JPH10144163A - Nb3Al系化合物超電導線材及びその製造方法 - Google Patents

Nb3Al系化合物超電導線材及びその製造方法

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JPH10144163A
JPH10144163A JP8303037A JP30303796A JPH10144163A JP H10144163 A JPH10144163 A JP H10144163A JP 8303037 A JP8303037 A JP 8303037A JP 30303796 A JP30303796 A JP 30303796A JP H10144163 A JPH10144163 A JP H10144163A
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core wire
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JP8303037A
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Kunihiro Fukuda
州洋 福田
Genzo Iwaki
源三 岩城
Shuji Sakai
修二 酒井
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Hitachi Cable Ltd
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学量論に近いNb3 Alの生成効率が高
く、高磁界における臨界電流密度が高いNb3 Al系化
合物超電導線材を提供するものである。 【解決手段】 純NbまたはNb基合金1と純Alまた
はAl基合金2からなるフィラメント状のNb/Al複
合体3を形成し、そのNb/Al複合体3とマトリック
スであるNbまたはNb合金4の体積比(Nb/(Nb
/Al))が0.02〜1.0となるようにNb/Al
複合単芯線7を形成し、そのNb/Al複合単芯線7に
自己通電加熱により1,500〜2,000℃の高温で
短時間に急速加熱を施した後、急速冷却してNb−Al
過飽和固溶体を形成し、そのNb−Al過飽和固溶体に
650〜1,050℃の2次熱処理(時効熱処理)を施
すものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Nb3 Al系化合
物超電導線材及びその製造方法に係り、特に、20T以
上の高磁界下での使用が可能なNb3 Al系化合物超電
導線材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Nb3 Al系化合物超電導線材は、Nb
3 SnおよびNbTiと比較して、高磁界における臨界
電流密度特性や耐歪み特性が良好である。特に、Nb3
Al系化合物超電導線材は高磁界特性に優れているた
め、物性研究用NMR(核磁気共振)マグネットなどの
超電導材料として期待されている。
【0003】Nb−Al平衡状態図(図示せず)から明
らかなように、Nb3 Alは1,500℃以上の高温で
反応が促進され、それ以下の温度では化学量論組成から
のずれが大きくなるため、臨界温度および上部臨界磁場
が低下する。
【0004】以上のような特徴を有するNb3 Alの製
造方法として、次の2つの方法が挙げられる。
【0005】 Nb/Al部を1,500℃以上まで
加熱し、その後すぐに急冷することでNb3 Al相を析
出させる析出法 NbおよびAlを数十〜数百μmオーダーまで微細
化し、析出法と比べて比較的低温である600〜1,0
50℃でNb3 Alを拡散反応させる析出法ここで、2
0T以上の高磁界中での使用を考えた場合、上部臨界磁
場の高いNb3 Alが必要となり、前述したの拡散法
で作製したNb3 Alは、化学量論からのずれが大きく
なり、その結果として上部臨界磁場が低くなるため、2
0T以上の高磁界下での実用的な使用は困難である。こ
のような理由により、化学量論に近く、かつ、上部臨界
磁場の高いNb3 Alは、の析出法による生成が望ま
れる。
【0006】の析出法によるNb3 Al系化合物超電
導線材の製造方法として、例えば、Nb/Al複合線材
(Nb/Al複合単芯線)を自己通電加熱によって短時
間で1,500〜2,000℃の高温に加熱し、その後
すぐに急冷(以後、自己通電加熱処理と呼ぶ)すること
で、Nb−Al過飽和固溶体を形成し、このNb−Al
過飽和固溶体に2次熱処理(時効熱処理)を施すことで
Nb3 Al相を析出させる方法が考案されている。通電
加熱処理後のNb−Al過飽和固溶体には延性があり、
コイルなどの形成はこの段階で行うことができる。
【0007】Nb3 Alの生成効率は、急熱急冷処理で
ある自己通電加熱処理における発熱の均一性に依存して
いる。そこで、Nb3 Alの生成効率を向上するために
は、Nb/Al複合線材全体に亘って均一なNb−Al
過飽和固溶体を生成させると共に、Nb/Al複合線材
におけるNb/Al部を均一に発熱させる必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
Nb3 Al系化合物超電導線材においては、高融点金属
をマトリックスとしてNb/Al複合線材を作製してい
るが、多数本のNb/Al複合線材からなる多芯線材の
マトリックス比のみを考慮して作製していた。すなわ
ち、Nb3 Al系化合物超電導線材におけるNb3 Al
フィラメント間隔(以下、フィラメント間隔と呼ぶ)が
大きいと共に、Nb3 Alフィラメント間の熱交換が良
好でなかった。
【0009】また、主に、電流のルートとなる部分にお
いてNb−Al過飽和固溶体が生成されるため、Nb/
Al複合線材全体に亘って均一なNb−Al過飽和固溶
体が生成しづらかった。このため、2次熱処理によるN
3 Alの生成効率が低下し、臨界電流密度が低くなる
という問題を有していた。
【0010】すなわち、従来のNb3 Al系化合物超電
導線材においても比較的良好な臨界電流密度が得られて
はいたが、Nb−Al過飽和固溶体生成の不均一さのた
め、Nb3 Alの生成効率が良好でなく、マグネットへ
の応用を考えた時、更なる臨界電流密度の向上が望まれ
ていた。
【0011】そこで本発明は、上記課題を解決し、化学
量論に近いNb3 Alの生成効率が高く、高磁界におけ
る臨界電流密度が高いNb3 Al系化合物超電導線材及
びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、純NbまたはNb基合金と純Al
またはAl基合金からなるフィラメント状のNb/Al
複合体を形成し、そのNb/Al複合体とマトリックス
であるNbまたはNb合金の体積比(Nb/(Nb/A
l))が0.02〜1.0となるようにNb/Al複合
単芯線を形成し、そのNb/Al複合単芯線に自己通電
加熱により1,500〜2,000℃の高温で短時間に
急速加熱を施した後、急速冷却してNb−Al過飽和固
溶体を形成し、そのNb−Al過飽和固溶体に650〜
1,050℃の2次熱処理(時効熱処理)を施したもの
である。
【0013】請求項2の発明は、上記Nb/Al複合単
芯線が、ジェリーロール法、チューブ法、クラッドチッ
プ押出(CCE)法、または粉末法などによって形成し
たNb/Al複合体の外周に上記NbまたはNb合金を
被覆して形成したものである請求項1記載のNb3 Al
系化合物超電導線材の製造方法である。
【0014】請求項3の発明は、純NbまたはNb基合
金と純AlまたはAl基合金からなるフィラメント状の
Nb/Al複合体を形成し、そのNb/Al複合体とマ
トリックスであるNbまたはNb合金の体積比(Nb/
(Nb/Al))が0.02〜1.0となるようにNb
/Al複合単芯線を形成し、そのNb/Al複合単芯線
に自己通電加熱により1,500〜2,000℃の高温
で短時間に急速加熱を施した後、急速冷却してNb−A
l過飽和固溶体を形成し、そのNb−Al過飽和固溶体
に650〜1,050℃の2次熱処理(時効熱処理)を
施して形成したものである。
【0015】請求項4の発明は、上記純NbまたはNb
基合金と上記純AlまたはAl基合金の体積比(Nb/
Al)が2.5〜3.5である請求項3記載のNb3
l系化合物超電導線材である。
【0016】上記数値範囲を限定した理由を以下に述べ
る。
【0017】Nb/Al複合体とマトリックスであるN
bまたはNb合金の体積比(Nb/(Nb/Al))を
0.02〜1.0としたのは、Nb/(Nb/Al)が
0.02よりも小さいと多芯線とした場合における加工
性が悪化するためであり、Nb/(Nb/Al)が1.
0よりも大きいとNb3 Al間の熱交換性が良好でなく
なり、性能向上への寄与度が低下するためである。
【0018】以上の構成によれば、純NbまたはNb基
合金と純AlまたはAl基合金からなるフィラメント状
のNb/Al複合体を形成し、そのNb/Al複合体と
マトリックスであるNbまたはNb合金の体積比(Nb
/(Nb/Al))が0.02〜1.0となるようにN
b/Al複合単芯線を形成し、そのNb/Al複合単芯
線に自己通電加熱により1,500〜2,000℃の高
温で短時間に急速加熱を施した後、急速冷却してNb−
Al過飽和固溶体を形成し、そのNb−Al過飽和固溶
体に650〜1,050℃の2次熱処理(時効熱処理)
を施したため、化学量論に近いNb3 Alの生成効率が
高く、高磁界における臨界電流密度が高いNb3 Al系
化合物超電導線材を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0020】本発明のNb3 Al系化合物超電導線材
は、多数本のNb3 Alフィラメントの周りにマトリッ
クスであるNbを配置してなるものである。Nb3 Al
フィラメントは、純NbまたはNb基合金と純Alまた
はAl基合金からなるフィラメント状のNb/Al複合
体の外周に、マトリックスであるNbまたはNb合金を
被覆してなるものである。
【0021】純NbまたはNb基合金と純AlまたはA
l基合金の体積比(Nb/Al)は、2.5〜3.5の
範囲が特に好ましい。
【0022】次に、本発明の製造方法を説明する。
【0023】本発明のNb3 Al系化合物超電導線材の
一製造方法を図1に示す。図1(a)は、Nb3 Al系
化合物超電導線材の一製造方法のフローチャートを示
し、図1(b)は、単芯ビレットの横断面図を示し、図
1(c)は、Nb/Al複合単芯線の外観斜視図を示
し、図1(d)は、多芯ビレットの外観斜視図を示し、
図1(e)は、Nb/Al複合多芯線の横断面図を示し
ている。
【0024】図1(a)、(b)に示すように、所定の
幅、長さ、および厚さを有したNbシート1とAlシー
ト2を積層してNb/Al積層体(図示せず)を形成す
る。このNb/Al積層体を、巻芯3aに、Alシート
2を内側にしてジェリーロール状に巻き付けて、ジェリ
ーロール積層複合体(以下、Nb/Al複合体と呼ぶ)
3を形成する。このNb/Al複合体3を、所定の長
さ、外径、および内径を有したNb管(NbまたはNb
合金)4内に挿入した後、Nb/Al複合体3が挿入さ
れたNb管4を、所定の長さ、外径、および内径を有し
たCu管5内に挿入し、単芯ビレット6を形成する。
【0025】単芯ビレット6の形成方法としては、Nb
/Al複合体3をNb管4内に挿入して形成する他に、
Nb/Al複合体3の外周にNbシートを巻き付けて形
成してもよいことは言うまでもない。
【0026】この単芯ビレット6に、静水圧押出加工お
よびダイス伸線加工を施して六角線に形成した後、矯正
および切断を行うと共に、外皮であるCuを除去して、
図1(c)に示すNb/Al複合単芯線7を形成する。
【0027】Nb/Al複合単芯線7のNb/Al複合
体3とマトリックスであるNb管4の体積比(Nb/
(Nb/Al))mは、Nb/Al複合体3の径をd
f、Nb/Al複合単芯線7の径をdsとした場合、 m=(ds2 −df2 )/df2 で表される。mは、0.02〜1.0の範囲であること
が特に好ましい。
【0028】図1(a)、(d)に示すように、多数本
のNb/Al複合単芯線7を束ねて所定の長さ、外径、
および内径を有したNb管8内に挿入する。その後、多
数本のNb/Al複合単芯線7が挿入されたNb管8
を、所定の長さ、外径、および内径を有したCu−Ni
管9内に挿入し、多芯ビレット10を形成する。
【0029】この多芯ビレット10に、静水圧押出加工
およびダイス伸線加工を施した後、外皮であるCu−N
iを除去して、図1(e)に示す多数本のNb/Alフ
ィラメントの周りにNbが配置されたNb/Al複合多
芯線11を形成する。
【0030】このNb/Al複合多芯線11に、急熱急
冷処理装置によって急熱急冷処理を施してNb/Al過
飽和固溶体を形成する。
【0031】急熱急冷処理装置の一例の模式図を図2に
示す。
【0032】図2に示すように、ほぼ真空に保持された
ケーシング20a内に収納されてなる急熱急冷処理装置
20は、供給リール21、通電加熱部、急冷部、および
巻取リール22からなる。
【0033】供給リール21から所定の速度(例えば、
1m/sec)で供給されるNb/Al複合多芯線11
は、プーリー31を介して通電加熱部を構成するCu電
極リール23a,23bに送給される。Cu電極リール
23a,23bには定電圧の直流電源28から延長され
るパワーリード28a,28bが接続され、Cu電極リ
ール23aにプラス、Cu電極リール23bにマイナス
が印加されるている。
【0034】Nb/Al複合多芯線11は、Cu電極リ
ール23a−Cu電極リール23b間において、自己通
電加熱により1,500〜2,000℃の高温で短時間
に急速加熱される。
【0035】この時、Cu電極リール23bは、一部ま
たは全体がGa浴槽24中の液体Ga25に浸漬されて
いるため、急速加熱されたNb/Al複合多芯線11
は、すぐに急速冷却されてNb−Al過飽和固溶体26
が形成される。そのNb−Al過飽和固溶体26を巻取
リール22に巻き取る。
【0036】パワーリード28aの途中には試料電流計
29、およびCu電極リール23a−Cu電極リール2
3b間には試料電圧計30が接続されており、試料電流
計29および試料電圧計30はそれぞれレコーダ27に
接続されている。試料電流および試料電圧は、レコーダ
27において常時計測されており、レコーダ27に接続
された制御手段(図示せず)によって常時一定になるよ
うに制御されている。
【0037】自己通電加熱処理において、電流はより抵
抗の小さい部分に選択的に流れる。ここで、Nb/Al
複合単芯線7において通電されにくい部分があると、こ
の部分での電気的な発熱が小さくなるためNb−Al過
飽和固溶体が生成されづらくなる。
【0038】しかし、本発明においては、Nb/Al複
合単芯線7のNb/Al複合体3とNb管4の体積比
(Nb/(Nb/Al))mを0.02〜1.0と小さ
くし、Nb/Al複合体3の間隔を小さくしたため、通
電され易いNb/Al複合体での発熱が周囲の各Nb/
Al複合体を加熱する。これによって、各Nb/Al複
合体の発熱は均一となり、Nb−Al過飽和固溶体が均
一に生成され易くなる。
【0039】Cu電極リール23aとCu電極リール2
3bの中心間距離Lは、10cm未満が特に好ましい。
【0040】このNb−Al過飽和固溶体26をコイル
巻きし、その後、2次熱処理(時効熱処理)を施すこと
によってNb3 Al相を析出させてNb3 Al系化合物
超電導線材を得る。
【0041】本発明のNb3 Al系化合物超電導線材の
製造方法によれば、Nb/Al複合体3のNb/Al比
を化学量論付近(2.5〜3.5)とし、Nb/Al複
合単芯線7のNb/Al複合体3とNb管4の体積比
(Nb/(Nb/Al))mを0.02〜1.0とした
ため、各Nb/Al複合体3の発熱が均一となり、より
広範囲に亘って良質のNb−Al過飽和固溶体を均一に
生成することができると共に、Nb/Al複合単芯線7
の長手方向および径方向に対し、化学量論に近いNb3
Al相を連続に析出することができる。
【0042】次に、本発明の他の実施の形態を説明す
る。
【0043】第1の実施の形態のNb3 Al系化合物超
電導線材における単芯ビレットを作製するための説明図
を図3に示す。
【0044】図3に示すように、本実施の形態の単芯ビ
レットは、Nb合金棒41の外周にAl合金42を被覆
してなるNb/Al複合体44を、Nb管43内に挿入
してなるものである。
【0045】第2の実施の形態のNb3 Al系化合物超
電導線材における単芯ビレットを作製するための説明図
を図4に示す。
【0046】図4に示すように、本実施の形態の単芯ビ
レットは、Alシート52aの上面に、順次、Nbシー
ト51a、Alシート52b、Nbシート51b…Al
シート51nを積層してなるNb/Al複合体(図中で
は3層構造)54を、Nb管53内に挿入してなるもの
である。
【0047】第3の実施の形態のNb3 Al系化合物超
電導線材における単芯ビレットを作製するための説明図
を図5に示す。
【0048】図5に示すように、本実施の形態の単芯ビ
レットは、Nb粉末61とAl粉末62との混合粉末
(Nb/Al複合体;図示せず)を、Nb管63内に充
填してなるものである。
【0049】第1〜第3の実施の形態において、Nb/
Al複合体におけるNbとAlの体積比(Nb/Al)
は、いずれも2.5〜3.5の範囲が特に好ましく、ま
た、Nb/Al複合単芯ビレットにおけるNb/Al複
合体とNb管の体積比(Nb/(Nb/Al))mは、
いずれも0.02〜1.0が特に好ましい。
【0050】すなわち、他の実施の形態の単芯ビレット
を用いたNb3 Al系化合物超電導線材においても、N
b/Al複合体におけるNbとAlの体積比(Nb/A
l)を2.5〜3.5に、また、Nb/Al複合単芯ビ
レットにおけるNb/Al複合体とNb管の体積比(N
b/(Nb/Al))mを0.02〜1.0に制御して
いるため、本発明のNb3 Al系化合物超電導線材と同
様に、急熱急冷処理時におけるNb/Al複合単芯線の
発熱が均一となり、これによって、より広範囲に亘って
良質のNb−Al過飽和固溶体を生成することができ、
化学量論に近いNb3 Alの生成効率を向上することが
できる。
【0051】
【実施例】
(実施例1)長さ3,136mm、厚さ90μmで、か
つ、所定の幅を有したNbシートと、長さ3,136m
m、厚さ30μmで、かつ、所定の幅を有したAlシー
トを積層してNb/Al積層体を形成する。このNb/
Al積層体を、直径6.0mmのNb巻芯に、Alシー
トを内側にしてジェリーロール状に巻き付けて、ジェリ
ーロール積層複合体を形成する。このジェリーロール積
層複合体を、外径23.6mm、内径23.3mmで、
かつ、所定の長さを有したNb管に挿入した後、ジェリ
ーロール積層複合体が挿入されたNb管を、所定の長
さ、外径、および内径を有したCu管に挿入し、単芯ビ
レットを作製する。
【0052】この単芯ビレットに、静水圧押出加工およ
びダイス伸線加工を施して六角線に形成した後、矯正お
よび切断を行うと共に、外皮であるCuを除去して、N
b/Al複合単芯線を作製する。
【0053】48本のNb/Al複合単芯線を束ねて所
定の長さ、外径、および内径を有したNb管に挿入す
る。その後、多数本のNb/Al複合単芯線が挿入され
たNb管を、所定の長さ、外径、および内径を有したC
u−Ni管に挿入し、多芯ビレットを作製する。
【0054】この多芯ビレットに、静水圧押出加工、ダ
イス伸線加工およびツイスト加工を施した後、外皮であ
るCu−Niを除去して、多数本のNb/Alフィラメ
ントの周りにNbが配置された直径0.84mmのNb
/Al複合多芯線を作製する。ツイストピッチは35m
mとする。
【0055】このNb/Al複合多芯線に、内部が2×
10-5torr(約2.66×10-3Pa)に保持され
た急熱急冷処理装置によって急熱急冷(常温→1,60
0℃→40℃)処理を施して、Nb/Al過飽和固溶体
を形成する。その後、Nb−Al過飽和固溶体に、80
0℃×10時間の2次熱処理(時効熱処理)を施すこと
によってNb3 Al相を析出させてNb3 Al系化合物
超電導線を作製する。
【0056】(実施例2)長さ2,102mmのNbシ
ートおよびAlシートおよび外径23.6mm、内径1
9.4mm、かつ、所定の長さのNb管を用い、実施例
1と同様にしてNb3 Al系化合物超電導線を作製す
る。
【0057】(実施例3)長さ1,546mmのNbシ
ートおよびAlシートおよび外径23.6mm、内径1
6.9mm、かつ、所定の長さのNb管を用い、実施例
1と同様にしてNb3 Al系化合物超電導線を作製す
る。
【0058】(比較例1)長さ1,357mmのNbシ
ートおよびAlシートおよび外径23.6mm、内径1
6.0mm、かつ、所定の長さのNb管を用い、実施例
1と同様にしてNb3 Al系化合物超電導線を作製す
る。
【0059】(比較例2)長さ1,198mmのNbシ
ートおよびAlシートおよび外径23.6mm、内径1
5.2mm、かつ、所定の長さのNb管を用い、実施例
1と同様にしてNb3 Al系化合物超電導線を作製す
る。
【0060】(比較例3)長さ3,166mmのNbシ
ートおよびAlシートを用い、実施例1と同様にしてN
3 Al系化合物超電導線を作製する。
【0061】(比較例4)長さ3,690mm、厚さ7
2μmで、かつ、所定の幅を有したNbシートおよび長
さ3,690mm、厚さ30μmで、かつ、所定の幅を
有したAlシートを用い、実施例1と同様にしてNb3
Al系化合物超電導線を作製する。
【0062】(比較例5)長さ2,689mm、厚さ1
10μmで、かつ、所定の幅を有したNbシートおよび
長さ2,689mm、厚さ30μmで、かつ、所定の幅
を有したAlシートを用い、実施例1と同様にしてNb
3 Al系化合物超電導線を作製する。
【0063】実施例1〜3および比較例1〜5のNb3
Al系化合物超電導線において、Nb/Al複合単芯線
におけるNb/Al複合体とNbマトリックスの体積比
(Nb/(Nb/Al))m、Nb/Al複合体におけ
るNbとAlの体積比(以下、Nb/Al比と呼ぶ)、
および外部磁場22T、温度4.2Kにおける非マトリ
ックス部の臨界電流密度(A/mm2 )を表1に示す。
【0064】ここで、Nb3 Al系化合物超電導線材中
におけるNb/Al複合多芯線とNbマトリックスの体
積比((Nb/Al複合多芯線)/Nbマトリックス)
は3.0であり、外部磁場22T、温度4.2Kにおけ
る非マトリックス部の臨界電流密度は、1μV/cm基
準で求めた結果である。
【0065】
【表1】
【0066】表1に示すように、実施例1〜3のNb3
Al系化合物超電導線は、Nb/Al複合体とNbマト
リックスの体積比mがそれぞれ0.027、0.50
6、0.997と規定範囲(0.02〜1)内であり、
かつ、Nb/Al比も3.0と規定範囲(2.5〜3.
5)内であるため、臨界電流密度がいずれも170A/
mm2 以上(198、185、173[A/mm2 ])
と高い値を示した。
【0067】これに対して、比較例1および比較例2の
Nb3 Al系化合物超電導線は、Nb/Al比は実施例
と同じ3.0であるものの、Nb/Al複合体とNbマ
トリックスの体積比mが、それぞれ1.237、1.4
88と規定範囲より大きいため、臨界電流密度が13
2、126A/mm2 に止まった。
【0068】すなわち、Nb/Al複合体とNbマトリ
ックスの体積比mを0.02〜1と制御していない比較
例1および比較例2に比べて、Nb/Al複合体とNb
マトリックスの体積比mを0.02〜1と制御した実施
例1〜3は、臨界電流密度が約30〜50%も向上し
た。
【0069】また、比較例3のNb3 Al系化合物超電
導線は、Nb/Al比が実施例1〜3と同じく3.0で
あるものの、Nb/Al複合体とNbマトリックスの体
積比mが0.018と規定範囲より小さいため、所定の
線径まで加工することができず、臨界電流密度の計測が
できなかった。
【0070】さらに、比較例4および比較例5のNb3
Al系化合物超電導線は、Nb/Al複合体とNbマト
リックスの体積比mを0.027と規定範囲内に制御し
ているものの、比較例4においてはNb/Al比が規定
範囲よりも小さい2.4であり、比較例5においてはN
b/Al比が規定範囲よりも大きい3.7であるため、
それぞれ臨界電流密度が74、63A/mm2 に止まっ
ている。
【0071】本発明のNb3 Al系化合物超電導線材に
おいては、高磁界中においても高い臨界電流密度を得る
ことができるため、高磁界マグネットなどへの応用が十
分可能となる。
【0072】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、Nb/A
l複合単芯線におけるNb/Al複合体とNbマトリッ
クスの体積比(Nb/(Nb/Al))mを0.02〜
1.0に制御し、かつ、Nb/Al複合体におけるNb
とAlの体積比(Nb/Al)を2.5〜3.5に制御
しているため、化学量論に近いNb3 Alの生成効率が
高く、高磁界における臨界電流密度が高いNb3 Al系
化合物超電導線材を得ることができるという優れた効果
を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のNb3 Al系化合物超電導線材の一製
造方法である。
【図2】急熱急冷処理装置の一例の模式図である。
【図3】第1の実施の形態のNb3 Al系化合物超電導
線材における単芯ビレットを作製するための説明図であ
る。
【図4】第2の実施の形態のNb3 Al系化合物超電導
線材における単芯ビレットを作製するための説明図であ
る。
【図5】第3の実施の形態のNb3 Al系化合物超電導
線材における単芯ビレットを作製するための説明図であ
る。
【符号の説明】
1 Nbシート(純NbまたはNb基合金) 2 Alシート(純AlまたはAl基合金) 3 ジェリーロール積層複合体(Nb/Al複合体) 4 Nb管(NbまたはNb合金) 7 Nb/Al複合単芯線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純NbまたはNb基合金と純Alまたは
    Al基合金からなるフィラメント状のNb/Al複合体
    を形成し、そのNb/Al複合体とマトリックスである
    NbまたはNb合金の体積比(Nb/(Nb/Al))
    が0.02〜1.0となるようにNb/Al複合単芯線
    を形成し、そのNb/Al複合単芯線に自己通電加熱に
    より1,500〜2,000℃の高温で短時間に急速加
    熱を施した後、急速冷却してNb−Al過飽和固溶体を
    形成し、そのNb−Al過飽和固溶体に650〜1,0
    50℃の2次熱処理(時効熱処理)を施すことを特徴と
    するNb3 Al系化合物超電導線材の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記Nb/Al複合単芯線が、ジェリー
    ロール法、チューブ法、クラッドチップ押出(CCE)
    法、または粉末法などによって形成したNb/Al複合
    体の外周に上記NbまたはNb合金を被覆して形成した
    ものである請求項1記載のNb3 Al系化合物超電導線
    材の製造方法。
  3. 【請求項3】 純NbまたはNb基合金と純Alまたは
    Al基合金からなるフィラメント状のNb/Al複合体
    を形成し、そのNb/Al複合体とマトリックスである
    NbまたはNb合金の体積比(Nb/(Nb/Al))
    が0.02〜1.0となるようにNb/Al複合単芯線
    を形成し、そのNb/Al複合単芯線に自己通電加熱に
    より1,500〜2,000℃の高温で短時間に急速加
    熱を施した後、急速冷却してNb−Al過飽和固溶体を
    形成し、そのNb−Al過飽和固溶体に650〜1,0
    50℃の2次熱処理(時効熱処理)を施して形成したこ
    とを特徴とするNb3 Al系化合物超電導線材。
  4. 【請求項4】 上記純NbまたはNb基合金と上記純A
    lまたはAl基合金の体積比(Nb/Al)が2.5〜
    3.5である請求項3記載のNb3 Al系化合物超電導
    線材。
JP8303037A 1996-11-14 1996-11-14 Nb3Al系化合物超電導線材及びその製造方法 Pending JPH10144163A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116200690A (zh) * 2023-01-29 2023-06-02 西南交通大学 多次瞬时高温热处理制备高载流Nb3Al超导线材的方法

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