JPH10169575A - スクロール式機械 - Google Patents

スクロール式機械

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JPH10169575A
JPH10169575A JP9336471A JP33647197A JPH10169575A JP H10169575 A JPH10169575 A JP H10169575A JP 9336471 A JP9336471 A JP 9336471A JP 33647197 A JP33647197 A JP 33647197A JP H10169575 A JPH10169575 A JP H10169575A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械停止時の騒音発生を防止すると共に機械
逆転時に機械を保護する、単純で簡単に組込むことので
きるバルブ機構を備えたスクロール式機械を、提供す
る。 【解決手段】 スクロール機構の吐出圧力領域76と吐
出室80との間に、機械定常稼働状態では吐出圧力領域
から吐出室への自由な流体流れを許すが機械停止或いは
逆転時には吐出室から吐出圧力領域への流体逆流を自動
的に制限する吐出弁を、設けた。この吐出弁は、吐出圧
力の流体を吸入圧力領域へと逃がす流体漏れ径路を常時
は加圧流体の作用により閉鎖する浮動シール組立体86
中に、簡単に組込むことができる。機械停止時に吐出圧
力が吸入圧力と平衡化されるまで、機械保護のための制
限された流体逆流を遅延させる制御バルブを設けた実施
例もある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はスクロール式機
械、特に冷凍、空調及びヒートポンプ系で冷媒を圧縮す
るために使用される圧縮機とか空気圧縮系で使用される
圧縮機のようなスクロール式機械において機械逆転に付
随する諸問題を減少或いは解消するバルブ機構を備えた
スクロール式機械に、関するものである。
【0002】
【発明の背景】スクロール式機械は冷凍用、空調及びヒ
ートポンプ用の圧縮機として、高効率で稼働する能力を
有する点を主な理由としてますます多く使用されるよう
になって来ている。これらの機械は一般に互いに噛合わ
された1対の螺旋翼を有し、そのうちの一方の螺旋翼は
他方の螺旋翼に対し相対的に、外側の吸入ポートから中
心の吐出ポートにかけて移動する間に次第に容積を減少
して行く1個又は複数個の流体ポケットを形成するよう
に旋回せしめられる。普通、適当な駆動軸を介し旋回ス
クロール部材を駆動する電動モータが設けられている。
【0003】スクロール式圧縮機は圧縮用の順次的な流
体ポケットを形成する1対の螺旋翼の相対向する翼側面
間で流体密封を得るものであることからして、一般に吸
入弁及び吐出弁を必要としない。しかし指令を満たすた
めに意図的に、或いは電力の供給が断たれて不測に圧縮
機の運転が中断されたとき吐出チャンバーからの圧縮ガ
スの逆流により、また程度がより低いが加圧された流体
ポケットにより、旋回スクロール部材の逆旋回及びそれ
に伴う駆動軸の逆回転が生ぜしめられる可能性が大であ
る。このような逆転によっては不愉快な騒音が発生する
ことが多い。また単相の駆動モータを使用する機械で
は、動力の供給が一時的に中断すると圧縮機が逆方向に
回転し始める可能性がある。この逆転によっては圧縮機
の過熱及び/又は系の稼働率に関連する他の不都合が生
じうる。さらに凝縮器のファンが停止したような場合に
は吐出圧力が、駆動モータを失速させるか逆回転させる
程度にまで高まることがある。その場合、旋回スクロー
ルが逆旋回するにつれて吐出圧力が減少して行き、モー
タが再び圧力頭に打克ってスクロール部材を正転方向に
旋回駆動する状態が得られる。しかし吐出圧力は再び、
駆動モータを失速させ正逆転サイクルを繰返させるよう
な圧力点まで上昇する。そのようなサイクルは、自ら反
復して永続することからして望ましくない。
【0004】この発明は普通の形式のスクロール式機械
に、全体としての機械の設計を実質的に変更することな
く簡単に組込むことができる極く単純で独特のバルブ機
構によって、機械停止時の騒音発生を防止すると共に機
械逆転時の機械の保護を得ようとするものである。
【0005】
【発明の要約】この発明に係るスクロール式機械は、ス
クロール機構の吐出圧力領域と外殻内に区画形成されて
いる吐出室との間に流体流れを制御する吐出弁機構を設
けたものに構成される。この吐出弁機構は機械の定常稼
働状態では上記した吐出圧力領域から吐出室内への自由
な流体流れを許すが、機械が停止されて吐出室から吐出
圧力領域へと逆方向の流体流れが生じると該流体流れに
応動して、自動的にその流体流れを制限する。流体逆流
を制限することは例えば、機械の定常稼働状態で吐出室
方向への自由な流体流れを得させる弁座の開口を流体逆
流に応動する吐出弁の弁体によって絞らせるとか、或い
は同弁座の開口を流体逆流に応動する吐出弁の弁体によ
って閉鎖させ制限された逆方向の流体流れを、上記吐出
室と吐出圧力領域間に設けた別の流体通路によって得る
ことで、達成できる。機械停止時に吐出室からの流体逆
流を制限することによって、逆流する流体によるスクロ
ール逆転駆動の可能性が減らされて停止時騒音の発生が
抑制され、また流体逆流を完全に阻止するのではなく吐
出圧力領域への若干量の流体流れを行わせることによっ
てスクロール逆転により該領域に生じる真空状態ないし
真空度が制限され、スクロール部材に摩耗が起きる等の
不都合が起きなくて機械が保護される。
【0006】上記した吐出弁機構は公知の浮動シール組
立体と組合わせて、機械停止時の挙動を制御させるよう
に利用するのが好ましい。浮動シール組立体は吐出圧力
の流体を吸入圧力領域へと逃がし吐出圧力を吸入圧力と
平衡化させることとする流体漏れ径路を、加圧流体(特
に両スクロール翼間に形成されて流体ポケット内の中間
圧力の流体)の作用によって常時は閉鎖するように可動
に設けられたシール組立体である。このようなシール組
立体を備えたスクロール式機械で上記吐出弁を設ける構
造によると、吐出弁による機械停止時の流体逆流の制限
によってシール組立体のシール作用が速やかに解除さ
れ、吐出圧力が吸入圧力と速やかに平衡化されて吐出圧
力の流体による機械逆駆動が無くされ、停止時騒音の発
生が無くされる。吐出弁はシール組立体を利用して、該
シール組立体中に組込むことができる。
【0007】この発明の好ましい実施態様においてはさ
らに、機械停止時に吸入圧力に対する吐出圧力の平衡化
を速やかに得させ機械逆転の可能性を大きく減らすよう
に、機械保護のための制御された量の流体逆流を遅延さ
せる制御バルブを設ける。
【0008】この発明の他の特徴と長所は、図面を参照
して行う以下の説明から明瞭に理解できる。
【0009】
【実施例】この発明は数多くの異なった型式のスクロー
ル式機械において実施できるが、例示上の目的からして
図1に一般構造を示すようなスクロール式の冷媒圧縮機
において実施した例について述べる。図1に示す圧縮機
10はほぼ円筒形の密閉外殻12を備え、この外殻12
の上端にはキャップ14を溶着固定してある。キャップ
14には、内部に通常の吐出弁(図示せず)を有してい
てもよい冷媒吐出管接手18を設けてある。外殻12に
取付けられた他の主な構成要素としては入口管接手2
0、キャップ14と同一の点で外殻12に外周端を溶着
されている横向きの仕切り壁22、2分割構造の主軸受
ハウジング24、及び放射方向の外向きに張出す複数の
脚部のそれぞれを外殻12に対し適宜の方法で固定して
ある下部軸受ハウジング26がある。下部軸受ハウジン
グ26は外殻12の内部で、2分割構造の主軸受ハウジ
ング24とモータ固定子30を含むモータ28とを位置
決めし支持している。
【0010】上端に偏心するクランクピン34を有する
駆動軸ないしクランク軸32を、主軸受ハウジング24
中のベアリング36及び下部軸受ハウジング26中の第
2のベアリング38に支承させて、回転可能に設けてあ
る。クランク軸32はその下端部中に比較的大径の同心
の穴40を有し、この穴40は、放射方向に外向きに傾
斜させクランク軸32の上端にまでわたって穿設されて
いる、より小径の穴42に対し連通させてある。穴40
内には攪拌器44を配設してある。外殻12内の下部
は、潤滑油を満たしてある油溜め46に形成されてい
る。穴40はポンプとして働き、クランク軸32内で穴
42中へ潤滑油を汲上げ最終的には潤滑を必要とする圧
縮機の種々の部分の全てに潤滑油を供給する。
【0011】クランク軸32はモータ固定子30、該固
定子30を貫通している巻線48、及びクランク軸32
上に圧嵌めされていると共に上下の釣合い重り52,5
4を有するモータ回転子50を含む前記電動モータ28
によって回転駆動される。
【0012】2分割構造の主軸受ハウジング24の上面
には環状で平坦なスラスト受け面56を形成してあり、
このスラスト受け面56上に、上面側に通常の螺旋翼6
0を有する旋回スクロール部材58を配置してある。こ
の旋回スクロール部材58の下面から平軸受62を内部
に有する円筒状のハブを下方向きに突出させてあり、こ
のハブ中に穴66を有する駆動ブッシュ64を回転可能
に配設して、穴66中にクランクピン34を嵌合してあ
る。クランクピン34は穴66の内周面の一部に形成し
てある平坦面と係合する平坦面(以上、図示せず)を外
面上に有し、これによって本願出願人の米国特許No.
4,877,382に記載されているような放射方向で
融通性ないし可撓性を有する駆動機構が提供されてお
り、ここに同米国特許を引用してその記載を加入する。
オルダム継手68も、旋回スクロール部材58の回転運
動を阻止するために該スクロール部材58と非旋回スク
ロール部材70とにキー係合させて、設けられている。
オルダム継手68は本願出願人の米国特許No.5,3
20,506に記載されているタイプのものであるのが
好ましく、ここに同米国特許を引用してその記載を加入
する。
【0013】螺旋翼72を有する非旋回スクロール部材
70を、翼72を旋回スクロール部材58の翼60と噛
合せるように配置して設けてある。この非旋回スクロー
ル部材70は中心に配置の吐出通路74を有し、この吐
出通路74は上端開放の凹溝76と連通させてあって、
凹溝76が仕切り壁22中の開口78を介し、キャップ
14と仕切り壁22とにより区画形成された吐出消音室
80と連通している。開口78の入口は、それを取り巻
く環状のシート部82を有する。非旋回スクロール部材
70はその上面に、互いに平行する内外の周壁面を持つ
環状凹溝84を有し、この環状凹溝84内には環状の浮
動シール組立体86を、軸線方向での移動可能に配置し
てある。この浮動シール組立体86は凹溝84内の底部
を、シール内周面部88で吐出圧力のガスから隔離しシ
ール外周面部90で吸入圧力のガスから隔離して、該底
部を非旋回スクロール部材70に設けた通路92によっ
て中間圧力の流体源、つまり両螺旋翼60,72間に形
成され吸入圧力と吐出圧力間の中間の圧力にまで圧縮さ
れたガスを含む流体ポケット(図示せず)に、連通させ
得ることとする。これによって非旋回スクロール部材7
0は旋回スクロール部材58に向けて軸線方向で、非旋
回スクロール部材70の中心部に加わる吐出圧力に起因
する力と凹溝84の内底面に加わる中間流体圧力に起因
する力とによって移動付勢を受け、両螺旋翼60,72
間の翼先密封が向上する。非旋回スクロール部材70中
心部の凹溝76及び開口78内の吐出ガスは外殻12内
の吸入圧力のガスから、シート部82に密封係合するシ
ール組立体86の作用によって隔離される。軸線方向で
の圧力付勢及び浮動シール組立体86の機能は、本願出
願人の米国特許No.5,156,539に詳細に記載
されており、ここに同米国特許を引用してその記載を加
入する。非旋回スクロール部材70は軸受ハウジング2
4に、該スクロール部材70の制限された軸線方向変位
が可能であるように(そして回転不能に)支持させてあ
る。この非旋回スクロール部材70は前述した米国特許
No.4,877,382又は米国特許No.5,10
2,316に記載されている方式で支持でき、ここに同
米国特許を引用してその記載を加入する。
【0014】図示の圧縮機は、入口管接手20から入る
吸入ガスの一部が外殻12内に逃がされモータの冷却を
援ける「側部低圧(low side)」型のものであ
る。外殻12内へ戻される吸入ガスの流れ量が適当であ
る限り、モータは所望の温度制限範囲内に維持される。
しかし吸入ガスの流れが中断すると、冷却の不足によっ
てモータ保護器94が作動し機械が停止される。
【0015】以上に説明したスクロール式圧縮機の構造
は既に公知であるか、本願出願人の係属中の特許出願の
主題とされている。
【0016】この発明は機械的なバルブ機構100に係
り、同バルブ機構100は浮動シール組立体86中に一
体的に組込まれている。このバルブ機構100は圧縮機
10の定常状態の稼働中には完全に開放した状態にとど
まり、圧縮機10の停止時にのみ閉鎖する。バルブ機構
100が一旦完全に閉鎖すると浮動シール組立体86は
圧力差によって押下げられ、圧縮機10の吐出側から吸
入側へのガス流れを許す。
【0017】図2,3について説明して行くと、浮動シ
ール組立体86は構成部品を同心状に配置したサンドイ
ッチ構造のもので、周方向で等間隔宛をおいて直立する
複数個の一体的な突起104を有する環状の基板102
を備えている。各突起104は、拡大された基端部10
6を有する。基板102上には環状のガスケット108
を配置してあり、このガスケット組立体108は突起基
端部106を支承するところの、周方向で等間隔おきに
配置されている複数個の穴を備えている。ガスケット1
08上には環状のスペーサ板110を配置してあり、こ
のスペーサ板110は突起基端部106を支承するとこ
ろの、周方向で等間隔おきに配置されている複数個の穴
を備えている。スペーサ板110上には環状の他のガス
ケット112を配置してあり、このガスケット112は
突起104を支承するところの、周方向で等間隔おきに
配置されている複数個の穴を備えている。シール組立体
86の組立て状態は突起104を支承するところの、周
方向で等間隔おきに配置されている複数個の穴を備えた
環状の上部シール板114によって、保持されている。
シール板114は複数個の環状突起116を備えてい
て、これらの突起116はスペーサ板110中の複数個
の穴に突入して該穴に係合し、シール組立体86に対し
安定性を付与する。シール板114は、上方向きに突出
する平らな環状シールリップ部118も備えている。シ
ール組立体86は、符号120で示すように突起104
端を据込むことによって諸部品を一緒に固定してあるも
のに構成されている。
【0018】したがってシール組立体86は図3に明瞭
に示すように3種の密封、つまり上下2つの接触面部1
22での内径密封、上下2つの接触面部124での外径
密封、及び上端密封面部126での上端密封を付与す
る。内径密封部122は、環状凹溝84底部内の中間圧
力の流体を凹溝76内の流体から隔離して密封する。外
径密封部124は、環状凹溝84底部内の中間圧力の流
体を外殻12内の吸入圧力の流体から隔離して密封す
る。上端密封面部126はシールリップ部118と環状
シート部82間で作用し、シール組立体86上端部の上
下にまたがって存在する吐出圧力を吸入圧力の流体から
隔離して密封する。
【0019】上端密封面部126の直径は、圧縮機10
の定常稼働状態でシール組立体86に加わる実際の密封
力、つまり定常状態での圧力差に基づく力、が存在する
こととなるように選択されている。したがって望ましく
ない圧力状態が生じたときにシール組立体86は強制的
に押下げられ、圧縮機10の吐出圧力領域から吸入圧力
領域への流体流れを許す。この流れが十分に大きいと
(高温の吐出ガスの漏れにより増大された)モータ冷却
用ガス流れの不足によってモータ保護器94が作動し、
モータ28への電力供給が断たれる。上端密封面部12
6の幅は、シールリップ部118とシート部82間の単
位圧力が定常状態での吐出圧力よりも大であって緊密な
密封が保証されるように、選択されている。
【0020】シールリップ部118の内径部分は、吐出
弁の弁座130に形成されている。この弁座130は、
凹溝76から吐出消音室80内への圧縮ガスの流動を可
能とする複数個の開口132を含む。マッシュルーム状
の弁リテーナ134を、ねじ嵌め等の公知の取付け手段
によって弁座130中心部の穴136に取付けてある。
弁座130と弁リテーナ134間には環状の弁体138
を配置してある。この弁体138の直径は、該弁体13
8が弁座130に着座したとき複数個の上記開口132
が覆われることとなるように設定されている。弁体13
8と接触しているリテーナ134上部の直径は圧縮機1
0の稼働中及び停止時に弁に対し作用する力を制御する
ため、弁体138の直径よりも小さく該直径に対し好ま
しい比率をなすように選択されている。このリテーナ1
34上部の直径は、弁体138の直径の50%から10
0%の範囲に選択される。図示の好ましい実施例ではリ
テーナ134上部の直径を弁体138の直径の約95%
に選択してある。圧縮機10の稼働中に弁体138が、
例えば高圧力比時におけるような極端な条件の下で生じ
るガス流れの脈動によって動的に振動するのは好ましく
ない。弁体138と弁リテーナ134間の適正な接触面
積、及び「膠着(sticktion)」と称されてい
る現象によって、弁体138が動的に振動するのを阻止
できる。膠着はこの場合、弁体138と弁リテーナ13
4間に存在する潤滑油の表面張力によって弁体138が
一時的に弁リテーナ134へと粘着することである。
【0021】弁リテーナ134には中心の透孔140を
設けてあり、この透孔140の寸法は、弁体138が弁
座130の開口132を閉鎖したときに適正量の吐出ガ
スが弁リテーナ134を通して流れることとなるよう
に、設定されている。弁リテーナ134を通しての該ガ
ス流れは、圧縮機10が強制逆転される間に生じえる真
空度を制限する。圧縮機10の強制逆転は3相モータに
対する誤配線に起因して、或いは凝縮器のファンが停止
して駆動モータの失速が生じる程度までの吐出圧力が形
成されるような種々の条件下で、生じえる。透孔140
の直径をあまりに小さく設定すると、逆転中に過度の真
空状態が生じる。透孔140の直径をあまりに大きく設
定すると、圧縮機10の停止時の逆転が適正には阻止さ
れなくなる。
【0022】弁体138は圧縮機10の正常稼働中、図
3に示す開放位置に保持され、加圧された冷媒が吐出通
路74から凹溝76中へ、そして複数個の開口132を
通って吐出消音室80内に流れる。指令を満たすため意
図的に或いは電力供給の遮断により不測に圧縮機10が
停止されると、吐出消音室80内からの圧縮冷媒の逆流
の結果として、またより程度が小さいが両スクロール翼
60,72によって形成された流体ポケット中の加圧さ
れたガスにより、旋回スクロール部材58の逆旋回動が
起こされる可能性が大である。弁体138は最初、上述
した膠着現象によって開放位置に保持される。圧縮機1
0が停止したとき圧縮冷媒の初期逆流に起因する力によ
り、またより程度は小さいが図示の構造例の場合には重
力に起因する力により、一時的な粘着状「膠着」が打ち
破られ、弁体138が下降して複数個の開口132を閉
鎖し、吐出消音室80からの圧縮冷媒の流れが、透孔1
40を通して許容される量の流れを除いては停止する。
透孔140を通しての制限された量の流れは浮動シール
組立体86の下降を阻止するのに十分ではなく、このた
め密封面部126での密封が解除され吐出圧力の冷媒が
圧縮機10の吸入圧力領域へと流れることができ、吐出
圧力が吸入圧力と等しくされ旋回スクロール部材58の
逆転が停止する。
【0023】このように弁座130、弁リテーナ134
及び弁体138を含むシール組立体86は圧縮機停止後
に、該圧縮機10を通しての加圧流体の逆流量を制限す
る。このように冷媒逆流が制限されることによって停止
時に発生する騒音を、圧縮機10の性能に不利な影響を
及ぼすことなく制御する能力が与えられる。停止時騒音
の制御はしたがって、単純で低コストの構造で達成され
る。
【0024】強制逆転中に透孔140は真空状態が形成
されるのを阻止するのに十分な冷媒逆流を許し、モータ
保護器94が作動し圧縮機10を停止させるまでスクロ
ール部材58,70を保護するのに十分な量の冷媒を供
給する。
【0025】上述のように圧縮機停止後に吐出消音室8
0からの流体逆流を制限することは、図2,3に示した
構造による他、例えば弁体138の寸法(直径)を弁座
130の各開口132を部分的にのみ閉鎖するように設
定するか、或いは弁体138の形状を弁座130の複数
開口132のうちの一部の開口132のみを閉鎖して残
りの開口132は開放状態に留めるように設定して、吐
出消音室80から凹溝76へと連なる流体通路を圧縮機
停止後に絞る構造によっても、達成できる。
【0026】図4は、この発明の他の実施例に係る浮動
シール組立体286を示している。逆転の阻止と強制逆
転に対する保護とは、互いに相反する要求である。逆転
を阻止するためには弁体138により開口132をでき
るだけ迅速に閉鎖させ、スクロール部材58,70に対
し供給される加圧ガス量をできるだけ少なくして逆転駆
動力を無くすようにすることを、必要とする。強制逆転
に対する保護を得るためには吐出消音室80からのガス
がスクロール部材58,70を通して逆方向へ、スクロ
ール翼60,72によって形成された流体ポケット内の
真空度が制限されるように流すことを、必要とする。真
空度の制限は、スクロール部材58,70間に生じる摩
擦損傷を阻止するのに役立つ。
【0027】図1−3の実施例は、逆転の阻止と強制逆
転中の保護との間の機能上の妥協を図ったものである。
透孔140の直径は、強制逆転中に適正量のガスが弁体
138を迂回して流れることを許すが同ガス流量を、停
止時のスクロール逆転量を十分に減少させるように制限
することとなるように、選択されている。図4に示した
浮動シール組立体286は上述の相反する要求に、強制
逆転中の冷媒逆流に時間的な遅れを与えることによって
対処している。吐出圧力領域と吸入圧力領域間の圧力平
衡化は、比較的短時間で起きる。この圧力平衡化時間に
実質的に等しい時間間隔だけ弁体138を迂回する逆流
を遅延させることによって、逆転の阻止と強制逆転に対
する保護との両方を得ることができる。
【0028】図4に示すように浮動シール組立体286
は、シールリップ部118の内径部分に一体形成された
弁座130を有する。この弁座130は、凹溝76から
吐出消音室80内への圧縮ガスの流動を可能とする複数
個の開口132を含む。マッシュルーム状の弁リテーナ
234を、ねじ嵌め等の公知の取付け手段によって弁座
130中心部の穴136に取付けてある。弁座130と
弁リテーナ234間には環状の弁体138を配置してあ
る。この弁体138の直径は、該弁体138が弁座13
0に着座したとき複数個の上記開口132が覆われるこ
ととなるように設定されている。弁体138と接触して
いるリテーナ234上部の直径は圧縮機10の稼働中及
び停止時に弁に対し作用する力を制御するため、弁体1
38の直径よりも小さく該直径に対し好ましい比率をな
すように選択されている。このリテーナ234上部の直
径は、弁体138の直径の50%から100%の範囲に
選択される。図示の好ましい実施例ではリテーナ234
上部の直径を弁体138の直径の約95%に選択してあ
る。弁リテーナ234には中心の透孔240を設けてあ
り、この透孔240中に杆状の制御バルブ242を摺動
可能に配置してある。この制御バルブ242は、軸部2
44と下端のヘッド部246とを有する。軸部244と
透孔240間の滑り摩擦によって制御バルブ242の運
動に対する緩衝作用が与えられる。スプリング248
を、透孔240中途の肩部250と軸部244端に装着
したリテーナ252間に配置してある。このスプリング
248は杆状の制御バルブ242を、ヘッド部246が
弁リテーナ234の下端面に対し係合することとなるよ
うに移動付勢する。杆状の制御バルブ242には、軸線
方向の穴254と該穴254に連なる直径方向の穴25
6とを設けてある。後者の穴256は透孔240内の低
部に開口させてある。
【0029】弁体138は圧縮機10の正常稼働中、図
4に示す開放位置に保持され、加圧された冷媒が吐出通
路74から凹溝76中へ、そして複数個の開口132を
通って吐出消音室80内に流れる。スプリング248の
付勢力により制御バルブ242のヘッド部246が弁リ
テーナ234の下端面に対し係合せしめられていて、透
孔240及び穴254,256が閉鎖されている。指令
を満たすため意図的に或いは電力供給の遮断により不測
に圧縮機10が停止されると、吐出消音室80内からの
圧縮冷媒の逆流の結果として、またより程度が小さいが
両スクロール翼60,72によって形成された流体ポケ
ット中の加圧されたガスにより、旋回スクロール部材5
8の逆旋回動が起こされる可能性が大である。圧縮冷媒
の初期の逆流によって弁体138が、弁座130上へと
下降して複数個の開口132を閉鎖する。複数個の開口
132の同閉鎖、及びスプリング248の作用による透
孔240及び穴254,256の閉鎖によって、吐出消
音室80からのスクロール部材58,70中への圧縮冷
媒の流れが全て停止し、これによって旋回スクロール部
材58の逆転が阻止される。冷媒流れの停止により浮動
シール組立体286が下降し、吐出圧力の冷媒が圧縮機
10の吸入圧力領域へと流れうる。この冷媒流れによっ
て圧力が平衡化され、旋回スクロール部材58の逆転が
阻止される。圧力平衡化は約0.2秒間で生じ、この時
間は弁リテーナ234からのヘッド部246の離間に要
する時間よりも短い。ヘッド部246の離間に係る望ま
しい同時間遅延は、バルブ軸部244と透孔240間の
摩擦、バルブ系の慣性及びスプリング248による付勢
といった作用によって与えられる。
【0030】このように弁座130、弁リテーナ23
4、弁体138及び杆状の制御バルブ242を含む浮動
シール組立体286は圧縮機停止後に圧力の平衡化が生
じるのに十分な時間だけ、該圧縮機10を通しての加圧
流体の逆流を阻止する。このように冷媒逆流が阻止され
ることによって停止時に発生する騒音を、圧縮機10の
性能に不利な影響を及ぼすことなく制御する能力が与え
られる。停止時騒音の制御はしたがって、単純で低コス
トの構造で達成される。
【0031】単相モータへの一時的な電力供給の遮断後
に起きえる強制逆転中に弁体138及びバルブ・ヘッド
部246は、冷媒の初期逆流を阻止する。この冷媒逆流
の阻止によって部分的な真空が生じ、それによってヘッ
ド部246が弁リテーナ234から迅速に離れて穴25
4,256を通しての冷媒流れを許し、形成されつつあ
る真空状態を制限する。真空状態の該制限によって、モ
ータ保護器94が作動し圧縮機10が停止されるまでス
クロール部材58,70を保護するのに十分な冷媒流れ
が与えられる。ヘッド部246の弁リテーナ234への
接触状態を維持するスプリング248によって得られる
冷媒逆流の一時的な遅延、バルブ軸部244と透孔24
0間の摩擦による緩衝、及びバルブ系の慣性は強制逆転
に対する保護には直接関係しないが、強制逆転の阻止に
対しては明確な利点となる。強制逆転に対する保護は誤
配線、或いは凝縮器ファンの停止に起因する、駆動モー
タ28を失速させる点までの吐出圧力の形成といったよ
うな種々の事態により、必要となることがある。
【0032】この発明の好ましい実施例について説明し
てきたが、特許請求の範囲を適正に解釈した範囲内で実
施例の構造に変形或いは修正を加えて本発明を実施可能
であることは、容易に理解される通りである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従ったバルブ機構を備えたスクロー
ル式圧縮機を示す一部欠截縦断面図である。
【図2】図1に示した圧縮機を、キャップと仕切り壁の
一部とを取除いて図示した横断平面図である。
【図3】図1に示してあるシール組立体部分の拡大縦断
面図である。
【図4】図3に類似の縦断面図で、この発明の他の実施
例を示している。
【符号の説明】
12 外殻 22 仕切り壁 32 クランク軸 58 旋回スクロール部材 60 螺旋翼 70 非旋回スクロール部材 72 螺旋翼 74 吐出通路 76 凹溝 78 開口 80 吐出消音室 82 シート部 84 環状凹溝 86,286 浮動シール組立体 100 バルブ機構 108,112 ガスケット 118 シールリップ部 126 上端密封面部 130 弁座 132 開口 134,234 弁リテーナ 138 弁体 140,240 透孔 242 制御バルブ 244 軸部 246 ヘッド部 248 スプリング 254,256 穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジャロスラブ ブラス アメリカ合衆国、55447ミネソタ州、プラ イマウス、ザンジバール レーン 1061 (72)発明者 ジーン−ルック キャイラト アメリカ合衆国、45415オハイオ州、ディ トン、セットルメント ウェイ 7001

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に吐出室を有する外殻、 上記外殻内に配置されている第1のスクロール部材であ
    って、端板から突出する第1の螺旋翼を有する第1のス
    クロール部材、 上記外殻内に配置されている第2のスクロール部材であ
    って、端板から突出し上記第1の螺旋翼と噛合わされて
    いる第2の螺旋翼を有する第2のスクロール部材、 上記した両スクロール部材間に相対旋回を生じさせ上記
    両螺旋翼によって、吸入圧力領域と上記吐出室に連通す
    る吐出圧力領域との間で容積を変更しながら移動する流
    体ポケットを形成させる駆動部材、 上記吐出圧力領域と上記吐出室との間に配置されている
    吐出弁であって、吐出圧力領域と吐出室間の流体流れを
    許容する開放位置と吐出室と吐出圧力領域間の流体流れ
    を阻止する閉鎖位置との間で変位可能な吐出弁、及び上
    記吐出室と上記吐出圧力領域との間に配置されている流
    体通路であって、上記吐出弁が閉鎖位置にあるとき開放
    状態にある流体通路、を備えたスクロール式機械。
  2. 【請求項2】 吐出圧力の流体を前記吸入圧力領域に逃
    がすための流体漏れ径路であって加圧流体の作用によっ
    て閉鎖される流体漏れ径路を、設けてある請求項1のス
    クロール式機械。
  3. 【請求項3】 前記吐出弁が、 弁座、 この弁座に取付けられた弁リテーナ、及び上記した弁座
    と弁リテーナ間に配置された弁体、 を備えている請求項1のスクロール式機械。
  4. 【請求項4】 前記流体通路を、前記弁リテーナを貫通
    させて設けてある請求項3のスクロール式機械。
  5. 【請求項5】 前記流体通路中に配置された制御バルブ
    であって該流体通路を通しての流体流れを許容する開放
    位置と該流体通路を通しての流体流れを阻止する閉鎖位
    置との間で移動可能な制御バルブを、設けてある請求項
    4のスクロール式機械。
  6. 【請求項6】 前記制御バルブを、前記閉鎖位置へと移
    動付勢してある請求項5のスクロール式機械。
  7. 【請求項7】 前記弁体を環状のものに形成してあり、
    前記弁リテーナが該弁体と係合する環状接触領域を有し
    ていて、該環状接触領域の外径を、弁体の外径の50−
    100%に設定してある請求項3のスクロール式機械。
  8. 【請求項8】 前記環状接触領域の外径を、前記弁体の
    外径の約95%に設定してある請求項7のスクロール式
    機械。
  9. 【請求項9】 前記流体通路中に配置された制御バルブ
    であって該流体通路を通しての流体流れを許容する開放
    位置と該流体通路を通しての流体流れを阻止する閉鎖位
    置との間で移動可能な制御バルブを、設けてある請求項
    1のスクロール式機械。
  10. 【請求項10】 前記制御バルブを、前記閉鎖位置へと
    移動付勢してある請求項9のスクロール式機械。
  11. 【請求項11】 内部に吐出室を有する外殻、 上記外殻内に配置されている第1のスクロール部材であ
    って、端板から突出する第1の螺旋翼を有する第1のス
    クロール部材、 上記外殻内に配置されている第2のスクロール部材であ
    って、端板から突出し上記第1の螺旋翼と噛合わされて
    いる第2の螺旋翼を有する第2のスクロール部材、 上記した両スクロール部材間に相対旋回を生じさせ上記
    両螺旋翼によって、吸入圧力領域と上記吐出室に連通す
    る吐出圧力領域との間で容積を変更しながら移動する流
    体ポケットを形成させる駆動部材、及び上記吐出圧力領
    域と上記吐出室との間に配置された吐出弁であって、吐
    出圧力領域と吐出室間の流体流れを制限することのない
    第1の位置と吐出室と吐出圧力領域間の流体流れを制限
    する第2の位置との間で変位可能であり、上記吐出室か
    らの上記吐出圧力領域方向への流体流れに応動して上記
    第2の位置へ自動的に移される吐出弁、を備えたスクロ
    ール式機械。
  12. 【請求項12】 内部に吐出室を有する外殻、 上記外殻内に配置されている第1のスクロール部材であ
    って、端板から突出する第1の螺旋翼を有する第1のス
    クロール部材、 上記外殻内に配置されている第2のスクロール部材であ
    って、端板から突出し上記第1の螺旋翼と噛合わされて
    いる第2の螺旋翼を有する第2のスクロール部材、 上記した両スクロール部材間に相対旋回を生じさせ上記
    両螺旋翼によって、吸入圧力領域と上記吐出室に連通す
    る吐出圧力領域との間で容積を変更しながら移動する流
    体ポケットを形成させる駆動部材、 上記吐出室と上記吸入圧力領域間に設けた流体漏れ径路
    中に配置された可動のシール組立体であって、常時は加
    圧流体の作用を受けて該流体漏れ径路を閉鎖するシール
    組立体、及び上記シール組立体内に組込んで上記吐出圧
    力領域と上記吐出室との間に配置してある吐出弁であっ
    て、吐出圧力領域と吐出室間の流体流れを制限すること
    のない第1の位置と吐出室と吐出圧力領域間の流体流れ
    を制限する第2の位置との間で変位可能であり、上記吐
    出室からの上記吐出圧力領域方向への流体流れに応動し
    て上記第2の位置へ自動的に移される吐出弁、を備えた
    スクロール式機械。
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