JPH10158782A - フォトエッチング時の穿孔性とプレス成形性に優れたシャドウマスク用鋼板及びその製造方法 - Google Patents

フォトエッチング時の穿孔性とプレス成形性に優れたシャドウマスク用鋼板及びその製造方法

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JPH10158782A
JPH10158782A JP32510396A JP32510396A JPH10158782A JP H10158782 A JPH10158782 A JP H10158782A JP 32510396 A JP32510396 A JP 32510396A JP 32510396 A JP32510396 A JP 32510396A JP H10158782 A JPH10158782 A JP H10158782A
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steel sheet
less
rolling
annealing
cold rolling
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JP32510396A
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Satoshi Kodama
悟史 児玉
Yasuhiro Matsuki
康浩 松木
Tadashi Inoue
正 井上
Hiroshi Sawada
弘 澤田
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JFE Engineering Corp
Nikko Kinzoku KK
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Nikko Kinzoku KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】焼鈍時の窒化に関して問題とならない程度のS
量を含有している場合にも、フォトエッチング時の穿孔
性に悪影響を与えるようなMnS系介在物がなく、しか
も二次焼鈍時の結晶粒の成長性が良好で、二次焼鈍後の
降伏強度が低いシャドウマスク用鋼板を提供する。 【解決手段】本発明の鋼板は、重量%で、C:0.00
5%以下と、Mn:0.1〜0.5%と、S:0.00
1〜0.02%と、酸可溶性Al(Sol.Al):0.0
02〜0.1%と、N:0.008%以下とを含有する
フォトエッチング前の鋼板において、MnS系介在物の
粒径分布の±2σ(σは標準偏差)に相当する粒径範囲
を0.05〜2μmに制御されたフォトエッチング時の
穿孔性とプレス成形性に優れたシャドウマスク用鋼板で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトエッチング
時の穿孔性とプレス成形性の両面に優れたシャドウマス
ク用鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シャドウマスクは0.2mm前後の薄い
軟鋼板にフォトエッチングにより100μm程度の孔を
数百万個開けてから、二次焼鈍され、形状矯正された
後、プレス成形し、黒化処理を施して製造される。そこ
でシャドウマスク用鋼板には、フォトエッチング時の穿
孔性とプレス成形性が要求される。
【0003】フォトエッチング工程では、シャドウマス
ク用鋼板にフォトレジストを塗布し、露光、現像、バー
ニング処理した後に、塩化第二鉄液をスプレー噴射して
エッチングされる。このとき、粗大な介在物が穿孔部付
近にあると、塩化第二鉄に対する腐食速度が地鉄と異な
るため、エッチング後の孔の形状がひずんでしまい、透
過ムラの原因となる。この穿孔性に影響を与える介在物
としてはMnS系介在物があり、このMnS系介在物の
悪影響を低減するため鋼中のS含有量を低く抑える方法
が、特公昭63-66376号公報で提案されている。また、介
在物が穿孔性に悪影響を与えない程度に介在物の粒径を
微細にした鋼板も、特開昭61-153258 号公報及び特開昭
61-153259 号公報に提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、鋼中のS含有
量を必要以上に低く抑えることは、プレス前の二次焼鈍
での窒化を促進し、プレス成形時の伸びムラの原因とな
る場合がある。また、S含有量を低く抑えた場合にも、
鋼板中に粗大なMnS系介在物が多数ある場合には、穿
孔性に悪影響を及ぼし、微細MnS系介在物が多量にあ
る場合は後述のごとく、プレス成形性が悪い。
【0005】また、介在物の粒径を微細に制御した鋼板
については、フォトエッチング時の穿孔性は良好である
ものの、微細な介在物が多数あることにより、その後の
二次焼鈍での結晶粒の成長性が悪い。近年、コスト合理
化の観点から二次焼鈍時の温度を低下させたり、時間を
短縮させたりするケースが多くなっており、上記のよう
な結晶粒の成長性が悪い鋼板は、低温短時間の二次焼鈍
では十分に結晶粒が成長せず、降伏強度が高くなる場合
が多い。降伏強度が高い材料はプレス成形時の形状凍結
性が悪く、所定の曲面形状を得ることが困難である。
【0006】本発明の目的は、焼鈍時の窒化に関して問
題とならない程度のS量を含有している場合にも、フォ
トエッチング時の穿孔性に悪影響を与えるようなMnS
系介在物がなく、しかも二次焼鈍時の結晶粒の成長性が
良好で、二次焼鈍後の降伏強度が低いシャドウマスク用
鋼板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。
【0008】(1)本発明の鋼板は、重量%で、C:
0.005%以下と、Mn:0.1〜0.5%と、S:
0.001〜0.02%と、酸可溶性Al(Sol.A
l):0.002〜0.1%と、N:0.008%以下
とを含有し、MnS系介在物の粒径分布の±2σ(σは
標準偏差)に相当する粒径範囲を0.05〜2μmに制
御されたフォトエッチング時の穿孔性とプレス成形性に
優れたシャドウマスク用鋼板である。 (2)本発明の鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.
05%以下と、Mn:0.1〜0.5%と、S:0.0
01〜0.02%と、酸可溶性Al(Sol.Al):0.
002〜0.1%と、N:0.008%以下とを含有す
る鋼を1100℃以上の温度域で粗圧延する工程と、粗
圧延された鋼板を1000℃未満に冷却した後、100
0℃以上1100℃未満に再加熱して、仕上げ圧延を行
う工程と、仕上げ圧延された熱延鋼板に対して冷間圧延
と脱炭焼鈍との二つの処理を行う工程と、を備え、二つ
の処理を行う工程は、下記の(1)、(2)、(3)の
工程から選択されることを特徴とする上記(1)に記載
のフォトエッチング時の穿孔性とプレス成形性に優れた
シャドウマスク用鋼板の製造方法である。
【0009】冷間圧延し、脱炭焼鈍する工程 …(1) 冷間圧延し、脱炭焼鈍し、さらに冷間圧延する工程 …
(2) 脱炭焼鈍し、冷間圧延する工程 …(3) (3)本発明の鋼板の製造方法は、上記(1)に記載の
組成を有する鋼板を製造する方法において、鋼を110
0℃以上の温度域で粗圧延する工程と、粗圧延された鋼
板を1000℃未満に冷却した後、1000℃以上11
00℃未満に再加熱して、仕上げ圧延を行う工程と、仕
上げ圧延された熱延鋼板に対して冷間圧延と焼鈍との二
つの処理を行う工程と、を備え、二つの処理を行う工程
は、下記の(1)、(2)、(3)の工程から選択され
ることを特徴とするフォトエッチング時の穿孔性とプレ
ス成形性に優れたシャドウマスク用鋼板の製造方法であ
る。
【0010】冷間圧延し、焼鈍する工程 …(1) 冷間圧延し、焼鈍し、さらに冷間圧延する工程 …
(2) 1回の冷間圧延を施す工程 …(3)
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者は、焼鈍時の窒化に関し
て問題とならない程度のS量を含有している場合にも、
フォトエッチング時の穿孔性に悪影響を与えるようなM
nS系介在物がなく、しかも二次焼鈍時の結晶粒の成長
性が良好で、二次焼鈍後の降伏強度が低いシャドウマス
ク用鋼板を得るために、フォトエッチング時の穿孔性及
び二次焼鈍時の結晶粒の成長性とMnS系介在物の粒径
との関係について、鋭意検討を重ねた。
【0012】その結果、フォトエッチング前の鋼板にお
いて、MnS系介在物の粒径で、2μmを超えるMnS
系介在物が多数存在する場合にはフォトエッチング時の
穿孔性が劣化し、0.05μm未満のMnS系介在物が
多数存在する場合には二次焼鈍時の結晶粒の成長性が劣
化することを見出だした。
【0013】以上の知見に基づき、本発明者は、鋼組成
及び熱延条件を制御して、熱延前のスラブ段階でMnS
系介在物を部分的に溶かす、もしくは析出させないよう
にすることにより、粗大な介在物の生成を抑え、粗圧延
後微細析出するMnS系介在物については、粗圧延材の
再加熱により仕上げ圧延前に凝集粗大化させるようにし
て、フォトエッチング前の鋼板において、MnS系介在
物の粒径分布の±2σ(σは標準偏差)に相当する粒径
範囲を0.05〜2μmに制御して、フォトエッチング
時の穿孔性とプレス成形性の両特性に優れる本発明のシ
ャドウマスク用鋼板及びその製造方法を見出だし、本発
明を完成した。
【0014】すなわち、本発明は鋼組成及び製造条件を
下記範囲に限定することにより、フォトエッチング時の
穿孔性とプレス成形性の両特性に優れるシャドウマスク
用鋼板を得ることができる。
【0015】以下に本発明の成分添加理由、成分限定理
由、及び製造条件の限定理由について説明する。
【0016】(1)成分組成範囲 C:C量が多くなると、炭化物の生成が多くなり、フォ
トエッチング時の穿孔性を悪くする。さらに降伏点伸び
が大きくなり、プレス時の孔の形状不良を生じやすくな
るため、脱炭焼鈍をしない場合にはスラブ中のC量とし
て0.005%以下、脱炭焼鈍する場合にはスラブ中の
C量として0.05%以下、脱炭焼鈍後の鋼板中のC量
として0.005%以下である。これは脱炭焼鈍する場
合、C量が多い場合には十分な脱炭には時間が必要とな
るため、C量は0.05%以下、好ましくは0.02%
以下である方がよい。
【0017】Mn:Mn量はSによる熱間脆性を防止す
るため、0.1%以上添加する必要があるが、その量が
0.5%を超えると鋼が硬化し、プレス成形性を悪くす
るため、0.1〜0.5%である。
【0018】S:S量が0.001%未満であると焼鈍
時に窒化しやすくなり、窒化はプレス時の形状不良をま
ねく。またS量が多いと熱間圧延時の表面割れにつなが
るとともに、請求項2、3の製造方法でMnS系介在物
の粒径分布の±2σに相当する粒径範囲を0.05〜2
μmの範囲で制御可能なS量は0.02%以下である。
従って、S量の範囲は0.001〜0.02%である。
またMnS系介在物の粒径をさらに小さい範囲で制御す
るためには、S量は窒化しない範囲でできるだけ少なく
した方がよく、より好ましい範囲は0.001〜0.0
1%である。
【0019】Sol.Al:Alは固溶NをAlNとして固
定し、降伏点伸びを低下させるとともに、時効を抑制す
るため必要となるが、必要以上に添加してもコスト増加
をまねくので、0.002〜0.1%である。
【0020】N:N量が多いと降伏点伸びの増大や時効
によるプレス時の孔の形状不良をまねくため、少ない方
がよく、0.008%以下、好ましくは0.004%以
下である。
【0021】本発明の鋼板には上記に限定した成分以外
にも、必要に応じて0.1%以下のP、Ti、V、C
r、Cu、Zr、Nb、Moや0.05%以下のBなど
を添加してもよい。
【0022】上記の成分範囲に調整することにより、フ
ォトエッチング時の穿孔性とプレス成形性の両特性に優
れる本発明のシャドウマスク用鋼板を得ることが可能と
なる。
【0023】このような特性の鋼は以下の製造方法によ
り製造することができる。
【0024】(2)鋼板製造工程 (2−1)態様1の製造条件(脱炭焼鈍有り) (製造方法)上記の成分範囲に調整した鋼(重量%で、
C:0.05%以下と、Mn:0.1〜0.5%と、
S:0.001〜0.02%と、酸可溶性Al(Sol.A
l):0.002〜0.1%と、N:0.008%以下
とを含有する鋼)を転炉にて溶製した後、連続鋳造によ
りスラブにし、1100℃以上の温度域で粗圧延し、粗
圧延後、1000℃未満の温度に冷却した後、1000
℃以上1100℃未満に再加熱して、仕上げ圧延を行
う。次に、仕上げ圧延された熱延鋼板を冷間圧延し、脱
炭焼鈍する。必要な場合には、さらに冷間圧延を施す。
あるいは仕上げ圧延された熱延鋼板を脱炭焼鈍し、冷間
圧延を施す。 a.粗圧延温度 1100℃以上の温度域で粗圧延を行う。これは、粗圧
延前のスラブ温度を1100℃以上に制御することによ
り、粗圧延前段階でMnS系介在物のすべて、あるいは
一部を溶解させることで、粗大なMnS介在物の生成を
抑えるためである。1100℃未満の温度では、粗大な
介在物の生成を抑えることができない。 b.粗圧延後の冷却温度 粗圧延後、鋼板を1000℃未満の温度に冷却する。こ
れは、1000℃未満の温度に冷却することにより粗圧
延による歪みの効果と相まって、鋼中に溶解しているM
nS系介在物を微細に析出させるためである。1000
℃以上の温度では、介在物を微細に析出させることがで
きない。
【0025】c.粗圧延材の再加熱温度 粗圧延材を1000℃以上1100℃未満に再加熱し
て、仕上げ圧延を行う。これは、粗圧延材を1000℃
以上1100℃未満の温度に再加熱して、微細に析出さ
せたMnS系介在物のほとんどを凝集粗大化させるため
である。この温度範囲以外に加熱すると、介在物を適当
な粒径に凝集粗大化させることができず、二次焼鈍での
結晶粒の成長性が悪くなる。
【0026】(2−2)態様2の製造条件(脱炭焼鈍な
し) (製造方法)上記の成分範囲に調整した鋼(重量%で、
C:0.005%以下と、Mn:0.1〜0.5%と、
S:0.001〜0.02%と、酸可溶性Al(Sol.A
l):0.002〜0.1%と、N:0.008%以下
とを含有する鋼)を転炉にて溶製した後、連続鋳造によ
りスラブにし、1100℃以上の温度域で粗圧延し、粗
圧延後、1000℃未満の温度に冷却した後、1000
℃以上1100℃未満の温度に再加熱して、仕上げ圧延
を行う。次に、仕上げ圧延された熱延鋼板を冷間圧延
し、焼鈍する。必要な場合には、さらに冷間圧延を施
す。あるいは仕上げ圧延された熱延鋼板に1回の冷間圧
延を施す。
【0027】a.粗圧延温度 態様1の製造条件と同様。
【0028】b.粗圧延後の冷却温度 態様1の製造条件と同様。
【0029】c.粗圧延材の再加熱温度 態様1の製造条件と同様。
【0030】なお、本発明の製造法においては、鋳造し
たスラブを1100℃以上の適当な温度に冷却して粗圧
延しても、一度ある温度に冷却されたスラブを加熱炉で
1100℃以上の温度に加熱してから粗圧延してもよい
が、スラブのエッヂと中央の温度差がより小さくなりや
すい、加熱炉で加熱したスラブを使用した方が歩留まり
の点ではよい。
【0031】また、再加熱する前段階において、100
0℃未満の温度の粗圧延材を得る方法としては、粗圧延
後に意図的に冷却して1000℃未満の温度に冷却して
も、粗圧延による冷却により必然的に1000℃未満の
温度になった場合でもよく、特に限定するものではな
い。
【0032】さらに、本発明のシャドウマスク用鋼板は
シャドウマスク以外にもフォトエッチングにより精細な
パターンの孔を開け、その後焼鈍、プレスを行う用途へ
転用してもよい。
【0033】このようにして製造されたシャドウマスク
用鋼板は鋼板のMnS系介在物の粒径分布の±2σに相
当する粒径範囲が0.05〜2μmに制御されており、
フォトエッチング時の穿孔性やプレス成形性に優れる。
【0034】また、S含有量を0.001〜0.01%
に制御することにより、粗大なMnS系介在物の生成が
さらに抑制される。また粗圧延前のスラブ温度を110
0〜1200℃に制御することにより、粗圧延前段階で
MnS系介在物の一部だけを溶解させることで、粗圧延
後の微細なMnS系介在物の析出を減らすことができ
る。従って、S含有量を0.001〜0.01%で制御
し、粗圧延前のスラブ温度を1100〜1200℃に制
御した場合には、MnS系介在物の粒径分布の±2σに
相当する粒径範囲が0.08〜1.2μmに制御され、
フォトエッチング時の穿孔性とプレス成形性がさらに優
れる。
【0035】以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効
果を立証する。
【0036】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼を溶解し鋳造したス
ラブを、本発明例No.1、5ではスラブ温度が表1の
粗圧延前温度に達するまで保持し、本発明例No.2、
3及び比較例No.1〜5では、一旦室温まで、本発明
例No.4では700℃まで冷却した後、表1の粗圧延
前温度に加熱して、粗圧延を施した。その粗圧延材を表
1の条件で仕上げ圧延して熱延鋼板を得た。その後、こ
の熱延鋼板を本発明例No.2では脱炭焼鈍を施して表
1のC量にし、圧下率89%で冷間圧延を施して0.1
5mmの薄鋼板を得、本発明例No.4では熱延鋼板を
圧下率89%で冷間圧延して板厚0.15mmの薄鋼板
を得、本発明例No.1、3、5及び比較例No.1〜
5では圧下率77%で冷間圧延して板厚0.65mmと
した後、脱炭焼鈍あるいは焼鈍し、さらに冷間圧延して
板厚0.15mmの薄鋼板を得た。なお、脱炭焼鈍材の
場合には表1の上段にスラブの、下段に脱炭焼鈍後の鋼
板の化学成分を示している。
【0037】表1のこれらの鋼板の一部は抽出残さ法に
より、MnS系介在物を電子顕微鏡で観察して、MnS
系介在物の粒径分布を調査した。残りの鋼板の一部はフ
ォトレジストを塗布し、乾燥後、高精細度のファインピ
ッチの基準パターンを密着させて露光し、現像、バーニ
ング処理した後、塩化第二鉄を主成分としたエッチング
液によりエッチングし、透過ムラ(穿孔性)を評価し
た。さらに残りの一部については、600℃、20分間
の二次焼鈍を行った後に、引張試験を行い、その降伏強
度でプレス成形性を評価した。表1にはMnS系介在物
の粒径分布で±2σに相当する粒径と、フォトエッチン
グ時の穿孔性とプレス成形性の評価結果を併せて示して
ある。
【0038】また、代表例として、本発明例No.1と
比較例No.2のMnS系介在物の粒径分布を図1、2
に示している。透過ムラ(穿孔性)の評価は、目視にて
行い、明確に透過ムラが確認でき、実用上使用不可能と
考えられるものを×、わずかに透過ムラの確認されるが
実用上問題ないと判断されるものを○、全く透過ムラが
確認されなかったものを◎とした。
【0039】プレス成形性については、二次焼鈍後の降
伏強度が150MPaを超えるものを×、120〜15
0MPaのものを○、120MPa未満のものを◎とし
た。表1から、本発明例No.1〜5の鋼板では、Mn
S系介在物の粒径分布の±2σに相当する粒径が0.0
5〜2μmの範囲に制御されており、明確な透過ムラは
観察されず、二次焼鈍後の降伏強度も低かった。特にこ
の中でもS量が低く、MnS系介在物の粒径分布の±2
σに相当する粒径が0.08〜1.2μmの範囲に制御
されている本発明例No.3、5では透過ムラは全く確
認されず、二次焼鈍後の降伏強度も120MPa未満と
低く抑えられていた。
【0040】これに対し、比較例No.2、5では鋼板
中に粗大なMnS系介在物を多く含んでいることから、
フォトエッチング時の穿孔性が悪く、顕著な透過ムラが
発生した。比較例No.1、3、4、5では鋼板中に微
細なMnS系介在物を多く含んでいることから、二次焼
鈍後の降伏強度が高かった。
【0041】また、S含有量の多い比較例No.5で
は、微細なMnS系介在物と粗大なMnS系介在物がと
もに多く含まれており、フォトエッチング時の穿孔性も
成形性も悪かった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、鋼組成及び製造条件を
特定することにより、MnS系介在物の粒径分布の±2
σに相当する粒径を0.05〜2μmに制御することが
可能となり、このようにMnS系介在物の粒径が制御さ
れたシャドウマスク用鋼板はフォトエッチング時の穿孔
性とプレス成形性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例No.1のMnS系介在物の粒径分布
を示す図。
【図2】比較例No.2のMnS系介在物の粒径分布を
示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 正 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 澤田 弘 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.005%以下と、M
    n:0.1〜0.5%と、S:0.001〜0.02%
    と、酸可溶性Al(Sol.Al):0.002〜0.1%
    と、N:0.008%以下とを含有し、MnS系介在物
    の粒径分布の±2σ(σは標準偏差)に相当する粒径範
    囲を0.05〜2μmに制御されたフォトエッチング時
    の穿孔性とプレス成形性に優れたシャドウマスク用鋼
    板。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.05%以下と、M
    n:0.1〜0.5%と、S:0.001〜0.02%
    と、酸可溶性Al(Sol.Al):0.002〜0.1%
    と、N:0.008%以下とを含有する鋼を1100℃
    以上の温度域で粗圧延する工程と、 粗圧延された鋼板を1000℃未満に冷却した後、10
    00℃以上1100℃未満に再加熱して、仕上げ圧延を
    行う工程と、 仕上げ圧延された熱延鋼板に対して冷間圧延と脱炭焼鈍
    との二つの処理を行う工程と、 を備え、二つの処理を行う工程は、下記の(1)、
    (2)、(3)から選択されることを特徴とする請求項
    1に記載のフォトエッチング時の穿孔性とプレス成形性
    に優れたシャドウマスク用鋼板の製造方法。 冷間圧延し、脱炭焼鈍する工程 …(1) 冷間圧延し、脱炭焼鈍し、さらに冷間圧延する工程 …
    (2) 脱炭焼鈍し、冷間圧延する工程 …(3)
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の組成を有する鋼板を製
    造する方法において、 鋼を1100℃以上の温度域で粗圧延する工程と、 粗圧延された鋼板を1000℃未満に冷却した後、10
    00℃以上1100℃未満に再加熱して、仕上げ圧延を
    行う工程と、 仕上げ圧延された熱延鋼板に対して冷間圧延と焼鈍との
    二つの処理を行う工程と、 を備え、二つの処理を行う工程は、下記の(1)、
    (2)、(3)から選択されることを特徴とするフォト
    エッチング時の穿孔性とプレス成形性に優れたシャドウ
    マスク用鋼板の製造方法。 冷間圧延し、焼鈍する工程 …(1) 冷間圧延し、焼鈍し、さらに冷間圧延する工程 …
    (2) 1回の冷間圧延を施す工程 …(3)
JP32510396A 1996-12-05 1996-12-05 フォトエッチング時の穿孔性とプレス成形性に優れたシャドウマスク用鋼板及びその製造方法 Pending JPH10158782A (ja)

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