JP2017002264A - インクジェットプリンター用インク組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
これらインクジェット記録方式としては、たとえばコンティニュアス方式(荷電制御方式)、静電吸引方式、圧電素子を用いてインクに機械的振動又は変位を与えるピエゾ方式、インクを加熱して発泡させそのときの圧力を利用するサーマル方式等が知られている。この中で主にマーキング用途に使用されるコンティニアス方式によるインクジェット記録用インクは、液媒体として有機溶剤を使用しており、色材として有機溶剤に可溶な染料(溶剤可溶性染料、または水不溶性染料ともいう)を、記録媒体にインクを定着させるためのバインダー樹脂を含む。
例えば、インクの吐出口で乾燥固化したインク皮膜がインクに再溶解できずに凝集物として析出すると、吐出口が目詰まりしたり、吐出口での目詰まり防止のためにインクジェットプリンターのインク流路に設置されているフィルターを目詰まりさせて吐出不能となってしまう。従ってインクに使用する染料やバインダー樹脂は、インク媒体である有機溶剤にできるだけ容易に溶解し、再溶解性に優れたものを選定する必要がある。
また、プリンターの使用環境温度は一定ではなく、場合によっては冬場0℃以下の環境もありうる。物質の溶解度は温度により影響を受けることから、有機溶剤に溶解した染料やバインダー樹脂も低温環境では一部析出してしまうことがある。このようにインクの一部が不溶化すると、粘度等インク物性が変化して吐出が不安定となってしまう。従ってインク原料は、使用環境温度、特に溶解性の低下する低温環境下でも溶解安定性の良好な材料を選定する必要がある。
その他、耐水性の良好な印刷皮膜を要求される場合は、水に不溶あるいは難溶であり,できるだけ水との親和性の低い材料を選定する必要がある。
本発明において、有機溶剤可溶性染料とは、有機溶剤に可溶な染料を指す。該染料は逆に水への溶解度が低いことから水不溶性染料と称されることもある。本願においては、インクの媒体となる有機溶剤(好ましくはアルコール系有機溶剤)に可溶で且つ印字後の印刷皮膜が所望の耐水性を発現できるような水に対して低い溶解性を有しておれば特に限定なく使用することができる。目安としては、有機溶剤として後述の炭素原子数が4以下の低級アルコールに易溶解であるような染料が好ましい。このような有機溶剤可溶性染料として金属を含む有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
有機溶剤可溶性染料のインク組成物中の含有量は、印刷物に十分な濃度を与える点から、インク組成物全量に対し4〜10重量%、特に5〜8重量%が好ましい。
本発明で使用するバインダーとしての樹脂は,前記炭素原子数が4以下の低級アルコールに可溶で、低温での溶解安定性の良好なものであれば全て使用できる。具体的にはスチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ロジンマレイン酸樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂、ブチラール樹脂、ロジンエステル等が挙げられるが,これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂は1種又は2種類以上混合して用いることもできる。これらの樹脂の、本発明のインクジェットプリンター用インク組成物中の含有量は、インクに適度な粘度を与える点,および印刷皮膜に良好な耐摩耗性,耐水性等の皮膜性能を与える点からインク全量に対し5〜15重量%、特に7〜10重量%が好ましい。また、皮膜形成性が不十分である場合には、最低造膜温度のより低いバインダー樹脂を用いることも出来るが、バインダー樹脂用可塑剤を併用することも出来る。可塑剤としては、例えばトルエンスルホンアミド、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、ジオクチルアジペート等が挙げられる。
本発明のインク組成物の媒体である有機溶剤としては、アルコール系有機溶剤を使用する。
本発明で使用するアルコール系有機溶剤は、中でも炭素原子数が4以下の低級アルコールがなお好ましい。具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールが挙げられる。本発明においては、これらを1種又は2種以上混合して用いることができる。複数種混合して使用する場合は、炭素原子数4以上の低級アルコール中のエタノール含量が60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。
本発明においては、一般式(1)で示されるアミドアミン化合物をインク全量に対し0.1〜10重量%含むことが特徴である。
具体的には、前記アルキル基R1は、炭素原子数が大きい場合には溶媒に溶解しにくくなり、それ自身が不溶化したり、インキ中の他の組成物を不溶化してしまうため、炭素原子数が17以下となることが好ましい。より具体的には炭素原子数が2〜17であることが好ましい。
本発明においては、前記アミドアミン化合物を使用することで低温保存時に安定なインクを得ることができるが、その効果をさらに高める目的でエステル系溶剤を併用することができる。エステル系溶剤としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアルキレート、カルボン酸エステル、アルコキシカルボン酸エステル等が好ましい。プロピレングリコールモノアルキルエーテルアルキレートの、モノアルキルエーテルを構成するアルキル基の炭素原子数及びアルキレートを構成するアルキル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。該アルキル基は直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。このうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート等がさらにより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。
本発明のインクジェットプリンター用インク組成物をコンティニュアス方式に使用する場合は、導電性付与剤を併用する。本発明に使用できる導電性付与剤としては、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸アンモニウム、テトラフェニルホウ酸テトラメチルアンモニウム等が好ましい
本発明のインクジェットプリンター用インク組成物は、得られるインク皮膜の耐摩耗性,耐転写性,耐スクラッチ性等の印字皮膜性能を高めるために、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等であって、本発明に使用する混合溶剤に可溶な化合物を添加することができる。
シリコーン系化合物としては、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーンレジン等が挙げられる。具体的には、信越化学工業製のKF−56(シリコーンオイル)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製のTSF−410(高級脂肪酸変性シリコーンオイル)、TSF−4446、4460(ポリエーテル変性シリコーンオイル)、TSF−4710(アミノ変性シリコーンオイル)、信越化学工業製のKP−316、360A(シリコーンレジン)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、これらを1種又は2種以上混合して用いることができる。
表1の配合割合に従ってコンティニュアス記録方式用ジェットプリンター用インク組成物を調製し、十分に撹拌、溶解した後、この溶液を0.45μmのポアサイズのメンブランフィルターを用いて濾過することによってコンティニュアス方式用のジェットプリンター用インク組成物を得た。なお、表1中の原料の配合量は重量部を表す。
実施例1と同様に、表1の配合割合に従ってコンティニュアス記録方式用ジェットプリンター用インク組成物を調製し、十分に撹拌、溶解した後、この溶液を0.45μmのポアサイズのメンブランフィルターを用いて濾過することによってコンティニュアス方式用のジェットプリンター用インク組成物を得た。
ジョンクリル67:BASF社製 スチレンアクリル樹脂
YSポリスターN125:ヤスハラケミカル製 テルペンフェノール樹脂
DBS:ジブチルセバケート
TSF−4460:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製ポリエーテル変性シリコーンオイル
KF−56:信越化学工業製 シリコーンオイル
IPA:イソプロピルアルコール
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
DEGMEE:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
アミドアミンA:ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド
アミドアミンB:ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド
実施例1と同様に、表2の配合割合に従ってコンティニュアス記録方式用ジェットプリンター用インク組成物を調製し、十分に撹拌、溶解した後、この溶液を0.45μmのポアサイズのメンブランフィルターを用いて濾過することによってコンティニュアス方式用のジェットプリンター用インク組成物を得た。
実施例1〜2、及び比較例1〜3で得たインクの粘度を、東機産業株式会社製 E型粘度計TV−20でコーン型ローターを用いて測定した。測定温度は20℃で実施した。その測定結果を、実施例1、2については表1、比較例1〜3については表2に示す。
実施例1〜2、及び比較例1〜3で得たインク30gを、−5℃×1週間の保存試験を実施し、室温(約23℃)に3時間放置後、ポアサイズ0.6μmのメンブレンフィルターで吸引濾過し、メンブレンフィルター上のろ過残渣物にソルミックスAP−7(日本アルコール販売製 変性アルコール:エタノール/IPA/ノルマルプロパノール混合溶液)を注ぎ洗浄した後、メンブレンフィルター上の濾過残渣物の残存状態を観察した。
その時の評価基準を下記に示す。
ろ過残渣判定基準
○:濾過残渣物は無い
△:濾過残渣物が数個ある。
×:濾過残渣物が多数ある。
その測定結果を、実施例1、2については表1、比較例1〜3については表2に示す。
(株)日立産機システム製のコンティニュアス方式のインクジェットプリンターを用い、実施例1〜2及び比較例1〜3のインクを−5℃の環境下で1週間保存した。該インクを室温に3時間放置後、普通紙に印刷を行った。
この結果,実施例1、2のインクは鮮明な印刷画像が得られ、吐出安定性も良好であった。これは、インク温度が−5℃の低温域から室温まで変化しても、インクは安定であることを示している。
これに対し、比較例1〜3のインクは印刷乱れが発生した。これはインク温度が−5℃の低温域から室温まで変化した際、有機溶剤に溶解した染料やバインダー樹脂が一部析出したと考えられる。
一方、一般式(1)で表されるアミドアミン化合物を含まないインク(比較例1)、一般式(1)で表されるアミドアミン化合物ではない、R2及びR3がエチル基であるアミドアミン化合物を使用したインクでは、長期間低温保存した後の再溶解性や溶解安定性は劣る結果となった。
Claims (4)
- 前記アルコール系有機溶剤が、炭素原子数4以下の低級アルコールである請求項1に記載のインクジェットプリンター用インク組成物。
- 前記有機溶剤可溶性染料がアゾ系クロム錯塩染料である請求項1または2に記載のインクジェットプリンター用インク組成物。
- コンティニュアス記録方式用である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インク組成物。
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JPH10158550A (ja) * | 1996-12-02 | 1998-06-16 | Sony Corp | 記録方法 |
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JP2010275397A (ja) * | 2009-05-27 | 2010-12-09 | Riso Kagaku Corp | 油性インクジェットインク |
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