JPH08210084A - 小口径推進装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 小口径推進装置本体内のオーガースクリュー
３２に接続された掘削装置１０を開放型とし、さらに、
掘削装置１０の後部位置に、オーガースクリュー３２に
接続された回転軸に固着された雄型破砕体２３と同雄型
破砕体２３の外周に所定間隔をおいて包囲配設された雌
型破砕体２１とからなる土砂破砕装置を備えた小口径推
進装置。 【効果】 掘削装置によって破砕された土砂は、雄型破
砕体と雌型破砕体との間を圧潰されながら通過し、オー
ガースクリューの羽根に嵌まり込まない程度の大きさと
なって排出され、従来困難であった、普通土から礫，玉
石，岩盤にまで広範囲に使用可能となる。またオーガー
スクリューを逆回転させることにより、掘削装置の開口
部から一旦小口径推進装置内に取り込まれた掘削土砂が
外部に圧密されながら排出され、後退と同時に埋戻しが
完了し、従来のように薬液注入を施すことなく精度の良
い再推進が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ヒューム管や塩化ビニ
ール管等の管渠を地中に推進埋設するオーガー式搬送装
置を備えた小口径推進装置、より詳しくは、従来困難で
あった礫層あるいは岩層での施工に適した小口径推進装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】下水道に代表される管渠の地下埋設にお
いては、地表面から掘削する開削工法が最も一般的であ
るが、近年の交通量の増大、輻輳した地下埋設物、さら
には、地域住民への影響などを配慮し、シールド工法、
推進工法などのいわゆる非開削工法が特に都市土木にお
いて多く用いられるようになった。

【０００３】シールド工法や推進工法は、発進あるいは
到達竪坑部分の地面を掘削するだけで、実質的な管渠埋
設部分は地表面を掘削する必要が無いため、上記したよ
うな開削工法における問題点をほとんど解消することが
できる。

【０００４】しかしながら、シールド工法や一般の推進
工法は、使用する機械に備えられる各種装置の製作上の
限界や、掘削土砂搬出のための作業員の出入り等の都合
によって、大口径のものにしか適用できない。

【０００５】この対策として、埋設管渠内に土砂搬出用
のオーガースクリューを配設し、その先端にオーガース
クリューを回転軸とする掘削用のカッターを備えた、い
わゆる小口径推進装置が開発されている。これによっ
て、シールド機のような複雑かつ大型の機構を必要とせ
ず、また管渠内へ作業員が出入りせずに掘削土砂の搬出
が可能となり、従来困難であった口径７００ｍｍ未満の
管渠への推進工法の適用が可能となった。

【０００６】図６はこの小口径推進装置の一例を簡略化
して示す縦断面図で、５０は先端側がすりばち状に開放
した方向修正用ヘッド、５１は小口径推進装置Ｐ内に配
設された掘削土砂搬送装置である。この掘削土砂搬送装
置５１は、筒状のケーシング５１ａと、このケーシング
５１ａに内蔵されたオーガースクリュー５１ｂを備えて
いる。また、５２はオーガースクリュー５１ｂの先端に
オーガーシャフトジョイント５３を介して取付けられた
掘削オーガーヘッド、５４は進退させることにより方向
修正用ヘッド５０の傾きを換える方向修正用のシリンダ
ーである。

【０００７】この小口径推進装置は、図示しない竪坑内
に設けられた油圧シリンダーにより埋設管を推進しつつ
オーガースクリュー５１ｂを旋回させることにより、こ
れに接続された掘削オーガーヘッド５２が前面の地山に
押しつけられながら旋回し、掘削オーガーヘッド５２の
先端に設けられた掘削ビット５２ａによって地山が掘削
される。掘削された土砂は、掘削オーガーヘッド５２と
方向修正用ヘッド５０とによって形成された後部のチャ
ンバ内に取り込まれ、さらに推進力によって方向修正用
ヘッド５０の中心位置から掘削土砂搬送装置５１のケー
シング５１ａ内に取り込まれる。ここでオーガースクリ
ュー５１ｂの送り作用によって掘削土砂が順次発進竪坑
内まで搬送排出されることとなる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記小口径
推進装置においては、掘削オーガーヘッド５２の掘削ビ
ット５２ａにより破砕された土砂が、直接背後のケーシ
ング５１ａ内に入り込むため、地山の完全な破砕が困難
である。特に、硬質の礫や岩の場合、オーガースクリュ
ー５１ｂの羽根と羽根との間に十分に破砕されない塊状
態の礫あるいは岩が嵌まり込んで土砂の搬送が不可能と
なり、掘削オーガーヘッド５２後部のチャンバーが閉塞
され、最終的には推進不能な状態に陥る場合がある。

【０００９】一方、このような小口径推進装置において
は、埋設管の推進方向が設計の許容範囲を越えた場合、
あるいは前方に掘進できない障害物が発生した場合な
ど、一旦、推進装置を後退させ、その後再度前進させる
方法がとられている。

【００１０】ところが、単に小口径推進装置を後退させ
ると、すでに掘削された位置が空洞状となって残るた
め、この空洞部が地盤沈下の原因となるばかりでなく、
再度推進する際に、この空洞部方向へ小口径推進装置が
傾き、精度の良い推進ができない。したがって、従来、
これを回避するために、形成された空洞部を圧密充填す
る薬液注入などを施す方法がとられている。

【００１１】そこで本発明は、特に岩層あるいは礫層に
おける施工性を向上させ、さらに、後退する際の空洞部
の形成を阻止することが可能な小口径推進装置を提供す
ることを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、小口径推進装置本体内にケーシングとこ
れに内蔵されたオーガースクリューとからなる土砂搬送
装置を備え、先端部に前記オーガースクリューに接続さ
れた掘削装置を備えた小口径推進装置において、前記掘
削装置を開放型とし、さらに、同掘削装置の後部位置
に、前記オーガースクリューに接続された回転軸に固着
された雄型破砕体と同雄型破砕体の外周に所定間隔をお
いて包囲配設された雌型破砕体とからなる土砂破砕装置
を備えたことを特徴とする

【００１３】ここで開放型の掘削装置とは、例えば、カ
ッター保持用の外周リングと、この外周リングに十文字
状に取付けられたカッター部から形成され、土砂搬送装
置のオーガースクリューを逆回転させることによって、
ケーシング内の土砂が掘削装置の前方に押し出される開
口部を形成したものを言う。

【００１４】

【作用】先端の掘削装置によってある程度の大きさに破
砕された土砂は、雄型破砕体とこの雄型破砕体の外周に
所定間隔をおいて包囲配設された雌型破砕体との間を通
過することにより、いわゆるすり鉢効果によって細かく
粉砕され、オーガースクリューの羽根に嵌まり込まない
程度の大きさとなって排出される。またオーガースクリ
ューを逆回転させることにより、掘削装置の開口部から
一旦小口径推進装置内に取り込まれた掘削土砂が、取込
みと逆の経路を辿り外部に圧密排出されるようになる。

【００１５】

【実施例】以下本発明の特徴を図面に示す実施例に基づ
いて具体的に説明する。図１は本発明の一実施例である
小口径推進装置の側面断面図、図２は図１に示す小口径
推進装置の正面図である。

【００１６】１０は先導体の先端に設けられた掘削装置
で、カッター保持用の外周リング１１と、この外周リン
グ１１に十文字状に取付けられた第１及び第２のカッタ
ー部１２，１３を有し、外周リング１１と第１及び第２
のカッター部１２，１３の間には、掘削土砂の取込み及
び排出のための扇型状の開口部１４を形成し、これによ
って開放型の掘削装置としている。

【００１７】掘削装置本体１０は、第１及び第２のカッ
ター部１２，１３の交差部を回転軸として全体が旋回可
能で、外周リング１１の外周端に直立面１１ａを形成
し、この直立面１１ａの内側から後方に傾斜する傾斜面
１１ｂを形成し、これら直立面１１ａ及び傾斜面１１ｂ
の全面に地山掘削用の超硬チップ１１ｃが溶接によって
固着されている。このような構造によって、面積の狭い
直立面１１ａが地山に接触してシャープに掘削すること
ができ、さらに、傾斜面１１ｂに沿って掘削された土砂
が逃げるため効率よく掘削することができる。

【００１８】また、第１のカッター部１２は、直線状の
受けバー１２ａ表面に多数の超硬チップ１２ｂが固着さ
れ、また、第２のカッター部１３は、受けバー１２ａに
直交して配設されたベースプレート１３ａに、図４に示
すように受け台１３ｂに固着された超硬チップ１３ｃが
ボルトにより固着されている。この超硬チップ１３ｃ
は、図２の正面図に示すように、径方向、すなわち回転
方向に直交する方向に形成された長手状のもので、掘削
した土砂を小口径推進装置の破砕チャンバー２６内に取
り込む働きをする。

【００１９】２０は小口径推進装置の先端部外周を形成
する鋼製のドラムで、ドラム２０によって、掘削時にお
ける地山との回転磨耗を無くし、またローリングを効果
的に防ぐことができる。このドラム２０の先端には、前
述した掘削装置１０が回転可能に取付けられ、基端部に
は、後述する雄型破砕体を収納するため、後方に向かっ
て縮径する雌型破砕体２１を形成している。さらに、ド
ラム２０の先端側内面及び雌型破砕体２１の内面には、
略全面にわたって礫破砕用の超硬チップ２０ａ，２１ａ
が固着されている。

【００２０】ドラム２０の中心位置には、先端側を掘削
装置１０に、また後端側を後述するオーガーシャフトジ
ョイントに接続された接続軸２２が配設され、この接続
軸２２の外周に雄型破砕体２３が固着されている。また
接続軸２２内部には切羽部に水やベントナイト等を供給
するための貫通孔（図示せず）が形成されている。

【００２１】土砂破砕装置の分解斜視図を示す図５を参
照してさらに詳述する。雄型破砕体２３は、先端側に略
円柱状の柱状部２３ａを有し、さらに柱状部２３ａの基
端部から後方に向けて縮径する縮径部２３ｂを一体に形
成している。２３ｃは接続軸２２を中心として螺旋状に
配置された超硬チップ列であり、２３ｄは先端面に配置
された超硬チップである。さらに、雄型破砕体２３に
は、外周に突設した送り羽根２３ｅが形成されている。
この送り羽根２３ｅによって、破砕チャンバー２６内に
取り込まれた土砂が破砕されながら効率良く後方へと移
送される。

【００２２】本実施例では、接続軸２２に設けられた雄
型破砕体２３と、この雄型破砕体２３の外周に所定間隔
をおいて包囲配設された雌型破砕体２１とで、チャンバ
ー内に取り込まれた掘削土砂の破砕装置を構成してい
る。

【００２３】ここで、雄型破砕体２３と雌型破砕体２１
との間に形成される空間は、推進装置の規模等によって
適宜決定することができるが、後述するオーガースクリ
ューの羽根の間隔よりも狭いものとすることによって、
掘削装置１０の後部に形成された破砕チャンバー２６か
ら移送された掘削土砂が、オーガースクリューの羽根に
嵌まり込まない程度にさらに細かく粉砕された状態で後
部に移送される。

【００２４】２５は接続軸２２に取付けられたチャンバ
ー内ズリ案内板兼破砕板で、羽根の表面に破砕用の超硬
チップ２５ａが固着されており、これによって、破砕チ
ャンバー２６内に取り込んだ掘削土砂を後部方向に導き
ながら、ドラム２０内面に形成された超硬チップ２０ａ
とズリ案内板兼破砕板２５の超硬チップ２５ａによっ
て、掘削土砂の二次破砕を行うことができる。

【００２５】雄型破砕体２３及び雌型破砕体２１によっ
て構成される掘削土砂破砕装置の後部位置には、従来例
で説明したように、筒状のケーシング３１とこのケーシ
ング３１に内蔵されたオーガースクリュー３２とからな
る掘削土砂搬送装置３０が設けられている。オーガース
クリュー３２と接続軸２２とはオーガーシャフトジョイ
ント３３によって接続されている。これによって、雄型
破砕体２３及び雌型破砕体２１によって破砕された掘削
土砂が、掘削土砂搬送装置３０のオーガースクリュー３
２によって図示しない発進竪坑まで移送される。

【００２６】なお、図１において、３４は方向修正用の
シリンダーを示し、このシリンダー３４をそれぞれ進退
させることによって、推進方向の修正を行う。

【００２７】上記構成において、前方に推進しながらオ
ーガースクリュー３２を回転させることにより、先端の
掘削装置１０が旋回し、第１及び第２のカッター部１
２，１３によって地山がある程度の大きさに一次破砕さ
れる。掘削された土砂（砂礫）は掘削装置１０後部の破
砕チャンバー２６へと取り込まれ、ここで、チャンバー
内ズリ案内板兼破砕板２５及びドラム２０内面のチップ
２０ａによって二次破砕され、さらに細かく破砕されな
がら後部へと移送される。

【００２８】次いで、破砕された土砂は、雄型破砕体２
３及び雌型破砕体２１の間をすりばち効果によって通過
可能な大きさまで圧潰され、所定の大きさに粉砕された
後、さらに後部の土砂搬送装置３０へと移送されること
となる。

【００２９】このように、本実施例の小口径推進装置用
先導体においては、地山は先ず先端に設けられた掘削装
置１０によって破砕され、次いで、チャンバー内ズリ案
内板兼破砕板２５によって破砕され、さらには、雄型破
砕体２３及び雌型破砕体２１の間を通過し圧潰破砕され
る。これによって、従来困難であった、礫層あるいは岩
層等の地層に対しても、搬送不能状態を引き起こすこと
なく推進作業が確実に行える。

【００３０】なお、埋設管の推進方向が、設計の許容誤
差の範囲を越えた場合、あるいは前方に掘進できない障
害物が発生した場合など、オーガースクリュー３２を逆
回転させて、圧密させながら一旦推進装置を後退させ
る。

【００３１】オーガースクリュー３２を逆回転させるこ
とにより、ケーシング３１内の土砂が取込み時と逆の経
路を通って、掘削装置１０の開口部１４から外部に排出
される。その際、オーガースクリュー３２の押し出し力
によって、外部に押し出された土砂が圧密され、掘削空
間内を隙間無く圧密充填することができる。これによっ
て、再度の推進の際、従来のように薬液注入を施すこと
なく、精度よい推進が可能となる。

【００３２】以上に述べたように、本実施例の小口径推
進装置によると、礫や岩等がオーガースクリューの羽根
に嵌まり込まない程度の大きさとなって排出され、ま
た、オーガースクリューを逆回転させることにより、掘
削装置の開口部から小口径推進装置内に取り込まれた掘
削土砂が圧密されながら外部に排出され、従来のように
薬液注入を施すことなく精度の良い再推進が可能とな
る。

【００３３】なお、本実施例では、開放型の掘削装置と
して、カッター保持用の外周リングと、この外周リング
に十文字状に取付けられたカッター部から構成されたも
のについて説明したが、このような構造に限定されず、
土砂搬送装置のオーガースクリューを逆回転させること
によって、ケーシング内の土砂が掘削装置の前方に押し
出される開口部を形成したものであれば良い。

【００３４】

【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏すること
ができる。

【００３５】（ａ）掘削装置の後部位置に、オーガース
クリューに接続された回転軸に固着された雄型破砕体
と、同雄型破砕体の外周に所定間隔をおいて包囲配設さ
れた雌型破砕体とからなる土砂破砕装置を備えることに
より、先端の掘削装置によってある程度の大きさに破砕
された土砂は、雄型破砕体と雌型破砕体との間を圧潰さ
れながら通過し、オーガースクリューの羽根に嵌まり込
まない程度の大きさとなって排出され、従来困難であっ
た、普通土から礫，玉石，岩盤にまで広範囲に使用可能
となる。

【００３６】（ｂ）またオーガースクリューを逆回転さ
せることにより、掘削装置の開口部から一旦小口径推進
装置内に取り込まれた掘削土砂が外部に圧密されながら
排出され、後退と同時に埋戻しが完了し、従来のように
薬液注入を施すことなく精度の良い再推進が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である小口径推進装置用先導
体の側面縦断面図である。

【図２】図１に示す小口径推進装置用先導体の正面図で
ある。

【図３】外周リングの要部の縦断面図である。

【図４】掘削装置の要部を示す断面図である。

【図５】破砕装置の分解斜視図である。

【図６】従来の小口径推進装置用先導体の側面断面図で
ある。

【符号の説明】

１０ 掘削装置 １１ 外周リング １１ａ 直立面 １１ｂ 傾斜面 １１ｃ 超硬チップ １２ 第１のカッター部 １２ａ 受けバー １２ｂ 超硬チップ １３ 第２のカッター部 １３ａ ベースプレート １３ｂ 受け台 １３ｃ 超硬チップ ２０ ドラム ２０ａ 超硬チップ ２１ 雌型破砕体 ２１ａ 超硬チップ ２２ 接続軸 ２３ 雄型破砕体 ２３ａ 柱状部 ２３ｂ 縮径部 ２３ｃ 超硬チップ列 ２３ｄ 超硬チップ ２３ｅ 送り羽根 ２５ チャンバー内ズリ案内板兼破砕板 ２６ 破砕チャンバー ３０ 掘削土砂搬送装置 ３１ ケーシング ３２ オーガースクリュー ３３ ジョイント ３４ 方向修正用シリンダー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関 順介 千葉県千葉市花見川区天戸町1293 三和機 材株式会社千葉工場内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 小口径推進装置本体内にケーシングとこ
   れに内蔵されたオーガースクリューとからなる土砂搬送
   装置を備え、先端部に前記オーガースクリューに接続さ
   れた掘削装置を備えた小口径推進装置において、 前記掘削装置を開放型とし、さらに、同掘削装置の後部
   位置に、前記オーガースクリューに接続された回転軸に
   固着された雄型破砕体と同雄型破砕体の外周に所定間隔
   をおいて包囲配設された雌型破砕体とからなる土砂破砕
   装置を備えたことを特徴とする小口径推進装置。