JPH10158073A - セラミックス基板と金属板との接合方法 - Google Patents

セラミックス基板と金属板との接合方法

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JPH10158073A
JPH10158073A JP31381896A JP31381896A JPH10158073A JP H10158073 A JPH10158073 A JP H10158073A JP 31381896 A JP31381896 A JP 31381896A JP 31381896 A JP31381896 A JP 31381896A JP H10158073 A JPH10158073 A JP H10158073A
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JP
Japan
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metal
brazing material
brazing
metal plate
furnace
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JP31381896A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Yoshino
秀行 吉野
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Sumitomo Metal SMI Electronics Device Inc
Original Assignee
Sumitomo Metal SMI Electronics Device Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性金属ろう付け法によるセラミックス基板
(例、窒化アルミニウム基板) と金属板 (例、銅板) と
の接合を、炉材から吸着酸素が放出される安価なカーボ
ン炉を用いて、未接着を発生させずに達成する。 【解決手段】 基板上に活性金属を含むろう材 (例、Ag
−Cu−Ti系) を塗布し、その上に金属板を乗せた積層体
を、0.5 mm以下の隙間 (A−Bの値) を持つ治具内に収
容して、10-4 torr 台以下の圧力の真空条件下で加熱し
てろう付けを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大電力用の半導体
デバイスであるパワー半導体モジュール等に使用される
セラミックス回路基板の製造において必要となる、セラ
ミックス基板と金属板との接合方法に関する。より詳し
くは、本発明は、活性金属を含むろう材を用いた活性金
属ろう付け法によりセラミックス基板に金属板を接合す
る方法に関し、安価なカーボン炉を用いてろう付けを実
施することが可能な方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、モーターや無停電電源装置のコン
トロールに用いるインバータ等のパワー半導体モジュー
ルの大電流化、高性能化 (ハイブリッド化) が進展し、
基板からの発熱量も増加の一途をたどっている。そのた
め、発生する多量の熱を効率よく放散させるため、セラ
ミックス基板の使用が増えており、セラミックス基板の
材質も、従来のアルミナ基板から、熱伝導率の高い窒化
アルミニウム基板の使用割合が多くなっている。
【0003】パワーモジュール用のセラミックス基板に
必要な回路を形成するには、まず基板に金属板 (例、銅
板) を接合する必要がある。この金属板は、予め所定の
回路パターンにパンチングまたはエッチングにより加工
されたものでもよく、或いは未加工のベタの金属でもよ
い。後者の場合には、接合後に、エッチングを利用して
金属板に回路を形成する。
【0004】セラミックス基板と金属板との接合方法と
しては多くの方法が知られているが、メタライズ層を介
することなく直接接合する方法として、活性金属ろう付
け法と金属板が銅板である場合に適用されるDBC(dir
ect bond copper)法とがあり、これらの方法はパワー半
導体モジュール用のセラミックス基板の回路形成におい
ても利用されている。
【0005】活性金属ろう付け法は活性金属 (例、Ti、
Zr、Hf等) を含むろう材 (例、Ag−Cu合金) を介在させ
て、ろう材が融解する温度(Ag−Cu合金の場合には850
℃前後) に加熱して接合する方法である。この加熱中に
活性金属はセラミックス基板の材料と反応すると同時
に、金属板とも合金形成する。その結果、セラミックス
基板と金属板は、溶融したろう材で濡れやすくなり、ろ
う付けによる接合強度が確保される。
【0006】DBC法は、基板の表面を予め酸化処理し
ておくか、および/または微量の酸素を含有する銅板を
使用し、基板と銅板とを銅の融点以下、Cu-Oの共晶温度
以上の温度 (通常は1070℃前後) に加熱して、界面に酸
化第1銅の層を形成することにより、ろう材を用いずに
直接接合する方法である。窒化アルミニウム基板の場合
には、予め基板表面の酸化処理が必要であるが、表面に
生成させた酸化膜が薄いと銅板が未接合となり、厚いと
窒化アルミニウムと酸化膜(Al2O3) との熱膨張差等よ
り、信頼性が低下するので、酸化層の厚みの許容範囲が
狭い。そのため、窒化アルミニウム基板にDBC法を適
用して接合性と信頼性を両立させるのは困難である。
【0007】活性金属ろう付け法は、この制御が困難な
酸化処理が不要になることに加えて、DBC法より接合
温度が低いので、基板と金属板の熱膨張率差による残留
応力が小さく、しかも、ろう材が延性金属であるので熱
衝撃に強く、熱サイクルを受けた場合の耐久性が向上す
る、という利点がある。以上の理由から、特に基板が窒
化アルミニウムで、金属板が銅板の場合には、接合性と
信頼性の点から、活性金属ろう付け法が主流になってい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】活性金属ろう付け法で
は、ろう付け時の加熱中に活性金属の酸化が起こり易
い。活性金属が酸化されて表面に酸化膜が形成される
と、前述した反応が阻害され、ろう材による金属板やセ
ラミックス基板の濡れ性が確保されなくなるため、ろう
付けによる接合が局部的または全面的に起こらないとい
う未接着が発生する。従って、ろう付け中の活性金属の
酸化による未接着を防止するため、図1に示すように、
ろう付けを10-5 torr 前半 (例、3×10-5 torr)以下程
度の圧力の高真空下で行う必要があり、ろう付け用の加
熱には真空炉が用いられる。
【0009】図1は、窒化アルミニウム基板と銅板とを
Ag−Cu−Ti系活性ろう材を用いてメタル製真空炉内でろ
う付けした場合の、真空度と未接着の発生率とを示す。
この図から、圧力約3×10-5 torr 以下の高真空下では
未接着が全く発生しないが、それより真空度が下がると
未接着が発生し始め、圧力が約1×10-4 torr 以上にな
ると、未接着の発生率が100 %になることがわかる。
【0010】この未接着は、図2に示すように、特に周
辺部で起こり易い。真空度が不十分であると、雰囲気中
に残存する微量の酸素がろう材端部の金属板または基板
との僅かな隙間に侵入して、ろう材中の活性金属を酸化
させることにより、周辺部に未接着が起こる。しかし、
中央部のろう材は、両面が基板と金属板に密着してお
り、活性金属が酸化されにくいため、未接着は起こりに
くい。
【0011】図2では、金属板とろう材との界面で未接
着(剥離)が起こっている。これは、ろう材をセラミッ
クス基板にスクリーン印刷し、その上に金属板を重ねて
加熱することによりろう付けを行ったためである。この
場合、ろう材はセラミックス基板には完全に密着してお
り、ろう材と基板の間には端部でも隙間はない。一方、
ろう材の金属板に面する側の表面は、金属板を配置する
までは外気に曝されて酸化され易い条件にあり、またろ
う材と金属板との接触は単に重力による接触だけ(通常
は、図3(a) に示すように、反りを防ぐための荷重を金
属板の上に載せるが)である。そのため、ろう材と金属
板との間の隙間に酸素が侵入し易く、この界面で未接着
が起こり易くなる。ろう材を金属板の方にスクリーン印
刷した場合には、逆にセラミックス基板とろう材との界
面で剥離が起こる。
【0012】ろう付けに用いる真空炉が、ヒーターや断
熱材にカーボンを用いた安価なカーボン炉であると、カ
ーボンが空気中の水分や酸素(O2)を吸着しているため、
真空度を10-5 torr 前半以下と高くしても、加熱中にカ
ーボンから吸着酸素等が炉内に放出され、放出された酸
素が炉内から排気される際に、図3(a) に示すようにろ
う材の端部と接触して、活性金属と反応するため、前述
した未接着が起こることが避けられない。
【0013】そのため、活性金属ろう付け法では、真空
炉としてカーボン炉を用いることは従来は全く考えられ
ず、高価なメタル製またはセラミックス製の炉を使用す
る必要があるので、炉の設備費が高くなるという問題が
あった。
【0014】本発明の目的は、安価なカーボン炉により
接合不良を起こさずにろう付けすることが可能な、活性
金属ろう付け法によるセラミックス基板と金属板との接
合方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく検討した結果、活性金属を含むろう材を用
いたセラミックス基板と金属板とのろう付けを、隙間の
小さいセラミックス製または金属製の治具内に収容して
行うことにより、カーボン炉でも未接着を起こさずに活
性金属ろう付け法により良好にセラミックス基板と金属
板とを接合することができることを見出した。
【0016】ここに、本発明は、セラミックス基板に活
性金属ろう付け法により金属板を接合する方法におい
て、セラミックス基板の両面または片面に活性金属を含
むろう材を介在させて金属板を重ねた積層体を、0.5 mm
以下の隙間を持つ金属製またはセラミックス製の治具内
に収容し、この治具内に収容したまま該積層体を真空炉
内で加熱してろう付けを行うことを特徴とする、セラミ
ックス基板と金属板との接合方法である。
【0017】好適態様にあっては、前記真空炉がカーボ
ン炉であり、接合時に真空炉内を10-4 torr 台以下の圧
力の真空度にして加熱を行う。本発明によればまた、上
記方法によりろう付けを行うのに適した治具も提供され
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明において、セラミックス基
板の材質は特に制限されず、窒化ケイ素、窒化アルミニ
ウム、窒化ホウ素、アルミナ、さらにはこれらの成分を
含む複合系材料 (例、ムライト、コーディエライト等)
から選ばれた少なくとも1種を主成分とするものでよ
い。好ましいのはアルミナ基板および窒化アルミニウム
基板であり、特にパワーモジュール用基板としては窒化
アルミニウム基板が最適である。厚み、形状、基板の製
造方法は特に制限されない。
【0019】窒化アルミニウム基板は、焼結助剤を使用
せずに加圧焼結させたものでもよいが、適当な焼結助剤
を用いて常圧焼結させた基板の方が好ましい。焼結助剤
は、例えば、酸化イットリウム、酸化セリウム等の希土
類金属酸化物、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸
化物、酸化アルミニウム等の3価金属酸化物などから選
ばれた少なくとも1種でよい。
【0020】回路形成のためにセラミックス基板の片面
または両面に接合させる金属板としては、Cu、Ni、Al、
およびこれらの合金等が利用されるが、パワーモジュー
ル用基板の場合には銅板、中でも活性金属ろう付け法の
場合には無酸素銅板が最適である。この金属板の厚み
は、通常は 0.1〜1.0 mm、好ましくは 0.2〜0.6 mmであ
る。
【0021】セラミックス基板と金属板との接合は、活
性金属ろう付け法、即ち、活性金属を含むろう材を用い
たろう付けにより行う。このろう材の活性金属として
は、セラミックス基板と反応してろう材による濡れ性が
確保されれば特に制限されないが、好ましいのはTi、Z
r、Hf、およびこれらを主成分とする合金、および加熱
により分解してこれらの活性金属を生ずる金属化合物
(これらは活性金属の前駆体であるが、本発明では活性
金属に含める) である。加熱すると水素を放出して金属
に変換される活性金属の前駆体としては、水素化チタン
(TiH2) および水素化ジルコニウム (ZrH2) がある。
【0022】ろう材の活性金属以外の金属成分として
は、Ni、Cu、Ag、またはAgとCuもしくはNiとの合金、Cu
とSnとの合金、AgとCuとSnとの合金等が利用できるが、
融点の低いAg−Cu合金、特に共晶組成のAg72重量%/Cu
28重量%付近の合金組成のものが好ましい。活性金属を
含むろう材の具体的な合金系としては、Ag−Cu−Ti、Ag
−Cu−Zr、Ag−Cu−Ti−Sn、Cu−Zr−Sn、Ag−Cu−Hfな
どが挙げられる。
【0023】ろう材には、活性金属以外の金属100 重量
部に対して、通常は 0.5〜40重量部の活性金属 (前駆体
の場合には金属としての量) を含有させる。ろう材は、
これらの金属成分に加えて、有機溶剤 (例、セロソルブ
類、テルピネオール等) と、場合により有機結合剤
(例、セルロース誘導体、アクリル樹脂等) とを含有さ
せたペースト状で一般に使用される。ろう材は、さらに
少量のセラミックス粉末を含有することもできる。
【0024】金属板をセラミックス基板にろう付けして
回路を形成する方法としては、基板に回路パターンと
同形状にろう材をスクリーン印刷し、乾燥・脱脂した
後、回路パターンと同形状に加工(パンチングまたはエ
ッチングにより)された金属板をろう材塗布面の上に配
置し、加熱してろう付けする方法と、基板にろう材を
全面印刷し、乾燥・脱脂後に、同形状のベタの金属板を
乗せて加熱し、ろう付けを行った後、エッチング法によ
り不要部の金属板とろう材を除去して回路パターンを形
成する方法がある。本発明におけるろう付けは、上記
とのいずれの方法でもよい。なお、金属板よりセラミ
ックス基板の方が扱い易いため、通常はろう材は基板の
方に印刷するが、金属板の方に印刷することも可能であ
る。以下では、基板側にろう材を印刷する場合について
説明するが、金属板側に印刷してもよいのはもちろんで
ある。
【0025】本発明の方法によれば、まず、セラミック
ス基板の両面または片面に、活性金属を含むろう材を塗
布または印刷する。上述したように、このろう材は、所
定の回路パターンと同形状になるようにスクリーン印刷
してもよく、或いは基板の実質的に全面に印刷または塗
布してもよい。
【0026】その後、真空中または不活性雰囲気中
(例、窒素またはアルゴン等の希ガス)で、ろう材中の有
機分 (溶剤、結合剤) を除去するのに十分な温度に加熱
して、乾燥 (溶剤除去) と脱脂 (結合剤などの残りの有
機物の除去) を行う。この加熱温度は、圧力によっても
異なるが、常圧加熱の場合で 300〜700 ℃程度であり、
加熱時間は通常は30分〜3時間程度である。こうして脱
脂したろう材の上に、同形状の金属板を乗せ、真空炉で
加熱してろう付けを行う。ろう材の乾燥・脱脂は、その
上に金属板を乗せてから実施することもできる。
【0027】こうして得られた、セラミックス基板上に
活性金属含有ろう材を介して金属板が配置された積層体
を、本発明では、0.5 mm以下の隙間を持つ治具内に収容
して、真空炉内で加熱してろう付けを行う。
【0028】治具としては、図4(a) に示すように、セ
ラミックス基板を収容できる大きさの凹部を持った本体
(下治具) と、平面形状 (上方から見た形状) がこの凹
部と相似しているが、寸法がやや小さい蓋部 (上治具)
とから構成されるものでよい。それにより、上記積層体
を凹部内に収容し、この積層体の上に蓋部が乗った状態
で、積層体を治具内に収容することができる。蓋部は、
図3(a) に示す従来法における荷重の役目も果たす。
【0029】ここで、凹部の平面形状の縦横各方向の長
さ (矩形の場合) または直径 (円形の場合) の寸法Aと
蓋部の対応する寸法Bとの差 (A−B) を0.5 mm以下と
する。それにより、蓋部が片方に偏って配置されても、
隙間の最大寸法は0.5 mmとなる。即ち、本発明では、こ
の (A−B) の値を隙間の寸法とする。この隙間の寸法
は、好ましくは0.3 mm以下である。この治具の隙間は、
真空炉内を排気した時に、ろう付けする積層体の周囲を
真空にするのに必要である。従って、凹部の上にそれよ
り大きな蓋部を乗せる形式の、隙間のない治具は不適当
である。
【0030】治具 (本体と蓋部) の材質としては、アル
ミナや窒化アルミニウム等のセラミックスが好ましい
が、積層体において金属板からのろう材のはみ出しが無
ければ、MoやW等の耐火性金属でもよい。治具は繰り返
し使用でき、かつ凹部の寸法はセラミックス基板より大
きければよく、基板の寸法や形状にぴったり合わせる必
要はないので、治具の融通性が大きい。従って、多くの
種類の治具を用意する必要はないので、治具を使用する
ことによるコスト増大はあまり大きくない。
【0031】治具内に収容した積層体 (金属板をろう材
を介してセラミックス基板上に配置したもの) を真空炉
内に入れ、真空に吸引しつつろう付け温度に加熱する。
使用する真空炉は、前述したように、従来は高価なメタ
ル製の炉とする必要があった。カーボン炉を使用する
と、図3(a) に示すように、カーボンから放出された酸
素等が吸引されて炉から排気される際にろう材の端部と
接触し、特にろう材の端部において、図2に示すような
未接着が起こるからである。特にろう材と金属板が回路
パターンの形状になっている場合には、ろう材の端部の
長さが大きく、金属板の幅が狭いので、未接着の現象が
ひどくなり、場合によっては金属板の完全剥離が起こ
る。
【0032】しかし、本発明においては、積層体が隙間
の小さい治具内に収容されているため、図3(b) に示す
ように、吸引されていくガス中に酸素等が存在しても、
ガス流は治具内に侵入しにくく、治具の周囲を流れてい
くため、ろう材が酸素等と接触して酸化する可能性が非
常に低い。そのため、真空炉として、酸素や水分が吸着
したカーボンをヒーターや断熱材に用いたカーボン炉を
使用することができる。但し、上記の説明はあくまで推
定であり、本発明はこの説明に拘束されるものではな
い。もちろん、本発明のろう付けに、メタル製またはセ
ラミックス製の真空炉を用いても構わない。
【0033】ろう付け時の真空度は、従来の治具無しの
場合には、メタル炉であっても3×10-5torr以下の高真
空度が必要であったが、本発明に従って隙間の小さい治
具中でろう付けすると、カーボン炉を使用しても、10-4
torr 台以下、好ましくは5×10-4 torr 以下の圧力の
真空度で、未接着のない良好なろう付けを行うことがで
きる。即ち、本発明によれば、カーボン炉の使用が可能
となるだけでなく、必要な真空度も、従来のメタル炉を
使用した場合より低くてすむ。
【0034】加熱温度は、ろう材が融解する温度であれ
ばよく、ろう材の組成に応じて変動する。代表的な共晶
組成付近のAg−Cu合金に活性金属を含有させたろう材の
場合で、加熱温度は800 ℃以上である。加熱時間は通常
は5〜30分程度である。この加熱中に、ろう材中の活性
金属がセラミックス基板と反応して、その窒化物または
酸化物を生じ、それにより溶融したろう材によるセラミ
ックス基板の濡れ性が確保される。また、ろう材は金属
板とも合金を生成する。その結果、ろう材を介して金属
板がセラミックス基板に強固に結合する。
【0035】こうしてろう付けが終了すると、金属板が
回路パターンの形状である場合には、セラミックス回路
基板が得られる。金属板がパターン形成されていないベ
タ状のものである場合には、常法に従ってレジストを利
用したエッチング法により回路形成を行う。例えば、紫
外線硬化型または熱硬化型等のエッチングレジストを金
属板の上に所定の回路パターンにスクリーン印刷し、レ
ジストを硬化させた後、適当なエッチング液 (金属板が
銅板の場合は、塩化第2鉄または塩化第2銅を主成分と
する水溶液) により、レジストで被覆されていない部分
の金属板を除去する。その後、金属板が除去された部分
に現れたろう材を適当なエッチング液 (例、フッ化物を
含有する水溶液) で除去し、回路部の金属板上に残るレ
ジストも同様にエッチングにより除去 (例、アルカリ水
溶液または有機溶剤で) すると、セラミックス基板上に
金属回路を有するセラミックス回路基板が得られる。
【0036】
【実施例】
(実施例1)25×25×0.8 mmの窒化アルミニウム基板
(焼結助剤としてY2O3, CaO, Al2O3を含有) の両面に、A
g−Cu−Ti系ろう材 (共晶組成のAg−Cu合金100 重量部
にTi金属として5重量部の水素化チタンを含有させたも
の) を30μm厚みで21 mm 角の正方形にベタ印刷し、窒
素雰囲気中で600 ℃に加熱して乾燥・脱脂を行った。そ
の後、21×21×0.3 mmの無酸素銅板を、基板両面のろう
材の上に配置した。この積層体を、平面寸法が30×30 m
m の正方形で深さ10 mm の凹部を有する本体と、この凹
部との隙間が0.3 mm、0.5 mmまたは1.0 mmの、凹部より
小さい正方形の蓋部 (厚み15 mm)とからなる、図4(a)
に示す形状のアルミナ製治具の凹部内に収容し、積層体
の上に蓋部を乗せて、カーボン炉内で1×10-4 torr の
真空度で、850 ℃に5分間加熱してろう付けを行った。
【0037】得られた接合体の端部におけるろう材の酸
化度を、EPMA (X線マイクロアナライザー) により
測定した結果を図4(b) に示す。図4(b) は、4個のサ
ンプルの測定値の範囲と平均値とを示す。
【0038】比較のために、治具を使用せずに上記積層
体をそのままカーボン炉内で上記と同じ条件および3×
10-5 torr のより高真空度で850 ℃に5分間加熱した場
合、ならびに治具を使用せずに、上記積層体をモリブデ
ン製のメタル炉内で6×10-6torr 、3×10-5 torr ま
たは1×10-4 torr の真空度で850 ℃に5分間加熱した
場合の酸化度を図4(b) に併せて示す。
【0039】図4(b) からわかるように、メタル炉の場
合には、真空度が6×10-6 torr または3×10-5 torr
であると、ろう材の酸化 (実際にはろう材中の活性金属
の酸化) が少なく、得られた接合体のろう材端部に未接
着部が認められなかった。しかし、真空度が1×10-4 t
orr と低くなると、ろう材の酸化度が著しく増大し、接
合体のろう材端部の未接着 (銅板の端部をめくり上げる
ことで判定) も高い頻度で起こった。
【0040】一方、カーボン炉でろう付けした場合に
は、治具を使用しないと、真空度が1×10-4 torr と低
い場合だけでなく、3×10-5 torr と高くなっても、ろ
う材の酸化度が大きく、得られた接合体の端部に未接着
が高い頻度で認められた。
【0041】これに対し、本発明に従って、治具内に収
容して加熱すると、炉がカーボン炉であり、かつ真空度
が1×10-4 torr と低くても、治具の隙間 (A−Bの
値) が0.5 mm以下と小さければ、ろう材の酸化が非常に
少なく、メタル炉を用いて3×10-5 torr の高真空度で
加熱した場合に匹敵する、良好な接合結果が得られ、接
合体のろう材端部にも未接着が認められなかった。しか
し、隙間が1.0 mmと大きくなると、ろう材の酸化が多く
なり、接合体のろう材端部に未接着部が認められ、治具
を使用せずに加熱した場合の結果と同じになった。
【0042】この結果から、本発明の方法において、治
具の隙間が0.5 mm以下であれば、カーボン炉を用いて、
従来のメタル炉の場合より真空度を下げた真空条件下
で、未接着を生ずることなく活性金属ろう付け法により
セラミックス基板に金属板を良好に接合しうることがわ
かる。
【0043】(実施例2)実施例1と同様に、窒化アル
ミニウム基板の両面にAg−Cu−Ti系ろう材をベタ印刷
し、その上に無酸素銅板を配置した。この積層体を、隙
間の大きさが0.5 mmの実施例1と同様のアルミナ製治具
の凹部内に収容し、蓋をして、カーボン炉内で2×10-4
torr の真空下に850 ℃で5分間加熱してろう付けし
た。同じ条件でろう付け試験を30回行い、得られた30個
の接合体のろう材端部の未接着の有無を判定したとこ
ろ、0個であった。
【0044】参考のため、同じ積層体を上と同様に治具
内に収容した後、石英チューブ炉内のステンレス鋼製セ
ッターの上に置き、微量の空気を導入しながら5×10-5
torrの真空度で850 ℃で5分間加熱してろう付けしたと
ころ、セッターは酸化したが、ろう材の酸化はなかっ
た。この場合も、ろう材端部の未接着は認められなかっ
た。
【0045】
【発明の効果】本発明の方法により、活性金属ろう付け
法によるセラミックス基板と金属板との接合を、隙間が
0.5 mm以下と小さい治具内に収容して実施することによ
り、加熱時に炉材から吸着水分やO2が放出されるカーボ
ン炉でも、ろう材の酸化による接着不良を起こさずに、
良好に接合することが可能となる。しかも、従来のメタ
ル炉を使用したろう付けの場合より、必要な真空度を低
くすることができる。従って、設備コストと操業コスト
の両方を低減することができ、かつ操業管理も容易とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のメタル炉を用いた活性金属ろう付け法に
おける炉内真空度と未接着発生率の関係を示すグラフで
ある。
【図2】ろう材端部の酸化による未接着の状況を示す説
明図である。
【図3】図3(a) 及び(b) は、それぞれ従来法(治具な
し)及び本発明法(治具あり)の炉内ガス(O2)の流れを
示す。
【図4】図4(a) は本発明の方法に用いる治具を示す説
明図、図4(b) は実施例におけるろう材端部の酸化度の
結果を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス基板に活性金属ろう付け法
    により金属板を接合する方法において、セラミックス基
    板の両面または片面に活性金属を含むろう材を介在させ
    て金属板を重ねた積層体を、0.5 mm以下の隙間を持つ金
    属製またはセラミックス製の治具内に収容し、この治具
    内に収容したまま該積層体を真空炉内で加熱してろう付
    けを行うことを特徴とする、セラミックス基板と金属板
    との接合方法。
  2. 【請求項2】 前記真空炉がカーボン炉であり、真空炉
    内を10-4 torr 台以下の圧力の真空度にして加熱を行
    う、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 活性金属ろう付け法によりセラミックス
    基板に金属板を接合するのに使用するセラミックス製ま
    たは金属製の治具であって、セラミックス基板を内部に
    収容できる大きさの凹部を有する本体と、平面形状がこ
    の凹部に相似し、平面寸法が凹部より0.5 mm以下だけ小
    さい蓋部と、から構成されることを特徴とする治具。
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