JP4018264B2 - アルミニウム−窒化アルミニウム絶縁基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウム−窒化アルミニウム絶縁基板の製造方法、特に、高圧大電力電子部品の実装や、特に高信頼性が要求される自動車用電子部品の実装に好適な金属/セラミックス絶縁基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来パワーモジュールのような高圧大電力電子部品の実装に使用する基板として、セラミックス基板の表面に銅板を接合して作製された銅張りセラミックス複合基板が使用されている。この複合基板は、使用されるセラミックスの種類及び製造方法によって、銅/アルミナ直接接合基板、銅/窒化アルミニウム直接接合基板、銅/アルミナろう接基板、及び銅/窒化アルミニウムろう接基板に分けられる。
【0003】
このうち、銅/アルミナ直接接合基板は、特開昭52−37914号公報に開示されているように、酸素を含有する銅板を使用するか、無酸素銅板を使用して酸化性雰囲気中で加熱することによって無酸素銅板の表面に酸化銅層を形成してから、銅板とアルミナ基板を重ねて不活性雰囲気中で加熱し、銅板とアルミナ基板との界面に銅とアルミニウムとの複合酸化物を生成させ、銅板とアルミナ基板とを接合する方法で製造されている。
【0004】
一方、銅/窒化アルミニウム直接接合基板の場合には、予め窒化アルミニウム基板の表面に酸化物を形成する必要がある。例えば特開平3−93687号公報に開示するように、予め空気中において、約1000℃の温度で窒化アルミニウム基板を処理し、表面に酸化物を生成させてから、この酸化物を介して上述の方法により銅板と窒化アルミニウム基板とを接合している。
【0005】
また銅/アルミナろう接基板及び銅/窒化アルミニウムろう接基板は、銅板とセラミックス基板を活性金属のチタンまたはジルコニウムを含む銅系または銀銅合金系ろう材を用いるろう接法で製造されている。
【0006】
上述のような銅/セラミック絶縁基板は広く使用されているにも関わらず、銅とセラミックスの熱膨張係数の差に起因する熱応力によって、電子部品の実装の際、及び使用中にセラミックス基板の内部にクラックが形成し、基板の表裏間の短絡が発生する。絶縁基板の重要な評価項目の1つヒートサイクル耐量、即ち、絶縁基板を−40℃から125℃まで繰り返し加熱、冷却する際の、セラミックス基板にクラックが発生するまでの循環回数は僅か50回前後である。
【0007】
これを改善する為に、近年、銅の代わりに軟らかいアルミニウムを回路材料として使うアルミニウム/セラミックス基板が開発されるようになった。
【0008】
銅と同じように、優れた電気と熱伝導性を有するアルミニウムを絶縁基板の回路材料として使う構想は以前からあった。例えば特開昭59−121890号公報にはAl/アルミナ基板及びAl/窒化アルミニウム基板に関連する記述がある。実開平2−68448号公報と実開平3−57945号公報にはそれぞれAl−Si、Al−Ge系ろう材を使って作製したAl/アルミナ、Al/窒化アルミニウムろう接基板が開示されている。
【0009】
しかしながら、Al自身が非常に酸化しやすいため、室温においてAlの表面は常に酸化膜によって覆われている。温度が高くなるとこの酸化膜は分解しやすくなるが、800℃においてもAl−Al2 03 系の酸素平衡分圧は10-40 Paであり、通常のろう接温度660℃以下では、Al表面に酸化膜が残存する。酸化膜残存の状態でろう接すると、Alの濡れ性が悪いため、接合界面に未接欠陥が生じ、接合強度のバラツキは非常に大きい。特に窒化アルミニウムセラミックスの場合、ろう接は非常に困難である。これを改善するために、実開平2−68448号公報と実開平3−57945号公報の発明者らは更に窒化アルミニウムセラミックスを酸化性雰囲気中において加熱し、表面にアルミナを形成してから上述のろう材でろう接する方法(特開平4−12554号公報)、表面にアルミナを形成し、その上に更にSiO2層を形成してから上述のろう材でろう接する方法(特開平3−125463号公報)を発明した。
【0010】
本発明者らは以前からAl表面の酸化膜の影響に着目し、Al表面の酸化膜を除去してから、Alと窒化アルミニウム等のセラミックスを接合する溶湯接合法(特許第2642574号、特開平7−276035号公報)を発明した。即ち、不活性雰囲気において、Al溶湯にセラミックスを挿入し、Al溶湯でセラミックスを濡らしてから、セラミックスの表面に溶湯を所定の形状に凝固させ、Alとセラミックスを接合させる方法である。この方法で窒化アルミニウムとAlとの高強度接合を実現させ、ヒートサイクル耐量3000回以上のAl/窒化アルミニウム基板の作製に成功した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の接合方法においては、Al−Si合金ろう材、Al−Ge合金ろう材を使ってAl/窒化アルミニウムをろう接するときに、窒化アルミニウムの表面に予め酸化膜を形成しなければならない。また溶湯接合法でAlと窒化アルミニウムを接合する場合、溶湯を所定の形状に凝固させる為のダイスが必要である。即ち、次のような欠点があった。
【0012】
1.酸化処理によって窒化アルミニウム自身の強度は低くなり、Al/窒化アルミニウム基板の強度は低くなる。半導体の実装工程及び使用中において、窒化アルミニウム基板の割れが生じ、半導体装置の絶縁不良の発生率は高くなる。
【0013】
2.窒化アルミニウムの表面に酸化膜を形成しても、Al表面及び上記ろう材の表面の酸化膜に起因する未接欠陥の発生を完全には防止できない。
【0014】
3.市販されている窒化アルミニウム基板の表面は平らではなく、表面に凹凸があり、反りがある。従って、溶湯接合法で接合する時に基板は反った状態で接合され、その上に形成されたAl板の厚みは不均一になり、その後のエッチング工程でエッチング不良が発生する。
【0015】
4.Al−Si、Al−Ge系ろう材でろう接する場合、窒化アルミニウムの表面に酸化膜を形成する工程が必要である。また、溶湯接合法で接合する場合、窒化アルミニウム基板のサイズ、厚み及びその上に接合するAlの厚みに合うダイスが必要である。何れの場合にも余分のコストがかかる。
【0016】
5.Al合金ろう材は一般に箔状或いはAlにクラッドした状態で使用されている。特にAl−Si系の箔状ろう材或いはクラッド材は既にJIS標準化し、AlとAl、或いはAlとセラミックスとのろう接に広く使用されている。特に、特開昭60−71579号公報、或いは上述のAlとセラミックスとのろう接に関する発明にこのようなろう材を使用している。しかしながら、上記のように、市販されている窒化アルミニウム基板の表面には凹凸があり、ろう接の時にろう材と窒化アルミニウムを重ねると、その間に隙間ができ、この隙間の存在により、加熱時ろう材表面の酸化が更に進み、未接不良は発生する。
【0017】
上記のように、ろう接法は窒化アルミニウムと銅との接合に一般的に応用されているにもかかわらず、この方法を窒化アルミニウムとAlとの接合に応用した場合、未接欠陥が発生しやすい、また窒化アルミニウムの表面に予め酸化膜を形成しなければならないような問題点がある。
【0018】
一方、本発明者らが開発した溶湯接合法の知見に基づいて、ろう材表面の酸化膜を除去し、或いは改質すれば、Alと窒化アルミニウムとの接合状態が改善される可能性がある。本発明はろう接の方法またはろう材を改良し、Alと窒化アルミニウムとの直接ろう接の実現を計るために鋭意研究したところ、ろう材に貴金属の銀を添加し、またペースト状のろう材を窒化アルミニウムの表面に直接塗布することによって、Alと窒化アルミニウムとのろう接状態が大幅に改善できることを見いだし、本発明を完成することができたものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のアルミニウム−窒化アルミニウム絶縁基板の製造方法は、窒化アルミニウム基板の両面にAgを20重量%以上含むAgとAlからなるAg−Al合金ペースト状ろう材を形成し、このようにした窒化アルミニウム基板を挟むようにこれにAl板材を重ねて、真空中でAlの融点以下の温度に加熱し窒化アルミニウム基板の表面にAl板をろう接した後、湿式エッチング法により所望形状のAl回路及びベース板を形成し、更に、Al板材の全面または一部にNiめっき層を形成することを特徴とする。
【0020】
また、本発明のアルミニウム−窒化アルミニウム絶縁基板の製造方法は、窒化アルミニウム基板の両面にAgを20重量%以上含み、さらにSiを1〜10重量%含むAg、SiおよびAlからなるAg−Si−Al合金ペースト状ろう材を形成し、このようにした窒化アルミニウム基板を挟むようにこれにAl板材を重ねて、真空中でAlの融点以下の温度に加熱し窒化アルミニウム基板の表面にAl板をろう接した後、湿式エッチング法により 所望形状のAl回路及びベース板を形成し、更に、Al板材の全面または一部にNiめっき層を形成することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を説明する。
【0022】
本発明においては、Al及びAg粉末に一定量の有機物バインダー及び溶剤を入れて均一に混ぜた後、三本ロールを通し、印刷用のペースト状のろう材を作製し、このろう材を窒化アルミニウム基板の表面上に、所定の形状及び厚みに直接印刷した後、所定の温度に加熱し、乾燥する。同じ手順で窒化アルミニウム基板の裏面にもろう材を形成し、このようにしてろう材が形成された窒化アルミニウム基板にこれを挟む形でAl板を重ね、その上に重りを乗せて真空中で一定の温度に加熱し、ろう材中のバインダー、溶剤を除去した後、更にろう材の溶融温度以上、Alの融点以下の温度に加熱し、ろう接を行う。
【0023】
次いで、窒化アルミニウム基板の表面にろう接されたAl板上に所定形状のエッチングレジストを形成し、塩化鉄溶液で不要部分を除去し、所定形状のAl回路を形成し、Alの表面の所定部分に耐酸、耐アルカリ熱乾燥型めっきレジストを所定の形状に印刷し、ジンケート処理を施した後、Niめっき層を形成する。
【0024】
この場合、窒化アルミニウム基板上にだけろう材を印刷したため、ろう接するときにろう材とAl板との間に隙間ができる可能性がある。しかし隙間があってもろう材と窒化アルミニウムとの濡れ性と比べて、ろう材とアルミニウムとの濡れ性は非常に良いため、上記隙間は実用上特に問題がない。
【0025】
なお、上記のように印刷法で密着状態を改善しても、酸化膜が存在した状態では、Alと窒化アルミニウムとの接合強度は非常に低いが、本発明ではろう材に銀を入れたので、接合強度を向上できる。然しながら、銀の添加量が20重量%より少ない場合その効果は低い。従って、銀の添加量は20重量%以上にするのが好ましい。
【0026】
銀を添加する場合、Al−Ag合金粉末を作ってからペースト状のろう材を作る方法と、Al粉とAg粉を機械的に混ぜてペースト状ろう材とする方法がある。前者の場合、銀の分散性がよく、虫食い欠陥が発生しにくい利点が考えられるが、合金粉末を作るのに余分のコストがかかるようになる。
【0027】
銀の添加による強度向上の原因は解明されていないが、銀は貴金属であり酸化しにくいため、銀の添加により、Alろう材表面の酸化状態が改善されるためであると考えられる。
【0028】
また、Al板の溶解を防ぐ為には、ろう材の溶融温度を低くすることが好ましい。また、ろう接強度を更に改善するために、窒化アルミニウムと反応しやすいような活性金属を添加することが好ましい。このため、Al−Ag合金ろう材に更に1〜10重量%のCu、Si、Sn、Zn、Mg、Tiを一種以上添加する。またその添加方法としてはAl合金粉末を作ってからペースト状ろう材を作るのが理想的であるが、それぞれの粉末を機械的に混ぜて、ペースト状ろう材にしても良い。
【0029】
更に、ペースト状ろう材の中にAlを入れなくても、ろう接の時に上記Al板が溶けて、Alとの合金元素のろう材が自動的にできるため、Ti,Mg、Si、Zn、Sn、Cuを含む銀合金系ろう材及び銀系ろう材を使用しても良い。
【0030】
ろう材ペースト中のバインダー及び溶剤を除去するための脱脂工程はろう接と同時に実施しても良いが、バインダー及び溶剤を効率良く除去するためには、Al板を重ねない状態でまず脱脂作業を実施し、その後Al板を重ねてろう接するのが好ましい。
【0031】
次に本発明の窒化アルミニウムとAlとの接合基板の製造方法をより具体的に説明する。
【0032】
(実施例1)
【0033】
市販されているAl粉、Ag粉とアクリル系溶液を用い、Al粉、Ag粉、ビヒクルの重量比を80:20:15になるよう配合し、自動乳鉢で混合した後、3本ロールを3回以上通し、20重量%のAgを含むA1−Agのペースト状ろう材を作製した。このろう材を市販されている窒化アルミニウム基板(イワキガラス株式会社製、厚み0.635mm)の表面に厚さ20μmになるように、所定の形状に印刷し、大気中において80℃で30分加熱し、ろう材を乾燥した。同じ手順で窒化アルミニウム基板の裏面にも所定形状のろう材を形成した。更に、このろう材が印刷された窒化アルミニウム基板を挟む形で市販されたAl板(JIS1050、厚み0.5mm)を重ね、10-5torrの真空中において500℃で3時間加熱し脱脂処理した後、620℃で1時間加熱しろう接を行った。
【0034】
次いで、窒化アルミニウム基板の表面にろう接されたAl板上に所定形状のエッチングレジストを形成し、塩化鉄溶液で不要部分を除去し、所定形状のAl回路を形成した。Alの表面の所定部分に耐酸、耐アルカリ熱乾燥型めっきレジストを所定の形状に印刷し、ジンケート処理を施した後、厚さ3.5μmの無電解Niめっき層を形成した。更に有機溶剤を使って、メッキレジストを溶かし、最終製品の部分めっきAl−窒化アルミニウム絶縁基板を作製した。
【0035】
Al−窒化アルミニウム絶縁基板を超音波探傷法で検査し、未接欠陥の無いことを確認した。更に、Alと窒化アルミニウム基板の界面にカッターを押し入れてAlの一部を剥がし、ピール強度測定用のサンプルを作製し、ピール強度を測定した。ピール強度は3.5kg/cmであった。
【0036】
(実施例2)
【0037】
実施例1と同じようにAl−窒化アルミニウム基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、ろう材の組成は30重量%のAgを含むAl−Agとし、ろう接温度は600℃とした。作製したAl−窒化アルミニウム基板のピール強度は4.7kg/cmであった。
【0038】
(実施例3)
【0039】
実施例1と同じようにAl−窒化アルミニウム基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、ろう材の組成は56重量%のAgを含む共晶組成のAl−Agとし、ろう接温度は580℃とした。作製したAl−窒化アルミニウム基板のピール強度は3.8kg/cmであった。
【0040】
(実施例4)
【0041】
実施例3と同じようにAl−窒化アルミニウム基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、ろう材はAgろう材とした。作製したAl−窒化アルミニウム基板のピール強度は4.1kg/cmであった。
【0042】
(実施例5)
【0043】
実施例4と実質的に同じようにAl−窒化アルミニウム基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、ろう材としては、更にSi粉を添加し、20重量%のAgと10重量%のSiを含むAl−Ag−Siのろう材を作製した。作製したAl−窒化アルミニウム基板のピール強度は5.9kg/cmであった。
【0044】
(実施例6)
【0045】
実施例5と同じようにAl−窒化アルミニウム基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、ろう材としては、Si粉の代わりにCu粉を添加し、20重量%のAgと20重量%のCuを含むAl−Ag−Cuのろう材を作製し、600℃でろう接を行った。作製したAl−窒化アルミニウム基板のピール強度は3.6kg/cmであった。
【0046】
(実施例7)
【0047】
実施例6と同じようにAl−窒化アルミニウム基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、ろう材としては、Si粉の代わりにCu粉を添加し、40重量%のAgと10重量%のSiを含むAl−Ag−Cuのろう材を作製し、560℃でろう接を行った。作製したAl−窒化アルミニウム基板のピール強度は8.0Kg/cmであった。
【0048】
(実施例8)
【0049】
実施例7と同じようにAl−窒化アルミニウム基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、ろう材としては、Si粉の代わりにCu粉を添加し、60重量%のAgと10重量%のSiを含むAl−Ag−Cuのろう材を作製し、560℃でろう接を行った。作製したAl−窒化アルミニウム基板のピール強度は10Kg/cmであった。
【0050】
(比較例1)
【0051】
厚さ20μmの箔状の10重量%のSiを含むAl−Siろう材を使って、10-5torrの真空中において620℃で1時間加熱しAl板と窒化アルミニウム基板とのろう接を行った。その後実施例1と同じようにAl−窒化アルミニウム絶縁基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。この絶縁基板には19%の未接部が有り、ピール強度は1.5kg/cmであった。
【0052】
(比較例2)
【0053】
実施例1と同じようにAl−窒化アルミニウム絶縁基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、使用したろう材はAgを含まず、10重量%のSiを含むAl−Siペースト状ろう材であり、作製した絶縁基板のピール強度は1.2kg/cmであった。
【0054】
(比較例3)
【0055】
実施例1と同じようにAl−窒化アルミニウム絶縁基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、使用したろう材はAgを含まず、33重量%のCuを含むAl−Cu共晶合金ペースト状ろう材とした。作製した絶縁基板のピール強度は1kg/cm未満であった。
【0056】
(比較例4)
【0057】
実施例1と同じようにAl−窒化アルミニウム絶縁基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、使用したろう材はAgを含まず、60重量%のSnを含むAl−Snペースト状ろう材とし、ろう接温度は600℃であった。作製した絶縁基板のピール強度は1kg/cm未満であった。
【0058】
(比較例5)
【0059】
実施例1と同じようにAl−窒化アルミニウム絶縁基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、使用したろう材はAgを含まず、10重量%のZnを含むAl−Znペースト状ろう材とし、ろう接温度は630℃であった。作製した絶縁基板のAl板にピンホール欠陥があり、ピール強度は1kg/cm未満であった。
【0060】
(比較例6)
【0061】
実施例1と同じようにAl−窒化アルミニウム絶縁基板を作製し、超音波検査とピール強度測定を行った。但し、使用したろう材はAgを10重量%しか含まないAl−Agペースト状ろう材とし、ろう接温度は640℃であった。作製した絶縁基板のピール強度は1.5kg/cmであった。
【0062】
以上の結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
図1は、上記Al−窒化アルミニウム絶縁基板の断面図を示し、1は窒化アルミニウム基板、2はろう材、3はアルミニウム回路、4はアルミニウムベース板である。
【0065】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、窒化アルミニウム基板の表面処理工程を省略でき、未接欠陥のないAl−窒化アルミニウム絶縁基板を低コストで製造できるようになる大きな利益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において製造するAl−窒化アルミニウム基板の断面図である。
【符号の説明】
1 窒化アルミニウム基板
2 ろう材
3 アルミニウム回路
4 アルミニウムベース板
Claims (3)
- 窒化アルミニウム基板の両面にAgを20重量%以上含むAgとAlからなるAg−Al合金ペースト状ろう材を形成し、
このようにした窒化アルミニウム基板を挟むようにこれにAl板材を重ねて、真空中でAlの融点以下の温度に加熱し窒化アルミニウム基板の表面にAl板をろう接した後、
湿式エッチング法により所望形状のAl回路及びベース板を形成し、更に、Al板材の全面または一部にNiめっき層を形成することを特徴とするアルミニウム−窒化アルミニウム絶縁基板の製造方法。 - 窒化アルミニウム基板の両面にAgを20重量%以上含み、さらにSiを1〜10重量%含むAg、SiおよびAlからなるAg−Si−Al合金ペースト状ろう材を形成し、
このようにした窒化アルミニウム基板を挟むようにこれにAl板材を重ねて、真空中でAlの融点以下の温度に加熱し窒化アルミニウム基板の表面にAl板をろう接した後、
湿式エッチング法により 所望形状のAl回路及びベース板を形成し、更に、Al板材の全面または一部にNiめっき層を形成することを特徴とするアルミニウム−窒化アルミニウム絶縁基板の製造方法。 - 窒化アルミニウム基板の両面に銀からなる銀ペースト状ろう材を形成し、
このようにした窒化アルミニウム基板を挟むようにこれにAl板材を重ねて、真空中でAlの融点以下の温度に加熱し窒化アルミニウム基板の表面にAl板をろう接した後、湿式エッチング法により所望形状のAl回路及びベース板を形成し、更に、Al板材の全面または一部にNiめっき層を形成することを特徴とするアルミニウム−窒化アルミニウム絶縁基板の製造方法。
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