JPH10152700A - 高嵩密度洗剤組成物の製造方法 - Google Patents

高嵩密度洗剤組成物の製造方法

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JPH10152700A
JPH10152700A JP22488797A JP22488797A JPH10152700A JP H10152700 A JPH10152700 A JP H10152700A JP 22488797 A JP22488797 A JP 22488797A JP 22488797 A JP22488797 A JP 22488797A JP H10152700 A JPH10152700 A JP H10152700A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粒径が適度に小さい粒子を含有してなる高嵩密
度洗剤組成物を高収率で製造する方法を提供すること。 【解決手段】(a):工程(b)で用いる陰イオン界面
活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量以上の粒
子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30μ
mのトリポリリン酸塩、及び1種以上の他の粒状固体と
を攪拌造粒機を用いて混合する工程、及び(b):工程
(a)で得られる混合物に陰イオン界面活性剤の液体酸
前駆体を添加することにより、混合物を粒状に維持しつ
つ、上記アルカリ無機物質によって該液体酸前駆体を中
和して造粒する工程、を含むことを特徴とする、嵩密度
650g/L以上の高嵩密度洗剤組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高嵩密度洗剤組成物
の製造方法に関する。より詳しくは、粒径の小さな粒子
を含有してなる洗剤組成物が高収率で得られる高嵩密度
洗剤組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】洗剤工業界では最近、嵩密度の比較的高
い、例えば650g/L以上の粉末洗剤の製造方法が注
目されている。陰イオン界面活性剤、例えばアルキルベ
ンゼンスルホネートを含むこの種の粉末は、前記陰イオ
ン界面活性剤の酸前駆体をその場で水酸化ナトリウム又
は炭酸ナトリウムのようなアルカリによって中和しなが
ら製造されている。
【0003】例えば、特開昭60−72999及びGB
2 166 452Bには、洗浄作用成分たるスルホ
ン酸と炭酸ナトリウムと水とを強力な剪断装置で混合
し、得られた固体物質を40℃以下に冷却してから微粉
砕し、その結果得られた微粉を粒状化する方法が開示さ
れている。この方法は、これまでに提案されてきた方法
の典型をなすものであって、中和反応生成物が団子状で
あり、中和反応を生起させるのに必要な極めて大きいエ
ネルギーを供給できるニーダーのような混練装置を必要
とする。
【0004】GB 1 369 269には、剪断装置
を備えたミキサー、例えばレディゲのプロシェアミキサ
ーで、洗浄作用成分たるスルホン酸を炭酸ナトリウム粉
末と激しく混合することによって陰イオン系洗剤を製造
する方法が開示されている。この方法において団子状で
はなく粒状の物質を得るためには、上記二成分の混合物
中にガス流を吹き込んで、反応物質を適当に流動化しか
つ混合する必要がある。この処理を行うためには、ミキ
サーをかなり複雑に改造しなければならない。また、中
和反応を促進するための水を加えないため、この反応の
進行が緩慢であり、従って比較的粗い生成物が形成され
る。また、中和時の温度は通常約85℃まで上昇する。
中和時の温度が上昇すると香料等の熱劣化性の成分や揮
散性成分の添加が困難となるため、これらの配合が難し
いという課題があった。
【0005】特開平3−33199号公報には、高速ミ
キサー/造粒機中、55℃以下の温度で乾式中和後、液
体バインダーの添加により粒状化する洗剤組成物の製造
方法が開示されている。特開平4−363398号公報
には高速ミキサー/造粒機中、55℃以上の温度で乾式
中和後、液体バインダーの添加により粒状化する洗剤組
成物の製造方法が開示されている。特開平3−1465
99号公報には、連続型高速ミキサーで乾式中和後中速
ミキサーで高嵩密度化し、ついで冷却及び/又は乾燥す
ることにより粒状化する洗剤組成物の製造方法が開示さ
れている。上記の製造方法によって得られる洗剤組成物
は粒径が小さいものであるが、実際上、所望の粒径の洗
剤組成物の収率向上には改善の余地があるものであっ
た。
【0006】また、特表平7−503750号公報に
は、酸形の陰イオン界面活性剤を高剪断ミキサー中で、
粒子50%の容積ベースでの直径5μm未満の粒状中和
剤(炭酸Na)によって中和し、洗剤粒子を製造する方
法が開示されている。しかしながらこの公報には、所望
の粒径の洗剤組成物の収率向上についての何らの記載や
示唆もない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、粒径が適度に小さい粒子を含有してなる高嵩密度
洗剤組成物を高収率で製造する方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、無機ビルダーであるト
リポリリン酸塩の粒径を特定の範囲とすることにより、
従来にない高い収率で粒度が適度に小さい粒子を含有し
てなる高嵩密度洗剤組成物が得られることを見出し、本
発明を完成させた。
【0009】即ち、本発明の要旨は、 (1) (a):工程(b)で用いる陰イオン界面活
性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量以上の粒子
状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30μm
のトリポリリン酸塩、及び1種以上の他の粒状固体とを
攪拌造粒機を用いて混合する工程、及び (b):工程(a)で得られる混合物に陰イオン界面活
性剤の液体酸前駆体を添加することにより、混合物を粒
状に維持しつつ、上記アルカリ無機物質によって該液体
酸前駆体を中和して造粒する工程、を含むことを特徴と
する、嵩密度650g/L以上の高嵩密度洗剤組成物の
製造方法、 (2) JIS K 8801の標準篩を用いて5分
間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求め
られる、得られる高嵩密度洗剤組成物の平均粒径が10
00μm以下であって、1400μmパス収率(上記重
量分率のうち、1400μm以下の粒子の占める割合)
が55%以上である前記(1)記載の製造方法、 (3) 粒子状固体水溶性アルカリ無機物質の平均粒
径が30μm以上である前記(1)又は(2)記載の製
造方法、 (4) 工程(b)において、ガス吹き込み操作を行
いつつ中和を行う前記(1)〜(3)いずれか記載の製
造方法、 (5) 工程(b)において、陰イオン界面活性剤の
液体酸前駆体を添加する前に、工程(a)で得られる混
合物に、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和する
のに必要な量の0.05〜0.5倍量のアルカリ水溶液
を添加してさらに混合する前記(1)〜(4)いずれか
記載の製造方法、 (6) アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液で
ある前記(5)記載の製造方法、 (7) 工程(b)に次いで、さらに (c):工程(b)で得られる粒状混合物を表面改質す
る工程、を設ける前記(1)〜(6)いずれか記載の製
造方法、 (8) 攪拌造粒機が、攪拌羽根と解砕/分散用チョ
ッパーを具備する前記(1)〜(7)いずれか記載の製
造方法、 (9) 表面改質に用いられる表面改質剤が、平均粒
径1〜30μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属アル
ミノケイ酸塩である前記(7)又は(8)記載の製造方
法、 (10) 工程(a)において、さらに平均粒径1〜3
0μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミノケイ
酸塩を添加して混合する前記(1)〜(9)いずれか記
載の製造方法、に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
1.工程(a)について 工程(a)は、工程(b)で用いる陰イオン界面活性剤
の液体酸前駆体を中和するのに必要な量(中和当量)以
上の粒子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜
30μmのトリポリリン酸塩、及び1種以上の他の粒状
固体とを攪拌造粒機を用いて混合する工程である。
【0011】粒子状固体水溶性アルカリ無機物質として
は、通常洗剤組成物においてアルカリ剤として用いられ
るものが挙げられ、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、ケイ酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム
等が例示される。アルカリ無機物質の中でも、好ましい
実施態様として炭酸ナトリウムがあり、炭酸ナトリウム
は最終組成物において、洗剤ビルダー及びアルカリ剤と
して機能させ得るものである。従って、上記機能のため
の炭酸ナトリウムも含めた量で工程(a)において添加
混合させることにより、中和反応を良好に行うことがで
きる。即ち、かかるアルカリ無機物質の量は、中和に必
要な量以上が好ましく、例えば、中和当量の1〜20倍
であり、より好ましくは2〜10倍、特に好ましくは3
〜8倍である。
【0012】また、粒子状固体水溶性アルカリ無機物質
の平均粒径は特に限定されないが、さらに収率向上及び
保存安定性の観点から30μm以上が好ましく、より好
ましくは40〜200μmであり、特に好ましくは50
〜100μmである。なお、本明細書でいう粒子状固体
水溶性アルカリ無機物質の平均粒径は体積基準で算出さ
れるものであり、レーザー回折式粒度分布測定装置:L
A−500(堀場製作所(株)製)を用いて測定される
値である。
【0013】トリポリリン酸塩の平均粒径は1〜30μ
mであるが、好ましくは5〜20μmであり、より好ま
しくは6〜15μmである。中和された粒状混合物の凝
集を抑制する観点から、トリポリリン酸塩の平均粒径は
小さい程収率が良くなるが、小粒径のものを工業的に得
るための生産性の観点から、平均粒径は1μm以上が好
ましく、中和された粒状混合物の凝集抑制の観点から3
0μm以下が好ましい。なお、本明細書でいうトリポリ
リン酸塩の平均粒径は体積基準で算出されるものであ
り、レーザー回折式粒度分布測定装置:LA−500
(堀場製作所(株)製)を用いて測定される値である。
また、トリポリリン酸塩の量は特に限定されるものでは
ないが、最終産物である洗剤組成物中2〜50重量%が
好ましく、10〜40重量%がより好ましく、15〜3
5重量%が特に好ましい。中和された粒状混合物の凝集
抑制の観点から2重量%以上が好ましく、洗剤組成物の
組成自由度確保の観点から50重量%以下が好ましい。
【0014】1種以上の他の粒状固体としては、粒子状
固体水溶性アルカリ無機物質及びトリポリリン酸塩以外
の粒状固体であり、例えば蛍光剤、顔料、再汚染防止剤
(ポリカルボキシレートポリマー、ナトリウムカルボキ
シメチルセルロース等)、粒子状界面活性剤(脂肪酸又
はその塩、、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アル
キル硫酸塩等)、噴乾粉末、珪藻土、方解石、カオリ
ン、ベントナイト、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム
等が挙げられる。かかる粒状固体は一種のみを添加して
もよく、二種以上を添加してもよい。上記の粒状固体の
量は特に限定されないが、最終産物である洗剤組成物の
2〜80重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ま
しく、7〜20重量%が特に好ましい。
【0015】さらに工程(a)においては、平均粒径1
〜30μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミノ
ケイ酸塩を添加することができる。かかるアルカリ金属
アルミノケイ酸塩を添加することにより、過度の凝集が
抑制され、且つ凝集物を攪拌造粒機のチョッパーで解砕
する際の助剤となるため好適である。かかるアルカリ金
属アルミノケイ酸塩の量は特に限定されないが、最終産
物である洗剤組成物中1〜8重量%が好ましく、2〜5
重量%がより好ましい。上記効果を効率良く得るため
に、上記範囲が好ましい。なお、本明細書でいう上記ア
ルミノケイ酸塩の平均粒径は体積基準で算出されるもの
であり、レーザー回折式粒度分布測定装置:LA−50
0(堀場製作所(株)製)を用いて測定される値であ
る。
【0016】工程(a)では、上記の各成分を攪拌造粒
機を用いて混合する。攪拌造粒機としては特に限定され
るものではないが、攪拌羽根と解砕/分散用チョッパー
(又はこれに機能的に同等なもの)を具備するものが好
ましい。本発明に用いられる攪拌造粒機の具体例として
は、バッチ式のものとして、バーチカルグラニュレータ
((株)パウレック製)、ハイスピードミキサー(深江
工業(株)製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)
製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)、ゲ
ーリッケミキサー(明治機械(株)製)等が挙げられ
る。特に好ましくは、レディゲミキサー、プロシェアミ
キサーである。連続式のものとして、連続式レディゲミ
キサー(中速ミキサー:滞留時間が比較的長い)や、高
速ミキサー(滞留時間が比較的短い)としてCBリサイ
クラー(Loedige 製)、タービュライザー(ホソカワミ
クロン(株)製)、シュギミキサー((株)パウレック
製)、フロージェットミキサー((株)粉研製)等が挙
げられる。なお、本発明においては上記ミキサーを適宜
組み合わせて用いても良い。また、攪拌造粒機は、内部
の温度を調節するためのジャケットを具備するものや、
ガス吹き込み操作を行うためのノズルを具備するものが
より好適である。
【0017】工程(a)における攪拌造粒機の作動条件
は特に限定されるものではない。例えば混合時間は5分
間以内が好ましい。主軸攪拌速度及び解砕/分散用チョ
ッパー速度は機種によって適宜設定し得るが、例えばバ
ッチ式のものであれば、主軸攪拌周速度は2〜15m/
sが好ましく、解砕/分散用チョッパー周速度は20〜
60m/sが好ましい。
【0018】なお、工程(a)における混合中、混合終
了後、及び/又は工程(b)における陰イオン界面活性
剤の液体酸前駆体の添加と同時に、反応開始剤としての
水を加えても良い。反応開始剤を添加することにより、
中和反応を促進させることができるため好適である。水
の添加量は特に限定されないが、工程(a)で得られた
混合物100重量部に対して0.2〜3重量部が好まし
く、0.5〜1.5重量部がより好ましい。中和反応を
開始させる観点から0.2重量部以上が好ましく、洗剤
組成物の凝集を抑える観点から3重量部以下が好まし
い。なお、上記混合物や陰イオン界面活性剤の液体酸前
駆体が水を含む場合、あるいは他の水溶液原料を用いる
場合、それらの水分量を考慮して、添加すべき水分量を
決定すれば良い。
【0019】2.工程(b)について 工程(b)は、工程(a)で得られる混合物に陰イオン
界面活性剤の液体酸前駆体を添加することにより、混合
物を粒状に維持しつつ、上記アルカリ無機物質によって
該液体酸前駆体を中和して造粒する工程である。本工程
において粒状混合物が形成され、かかる粒状混合物を高
嵩密度洗剤組成物として用いる。陰イオン界面活性剤の
液体酸前駆体とは、陰イオン界面活性剤の酸形態であっ
て液状のものをいい、中和反応により塩を形成するもの
である。よって陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体とし
ては公知の陰イオン界面活性剤の酸形態のものであれば
特に限定されるものではなく、直鎖アルキルベンゼンス
ルホン酸(LAS)、α−オレフィンスルホン酸(AO
S)、アルキル硫酸(AS)、内部オレフィンスルホン
酸、脂肪酸エステルスルホン酸、アルキルエーテル硫
酸、ジアルキルスルホコハク酸、脂肪酸等が例示され
る。液体酸前駆体は一成分のみを用いても良く、二成分
以上を組み合わせて用いても良い。
【0020】陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の量
は、所望の洗剤組成物の組成より適宜設定し得るが、最
終産物である洗剤組成物中、中和反応により生成する陰
イオン界面活性剤として5〜45重量%であることが好
ましく、10〜40重量%であることがより好ましく、
20〜40重量%であることが特に好ましく、20〜3
5重量%であることがさらに好ましい。尚、洗剤組成物
中の主界面活性剤が別の形態で提供される場合において
も本発明は有効である。
【0021】工程(b)では、工程(a)で得られる混
合物を粒状に維持しつつ陰イオン界面活性剤の液体酸前
駆体の添加が行われる。混合物を粒状に維持するために
は、液体酸前駆体を徐々に添加すれば良い。陰イオン界
面活性剤の液体酸前駆体の添加に要する時間は添加する
量に依存するため一概には言えないが、バッチ式の場
合、一般的には1分以上、より好ましくは1〜10分、
更に好ましくは2〜5分である。ここで、陰イオン界面
活性剤の液体酸前駆体の添加を著しく短時間で行うと、
急激な中和反応による発熱のため、後述する温度上昇の
影響があるので、1分以上で添加することが好ましい。
また、添加方法としては、連続的または複数回に分割し
て行ってもよく、添加手段は複数設けても良い。なお、
陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の添加段階におい
て、即ち工程(b)では中和反応と造粒とが同時並行的
に起こり、粒状混合物を形成していく。陰イオン界面活
性剤の液体酸前駆体の添加後、さらに攪拌造粒機を30
秒以上、より好ましくは1分以上作動させても良い。こ
のような操作を設けることにより、中和反応を完結させ
ることができるため好適である。
【0022】工程(b)においては、ガスを吹き込みつ
つ中和を行うことが好ましい。これは中和反応で生じた
余剰の水分を蒸発させ、かつ粒状物をガスを用いて冷却
させることにより粒状物が大きな塊となるのを防止する
ためである。かかるガスとしては、N2 ガス、空気等が
挙げられる。ガスの吹き込み量(通気量)は特に限定さ
れないが、粒状物100重量部に対して毎分0.002
重量部以上が好ましく、毎分0.02重量部以上がより
好ましい。
【0023】工程(b)では中和反応による反応熱が発
生するため、混合物の温度が上昇する。混合物の温度が
上昇すると、香料等の熱により劣化する成分や揮散性成
分の添加が困難となるため、工程(b)において、混合
物の温度は90℃以下であることが好ましく、80℃以
下であることがより好ましい。かかる範囲に混合物の温
度を調節するには、上記のガスの吹き込み以外に例えば
攪拌造粒機のジャケットに冷水を通す等の方法を用いれ
ば良い。
【0024】さらに本発明においては、工程(b)にお
いて、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を添加する前
に、工程(a)で得られる混合物に、陰イオン界面活性
剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量の0.05〜
0.5倍量のアルカリ水溶液を添加してさらに混合して
も良い。工程(a)で得られる混合物に特定量のアルカ
リ水溶液を添加することにより、中和反応を促進できる
だけでなく、得られる洗剤組成物を構成する粒子の粒径
を小さくすることや、嵩密度を高くすることができるた
め好適である。アルカリ水溶液の添加量は、陰イオン界
面活性剤の液体酸前駆体の中和当量の0.05〜0.5
倍量が好ましく、0.10〜0.45倍量がより好まし
く、0.15〜0.40倍量が特に好ましい。中和反応
を開始させ、所望の効果を得る観点から、中和当量の
0.05倍量以上が好ましく、洗剤組成物の凝集を抑え
る観点から0.5倍量以下が好ましい。なお、アルカリ
水溶液の濃度は特に限定されないが、低い濃度である場
合、所定量のアルカリ水溶液を添加するのに伴って過剰
の水が混合物に供給されるため、洗剤組成物の凝集が起
こる場合がある。したがって、アルカリ水溶液の濃度は
20〜50重量%が好ましく、30〜50重量%がより
好ましく、40〜50重量%が特に好ましい。
【0025】また、用いられるアルカリ水溶液の種類と
しては特に限定されるものではないが、例えば水酸化ナ
トリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の陰イオン界
面活性剤の液体酸前駆体と容易に中和反応を生じる強ア
ルカリ水溶液が挙げられる。これらのうち、水酸化ナト
リウム水溶液がコストの観点から好適に用いられる。ま
た、かかるアルカリ水溶液は、pHが12以上のものが
より好ましい。また、本工程における混合は、添加した
アルカリ水溶液が一様に分散する程度で良い。
【0026】なお、アルカリ水溶液の添加は、工程
(a)の処理後に行っても良く、工程(a)と同時に行
っても良い。後者の場合、具体的には、工程(a)の一
態様としての下記の工程(a’)により混合物を得る。
即ち、工程(a’)は、工程(b)で用いる陰イオン界
面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量以上の
粒子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30
μmのトリポリリン酸塩、1種以上の他の粒状固体、及
び陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必
要な量の0.05〜0.5倍量のアルカリ水溶液とを攪
拌造粒機を用いて混合する工程、である。
【0027】アルカリ水溶液を添加する場合に重要なこ
とは、アルカリ水溶液の添加を少なくとも工程(b)よ
りも先に行うことである。よって、アルカリ水溶液の添
加を必ずしも工程(a)の後に行うことに限定されな
い。さらに言及すれば、粒子状固体水溶性アルカリ無機
物質とアルカリ水溶液を混合した後に、他の洗剤成分を
添加混合しても良い。これは、混合物中に耐アルカリ性
に劣る成分を添加する場合に有効である。なお、アルカ
リ水溶液を混合物に均一に分散させる観点からは、前者
の態様、即ち、工程(a)の処理後にアルカリ水溶液の
添加を行うことが好ましい。
【0028】上記の工程を含む製造方法により、嵩密度
650g/L以上の粒状混合物である高嵩密度洗剤組成
物を得ることができる。本発明の製造方法によって得ら
れる高嵩密度洗剤組成物は、以下の物性を示すものがよ
り好ましい。 嵩密度:650〜950g/Lのものが好ましく、70
0〜900g/Lのものがより好ましい。なお、本明細
書において嵩密度は、JIS K 3362で規定され
た方法で求められる値である。
【0029】粒径:平均粒径については、溶解速度の観
点から1000μm以下のものが好ましく、さらに85
0μm以下のものが好ましく、300〜800μmのも
のがより好ましく、350〜650μmのものが特に好
ましい。また、1400μm以下のものの占める割合
(1400μmパス収率)(%)は55%以上のものが
好ましく、さらに60%以上のものが好ましく、65%
以上のものがより好ましく、70%以上のものが特に好
ましい。なお、本明細書において洗剤組成物の平均粒径
は、JIS K 8801の標準篩を用いて5分間振動
させた後、篩目のサイズによる重量分率から求められる
値であり、1400μmパス収率はこの重量分率のう
ち、1400μm以下の粒子が占める割合から求められ
る値である。 流動性:8秒以下のものが好ましく、7秒以下のものが
より好ましい。本明細書において洗剤組成物の流動性
は、JIS K 3362に規定された嵩密度測定用の
ホッパーから、100mLの粉末が流出するのに要する
時間である。
【0030】3.工程(c)について なお、工程(b)で得られる粒状混合物を表面改質する
工程である、工程(c)をさらに設けても良い。本製造
方法により得られる高嵩密度洗剤組成物のさらなる流動
性の向上、保存安定性の向上のために、工程(c)を設
けることは有効である。具体的には、工程(b)で得ら
れる粒状混合物を攪拌造粒機で混合しつつ、下記に示す
表面改質剤を所定量添加することにより、表面改質が達
成される。
【0031】表面改質剤としては通常用いられる公知の
ものが使用でき、結晶性又は非結晶性アルカリ金属アル
ミノケイ酸塩(ゼオライト)、方解石、ケイソウ土、シ
リカ等が好適に用いられる。かかるアルミノケイ酸塩
は、平均粒径が1〜30μmのものが好ましく、1〜1
0μm以下のものがより好ましい。またその量として
は、最終産物である洗剤組成物中2〜15重量%が好ま
しく、4〜12重量%がより好ましい。なお、表面改質
剤の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、レー
ザー回折式粒度分布測定装置:LA−500(堀場製作
所(株)製)を用いて測定される値である。また、表面
改質剤を添加した場合の攪拌造粒機の運転時間は特に限
定されないが、1〜5分間が好ましい。
【0032】なお、本製造方法において、得ようとする
洗剤組成物の組成により、所望の液体成分を添加するこ
とができる。液体成分の添加は、工程(a)、(b)、
(c)のどの工程で行っても良く、例えば表面改質剤の
添加前に行うことが好ましい。液体成分としては、例え
ば液体非イオン界面活性剤、水溶性ポリマー(ポリエチ
レングリコール、アクリル酸マレイン酸コポリマー
等)、脂肪酸等の洗剤組成物中の任意の液体成分が挙げ
られる。液体成分は一成分のみを用いてもよく、二成分
以上を併用しても良い。液体成分の量としては、洗剤組
成物の凝集抑制の観点から、最終産物である洗剤組成物
の15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好
ましい。また、液体成分を表面改質剤の添加前に行った
場合の攪拌造粒機の運転時間は特に限定されないが、
0.5〜8分間が好ましい。
【0033】なお、本発明において、さらにその他の任
意成分を添加しても良い。かかる任意成分としては、例
えば酵素、香料、漂白剤、色素等が挙げられる。かかる
成分は、本発明の製造方法によって得られる洗剤組成物
と上記の成分とを、回転ドラム等の混合機を用いて混合
することにより配合される。また、本発明の製造方法に
よって得られる高嵩密度洗剤組成物を、他の洗剤組成物
構成用成分として用いても良い。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により
なんら限定されるものではない。
【0035】実施例1 レディゲミキサーFKM−130D((株)マツボー
製)高速ミキサーを用いて、表1に示す組成の洗剤組成
物を35kg単位で製造した。このミキサーは攪拌羽根
と解砕/分散用チョッパーに相当する剪断機を具備する
ものである。ここで、洗剤組成物は以下の操作により調
製した。 <粉体混合>固体成分である、トリポリリン酸ナトリウ
ム(STPP:平均粒径11.2μm)7.7重量部、
炭酸ナトリウム(ライト灰:セントラル硝子(株)製、
平均粒径56.1μm)11.94重量部、及び蛍光剤
0.11重量部を、レディゲミキサーにより、攪拌羽根
回転数130rpm(周速度3.4m/s)、剪断機回
転数2850rpm(周速度27m/s)の条件で1分
間混合した。 <反応開始剤添加>水(0.25重量部)を反応開始剤
として加え、上記と同じ混合条件で1分30秒間混合し
た。
【0036】<中和>ミキサーを前記と同条件で作動さ
せながら、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)
10.92重量部を4分間で加えた。この間、ミキサー
ジャケットには25℃の水を通して冷却した。この段階
で、温度は最高68.8℃に達した。尚、この段階を通
して、反応混合物は粒状であった。なお、上記のLAS
は、0.16重量部の硫酸を含有するものであった。L
AS添加後、引き続きミキサーを同条件で1分間作動さ
せた。
【0037】<液体成分の添加・表面改質>中和反応が
完了した時点で、ミキサーを前記と同条件で作動させな
がら、40重量%アクリル酸マレイン酸コポリマー(有
効分0.18重量部)水溶液をミキサーに加え1分30
秒間混合し、続いて表面改質剤として平均粒径4μmの
ゼオライト(4.2重量部)を加え、さらに2分間ミキ
サーを作動させることにより表面改質処理を行った。な
お、上記ゼオライトは0.84重量部の結晶水を含有す
るものであった。得られた洗剤組成物の粒子は、140
0μmパス収率が73.9%、平均粒径が577μm、
嵩密度が818g/L、流動性が6.2秒であり、優れ
た物性の粒子であった。 <アフターブレンド>回転ドラムを用いて、酵素(0.
18重量部)と前記で得られた洗剤組成物を混合し、更
に香料(0.07重量部)を噴霧し、高嵩密度洗剤組成
物の最終粉末を得た。なお、本実施例において、炭酸ナ
トリウムはLASの中和に必要な量の6.7倍である。
【0038】実施例2 用いるトリポリリン酸ナトリウムの平均粒径が8.3μ
mのものを用いる以外は実施例1と同様の組成、操作に
より洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成
物の粒子は、1400μmパス収率が77.0%、平均
粒径が530μm、嵩密度が820g/L、流動性が
6.0秒であり、優れた物性の粒子であった。
【0039】実施例3 実施例1で用いたライト灰をハンマーミルにより粉砕し
て平均粒径6.9μmに調製したものを用いる以外は、
実施例1と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。
アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μ
mパス収率が60.5%、平均粒径が830μm、嵩密
度が831g/L、流動性が7.4秒であり、優れた物
性の粒子であった。
【0040】実施例4 中和・造粒操作において、ミキサー内に通気(空気、5
00L/分:粒状物100重量部に対して毎分0.02
重量部)した以外は実施例1と同様の操作により、表1
に示す洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組
成物の粒子は、1400μmパス収率が76.2%、平
均粒径が542μm、嵩密度が835g/L、流動性が
5.8秒であり、優れた物性の粒子であった。通気によ
り、実施例1に比べて平均粒径が小さくなり、嵩密度、
流動性が向上した。
【0041】実施例5 レディゲミキサーFKM−130D((株)マツボー
製)高速ミキサーを用いて、表1に示す組成の洗剤組成
物を35kg単位で製造した。このミキサーは攪拌羽根
と解砕/分散用チョッパーに相当する剪断機を具備する
ものである。ここで、洗剤組成物は以下の操作により調
製した。 <粉体混合>固体成分である、トリポリリン酸ナトリウ
ム(STPP:平均粒径11.2μm)7.7重量部、
炭酸ナトリウム(ライト灰:セントラル硝子(株)製、
平均粒径56.1μm)12.62重量部、及び蛍光剤
0.11重量部を、レディゲミキサーにより、攪拌羽根
回転数130rpm、剪断機回転数2850rpmの条
件で1分間混合した。 <反応開始剤添加>水(0.25重量部)を反応開始剤
として加え、同じ混合条件で1分30秒間混合した。
【0042】<中和>ミキサーを前記と同条件で作動さ
せながら、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)
10.92重量部を4分間で加えた。この間、ミキサー
ジャケットには25℃の水を通して冷却した。この段階
で、温度は最高61.8℃に達した。尚、この段階を通
して、反応混合物は粒状であった。なお、上記のLAS
は、0.16重量部の硫酸を含有するものであった。ま
た、実施例4と同じ条件で通気を行った。LAS添加
後、引き続きミキサーを同条件で1分間作動させた。得
られた洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が8
4.7%、平均粒径が578μm、嵩密度が680g/
L、流動性が8.3秒であった。
【0043】<表面改質>さらに、得られた洗剤組成物
の表面改質を、実施例1と同様に行った。得られた洗剤
組成物の粒子は、1400μmパス収率が90.1%、
平均粒径が462μm、嵩密度が688g/L、流動性
が6.3秒であり、優れた物性の粒子であった。なお、
本実施例において、炭酸ナトリウムはLASの中和に必
要な量の7.0倍である。
【0044】実施例6 レディゲミキサーFKM−130D((株)マツボー
製)高速ミキサーを用いて、表1に示す組成の洗剤組成
物を35kg単位で製造した。このミキサーは攪拌羽根
と解砕/分散用チョッパーに相当する剪断機を具備する
ものである。ここで、洗剤組成物は以下の操作により調
製した。 <粉体混合>固体成分である、トリポリリン酸ナトリウ
ム(STPP:平均粒径11.2μm)7.7重量部、
炭酸ナトリウム(ライト灰:セントラル硝子(株)製、
平均粒径56.1μm)13.74重量部、及び蛍光剤
0.11重量部を、レディゲミキサーにより、攪拌羽根
回転数130rpm、剪断機回転数2850rpmの条
件で1分間混合した。 <反応開始剤添加>水(0.25重量部)を反応開始剤
として加え、同じ混合条件で1分30秒間混合した。
【0045】<中和>ミキサーを前記と同条件で作動さ
せながら、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)
7.51重量部、次いで脂肪酸0.48重量部、次いで
非イオン界面活性剤1.4重量部を4分間で加えた。こ
の間、ミキサージャケットには25℃の水を通して冷却
した。この段階で、温度は最高59.5℃に達した。
尚、この段階を通して、反応混合物は粒状であった。な
お、上記のLASは、0.11重量部の硫酸を含有する
ものであった。また、実施例4と同じ条件で通気を行っ
た。LAS添加後、引き続きミキサーを同条件で1分間
作動させた。
【0046】<表面改質>中和反応が完了した時点で、
表面改質剤として平均粒径4μmのゼオライト(4.2
重量部)を加え、さらに2分間ミキサーを作動させるこ
とにより表面改質処理を行った。なお、上記ゼオライト
は0.84重量部の結晶水を含有するものであった。得
られた洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が7
5.0%、平均粒径が613μm、嵩密度が871g/
L、流動性が5.4秒であり、優れた物性の粒子であっ
た。 <アフターブレンド>回転ドラムを用いて、酵素(0.
18重量部)と前記で得られた洗剤組成物を混合し、更
に香料(0.07重量部)を噴霧し、高嵩密度洗剤組成
物の最終粉末を得た。なお、本実施例において、炭酸ナ
トリウムはLAS及び脂肪酸の中和に必要な量の10.
7倍である。
【0047】比較例1 トリポリリン酸ナトリウムの平均粒径が58.4μmの
ものを用いる以外は実施例1と同様の組成、操作により
洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の
粒子は、1400μmパス収率が34.2%、平均粒径
が1213μm、嵩密度が712g/L、流動性が7.
8秒であり、嵩密度が低く、粗大粒子の割合が多い収率
の悪いものであった。
【0048】比較例2 トリポリリン酸ナトリウムの平均粒径が36.5μmの
ものを用いる以外は実施例1と同様の組成、操作により
洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の
粒子は、1400μmパス収率が50.5%、平均粒径
が1087μm、嵩密度が719g/L、流動性が6.
7秒であり、嵩密度が低く、粗大粒子の割合が多い収率
の悪いものであった。
【0049】比較例3 トリポリリン酸ナトリウムは平均粒径が58.4μmの
もの、ライト灰はハンマーミルにより粉砕して平均粒径
6.9μmに調製したものを用いる以外は、実施例1と
同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。アフターブ
レンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率
が27.6%、平均粒径が1670μm、嵩密度が76
9g/L、流動性が7.0秒であり、嵩密度が低く、粗
大粒子の割合が多い収率の悪いものであった。なお、表
1に、上記実施例、比較例における洗剤組成物の最終粉
末の組成を示す。また、表2及び表3に、得られた造粒
後の洗剤組成物の物性等を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】上記の結果より、中和反応に直接関与しな
いトリポリリン酸塩を1〜30μmの平均粒径とするこ
とにより、洗剤組成物の凝集、粗粒化を抑制できること
が確認された。
【0054】実施例7 レディゲミキサーFKM−130D((株)マツボー
製)高速ミキサーを用いて、表4に示す組成の洗剤組成
物を35kg単位で製造した。このミキサーは攪拌羽根
と解砕/分散用チョッパーに相当する剪断機を具備する
ものである。ここで、洗剤組成物は以下の操作により調
製した。 <粉体混合>固体成分である、トリポリリン酸ナトリウ
ム(STPP:平均粒径11.2μm)5.25重量
部、炭酸ナトリウム(ライト灰:セントラル硝子(株)
製、平均粒径56.1μm)13.82重量部、及び蛍
光剤0.088重量部を、レディゲミキサーにより、攪
拌羽根回転数130rpm(周速度3.4m/s)、剪
断機回転数2850rpm(周速度27m/s)の条件
で1分間混合した。なお、炭酸ナトリウムは用いる直鎖
アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)の中和に必要な
量の7.8倍であった。 <アルカリ水溶液添加>48重量%水酸化ナトリウム水
溶液を0.56重量部加え、同じ混合条件で1分30秒
間混合した。この量は、LASの中和当量の0.2倍で
あった。
【0055】<中和>ミキサーを前記と同条件で作動さ
せながら、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS:
分子量322)11.26重量部を4分間で加えた。こ
の間、ミキサージャケットには25℃の水を通して冷却
した。この段階で、温度は最高72℃に達した。尚、こ
の段階を通して、反応混合物は粒状であった。LAS添
加後、引き続きミキサーを同条件で1分間作動させ、中
和反応及び造粒操作を完結した。なお、中和反応及び造
粒を行った工程を通じて、ミキサー内に空気を毎分0.
5m3 で供給した。
【0056】<液体成分の添加・表面改質>中和反応及
び造粒操作が完了した時点で、ミキサーを前記と同条件
で作動させながら、40重量%アクリル酸マレイン酸コ
ポリマー(有効分0.245重量部)水溶液をミキサー
に加え1分30秒間混合し、続いて表面改質剤として平
均粒径4μmのゼオライト(4.2重量部)を加え、さ
らに2分間ミキサーを作動させることにより表面改質処
理を行った。なお、上記ゼオライトは0.84重量部の
結晶水を含有するものであった。得られた洗剤組成物の
粒子は、1400μmパス収率が76.5%、平均粒径
が578μm、嵩密度が772g/L、流動性が6.4
秒であり、優れた物性の粒子であった。 <アフターブレンド>回転ドラムを用いて、酵素(0.
105重量部)と前記で得られた洗剤組成物を混合し、
更に香料(0.07重量部)を噴霧し、高嵩密度洗剤組
成物の最終粉末を得た。
【0057】実施例8 添加する48重量%水酸化ナトリウム水溶液の量を1.
12重量部(LASの中和当量の0.4倍量)とした以
外は実施例7と同様の組成、操作により洗剤組成物を得
た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、140
0μmパス収率が79.0%、平均粒径が550μm、
嵩密度が809g/L、流動性が6.2秒であり、優れ
た物性の粒子であった。
【0058】実施例9 中和反応及び造粒を行った工程を通じて、通気を行わな
い以外は、実施例7と同様の組成、操作により洗剤組成
物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、
1400μmパス収率が70.0%、平均粒径が630
μm、嵩密度が761g/L、流動性が6.7秒であっ
た。
【0059】実施例10 48重量%水酸化ナトリウム水溶液を全く添加しない以
外は実施例7と同様の組成、操作により洗剤組成物を得
た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、140
0μmパス収率が59.3%、平均粒径が790μm、
嵩密度が678g/L、流動性が7.2秒であった。
【0060】実施例11 48重量%水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、水
(0.25重量部)を用いる以外は実施例7と同様の組
成、操作により洗剤組成物を得た。アフターブレンド前
の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が67.
5%、平均粒径が660μm、嵩密度が711g/L、
流動性が6.8秒であった。
【0061】実施例12 48重量%水酸化ナトリウム水溶液を全く添加せず、さ
らに中和反応及び造粒を行った工程を通じて通気を行わ
ない以外は、実施例7と同様の組成、操作により洗剤組
成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子
は、1400μmパス収率が58.6%、平均粒径が8
13μm、嵩密度が682g/L、流動性が7.9秒で
あった。
【0062】実施例13 48重量%水酸化ナトリウム水溶液の量を1.96重量
部(LASの中和当量の0.7倍量)とした以外は実施
例7と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。アフ
ターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパ
ス収率が57.0%、平均粒径が950μm、嵩密度が
721g/L、流動性が8.0秒であった。
【0063】なお、表4に洗剤組成物の最終粉末の組成
を、表5に反応条件及び粒子の物性を示す。
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】実施例10〜実施例13で得られた洗剤組
成物は、界面活性剤量が多く、平均粒径1〜30μmの
トリポリリン酸塩が少ないことから実施例1〜実施例6
と比較してその性質がやや劣る傾向が見られるが、実施
例7〜実施例9で示されるように、特定量のアルカリ水
溶液を添加することにより、得られる洗剤組成物の物性
値(1400μmパス収率、平均粒径、嵩密度、及び流
動性)が向上することが分かった。また、実施例7と実
施例9から、中和・造粒の際に通気を行うことにより、
得られる洗剤組成物の物性値がさらに向上することが分
かった。また、実施例9、実施例10及び実施例12か
ら、通気よりも特定量のアルカリ水溶液の添加の方が、
得られる洗剤組成物の物性値の向上に大きく寄与するこ
とが分かった。
【0067】本発明の他の各種態様を以下に例示する。 〔1〕 (a’):工程(b)で用いる陰イオン界面
活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量以上の粒
子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30μ
mのトリポリリン酸塩、1種以上の他の粒状固体、及び
陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要
な量の0.05〜0.5倍量のアルカリ水溶液とを攪拌
造粒機を用いて混合する工程、及び (b):工程(a’)で得られる混合物に、陰イオン界
面活性剤の液体酸前駆体を添加することにより、混合物
を粒状に維持しつつ、上記アルカリ無機物質によって該
液体酸前駆体を中和して造粒する工程、を含むことを特
徴とする、嵩密度650g/L以上の高嵩密度洗剤組成
物の製造方法。 〔2〕 工程(b)において、ガス吹き込み操作を行
いつつ中和を行う前記〔1〕記載の製造方法。 〔3〕 ガス吹き込み量が、工程(b)における粒状
物100重量部に対して毎分0.002重量部以上であ
る前記〔2〕記載の製造方法。 〔4〕 トリポリリン酸塩の量が、得られる洗剤組成
物の5〜50重量%である前記〔1〕〜〔3〕いずれか
記載の製造方法。 〔5〕 トリポリリン酸塩の平均粒径が1〜30μm
である前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の製造方法。 〔6〕 JIS K 8801の標準篩を用いて5分
間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求め
られる、得られる高嵩密度洗剤組成物の平均粒径が10
00μm以下であって、1400μmパス収率(上記重
量分率のうち、1400μm以下の粒子の占める割合)
が55%以上である前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の
製造方法。 〔7〕 工程(b)に次いで、さらに (c):工程(b)で得られる粒状混合物を表面改質す
る工程、を設ける前記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の製
造方法。 〔8〕 表面改質に用いられる表面改質剤が、結晶性
又は非結晶性アルカリ金属アルミノケイ酸塩である前記
〔7〕記載の製造方法。
〔9〕 攪拌造粒機が、攪拌羽根と解砕/分散用チョッ
パーを具備する前記〔1〕〜〔8〕いずれか記載の製造
方法。
【0068】
【発明の効果】平均粒径1〜30μmのトリポリリン酸
塩を用い、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体と粒子状
固体水溶性アルカリ無機物質を攪拌造粒機により中和す
ることで、粒径の小さな粒子を含有してなる高嵩密度洗
剤組成物を高収率で得られる。
フロントページの続き (72)発明者 湯川 英夫 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内 (72)発明者 秦野 耕一 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a):工程(b)で用いる陰イオン界
    面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量以上の
    粒子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30
    μmのトリポリリン酸塩、及び1種以上の他の粒状固体
    とを攪拌造粒機を用いて混合する工程、及び (b):工程(a)で得られる混合物に陰イオン界面活
    性剤の液体酸前駆体を添加することにより、混合物を粒
    状に維持しつつ、上記アルカリ無機物質によって該液体
    酸前駆体を中和して造粒する工程、を含むことを特徴と
    する、嵩密度650g/L以上の高嵩密度洗剤組成物の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 JIS K 8801の標準篩を用いて
    5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から
    求められる、得られる高嵩密度洗剤組成物の平均粒径が
    1000μm以下であって、1400μmパス収率(上
    記重量分率のうち、1400μm以下の粒子の占める割
    合)が55%以上である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 粒子状固体水溶性アルカリ無機物質の平
    均粒径が30μm以上である請求項1又は2記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 工程(b)において、ガス吹き込み操作
    を行いつつ中和を行う請求項1〜3いずれか記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 工程(b)において、陰イオン界面活性
    剤の液体酸前駆体を添加する前に、工程(a)で得られ
    る混合物に、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和
    するのに必要な量の0.05〜0.5倍量のアルカリ水
    溶液を添加してさらに混合する請求項1〜4いずれか記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】 アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶
    液である請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 工程(b)に次いで、さらに (c):工程(b)で得られる粒状混合物を表面改質す
    る工程、を設ける請求項1〜6いずれか記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 攪拌造粒機が、攪拌羽根と解砕/分散用
    チョッパーを具備する請求項1〜7いずれか記載の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 表面改質に用いられる表面改質剤が、平
    均粒径1〜30μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属
    アルミノケイ酸塩である請求項7又は8記載の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 工程(a)において、さらに平均粒径
    1〜30μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミ
    ノケイ酸塩を添加して混合する請求項1〜9いずれか記
    載の製造方法。
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