JPH10156190A - 光触媒性能を有する機能材料の製造方法 - Google Patents

光触媒性能を有する機能材料の製造方法

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JPH10156190A
JPH10156190A JP8324009A JP32400996A JPH10156190A JP H10156190 A JPH10156190 A JP H10156190A JP 8324009 A JP8324009 A JP 8324009A JP 32400996 A JP32400996 A JP 32400996A JP H10156190 A JPH10156190 A JP H10156190A
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JP
Japan
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substance
photoconductive
porous
binder layer
coated
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Application number
JP8324009A
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English (en)
Inventor
Takashi Osugi
高志 大杉
Satoshi Tamaki
聡史 玉木
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた光触媒性能を発揮し、かつ該光触媒性
能の持続性に優れた光触媒性能を有する機能材料の製造
方法を提供する。 【解決手段】 基材1の表面に、または基材2にバイン
ダー層5を積層してなる積層体のバインダー層表面に、
転写材表面に形成された多孔性物質3により被覆された
光半導性物質4を転写することにより固定すること、あ
るいは、基材2の表面に、または基材2にバインダー層
を積層してなる積層体のバインダー層表面に、多孔性物
質3により被覆された光半導性物質4を付着させた後、
プレスまたはラミネート法により成形することにより固
定する光触媒性能を有する機能材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒性能を有す
る機能材料の製造方法に関し、より詳細には、光触媒性
能を発揮する光半導性物質の固定化方法を改良すること
により、優れた光触媒性能が発揮することが可能とされ
た機能材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光半導性物質の光触媒作用が、水
の光分解等の化学反応の触媒としてだけでなく、水中や
空気中の環境汚染物質の分解除去、脱臭、殺菌などの多
くの用途で注目を集めている。
【0003】例えば、特開平5−154473号公報に
は、流体に含まれている有機物の酸化分解や細菌の殺菌
を効果的に行う方法として、酸化チタンなどの光半導性
物質の光触媒作用を用いた光化学反応処理方法が開示さ
れている。
【0004】従来の抗菌剤を用いた殺菌方法では、抗菌
性能の持続性が十分でないこと、抗菌剤の添加により基
材の耐候性が低下すること、並びに薬剤の流出により安
全性が問題となることなど、多くの問題があった。これ
に対して、上記先行技術に記載の処理方法では、抗菌剤
を用いる必要がなく、光半導性物質の光触媒作用によっ
て殺菌を行うため、上述した種々の問題点を解消するこ
とができると考えられている。
【0005】他方、光触媒として用いられる光半導性物
質は、一般に微粉末状である。従って、建築物の壁部や
室内の壁部等に対して環境汚染物質の分解除去、脱臭ま
たは殺菌等の機能を発現させる場合には、微粉末状光半
導性物質の固定化が必要となる。そこで、微粉末状光半
導性物質を各種基材に担持させて固定化する試みが成さ
れている。例えば、特開平7−232080号公報に
は、セラミック、樹脂または金属からなる基材上に、バ
インダー層を形成し、バインダー層上に光半導性物質よ
りなる光触媒粒子層を固定してなる光触媒機能を有する
機能材が開示されている。
【0006】しかしながら、上記バインダー層を一般の
有機合成樹脂で構成した場合、長期間の間にバインダー
成分が劣化し、表面に固定されている光触媒層すなわち
光半導性物質粒子が失われるという問題があった。
【0007】そこで、上記のような問題を解決するため
に、特開平4−284851号公報には、光半導性物質
粉末とフッ素系樹脂バインダーとを混合してなる混合層
を基材表面に形成してなる光触媒性能を有する機能材料
が開示されている。ここでは、フッ素系樹脂バインダー
を用いることにより経時による上記バインダー層の劣化
を防止することが可能とされている。
【0008】しかしながら、特開平4−284851号
公報に記載の機能材では、バインダー層を構成する樹脂
がフッ素系樹脂に限られるため、バインダーを構成する
樹脂の材料選択の幅を拡げ得るような光触媒性能を有す
る機能材料の登場が望まれている。
【0009】また、特開平4−284851号公報に記
載の方法では、光半導性物質粉末がフッ素系樹脂よりな
るバインダー樹脂と混合されており、使用されている光
半導性物質粉末が必ずしも表面に存在していないため、
光触媒性能が十分でないという問題もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術の諸欠点を解消し、光半導性物質が固定化
されているにも係わらず、優れた光触媒性能を発揮し、
かつ該光触媒性能の持続性に優れている光触媒性能を有
する機能材料の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、上記課題
を達成すべく鋭意検討した結果、基材表面に光半導性物
質を固定化するにあたり、該光半導性物質を予め多孔性
物質により被覆しておけば、上記課題を達成し得ること
を見い出し、本発明を成すに至った。
【0012】すなわち、請求項1に記載の発明は、光触
媒性能を有する機能材料の製造方法に関するものであ
り、多孔性物質により被覆された光半導性物質層を転写
材表面に形成しておき、基材表面または表面にバインダ
ー層が形成された基材のバインダー層表面に、前記多孔
性物質により被覆された光半導性物質を転写することを
特徴とする。
【0013】また、請求項2に記載の発明も光触媒性能
を有する機能材料の製造方法に関し、基材表面または表
面にバインダー層が形成されている基材のバインダー層
表面に、多孔性物質により被覆された光半導性物質を付
着させた後、プレスまたはラミネート法により成形する
ことを特徴とする。
【0014】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明に係る機能材料の製造方法において、基
材またはバインダー層表面が硬化性樹脂よりなり、該硬
化性樹脂表面に多孔性物質により被覆された光半導性物
質を固定するにあたり、上記硬化性樹脂と光半導性物質
を接触させた後に、該硬化性樹脂を硬化させて固定する
ことを特徴とする。
【0015】以下、本発明の詳細を説明する。基材 請求項1〜3に記載の発明において用いられる基材につ
いては特に限定されるものではなく、有機材料、無機材
料またはこれらの複合材料から適宜のものを用いること
ができ、例えば、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、
珪酸カルシウム板などを例示することができる。
【0016】多孔性物質により被覆された光半導性物質
に対する上記基材表面の接着性が十分でない場合には、
バインダー層を介して多孔性物質により被覆された光半
導性物質を固定してもよい。この場合、バインダー層と
基材表面との接着性が不足する場合には、適当なプライ
マーなどにより基材表面を処理しておくことが好まし
い。
【0017】基材自体の硬化性または可塑性により、多
孔性物質により被覆された光半導性物質を接着させる場
合には、バインダー層を用いることなく、多孔性物質に
より被覆された光半導性物質を基材表面に直接固定して
もよい。このような固定方法の好適な使用例としては、
熱可塑性樹脂の射出成形やSMCもしくはBMCの成形
に際し、樹脂表面に多孔性物質により被覆された光半導
性物質を固定する方法が挙げられる。
【0018】バインダー層 本発明では、表面にバインダー層が形成された基材を使
用してもよく、その場合には、バインダー層表面に、多
孔性物質により被覆された光半導性物質が固定される。
このバインダー層を構成する材料についても、特に限定
されるものではない。すなわち、バインダー層として
は、基材及び多孔性物質により被覆された光半導性物
質との接着性を有するもの、あるいは基材や多孔性物
質により被覆された光半導性物質との接着性が十分では
ないが、光触媒性能を有する機能材料に好適な性能を付
加し得るものを用いることができる。
【0019】基材及び多孔性物質により被覆された光
半導性物質との接着性を有するバインダー層を構成する
材料としては、各種合成樹脂や無機物等を用いることが
でき、特に限定されるものではない。上記合成樹脂とし
ては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリ
ル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化
ビニル樹脂、シリコーン樹脂などのポリマーを初め、塗
料等に使用される各種硬化性樹脂、可塑性樹脂などを挙
げることができる。
【0020】また、本発明に係る光触媒性能を有する
機能材料に好ましい性能を付加し得るバインダー層の場
合には、バインダー層を構成する材料が基材に対する接
着性が不十分であってもよく、その場合には、さらに基
材とバインダー層との間に接着剤層を介在させればよ
い。例えば、フッ素系樹脂よりなるフィルムは、耐候性
や耐薬品性を高めるが、有機合成樹脂よりなる基材との
熱融着性が十分でない場合がある。従って、バインダー
層としてフッ素系樹脂よりなるフィルムを用いる場合に
は、バインダー層と基材との間に必要に応じて接着剤層
を設けることにより、バインダー層と基材との密着性を
高めることができ、それによって、耐候性及び耐薬品性
に優れた光触媒性能を有する機能材料を構成することが
できる。さらに、本発明における上記バインダー層は、
複数のバインダー樹脂層を積層したものであってもよ
い。
【0021】バインダー層の形態については、基材表面
に塗料を塗布することにより形成される塗膜のようなも
のに限らず、シート状あるいはフィルム状の成形物、あ
るいは紙や不織布などの支持体にバインダー成分を含浸
させたものなど、様々な形態のものを用いることができ
る。
【0022】例えば、内装材の化粧板として用いる場合
には、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂もしくは
アリル樹脂を化粧紙に含浸させたシートを利用すること
ができる。この場合には、バインダー層が化粧紙の表面
に形成されるだけでなく、バインダー成分は化粧紙内部
にまで含浸されているが、本発明における基材表面と多
孔性物質により被覆された光半導性物質との間に介在さ
れているバインダー層に包含されるものである。
【0023】好ましくは、上記バインダー層は、硬化性
樹脂により構成され、この場合には、硬化性樹脂を硬化
させることにより、多孔性物質により被覆されている光
半導性物質が強固に固定され、該光半導性物質の欠落を
抑制することができる。従って、光触媒性性能の持続性
に優れた機能材料を得ることができる。また、一般に、
硬化膜の方が表面硬度が高くなるため、耐擦過性に優れ
た機能材料を得ることも可能となる。
【0024】上記のような硬化性樹脂としては、エポキ
シ樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹
脂、フェノール樹脂などを挙げることができる。また硬
化方法についても、使用する硬化性樹脂に応じて、熱処
理等の適宜の方法を用いることができる。
【0025】多孔性物質により被覆された光半導性物質 本発明で用いられる上記光半導性物質は、光触媒活性を
有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例
えば、酸化亜鉛、二酸化チタン(以下、酸化チタンと略
記する。)、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウ
ム、酸化第二鉄などの金属酸化物;硫化亜鉛、硫化カド
ミウム、硫化鉛、セレン化亜鉛、セレン化カドミウムな
どの金属カルコゲナイド;シリコン、ゲルマニウムなど
の第IV属元素;ガリウム−リン、ガリウム−ヒ素、イ
ンジウム−リンなどのIII−V属化合物;ポリアセチ
レン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、
ポリビニルカルバゾールなどの有機半導体などを挙げる
ことができる。
【0026】上記光半導性物質のうち、化合物の化学的
な安定性から、実用的には、酸化チタン、酸化タングス
テン等の金属酸化物を用いることが好ましい。中でも、
酸化チタンは入手が容易であるため利用し易く、アモル
ファス、ルチル型、アナターゼ型などの何れの種類のも
のも使用することができる。もっとも、特に抗菌作用を
発揮させるためには、アナターゼ型酸化チタンが抗菌作
用に優れているため、最も好ましい。
【0027】また、一般に白色顔料として使用されてい
る酸化チタンは、多くの場合、表面がアルミナやシリカ
で完全にコーティングされているため光触媒性能が低
く、好ましくない。
【0028】上記光半導性物質は単独で用いられてもよ
く、2種以上併用されてもよい。また、光触媒性能を高
めるには、後述の導電性物質等を光半導性物質に添加し
てもよい。
【0029】上記光半導性物質の形状及び大きさについ
ても特に限定されるものではないが、多孔性物質で被覆
してカプセル化するには、微粉体であることが好まし
い。光半導性物質の好ましい粒径は、直径1nm〜10
0μmである。1nm未満では、被覆が困難となること
があり、100μmを超えると、使用の便を考慮すると
不適当となることがある。
【0030】導電性物質 上述したように、光半導性物質に、導電性物質を添加す
ることにより、光触媒性能を高めることができる。導電
性物質の添加方法としては、例えば、酸化チタンなど
の光導電性物質の製造工程において、光半導性物質粒子
中に導電性物質としての例えば酸化鉄成分を含有させて
おくように、光半導性物質の一部として導電性物質を含
有させる方法、あるいは酸化チタンなどの光半導性物
質表面に、化学的または物理的に導電性物質を担持させ
る方法などを挙げることができる。
【0031】さらに簡便な方法としては、光半導性物質
を多孔性物質で被覆する工程において、光半導性物質と
同時に導電性物質を添加し、多孔性物質よりなる被覆中
に光半導性物質と導電性物質とを存在させる方法を挙げ
ることができる。このように、多孔性物質よりなる被覆
中に、光半導性物質及び導電性物質を同時に存在させる
ことにより、上記のように光半導性物質表面に導電性物
質を担持させた場合と同様に光触媒性能を高めることが
できる。
【0032】使用し得る導電性物質としては、一般に導
電性を付与するために用いられている適宜の材料を用い
ることができ、特に限定されるものではない。例えば、
カーボン粉末、カーボン繊維、金属粉末もしくは金属繊
維を挙げることができ、より具体的な例としては、カー
ボンブラック、銀、銅、金、鉄、アルミニウム、ニッケ
ル、白金、パラジウム、酸化錫、酸化インジウムなどを
挙げることができる。
【0033】また、導電性物質としては、非導電体を核
材として、表面に導電性材料をコーティングしたもので
あってもよい。例えば、硫酸バリウムなどの非導電性材
料からなる微粒子表面を、銀、アルミニウムまたは酸化
錫などでコーティングしてなるものを例示することがで
きる。非導電体の表面に導電性材料をコーティングして
なる導電性物質のうちでは、実用的な面からは、入手が
容易であり、比較的安価である、酸化錫微粒子や酸化錫
で表面がコーティングされた硫酸バリウム粒子等が好ま
しく用いられる。また、酸化アンチモンを0.1〜20
重量%添加してなる酸化錫は、高い導電性を示すため、
導電性物質として好適に用いられる。
【0034】上記導電性物質の光半導性物質に対する添
加量は、光半導性物質100重量部に対し、0.01〜
100重量部の範囲であることが好ましい。0.01重
量部未満の場合には、導電性物質の添加により光触媒性
能を高める効果が十分でないことがあり、100重量部
を超えて用いたとしても、光触媒性能を高める効果がそ
れ以上大きくなり難いからである。もっとも、導電性物
質は光触媒性能を阻害するものではないため、光半導性
物質の担体として用いる場合などには、導電性物質の添
加量は100重量部を超えてもよい。
【0035】導電性物質を光半導性物質に担持する等の
特別な工程を経ていない場合、上記導電性物質の光半導
性物質に対する添加量は、光半導性物質100重量部に
対し、1〜100重量部であることが好ましい。
【0036】多孔性物質 本発明において用いられる上記多孔性物質は、光半導性
物質の光触媒作用によって容易に劣化されない材料であ
れば特に限定されるものではなく、例えば、シリカもし
くはアルミナ等の無機物やフッ素樹脂等の有機物を用い
ることができる。もっとも、光触媒反応に必要な光の透
過率等を考慮すると、光透過率に優れたシリカなどのガ
ラス状物質が特に好ましい。
【0037】多孔質のガラス状物質を得る方法は特に限
定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、
シリカゾルを調製した後にゲル化し、多孔質ガラスを得
る、ゾルゲル法を好適に用いることができる。ゾルゲル
法により多孔性物質で被覆された光半導性物質を得る場
合には、シリカゾル液に光半導性物質を分散し、硬化
し、必要に応じて粉砕すればよく、それによって多孔性
物質により被覆された光半導性物質粉末を容易に得るこ
とができる。
【0038】本発明において、多孔性物質により被覆さ
れた光半導性物質は、必ずしも光半導性物質が中心に存
在する球状のカプセルである必要はなく、多孔性物質を
マトリックスとした中に光半導性物質が分散しているも
のであってもよい。多孔性物質がマイクロカプセル状の
粉体であり、その中に光半導性物質が含有されている場
合には、有機バインダー層表面に固定すれば、多孔性物
質よりなる被覆により、耐候性が効果的に高められた機
能材料を得ることができる。このようなマイクロカプセ
ルの種類や製造方法については、公知の方法を用いるこ
とができ、例えば、製造方法については、特公昭54−
6251号公報に開示されている界面反応法などを挙げ
ることができる。
【0039】本発明においては、上記「多孔性」につい
ても特に限定されるものではなく、微細な孔が均一また
は不均一に分散している状態を広く含むものとする。多
孔質ではない物質により光半導性物質を完全にコーティ
ングすると、光半導性物質による光触媒作用が低下す
る。マイクロカプセルを多孔質にする方法としては、有
機物を混入した無機材料を壁構成成分として用い、マイ
クロカプセル形成後に焼成により、または溶剤で溶解す
ることにより有機物のみを除去する方法、壁構成成分中
に水溶性または油溶性の塩などを混入しておき、後に水
または溶剤を用いて塩を溶解して孔を形成する方法など
を適宜用いることができる。
【0040】好ましくは、多孔性物質により被覆された
光半導性物質として、光半導性酸化チタンを多孔質シリ
カで被覆してなるマイクロカプセル状光触媒体が用いら
れる。すなわち、上述したように多孔性物質として、多
孔質シリカを用いた場合には、光の透過率が優れている
ため、内部の光半導性物質の光触媒作用を阻害すること
がなく、光触媒性能を高める。また、上記のように、光
半導性酸化チタンは、入手が容易であり、光触媒性能に
優れるため、光触媒性能に優れた機能材料が構成され
る。
【0041】多孔性物質により被覆された光半導性物質
の固定方法 本発明において、多孔性物質により被覆された光半導性
物質の固定は、図1に示すように、基材2の表面に、あ
るいは図2に示すようにバインダー層5の表面に、多孔
性物質3により被覆された光半導性物質4を接触させた
後に表面に固定することにより行われ、それによって、
本発明の機能材料1を得ることができる。
【0042】具体的には、基材表面またはバインダー層
表面と、多孔性物質により被覆された光半導性物質を接
触させる方法としては、請求項1に記載のように、離
型フィルムや成形型表面などの転写材表面に多孔性物質
により被覆された光半導性物質層を予め形成しておき、
基材またはバインダー層表面に転写する方法、及び多
孔性物質により被覆された光半導性物質を基材表面また
はバインダー層表面上にスプレー等によって付着させる
方法を挙げることができる。
【0043】請求項1に記載の発明では、上述したよう
に、離型フィルムまたは成形型表面などの転写材表面
に、多孔性物質により被覆された光半導性物質を予め形
成し、しかる後基材表面またはバインダー層表面に転写
する。この場合、離型フィルムまたは成形型などの表面
に多孔性物質により被覆された光半導性物質層を形成す
る方法としては、例えば、多孔性物質により被覆された
光半導性物質を溶媒に分散した後、離型フィルム表面ま
たは成形型表面上に刷毛塗りやスプレー等で塗布し、乾
燥する方法を挙げることができる。上記溶媒中には、バ
インダーやその他の添加剤が含まれていてもよい。
【0044】多孔性物質により被覆された光半導性物質
層の厚みは特に限定されるものではないが、基材表面ま
たはバインダー層表面に固定されている限り、その厚み
が薄くとも光触媒性能は十分に発現する。多孔性物質に
より被覆された光半導性物質層が薄膜状の場合には、多
孔性物質により被覆された光半導性物質の使用量を少な
くすることができるため、経済的である。
【0045】上記離型フィルムについても、特に限定さ
れるものではなく、高分子フィルム、例えばポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、塩化ビ
ニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、
ポリエチレン等のフィルムを用いることができる。ま
た、離型処理を施したフィルムを使用することにより、
転写後の離型性が高められるが、フィルムに塗料を塗布
し被膜を形成する場合には、フィルム上で塗料の弾きが
起こらないように塗料の表面エネルギーを低下させた
り、粘度の調整が必要となる場合がある。
【0046】離型フィルムの厚みについては、操作に適
当な厚みであれば特に限定されるものではない。また、
離型フィルムの表面を平滑にしたり、マット化したりす
ることにより、光沢のある表面や曇った表面を形成する
ことができる。また、離型フィルム自体に予め凹凸を形
成することにより、転写した表面に意匠性を付与するこ
とも可能である。
【0047】また、請求項2に記載の発明では、基材表
面またはバインダー層表面に、多孔性物質により被覆さ
れた光半導性物質を固定する方法は、上記のように、光
半導性物質を付着させた後、プレスまたはラミネート法
により成形することにより行われる。この場合、プレス
またはラミネートは、常温下で行ってもよく、加熱下で
行ってもよい。また、熱や光により基材表面やバインダ
ー層を硬化させてもよい。硬化により固定する場合に
は、未硬化の基材表面またはバインダー層表面に、多孔
性物質によって被覆された光半導性物質を、固定後と同
様の状態となるように接触させ、基材表面またはバイン
ダー層表面を硬化させればよい。
【0048】また、好ましくは、請求項1,2に記載の
発明に係る製造方法において、好ましくは、請求項3に
記載のように、基材表面またはバインダー層が硬化性樹
脂により構成される。この場合、硬化性樹脂表面に多孔
性物質により被覆された光半導性物質を固定するにあた
り、硬化性樹脂と光半導性物質を接触させた後に、硬化
性樹脂を硬化させて固定することにより、光半導性物質
が強固に固定され得る。このような硬化性樹脂として
は、前述したバインダー層の説明において例示した硬化
性樹脂を用いることができる。
【0049】請求項1〜3に記載の発明において、固定
された多孔性物質により被覆された光半導性物質は、そ
の一部が機能材料表面に露出していることが望ましい
が、バインダー層が多孔質であり、多孔性物質により被
覆された光半導性物質と機能材料表面との間にバインダ
ー層の貫通孔が存在している場合には、多孔性物質表面
が被覆された状態であっても、十分な光触媒性能を発現
する。
【0050】請求項1〜3に記載の発明において、多孔
性物質により被覆された光半導性物質を、基材表面また
はバインダー層表面に固定する量は、固定される際の表
面への多孔性物質により被覆された光半導性物質の分散
状態等によって異なるため、特に限定されるものではな
く、用途に応じて適当な量が固定されればよい。
【0051】光触媒性能を有する機能材料の応用 本発明により得られる光触媒性能を有する機能材料は、
その形態については特に限定されるものではなく、成形
体や建築材料など、様々な形で用いることができる。光
半導性物質は、空気中に存在する水と反応し、過酸化水
素やヒドロキシラジカルなどの活性酸素を生成すると推
測されており、この活性酸素による酸化還元作用を利用
して、成形品や建物の内外装における抗菌防カビ処理;
院内感染防止等の殺菌処理;窒素酸化物、硫黄酸化物、
トリハロメタンなどの環境汚染物質の分解除去処理;ア
ンモニア、アルデヒド、各種有機酸などの悪臭原因物質
の分解除去処理;外装材に自己清浄作用を付与する防汚
処理;触媒作用を利用した廃液処理などに用いることが
できる。
【0052】本発明により得られる光触媒性能を有する
機能材料は、上記処理の中でも、特に、抗菌防カビ処理
に適している。薬剤などの溶出を伴う従来技術とは異な
り、本発明に係る光触媒性能を有する機能材料は薬剤を
使用しないため、安全性に優れており、かつ性能の持続
性においても優れている。
【0053】本発明により得られる光触媒性能を有する
機能材料においては、基材やバインダー層構成成分と光
半導性物質の直接の接触に基づく劣化と光半導性物質の
脱落、すなわち光触媒性能の経時による低下が抑制さ
れ、かつ基材表面に高密度に光半導性物質が固定され
る。そのため、光触媒性能の持続性に優れた材料を構成
することができる。このような効果は、基材またはバイ
ンダー層が有機合成樹脂である場合に特に有利である。
すなわち、汎用されている有機合成樹脂のほとんどが、
上記のような光半導性物質との接触に起因する劣化を引
き起こすおそれが高く、使用に際して問題があるが、本
発明の構成により使用が可能である。このような材料と
して、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリ
オレフィン樹脂;ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂な
どのビニル系共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂;アルキ
ド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などのポリエステル樹
脂;ポリアミド樹脂;フェノール樹脂、アミノ樹脂など
のホルムアルデヒド樹脂;アリル樹脂;エポキシ樹脂な
どを挙げることができる。
【0054】作用 請求項1〜3に記載の発明により得られる光触媒性を有
する機能材料では、基材またはバインダー層表面に多孔
性物質で被覆された光半導性物質が固定されており、基
材またはバインダー層中に分散する場合と比べて、光半
導性物質の光触媒作用が効率よく発現される。加えて、
光半導性物質に光が照射されて発生するヒドロキシラジ
カルなどの短寿命成分の大部分が、多孔性物質を透過す
る以前に消失し、基材またはバインダー層に漏出せず、
過酸化水素等の長寿命成分が多孔性物質を透過し、十分
な光触媒作用を発現するものと考えられる。
【0055】また、請求項1に記載の発明では、上記の
ような光触媒作用の持続性に優れた機能材料が、多孔性
物質により被覆された光半導性物質を転写材表面に形成
しておき、基材表面または表面にバインダー層が形成さ
れた基材のバインダー層表面に転写することにより得ら
れる。すなわち、転写法により、上記のような光触媒作
用の持続性が高められた機能材料を容易にかつ確実に製
造することができる。
【0056】請求項2に記載の発明では、基材表面また
は表面にバインダー層が形成されている基材のバインダ
ー層表面に、多孔性物質により被覆された光半導性物質
を付着させた後、プレスまたはラミネートといった一般
的な成形法により固定することができるため、請求項1
に記載の発明と同様に、光触媒作用の持続性に優れた機
能材料を容易に製造することができる。
【0057】請求項3に記載の発明では、基材表面また
はバインダー層が硬化性樹脂により構成されているの
で、該硬化性樹脂が最終的に硬化することにより、光半
導性物質が硬化性樹脂に捕捉されることにより強固に固
定されることになる。
【0058】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例及び比較例
を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0059】実施例1 (1)多孔性物質により被覆された光半導性物質の製造 酸化チタン(和光純薬社製、アナターゼ型、1次粒径
0.3μm)9重量部と、酸化アンチモン含有酸化錫
(三菱マテリアル社製、品番:T−1、平均粒径0.0
2μm)1重量部とを混合してなる粉末4gを、珪酸ナ
トリウム水溶液(二酸化珪素換算で4モル/l)50m
lに添加し、10分間攪拌し、均一な懸濁液を調製し
た。
【0060】上記懸濁液をソルビタンモノステアレート
1重量%のベンゼン溶液150ml中に添加し、振とう
機を用いて5分間振とうし、W/O型(油中水滴型)の
エマルジョンを調製した。次に、上記エマルジョンを1
モル/l濃度の硫酸アンモニウム水溶液500ml中に
攪拌しつつ添加し、30分間反応させた。反応終了後、
濾過し、水洗し、110℃で24時間乾燥し、内部に酸
化チタンを有し、シリカからなる壁で構成された平均粒
径5μmである、多孔性物質により被覆された光半導性
物質を得た。
【0061】(2)光触媒性能を有する機能材料の製造 (1)で得られた多孔性物質により被覆された光半導性
物質を水に分散させ水懸濁液とし、多孔性物質により被
覆された光半導性物質の乾燥後の金型表面への付着量が
1g/m2 となるように、金型表面へ懸濁液をスプレー
し、塗布した。上記金型を用い、汎用グレードのポリプ
ロピレン樹脂の射出成形を行い、ポリプロピレン樹脂か
らなる基材表面に、多孔性物質により被覆された光半導
性物質が固定された、100mm×100mm×厚さ3
mmの試験用プレートを作製した。
【0062】実施例2 (1)多孔性物質により被覆された光半導性物質の製造 実施例1の(1)と同様にして、多孔性物質により被覆
された光半導性物質を得た。
【0063】(2)光触媒性能を有する機能材料の製造 (1)で得た多孔性物質により被覆された光半導性物質
をトルエンに分散し、トルエン懸濁液とした。厚さ25
μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(帝人
社製、商品名:テトロンフィルムHP7)上に、乾燥後
のフィルム上粉体量が1g/m2 となるように、バーコ
ーターを用いて上記トルエン懸濁液を塗布し、常温で3
0分間乾燥し、しかる後50℃で10分間熱風乾燥し
た。
【0064】次に、基材としてのアクリル樹脂プレート
表面に、多孔性物質により被覆された光半導性物質層が
接触するように、上記離型フィルムで支持された多孔性
物質により被覆された光半導性物質層を積層し、180
℃の温度及び5kg/cm2の圧力でラミネートし、離
型フィルムを剥離することにより、基材表面に多孔性物
質により被覆された光半導性物質が固定された、100
mm×100mm×厚さ3mmの試験用プレートを得
た。
【0065】実施例3 (1)多孔性物質により被覆された光半導性物質の製造 実施例1の(1)と同様にして、多孔性物質により被覆
された光半導性物質を得た。
【0066】(2)光触媒性能を有する機能材料の製造 基材としてのベニア合板上に、バインダー層としてアク
リル樹脂フィルム(三菱レーヨン社製、商品名:アクリ
プレンHBS♯006、厚さ50μm)を積層し、アク
リル樹脂フィルム表面に、(1)で得た多孔性物質によ
り被覆された光半導性物質をトルエン懸濁液としたもの
を乾燥後の粉体量が1g/m2 となるように散布した。
【0067】上記積層体を160℃の温度及び20kg
/cm2 の圧力でプレスすることにより、基材としての
ベニア合板上にバインダー層としてのアクリル樹脂フィ
ルムを介して多孔性物質により被覆された光半導性物質
が固定された、100mm×100mm×厚さ5mmの
試験用プレートを作製した。
【0068】実施例4 (1)多孔性物質により被覆された光半導性物質の製造 酸化チタン(和光純薬社製、アナターゼ型、1次粒径
0.3μm)15gをエチルアルコール460g中に懸
濁し、これにテトラエトキシシラン4.2g及び5重量
%濃度のアンモニア水90gを添加し、室温で1時間攪
拌し、反応させた。しかる後、遠心分離、洗浄及び乾燥
を行い、酸化チタンの表面がシリカコートされた多孔性
物質により被覆された光半導性物質を得た。
【0069】(2)光触媒性能を有する機能材料の製造 (1)で得た多孔性物質により被覆された光半導性物質
をトルエンに分散させ懸濁液とした。離型フィルムとし
てのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(帝人社
製、商品名:テトロンフィルムHP7、厚さ25μm)
上に、乾燥時のフィルム上粉体量が1g/m2 となるよ
うに、バーコーターを用いて上記懸濁液を塗布し、常温
で30分間乾燥させた後、50℃で10分間熱風乾燥し
た。
【0070】他方、基材としての化粧紙に、バインダー
層を構成するためのバインダー樹脂として不飽和ポリエ
ステル樹脂(三井東圧化学社製、商品名:D2000)
100重量部と、硬化剤としてのベンゾイルパーオキサ
イド(日本油脂社製、商品名:ナイパーBO)2重量部
とを配合してなる樹脂液を樹脂重量として100g/m
2 となるように含浸させ、樹脂シートを得た。
【0071】珪酸カルシウム板上に上記樹脂シートを積
層し、さらにその表面に多孔性物質により被覆された光
半導性物質層が接触するように上記離型フィルムを積層
し、180℃の温度及び20kg/cm2 の圧力でプレ
スし、基材としての珪酸カルシウム板上にバインダー層
として上記樹脂シートを介して多孔性物質により被覆さ
れた光半導性物質が固定された、100mm×100m
m×厚さ7mmの試験用プレートを作製した。
【0072】実施例5 (1)多孔性物質により被覆された光半導性物質の製造 実施例4と同様にして、多孔性物質により被覆された光
半導性物質を得た。
【0073】(2)光触媒性能を有する機能材料の製造 アクリル樹脂プレート上にカプロラクトン変性ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、商
品名:DPCA−20)100重量部、ベンゾフェノン
2重量部及びジメチルアミノアセトフェノン1重量部か
らなる組成の光硬化性樹脂塗料を乾燥後の膜厚が20μ
mとなるように塗布し、その表面に上記(1)で得た多
孔性物質により被覆された光半導性物質を乾燥後の粉体
量が1g/m2 となるように散布した。次に、60℃で
1分間加熱した後、高圧水銀ランプにより照射量が20
00mJ/cm2 となるように照射し、光硬化性樹脂塗
料を紫外線硬化させ、表面に多孔性物質により被覆され
た光半導性物質が固定された、100mm×100mm
×厚さ7mmの試験用プレートを得た。
【0074】比較例1 実施例3において、多孔性物質により被覆された光半導
性物質に代えて、酸化チタン(和光純薬社製、アナター
ゼ型、1次粒径0.3μm)を使用したことを除いて
は、同様にして光半導性物質が表面に固定された試験用
プレートを得た。
【0075】比較例2 実施例3において、多孔性物質により被覆された光半導
性物質に代えて、以下に示す方法で製造された粉体を用
いたことを除いては同様にして、表面がコートされた光
半導性物質が表面に固定された試験用プレートを得た。
【0076】(粉体の製造)実施例1において用いた酸
化チタン粉末4gを水36g中に分散し懸濁させ、スラ
リーとした。しかる後、0.1gの塩化アルミニウムを
溶解した水溶液を上記スラリーに加えた。このようにし
て得た混合液を静かに攪拌しつつ、水酸化ナトリウム水
溶液をゆっくり滴下して中和し、スラリー中の混合粉末
表面に水酸化アルミニウムを沈積させた。次に、沈澱物
を濾過し、乾燥し、粉砕を行い、表面をアルミナでコー
トされた粉体を得た。
【0077】実施例1〜5及び比較例1,2の評価 上記実施例1〜5及び比較例1,2で得た試験用プレー
ト、並びに次に述べる試験用プレートの劣化方法に従っ
て劣化された劣化品につき、下記の要領で抗菌性評価を
行った。結果を下記の表1に示す。
【0078】試験用プレートの劣化方法…JIS−A1
415に規定されているサンシャインカーボンアーク灯
を用いる試験装置により、耐候性についての促進試験を
行い、試験用プレートに200時間光を照射した後の各
プレートを劣化品として用いた。
【0079】抗細菌性能評価法…試験菌液〔Heart In
fusion Broth培地(以下、BHI培地と略す。DIFC
O社製、濃度25g/l)を生理食塩水で100倍に希
釈したものの中に、試験菌としてE.ColiまたはMicrococ
cus sp. が1×107 CFU/mlとなるように調製し
たもの〕を、滅菌シャーレ中に入れた実施例及び比較例
で製造した各プレート上に分注し、蓋をした。シャーレ
を密封し、蛍光灯点灯下、30℃で1日間培養した後、
培養後の試験菌の生菌数を通常のコロニーカウント法に
より測定した。
【0080】抗真菌性能評価法…予めポテトデキスト
ロース寒天培地(以下、PDA培地と略す。日水製薬社
製)上で培養した試験菌CladosporiumまたはRhodotorul
a を、白金耳を用いて菌体をかきとり、0.05重量%
Tween80添加生理食塩水中に入れ、分散及び攪拌
させた後、ガラスフィルターを用いて濾過した。得られ
た濾液を10000rpm、15分間の遠心操作し、上
澄み液を除去し、沈澱物(胞子)を得た。この沈澱物
(胞子)に、ポテトデキストロース液体培地(以下、P
DB培地、DIFCO社製)を適当量加え、胞子懸濁液
を調製した。
【0081】PDA培地をオートクレーブ滅菌した後、
寒天が固まらないように45℃でインキュベートし、次
に上記胞子懸濁液を容量比でPDA培地の1/10量加
え攪拌した。
【0082】滅菌シャーレに実施例及び比較例で製造し
たプレートを入れ、各プレート上に、上記胞子懸濁液が
加えられたPDA培地50μlを滴下し、半球状に固化
させた。シャーレを密封し、蛍光灯点灯下、30℃で3
〜5日培養した後、目視により菌の成育を判定した。
【0083】表1において、○印は、試験菌の成育が認
められない場合を、×印は、試験菌の成育が認められた
場合を示す。
【0084】
【表1】
【0085】比較例1では、初期品では、抗細菌性及び
抗カビ性についても良好な結果を示したが、上記劣化法
により劣化された劣化品のプレートでは、抗細菌性及び
抗カビ性は低下した。また、比較例2では、初期品の段
階で、既に抗細菌性及び抗カビ性が良好でなく、劣化品
についても同様であった。
【0086】これに対して、実施例1〜5では、初期品
だけでなく、上記劣化法で劣化された劣化品のプレート
においても、初期状態と同様に、抗細菌性及び抗カビ性
の何れにおいても良好な結果を示した。
【0087】従って、表1の結果から、実施例1〜5の
光触媒性能を有する機能材料は、初期段階において光半
導性物質での酸化チタンによる抗菌性が優れているだけ
でなく、劣化させた場合でも、同様の抗菌性を発現し得
ることが確かめられた。
【0088】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、転写材
表面に多孔性物質により被覆された光半導性物質を予め
形成しておき、基材またはバインダー層表面に該光半導
性物質を転写することにより、光触媒性能を有する機能
材料を得ることができる。すなわち、転写法を用いて、
基材またはバインダー層表面に多孔性物質により被覆さ
れた光半導性物質層を容易に積層することができる。
【0089】また、請求項2に記載の発明では、基材ま
たはバインダー層表面に多孔性物質により被覆された光
半導性物質を付着させた後、プレスまたはラミネートす
るだけで、該基材またはバインダー層表面に多孔性物質
により被覆された光半導性物質を確実にかつ強固に固定
することができるので、光半導性物質が強固に固定され
た光触媒性能を有する機能材料を得ることができる。
【0090】請求項3に記載の発明によれば、基材また
はバインダー層表面が硬化性樹脂により構成されてお
り、硬化性樹脂表面に多孔性物質により被覆された光半
導性物質が接触された後に該硬化性樹脂を硬化させて固
定しているので、多孔性物質により被覆された光半導性
物質を基材またはバインダー層表面に強固に固定するこ
とができる。
【0091】よって、請求項1〜3に記載の発明によれ
ば、光触媒性能の持続性に優れた機能材料を、比較的簡
単な工程により確実に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光触媒性能を有する機能材料の一
構造例を示す断面図。
【図2】本発明に係る光触媒性能を有する機能材料の他
の構造例を示す断面図。
【符号の説明】
1,2…基材 3…多孔性物質 4…光半導性物質 5…バインダー層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 37/02 301 B01D 53/36 J

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性物質により被覆された光半導性物
    質層を転写材表面に形成しておき、基材表面または表面
    にバインダー層が形成された基材のバインダー層表面
    に、前記多孔性物質により被覆された光半導性物質を転
    写することを特徴とする光触媒性能を有する機能材料の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 基材表面または表面にバインダー層が形
    成されている基材のバインダー層表面に、多孔性物質に
    より被覆された光半導性物質を付着させた後、プレスま
    たはラミネート法により成形することを特徴とする光触
    媒性能を有する機能材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記基材表面またはバインダー層が硬化
    性樹脂よりなり、該硬化性樹脂表面に多孔性物質により
    被覆された光半導性物質を固定するにあたり、硬化性樹
    脂と前記光半導性物質とを接触させた後に、該硬化性樹
    脂を硬化させて固定する請求項1または2に記載の光触
    媒性能を有する機能材料の製造方法。
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