。
【0035】検出回路部41において、第1の交流出力
信号A=sinθ・sinωtが位相シフト回路44に入力さ
れ、その電気的位相が所定量位相シフトされ、例えば9
0度進められて、位相シフトされた交流信号A’=sin
θ・cosωtが得られる。また、検出回路部41において
は加算回路45と減算回路46とが設けられており、加
算回路45では、位相シフト回路44から出力される上
記位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtとコ
イル部10の2次コイルから出力され第2の交流出力信
号B=cosθ・sinωtとが加算され、その加算出力とし
て、B+A’=cosθ・sinωt+sinθ・cosωt=sin
(ωt+θ)なる略式で表わせる第1の電気的交流信号
Y1が得られる。減算回路46では、上記位相シフトさ
れた交流信号A’=sinθ・cosωtと上記第2の交流出
力信号B=cosθ・sinωtとが減算され、その減算出力
として、B−A’=cosθ・sinωt−sinθ・cosωt=si
n(ωt−θ)なる略式で表わせる第2の電気的交流信
号Y2が得られる。このようにして、検出対象角θに対
応して正方向にシフトされた電気的位相角(+θ)を持
つ第1の電気的交流信号Y1=sin(ωt+θ)と、同
じ前記検出対象位置(x)に対応して負方向にシフトさ
れた電気的位相角(−θ)を持つ第2の電気的交流信号
Y2=sin(ωt−θ)とが、電気的処理によって夫々
得られる。
【0036】加算回路45及び減算回路46の出力信号
Y1,Y2は、夫々ゼロクロス検出回路47,48に入
力され、それぞれのゼロクロスが検出される。ゼロクロ
スの検出の仕方としては、例えば、各信号Y1,Y2の
振幅値が負から正に変化するゼロクロスつまり0位相を
検出する。各回路47,48で検出したゼロクロス検出
パルスつまり0位相検出パルスは、ラッチパルスLP
1,LP2として、ラッチ回路49,50に入力され
る。ラッチ回路49,50では、カウンタ42のカウン
ト値を夫々のラッチパルスLP1,LP2のタイミング
でラッチする。前述のように、カウンタ42のモジュロ
数は励磁用の交流信号の1周期に対応しており、そのカ
ウント値の0は基準のサイン信号sinωtの0位相に対
応しているものとしたので、各ラッチ回路49,50に
ラッチしたデータD1,D2は、それぞれ、基準のサイ
ン信号sinωtに対する各出力信号Y1,Y2の位相ず
れに対応している。各ラッチ回路49,50の出力は誤
差計算回路51に入力されて、「(D1+D2)/2」
の計算が行なわれる。なお、この計算は、実際は、「D
1+D2」のバイナリデータの加算結果を1ビット下位
にシフトすることで行われるようになっていてよい。
【0037】ここで、コイル部10と検出回路部41間
の配線ケーブル長の長短による影響や、コイル部10の
各1次及び2次コイルにおいて温度変化等によるインピ
ーダンス変化が生じていることを考慮して、その出力信
号の位相変動誤差を「±d」で示すと、検出回路部41
における上記各信号は次のように表わされる。 A=sinθ・sin(ωt±d) A’=sinθ・cos(ωt±d) B=cosθ・sin(ωt±d) Y1=sin(ωt±d+θ) Y2=sin(ωt±d−θ) D1=±d+θ D2=±d−θ
【0038】すなわち、各位相ずれ測定データD1,D
2は、基準のサイン信号sinωtを基準位相に使用して
位相ずれカウントを行なうので、上記のように位相変動
誤差「±d」を含む値が得られてしまう。そこで、誤差
計算回路51において、「(D1+D2)/2」の計算
を行なうことにより、 (D1+D2)/2={(±d+θ)+(±d−θ)}/2 = ±2d/2 = ±d により、位相変動誤差「±d」を算出することができ
る。
【0039】誤差計算回路51で求められた位相変動誤
差「±d」のデータは、減算回路52に与えられ、一方
の位相ずれ測定データD1から減算される。すなわち、
減算回路52では、「D1−(±d)」の減算が行なわ
れるので、 D1−(±d)=±d+θ−(±d)=θ となり、位相変動誤差「±d」を除去した正しい検出位
相差θを示すディジタルデータが得られる。このよう
に、本発明によれば、位相変動誤差「±d」が相殺され
て、検出対象量θに対応する正しい位相差θのみが抽出
されることが理解できる。
【0040】この点を図9を用いて更に説明する。図9
においては、位相測定の基準となるサイン信号sinωt
と前記第1及び第2の交流信号Y1,Y2の0位相付近
の波形を示しており、同図(a)は位相変動誤差がプラ
ス(+d)の場合、(b)はマイナスの場合(−d)を
示す。同図(a)の場合、基準のサイン信号sinωtの
0位相に対して第1の信号Y1の0位相は「θ+d」だ
け進んでおり、これに対応する位相差検出データD1は
「θ+d」に相当する位相差を示す。また、基準のサイ
ン信号sinωtの0位相に対して第2の信号Y2の0位
相は「−θ+d」だけ遅れており、これに対応する位相
差検出データD2は「−θ+d」に相当する位相差を示
す。この場合、誤差計算回路51では、 (D1+D2)/2={(+d+θ)+(+d−θ)}/2 = +2d/2 = +d により、位相変動誤差「+d」を算出する。そして、減
算回路52により、 D1−(+d)=+d+θ−(+d)=θ が計算され、正しい位相差θが抽出される。
【0041】図9(b)の場合、基準のサイン信号sin
ωtの0位相に対して第1の信号Y1の0位相は「θ−
d」だけ進んでおり、これに対応する位相差検出データ
D1は「θ−d」に相当する位相差を示す。また、基準
のサイン信号sinωtの0位相に対して第2の信号Y2
の0位相は「−θ−d」だけ遅れており、これに対応す
る位相差検出データD2は「−θ−d」に相当する位相
差を示す。この場合、誤差計算回路51では、 (D1+D2)/2={(−d+θ)+(−d−θ)}/2 = −2d/2 = −d により、位相変動誤差「−d」を算出する。そして、減
算回路52により、 D1−(−d)=−d+θ−(−d)=θ が計算され、正しい位相差θが抽出される。なお、減算
回路52では。「D2−(±d)」の減算を行なうよう
にしてもよく、原理的には上記と同様に正しい位相差θ
を反映するデータ(−θ)が得られることが理解できる
であろう。
【0042】また、図9からも理解できるように、第1
の信号Y1と第2の信号Y2との間の電気的位相差は2
θであり、常に、両者における位相変動誤差「±d」を
相殺した正確な位相差θの2倍値を示していることにな
る。従って、図8におけるラッチ回路49,50及び誤
差計算回路51及び減算回路52等を含む回路部分の構
成を、信号Y1,Y2の電気的位相差2θをダイレクト
に求めるための構成に適宜変更するようにしてもよい。
例えば、ゼロクロス検出回路47から出力される第1の
信号Y1の0位相に対応するパルスLP1の発生時点か
ら、ゼロクロス検出回路48から出力される第2の信号
Y2の0位相に対応するパルスLP2の発生時点までの
間を適宜の手段でゲートし、このゲート期間をカウント
することにより、位相変動誤差「±d」を相殺した、電
気的位相差(2θ)に対応するディジタルデータを得る
ことができ、これを1ビット下位にシフトすれば、θに
対応するデータが得られる。
【0043】ところで、上記実施例では、+θをラッチ
するためのラッチ回路49と、−θをラッチするための
ラッチ回路50とでは、同じカウンタ42の出力をラッ
チするようにしており、ラッチしたデータの正負符号に
ついては特に言及していない。しかし、データの正負符
号については、本発明の趣旨に沿うように、適宜の設計
的処理を施せばよい。例えば、カウンタ42のモジュロ
数が4096(10進数表示)であるとすると、そのデ
ィジタルカウント0〜4095を0度〜360度の位相
角度に対応させて適宜に演算処理を行なうようにすれば
よい。最も単純な設計例は、カウンタ42のカウント出
力の最上位ビットを符号ビットとし、ディジタルカウン
ト0〜2047を+0度〜+180度に対応させ、ディ
ジタルカウント2048〜4095を−180度〜−0
度に対応させて、演算処理を行なうようにしてもよい。
あるいは、別の例として、ラッチ回路50の入力データ
又は出力データを2の補数に変換することにより、ディ
ジタルカウント4095〜0を−360度〜−0度の負
の角度データ表現に対応させるようにしてもよい。
【0044】ところで、が静止状態のときは特に問題な
いのであるが、検出対象量θが時間的に変化するとき
は、それに対応する位相角θも時間的に変動することに
なる。その場合、加算回路45及び減算回路46の各出
力信号Y1,Y2の位相ずれ量θが一定値ではなく、移
動速度に対応して時間的に変化する動特性を示すものと
なり、これをθ(t)で示すと、各出力信号Y1,Y2
は、 Y1=sin{ωt±d+θ(t)} Y2=sin{ωt±d−θ(t)} となる。すなわち、基準信号sinωtの周波数に対し
て、進相の出力信号Y1は+θ(t)に応じて周波数が高
くなる方向に周波数遷移し、遅相の出力信号Y2は−θ
(t)に応じて周波数が低くなる方向に周波数遷移する。
このような動特性の下においては、基準信号sinωtの
1周期毎に各信号Y1,Y2の周期が互いに逆方向に次
々に遷移していくので、各ラッチ回路49,50におけ
る各ラッチデータD1,D2の計測時間基準が異なって
くることになり、両データD1,D2を単純に回路5
1,52で演算するだけでは、正確な位相変動誤差「±
d」を得ることができない。
【0045】このような問題を回避するための最も簡単
な方法は、図8の構成において、量θが時間的に動いて
いるときの出力を無視し、静止状態のときの出力のみを
用いて、静止状態が得られた時の量θを測定するように
装置の機能を限定することである。すなわち、そのよう
な限定された目的のために本発明を実施するようにして
もよいものである。また、振動の最大振幅のときの量θ
を検出することのみで足りる場合も、最大振幅時の検出
値をピークホールドするような処理の仕方で対処でき
る。一方、検出対象量θが時間的に変化している最中で
あっても時々刻々の該検出対象量θに対応する位相差θ
を正確に検出できるようにしたい、という要求もアプリ
ケーションの場面によってはあり得る。そこで、検出対
象が時間的に変化している最中であっても時々刻々の該
検出対象量θに対応する位相差θを検出できるようにし
た改善策について図10を参照して説明する。
【0046】図10は、図8の検出回路部41における
誤差計算回路51と減算回路52の部分の変更例を抽出
して示しており、他の図示していない部分の構成は図8
と同様であってよい。検出対象量θが時間的に変化して
いる場合における該量θに対応する位相差θを、+θ
(t)および−θ(t)で表わすと、各出力信号Y1,
Y2は前記のように表わせる。そして、夫々に対応して
ラッチ回路49,50で得られる位相ずれ測定値データ
D1,D2は、 D1=±d+θ(t) D2=±d−θ(t) となる。この場合、±d+θ(t) は、θの時間的変化に
応じて、プラス方向に0度から360度の範囲で繰り返
し時間的に変化してゆく。また、±d−θ(t) は、θの
時間的変化に応じて、マイナス方向に360度から0度
の範囲で繰り返し時間的に変化してゆく。従って、±d
+θ(t) ≠ ±d−θ(t) のときもあるが、両者の変化
が交差するときもあり、そのときは±d+θ(t) = ±
d−θ(t) が成立する。このように、±d+θ(t) =
±d−θ(t) が成立するときは、各出力信号Y1,Y2
の電気的位相が一致しており、かつ、夫々のゼロクロス
検出タイミングに対応するラッチパルスLP1,LP2
の発生タイミングが一致していることになる。
【0047】図10において、一致検出回路53は、各
出力信号Y1,Y2ののゼロクロス検出タイミングに対
応するラッチパルスLP1,LP2の発生タイミング
が、一致したことを検出し、この検出に応答して一致検
出パルスEQPを発生する。一方、時変動判定回路54
では、適宜の手段により(例えば一方の位相差測定デー
タD1の値の時間的変化の有無を検出する等の手段によ
り)、検出対象角θが時間的に変化するモードであるこ
とを判定し、この判定に応じて時変動モード信号TMを
出力する。誤差計算回路51と減算回路52との間にセ
レクタ55が設けられており、上記時変動モード信号T
Mが発生されていないとき、つまりTM=“0”すなわ
ち検出対象角θが時間的に変化していないとき、セレク
タ入力Bに加わる誤差計算回路51の出力を選択して減
算回路52に入力する。このようにセレクタ55の入力
Bが選択されているときの図10の回路は、図8の回路
と等価的に動作する。すなわち、検出対象角θが静止し
ているときは、誤差計算回路51の出力データがセレク
タ55の入力Bを介して減算回路52に直接的に与えら
れ、図8の回路と同様に動作する。
【0048】一方、上記時変動モード信号TMが発生さ
れているとき、つまりTM=“1”すなわち検出対象角
θが時間的に変化しているときは、セレクタ55の入力
Aに加わるラッチ回路56の出力を選択して減算回路5
2に入力する。上記時変動モード信号TMが“1”で、
かつ前記一致検出パルスEQPが発生されたとき、アン
ドゲート57の条件が成立して、該一致検出パルスEQ
Pに応答するパルスがアンドゲート57から出力され、
ラッチ回路56に対してラッチ命令を与える。ラッチ回
路56は、このラッチ命令に応じてカウンタ42の出力
カウントデータをラッチする。ここで、一致検出パルス
EQPが生じるときは、カウンタ42の出力をラッチ回
路49,50に同時にラッチすることになるので、D1
=D2であり、ラッチ回路56にラッチするデータは、
D1又はD2(ただしD1=D2)に相当している。
【0049】また、一致検出パルスEQPは、各出力信
号Y1,Y2のゼロクロス検出タイミングが一致したと
き、すなわち「±d+θ(t) = ±d−θ(t)」が成立し
たとき、発生されるので、これに応答してラッチ回路5
6にラッチされるデータは、D1又はD2(ただしD1
=D2)に相当しているが故に、 (D1+D2)/2 と等価である。このことは、 (D1+D2)/2=[{±d+θ(t)}+{±d−θ(t)}]/2 =2(±d)/2=±d であることを意味し、ラッチ回路56にラッチされたデ
ータは、位相変動誤差「±d」を正確に示しているもの
であることを意味する。
【0050】こうして、検出対象量θが時間的に変動し
ているときは、位相変動誤差「±d」を正確に示すデー
タが一致検出パルスEQPに応じてラッチ回路56にラ
ッチされ、このラッチ回路56の出力データがセレクタ
55の入力Aを介して減算回路52に与えられる。従っ
て、減算回路52では、位相変動誤差「±d」を除去し
た検出対象量θのみに正確に応答するデータθ(時間的
に変動する場合はθ(t) )を得ることができる。なお、
図10において、アンドゲート57を省略して、一致検
出パルスEQPを直接的にラッチ回路56のラッチ制御
入力に与えるようにしてもよい。また、ラッチ回路56
には、カウンタ42の出力カウントデータに限らず、図
10で破線で示すように誤差計算回路51の出力データ
「±d」をラッチするようにしてもよい。その場合は、
一致検出パルスEQPの発生タイミングに対して、それ
に対応する誤差計算回路51の出力データの出力タイミ
ングが、ラッチ回路49,50及び誤差計算回路51の
回路動作遅れの故に、幾分遅れるので、適宜の時間遅れ
調整を行なった上で、誤差計算回路51の出力をラッチ
回路56にラッチするようにするとよい。また、動特性
のみを考慮して検出回路部41を構成する場合は、図1
0の回路51及びセレクタ55と図8の一方のラッチ回
路49又は50を省略してもよいことが、理解できるで
あろう。
【0051】図11は、位相変動誤差「±d」を相殺す
ることができる位相差検出演算法についての別の実施例
を示す。コイル部10の2次コイル21〜24から出力
されるレゾルバタイプの前記第1及び第2の交流出力信
号A,Bは、検出回路部60に入力され、図8の例と同
様に、第1の交流出力信号A=sinθ・sinωtが位相シ
フト回路44に入力され、その電気的位相が所定量位相
シフトされて、位相シフトされた交流信号A’=sinθ・
cosωtが得られる。また、減算回路46では、上記位
相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtと上記第
2の交流出力信号B=cosθ・sinωtとが減算され、そ
の減算出力として、B−A’=cosθ・sinωt−sinθ・c
osωt=sin(ωt−θ)なる略式で表わせる電気的交
流信号Y2が得られる。減算回路46の出力信号Y2は
ゼロクロス検出回路48に入力され、ゼロクロス検出に
応じてラッチパルスLP2が出力され、ラッチ回路50
に入力される。
【0052】図11の実施例が図8の実施例と異なる点
は、検出対象に対応する電気的位相ずれを含む交流信号
Y2=sin(ωt−θ)から、その位相ずれ量θを測定
する際の基準位相が相違している点である。図8の例で
は、位相ずれ量θを測定する際の基準位相は、基準のサ
イン信号sinωtの0位相であり、これは、検出装置1
0のコイル部10に入力されるものではないので、温度
変化等によるコイルインピーダンス変化やその他の各種
要因に基づく位相変動誤差「±d」を含んでいないもの
である。そのために、図8の例では、2つの交流信号Y
1=sin(ωt+θ)及びY2=sin(ωt−θ)を形成
し、その電気的位相差を求めることにより、位相変動誤
差「±d」を相殺するようにしている。これに対して、
図11の実施例では、コイル部10から出力される第1
及び第2の交流出力信号A,Bを基にして、位相ずれ量
θを測定する際の基準位相を形成し、該基準位相そのも
のが上記位相変動誤差「±d」を含むようにすることに
より、上記位相変動誤差「±d」を排除するようにして
いる。
【0053】すなわち、検出回路部60において、コイ
ル部10から出力された前記第1及び第2の交流出力信
号A,Bがゼロクロス検出回路61,62に夫々入力さ
れ、それぞれのゼロクロスが検出される。なお、ゼロク
ロス検出回路61,62は、入力信号A,Bの振幅値が
負から正に変化するゼロクロス(いわば0位相)と正か
ら負に変化するゼロクロス(いわば180度位相)のど
ちらにでも応答してゼロクロス検出パルスを出力するも
のとする。これは信号A,Bの振幅の正負極性を決定す
るsinθとcosθがθの値に応じて任意に正又は負となる
ため、両者の合成に基づき360度毎のゼロクロスを検
出するためには、まず180度毎のゼロクロスを検出す
る必要があるためである。両ゼロクロス検出回路61,
62から出力されるゼロクロス検出パルスがオア回路6
3でオア合成され、該オア回路63の出力が適宜の1/
2分周パルス回路64(例えばT−フリップフロップの
ような1/2分周回路とパルス出力用アンドゲートを含
む)に入力されて、1つおきに該ゼロクロス検出パルス
が取り出され、360度毎のゼロクロスすなわち0位相
のみに対応するゼロクロス検出パルスが基準位相信号パ
ルスRPとして出力される。この基準位相信号パルスR
Pは、カウンタ65のリセット入力に与えられる。カウ
ンタ65は所定のクロックパルスCKを絶えずカウント
するものであるが、そのカウント値が、前記基準位相信
号パルスRPに応じて繰返し0にリセットされる。この
カウンタ65の出力がラッチ回路50に入力され、前記
ラッチパルスLP2の発生タイミングで、該カウント値
が該ラッチ回路50にラッチされる。ラッチ回路50に
ラッチしたデータDが、検出対象量θに対応した位相差
θの測定データとして出力される。
【0054】コイル部10から出力される第1及び第2
の交流出力信号A,Bは、それぞれ、A=sinθ・sinω
t、B=cosθ・sinωt、であり、電気的位相は同相で
ある。従って、同じタイミングでゼロクロスが検出され
るはずであるが、振幅係数がサイン関数sinθ及びコサ
イン関数cosθで変動するので、どちらかの振幅レベル
が0か又は0に近くなる場合があり、そのような場合
は、一方については、事実上、ゼロクロスを検出するこ
とができない。そこで、この実施例では、2つの交流出
力信号A=sinθ・sinωt、B=cosθ・sinωtのそれぞ
れについてゼロクロス検出処理を行ない、両者のゼロク
ロス検出出力をオア合成することにより、どちらか一方
が振幅レベル小によってゼロクロス検出不能であって
も、他方の振幅レベル大の方のゼロクロス検出出力信号
を利用できるようにしたことを特徴としている。
【0055】図11の例の場合、コイル部10のコイル
インピーダンス変化等による位相変動誤差が、例えば
「−d」であるとすると、減算回路46から出力される
交流信号Y2は、図12の(a)に示すように、Y2=
sin(ωt−d−θ)となる。この場合、コイル部10
の出力信号A,Bは、角度θに応じた振幅値sinθ及びc
osθを夫々持ち、図12の(b)に例示するように、A
=sinθ・sin(ωt−d)、B=cosθ・sin(ωt−
d)、というように位相変動誤差分を含んでいる。従っ
て、このゼロクロス検出に基づいて図12の(c)のよ
うなタイミングで得られる基準位相信号パルスRPは、
本来の基準のサイン信号sinωtの0位相から位相変動
誤差−dだけずれたものである。従って、この基準位相
信号パルスRPを基準として、減算回路46の出力交流
信号Y2=sin(ωt−d−θ)の位相ずれ量を測定す
れば、位相変動誤差−dを除去した正確な値θが得られ
ることになる。
【0056】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、2次コイ
ル又は1次コイルの極配置を基本的に2極構造として、
小型かつシンプルな構造により、必要な範囲での位置検
出を可能にした誘導型位置検出装置を提供することがで
きる。また、所定の比較的狭い角度範囲で往復動する検
出対象の位置を、小型かつシンプルな構造により、検出
しうるようにした誘導型位置検出装置を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す図
【図2】 図1の動作を示すベクトル図
【図3】 本発明の別の実施例を示す図
【図4】 図3の動作を示すベクトル図
【図5】 本発明の更に別の実施例を示す図
【図6】 本発明の更に他の実施例を示す図
【図7】 図6の変形例を示す図
【図8】 本発明に係る検出装置に適用可能な位相検出
タイプの測定回路の一例を示すブロック図。
【図9】 図8の動作説明図。
【図10】 図9の回路に付加される変更例を示すブロ
ック図。
【図11】 本発明に係る検出装置に適用可能な位相検
出タイプの測定回路の更に別の例を示すブロック図。
【図12】 図11の動作説明図。
【符号の説明】
10 コイル部 1p 1次コイル 2c,2s 2次コイル 3 回転軸 4 可動部 5 磁気応答部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤津 伸行 東京都東大和市新堀2−1453−43 (72)発明者 坂元 和也 東京都羽村市川崎1丁目1番5号、MAC 羽村コートII−405 (72)発明者 坂本 宏 埼玉県川越市山田896−8 (72)発明者 山本 明男 東京都国立市西1−13−29 KMハイツ 101

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の交流信号によって励磁される1次
    コイル、及び所定距離離隔された第1及び第2の位置に
    おいてそれぞれ配置された第1及び第2の2次コイル、
    を含むコイル部と、 検出対象たる直線的な又は曲線的な変位に応答して前記
    コイル部に対して相対的に変位される磁気応答部材であ
    って、この磁気応答部材の前記コイル部に対する相対的
    変位に応じた異なる誘導出力信号が前記各2次コイルか
    ら夫々出力されるようにしたものと、 前記2次コイルの一方からの前記誘導出力信号の電気的
    位相を略90度ずらす位相シフト回路と、 前記2次コイルの他方からの前記誘導出力信号と前記位
    相シフト回路の出力信号とを合成し、少なくとも前記第
    1及び第2の位置間における前記磁気応答部材の相対的
    変位位置に応じた電気的位相角を示す出力交流信号を得
    る回路とを具えた誘導型位置検出装置。
  2. 【請求項2】 所定の交流信号によって励磁される1次
    コイル、及び所定距離離隔された第1及び第2の位置に
    おいてそれぞれ配置された第1及び第2の主2次コイ
    ル、前記第1の主2次コイルと同じ前記第1の位置に配
    置された第1の副2次コイル、前記第2の主2次コイル
    と同じ前記第2の位置に配置された第2の副2次コイル
    を含み、前記主2次コイルの誘導係数よりも前記副2次
    コイルの誘導係数が小さいコイル部と、 検出対象たる直線的な又は曲線的な変位に応答して前記
    コイル部に対して相対的に変位される磁気応答部材であ
    って、この磁気応答部材の前記コイル部に対する相対的
    変位に応じた異なる誘導出力信号が前記各2次コイルか
    ら夫々出力されるようにしたものと、 前記第1の主2次コイルと第2の副2次コイルの誘導出
    力信号を差動合成した信号の電気的位相を略90度ずら
    す位相シフト回路と、 前記第2の主2次コイルと第1の副2次コイルの誘導出
    力信号を差動合成した信号と前記位相シフト回路の出力
    信号とを合成し、少なくとも前記第1及び第2の位置間
    における前記磁気応答部材の相対的変位位置に応じた電
    気的位相角を示す出力交流信号を得る回路とを具えた誘
    導型位置検出装置。
  3. 【請求項3】 所定の交流信号によって励磁される1次
    コイル、及び所定距離離隔された第1及び第2の位置に
    おいてそれぞれ配置された第1及び第2の主2次コイ
    ル、前記第1の主2次コイルと同じ前記第1の位置に配
    置された第1の副2次コイル、前記第2の主2次コイル
    と同じ前記第2の位置に配置された第2の副2次コイル
    を含み、前記主2次コイルの誘導係数よりも前記副2次
    コイルの誘導係数が小さいコイル部と、 検出対象たる直線的な又は曲線的な変位に応答して前記
    コイル部に対して相対的に変位される磁気応答部材であ
    って、この磁気応答部材の前記コイル部に対する相対的
    変位に応じた異なる誘導出力信号が前記各2次コイルか
    ら夫々出力されるようにしたものと、 前記第1の主2次コイルと第2の副2次コイルの誘導出
    力信号を差動合成した第1の出力交流信号と前記第2の
    主2次コイルと第1の副2次コイルの誘導出力信号を差
    動合成した第2の出力交流信号との振幅レベルの比又は
    差に基づき、少なくとも前記第1及び第2の位置間にお
    ける前記磁気応答部材の相対的変位位置を検出する回路
    とを具えた誘導型位置検出装置。
  4. 【請求項4】 所定距離離隔された第1及び第2の位置
    においてそれぞれ配置された第1及び第2の主1次コイ
    ル、前記第1の主1次コイルと同じ前記第1の位置に配
    置された第1の副1次コイル、前記第2の主1次コイル
    と同じ前記第2の位置に配置された第2の副1次コイ
    ル、前記各1次コイルによる誘導出力を取り出すための
    2次コイルを含み、前記第1の主1次コイルと第2の副
    1次コイルが第1の交流信号によって互いに逆相励磁さ
    れ、前記第2の主1次コイルと第1の副1次コイルが前
    記第1の交流信号とは電気的位相のずれた所定の第2の
    交流信号によって互いに逆相励磁されるコイル部と、 検出対象たる直線的な又は曲線的な変位に応答して前記
    コイル部に対して相対的に変位される磁気応答部材であ
    って、この磁気応答部材の前記コイル部に対する相対的
    変位に応じた異なる誘導出力信号が前記2次コイルに出
    力されるようにしたものと、を具備し、少なくとも前記
    第1及び第2の位置間における前記磁気応答部材の相対
    的変位位置に応じた電気的位相角を示す出力交流信号が
    2次コイルから得られる誘導型位置検出装置。
  5. 【請求項5】 前記各主1次コイルの誘導係数と前記各
    副1次コイルの誘導係数が異なっている請求項4に記載
    の誘導型位置検出装置。
  6. 【請求項6】 前記磁気応答部材は、所定の角度範囲内
    で円弧状の軌跡で往復動するものである請求項1乃至5
    のいずれかに記載の誘導型位置検出装置。
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