JPH10158637A - フォトクロミック材料及びそれを用いた光記録媒体 - Google Patents

フォトクロミック材料及びそれを用いた光記録媒体

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JPH10158637A
JPH10158637A JP8322816A JP32281696A JPH10158637A JP H10158637 A JPH10158637 A JP H10158637A JP 8322816 A JP8322816 A JP 8322816A JP 32281696 A JP32281696 A JP 32281696A JP H10158637 A JPH10158637 A JP H10158637A
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JP
Japan
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fulgide
alkyl group
photochromic material
group
substituent
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JP8322816A
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English (en)
Inventor
Yasushi Yokoyama
泰 横山
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性及びフォトクロミック反応の繰り返
し耐久性に優れたフォトクロミック材料及びこのフォト
クロミック材料を用いた光記録媒体を提供する。 【解決手段】 下記式(III )で代表されるフルギド系
化合物を含むフォトクロミック材料。このフォトクロミ
ック材料を含む記録部を有する光記録媒体。 【化20】 【効果】 Fを含む置換基の存在により、熱安定性及び
フォトクロミック反応の繰り返し耐久性が著しく高めら
れる。環境安全性、コスト、重量などの面で多くの利点
を有し、耐候性並びに情報の記録・読み取りの繰り返し
耐久性に優れ、信頼性の高い光記録媒体が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフォトクロミック材
料及びそれを用いた光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フォトクロミック材料とは、光の作用に
より化学結合状態を異にする2つ以上の異性体を可逆的
に生成する、フォトクロミック反応を起こす分子又は分
子集合体を含む材料である。フォトクロミック材料は、
異性体に変化する際に、吸収スペクトル或いは屈折率、
体積などの物性が変化することから、従来、この変化を
光記録に応用することが研究されてきた。
【0003】従来提案されているフォトクロミック材料
のうち、フルギド系化合物としては、次のようなものが
知られている(A.Kaneko et.at.,Bu
ll.Chem.Soc.Jpn.61 3569(1
988))。
【0004】
【化4】
【0005】その他、スピロオキサジン系化合物、ジア
リルエテン系化合物などがあり、これらのフルギド系化
合物については、季刊化学総説「有機フォトクロミスム
の化学」(学会出版センター)に詳述されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のフォトクロ
ミック材料を用いた光記録媒体は、無機材料を用いた光
記録媒体に比べて、環境安全性、コスト、重量など、多
くの点で優れているにもかかわらず、熱安定性や記録・
読み取りの繰り返し耐久性に劣るという欠点がある。即
ち、従来のフォトクロミック材料は、熱による劣化を受
け易く、また、フォトクロミック反応の繰り返し耐久性
に劣るという実用上重大な欠点があった。
【0007】従来、この問題に対処するために酸化防止
剤の添加など間接的な手段が試みられてきたが、フォト
クロミック分子自体の熱安定性やフォトクロミック反応
の繰り返し耐久性の改善には到っていない。
【0008】本発明は上記従来の実情に鑑みてなされた
ものであって、熱安定性、フォトクロミック反応の繰り
返し耐久性に優れたフォトクロミック分子よりなるフォ
トクロミック材料及びこのフォトクロミック材料を用い
た光記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のフォトクロミッ
ク材料は、下記一般式で表されるフルギド系化合物を含
むことを特徴とする。
【0010】
【化5】
【0011】((I)式中、XはCF3 ,CFR2 又は
CF2 R(ただし、Rは水素原子又はアルキル基を示
し、CFR2 において、R2 は同一の置換基で構成され
ていても異なる置換基で構成されていても良い。)を示
し、Y,Zはそれぞれ独立してO,S,Se又はN−R
(ただし、Rは水素原子又はアルキル基を示す。)を示
し、R1 ,R2 ,R3 はそれぞれ独立して水素原子或い
は置換基を有していても良いアルキル基又はアルコキシ
基を示し、Lは置換基を有していても良いアルキル基又
はアミノ基を示し、nは0〜2の整数を示す。ただし、
n=2のとき、(L)2 は同一の置換基で構成されてい
ても異なる置換基で構成されていても良く、また、
(L)2 は、Zを含むヘテロ五員環の炭素と共に、置換
基を有していても良い飽和又は不飽和の環;例えば、置
換基を有していても良いベンゼン環、インドリル環、ナ
フタレン環等の不飽和の環又はシクロヘキセン環等の飽
和の環を形成していても良い。) 本発明に係るフルギド系化合物は、好ましくは、下記一
般式(II)で表され、より好ましくは下記構造式(III
)で表される化合物である。
【0012】
【化6】
【0013】
【化7】
【0014】本発明の光記録媒体は、光の照射により情
報の記録・読み取りが可能な記録部を有する光記録媒体
であって、該記録部に上記本発明のフォトクロミッック
材料が含まれているものである。
【0015】即ち、本発明者は、従来のフォトクロミッ
ク材料のうち、特に、フルギド系化合物に着目し、添加
物などによる間接的手段ではなく、分子修飾という直接
的な手段によって該フルギド系化合物の熱安定性及びフ
ォトクロミック反応の繰り返し耐久性の向上を図るべく
鋭意検討を重ねた結果、フルギド系化合物にCF3 等の
フッ素を含有する置換基を導入することにより、熱安定
性及びフォトクロミック反応の繰り返し耐久性が著しく
向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0016】本発明によれば、上記一般式(I)の置換
基X(=CF3 ,CFR2 又はCF2 R)の存在によ
り、熱安定性及びフォトクロミック反応の繰り返し耐久
性が著しく高められ、耐候性並びに記録及び読み取りの
繰り返し耐久性に優れた光記録媒体を提供することが可
能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。
【0018】本発明のフォトクロミック材料は、前記一
般式(I)で表されるフルギド系化合物を含むものであ
る。このフルギド系化合物は、紫外光又は可視光の照射
により、下記のようにシス型の開環体(以下「E体」と
称す。)と閉環体(以下「C体」と称す。)とに可逆的
に変化する。
【0019】
【化8】
【0020】前記一般式(I)において、XはCF3
CF2 R,又はCFR2 (RはH又はアルキル基)であ
るが、ここで、Rのアルキル基としてはメチル基、エチ
ル基、プロピル基等の炭素数10以下のアルキル基が好
ましい。なお、XがCFR2のとき、R2 は同一の置換
基で構成されても良く、異なる置換基で構成されても良
い。
【0021】また、Y,Zはそれぞれ独立してO,S,
Se,N−R(RはH又はアルキル基)である。即ち、
本発明に係るフルギド系化合物は、ヘテロ五員環として
フラン環、チオフェン環、セレノフェン環及び/又はピ
ロール環を有するものである。なお、N−RのRのアル
キル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭
素数10以下のアルキル基が好ましい。
【0022】Lは置換基を有していても良い、アルキル
基又はアミノ基を示し、ここで、アルキル基としてはメ
チル基、エチル基、プロピル基等の炭素数10以下のア
ルキル基、アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基等が好ましい。
【0023】(L)n のnは0,1又は2を示すが、n
=2のとき、(L)2 は同一の置換基で構成されていて
も異なる置換基で構成されていても良い。また(L)2
はZを含むヘテロ五員環と共に環を形成していても良
く、この場合、形成される環は、ベンゼン環、インドリ
ル環、ナフタレン環等の不飽和の環又はシクロヘキセン
環等の飽和の環が挙げられる。
【0024】R1 ,R2 ,R3 はそれぞれ独立してH或
いは置換基を有していても良いアルキル基又はアルコキ
シ基を示し、ここでアルキル基としてはメチル基、エチ
ル基、プロピル基等の炭素数10以下のアルキル基が挙
げられる。また、アルコキシ基としてはメトキシ基、エ
トキシ基等の炭素数10以下のアルコキシ基が挙げられ
る。
【0025】本発明に係るフルギド系化合物は、特に、
前記一般式(II)で表される化合物が好ましい。前記一
般式(II)において、R4 ,R5 ,R6 ,R7 は、それ
ぞれ独立してH或いは置換基を有していても良いアルキ
ル基又はアルコキシ基を示し、ここでアルキル基として
はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数10以下
のアルキル基が挙げられる。また、アルコキシ基として
はメトキシ基、エトキシ基等の炭素数10以下のアルコ
キシ基が挙げられる。
【0026】なお、前記L及びR1 〜R7 に導入される
置換基としては、アルキル基,アルコキシ基,アミノ
基,アルキルアミノ基,ニトロ基,水酸基,ハロゲン
基,スルホン基,芳香環を含むアルキル基などが挙げら
れる。
【0027】本発明に係るフルギド系化合物としては、
特に、前記構成式(III )で表されるCF3 置換インド
リルフルギドが好適である。
【0028】このようなフルギド系化合物を含有する記
録部を有する本発明の光記録媒体は、公知の方法に準じ
て容易に得ることができる。
【0029】例えば、次の [1] 又は [2] の方法に従
って記録層を形成することにより、本発明の光記録媒体
を製造することができる。
【0030】[1] 前記フルギド系化合物を、必要に
応じて、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビ
ニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、酢酸
セルロース、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のバイン
ダーと共に、必要に応じて、四塩化炭素、ベンゼン、シ
クロヘキサン、メチルエチルケトン、テトラクロロエタ
ン等の溶媒に分散又は溶解させて、適当な基板上に塗布
するか、或いは、公知の蒸着法又は他の化合物との共蒸
着法により、適当な基板上に蒸着するなどにより、基板
上に記録層を成膜する。 [2] 前記フルギド系化合物を上述の様な溶媒に溶解
し、ガラスセル等に封入する。
【0031】なお、 [1] の方法において、使用される
基板としては、使用する光に対して透明又は不透明のい
ずれでも良い。基板材料の材質としては、ガラス、プラ
スチック、紙、板状又は箔状のアルミニウム等の金属等
の一般の記録材料の支持体が挙げられ、これらのうちプ
ラスチックが種々の点から好適である。プラスチックと
しては、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、酢酸ビニル
樹脂、塩化ビニル樹脂、ニトロセルロース、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、
ポリイミド樹脂、ポリサルホン樹脂等が挙げられる。
【0032】このような基板上に形成する記録層の膜厚
は、2nm〜50μm、特に10nm〜30μmとする
のが好ましい。
【0033】また、成膜法としては、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、ドク
ターブレード法、キャスト法、スピナー法、浸漬法など
一般に行なわれている薄膜形成法を採用することができ
る。
【0034】なお、成膜にバインダーを用いる場合、成
膜されたフィルム中の本発明に係るフルギド系化合物の
含有量には特に制限はなく、当該化合物の吸光度とその
変化量及び所望とするスペックを考慮して適宜決定され
る。
【0035】本発明において、記録層にはその耐候性向
上等の目的で紫外線硬化樹脂等の公知の保護膜を厚さ1
〜100μm程度に形成するのが好ましい。
【0036】上記の記録層は、基板の両面に設けても良
いし、片面だけに設けても良い。
【0037】上記のようにして得られる本発明の光記録
媒体への記録は、基体の両面又は片面に設けた記録層或
いはセル中の記録層に集束した光をあてることにより行
なう。しかして、光照射された部分は、光エネルギーの
吸収により構造変化が起こる。記録された情報の再生は
光による構造変化が起きている部分と起きていない部分
の吸光度又は反射率の差を読みとることにより行なうこ
とができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施
例により限定されるものではない。
【0039】実施例1:CF3 置換インドリルフルギド
の合成 前記構造式(III )で表されるCF3 置換インドリルフ
ルギドを下記のような経路で合成した。なお、以下にお
いてMeはメチル基,Buはブチル基を示す。
【0040】
【化9】
【0041】 1,2−ジメチルインドールの合成
【0042】
【化10】
【0043】100ml二ツ口フラスコに水素化ナトリ
ウム(60%in oil)0.96g(24mmo
l)を入れ窒素置換し、溶媒としてTHF(テトラヒド
ロフラン)16mlを加え、氷浴で溶液を0℃にした。
これに2−メチルインドール3.18g(24.2mm
ol)をTHFに溶かしたものを滴下して(1drop
/sec)、60分撹拌した。更に、ヨードメタン1.
92ml(30mmol)を加え、120分撹拌した。
その後、水を加えて反応を終了し、水層を酢酸エチルで
3回抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸ナトリウムを入れて乾燥した。これを、吸引濾過
した後、溶媒をエバポレーターで減圧留去し、残査をフ
ラッシュカラムクロマトグラフィー(100%:ヘキサ
ン)で精製した。収量1.76g(12.1mmo
l)、収率50%で、生成物の分析結果(NMRスペク
トル)は下記の通りであった。
【0044】
【化11】
【0045】 3−(1,2ジメチルインドリル)ト
リフルオロメチルケトンの合成
【0046】
【化12】
【0047】300mlニツ口フラスコに、で合成し
た1,2−ジメチルインドール4.7005g(32m
mol)と2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル
ピリジン4.9g(24mmol)を入れ、窒素置換し
た。これに、蒸留して脱水したベンゼン130mlを加
え、氷浴で溶液を0℃にした。更に、ベンゼン100m
lに溶かしたトリフルオロアセチルトリフレート4.5
g(18.3mmol)を滴下し(1drop/se
c)、溶液を徐々に室温に戻した。2時間後、反応を終
了し、吸引濾過によりトリフレート塩を除去した後、水
を加え、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機
層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを入れて
乾燥した。これを、吸引濾過した後、溶媒をエバポレー
ターで減圧留去し、残査をフラッシュカラムクロマトグ
ラフィー(5%:酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。
収量1.8592g(7.71mmol)、収率42%
で、生成物の分析結果(NMRスペクトル、IRスペク
トル、質量分析、融点)は下記の通りであった。
【0048】
【化13】
【0049】 ジメチルイソプロピリデンサクシネー
トの合成
【0050】
【化14】
【0051】500ml三ツ口フラスコに、カリウム−
tert−ブトキシド8.50g(77.3mmol)
を50ml滴下漏斗に蒸留したアセトン7.5ml(1
02mmol)と蒸留したジメチルサクシネート12.
5ml(75.1mmol)をそれぞれ入れて、窒素置
換した。蒸留したtert−ブタノール75mlを加
え、還流しながら1drop/secの速さで滴下漏斗
から滴下した。滴下終了後、90分還流を続けた後放冷
し、エバポレーターで溶媒を減圧留去した。その後、水
とエーテルを加えて分液漏斗で水層と有機層に分液し
た。水層を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを
入れ一晩撹拌した。その後、硫酸ナトリウムを吸引濾過
により除去し、エバポレーターで溶媒を減圧留去した
後、300mlナス型フラスコに移して、メタノール5
0mlと濃硫酸2mlを加えて2時間30分還流した。
還流後エバポレーターで溶媒を減圧留去した後、エーテ
ルを加え10%NaOH水溶液で3回洗浄した。水層を
2回エーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加え一晩
撹拌した。その後、吸引濾過により硫酸ナトリウムを除
去した後、エバポレーターで溶媒を減圧留去した。その
後、減圧蒸留(7.0mmHg,910℃)で精製し
た。収量8.8812g(47.7mmol),収率6
4%で、生成物の分析結果(NMRスペクトル)は下記
の通りであった。
【0052】
【化15】
【0053】 3−(1,2−ジメチルインドリル)
トリフルオロメチルケトンとジメチルイソプロピリデン
サクシネートのStobbe縮合
【0054】
【化16】
【0055】100ml二ツ口フラスコに2,2−ビピ
リジルを微量入れ窒素置換し、THF5mlを加えた。
これに蒸留したジイソプロピルアミン0.097ml
(0.69mmol)を加え、寒剤浴で−70℃に冷や
し、この温度を維持しつつ、n−ブチルリチウム/ヘキ
サン溶液(1.47mmol/dm3 )を0.44ml
(0.64mmol)加え、で合成したジメチルイソ
プロピリデンサクシネート0.1029g(0.55m
mol)をTHF3mlに溶かし滴下(1drop/s
ec)した。滴下収量後、で合成した3−(1,2−
ジメチルインドリル)トリフルオロメチルケトン0.1
141g(0.46mmol)をTHFに溶かし加え
た。その後、3時間、−70℃位に保ちながら撹拌を続
け、徐々に温度を上げ寒剤浴をはずした。4日間撹拌し
た後、5MHCl水溶液10mlを加え酸性にし、水層
を酢酸エチルで5回抽出した。集めた有機層を飽和食塩
水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを入れて乾燥した。こ
れを吸引濾過した後、溶媒をエバポレーターで減圧留去
した。残査をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5
%:酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。
【0056】 ハーフエステルの加水分解
【0057】
【化17】
【0058】30ml二ツ口フラスコにで合成したハ
ーフエステル、メタノール1ml、KOH0.9g及び
水0.4mlを入れ、2時間還流した。その後、エバポ
レーターで溶媒を減圧留去し、5MHCl水溶液を加え
て酸性にした。次いで、酢酸エチルを加え分液漏斗で水
層と有機層に分け、水層を酢酸エチルで抽出した。飽和
食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加えて一晩
撹拌し、吸引濾過した後、エバポレーターで溶媒を減圧
留去して真空乾燥した。
【0059】 脱水環化
【0060】
【化18】
【0061】100ml二ツ口フラスコにで得た加水
分解生成物のジカルボン酸0.2753g(0.723
mmol)を入れ、窒素置換してTHFを加えた。これ
に、暗所でN−トリフルオロアセチルイミダゾール0.
16ml(1.4mmol)を加え、1時間撹拌した
後、エバポレーターで溶媒を減圧留去した。
【0062】 TLC(薄層クロマトグラフィー)に
よる単離 サンプル管にで合成したフルギドを50mg秤りと
り、ジクロロメタンにできるだけ飽和させるように溶か
した。この溶液を20cm×20cmのシリカゲルTL
C板2枚分にスポットした。これをシリカゲル面が内側
になるように展開層(40%:酢酸エチル/ヘキサン)
につけた。展開層のなかには、系の中が展開溶媒で飽和
するように濾紙を二枚入れておいた。展開後、シリカゲ
ルの必要な部分を削りとり三角フラスコに入れた。そこ
に酢酸エチルを入れて抽出した後、吸引濾過でシリカゲ
ルを取り除いた。エバポレーターで溶媒を減圧留去し、
ジエチルエーテルとヘキサンを用いて再結晶した。収量
及び収率は下記の通りであった。 再結晶前:収量70.0mg(0.193mmol)、
収率3%(対ケトン) 再結晶後:収量15.4mg(0.042mmol)、
収率0.8%(対ケトン) 得られた生成物の分析結果(NMRスペクトル、IRス
ペクトル、質量分析、融点)は下記の通りであった。な
お、NMRスペクトル及びIRスペクトルは各々図1,
2に示す。
【0063】
【化19】
【0064】実施例2:CF3 置換インドリルフルギド
のフォトクロミック反応 実施例1で合成したCF3 置換インドリルフルギドのフ
ォトクロミック反応の繰り返し耐久性及び熱安定性を調
べた。
【0065】なお、フィルムの作製に用いた溶液の調製
方法、試験に用いた光照射装置、光強度の測定方法は下
記の通りである。
【0066】[溶液の調整]実施例1で再結晶により精製
したフルギドのE体14.4mgを精秤した。これを、
25mlのトルエン溶液とすることで1.59×10-3
mol/dm3 のフルギド溶液を調製した。このうちの
3.2mlをホールピペットで採取し、50mlに希釈
してフルギドのE体の約1×10-4mol/dm3 トル
エン溶液を調製した(以下、この溶液を「フルギド−E
標準溶液」と称す。)。
【0067】[光照射装置]図3(a),(b)に示す構
成のものを用いた。
【0068】[光強度の測定]照射光強度は、フォトメー
ターで測定した。フォトメーターの感度には波長依存性
がある。また、1cm角石英セルを用いる場合、セルに
よる反射を考慮に入れなければならない。そこで、フォ
トメーターの指示値を次式によって補正した。 補正値=A(P/S−B) A,B:石英セルの透過率、反射率を考慮に入れた補正
係数(A=0.896,B=0.004) S :フォトメーターの感度(405nm:0.84
559nm:0.97) P :フォトメーターの指示値 繰り返し耐久性試験フィルムの作成 三角フラスコにポリメチルメタクリレート(PMMA)
0.25gを入れ、ジクロロメタン20mlに溶かし
た。これにフルギド−E標準溶液2mlをホールピペッ
トで加え撹拌した。この溶液をフラットシャーレ(直径
8.3cm)に移し、平らな場所に放置し、溶媒を飛ば
した。溶媒が完全に飛んだらシャーレに水を入れてフィ
ルムを取り出し、濾紙に挟んで水分を取った。フィルム
は数時間真空乾燥して用いた。このフィルムのフルギド
濃度Cf は9.52×10-4mol/1で、厚さ(マイ
クロメーターで測定)は30μmであった。
【0069】なお、フィルムのフルギド濃度Cf は以下
のようにして求めた。フルギドの物質量をC、フルギド
分散系の密度をd、ポリマーの重量をWとすると、ポリ
マー中のフルギドの濃度Cf は次式で与えられる。 Cf =Cd/W いま、C=2×10-7mol,d=1.19g/c
3 ,W=0.25gであるので Cf =9.52×10-4mol/l である。
【0070】試験方法 作成したフルギドを含むPMMAフィルムを適当な大き
さに切り、紫外可視吸収スペクトル用石英セル(光路長
1cm)に張り付けた。このフィルムに紫外光を照射
し、光定常状態にした。この状態をサイクル0とし、こ
の時のC体のλmax における吸光度をA0 (=0.00
9)とする。このセルを図3(a),(b)のような装
置に組み込み可視光2min、紫外光10minを繰り
返し照射したときのC体のλmax における吸光度An
変化を測定した。可視光、紫外光の切り替えはタイマー
を用いた。
【0071】比較のため、前記従来のフルギド系化合物
(i),(ii)についても同様にしてフィルムを作製
し、同様に吸光度の測定を行った。結果を図4に示す。
図4より、既存の化合物(i),(ii)が400サイク
ル以前に劣化するのに比べて、本発明に係る化合物は1
000サイクル以上の繰り返し後にも吸光度の低下がな
く、フォトクロミック性の繰り返し耐久性に優れること
が確認された。
【0072】 熱安定性試験フィルムの作成 三角フラスコにポリメチルメタクリレート(PMMA)
0.5gを入れ、ジクロロメタン20mlに溶かした。
これに、フルギド−E標準溶液5mlをホールピペット
で加えて撹拌した。この溶液をフラットシャーレ(直径
8.3cm)に移し、平らな場所に放置して溶媒を飛ば
した。溶媒が完全に飛んだらシャーレに水をいれてフィ
ルムを取り出し、濾紙に挟んで水分を取った。フィルム
は数時間真空乾燥して用いた。このフィルムのフルギド
濃度Cf は0.0119mol/lで、厚さ(マイクロ
メーターで測定)は64μmであった。
【0073】試験方法 作成したフルギドを含むPMMAフィルムを適当な大き
さに切り、1cm角石英セルの光透過面に張り付けた。
このフィルムに紫外光を80分照射して光定常状態にし
た。この時のC体のλmax における吸光度をA0 とす
る。このフィルムを80℃の恒温層に放置し、数日おき
にC体のλmax における吸光度An を測定した。恒温層
は、ガスクロマトグラフィーのオーブン部分を用いた。
【0074】比較のため、前記従来のフルギド系化合物
(i),(ii)についても同様にしてフィルムを作製
し、同様に吸光度の測定を行った。得られた結果を図5
に示す。図5より、既存の化合物(i),(ii)の吸光
度が回数とともに低下(An /A0 値)するのに対し
て、本発明に係る化合物は吸光度は殆ど低下せず優れた
熱安定性を示すことが確認された。
【0075】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のフォトオク
ロミック材料は、熱安定性及びフォトクロミック反応の
繰り返し耐久性に優れる。このため、このフォトクロミ
ック材料を用いた本発明の光記録媒体によれば、環境安
全性、コスト、重量などの面で多くの利点を有し、か
つ、耐候性並びに情報の記録・読み取りの繰り返し耐久
性に優れ、信頼性の高い光記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成したCF3 置換インドリルフル
ギドの 1H−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図2】実施例1で合成したCF3 置換インドリルフル
ギドのIRスペクトル(ヌジョール)を示すグラフであ
る。
【図3】実施例2で用いた光照射装置の構成を示す説明
図である。
【図4】実施例2におけるフォトクロミック反応の繰り
返し耐久性の試験結果を示すグラフである。
【図5】実施例2における熱安定性の試験結果を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 500W超高圧水銀ランプ 2 500W Xenonランプ 3 石英セル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で表されるフルギド系化合物
    を含むフォトクロミック材料。 【化1】 ((I)式中、XはCF3 ,CFR2 又はCF2 R(た
    だし、Rは水素原子又はアルキル基を示し、CFR2
    おいて、R2 は同一の置換基で構成されていても異なる
    置換基で構成されていても良い。)を示し、Y,Zはそ
    れぞれ独立してO,S,Se又はN−R(ただし、Rは
    水素原子又はアルキル基を示す。)を示し、R1
    2 ,R3 はそれぞれ独立して水素原子或いは置換基を
    有していても良いアルキル基又はアルコキシ基を示し、
    Lは置換基を有していても良いアルキル基又はアミノ基
    を示し、nは0〜2の整数を示す。ただし、n=2のと
    き、(L)2 は同一の置換基で構成されていても異なる
    置換基で構成されていても良く、また、(L)2 は、Z
    を含むヘテロ五員環の炭素と共に、置換基を有していて
    も良い飽和又は不飽和の環を形成していても良い。)
  2. 【請求項2】 請求項1において、フルギド系化合物が
    下記一般式(II)で表される化合物であるフォトクロミ
    ック材料。 【化2】 ((II)式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6
    7 はそれぞれ独立して水素原子或いは置換基を有して
    いても良いアルキル基又はアルコキシ基を示す。)
  3. 【請求項3】 請求項2において、フルギド系化合物が
    下記構造式(III )で表される化合物であるフォトクロ
    ミック材料。 【化3】
  4. 【請求項4】 光の照射により情報の記録・読み取りが
    可能な記録部を有する光記録媒体であって、該記録部に
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフォトクロミ
    ック材料が含まれていることを特徴とする光記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111039856A (zh) * 2019-12-31 2020-04-21 华侨大学 一种二苯甲酮取代俘精酸酯光致变色化合物及其制备方法
CN111039855A (zh) * 2019-12-31 2020-04-21 华侨大学 一种双芳环取代俘精酸酯类光致变色化合物及其制备方法

Cited By (4)

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CN111039856B (zh) * 2019-12-31 2021-08-06 华侨大学 一种二苯甲酮取代俘精酸酯光致变色化合物及其制备方法
CN111039855B (zh) * 2019-12-31 2021-08-06 华侨大学 一种双芳环取代俘精酸酯类光致变色化合物及其制备方法

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