JP2604379B2 - セラミックス系超電導線の製造方法 - Google Patents

セラミックス系超電導線の製造方法

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敏夫 笠原
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昭和電線電纜株式会社
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は超電導線の製造方法に係り、特にセラミック
ス系超電導線の製造方法に関する。
(従来の技術) 近年、特に昨年の4月以降、セラミックス超電導体の
開発が世界中で急ピッチで進められている。この超電導
体は、従来の最高の臨界温度を示すNb3Geの23Kを大巾に
越えるもので、Ba−La−Cu−O系セラミックス(臨界温
度35K)、La−Sr−Cu−O系セラミックス(超電導開始
温度37K以上)、La−Ca−Cu−O系セラミックス、Y−B
a−Cu−O系セラミックス(ゼロ抵抗温度93K)等のほ
か、本年に入って233Kの臨界温度を示すセラミックスも
報告されている。
このようにセラミックス超電導材料は臨界温度が液体
窒素温度以上で用いることができる可能性があり、この
場合、高価な液体ヘリウムを使用しなくてもすむため、
経済的に極めて有利となるほか、超電導発電機等に使用
される構造がシンプルで熱機関の効率も向上する等の利
点を有する。
しかしながら、セラミックスは硬くて、かつ脆いた
め、現在実用化されているNb−Ti系やNb3Sn系超電導線
のように曲げたり、あるいはコイル巻きすることができ
ず、この点を克服することが実用化への第1歩となる。
現在線材の製造方法として、 アモルファスのテープあるいは線材を酸素雰囲気下で
加熱処理する方法、 合金管(たとえばCu−Ni合金)の内部に原料の粉末を
充填し、両端を引張って線材やテープ状に成形する方
法、 銅系合金管内にセラミックスを充填し、熱処理および
圧延加工等を施して線材やテープ状に成形する方法、等
が提案されている。
しかしながら上記の方法においては、極めて急速な
冷却を必要とするため極めて細い線材や薄膜とテープし
か得られず、実用線材を得る方法としては、難点を有し
ており、上記の方法では長尺の線材を連続的に製造す
ることが困難であり、上記の方法では線材の定長が当
初の銅合金管の外径によって制限される上、加工工程が
複雑となる難点がある。この場合、セラミックス超電導
体生成の熱処理は、超電導特性向上の観点から成形後に
施すことが望ましいが、銅系合金管で被覆されているた
め成形後の内部に酸素を供給することが極めて困難であ
り、実際上不可能である。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記の難点を解決するためになされたもの
で、アモルファス化のための急速冷却を必要とせず、長
尺の線材を容易に製造することができる上、セラミック
ス超電導体生成の熱処理を長尺の線材の状態で施すこと
ができることにより高い臨界電流密度の実用線材を製造
することが可能なセラミックス系超電導線の製造方法を
提供することをその目的とする。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) 本発明のセラミックス系超電導線の製造方法は、
(イ)酸素を除くセラミックス超電導体の構成材料を溶
解鋳造する工程と、 (ロ)鋳造後のロッドに断面減少加工を施して線材を製
造する工程と、 (ハ)前記線材の外周に、高温で酸化物を生成しない金
属またはその合金をメッキあるいは押出しにより被覆す
る工程と、 (ニ)前記金属またはその合金の溶解温度以下の温度
で、かつ酸化性雰囲気中で熱処理を施し、セラミックス
超電導体を生成する工程とからなることを特徴とする。
本発明における酸素を除くセラミックス超電導体の構
成材料としては、たとえばYBa2Cu3合金をあげることが
でき、これらは最終段階の熱処理によりYBa2Cu3Ox(X
<14;ペロブスカイト)を生成する。
また、高温で酸化物を生成しない金属または合金とし
ては、銀、金、白金またはこれらの合金を用いることが
できる。
上記の金属または合金は加工後の線材の外周にメッキ
あるいは押出しにより被覆されるが、これは最終的に安
定化材として機能させるためと、熱処理、即ち酸化性雰
囲気中での加熱条件下でセラミックス超電導体を適度な
速度で生成させるために施される。
(作 用) 本発明の方法においては酸素を除くセラミックス超電
導体の構成材料を線材化した後セラミックス化の熱処理
が施されるため長尺の超電導線が容易に得られ、また完
全なアモルファス化のための冷却ロールや冷却ドラム等
の急速冷却装置を必要としない。
上記の線材の外周に施される被覆は、高温で酸化物を
生成しないため、熱処理時に内部のセラミックスと反応
せず、外部からの酸素の供給を適度に制限して急激なセ
ラミックス化による粉末化と急激な温度上昇による燃焼
を防止する。従って成形後のセラミックス化が可能とな
る。
これにより微細のペロブスカイト結晶を長時間かけて
生成することができ、高電流密度の線材を製造すること
ができる。
(実施例) 以下本発明の一実施例について説明する。
まずYBa2Cu3合金を真空で溶解しロッド状に鋳造す
る。これにスウェージング加工、圧延加工および伸縮加
工を施して外径数十〜数千μmφの細線を製造する。
この細線の外周にメッキ、たとえば電気メッキまたは
浸漬メッキあるいは押出しにより銀を被覆する。
このようにして銀で被覆されたYBa2Cu3合金線は把取
りされ酸化性雰囲気中で加熱される。酸化性雰囲気とし
ては、たとえばO2を25%以上含む空気をabs1〜1000気圧
の範囲で加圧し、銀の融点以下の温度で長時間加熱す
る。
この熱処理によりYBa2Cu3合金は酸化してセラミック
ス超電導体YBa2Cu3Ox(X<14)を生成するが、銀の存
在により酸素の供給が制限され、粉末化や燃焼を防止す
ることができ、微細なペロブススカイト結晶を生成する
ことができる。さらに酸化時の体積増加に基いて発生す
る圧力を銀のクリープで加圧し、高圧下でセラミックス
化を進行させることができる。このようにして得られた
銀被覆セラミックス超電導線は銀が安定化材として作用
する上、高い臨界電流密度を有し、かつ細線化が可能な
ため容易に編組構造や撚線構造とすることができ、大サ
イズ導体や交流用導体を製造することができる 以上述べたように上記の実施例は銀の酸素に対する特
殊な働きを利用したもので、銀と酸素が の関係を有すること、銀を通して酸素が拡散すること、
銀がAgOの形で酸素を運び容易に解離して合金を酸化す
ることを利用したもので、同様の働きを有するものとし
て銀合金や金、白金およびこれらの合金を利用すること
ができる。
[発明の効果] 以上述べたように本発明の方法によれば、酸素を除く
セラミックス超電導体の構成材料を線材化した後セラミ
ックス化の熱処理が施されるため長尺化を容易に図るこ
とができ、かつ細線化を容易に図ることができる。
さらに外層が高温で酸化物を生成しない金属等で被覆
されていることにより 成形後にセラミックス化の熱処理を施すことができ
る。
熱処理時の酸素の供給を適当に制限することができ、
セラミックス生成時の粉末化や燃焼を防止することがで
きる。
セラミックス化時の体積膨脹を銀のクリープで抑える
ことにより、加圧下でセラミックスを生成することがで
きる。
従って微細なペロブスカイト結晶を生成することがで
き、高電流密度の超電導線を製造することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)酸素を除くセラミックス超電導体の
    構成材料を溶解鋳造する工程と、 (ロ)鋳造後のロッドに断面減少加工を施して線材を製
    造する工程と、 (ハ)前記線材の外周に、高温で酸化物を生成しない金
    属またはその合金をメッキあるいは押出しにより被覆す
    る工程と、 (ニ)前記金属またはその合金の溶解温度以下の温度
    で、かつ酸化性雰囲気中で熱処理を施し、セラミックス
    超電導体を生成する工程とからなることを特徴とするセ
    ラミックス系超電導線の製造方法。
  2. 【請求項2】高温で酸化物を生成しない金属またはその
    合金は、銀、金、白金またはこれらの合金である特許請
    求の範囲第1項記載のセラミックス系超電導線の製造方
    法。
JP62168224A 1987-07-06 1987-07-06 セラミックス系超電導線の製造方法 Expired - Lifetime JP2604379B2 (ja)

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