JP3246711B2 - シャドウマスク用鋼板およびその製造方法 - Google Patents

シャドウマスク用鋼板およびその製造方法

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JP3246711B2
JP3246711B2 JP20583695A JP20583695A JP3246711B2 JP 3246711 B2 JP3246711 B2 JP 3246711B2 JP 20583695 A JP20583695 A JP 20583695A JP 20583695 A JP20583695 A JP 20583695A JP 3246711 B2 JP3246711 B2 JP 3246711B2
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佳弘 細谷
康伸 長滝
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Nippon Mining Holdings Inc
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JFE Engineering Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中間焼鈍を連続焼
鈍とするシャドウマスク用鋼板およびその製造方法に関
し、特に、最終焼鈍後のマスクプレス成形時の耐伸びむ
ら性に優れたシャドウマスク用鋼板を提供することを目
的としている。
【0002】
【従来の技術】テレビの大型化、高品質高精細度化に伴
って、ブラウン管に組み込まれるシャドウマスクに対す
る要求品質も高まっている。特にシャドウマスクの熱膨
張に起因した色ずれの問題や、大型化に伴うシャドウマ
スクのたわみ等の問題から、アンバー合金製のシャドウ
マスクの比率も高まりつつあるが、汎用のブラウン管に
対しては、製造コストの点から依然として脱炭Alキル
ド鋼に対する需要は多く、近年アンバー合金から再びA
lキルド鋼に切り替わる傾向すら認められる。
【0003】シャドウマスクには、その製造工程で以下
の性能が要求される。 エッチング穿孔時にマスク内で穿孔むらがないこと。 レジスト膜のバーニング処理および、または最終焼鈍
時に鋼板が歪時効しにくいこと。 600〜700 ℃で行われる最終焼鈍時に十分に再結晶軟
化すること。 プレス成形時に不均一変形(伸びむら)が起こらない
こと。 黒化処理時に緻密な酸化皮膜が形成されること。
【0004】については、偏析や介在物の不均一分布
が主たる原因であることが判明しており、それに基づい
た対策がとられている。
【0005】〜については、鋼中Cを極限まで低減
する必要があり、以下に示す方法が提案されている。
【0006】(1)一般的に採用されているのは一次冷
間圧延後のオープンコイル脱炭焼鈍により鋼中Cを大幅
に低減し、時効性が実質的に生じないレベルまでC量を
低める技術で、特公昭54-25492号公報、特公昭60-30727
号公報等がそれに該当する。
【0007】(2)また製鋼時の脱ガス処理を徹底的に
行い、鋼中Cを低減する方法があり、特公昭63-66376号
公報、特公平2-45691 号公報等に開示される技術であ
る。それらの公報では、Cを0.01重量%(以下、wt %)
未満まで脱炭する技術が提案されている。
【0008】(3)さらに、鋼板を非時効性とするため
に、Ti、Nb、V等の炭窒化物形成元素を添加して鋼
中Cを炭窒化物として析出固定する技術があり、今日の
製鋼脱炭レベル(20から30ppm )でも非時効性を達成す
ることが可能である。これによって、一次冷間圧延後の
焼鈍を連続焼鈍ラインで行うことが可能になり、生産性
のみならず歩留りや板形状の点でも有利となる。当該技
術思想に基づく技術として特開昭57-9857 号公報、特開
昭58-164754 号公報等が提案されている。
【0009】については、Crを適量添加すること等
によって、水蒸気酸化を利用した黒化処理工程で緻密な
酸化皮膜の形成を促す方法がある。
【0010】
【発明が解決しょうとする課題】しかしながら、上記
〜の特性を満足するための手法はいずれも未だ不充分
である。
【0011】すなわち、一次冷間圧延後にオープンコイ
ル脱炭焼鈍を行う方法は、バッチ焼鈍特有の問題である
製造時間が長いという短所を有しており、経済的に不利
である。また、コイルハンドリング工程で表面欠陥が発
生する場合もあり、さらにオープンコイル焼鈍における
板厚制約が生じるなどの問題を有していた。
【0012】一方、製鋼時の脱ガス処理で鋼中Cを低減
する方法は、プレス成型時に不均一変形が起こらないレ
ベルまで非時効化するために、実質的に10ppm 以下まで
鋼中C量を低減する必要があり、製鋼時の脱ガス処理の
みでは達成困難なレベルである。このため、未だ実用化
の域に達していない。
【0013】炭窒化物形成元素を添加する方法は、炭窒
化物形成元素を添加することによって再結晶温度が上昇
し、また黒化処理時に形成される酸化皮膜の色調や緻密
さが劣化する等の問題から、これもまた脱炭Alキルド
鋼に代わる技術として実用化には至っていない。
【0014】本発明は、これらの問題を解決しつつ、一
次冷間圧延後の中間焼鈍を連続焼鈍とすることによって
短時間に製造でき、表面欠陥もなく、かつ最終焼鈍時の
軟化特性、最終焼鈍後のマスクプレス成形時の耐伸びむ
ら性に優れたシャドウマスク用鋼板およびその製造方法
を提供することにある。
【0015】具体的には、製鋼脱炭鋼板を一次冷間圧延
後に連続焼鈍方法によって焼鈍したときに問題となる残
留固溶炭素による歪時効現象の防止と、当該鋼板に微量
の炭窒化物形成元素を添加したIF(Interstitial Free)
鋼板に不可避的な問題である再結晶温度の上昇と黒化
処理性の劣化を、実用上問題とならないレベルまで軽減
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
重量%で、C:≦0.0025%、Si:≦0.02
%、Mn:0.05〜0.2%、P:≦0.01%、
S:0.005〜0.015%、Cr:0.02〜0.
1%、sol.Al:0.05〜0.15%、N:0.
001〜0.006%、O:≦20ppm、残部Feお
よび不可避不純物からなり、かつlog(sol.Al
・N)=Yとsol.Al/N=Xが(1)式を満足
し、580〜650℃の範囲で巻き取った熱延鋼帯を素
材として、一次冷間圧延、中間連続焼鈍、仕上冷間圧延
を行うことによって製造される最終焼鈍後のマスクプレ
ス成形時の耐伸びむら性に優れたシャドウマスク用鋼板
である。。 −0.025X−3.5≦Y≦−0.025X−2.5 (1)
【0017】請求項2記載の発明は、 重量%で、C:
≦0.0025%、Si:≦0.02%、Mn:0.0
5〜0.1%、P:≦0.01%、S:0.005〜
0.015%、Cr:0.02〜0.1%、sol.A
l:0.05〜0.15%、N:0.001〜0.00
6%、O:≦20ppm、残部Feおよび不可避不純物
からなり、かつlog(sol.Al・N)=Yとso
l.Al/N=Xが(1)式を満足し、580〜650
℃の範囲で巻き取った熱延鋼帯を素材として、一次冷間
圧延、中間連続焼鈍、仕上冷間圧延を行うことによって
製造される最終焼鈍後のマスクプレス成形時の耐伸びむ
ら性に優れたシャドウマスク用鋼板である。 −0.025X−3.5≦Y≦−0.025X−2.5 (1)
【0018】請求項3記載の発明は、 重量%で、C:
≦0.0025%、Si:≦0.02%、Mn:0.0
5〜0.2%、P:≦0.01%、S:0.005〜
0.015%、Cr:0.02〜0.1%、sol.A
l:0.05〜0.15%、N:0.001〜0.00
6%、O:≦20ppm、残部Feおよび不可避不純物
からなり、かつlog(sol.Al・N)=Yとso
l.Al/N=Xが(1)式を満足し、580〜650
℃の範囲で巻き取った熱延鋼帯を素材として、一次冷間
圧延、中間連続焼鈍、仕上冷間圧延する工程およびマス
クプレス成形前に最終焼鈍を行う工程を含むことを特徴
とするシャドウマスク用鋼板の製造方法である。 −0.025X−3.5≦Y≦−0.025X−2.5 (1)
【0019】請求項4記載の発明は、 重量%で、C:
≦0.0025%、Si:≦0.02%、Mn:0.0
5〜0.1%、P:≦0.01%、S:0.005〜
0.015%、Cr:0.02〜0.1%、sol.A
l:0.05〜0.15%、N:0.001〜0.00
6%、O:≦20ppm、残部Feおよび不可避不純物
からなり、かつlog(sol.Al・N)=Yとso
l.Al/N=Xが(1)式を満足し、580〜650
℃の範囲で巻き取った熱延鋼帯を素材として、一次冷間
圧延、中間連続焼鈍、仕上冷間圧延する工程およびマス
クプレス成形前に最終焼鈍を行う工程を含むことを特徴
とするシャドウマスク用鋼板の製造方法である。
【0020】本発明の核心は、仕上げ冷間圧延後の最終
焼鈍あるいはエッチング後に行うマスクのスタック焼鈍
工程(最終焼鈍)に至る一連の工程で、残留固溶Cを一
次冷間圧延後に脱炭焼鈍を行う鋼板並の非時効レベル
(降伏点伸び0.2%以下)まで低減させることによっ
て、マスクの成形時に伸びむらが起こらないシャドウマ
スク用鋼板を、一次冷間圧延後に連続焼鈍で製造すると
ころにある。
【0021】そのために、鋼中Cを製鋼時の脱ガス処理
で極限まで低減した上で、鋼板中Al量を、鋼板中N量
とのバランスにおいて厳密に管理し、連続焼鈍と最終焼
鈍工程でAlNを核とした固溶Cの完全析出を図ること
ができる。
【0022】さらに、本発明では、AlNの安定析出と
微細分散化を図る上で、熱間圧延時の巻取温度を580 〜
650 ℃の範囲とする。これによって、均一な細粒組織が
得られるばかりか、AlNが比較的均一微細に析出す
る。該熱延鋼板を素材として一次冷間圧延を行った後連
続焼鈍を行うと、AlNを核とした微量固溶Cの析出が
促進されるばかりか、仕上げ冷間圧延後あるいはエッチ
ング後に行うマスクのスタック焼鈍工程(最終焼鈍)で
も、僅かな残留固溶Cの有効な析出サイトとなる。
【0023】以上の条件を具備することによって、最終
焼鈍時の軟化挙動とマスクプレス成形時の耐伸びむら性
に優れたシャドウマスク鋼板の製造が可能になる。
【0024】以下に、限定理由について以下に述べる。 C:Cは、溶鋼段階で脱炭処理することで極限まで低減
した上で、後述する本発明で規定するAlNの析出制御
によって、該析出物を核として連続焼鈍と最終焼鈍工程
でAlNを核とした固溶Cの完全析出を図るが、連続焼
鈍段階で非時効レベルまで残留固溶Cの低減が可能とな
る。
【0025】図1は、最終焼鈍後の降伏点伸びにおよぼ
すMnとC量の影響を示す図であり、C量を4水準に分
けてMn量の影響を表示している。ここで製造条件は後
述する実施例1に同じであり、他の成分は本発明範囲に
ある。図1に示すように、Cの値が0.0025以下であれ
ば、降伏点伸びが目標範囲である0.2 %以下とすること
ができる。また、後述するP低減による固溶Cの析出効
果も考慮して臨界のC量として、0.0025wt% を上限とし
て限定し、好ましくは0.0016wt% を上限とする。
【0026】Mn:Mnは、鋼板中SをMnSとして析
出固定することによってスラブの熱間脆性を回避する。
一般的には、鋼板中S量に応じて約10倍以上のMnが添
加されるが、過剰なMnは、黒化処理時に形成される酸
化皮膜の均一性を劣化させる。そこで本発明では、両者
の問題を回避する範囲として、その添加量を0.05〜0.2w
t%に限定する。
【0027】また、図1からプレス成形時の伸びむらの
原因となる最終焼鈍後の降伏点伸びの低減に対して、C
量同じであれば、Mn量が0.1wt%以下の場合に降伏点伸
びの減少が見られるので、好ましいMn量を0.05〜0.1w
t%の範囲に限定する。
【0028】S:鋼板中Sは、MnSとして鋼板中に存
在する。Sを多量に含有する鋼板では、圧延方向に分散
したMnS粒子がエッチング穿孔時に孔縁の腐食むらを
誘起し、シャドウマスクの精密検査時に透過光のむらと
して検出される。しかし、0.005%未満まで極低硫化した
場合、熱延時のスケール剥離性が劣化し、スケールの噛
み込みによる表面欠陥が発生する。そこで、両者の観点
からその含有量を0.005 〜0.015wt%の範囲に限定する。
【0029】さらに、Mnを0.05〜0.1wt%に限定した鋼
板においては、MnSとして析出可能な量として、好ま
しくは0.005 〜0.01wt% の範囲にする。
【0030】P:P量の規制は、本発明において重要な
役割を果たす。図2は最終焼鈍後の降伏点伸びにおよぼ
すPとC量の影響を示す図であり、C量を4水準に分け
てP量の影響を表示している。ここで製造条件は後述す
る実施例1に同じであり、他の成分は本発明範囲にあ
る。
【0031】図に示されるように、本発明のC量の範囲
の鋼板においてPを0.01wt% 以下とすることによって最
終焼鈍後の降伏点伸びが減少し、シャドウマスクをプレ
ス成形する段階で顕在化する伸びむら不良が著しく減少
する。
【0032】そして、本願発明におけるCの範囲である
0.0025%以下において、Pを0.01wt%以下とすることに
より、降伏点伸びは目標範囲である0.2 %以下となる。
これは、Pを0.01wt%以下まで低減することによって、
一連の製造工程で固溶Cが析出しやすくなるばかりか、
ミクロ的な変形の不均一性が無くなるためと考えられ
る。そこで、降伏点伸びの回復に起因するプレス成形時
の伸びむらを回避するため、その含有量を0.01wt% 以
下、好ましくは 0.008 wt%以下に限定する。
【0033】Si:Siは、黒化処理時に形成される酸
化皮膜の緻密性と密着性を劣化させる元素であるが、0.
03wt% 以下であれば実用上弊害はないが、本発明では、
より厳しい品質要求を満足するように0.02wt% 以下に限
定する。
【0034】Cr:Crは、シャドウマスクの黒化処理
時に緻密な酸化皮膜層を形成する上で重要な役割を果た
すため、Crの添加効果が認められる下限として0.02wt
% 以上添加する。しかし、0.1wt%超えではその効果が飽
和するばかりか、黒化処理皮膜にむらができるケースが
あるため、その添加量を0.02〜0.1wt%の範囲に限定す
る。
【0035】O:製鋼脱ガス処理で鋼中Cを極限まで低
減した場合、溶鋼温度補償のため溶鋼中に吹き込む酸素
によって鋼中酸素レベルが増大し、その後のアルミ脱酸
処理時に形成されるアルミナ介在物が凝固シェル内にト
ラップされやすい。こうしたアルミナ介在物は、B系介
在物として鋼板圧延方向に点列状に分布しやすく、エッ
チング時に顕在化するエッチング欠陥、エッチング不
良、白スジむら欠陥を誘発しやすい。従って本発明で
は、鋼板中の全酸素量を20ppm 以下に限定する。
【0036】sol.Al:Alは、脱酸剤として溶鋼に添
加され、鋼を高清浄度化することに加えて、鋼中固溶A
lは、熱延段階で鋼板中のNをAlNとして析出固定す
る。本発明では、AlNの析出量を制御することによっ
て、連続焼鈍段階での固溶Cの析出促進を狙いとしてい
る。
【0037】図3は、図2と同様に、シャドウマスクの
プレス成形時に発生する伸びむら不良の原因となる最終
焼鈍後の降伏点伸びにおよぼすsol.AlとP量の影
響を示している。ここで製造条件は後述する実施例1に
同じであり、他の成分は本発明範囲にある。図から明ら
かなように、Pが0.01wt%以下、sol.Alが
0.05wt%以上の範囲においてのみ降伏点伸びが
0.2%以下となる。従って、sol.Alの下限を
0.05wt%とする。
【0038】sol.Al量が多すぎると、Al添加の効果
が飽和するばかりかアルミナ性介在物に起因しエッチン
グ時に顕在化するエッチング欠陥、エッチング不良、白
スジむら欠陥が発生する。これら表面欠陥が顕在化する
ので上限を0.15wt% とする。
【0039】N:Nは、一般的には有害な元素としてそ
の上限が限定されるが、本発明では、AlN析出粒子を
連続焼鈍時の固溶Cの析出サイトとして活用するため、
後述する log(sol.Al・N)とsol.Al/Nの規制に
よって効果の表れる量として、その下限を0.001wt%とす
る。一方、上限に関しては、AlNが過剰に析出すると
最終焼鈍時の再結晶温度が上昇するため、0.006wt%とす
る。
【0040】log(sol.Al・N)、sol.Al/N:本
発明では、連続焼鈍および最終焼鈍工程での固溶C析出
を促進する狙いから、熱延巻取時のAlNの析出速度と
析出量を規制する。
【0041】図4は、シャドウマスクのプレス成形時に
発生する降伏点伸びが0.2%で測定した伸びむら不良、外
観むらの有無で判定した黒化処理皮膜性状、アルミナ性
介在物に起因しエッチング時に顕在化するエッチング欠
陥、エッチング不良、白スジむら欠陥(エッチング後の
白スジ発生の有無で判定、表示は表面欠陥)のそれぞれ
の評価におよぼす、 log(sol.Al・N)とsol.Al/
Nの影響を示した図である。ここで製造条件は後述する
実施例1に同じであり、他の成分は本発明範囲にある。
図から明らかなように、(1)式に示す範囲において、
全ての評価結果が良好となる。そこで、本発明において
は、上記の基本成分系の内、sol.AlとNを(1)式の
範囲に規定する。
【0042】 −0.025 X−3.5 ≦Y≦−0.025 X−2.5 (1) 但し、Y= log(sol.Al・N)、X=sol.Al/Nで
ある。
【0043】さらに、本発明では、上記成分要件に加え
て熱延巻取温度を580 〜650 ℃の範囲に限定する。これ
は、この範囲で熱延板を巻き取ることによって、均一な
細粒組織が得られるばかりかAlNが比較的均一微細に
析出する。該熱延鋼板を素材として一次冷間圧延を行っ
た後連続焼鈍を行うと、AlNを核とした微量固溶Cの
析出が促進されるばかりか、仕上げ冷間圧延後の最終焼
鈍あるいはエッチング後に行うマスクのスタック焼鈍工
程(最終焼鈍)でも、僅かな残留固溶Cの有効な析出サ
イトとなるためである。
【0044】一次冷間圧延は常法でよく、中間連続焼鈍
は再結晶焼鈍で特別な焼鈍である必要はない。雰囲気を
調整して脱炭、脱窒素を実施してもよいが、基本はバッ
チ焼鈍特有の製造時間が長く、コイルハンドリング工程
での表面欠陥の発生があり、オープンコイル焼鈍におけ
る板厚制約等の問題のある従来の焼鈍の弊害を除くもの
である。
【0045】仕上げ冷間圧延は、所定の板厚を得ること
と、最終焼鈍での最終焼鈍時の軟化特性、最終焼鈍後の
マスクプレス成形時の耐伸びむら性を確保するために、
通常45〜85% 程度の圧延率で圧延をする。
【0046】本発明の最終焼鈍は、フォトエッチング処
理で穿孔する前でも後でもよい。前の場合、レジスト膜
のバーニング処理に引き続き最終焼鈍を行ってもよい
し、マスクプレス加工前に黒化処理を行う場合は黒化処
理時に行ってもよい。
【0047】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
【0048】
【表1】
【0049】鋼を溶製後、軽圧下連続鋳造にて鋳片とし
た。該鋳片を1200℃に加熱後、仕上温度を890 ℃、巻取
温度を600 ℃で板厚1.8mm の熱延鋼板とした。
【0050】鋼板中のP、Sのセミマクロ及びマクロ偏
析軽減を意図して連続鋳造時のスラブ軽圧下鋳造を実施
し、また、MnSの均一微細化の観点から1150℃以上の
スラブ高温加熱の実施が好ましい。
【0051】得られた鋼板番号1〜35の化学成分は、表
1の通りである。なお、表示しない成分はFeおよび不
可避不純物である。
【0052】この熱延鋼板を酸洗後、板厚0.65mmまで一
次冷間圧延し、引き続き連続焼鈍ラインで700℃の中間
焼鈍を行なった。引き続き、該焼鈍板を板厚0.2mm まで
仕上げ冷間圧延を行った後、フォトエッチングによるマ
スク面の穿孔を行い、最終焼鈍を行い、マスクプレス成
形を行い、最終的に黒化処理を行った。
【0053】なお、最終焼鈍の雰囲気は15%H2 +85%
2 、露点18℃で、温度700 ℃、保持時間10分とした。
その結果の黒化処理皮膜性状、表面欠陥およびシャドウ
マスクにプレス成形した時に伸びむらを誘起する降伏点
伸びを判定した。
【0054】黒化処理皮膜性状の評価は目視で、◎はく
離無し、ムラ無し、○ムラ有り、×はく離有りで表示し
た。表面欠陥は主にエッチング時に顕在化する欠陥で、
スケール、アルミナ性介在物に起因する白スジむら、エ
ッチング欠陥、エッチング不良の総称で、マスク1枚当
たりのスジの本数で判定し、◎は0本/枚、○2本以下
/枚、△3〜5本/枚、×は5本超え/枚で表示した。
【0055】その結果を表2に示す。本発明の成分範囲
の鋼板は、黒化処理皮膜性状は◎のみで、表面欠陥も◎
のみで、最終焼鈍後の降伏点伸びは0.2%以下と全て
優れた特性が得られている。
【0056】
【表2】
【0057】(実施例2)鋼を溶製後、鋼板中のP、S
のセミマクロ及びマクロ偏析軽減を意図して連続鋳造時
のスラブ軽圧下鋳造を実施し、鋳片とした。該鋳片をM
nSの均一微細化の観点から1150℃以上の1200℃のスラ
ブ高温加熱を実施した。
【0058】加熱後、仕上温度を890 ℃、巻取温度を55
0 〜750 ℃の各種の条件で板厚1.8mm の熱延鋼板とし
た。
【0059】得られた鋼板番号1、5 、13、20、25、27
の化学成分は、表1の通りである。なお、表示しない成
分はFeおよび不可避不純物である。
【0060】この熱延鋼板を酸洗後、板厚0.65mmまで一
次冷間圧延し、引き続き連続焼鈍ラインで700℃の中間
焼鈍と、比較例として680 ℃の箱焼鈍を行なった。
【0061】引き続き、該焼鈍板を板厚0.2mm まで仕上
げ冷間圧延を行った後、フォトエッチングによるマスク
面の穿孔を行い、黒化処理と軟化焼鈍を目的とした最終
焼鈍を行い、マスクプレス成形を行った。
【0062】なお、最終焼鈍の雰囲気は15%H2 +85%
2 、露点18℃で、温度700 ℃、保持時間10分とした。
その結果の黒化処理皮膜性状、およびシャドウマスクに
プレス成形した時に伸びむらを誘起する降伏点伸びと表
面の肌荒れを判定した。
【0063】黒化処理皮膜性状の評価は目視で、◎はく
離無し、ムラ無し、○ムラ有り、×はく離有りで表示し
た。表面肌荒れは目視で評価し、無、軽微、有で表示し
た。
【0064】
【表3】
【0065】その結果を表3に示す。本発明の成分範囲
の鋼板は、黒化処理皮膜性状は◎のみで、最終焼鈍後の
降伏点伸びも0.2%以下で、さらに表面肌荒れの全てに優
れた特性が得られている。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、製鋼脱炭鋼板を一次冷
間圧延後に連続焼鈍し、最終焼鈍時の軟化特性、最終焼
鈍後のマスクプレス成形時の耐伸びむら性に優れたシャ
ドウマスク用鋼板が得られた。
【0067】製鋼脱炭鋼板を一次冷間圧延後に連続焼鈍
で焼鈍したときに問題となる残留固溶炭素による歪み時
効現象を、炭窒化物形成元素を添加したIF(Interstiti
al Free )鋼板を用いずに、実用上問題とならないレベ
ルまで軽減できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】最終焼鈍後の降伏点伸びにおよぼすMnとC量
の影響を示す図である。
【図2】最終焼鈍後の降伏点伸びにおよぼすPとC量の
影響を示す図である。
【図3】シャドウマスクのプレス成形時に発生する伸び
むら不良の原因となる最終焼鈍後の降伏点伸びにおよぼ
すsol.AlとP量の影響を示す図である。
【図4】シャドウマスクのプレス成形時に発生する降伏
点伸びが0.2%で測定した伸びむら不良、外観むらの有無
で判定した黒化処理皮膜性状、エッチング後の表面欠陥
のそれぞれの評価におよぼす、 log(sol.Al・N)と
sol.Al/Nの影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松木 康浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 審査官 諸岡 健一 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 9/46 - 9/48

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:≦0.0025%、S
    i:≦0.02%、Mn:0.05〜0.2%、P:≦
    0.01%、S:0.005〜0.015%、Cr:
    0.02〜0.1%、sol.Al:0.05〜0.1
    5%、N:0.001〜0.006%、O:≦20pp
    m、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつlog
    (sol.Al・N)=Yとsol.Al/N=Xが
    (1)式を満足し、580〜650℃の範囲で巻き取っ
    た熱延鋼帯を素材として、一次冷間圧延、中間連続焼
    鈍、仕上冷間圧延を行うことによって製造される最終焼
    鈍後のマスクプレス成形時の耐伸びむら性に優れたシャ
    ドウマスク用鋼板。 −0.025X−3.5≦Y≦−0.025X−2.5 (1)
  2. 【請求項2】 重量%で、C:≦0.0025%、S
    i:≦0.02%、Mn:0.05〜0.1%、P:≦
    0.01%、S:0.005〜0.015%、Cr:
    0.02〜0.1%、sol.Al:0.05〜0.1
    5%、N:0.001〜0.006%、O:≦20pp
    m、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつlog
    (sol.Al・N)=Yとsol.Al/N=Xが
    (1)式を満足し、580〜650℃の範囲で巻き取っ
    た熱延鋼帯を素材として、一次冷間圧延、中間連続焼
    鈍、仕上冷間圧延を行うことによって製造される最終焼
    鈍後のマスクプレス成形時の耐伸びむら性に優れたシャ
    ドウマスク用鋼板。 −0.025X−3.5≦Y≦−0.025X−2.5 (1)
  3. 【請求項3】 重量%で、C:≦0.0025%、S
    i:≦0.02%、Mn:0.05〜0.2%、P:≦
    0.01%、S:0.005〜0.015%、Cr:
    0.02〜0.1%、sol.Al:0.05〜0.1
    5%、N:0.001〜0.006%、O:≦20pp
    m、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつlog
    (sol.Al・N)=Yとsol.Al/N=Xが
    (1)式を満足し、580〜650℃の範囲で巻き取っ
    た熱延鋼帯を素材として、一次冷間圧延、中間連続焼
    鈍、仕上冷間圧延する工程およびマスクプレス成形前に
    最終焼鈍を行う工程を含むことを特徴とするシャドウマ
    スク用鋼板の製造方法。 −0.025X−3.5≦Y≦−0.025X−2.5 (1)
  4. 【請求項4】 重量%で、C:≦0.0025%、S
    i:≦0.02%、Mn:0.05〜0.1%、P:≦
    0.01%、S:0.005〜0.015%、Cr:
    0.02〜0.1%、sol.Al:0.05〜0.1
    5%、N:0.001〜0.006%、O:≦20pp
    m、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつlog
    (sol.Al・N)=Yとsol.Al/N=Xが
    (1)式を満足し、580〜650℃の範囲で巻き取っ
    た熱延鋼帯を素材として、一次冷間圧延、中間連続焼
    鈍、仕上冷間圧延する工程およびマスクプレス成形前に
    最終焼鈍を行う工程を含むことを特徴とするシャドウマ
    スク用鋼板の製造方法。 −0.025X−3.5≦Y≦−0.025X−2.5 (1)
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