JPH10158550A - 記録方法 - Google Patents

記録方法

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JPH10158550A
JPH10158550A JP32199196A JP32199196A JPH10158550A JP H10158550 A JPH10158550 A JP H10158550A JP 32199196 A JP32199196 A JP 32199196A JP 32199196 A JP32199196 A JP 32199196A JP H10158550 A JPH10158550 A JP H10158550A
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JP
Japan
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dye
ink
fixing solution
sample
weight
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JP32199196A
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Toshio Fukuda
敏生 福田
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 確実且つ容易に記録画像の耐水性を確保す
る。 【解決手段】 少なくとも直接染料及び/又は酸性染料
を含有するインクと少なくともカチオン性化合物を含有
する染料定着液を定量混合した後、これらの混合液滴を
吐出して被記録材に被着させる。なお、上記染料定着液
中のカチオン性化合物が特定の構造を有することが好ま
しい。また、この場合、混合液滴中のカチオン性化合物
全体の重量が混合液滴中の染料全体の重量の0.1倍〜
4倍であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを被記録材
に対して吐出する記録方法に関するものである。詳しく
は、吐出前のインクに染料定着液を混合し、容易且つ確
実に記録画像の耐水性を確保することを可能とする記録
方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータ等の普及
に伴い、該パーソナルコンピュータの表示画像等を銀塩
写真と同じように印画紙に表示することが要求されてい
る。そして、印画紙に印刷する手段として、電界や熱、
圧力等を駆動源としてノズルより溶液状のインクを印画
紙上に吐出させ、インクにより画像を形成して印刷を行
うインクジェット記録技術等が使用されている。
【0003】このようにインクジェット記録技術により
印画紙に印刷を行う場合、印画紙としては、支持体上に
染料受容層の形成された印画紙を使用するのが一般的で
ある。そして、上記インクジェット記録技術において
は、インクとして水溶性の直接染料や酸性染料が主に使
用される。なお、上記印画紙の染料受容層には、染料と
の親和性に優れた水溶性高分子、有機若しくは無機填
料、その他補助的物質が染料浸透性や画像のにじみを制
御するべく配合されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なインクジェット記録技術において使用されている染料
は、直接染料の染色理論に代表されるように染料受容層
に移行した後においては、染料受容層成分とのファンデ
ルワールス力、水素結合等の相互作用をすることによっ
て受容層中に保持されている。一方、酸性染料は一般的
に分子量が小さく、水溶性が大きいと言われている。
【0005】従って、これらのことから、上記のような
染料を含むインクにより形成される記録画像が形成され
る専用紙表面に水が付着すると、染料が流れ出すことが
あり、その耐久性は良好ではない。
【0006】また、記録画像を形成している染料が紫外
線等の光に暴露された場合には染料分子自体が破壊され
て画像が退色、変色或いは濃度低下をきたすことがあ
る。このため、このような染料を含むインクで形成され
た記録画像は耐光退色性が低く、その耐久性は良好では
ない。
【0007】これらの不都合を解消するべく、様々な手
段が講じられている。すなわち、被記録材として耐水性
を付加させた専用紙を使用するようにしたり、光透過性
を有する透明なポリエステル等よりなる有機高分子フィ
ルムの一主面側に公知の接着剤よりなる接着層を設けた
カバーフィルムを被記録材の記録画像形成面上に接着さ
せて記録画像の耐水性や耐擦過性を付与するようにした
り、上記カバーフィルム内に例えば有機系紫外線吸収剤
等を含有させるようにして記録画像の光退色を軽減する
ようにしている。
【0008】しかしながら、このようなカバーフィルム
を被記録材の記録画像上に配するには、当該カバーフィ
ルムを貼り付ける工程が新たに必要となり、またこの工
程を行うためのラミネータ等の設備等が必要となり、プ
リンタ装置の大型化や処理時間の増大を招き、生産性の
低下を招く。
【0009】また、被記録材として上記のような専用紙
だけでなく、普通紙を使用することも要求されている。
【0010】そこで、被記録材として普通紙を使用して
生産性を損なうことなく記録画像の耐水性を向上させる
ために、ある種の染料固着剤を普通紙上のインクドット
形成位置に予め吐出しておき、この上にインクを吐出し
てインクドットを形成して耐水性を確保するようにして
いる。
【0011】しかしながら、この方法によると、染料固
着剤とインクの吐出位置をかなりの精度で重ね合わせる
必要があり、プリンタ装置の各部の形状精度やこれを駆
動する駆動系の精度がかなり要求され、この方法により
記録画像の耐水性を確保することは非常に困難である。
【0012】本発明は、従来の実情に鑑みて提案された
ものであり、確実且つ容易に記録画像の耐水性を確保す
ることを可能とする記録方法を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明の記録方法は、少なくとも直接染料及び/又
は酸性染料を含有するインクと少なくともカチオン性化
合物を含有する染料定着液を定量混合した後、これらの
混合液滴を吐出して被記録材に被着させることを特徴と
するものである。
【0014】なお、本発明の記録方法においては、染料
定着液中のカチオン性化合物が、下記化3に示す構造を
有する化合物及び/又は下記化4に示す構造を有する化
合物であることが好ましい。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】さらに、本発明の記録方法においては、混
合液滴中のカチオン性化合物全体の重量が混合液滴中の
染料全体の重量の0.1倍〜4倍であることが好まし
く、0.5倍〜4倍とするのがより好ましい。
【0018】より具体的には、混合液滴中の染料定着液
の体積を1%〜50%程度とすれば良く、これを10%
〜50%の範囲とすれば制御がより容易となる。
【0019】上記のような直接染料及び酸性染料として
は、水溶性アニオン染料が挙げられ、発色団としてモノ
アゾ基、ジズアゾ基、アントラキノン骨格、トリフェニ
ルメタン骨格などを有し、更に分子中に1〜3個のスル
ホン酸基又はカルボキシル基などの陰イオン性の水溶性
基を有するものを使用することができる。
【0020】具体的には、イエロー系直接染料として、
C.I.ダイレクトイエロー1、同8、同11、同1
2、同24、同26、同27、同28、同33、同3
9、同44、同50、同58、同85、同86、同8
7、同88、同89、同98、同100、同110、マ
ゼンタ系の直接染料としてC.I.ダイレクトレッド
1、同2、同4、同9、同11、同13、同17、同2
0、同23、同24、同28、同31、同33、同3
7、同39、同44、同46、同62、同63、同7
5、同79、同80、同81、同83、同84、同8
9、同95、同99、同113、同197、同201、
同218、同220、同224、同225、同226、
同227、同228、同229、同230、同321、
シアン系の直接染料として、C.I.ダイレクトブルー
1、同2、同6、同8、同15、同22、同25、同4
1、同71、同76、同77、同78、同80、同8
6、同90、同98、同106、同108、同120、
同158、同160、同163、同165、同168、
同192、同193、同194、同195、同196、
同199、同200、同201、同202、同203、
同207、同225、同226、同236、同237、
同246、同248、同249、ブラック系の直接染料
として、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同
22、同32、同38、同51、同56、同62、同7
1、同74、同75、同77、同94、同105、同1
06、同107、同108、同112、同113、同1
17、同118、同132、同133、同146が好ま
しく例示される。
【0021】また、イエロー系の酸性染料として、C.
I.アシッドイエロー1、同3、同7、同11、同1
7、同19、同23、同25、同29、同36、同3
8、同40、同42、同44、同49、同59、同6
1、同70、同72、同75、同76、同78、同7
9、同98、同99、同110、同111、同112、
同114、同116、同118、同119、同127、
同128、同131、同135、同141、同142、
同161、同162、同163、同164、同165、
マゼンタ系の酸性染料として、C.I.アシッドレッド
1、同6、同8、同9、同13、同14、同18、同2
6、同27、同32、同35、同37、同42、同5
1、同52、同57、同75、同77、同80、同8
2、同83、同85、同87、同88、同89、同9
2、同94、同97、同106、同111、同114、
同115、同117、同118、同119、同129、
同130、同131、同133、同134、同138、
同143、同145、同154、同155、同158、
同168、同180、同183、同184、同186、
同194、同198、同199、同209、同211、
同215、同216、同217、同219、同249、
同252、同254、同256、同257、同262、
同265、同266、同274、同276、同282、
同283、同303、同317、同318、同320、
同321、同322、シアン系の酸性染科として、C.
I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、
同23、同25、同27、同29、同40、同41、同
43、同45、同54、同59、同60、同62、同7
2、同74、同78、同80、同82、同83、同9
0、同92、同93、同100、同102、同103、
同104、同112、同113、同117、同120、
同126、同127、同129、同130、同131、
同138、同140、同142、同143、同151、
同154、同158、同161、同166、同167、
同168、同170、同171、同175、同182、
同183、同184、同187、同192、同199、
同203、同204、同205、同229、同234、
同236、ブラック系の酸性染科として、C.I.アシ
ッドブラック1、同2、同7、同24、同26、同2
9、同31、同44、同48、同50、同51、同5
2、同58、同60、同62、同63、同64、同6
7、同72、同76、同77、同94、同107、同1
08、同109、同110、同112、同115、同1
18、同119、同121、同122、同131、同1
32、同139、同140、同155、同156、同1
57、同158、同159、同191等を好ましく例示
することができる。
【0022】本発明の記録方法においては、少なくとも
直接染料及び/又は酸性染料を含有するインクと少なく
ともカチオン性化合物を含有する染料定着液を定量混合
した後、これらの混合液滴を吐出して被記録材に被着さ
せるため、従来の染料定着液を吐出した上にインクを重
ねて吐出する方法と異なり、染料定着液とインクが必ず
同じ位置に容易に吐出される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、
本発明の記録方法を適用して好適なプリンタ装置につい
て説明する。
【0024】本例のプリンタ装置は、図1に示すように
ノズルを有するオリフィスプレート1とこれに接続さ
れ、内部に第1の液体2が充填される第1の液体収容容
器4及び内部に第2の液体3が充填される第2の液体収
容容器5により構成される。
【0025】上記オリフィスプレート1は、図2に示す
ように、第1のプレート11と、第2のプレート12
と、第3のプレート13とからなり、この第3のプレー
ト13を厚み方向より第1のプレート11と第2のプレ
ート12によって挟み込んで積層した、いわゆる積層プ
レートとして形成されている。
【0026】そして、第1のプレート11、言い換えれ
ば積層プレートの一方の面1aには、第1,2の供給口
21,22が設けられ、第2のプレート12、言い換え
れば積層プレートの他方の面1bには、上記第1,2の
供給口21,22から供給される2種の液体を混合した
混合液を吐出するノズル23が形成されている。
【0027】さらに第3のプレート13は、第1のプレ
ート11と第2のプレート12の間に設けられている。
この第3のプレート13は、ドライフィルムレジストか
らなり、プレートの内面方向に流路24を有している。
かかる流路24は、第1,2の供給口21,22と接続
されると共に、ノズル23とも接続するようになされて
いる。
【0028】なお、上記第1,2の供給口21,22
は、図3にオリフィスプレートの第1,2の供給口2
1,22が設けられる面1aとは反対側の面1bから見
た平面図に示すように、円形の貫通孔として、第1のプ
レート11に形成されている。なお、かかる第1,2の
供給口21,22は、必ずしも円形の貫通孔でなくても
よく、例えば楕円形状或いは矩形形状であっても構わな
い。
【0029】またノズル23は、第1の供給口21と相
対向する位置に設けられ、第1の供給口21の開口径よ
りも大きな開口径を有した円形の貫通孔として形成され
ている。なお、ノズル23は、上記のように第1の供給
口21の開口径よりも大きな開口径とすることが望まし
いが、該第1の供給口21の開口径と同じ、或いはこれ
よりも小径であってもよい。また、ノズル23は、第
1,2の供給口21,22と同じく円形の貫通孔でなく
てもよく、例えば楕円形状或いは矩形形状であっても構
わない。
【0030】さらに流路24は、図3中に示すように、
ノズル23と対向しない第2の供給口22よりノズル2
3へ向かって次第にその幅が狭まるようなテーパー形状
とされている。なお、流路24は、ストレート形状或い
は次第にその幅の広がるテーパー形状であっても構わな
い。そして、流路24の先端部は、ノズル23の側壁に
接続され、ノズル23の一部を形成する。
【0031】次に、上記オリフィスプレート1と接続さ
れる第1,2の液体収容容器4,5について述べる。
【0032】上記第1の液体収容容器4は図1中に示す
ように、内部に略箱状の空洞部6を有する容器であり、
空洞部6の上面にあたる開口6aが上記オリフィスプレ
ート1の第1の供給口21に接続されている。また第2
の液体収容容器5も同様に内部に略箱状の空洞部7を有
する容器であり、空洞部7の上面にあたる開口7aが第
2の供給口22に接続されている。
【0033】また、上記第1の液体収容容器4の空洞部
6の開口6aに対向する底面6b側には該空洞部6と接
続され、外部とも接続される貫通孔8が設けられ、第2
の液体収容容器5の空洞部7の開口7aに対向する底面
7b側にも該空洞部7と接続され、外部とも接続される
貫通孔9が設けられている。なお、上記貫通孔8には第
1の溶液が充填される図示しない溶液タンクが接続さ
れ、上記貫通孔9には第2の溶液が充填される図示しな
い溶液タンクが接続されていることは言うまでもない。
【0034】従って、本例のプリンタ装置においては、
貫通孔8,空洞部6,第1の供給口21が接続され第1
の溶液2としてインク或いは染料定着液が充填される貫
通孔が形成されることとなる。一方、貫通孔9,空洞部
7,第2の供給口22,流路24も接続され第2の溶液
3として染料定着液或いはインクが充填される貫通孔が
形成されることとなる。なお、ここでは、第1の溶液2
をインク、第2の溶液3を染料定着液を使用する例につ
いて述べる。
【0035】そして、上記第1,2の液体収容容器4,
5の外壁面には、ピエゾ素子等の如き圧電素子31,3
2がそれぞれ設けられる。かかる圧電素子31,32
は、この圧電素子31,32に供給される信号により変
形し、その変形時における圧力により液体収容容器4,
5内の圧力をそれぞれ変化させるものである。
【0036】この圧電素子31,32を用いた本例のプ
リンタ装置においては、圧電素子31,32に与える電
圧パルスを調節することにより、混合液に含まれる第2
の液体3の混合比率、すなわち染料定着液濃度を調節す
ることができる。
【0037】従って、上記プリンタ装置を用い、本発明
の記録方法により印刷を行う場合には、先ず、図1中に
示すように、溶液タンクから導入されて第2の供給口2
2から供給される染料定着液である第2の溶液3を毛細
管現象により流路24に充填して流路24の先端部24
aに第2のメニスカスM2 を形成し、溶液タンクから導
入されて第1の供給口21から供給されるインクである
第1の溶液2による第1のメニスカスM1 を毛細管現象
により第1の供給口21の先端部21aに形成する。
【0038】次に、第2の液体3が充填される第2の液
体収容容器5に設けられるピエゾ素子32に電圧パルス
を与えて該第2の液体収容容器5に圧力を加え、空洞部
7の圧力を高めると共に流路24内の圧力P2を上昇せ
しめる。その結果、図4に示すように、第2の液体3の
第2のメニスカスM2 は、混合室となるノズル23側へ
と移動し、第2の液体3がノズル23内へと押し出され
る。なお、このとき、第2の液体3の押し出される量
は、ピエゾ素子32により第2の液体収容容器5に与え
られる圧力の大きさによって制御され、ピエゾ素子32
に供給される電圧パルスの電圧値またはパルス幅、パル
ス回数によって制御される。
【0039】そして、圧力P2の上昇量及び上昇時間を
調整することにより、第2のメニスカスM2 は、図5に
示すように、第1の液体2の第1のメニスカスM1 とノ
ズル23内において接触することとなる。その結果、ノ
ズル23内に第2の液体の液滴33が残されることとな
る。
【0040】次に、第2の液体収容容器5に設けられる
ピエゾ素子32へ供給する電圧パルスをもとの値に戻
す。すると、流路24内の第2の液体3の圧力上昇が存
在しない場合においては、第2の液体3の第2のメニス
カスM2 は、第1の液体2の第1のメニスカスM1 と接
触しない位置に存在することが安定であるので、図6に
示すように、流路24側に後退し、第1の液体2と分離
され、最終的には流路24の先端部24aに形成され
る。そして、図7に示すように、ノズル23内部におい
ては、第1の液体2であるインクと第2の液体3である
染料定着液とが混合された混合液10が形成される。
【0041】上述の説明中の第2の液体の液滴33は、
過渡的な状態を説明するために図示したものであり、こ
の第2の液体の液滴33が単独に存在する時間は極短時
間である。すなわち、直ちに第1の液体2と混ざり合っ
て混合液10を形成する。
【0042】なお、ここで、第2の液体3の圧力P2の
上昇量及び上昇時間、すなわち、ピエゾ素子32に与え
る電圧パルスの電圧値或いはパルス幅をさらに増加させ
ることにより、混合液10に含まれる第2の液体3の混
合比率、すなわち染料定着液濃度を上昇させることがで
きる。つまり、生成される混合液10の混合比(染料定
着液濃度)は、圧力P2の上昇量及び上昇時間、すなわ
ち図示しない駆動部よりピエゾ素子32に与える電圧パ
ルスの電圧値或いはパルス幅により調節される。ただ
し、ここでは第2の液体3である染料定着液の押し出し
量を一定とし、一定の混合比の混合液10を形成するよ
うにしている。
【0043】次に、第1の液体2が充填される第1の液
体収容容器4に設けられるピエゾ素子31に電圧パルス
を与えて第1の液体収容容器4に圧力を加え、空洞部6
の圧力を高めると共に第1の供給口21内の圧力P1を
上昇せしめる。すると、混合液10がノズル23側へ向
かって移動することとなる。ここで、第1の供給口21
内の圧力P1、言い替えれば第1の液体2の圧力を増大
すると、混合液10は、図8に示すように、ノズル23
より混合液滴として大気中に吐出され、このノズル23
と対向して設けられる被記録材である記録紙(図示は省
略する。)に付着して記録ドットを形成する。この一
方、第1の液体2が供給される第1の供給口21には、
新たな第1のメニスカスM1 が生成されることとなる。
なお、このとき、上記プリンタ装置においては、圧力を
加える圧力パルスとなる電圧パルスの1パルスに対して
混合液の1液滴が吐出される。そしてこの動作を繰り返
し行うことにより、記録画像が形成される。
【0044】このようにして記録画像を形成すると、第
1の液体2であるインクと第2の液体3である染料定着
液を含有する混合液10を吐出するため、インクと染料
定着液は必ず同じ位置に吐出され、記録ドット毎の耐水
性が確保され、形成される記録画像の耐水性が確保され
る。また、このようにして記録画像を形成すれば、イン
クと染料定着液を定量混合した後に吐出することから、
従来の染料定着液を吐出した上にインクを重ねて吐出す
る方法と異なり、染料定着液とインクの吐出位置を合わ
せる必要がなく、記録画像の耐水性を容易に確保するこ
とができる。
【0045】なお、カラー画像を形成しようとする場合
には、例えば、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック
といった各色に対応する上述のようなプリンタ装置を用
意し、これらを一組(ここでは4個のプリンタ装置が一
組となる。)のヘッドアッセンブリとして使用し、この
ヘッドアッセンブリをライン上に多数個配列して記録画
像を形成するようにすれば良い。
【0046】上述のプリンタ装置における一連の動作は
一例であり、各動作のタイミングや状態、例えば混合液
の形状、充填動作等は供給口やノズルの大きさ等の構造
的要素、染料定着液やインクの粘性や表面張力等の物理
的要素、吐出周波数等の動作条件によって変化する。ま
た、上述のプリンタ装置において、オリフィスプレー
ト,各液体収容容器の形状等の変更も可能である。
【0047】また、上記プリンタ装置においては、ピエ
ゾ素子31,32として電圧の印加により長手方向に伸
びるいわゆるd33モードの積層ピエゾ素子を使用した例
について述べたが、ピエゾ素子として電圧の印加により
長手方向に縮むいわゆるd31モードの積層ピエゾ素子を
使用しても良いことは言うまでもない。
【0048】なお、ここでは、染料定着液或いはインク
の定量にピエゾ素子を使用したプリンタ装置の例につい
て述べたが、本発明は染料定着液或いはインクの定量に
発熱素子を使用したプリンタ装置にも使用可能であるこ
とは言うまでもない。また、ピエゾ素子の代わりに電磁
変換素子や電歪素子等によるアクチュエータを採用して
も良く、これら駆動装置の種類によっては、第1の液体
収容容器4或いは第2の液体収容容器5の内部に設ける
ようにしても良い。
【0049】さらに、ここでは、染料定着液を定量側と
し、インクを吐出側とした例について述べたが、インク
を定量側とし、染料定着液を吐出側としても良いことは
言うまでもない。
【0050】
【実施例】次に、本発明の効果を確認するべく、以下の
ような実験を行った。
【0051】〈実験例1〉本実験例においては、染料定
着液として下記化5に示す構造を有するカチオン性化合
物を含有する染料定着液を用意し、これと直接染料或い
は酸性染料を含有するインクとを定量混合させた混合液
滴を吐出して形成した記録画像の耐水性を調査するとと
もに、混合液滴の吐出安定性を調査した。
【0052】
【化5】
【0053】先ず、インクサンプルを用意した。すなわ
ち、下記に示す16種類の染料をそれぞれ使用して、下
記に示すような2種類の配合のインクを製造し、合計で
32種類のインクサンプルを用意した。
【0054】染料としては、C.I.ダイレクトイエロ
ー50(以下、染料1と称する。)、C.I.ダイレク
トイエロー87(以下、染料2と称する。)、C.I.
ダイレクトレッド83(以下、染料3と称する。)、
C.I.ダイレクトレッド227(以下、染料4と称す
る。)、C.I.ダイレクトブルー86(以下、染料5
と称する。)、C.I.ダイレクトブルー6(以下、染
料6と称する。)、C.I.ダイレクトブラック38
(以下、染料7と称する。)、C.I.ダイレクトブラ
ック154(以下、染料8と称する。)、C.I.アシ
ッドイエロー23(以下、染料9と称する。)、C.
I.アシッドイエロー42(以下、染料10と称す
る。)、C.I.アシッドレッド27(以下、染料11
と称する。)、C.I.アシッドレッド52(以下、染
料12と称する。)、C.I.アシッドブルー9(以
下、染料13と称する。)、C.I.アシッドブルー1
5(以下、染料14と称する。)、C.I.アシッドブ
ラック24(以下、染料15と称する。)、C.I.ア
シッドブラック94(以下、染料16と称する。)を用
意した。
【0055】そして、以下に示すような2種類の配合の
インクを上記染料をそれぞれ使用して製造し、合計32
種類のインクを製造した。
【0056】 インク配合1 染料 3重量% 水 64重量% イソプロピルアルコール 3重量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量% N−メチル−2−ピロリドン 20重量% インク配合2 染料 5重量% 水 62重量% イソプロピルアルコール 3重量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量% N−メチル−2−ピロリドン 20重量% そして、染料1を使用してインク配合1の配合で製造し
たインクをインクサンプル1とし、染料2を使用してイ
ンク配合1の配合で製造したインクをインクサンプル2
とし、染料3を使用してインク配合1の配合で製造した
インクをインクサンプル3とし、染料4を使用してイン
ク配合1の配合で製造したインクをインクサンプル4と
し、染料5を使用してインク配合1の配合で製造したイ
ンクをインクサンプル5とし、染料6を使用してインク
配合1の配合で製造したインクをインクサンプル6と
し、染料7を使用してインク配合1の配合で製造したイ
ンクをインクサンプル7とし、染料8を使用してインク
配合1の配合で製造したインクをインクサンプル8と
し、染料9を使用してインク配合1の配合で製造したイ
ンクをインクサンプル9とし、染料10を使用してイン
ク配合1の配合で製造したインクをインクサンプル10
とし、染料11を使用してインク配合1の配合で製造し
たインクをインクサンプル11とし、染料12を使用し
てインク配合1の配合で製造したインクをインクサンプ
ル12とし、染料13を使用してインク配合1の配合で
製造したインクをインクサンプル13とし、染料14を
使用してインク配合1の配合で製造したインクをインク
サンプル14とし、染料15を使用してインク配合1の
配合で製造したインクをインクサンプル15とし、染料
16を使用してインク配合1の配合で製造したインクを
インクサンプル16とした。
【0057】一方、染料1を使用してインク配合2の配
合で製造したインクをインクサンプル17とし、染料2
を使用してインク配合2の配合で製造したインクをイン
クサンプル18とし、染料3を使用してインク配合2の
配合で製造したインクをインクサンプル19とし、染料
4を使用してインク配合2の配合で製造したインクをイ
ンクサンプル20とし、染料5を使用してインク配合2
の配合で製造したインクをインクサンプル21とし、染
料6を使用してインク配合2の配合で製造したインクを
インクサンプル22とし、染料7を使用してインク配合
2の配合で製造したインクをインクサンプル23とし、
染料8を使用してインク配合2の配合で製造したインク
をインクサンプル24とし、染料9を使用してインク配
合2の配合で製造したインクをインクサンプル25と
し、染料10を使用してインク配合2の配合で製造した
インクをインクサンプル26とし、染料11を使用して
インク配合2の配合で製造したインクをインクサンプル
27とし、染料12を使用してインク配合2の配合で製
造したインクをインクサンプル28とし、染料13を使
用してインク配合2の配合で製造したインクをインクサ
ンプル29とし、染料14を使用してインク配合2の配
合で製造したインクをインクサンプル30とし、染料1
5を使用してインク配合2の配合で製造したインクをイ
ンクサンプル31とし、染料16を使用してインク配合
2の配合で製造したインクをインクサンプル32とし
た。
【0058】次に、染料定着液を用意した。すなわち、
下記化6に示す構造中のRがCH3(CH2 16CH2
の構造を有するオクタデシル(ステアリル)とされてい
るカチオン性化合物である日光ケミカルス(株)社製の
アミドアミンS(商品名)と水を使用し、以下に示す配
合で各染料定着液を製造した。
【0059】
【化6】
【0060】先ず、上記カチオン性化合物1.5重量%
と水98.5重量%よりなり、25pl(2.5×10
-11 リットル)の染料定着液中のカチオン性化合物が
0.375pgとなるような染料定着液を染料定着液サ
ンプル1として用意した。
【0061】次に、上記カチオン性化合物2.5重量%
と水97.5重量%よりなり、25pl(2.5×10
-11 リットル)の染料定着液中のカチオン性化合物が
0.625pgとなるような染料定着液を染料定着液サ
ンプル2として用意した。
【0062】さらに、上記カチオン性化合物12重量%
と水88重量%よりなり、25pl(2.5×10-11
リットル)の染料定着液中のカチオン性化合物が3.0
pgとなるような染料定着液を染料定着液サンプル3と
して用意した。
【0063】さらにまた、上記カチオン性化合物3.0
重量%と水97.0重量%よりなり、25pl(2.5
×10-11 リットル)の染料定着液中のカチオン性化合
物が0.75pgとなるような染料定着液を染料定着液
サンプル4として用意した。
【0064】さらに、上記カチオン性化合物20.0重
量%と水80.0重量%よりなり、25pl(2.5×
10-11 リットル)の染料定着液中のカチオン性化合物
が5.0pgとなるような染料定着液を染料定着液サン
プル5として用意した。
【0065】さらに、上記カチオン性化合物1.2重量
%と水98.8重量%よりなり、25pl(2.5×1
-11 リットル)の染料定着液中のカチオン性化合物が
0.3pgとなるような染料定着液を染料定着液サンプ
ル6として用意した。
【0066】そして、比較のために水のみよりなる染料
定着液比較サンプルを用意した。
【0067】次に、上記インクサンプル1〜32と染料
定着液サンプル1〜6及び染料定着液比較サンプルを組
み合わせて使用し、前述したような構成のプリンタ装置
を用い、インクを吐出側、染料定着液を定量側として混
合液滴を吐出して被記録材として普通紙を使用して記録
画像を形成した。なお、このとき、プリンタ装置の駆動
部のパルス電圧やパルス幅等を調整して、吐出される混
合液滴の体積を50pl(5.0×10-11 リットル)
とし、この混合液滴中のインクサンプルと染料定着液サ
ンプルの体積比が50:50となるようにした。
【0068】そして、普通紙上に形成された各記録画像
の耐水性の評価を行った。すなわち、各記録画像が形成
された普通紙を水中に1時間浸積し、浸積後の記録画像
の変化を目視により確認、評価した。結果は、染料が水
中に殆ど溶出しておらず、滲みも発生していないものを
◎、染料が水中に殆ど溶出していないが、滲みが発生し
ているものを○、染料が溶出し、滲みも発生している
が、実用上問題ないものを△、染料が溶出し、印画跡が
確認できないものを×として表した。
【0069】インクサンプルと染料定着液サンプルの組
合わせと耐水性の結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】表1の結果から、カチオン性化合物を含有
する染料定着液サンプル1〜6においては、インクの種
類に関係なく、実用上問題ない耐水性が確保され、カチ
オン性化合物を含有しない染料定着液比較サンプルを使
用すると、インクの種類に関係なく、実用可能な耐水性
を確保することができなかった。
【0072】なお、インクサンプル1〜16は、染料の
種類が異なるものの、インク配合は同一であり、これら
インクサンプルと例えば染料定着液サンプル1を組み合
わせた混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量の当該
混合液滴中の染料全体の重量に対する比は同一であり、
0.5倍となる。この他の染料定着液サンプル2〜5に
おいても同様で、染料定着液サンプル2を使用した混合
液滴中のカチオン性化合物全体の重量は染料全体の重量
の0.8倍となる。さらに、染料定着液サンプル3を使
用した混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量は染料
全体の重量の4.0倍、染料定着液サンプル4を使用し
た混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量は染料全体
の重量の1.0倍、染料定着液サンプル5を使用した混
合液滴中のカチオン性化合物全体の重量は染料全体の重
量の6.7倍、染料定着液サンプル6を使用した混合液
滴中のカチオン性化合物全体の重量は染料全体の重量の
0.4倍となる。
【0073】また、インクサンプル17〜32において
も、染料の種類が異なるものの、インク配合は同一であ
り、これらインクサンプルと例えば染料定着液サンプル
1を組み合わせた混合液滴中のカチオン性化合物全体の
重量の当該混合液滴中の染料全体の重量に対する比は同
一であり、0.3倍となる。この他の染料定着液サンプ
ル2〜5においても同様で、染料定着液サンプル2を使
用した混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量は染料
全体の重量の0.5倍となる。さらに、染料定着液サン
プル3を使用した混合液滴中のカチオン性化合物全体の
重量は染料全体の重量の2.4倍、染料定着液サンプル
4を使用した混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量
は染料全体の重量の0.6倍、染料定着液サンプル5を
使用した混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量は染
料全体の重量の4.0倍、染料定着液サンプル6を使用
した混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量は染料全
体の重量の0.24倍となる。
【0074】これら混合液滴中のカチオン性化合物全体
の重量の染料全体の重量に対する比と耐水性の評価結果
を併せて考慮すると、このカチオン性化合物全体の重量
が染料全体の重量の0.5倍以上となるインクサンプル
1〜16と染料定着液サンプル1〜5及びインクサンプ
ル17〜32と染料定着液サンプル2〜5においてより
好ましい結果が得られることが確認された。
【0075】次に、連続吐出性を評価するべく、上記の
インクサンプル1〜36と染料定着液サンプル1〜6を
組み合わせて上記プリンタ装置により上述の混合比の混
合液滴を12時間連続して吐出し、ノズルの目詰まりの
有無を調査した。
【0076】さらに、染料定着液として、カチオン性化
合物である日光ケミカルス(株)社製のアミドアミンS
(商品名)13.6重量%と水86.4重量%よりな
り、25pl(2.5×10-11 リットル)の染料定着
液中のカチオン性化合物が3.4pgとなるような染料
定着液を染料定着液サンプル7として用意し、これとイ
ンクサンプル1〜32を組み合わせた場合の連続吐出性
も同様に評価した。
【0077】なお、インクサンプル1〜16と上記染料
定着液サンプル7を組み合わせた混合液滴中のカチオン
性化合物全体の重量は染料全体の重量の4.5倍とな
り、インクサンプル17〜32と上記染料定着液サンプ
ル7を組み合わせた混合液滴中の混合液滴中のカチオン
性化合物全体の重量は染料全体の重量の2.72倍とな
る。
【0078】その結果、インクサンプル1〜16と染料
定着液サンプル5の組合わせとインクサンプル1〜16
と染料定着液サンプル7の組合わせにおいては、ノズル
の目詰まりが発生し、連続吐出安定性が良好ではなかっ
た。
【0079】すなわち、混合液滴中のカチオン性化合物
全体の重量が当該混合液滴中の染料全体の重量の4倍よ
りも大となってしまう組合わせにおいては連続吐出安定
性が良好ではないことが確認された。
【0080】従って、これらの結果から、少なくとも直
接染料及び/又は酸性染料を含有するインクと少なくと
もカチオン性化合物を含有する染料定着液を定量混合し
た後、これらの混合液滴を吐出して被記録材に被着させ
て記録画像を形成すれば、実用上問題ない耐水性が確保
されることが確認された。
【0081】さらには、混合液滴中のカチオン性化合物
全体の重量を当該混合液滴中の染料全体の重量の0.1
倍〜4倍とすることが好ましく、0.5倍〜4倍とする
ことがより好ましいことが確認された。
【0082】〈実験例2〉本実験例においては、染料定
着液として下記化7に示す構造を有するカチオン性化合
物を含有する染料定着液を用意し、これと直接染料或い
は酸性染料を含有するインクとを定量混合させた混合液
滴を吐出して形成した記録画像の耐水性を調査するとと
もに、混合液滴の吐出安定性を調査した。
【0083】
【化7】
【0084】インクとしては、実験例1で使用したイン
クサンプル1〜32を使用することとした。
【0085】次に、染料定着液を製造した。すなわち、
上記化7に示す構造中のRがCH3(CH2 16CH2
の構造を有するオクタデシル(ステアリル)とされてい
るカチオン性化合物である日光ケミカルス(株)社製の
CA−1485(商品名:有効成分85%)と水を使用
し、以下に示す配合で各染料定着液を製造した。
【0086】先ず、上記カチオン性化合物12.4重量
%と水87.6重量%よりなり、10pl(1.0×1
-11 リットル)の染料定着液中のカチオン性化合物が
1.05pgとなるような染料定着液を染料定着液サン
プル8として用意した。
【0087】次に、上記カチオン性化合物17.6重量
%と水82.4重量%よりなり、10pl(1.0×1
-11 リットル)の染料定着液中のカチオン性化合物が
1.5pgとなるような染料定着液を染料定着液サンプ
ル9として用意した。
【0088】さらに、上記カチオン性化合物24.7重
量%と水75.3重量%よりなり、10pl(1.0×
10-11 リットル)の染料定着液中のカチオン性化合物
が2.1pgとなるような染料定着液を染料定着液サン
プル10として用意した。
【0089】さらにまた、上記カチオン性化合物9.9
重量%と水90.1重量%よりなり、10pl(2.5
×10-11 リットル)の染料定着液中のカチオン性化合
物が0.84pgとなるような染料定着液を染料定着液
サンプル11として用意した。
【0090】次に、上記インクサンプル1〜32と染料
定着液サンプル8〜11を組み合わせて使用し、前述し
たような構成のプリンタ装置を用い、インクを吐出側、
染料定着液を定量側として混合液滴を吐出して被記録材
として普通紙を使用して記録画像を形成した。なお、こ
のとき、プリンタ装置の駆動部のパルス電圧やパルス幅
等を調整して、吐出される混合液滴の体積を80pl
(8.0×10-11 リットル)とし、この混合液滴中の
インクサンプルと染料定着液サンプルの体積比が70:
10となるようにした。
【0091】そして、普通紙上に形成された各記録画像
の耐水性の評価を実験例1と同様に行った。インクサン
プルと染料定着液サンプルの組合わせと耐水性の結果を
表2に示す。なお、実験例1でも示した染料定着液比較
サンプルを使用した場合の結果も併せて示すこととす
る。
【0092】
【表2】
【0093】表2の結果から、カチオン性化合物を含有
する染料定着液サンプル8〜11においては、インクの
種類に関係なく、実用上問題ない耐水性が確保され、カ
チオン性化合物を含有しない染料定着液比較サンプルを
使用すると、インクの種類に関係なく、実用可能な耐水
性を確保することができなかった。
【0094】なお、インクサンプル1〜16は、染料の
種類が異なるものの、インク配合は同一であり、これら
インクサンプルと例えば染料定着液サンプル8を組み合
わせた混合液滴中のカチオン性化合物の全体の重量の当
該混合液滴中の染料全体の重量に対する比は同一であ
り、0.5倍となる。この他の染料定着液サンプル9〜
11においても同様で、染料定着液サンプル9を使用し
た混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量は染料全体
の重量の0.8倍となる。さらに、染料定着液サンプル
10を使用した混合液滴中のカチオン性化合物全体の重
量は染料全体の重量の1.0倍、染料定着液サンプル1
1を使用した混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量
は染料全体の0.4倍となる。
【0095】また、インクサンプル17〜32において
も、染料の種類が異なるものの、インク配合は同一であ
り、これらインクサンプルと例えば染料定着液サンプル
8を組み合わせた混合液滴中のカチオン性化合物全体の
重量の当該混合液滴中の染料全体の重量に対する比は同
一であり、0.35倍となる。この他の染料定着液サン
プル9〜11においても同様で、染料定着液サンプル9
を使用した混合液滴中のカチオン性化合物全体の重量は
染料全体の重量の0.5倍となる。さらに、染料定着液
サンプル10を使用した混合液滴中のカチオン性化合物
全体の重量は染料全体の重量の0.7倍、染料定着液サ
ンプル11を使用した混合液滴中のカチオン性化合物全
体の重量は染料全体の重量の0.28倍となる。
【0096】これら混合液滴中のカチオン性化合物全体
の重量の当該混合液滴中の染料全体の重量に対する比と
耐水性の評価結果を併せて考慮すると、このカチオン性
化合物の重量が0.5倍以上となるインクサンプル1〜
16と染料定着液サンプル8〜10及びインクサンプル
17〜32と染料定着液サンプル9,10においてより
好ましい結果が得られることが確認された。
【0097】次に、連続吐出性を評価するべく、上記の
インクサンプル1〜36と染料定着液サンプル8〜11
を組み合わせて上記プリンタ装置により上述の混合比の
混合液滴を12時間連続して吐出し、ノズルの目詰まり
の有無を調査した。
【0098】さらに、染料定着液として、カチオン性化
合物である日光ケミカルス(株)社製のCA−1485
(商品名:有効成分85%)26.5重量%と水73.
5重量%よりなり、10pl(1.0×10-11 リット
ル)の染料定着液中のカチオン性化合物が5.6pgと
なるような染料定着液を染料定着液サンプル12として
用意し、これとインクサンプル1〜32を組み合わせた
場合の連続吐出性も評価した。
【0099】なお、インクサンプル1〜16と上記染料
定着液サンプル12を組み合わせた混合液滴中のカチオ
ン性化合物全体の重量は当該混合液滴中の染料全体の重
量の7.5倍となり、インクサンプル17〜32と上記
染料定着液サンプル12を組み合わせた混合液滴中のカ
チオン性化合物全体の重量は当該混合液滴中の染料全体
の重量の4.5倍となる。
【0100】その結果、インクサンプル1〜16と染料
定着液サンプル12の組合わせとインクサンプル17〜
32と染料定着液サンプル12の組合わせにおいては、
ノズルの目詰まりが発生し、連続吐出安定性が良好では
なかった。
【0101】すなわち、混合液滴中のカチオン性化合物
全体の重量が当該混合液滴中の染料全体の重量の4倍よ
りも大となってしまう組合わせにおいては連続吐出安定
性が良好ではないことが確認された。
【0102】従って、これらの結果から、少なくとも直
接染料及び/又は酸性染料を含有するインクと少なくと
もカチオン性化合物を含有する染料定着液を定量混合し
た後、これらの混合液滴を吐出して被記録材に被着させ
て記録画像を形成すれば、実用上問題ない耐水性が確保
されることが確認された。
【0103】さらには、混合液滴中のカチオン性化合物
全体の重量を当該混合液滴中の染料全体の重量の0.1
倍〜4倍とすることが好ましく、0.5倍〜4倍とする
ことがより好ましいことが確認された。
【0104】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の記録方法においては、少なくとも直接染料及び/又
は酸性染料を含有するインクと少なくともカチオン性化
合物を含有する染料定着液を定量混合した後、これらの
混合液滴を吐出して被記録材に被着させるため、従来の
染料定着液を吐出した上にインクを重ねて吐出する方法
と異なり、染料定着液とインクが必ず同じ位置に容易に
吐出され、形成される記録画像の耐水性が確実且つ容易
に確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリンタ装置を示す要部概略断面図である。
【図2】プリンタ装置のオリフィスプレートを拡大して
示す要部概略断面図である。
【図3】プリンタ装置のオリフィスプレートを拡大して
示す要部概略平面図である。
【図4】プリンタ装置の動作を順に示すものであり、オ
リフィスプレートにメニスカスが形成されている状態を
模式的に示す断面図である。
【図5】プリンタ装置の動作を順に示すものであり、第
2のメニスカスが第1のメニスカスに接触した状態を模
式的に示す断面図である。
【図6】プリンタ装置の動作を順に示すものであり、第
2のメニスカスが後退して第1の液体と分離された状態
を模式的に示す断面図である。
【図7】プリンタ装置の動作を順に示すものであり、ノ
ズル内部に混合液が形成された状態を模式的に示す断面
図である。
【図8】プリンタ装置の動作を順に示すものであり、混
合液が吐出された状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 オリフィスプレート、2 第1の液体、3 第2の
液体、4 第1の液体収容容器、5 第2の液体収容容
器、10 混合液、21 第1の供給孔、22第2の供
給孔、23 ノズル、24 流路、31,32 ピエゾ
素子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも直接染料及び/又は酸性染料
    を含有するインクと少なくともカチオン性化合物を含有
    する染料定着液を定量混合した後、これらの混合液滴を
    吐出して被記録材に被着させることを特徴とする記録方
    法。
  2. 【請求項2】 染料定着液中のカチオン性化合物が、下
    記化1に示す構造を有する化合物及び/又は下記化2に
    示す構造を有する化合物であることを特徴とする請求項
    1記載の記録方法。 【化1】 【化2】
  3. 【請求項3】 混合液滴中のカチオン性化合物全体の重
    量が混合液滴中の染料全体の重量の0.1倍〜4倍であ
    ることを特徴とする請求項2記載の記録方法。
JP32199196A 1996-12-02 1996-12-02 記録方法 Withdrawn JPH10158550A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003094793A (ja) * 2001-09-25 2003-04-03 Ricoh Co Ltd 画像形成に用いられる反応性材料
JP2017002264A (ja) * 2015-06-16 2017-01-05 Dic株式会社 インクジェットプリンター用インク組成物

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