JPH10148091A - シールド掘進機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーンガイドとインナーコーンとの隙間が土
砂で閉塞され難くする。インナーコーンへの土砂等の付
着や固結を防止する。 【解決手段】 掘進機１の前面に回転自在に配置され地
盤を掘削するカッターディスク４と、掘進機１の内部で
カッターディスク４の後方に配置され、内径が後方に向
かって小さくなる円錐状をなし、その内側空間に土砂が
送り込まれるコーンガイド３と、コーンガイド３の内側
でカッターディスク４の後方に回転自在に配置され、外
径が後方に向かって大きくなる円錐状をなし、後端でコ
ーンガイド３との間に狭小な破砕隙間６を構成し、土砂
を破砕隙間６で破砕するインナーコーン５と、破砕隙間
６で対面するコーンガイド３の内周とインナーコーン５
の外周との少なくとも何れか一方に対して、周方向に間
隔をあけて複数個が配置された切欠き８とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、地中に管渠を推進
埋設する推進工法に用いられるシールド掘進機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】砂礫や玉石層での推進工法は、基本的に
は礫や玉石を破砕してから、埋設管内を経て地上へと搬
送する方法が採用されている。地盤を掘進するシールド
掘進機の構造としては、当初は、礫や玉石をシールド掘
進機内に装備したクラッシャに導びいて破砕する方法が
採用されていた。

【０００３】しかし、この方法では、地盤中の礫や玉石
の量が多くなると破砕効率が悪くなるという欠点があ
る。また、破砕時間が長くなると、その間に地盤中の砂
等を過剰に取り込み、周辺地盤の沈下を招来するという
問題も発生していた。上記問題を解決するために、図９
に示すような、コーン形式の掘進機が提案されている。
すなわち、内径が後方に向かって小さくなるコーンガイ
ドを有する円筒状の外殻の先端に、土砂を掘削するカッ
ターディスクを装備し、カッターディスクの背面にコー
ンガイド内で回転するインナーコーンを固定しておき、
インナーコーンを強制回転させることで、コーンガイド
とインナーコーンとの後端に構成される狭小な隙間に土
砂を挟み込み、礫を効率良く破砕するシールド掘進機が
開発され、使用されている。

【０００４】上記構造のシールド掘進機では、カッター
ディスクに貫通する取込口から掘進機の内部に取り込ま
れた礫や玉石は、インナーコーンの回転により順次後方
に送られ、コーンガイドとインナーコーンとの狭小な隙
間に挟み込まれて効率良く破砕される。破砕された礫や
玉石は他の土砂や水等とともに後方に搬送されて、排出
処理される。土砂礫の搬送方法としては、流体輸送や空
気輸送等の方法が採用される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】一般に、推進施工され
る地盤の土質条件は、均一な礫層や玉石層が連続してい
ることは稀であり、砂層や粘土層が互層していることが
多い。前記したコーン形式の掘進機は、礫や玉石の破砕
を目的に開発されていたため、前記した砂層などの異な
る土質、特に粘土層に遭遇した場合には、コーンガイド
とインナーコーンとの狭小な隙間に粘土が徐々に圧密さ
れて隙間を閉塞してしまうという問題がある。隙間が閉
塞すれば掘進困難になるから、閉塞した土砂を撤去する
ために、多くの時間が費やされ、推進施工の遅延を招来
していた。

【０００６】また、別の問題として、粘性の強い土など
がインナーコーンの外周面に付着して固結することによ
って、インナーコーンの外周面に沿った土砂の後方への
移動がスムーズに行き難くなり、礫や玉石の破砕が困難
になることがある。本発明の課題は、礫や玉石層と粘土
層等との互層地盤のように、従来のコーン形式の掘進機
では、掘進が困難な条件においても良好な掘進施工を可
能にすることである。より具体的な課題は、コーンガイ
ドとインナーコーンとの隙間が土砂で閉塞され難くする
ことである。別の課題は、インナーコーンへの土砂等の
付着や固結を防止することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のシールド掘進機
は、掘進機で地盤を掘削しながら、掘進機とともに掘進
機の後方に連結された埋設管を推進させて、埋設管を埋
設する推進工法用のシールド掘進機であって、カッター
ディスクとコーンガイドとインナーコーンとを有する。

【０００８】カッターディスクは、掘進機の前面に回転
自在に配置され、地盤を掘削する。コーンガイドは、掘
進機の内部でカッターディスクの後方に配置され、内径
が後方に向かって小さくなる円錐状をなし、その内側空
間にカッターディスクで掘削された土砂が送り込まれ
る。インナーコーンは、コーンガイドの内側でカッター
ディスクの後方に回転自在に配置され、外径が後方に向
かって大きくなる円錐状をなし、後端でコーンガイドと
の間に狭小な破砕隙間を有し、土砂を破砕隙間で破砕す
る。

【０００９】破砕隙間で対面するコーンガイドの内周と
インナーコーンの外周との少なくとも何れか一方に対し
て、周方向に間隔をあけて複数個が配置された切欠きを
備えることができる。切欠きの寸法は、幅４０〜６０m
m、深さ４０〜６０mmであるのが好ましい。インナーコ
ーンの外周面に突出する螺旋状肉盛りを備えることがで
きる。

【００１０】インナーコーンを前後に進退移動させる進
退機構を備えることができる。破砕隙間に対面するコー
ンガイドの内周に開口し、破砕隙間に洗浄液を供給する
洗浄液供給手段をさらに備えることができる。掘進機
が、コーンガイドの内周面に開口し、カッターディスク
の背面に泥水を供給する送泥管をさらに備え、洗浄液供
給手段が、泥水の一部を洗浄液として用いることができ
る。

【００１１】具体的な構成を説明する。 〔掘進機の基本構造〕掘進機の基本的な構造は、通常の
コーン式の掘進機と同様でよい。カッターディスク、コ
ーンガイド、インナーコーンの形状や構造も、通常の掘
進機と同様でよい。

【００１２】掘進機には、上記構造の他に、掘削した土
砂を後方に搬送する排土配管や、掘進機の推進方向を変
える方向修正ジャッキ、モータ等の駆動機、駆動機の回
転をインナーコーンやカッターディスクに伝達する減速
機などの変速機構、駆動機や方向修正ジャッキを制御す
る制御線、電力や油圧の供給配管なども備えておくこと
ができる。

【００１３】カッターディスクには、その前面にカッタ
ーやビットなどの掘削手段を備えているとともに、掘削
した土砂を背面側に送り込むための取込口を備えてい
る。コーンガイドとインナーコーンとの間に構成される
破砕隙間の配置構造は、基本的には通常の掘進機の場合
と同様でよい。破砕隙間の寸法は、対応する地盤の土質
や掘進機の能力によっても異なるが、通常は、数mmから
数十mmの範囲で設定される。好ましくは、１５〜３０mm
程度に設定される。

【００１４】掘進機には、送排泥機構を備えておくこと
ができる。送排泥機構は、カッターディスクで掘削され
た土砂に泥水を混合し、土砂を泥水とともに排出するこ
とで、掘削土砂の搬送効率を向上させる技術である。送
排泥機構の基本的な構造は、通常の送排泥装置と同様で
よい。送排泥機構の一部として、コーンガイドの内周面
に開口し、カッターディスクの背面に泥水を供給する送
泥管を備えておくことができる。送泥管およびその付属
構造は、通常の送泥式の掘進機と同様の構造が採用でき
る。

【００１５】掘削された土砂の排出機構としては、上記
送排泥機構の他に、各種の流体搬送機構や空気輸送機構
を備えておくことができる。 〔切欠き〕切欠きの形状および配置構造は、目的とする
機能が発揮できれば、特に限定されない。具体的には、
半円形、Ｕ字形、矩形、Ｖ字形などで構成される。切欠
きは、周方向に所定の間隔をあけて複数個が配置され
る。等間隔で配置されていてもよいし、不等間隔で配置
しておくこともできる。

【００１６】切欠きは、コーンガイドの内周およびイン
ナーコーンの外周の何れか一方あるいは両方に設けてお
くことができる。コーンガイドとインナーコーンの両方
に切欠きを設ける場合、その形状や寸法は同じであって
もよいし異なっていてもよい。コーンガイドとインナー
コーンの両方に切欠きを設け、その間隔が等間隔である
場合、全周でコーンガイドとインナーコーンの切欠きが
合致した状態で多くの切欠きに礫などを噛み込むと、過
大な抵抗力が発生して、インナーコーンの回転に支障が
出たり装置を損傷する心配がある。そこで、このような
場合には、切欠きの間隔を一部または全部で不等間隔に
しておくほうが好ましい。

【００１７】切欠きの寸法は、地盤の土質や推進工法の
施工条件などによっても異なるが、通常は、幅４０〜６
０mm、深さ４０〜６０mmに設定しておくのが好ましい。
但し、コーンガイドとインナーコーンの両方に切欠きを
設ける場合には、両方の切欠きの深さを合計して、上記
範囲に設定すればよい。また、インナーコーンとコーン
ガイドの間に形成される破砕隙間の寸法によっても、切
欠きの好ましい寸法は変わる。

【００１８】切欠きの構成により、コーンガイドとイン
ナーコーンとの間に構成される破砕隙間が、周方向にお
いて、通常の連続した狭小な隙間と、切欠きの個所にお
ける部分的に広い隙間とが交互に配置されることにな
る。破砕隙間で圧密されたり固着したりした粘土等の土
砂が、隙間の断続的な変化によって、コーンガイドおよ
びインナーコーンの表面から離脱し易くなる。インナー
コーンの回転に伴って、狭い隙間と広い隙間の位置が順
次移ることになるので、破砕隙間の全周にわたって、前
記した土砂の離脱が良好に行われる。また、礫や玉石が
広い隙間に入り、次にその隙間が狭くなれば、狭い隙間
で礫や玉石が破砕される。切欠きの端縁が礫や玉石に衝
突して破砕する作用が生じる。切込みを有する破砕隙間
は礫の噛み込みが良くなり、破砕効率が向上することに
なる。 〔螺旋状肉盛り〕インナーコーンの円錐状をなす外周面
に沿って、いわゆる肉盛り熔接などの技術を用いて形成
される。肉盛りの突出高さや幅は、通常の肉盛りと同様
でよい。螺旋は１条であってもよいし、複数条の螺旋で
あってもよい。

【００１９】螺旋の方向は、インナーコーンの回転方向
と、螺旋を後方側に辿ったときの旋回方向とが逆になる
ように設定しておくのが好ましい。このようにしておけ
ば、インナーコーンの回転に伴い、インナーコーンの外
周に存在する土砂が、螺旋状肉盛りの螺旋方向にしたが
って後方側の破砕隙間に向かって順次送り込まれる。イ
ンナーコーンが正逆回転を行う場合には、通常運転時の
回転方向に合わせるのが好ましい。

【００２０】螺旋状肉盛りを設けることで、土砂の後方
への移動がスムーズに行われる。また、土砂中に含まれ
る礫や玉石が後方への移動中に螺旋状肉盛りに接触した
り衝突したりして破砕される作用もある。 〔進退機構〕外周のコーンガイドに対して内周のインナ
ーコーンを前後に進退させることができれば、通常の機
械装置における進退機構を採用することができる。

【００２１】インナーコーンとともにカッターディスク
も一体的に進退させることができる。進退機構の具体的
構造として、インナーコーンとともにそれを回転駆動す
る減速機および駆動機を、掘進機の隔壁に固定されたボ
スに対して、滑動可能に支持させておき、隔壁に固定さ
れたジャッキ等でインナーコーン等を一体的に前後に移
動させることができる。また、他の方法として、インナ
ーコーンの回転軸部にインナーコーンを前後に進退させ
るジャッキ機構を装備しておいてもよい。

【００２２】インナーコーンを進退させることで、コー
ンガイドとインナーコーンとの間に構成される狭小な破
砕隙間の間隔が変わる。その結果、破砕隙間に土砂が固
着して閉塞しても、その閉塞を解除させることができ
る。また、破砕隙間が変更できれば、破砕隙間に土砂が
固着し難くなる。土質に合わせて、破砕隙間の間隔ある
いはインナーコーンの位置を調整することができる。 〔洗浄液供給機構〕洗浄液は、通常の工業用水であって
もよいし、地盤から出る地下水であってもよいし、送泥
用の泥水であってもよい。

【００２３】洗浄液供給手段の開口は、破砕隙間に洗浄
液を効率的に供給できれば、具体的な配置構造は特に限
定されない。掘進機に送泥機構を備えている場合には、
送泥機構で用いる泥水の一部を洗浄液として利用するこ
とができる。破砕隙間に洗浄液を供給することで、破砕
隙間を閉塞していたり固着している土砂を洗い流すこと
ができる。破砕隙間を通過する土砂の流れがスムーズに
なる。

【００２４】

【発明の実施の形態】図１および図２に示すシールド掘
進機１は、呼び径φ１０００の礫地盤用掘進機であり、
全体が円筒状をなす外殻２の内部に各種の機構構造を収
容している。掘進機１の外径は１２３０mmに設定されて
いる。掘進機１の先端には円盤状のカッターディスク４
を備えている。カッターディスク４は、掘進機１の内部
後方に配置された駆動機１１および減速機１０で回転駆
動される。カッターディスク４の前面には複数の掘削ビ
ットあるいはカッターが配置されており、カッターディ
スク４の回転に伴って地盤を掘削する。図示しないが、
カッターディスク４には土砂取込口が貫通しており、掘
削された土砂は、土砂取込口からカッターディスク４の
後方空間へと送り込まれる。

【００２５】カッターディスク４の後方で掘進機１の外
殻２の内周には、内径が後方に向かって徐々に小さくな
る円錐状をなすコーンガイド３を備えている。掘進機１
の円筒外殻２とコーンガイド３の内面との間には、断面
三角形状の泥水空間３２が設けられており、この泥水空
間３２には、掘進機１の後方から配設された送泥管３１
が接続され、泥水が送り込まれる。コーンガイド３の内
面には泥水供給口３４が貫通しており、泥水空間３２の
泥水を、コーンガイド３の内側とカッターディスク４の
背面との間の空間に送り込む。この泥水は、カッターデ
ィスク４による地盤の掘削を行い易くしたり、掘削され
た土砂を掘進機１の後方に排出する作業を行い易くす
る。掘進機１の内部には、土砂および泥水を後方に排出
するための排泥管１２が設置されている。

【００２６】コーンガイド３の内側でカッターディスク
４の背面には、インナーコーン５が配置されている。イ
ンナーコーン５は、前記カッターディスク４と、駆動機
１１および減速機１０との間に装着され、カッターディ
スク４とともに回転駆動される。インナーコーン５の形
状は、後方に拡径していく円錐状をなしている。インナ
ーコーン５の外周面には、周方向および稜線方向に沿っ
て縦横に肉盛り部１３が配置されている。肉盛り部１３
は、いわゆる肉盛り熔接技術を利用して形成される。

【００２７】インナーコーン５の後端外周とコーンガイ
ド３の後端内周との間には、１５〜２０mm程度の狭小な
破砕隙間６があいている。コーンガイド３の内周面で破
砕隙間６に面する個所には泥水吐出口３６が開口してい
る。泥水空間３２に供給された泥水の一部が、吐出口３
６から破砕隙間６に向かって吐出される。

【００２８】図２に詳しく示すように、インナーコーン
５の後端外周には、断面Ｕ字形をなす切欠き８が、周方
向に沿って等間隔に配置されている。切欠き８の寸法
は、幅５０mm、深さ６０mmである。したがって、切欠き
８の個所では、切欠き８の無い個所における破砕隙間６
よりも広い隙間７があいていることになる。カッターデ
ィスク４の背面に送り込まれた土砂は、コーンガイド３
の内周面とインナーコーン５の外周面とで構成されるテ
ーパー状の空間を後方に移動しながら、インナーコーン
５の回転に伴って攪拌破砕される。その際に、送泥管３
１から送り込まれた泥水が攪拌混合されることで、土砂
の塊が崩壊して細かくなり移動し易くなる。インナーコ
ーン５の外周面に配置された肉盛り部１３は、土砂の崩
壊や泥水との混合を促進させる作用がある。

【００２９】破砕隙間６を通過する土砂は、狭い空間を
通過することで、礫や玉石なども容易に破砕される。破
砕隙間６を通過した土砂を含む泥水は、排泥管１２を経
て地上まで搬送される。特に、インナーコーン５の外周
に切欠き８を有することで、インナーコーン５の回転に
伴って、切欠き８あるいは広い隙間７がコーンガイド３
の内周に沿って順次移動する。破砕隙間６でコーンガイ
ド３やインナーコーン５に固着して破砕隙間６を閉塞す
る粘性質の土砂が、切欠き８で掻き落とされたり剪断作
用を受けたりして離脱し易くなる。礫や玉石が切欠き８
のある広い隙間７に入り込んだあと、インナーコーン５
の回転とともに周方向に旋回させられ、切欠き８の周縁
に噛む込まれることで破砕される。広い隙間７と狭い隙
間６とが周方向に交互に移動しているので、破砕隙間６
の全周にわたって、土砂の固着や閉塞を防止し、礫や玉
石の破砕を効率的に行うことができる。

【００３０】さらに、破砕隙間６には泥水吐出口３６か
ら泥水が吹き付けられるので、破砕隙間６でインナーコ
ーン５やコーンガイド３に固着した土砂が効率的に洗い
流される。その結果、破砕隙間６への土砂の固着や閉塞
が良好に防止される。 〔別の実施形態１〕図３に示す実施形態は、洗浄液の供
給構造が異なる以外は、前記実施形態と共通する構成が
採用されるので、異なる構成を主にして説明する。

【００３１】コーンガイド３の内周で破砕隙間６に対面
する個所に、洗浄液供給管２０の吐出口２４が開口して
いる。洗浄液供給管２０には、後方から洗浄水が供給さ
れる。この実施形態では、掘削土砂を排出するための泥
水供給とは別に洗浄水の供給を制御することができるの
で、破砕隙間６における土砂の固着状態や土質に合わせ
て、適切な圧力あるいは量で洗浄水を供給することがで
きる。 〔別の実施形態２〕図４に示す実施形態は、切欠きの構
造が異なる以外は、前記実施形態と共通しする構成が採
用されるので、異なる構成を主にして説明する。

【００３２】インナーコーン５の外周の切欠き８と同じ
位置および形状で、コーンガイド３の内周にも切欠き８
を設けている。インナーコーン５の回転に伴い、内外周
の切欠き８、９が対面した状態では、最も大きな隙間
７′が構成される。一方の切欠き８または９と、他方の
平坦な周面とが対面した状態では、前記実施例と同じ程
度の隙間７が構成され、内外の平坦な周面同士が対面し
た状態では狭い隙間６が構成される。

【００３３】したがって、上記実施形態では、破砕隙間
の変化幅が大きくなり、前記した隙間変化に伴う作用効
果がより良く発揮される。 〔別の実施形態３〕図５に示す実施形態は、インナーコ
ーンに配置される肉盛り部の構造が異なる以外は、前記
実施形態と共通しする構成が採用されるので、異なる構
成を主にして説明する。

【００３４】円錐状のインナーコーン５の表面に、肉盛
り熔接によって形成された螺旋状をなす肉盛り部１３が
配置されている。螺旋の方向は、インナーコーン５の通
常回転方向に合わせている。具体的には、図５に示した
螺旋状肉盛り部１３は、カッターディスク４の前面側か
ら見て、インナーコーン５が反時計回りに回転し、螺旋
状肉盛り部１３が、インナーコーン５の回転方向と逆方
向に旋回しながら後方に向かって延びている。

【００３５】インナーコーン５を回転させると、螺旋状
肉盛り部１３に接触する土砂は、螺旋状肉盛り部１３の
旋回により順次後方側へと送られて、破砕隙間６に効率
的に送り込まれる。また、礫等が螺旋状肉盛り部１３に
接触したり衝突したりして破砕される。 〔別の実施形態４〕図６〜８に示す実施形態は、インナ
ーコーンとカッターディスクの進退機構を備えている以
外は、前記実施形態と共通しする構成が採用されるの
で、異なる構成を主にして説明する。

【００３６】図６に示すように、進退機構１４は、掘進
機１の隔壁１９に固定されたボス１５を有する。ボス１
５の内側に、減速機１０の後方部分に固定された滑動体
１６がスプライン機構を用いて滑動自在に取り付けられ
ている。減速機１０の前方に取り付けられたインナーコ
ーン５およびカッターディスク４、減速機１０の後方に
取り付けられた駆動機１１の全体が一体となって滑動体
１６とともに、ボス１５の内部を前後に進退する。

【００３７】隔壁１９よりも前方側でボス１５の内面と
減速機１０の外面との間に、シール部材１８、１８が配
置されており、隔壁１９の前方空間に取り込まれた土砂
が、隔壁１９の後方に漏れるのを防ぐ。隔壁１９の背面
には前後方向に伸縮するジャッキ１７が配置されてい
る。ジャッキ１７の先端は、減速機１０の後端から外周
に延びる腕１０ａに旋回自在に取り付けられている。

【００３８】ジャッキ１７を前後に伸縮させると、腕１
０ａを介して、減速機１０、インナーコーン５、カッタ
ーディスク４、駆動機１１および滑動体１６が前後に進
退移動する。図７は、ジャッキ１７を伸ばして、インナ
ーコーン５およびカッターディスク４を後退させた状態
を表す。ガイドコーン３の後端よりもインナーコーン５
の後端が後方に配置される。ガイドコーン３とインナー
コーン５の後端がほぼ同じ位置にある状態（図６）に比
べて、破砕隙間６は少し広くなっている。

【００３９】図８は、ジャッキ１７を縮めて、インナー
コーン５およびカッターディスク４を前進させた状態を
表す。ガイドコーン３の後端よりもインナーコーン５の
後端が前方に配置され、破砕隙間６はかなり広くなって
いる。図７の状態と図８の状態を比べると、図８の状態
のほうが、破砕隙間６が広くなっているとともに、破砕
隙間６を通過するときの土砂の流れも異なってくる。

【００４０】上記実施形態では、インナーコーン５の位
置を前後に進退させることで、土質の変化や施工条件に
適した構造配置にすることができる。例えば、礫や玉石
層から粘土層に地盤が変化した場合には、インナーコー
ン５を図７または図８の位置にして破砕隙間６を広げる
ことで、破砕隙間６における土砂の圧密による閉塞を解
除することができる。地盤が礫層等に戻った場合には、
図６に示す通常位置にインナーコーン５を戻せば、礫や
玉石の破砕に適した破砕隙間６の配置構造にすることが
できる。

【００４１】

【発明の効果】本発明のシールド掘進機は、前記切欠き
を備えていることで、コーンガイドとインナーコーンと
の間の破砕隙間に、土砂等が固着したり、圧密された土
砂で隙間が閉塞したりすることが防げる。礫等に対する
破砕作用も良好に行える。その結果、礫層と粘土層との
互層等、従来の礫層用の掘進機では推進が困難であった
地盤条件であっても、効率的な推進工法を実現すること
が可能になる。

【００４２】切欠きの寸法を前記特定の範囲に設定して
おけば、上記した切欠きの作用を良好に発揮させること
ができる。インナーコーンの外周面に螺旋状肉盛りを備
えておけば、インナーコーンの外周面に沿って土砂を効
率的に後方の破砕隙間に送り込んだり、礫等の破砕を効
率的に行うことができる。

【００４３】インナーコーンの進退機構を備えておけ
ば、土質条件に合わせて、インナーコーンの位置および
破砕隙間の配置構造を設定することができ、礫層と粘土
層との互層等、複雑な土質構造を有する地盤に対して
も、効率的な掘進が可能になる。洗浄液供給手段を備え
ておけば、粘土質の土砂などが破砕隙間に固着したり閉
塞させたりしても、土砂を洗い流して、破砕隙間の機能
を回復させることができる。

【００４４】洗浄水として送泥用の泥水を利用すれば、
洗浄水供給のために新たな機構装置を追加する必要がな
い。そのため、既設の掘進機に対して洗浄水供給機構を
追加構築することも容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を表し、掘進機の軸方向断面
図

【図２】コーンガイドおよびインナーコーンの構造を示
す正面図

【図３】別の実施形態を表す掘進機の軸方向断面図

【図４】別の実施形態を表すコーンガイドおよびインナ
ーコーンの正面図

【図５】別の実施形態を表す掘進機の先端部分の構造を
示す断面図

【図６】別の実施形態を表す掘進機の概略構造図

【図７】第１の作動状態を示す概略構造図

【図８】第２の作動状態を示す概略構造図

【図９】従来技術を表すコーンガイドおよびインナーコ
ーンの正面図

【符号の説明】

１ 掘進機 ２ 外殻 ３ コーンガイド ４ カッターディスク ５ インナーコーン ６、７ 破砕隙間 ８、９ 切欠き １０ 減速機 １１ 駆動機 １２ 排泥管 １３ 肉盛り部 １４ 進退機構 １５ ボス ２０ 洗浄液供給管 ２４、３６ 洗浄液吐出口 ３１ 送泥管

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】掘進機で地盤を掘削しながら、掘進機とと
   もに掘進機の後方に連結された埋設管を推進させて、埋
   設管を埋設する推進工法用のシールド掘進機であって、 前記掘進機の前面に回転自在に配置され、前記地盤を掘
   削するカッターディスクと、 前記掘進機の内部で前記カッターディスクの後方に配置
   され、内径が後方に向かって小さくなる円錐状をなし、
   その内側空間に前記カッターディスクで掘削された土砂
   が送り込まれるコーンガイドと、 前記コーンガイドの内側で前記カッターディスクの後方
   に回転自在に配置され、外径が後方に向かって大きくな
   る円錐状をなし、後端で前記コーンガイドとの間に狭小
   な破砕隙間を構成し、前記土砂を前記破砕隙間で破砕す
   るインナーコーンと、 前記破砕隙間で対面するコーンガイドの内周とインナー
   コーンの外周との少なくとも何れか一方に対して、周方
   向に間隔をあけて複数個が配置された切欠きとを備える
   シールド掘進機。
2. 【請求項２】前記切欠きが、幅４０〜６０mm、深さ４０
   〜６０mmである請求項１に記載のシールド掘進機。
3. 【請求項３】掘進機で地盤を掘削しながら、掘進機とと
   もに掘進機の後方に連結された埋設管を推進させて、埋
   設管を埋設する推進工法用のシールド掘進機であって、 前記掘進機の前面に回転自在に配置され、前記地盤を掘
   削するカッターディスクと、 前記掘進機の内部で前記カッターディスクの後方に配置
   され、内径が後方に向かって小さくなる円錐状をなし、
   その内側空間に前記カッターディスクで掘削された土砂
   が送り込まれるコーンガイドと、 前記コーンガイドの内側で前記カッターディスクの後方
   に回転自在に配置され、外径が後方に向かって大きくな
   る円錐状をなし、後端で前記コーンガイドとの間に狭小
   な破砕隙間を構成し、前記土砂を前記破砕隙間で破砕す
   るインナーコーンと、 前記インナーコーンの外周面に突出して配置された螺旋
   状肉盛りとを備えるシールド掘進機。
4. 【請求項４】掘進機で地盤を掘削しながら、掘進機とと
   もに掘進機の後方に連結された埋設管を推進させて、埋
   設管を埋設する推進工法用のシールド掘進機であって、 前記掘進機の前面に回転自在に配置され、前記地盤を掘
   削するカッターディスクと、 前記掘進機の内部で前記カッターディスクの後方に配置
   され、内径が後方に向かって小さくなる円錐状をなし、
   その内側空間に前記カッターディスクで掘削された土砂
   が送り込まれるコーンガイドと、 前記コーンガイドの内側で前記カッターディスクの後方
   に回転自在に配置され、外径が後方に向かって大きくな
   る円錐状をなし、後端で前記コーンガイドとの間に狭小
   な破砕隙間を構成し、前記土砂を前記破砕隙間で破砕す
   るインナーコーンと、 前記インナーコーンを前後に進退移動させる進退機構と
   を備えるシールド掘進機。
5. 【請求項５】前記破砕隙間に対面するコーンガイドの内
   周に開口し、破砕隙間に洗浄液を供給する洗浄液供給手
   段をさらに備える請求項１〜４の何れかに記載のシール
   ド掘進機。
6. 【請求項６】前記掘進機が、前記コーンガイドの内周面
   に開口し、前記カッターディスクの背面に泥水を供給す
   る送泥管をさらに備え、 前記洗浄液供給手段が、前記泥水の一部を洗浄液として
   用いる請求項５に記載のシールド掘進機。