JPH10158027A - 光学ガラス - Google Patents

光学ガラス

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JPH10158027A
JPH10158027A JP8319921A JP31992196A JPH10158027A JP H10158027 A JPH10158027 A JP H10158027A JP 8319921 A JP8319921 A JP 8319921A JP 31992196 A JP31992196 A JP 31992196A JP H10158027 A JPH10158027 A JP H10158027A
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JP
Japan
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glass
weight
composition
refractive index
optical
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JP8319921A
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Inventor
Nobuo Aimono
伸郎 四十物
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Nikon Corp
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屈折率(nd)が1.50から1.60で、
アッベ数(νd)が60から75という範囲の光学恒数
を有し、かつ化学的耐久性に優れた低屈折の光学ガラス
を提供すること。 【解決手段】 この光学ガラスは、重量パーセントで以
下の組成、 P25 50〜80 SiO2 1〜5 Al23 5〜20 B23 0〜5 R1 2O 0〜20 R2 O 0〜40 As23 またはSb23 0.1〜0.5 F2 1〜5 ただし、R1 2OはLi2 O、Na2 OまたはK2 Oの
1、もしくはこれらの中の2以上の組み合わせ、R2
はMgO、CaO、SrO、BaOまたはZnOの1、
もしくはこれらの中の2以上の組み合わせよりなり、前
記F2 (フッ素)は酸化物中で、該酸化物の一部の酸素
イオンがフッ素イオンで置換されてフッ化物として存在
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、低屈折率の光学
ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】屈折率(nd)が1.50から1.60
という低屈折率で、アッベ数(νd)が60から75で
あるような光学恒数を有するガラスとして、P25
23 −Al23 −R1 2O−R2 Oという組成から
なるリン酸クラウンガラスが知られている(文献:
(社)日本硝子製品工業会発行 ガラス組成データブッ
ク1991 p.100)。例えばこの文献中の光学ガ
ラスの組成は、重量%でP25 が70.4、B23
が4.0、Al23 が9.0、K2 Oが11.6、M
gOが4.0、As23 が1.0であった。また、こ
の光学ガラスの屈折率(nd)は1.5173で、アッ
ベ数(νd)は69.6であった。ここで、R1 2Oはガ
ラス中に含有されるアルカリ金属酸化物を、R2 Oは含
有されるアルカリ土類金属酸化物および酸化亜鉛をそれ
ぞれ表すことにする。
【0003】上記のような屈折率およびアッベ数の範囲
内にあるガラスは、失透のない優れた性質を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなリン酸クラウンガラスは、水分によりガラス成分
が容易に溶出してしまう傾向があり、特に高温多湿の環
境下においてガラスの表面層の溶出が激しく、化学的耐
久性に問題があった。このため、光学レンズとしての役
割を十分果たすことができなかった。
【0005】従来のリン酸クラウンガラスにおいて化学
的耐久性を表す耐候性テスト(温度70℃、相対湿度9
0%の環境下で100時間保持した後、目視観察)を行
ってみたところ、ガラス表面にガラス成分の流出による
縞状の異質層が確認された。ガラス成分の溶出が大きく
なるのはP25 の含有量の増加に伴うということが知
られているが、屈折率(nd)が1.50から1.60
の範囲に、およびアッベ数(νd)が60から75の範
囲にあるような光学恒数を有し、また失透に対して安定
なガラスを得るためにはP25 の含有量は十分多量で
なければならない。
【0006】また、一般的なSiO2 −B23 −R1 2
O組成系ガラスにおいては、アルカリ金属酸化物の減量
化およびアルカリ土類金属への置換、さらに酸化アルミ
ニウムの導入などがガラスの化学的耐久性を向上させる
技術として公知である。しかし、従来の組成系のリン酸
クラウンガラスではアルカリ金属酸化物の減量化による
化学的耐久性の改善の効果が明確ではなく、また酸化ア
ルミニウムの増量は熔融温度を上昇させてしまう。熔融
温度の上昇は、通常用いている白金を使用した熔解装置
で熔解処理を行う場合、白金の劣化によるガラスへの混
入や、熔融した白金の析出による異物の発生およびガラ
スの透過率の低下を引き起こす恐れがあるため望ましく
ない。
【0007】このため、上述した諸問題を考慮した上
で、屈折率(nd)が1.50から1.60で、アッベ
数(νd)が60から75という光学恒数の範囲を満足
し、かつ化学的耐久性に優れた光学ガラスの出現が望ま
れていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、本発明者が鋭
意研究を重ねた結果、リン酸P25 、ケイ酸SiO
2 、酸化アルミニウムAl23 を必須成分とし、従来
の必須成分であるホウ酸B23 、アルカリ金属酸化物
1 2Oを任意成分とする光学ガラス組成によって、所望
の光学恒数を有し、化学的耐久性および失透に対する安
定性に優れたリン酸クラウンガラスが得られることを見
いだし、この発明をなすに至った。
【0009】この発明の光学ガラスは、屈折率(nd)
が1.50から1.60、およびアッベ数(νd)が6
0から75の光学恒数を有し、かつ化学的耐久性に優れ
ていることを特徴とする。
【0010】また、この光学ガラスは、重量パーセント
で下記の組成、 P25 50〜80 SiO2 1〜5 Al23 5〜20 B23 0〜5 R1 2O 0〜20 R2 O 0〜40 As23 またはSb23 0.1〜0.5 F2 1〜5 ただし、R1 2OはLi2 O、Na2 OまたはK2 Oの
1、もしくはこれらの中の2以上の組み合わせ、R2
はMgO、CaO、SrO、BaOまたはZnOの1、
もしくはこれらの中の2以上の組み合わせよりなり、上
記のフッ素F2 は酸化物中で、酸化物の一部の酸素イオ
ンがフッ素イオンで置換されてフッ化物として存在して
いることを特徴とする。
【0011】上記のような組成範囲は実験化学的に見い
だされたものであり、各成分の範囲限定の理由は次の通
りである。
【0012】まず、リン酸P25 はガラス形成酸化物
であり、ガラスを低屈折率にする必須成分であるが、失
透に対する安定性を維持するためには50重量%以上含
有されていることが好ましく、また化学的耐久性を維持
するためには80重量%以下がよい。
【0013】次にケイ酸SiO2 はガラスを低屈折率に
するとともに、リン酸P25 の溶出を抑制する必須成
分であるが、SiO2 単独ではガラス融液表面に未熔融
物が生じやすく、熔融温度の上昇を必要とする。しか
し、フッ素化合物として導入すれば、熔融温度を上げる
ことなく含有量を増やすことが可能である。ただし、失
透に対する安定性を維持するため、また、多量の揮発に
よるガラスの均質性の悪化を防ぐためにも含有量は1重
量%以上で5重量%以下がよい。
【0014】酸化アルミニウムAl2 3 は一般的にガ
ラスの化学的耐久性を高めるための必須成分であるが、
5重量%以上で効果が顕著に現れる。また、失透に対す
る安定性を維持するため、また、熔融温度を上昇させる
原因となる融液の粘性を高くさせないためにも、20重
量%以下の含有量が好ましい。
【0015】以上の必須成分の他に任意成分として他の
物質を適量添加させるとガラスの光学恒数をさらに所望
の値に近づけることができ、また、熔融点が低下して熔
融が容易となり、したがって坩堝の侵蝕によるガラスへ
の悪影響を軽減することができる。
【0016】このために加えられる任意成分として、ま
ず、ホウ酸B23 はリン酸P25 の揮発を抑制する
成分であるが、化学的耐久性を低下させないために5重
量%以下がよい。
【0017】次にアルカリ金属酸化物R1 2O(Li2
+Na2 O+K2 O)は、熔融温度を下げることがで
き、屈折率を低くすることができる成分であるが、化学
的耐久性を維持するため、また分相傾向(ガラス融液が
成分の異なる液相に分離して混ざり合わなくなる。)を
増大させないためにも20重量%以下の含有量が好まし
い。
【0018】アルカリ土類金属酸化物および酸化亜鉛で
あるR2 O(MgO+CaO+SrO+BaO+Zn
O)は一般的にガラス形成能が大きく、失透に対する安
定性を向上させる成分とされているが、リン酸P25
の含有量を相対的に考慮すると、ガラスの屈折率を増加
させないために40重量%以下がよい。
【0019】フッ素F2 は、熔融温度を低下させるとと
もに、リン酸P25 の溶出を抑制する成分であるが、
効果を得るためには1重量%以上含有される必要があ
る。また、失透に対する安定性を維持するため、さらに
多量の揮発に伴う均質性の悪化を防ぐためにも5重量%
以下の含有量が好ましい。
【0020】酸化ヒ素(III)As23 または酸化アン
チモン(III)Sb23 は、脱泡剤として用いるが、十
分に脱泡させるためには0.1重量%以上含有させる必
要がある。また、屈折率を増加させる要因となりガラス
の内部透過率を低下させるので0.5重量%以下の含有
量にするのがよい。
【0021】また、この発明において、フッ素F2 は酸
化物中で、酸化物の一部の酸素イオンがフッ素イオンで
置換されてフッ化物として存在していることを特徴とす
る。フッ化物としてガラス中に導入されたフッ素は、適
量の範囲内において上述したように、化学的耐久性の向
上や、熔融温度の低下に寄与する成分となっている。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、この発明につき、実施組成
例を挙げて具体的に説明する。なお、以下の説明中で挙
げる使用材料およびその量、その他の数値的条件、並び
に処理方法は、好適な発明の範囲内の一例に過ぎず、し
たがってこの発明ではなんらこれに限定されるものでは
ない。
【0023】
【実施例】この実施例の光学ガラスは、以下の方法で製
造した。
【0024】まず、各成分の原料としてそれぞれ対応す
る酸化物、炭酸塩、硝酸塩、フッ化物、およびこれらの
化合物等を使用し、所望の割合で、それぞれ秤量して、
粉末、または溶液中で十分に混合して、これを調合原料
とした。次にこれを1000℃から1350℃に加熱さ
れた電気炉中の、白金または石英坩堝に投入して溶解、
清澄の後、攪拌して均質化した。その後あらかじめ加熱
されている鉄製の鋳型に鋳込み、徐冷した。
【0025】この発明の光学ガラスの実施例の組成(重
量パーセント)、光学恒数(屈折率(nd)、アッベ数
(νd))、および耐候性テスト(温度70℃、相対湿
度90%の環境下で100時間保持した後、目視観察)
の結果を表1に示す。なお、実施例の組成はガラスに含
有される陽イオンを酸化物として計算した場合の酸化物
の重量パーセントで表し、その中で酸素イオンは一部表
記してあるフッ素イオンで置換されている。また、限定
範囲内で含有量や成分を変えたものが8通りの組成で表
記されている。化学的耐久性の指標となる耐候性テスト
の結果は目視観察により、ガラスの研磨表面上に状態変
化が認められないものをAとし、次に表面上に亀甲状の
凹凸が認められるものをB、表面上に魚鱗状の凹凸が認
められるものをC、そして研磨表面上の全面に樹皮状の
凹凸が認められるものをDとして表してある。この耐候
性がDという評価を受けたガラスを実際に使用すると、
化学的耐久性の面で問題が生じやすい。
【0026】表1によると、組成例1の組成は重量%で
25 52.6(重量%)、SiO2 1.5、Al2
3 5.2、K2 O5.6、BaO33.4、As2
3 0.2、F2 1.5である。この例のR1 2OはK2
5.6であり、R2 OはBaO33.4である。
【0027】次に組成例2の組成は重量%でP25
4.7(重量%)、SiO2 2.7、Al23 4.
9、CaO17.6、SrO0.3、BaO7.0、S
23 0.2、F2 2.6である。この例ではR1 2
は含有されていない。R2 OはCaOとSrOとBaO
であるため、含有量は24.9(重量%)である。
【0028】組成例3の組成は重量%でP25 70.
8(重量%)、SiO2 1.6、Al23 14.5、
Na2 O0.3、K2 O5.6、MgO0.5、CaO
3.8、SrO0.8、As23 0.1、F2 2.0
である。この例のR1 2OはNa2 OとK2 Oであるため
含有量は5.9(重量%)であり、R2 OはMgOとC
aOとSrOであるため含有量は5.1(重量%)であ
る。
【0029】組成例4の組成は重量%でP25 63.
9(重量%)、SiO2 0.9、Al23 5.0、B
23 0.8、BaO3.8、ZnO24.5、As2
30.2、F2 0.9である。この例ではR1 2Oは含
有されていない。R2 OはBaOとZnOであるため含
有量は28.3(重量%)である。
【0030】組成例5の組成は重量%でP25 74.
7(重量%)、SiO2 1.1、Al23 17.1、
Li2 O0.2、K2 O3.3、CaO2.2、As2
30.1、F2 1.3である。この例のR1 2OはLi2
OとK2 Oであるため含有量は3.5(重量%)であ
り、R2 OはCaOであるため含有量は2.2(重量
%)である。
【0031】組成例6の組成は重量%でP25 51.
0(重量%)、SiO2 4.7、Al23 5.6、K
2 O15.4、CaO8.7、BaO6.0、ZnO
3.2、Sb23 0.2、F2 5.2である。この例
のR1 2OはK2 Oであるため含有量は15.4(重量
%)であり、R2 OはCaOとBaOとZnOであるた
め含有量は17.9(重量%)である。
【0032】組成例7の組成は重量%でP25 73.
0(重量%)、SiO2 1.8、Al23 17.5、
Li2 O0.2、K2 O5.7、As23 0.1、F
2 1.7である。この例のR1 2OはLi2 OとK2 Oで
あるため含有量は5.9(重量%)であり、R2 Oは含
有されていない。
【0033】組成例8の組成は重量%でP25 71.
3(重量%)、SiO2 1.7、Al23 4.9、K
2 O5.2、MgO14.4、CaO0.7、Sb2
3 0.2、F2 1.6である。この例のR1 2OはK2
であるため含有量は5.2(重量%)であり、R2 Oは
MgOとCaOであるため含有量は15.1(重量%)
である。
【0034】組成例1〜8のいずれの組成のガラスも、
屈折率(nd)は1.50から1.60の範囲内にあ
り、またアッベ数(νd)も60から75の範囲内にあ
る。また、耐候性テストによると、全ての組成例におい
て化学的耐久性は従来のガラスよりも向上しているが、
とくに優れているものは、表1の組成例1(耐候性A〜
B)、組成例2(耐候性A)、組成例4(耐候性A〜
B)および組成例8(耐候性B)である。
【0035】これにより、この発明において、化学的耐
久性に優れ、屈折率(nd)が1.50から1.60の
範囲内で、アッベ数(νd)が60から75の範囲内に
ある低屈折率の光学ガラスを得ることができた。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、屈折
率(nd)が1.50から1.60、アッベ数(νd)
が60から75の光学恒数の範囲を満足し、かつ化学的
耐久性および失透に対する安定性に優れた光学ガラスを
得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率(nd)が1.50から1.6
    0、およびアッベ数(νd)が60から75の光学恒数
    を有し、かつ化学的耐久性に優れていることを特徴とす
    る光学ガラス。
  2. 【請求項2】 重量パーセントで下記の組成 P25 50〜80 SiO2 1〜5 Al23 5〜20 B23 0〜5 R1 2O 0〜20 R2 O 0〜40 As23 またはSb23 0.1〜0.5 F2 1〜5 ただし、R1 2OはLi2 O、Na2 OまたはK2 Oの
    1、もしくはこれらの中の2以上の組み合わせ、 R2 OはMgO、CaO、SrO、BaOまたはZnO
    の1、もしくはこれらの中の2以上の組み合わせよりな
    り、 前記F2 (フッ素)は酸化物中で、該酸化物の一部の酸
    素イオンがフッ素イオンで置換されてフッ化物として存
    在していることを特徴とする光学ガラス。
JP8319921A 1996-11-29 1996-11-29 光学ガラス Pending JPH10158027A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007049622A1 (ja) * 2005-10-26 2007-05-03 Asahi Glass Company, Limited リン酸塩光学ガラス
US7538051B2 (en) 2002-11-08 2009-05-26 Hoya Corporation Optical glass, preform for press molding and optical element
WO2020262014A1 (ja) * 2019-06-27 2020-12-30 株式会社 オハラ 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子

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