JPH09161573A - 超電導線材の作製方法および超電導線材および超電導マグネット - Google Patents

超電導線材の作製方法および超電導線材および超電導マグネット

Info

Publication number
JPH09161573A
JPH09161573A JP7321527A JP32152795A JPH09161573A JP H09161573 A JPH09161573 A JP H09161573A JP 7321527 A JP7321527 A JP 7321527A JP 32152795 A JP32152795 A JP 32152795A JP H09161573 A JPH09161573 A JP H09161573A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superconducting wire
superconducting
plating
heat treatment
superconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7321527A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Yamamoto
一生 山本
Minoru Yamada
穣 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP7321527A priority Critical patent/JPH09161573A/ja
Publication of JPH09161573A publication Critical patent/JPH09161573A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来は、超電導線材の引張強度の値と臨界電流
密度の値とが共に小さいということが問題であった。 【解決手段】超電導体を導電性を持つ金属で被覆し
(1)、該導電性を持つ金属を引抜加工(2)、圧延加
工(3)により超電導線材に加工する工程と、超電導線
材の表面にメッキ材をメッキする工程(4)と、メッキ
工程後に導電性を持つ金属とメッキ材とを反応させそれ
らの合金を形成する拡散熱処理工程(5)と、拡散熱処
理工程後に超電導線材中に超電導層を形成する熱処理工
程(6)とからなる超電導線材の作製方法であり、臨界
電流密度を減少させることなく、200[MPa]以上
の高い引張強度を持つ超電導線材を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導線材の作製
方法および超電導線材および超電導マグネットに係り、
特に超電導線材の引張強度が大きく臨界電流密度が大き
い超電導線材の作製方法および超電導線材および超電導
マグネットに関する。
【0002】
【従来の技術】Bednorz とMullerによるランタン系高温
酸化物超電導体の発見以来、新物質の探索とそれを用い
た応用には大きな期待が寄せられ精力的に研究が進めら
れている。
【0003】これまでにイットリウム系やビスマス系、
タリウム系、水銀系など幾つかの物質が、液体窒素温度
(77.3[K])を越える臨界温度(Tc)を持つ酸
化物超電導体として発見されてきた。
【0004】この様な高Tcの酸化物超電導体を線材化
する方法としては、銀シース法(例えばY.Yamada et a
l.,Cryogenics 30(1990)581-585等)が提案されてお
り、銀シース法によって作製された酸化物超電導線材を
用いた超電導マグネットの試作もなされている。
【0005】ここで従来の超電導線材の作製方法(銀シ
ース法)について図面を参照しながら説明する。図8は
従来の超電導線材の作製方法の流れ図である。
【0006】従来の銀シース法では以下の手順を経て超
電導線材が作製される。 (1)導電性を持つ金属(例えばAg)からなるパイプ
中に超電導体の原料粉末を充填する。 (2)Agパイプに引抜加工を施しAgパイプの全長を
長くし、Agパイプの直径を小さくする。 (3)Agパイプをテープ状に潰す圧延加工を行い超電
導線材を形成する。 (4)超電導線材中の粉末状の超電導体に超電導体の種
類ごとの所定の温度で1次熱処理を施し、超電導層を形
成する。 (5)超電導層の密度を高めるために再度超電導線材に
中間圧延を施す。 (6)工程(4)よりも熱処理の時間が長い2次熱処理
を施し、超電導層をさらに成長させ超電導線材を作製す
る。
【0007】なお、一般的に工程(2)、(3)は減面
加工と呼ばれている。この様に構成された超電導線材は
工業的な試作が最も進んでおり、77[K]での臨界電
流密度(Jc)は20000[A/cm2 ](臨界電流
値Ic=20[A])を示し、超電導線材の長さが1
[km]を越える超電導線材も既に試作されている。
【0008】しかしながら上述の様な超電導線材の作製
方法を用いて作製した超電導線材では超電導体のシース
材として純銀が用いられており、超電導線材の長手方向
への引張強度が小さい(降伏応力約40[MPa])と
いう問題点があった。
【0009】超電導線材をコイル状に巻いて通電する
と、超電導線材に発生する磁界と超電導線材に流れる電
流とによって電磁力が発生しコイル(超電導線材)が膨
らもうとする。この時超電導線材にはコイルの円周方向
に引張力(フープ力)が生じる。この引張力は磁界の強
さB、超電導線材の単位面積当たりに流れる電流の電流
密度J、コイルの中心軸からの距離をRとするとそれら
の値に比例する(引張力∝=B・J・R)。この引張強
度はコイルの設計にもよるが200[MPa]を越える
値になることもある。すると純銀シースを用いている場
合には超電導体の一部分が引張力に耐えることが出来
ず、超電導体にクラックが生じたり寸断される等の現象
が起こり電流が流れなくなるという問題が生じてくる。
【0010】この様な問題を解決するために、銀に添加
物を加えた強化銀を超電導体のシース材として用いる技
術(例えばM.Satou et al.,Proc.6th US-JAPAN WS on H
TSC(1993)171-175等)が提案されている。銀に添加され
る添加物としてはMgやZr等の金属元素があげられ
る。この金属元素がAg中に微量混合分散され、固溶強
化したAg合金が形成され、超電導体の表面を覆うシー
ス材として使われている。その結果超電導線材の引張強
度は純銀の引張強度と比較して約2倍以上の値である約
100[MPa]にまで高めることができる。
【0011】この様に導電性を持つ金属からなるパイプ
の原材料として、純銀の代わりにAgを主成分とする合
金を用いた銀シース法では、超電導線材の長さが3[c
m]程度の短い試料でJcが45000[A/cm2
(77[K]、0[T])を示し、引張強度が150
[MPa]である試作品の作製に成功している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述の様
な導電性を持つ金属のパイプの原材料にAg合金を使
い、パイプに減面加工を施して作った超電導線材では、
シース材である銀に含まれている金属元素(例えばMg
やZr等)の添加濃度が低い(原子量比で1[%]以
下)稀薄合金しか用いることが出来なかった。
【0013】これは添加物の金属元素の濃度を増加させ
ていくと、以下の2点の理由により超電導線材を作製す
る際に超電導線材の特性に不具合が生じてくるためであ
る。 (1)Ag合金と超電導体との複合体の加工が難かしく
なってくること。
【0014】(2)金属元素と超電導体との化学反応に
よって臨界電流密度が低下すること。 まず上記理由
(1)について説明する。超電導線材の加工性(所望の
寸法形状にすること)は、添加金属元素の濃度の増加と
共に超電導線材の延性、展性が小さくなり困難になって
くる。すると超電導線材の加工度が小さくても超電導線
材に部分的な割れや断線が生じやすくなる。 なお、加
工度は以下の式(1)で定義する。
【0015】
【数1】 ただし、S0 は減面加工前の超電導線材の断面積で、S
1 は減面加工後の超電導線材の断面積である。
【0016】この様な現象を防ぐためには、超電導線材
を作製する加工工程の途中で数回超電導体の種類に応じ
た所定の温度の焼鈍を行い加工を行ないやすくする必要
があり、必然的に加工工程が複雑化してくる。
【0017】例えば超電導線材の直径13[mm]→1
[mm]に加工する際にAgにMgを添加した場合、A
gに対するMgの濃度が1[at%]を越えると加工度
を99.4[%]にするためには図9に示される様に加
工工程中で少なくとも2回の焼鈍が必要である。
【0018】次に上記理由(2)について説明する。A
gへの添加金属元素の濃度が増加すると共に超電導線材
の臨界電流密度が減少する傾向がある。図10に示され
ている様にMgの添加濃度が約0.2[at%]を越え
た辺りからJcの低下が始まり、約5[at%]の添加
では0.1[at%]のJcに比べて9割以上も低下し
ている。AgにMgを添加した場合の添加物の限度量は
約0.5[at%]となる。
【0019】この様な現象は減面加工後に行う超電導層
を形成する際の熱処理において、添加金属元素も同時に
酸化され、その時にAg合金シースの外周側からは勿論
のこと、Ag合金シースの内周側つまり超電導体と接触
している接触部分からも酸素を奪ってしまう。そのた
め、超電導体自体の酸素量が減少してしまいその結果臨
界電流密度が低下するのである。この現象は超電導体が
酸化物超電導体である場合顕著である。
【0020】そこで本発明は上記従来の問題点に鑑みて
なされたもので、より高い引張強度特性を持つと共に、
上記限度量以上の金属元素の添加を行ってもJcの劣化
が少ない超電導線材の作製方法および超電導線材および
超電導マグネットを提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明における超電導線材の作製方法は、超電導体
を導電性を持つ金属で被覆し、該導電性を持つ金属を減
面加工により超電導線材に加工する工程と、前記超電導
線材の表面にメッキ材をメッキする工程と、前記メッキ
工程後に前記導電性を持つ金属と前記メッキ材とを反応
させそれらの合金を形成する拡散熱処理工程と、前記拡
散熱処理工程後に前記超電導線材中に超電導層を形成す
る熱処理工程とからなる超電導線材の作製方法である。
【0022】次に本発明の超電導線材は、超電導体を導
電性を持つ金属で被覆し、該導電性を持つ金属を減面加
工により超電導線材に加工する工程と、前記超電導線材
の表面にメッキ材をメッキする工程と、前記メッキ工程
後に前記導電性を持つ金属と前記メッキ材とを反応させ
それらの合金を形成する拡散熱処理工程と、前記拡散熱
処理工程後に前記超電導線材中に超電導層を形成する熱
処理工程とから作製される超電導線材である。
【0023】次に本発明の超電導マグネットは、超電導
体を導電性を持つ金属で被覆し、該導電性を持つ金属を
減面加工により超電導線材に加工する工程と、前記超電
導線材の表面にメッキ材をメッキする工程と、前記メッ
キ工程後に前記導電性を持つ金属と前記メッキ材とを反
応させそれらの合金を形成する拡散熱処理工程と、前記
拡散熱処理工程後に前記超電導線材中に超電導層を形成
する熱処理工程とから作製される超電導線材と、前記超
電導線材を巻回してなるボビンと、前記ボビンに巻回さ
れる超電導線材を冷却する冷却装置とから構成される超
電導マグネットである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照しながら説明していく。図1は超電導線材の作
製方法の流れ図で、図2は超電導線材の作製方法に係る
メッキ工程の構成図で、図3は超電導線材の作製方法に
係る別のメッキ工程の構成図で、図4はMgをメッキし
た超電導線材の断面図で、図5は導電性を持つ金属にA
gを用いた超電導線材の断面図で、図6は導電性を持つ
金属にAg−0.5at%Mgを用いた超電導線材の断
面図である。
【0025】(1)導電性を持つ金属(純度99.99
[%]のAg)からなるパイプ(外径15[mm]、内
径13[mm]、長さ30[cm])中に超電導体の原
料粉末を充填する。この超電導体は硝酸塩共沈粉末を大
気中で、800[℃]、20時間仮焼した結晶粒度が1
−5[μm]程度の仮焼粉末(Bi,Pb)2 Sr2
2 Cu310+x(通称Bi−2223)である。なお
xの範囲は0<x<1である。
【0026】(2)Bi−2223の仮焼粉末を充填し
たAgパイプを引抜加工により減面し六角ダイスでAg
パイプの対角長を1.46[mm]に成型する。この成
型されたAgパイプを1次線材とし、1次線材を55本
束ねて外径13[mm]、内径11[mm]、長さ30
[cm]の純銀パイプおよびAg−0.5%atM
g合金パイプにそれぞれ嵌合する。その後純銀パイプ
およびAg−0.5at%Mg合金パイプをアルゴン
ガス雰囲気中で、300[℃]、1時間焼鈍する。
【0027】(3)焼鈍後それぞれのパイプ、に対
して再度引抜加工を行いその後圧延加工を施し、厚さ
0.15[mm]、幅3[mm]のテープ形状の超電導
線材を作製する。ただしAg−0.5at%Mg合金
パイプについては外径1.3[mm]の丸線まで引抜加
工した段階で中間焼鈍を行った。なお(2)、(3)は
減面加工と呼ぶ。
【0028】(4)純銀パイプ、Ag−0.5at
%Mg合金パイプを加工してテープ形状としたものに例
えばMg(メッキ材)をメッキするには以下の手順をと
る。アルゴンガス雰囲気のチャンバ11内にMgOから
なるるつぼ12を配置し、るつぼ12の中にMg金属片
を入れる。るつぼ12の周囲に配置されるヒータ13等
の高周波加熱器によりるつぼ12を約650[℃]まで
加熱する。するとるつぼ12の中のMgが溶けて溶湯と
なる。フラックスを表面に塗布したテープを溶湯中に浸
漬しテープ表面にMg層を形成していく(図2参照)。
なおるつぼ内の金属(メッキ材)をMgの代わりにMg
−Ni、Mg−Cuの稀薄合金を用いれば金属の溶融温
度を500[℃]程度にまで低下させることができる。
【0029】また例えばCu(メッキ材)をメッキする
際には電解質に10[%]の硫酸銅水溶液(またはシア
ン化Cu水溶液)を用いその水溶液中にテープ形状の
、を浸漬させ、それぞれのテープ、を陰極、電
気銅を陽極として、1[A]で5分間通電してメッキ工
程を行う(図3参照)。メッキ工程後の純銀シーステ
ープ、Ag−0.5at%Mg合金シーステープの表
面には厚さ約3[μm]のCu層が均一に形成されてい
る。
【0030】(5)メッキされた純銀シーステープ、
Ag−0.5at%Mg合金シーステープをアルゴン
ガス雰囲気中で700[℃]、10時間の拡散熱処理を
行う。するとAg層とMg層との界面には約10−50
[μm]の厚さのAg−Cu合金層が形成される。また
Ag−0.5at%Mg合金層の周囲には未反応のCu
層がわずかに残留していた。
【0031】(6)仮焼粉末状の超電導体を大気中で、
840[℃]、50時間の1次熱処理(熱処理)を施
し、超電導線材中に超電導層を形成する。 (7)超電導層の密度を高めるために再度超電導線材に
中間圧延を施す。
【0032】(8)工程(6)よりも熱処理の時間が長
い2次熱処理を施し、超電導層をさらに成長させ超電導
線材5を作製していく。超電導線材にメッキする金属
(メッキ材)は、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、
Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Gd、In、S
n、ZrおよびSbの群から選ばれる少なくとも1種類
の金属あるいは合金あるいは金属間化合物で構成されて
いる。上記記載の金属(メッキ材)はAg等の導電性特
性を持つ金属と合金化したときに引張強度が向上すると
いう特徴がある。また特にこれら金属(メッキ材)の内
Mn、Ni、Cu、Zr、Sbは、Agに添加され拡散
熱処理によってAgと合金化すると合金化した金属の強
度の向上が著しい。またMgはAgとの合金化によって
強度が向上すると共に酸化物と反応しにくいという特徴
もありメッキする金属(メッキ材)として最適である。
【0033】また超電導線材にメッキする合金(メッキ
材)には、Mg−Ni(Ni<15at%)、Mg−C
u(Cu<20at%)、Mg−Al(Al<15at
%)、Al−Cu(Cu<5at%)等があり、こらら
合金の融点は金属単体の融点よりも低いので溶融メッキ
が行いやすい。
【0034】また超電導線材にメッキする金属間化合物
(メッキ材)には、例えばMg2 Cu(融点568
[℃])、Mg2 Al3 (融点450[℃])、Al2
Cu(融点580[℃])、AgMg3 (融点500
[℃])、Ag3 Sb2 (融点700[℃])、Cu2
Sb(融点580〜700[℃])等があり、これら金
属間化合物はいずれもAg(融点961[℃])よりも
融点が低くメッキが行いやすい。また合金化したときに
超電導線材のシース材としての強度があがる。
【0035】この様な作製方法により作製された純銀
シーステープにMgをメッキした超電導線材(A)と純
銀パイプをシース材に用いた超電導線材(メッキなし、
減面加工のみ)(B)とAg−0.5at%Mgパイプ
をシース材に用いた超電導線材(メッキなし、減面加工
のみ)(C)との比較を行っていく。
【0036】これら超電導線材(A)〜(C)の構成に
ついては図4〜図6を参照しながら説明していく。超電
導線材(A)の構造は、図4に示される様に超電導体1
の周囲に純銀2の層があり、その純銀2の層の周囲にA
g−Mg合金3が設けられている。メッキ材にはMgが
用いられている。そのAg−Mg合金3の周囲には合金
の際に出来た金属(MgO)の残留層4がある。超電導
線材5は、超電導体1と純銀2の層とAg合金3と残留
層4とから構成されている。なお、残留層4は個々の熱
処理工程の緒条件により形成されない場合もある。
【0037】また超電導線材(B)の構造は、図5に示
される様に超電導体1の周囲に純銀2の層が設けられた
構造である。超電導線材5は、超電導体1と純銀2の層
とから構成されている。
【0038】また超電導線材(C)の構造は、図6に示
される様に超電導体1の周囲にAg−0.5at%Mg
合金6の層が設けられた構造である。超電導線材5は、
超電導体1とAg−0.5at%Mg合金6の層とから
構成されている。
【0039】これら超電導線材(A)〜(C)は大気中
で、840[℃]、50時間の1次熱処理を施してい
る。また臨界電流密度を向上させるために中間圧延(圧
下率20[%])を施した後、再度大気中で、840
[℃]、100時間の2次熱処理を行っている。なお、
圧下率は以下の式(2)によって定義する。
【0040】
【数2】 ただし、d0 は減面加工前の超電導線材の断面積で、d
1 は減面加工後の超電導線材の断面積である。
【0041】超電導線材(C)の試料では残留したMg
が酸化されて、Ag−Mg合金層の表面にMgO層が形
成されている。この様な処理を行って得られたテープ状
超電導線材(A)〜(C)について、室温での引張試験
(超電導線材の長手方向への引張)と液体窒素浸漬冷却
状態での臨界電流Ic(臨界電流密度Jc)とをそれぞ
れ測定した。引張試験の結果は以下に示される表1に、
臨界電流測定の結果は表2にそれぞれ示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】表1に示される様に引張試験による引張強
度では、純銀シース超電導線材(B)の引張強度は40
[MPa]であり、Ag−0.5at%Mg合金シース
超電導線材(C)の値は120[MPa]であるのに対
して、Mgをメッキした超電導線材(A)の値は230
[MPa]と引張強度が最も高く、超電導線材(B)と
比べて約6倍弱、超電導線材(C)と比べても約2倍弱
の引張強度が得られ引張強度が向上していることが分か
る。
【0045】また表2に示される様に臨界電流密度Jc
の値は、純銀シース超電導線材(B)で15000[A
/cm2 ]であり、Ag−0.5at%Mg合金シース
超電導線材(C)では9000[A/cm2 ]であるの
に対して、Mgをメッキした超電導線材(A)では15
000[A/cm2 ]となっており、Ag−0.5at
%Mg合金シース超電導線材(C)よりもJc値が大き
く、純銀シース超電導線材(B)と同等の値が得られ
た。
【0046】以上の測定結果からMgをメッキした超電
導線材(A)は引張強度の値とJc値とから最も優れた
超電導線材であることが分かる。またAgシース超電導
線材の表面に金属元素(メッキ材)の薄い層がメッキさ
れ、この金属元素の一部が、引き続き行われる熱処理工
程において、純銀または稀薄銀合金シース超電導線材中
に拡散していく。このとき超電導線材に施す熱処理の条
件(例えば熱処理温度、超電導線材の熱処理雰囲気等)
を適当に選ぶことにより、合金化される領域が超電導体
に隣接する部分にまで到達しないようにすることができ
る。
【0047】また超電導体と直接反応する元素(例えば
Au、パラジウム)や超電導体から酸素を奪う元素(例
えばCu)も高濃度添加が可能となってくる。シース材
は添加元素の固溶強化(または析出強化)によって硬く
なり、引張強度も増加していく。
【0048】また添加金属元素の層の外表面には熱処理
によって酸化被膜が形成されることもあるが、この酸化
被膜が電気絶縁層の役目を果たすという効果もある。し
たがって上述の様な超電導線材の作製方法を実施した超
電導線材では、臨界電流密度を減少させることなく、2
00[MPa]以上の高い引張強度を持つ超電導線材を
得ることが出来る。
【0049】次に前述の超電導線材を用いた超電導マグ
ネットの構成について説明する。図7(a)は超電導線
材を用いた超電導マグネットの構成図で、図7(b)は
超電導線材を用いた超電導マグネット装置の構成図であ
る。
【0050】前述されている超電導線材の作製方法によ
って作られた超電導線材5がボビン7に巻回されてい
る。超電導マグネット8は超電導線材5とボビン7とか
ら構成されている。そして超電導マグネット装置10は
超電導マグネット8と超電導マグネット8を冷却する冷
却装置9とから構成されている。
【0051】この様な構成をした超電導マグネット装置
10では超電導マグネット8を冷却装置9で冷却し、超
電導マグネット8に電流を流して所望の磁場を発生させ
ている。
【0052】超電導線材5を用いた高磁界が発生可能な
超電導マグネット8では通電時に超電導線材5に発生す
るフープ力によるJc値の劣化が見られず、より実用的
な超電導マグネット装置10が実現可能となる。
【0053】なお、本発明は上記実施例に限定されず、
その主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できるこ
とは言うまでもない。Ag合金層を生成する拡散熱処理
工程は、添加金属元素(メッキ材)の相当量が銀シース
中に拡散できる条件を満たすならば、超電導相を生成す
る熱処理を兼ねるものであっても良い(図1中破線矢
印)。また超電導体の素地となるシース材は純銀である
必要は必ずしもなく、1[%]以下の添加元素を含む稀
薄銀合金であっても構わない。またシース材表面に金属
(メッキ材)をメッキする方法としては、少なくともメ
ッキされる金属の層が形成されれば良く溶融蒸着、電気
メッキ法、溶射、イオン照射のいずれの手法でも構わな
い。また金属元素を含む無機化合物または有機化合物を
スプレー塗布、CVD(Chemical Vapor Deposition) 等
によってメッキ工程を行っても良い。また添加金属元素
は導電性を持つ金属中に少なくとも1種類含有されてい
れば良く複数の金属元素が含有されていても良い。
【0054】また酸化物超電導体層を構成する酸化物超
電導体は層状ペロブスカイト構造を有する含銅酸化物超
電導体であればいずれの化合物でも良く、例えばY系
(YBa2 Cu37-x )、Bi系(Bi2 Sr2 Ca
Cu28+x ,Bi2 Sr2 Ca2 Cu310+x)、T
l系(Tl2 Ba2 CaCu28+x ,Tl2 Ba2
2 Cu310+x)でも良い。ただし、xの範囲は0<
x<1である。
【0055】
【発明の効果】以上説明した様に本発明では、超電導線
材の引張強度が向上し、超電導体と導電性を持つ金属と
メッキ材との化学反応によりJc値の低下を抑制するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の超電導線材の作製方法の流れ図
【図2】 本発明の超電導線材の作製方法に係るメッキ
工程の構成図
【図3】 本発明の超電導線材の作製方法に係る別のメ
ッキ工程の構成図
【図4】 本発明の超電導線材の断面図
【図5】 従来の純銀パイプをシース材に用いた超電導
線材の断面図
【図6】 従来のAg−0.5at%Mgパイプをシー
ス材に用いた超電導線材の断面図
【図7】 本発明の超電導マグネットの構成図
【図8】 従来の超電導線材の作製方法の流れ図
【図9】 加工度に対するビッカース硬度の関係を示す
グラフ
【図10】 Mgの添加濃度に対する臨界電流密度Jc
の関係を示すグラフ
【符号の説明】
1 超電導体 2 純銀 3 Ag−Mg合金 4 残留層 5 超電導線材 6 Ag−0.5at%Mg合金 7 ボビン 8 超電導マグネット 9 冷却装置 10 超電導マグネット装置

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超電導体を導電性を持つ金属で被覆し、該
    導電性を持つ金属を減面加工により超電導線材に加工す
    る工程と、前記超電導線材の表面にメッキ材をメッキす
    る工程と、前記メッキ工程後に前記導電性を持つ金属と
    前記メッキ材とを反応させそれらの合金を形成する拡散
    熱処理工程と、前記拡散熱処理工程後に前記超電導線材
    中に超電導層を形成する熱処理工程とを行うことを特徴
    とする超電導線材の作製方法。
  2. 【請求項2】前記熱処理工程後に前記超電導線材に圧延
    加工を行う圧延工程と、前記圧延加工工程後に前記超電
    導線材中に超電導層を形成する2次熱処理工程とを行う
    ことを特徴とする請求項1記載の超電導線材の作製方
    法。
  3. 【請求項3】超電導体を導電性を持つ金属で被覆し、該
    導電性を持つ金属を減面加工により超電導線材に加工す
    る工程と、前記超電導線材の表面にメッキ材をメッキす
    る工程と、前記メッキ工程後に前記導電性を持つ金属と
    前記メッキ材とを反応させそれらの合金を形成する拡散
    熱処理工程と、前記拡散熱処理工程後に前記超電導線材
    中に超電導層を形成する熱処理工程とから作製されるこ
    とを特徴とする超電導線材。
  4. 【請求項4】超電導体を導電性を持つ金属で被覆し、該
    導電性を持つ金属を減面加工により超電導線材に加工す
    る工程と、前記超電導線材の表面にメッキ材をメッキす
    る工程と、前記メッキ工程後に前記導電性を持つ金属と
    前記メッキ材とを反応させそれらの合金を形成する拡散
    熱処理工程と、前記拡散熱処理工程後に前記超電導線材
    中に超電導層を形成する熱処理工程とから作製される超
    電導線材と、前記超電導線材を巻回してなるボビンと、
    前記ボビンに巻回される超電導線材を冷却する冷却装置
    とから構成されることを特徴する超電導マグネット。
  5. 【請求項5】超電導体をAgで被覆したAgシース材を
    減面加工により超電導線材に加工する工程と、前記Ag
    シース材の表面にMgをメッキする工程と、前記メッキ
    工程後にAgとMgとを反応させAg−Mg合金を形成
    する拡散熱処理工程と、前記拡散熱処理工程後に前記超
    電導線材中に超電導層を形成する熱処理工程とを行うこ
    とを特徴とする超電導線材の作製方法。
  6. 【請求項6】超電導体をAgで被覆したAgシース材を
    減面加工により超電導線材に加工する工程と、前記Ag
    シース材の表面にMgをメッキする工程と、前記メッキ
    工程後にAgとMgとを反応させAg−Mg合金を形成
    する拡散熱処理工程と、前記拡散熱処理工程後に前記超
    電導線材中に超電導層を形成する熱処理工程とから作製
    されることを特徴とする超電導線材。
  7. 【請求項7】超電導体をAgで被覆したAgシース材を
    減面加工により超電導線材に加工する工程と、前記Ag
    シース材の表面にMgをメッキする工程と、前記メッキ
    工程後にAgとMgとを反応させAg−Mg合金を形成
    する拡散熱処理工程と、前記拡散熱処理工程後に前記超
    電導線材中に超電導層を形成する熱処理工程とから作製
    される超電導線材と、前記超電導線材を巻回してなるボ
    ビンと、前記ボビンに巻回される超電導線材を冷却する
    冷却装置とから構成されることを特徴する超電導マグネ
    ット。
  8. 【請求項8】前記超電導体は酸化物超電導体であること
    を特徴とする請求項1または2または5に記載の超電導
    線材の作製方法。
  9. 【請求項9】前記超電導体は酸化物超電導体であること
    を特徴とする請求項3または6に記載の超電導線材。
  10. 【請求項10】前記超電導体は酸化物超電導体であるこ
    とを特徴とする請求項4または7に記載の超電導マグネ
    ット。
  11. 【請求項11】前記メッキ材は、Mg、Al、Si、T
    i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
    Nb、Gd、In、Sn、ZrおよびSbの群から選ば
    れる少なくとも1種の金属あるいは合金あるいは金属間
    化合物で構成されていることを特徴とする請求項1記載
    の超電導線材の作製方法。
  12. 【請求項12】前記メッキ材は、Mg、Al、Si、T
    i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
    Nb、Gd、In、Sn、ZrおよびSbの群から選ば
    れる少なくとも1種の金属あるいは合金あるいは金属間
    化合物で構成されていることを特徴とする請求項3記載
    の超電導線材。
  13. 【請求項13】前記メッキ材は、Mg、Al、Si、T
    i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
    Nb、Gd、In、Sn、ZrおよびSbの群から選ば
    れる少なくとも1種の金属あるいは合金あるいは金属間
    化合物で構成されていることを特徴とする請求項4記載
    の超電導マグネット。
JP7321527A 1995-12-11 1995-12-11 超電導線材の作製方法および超電導線材および超電導マグネット Pending JPH09161573A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7321527A JPH09161573A (ja) 1995-12-11 1995-12-11 超電導線材の作製方法および超電導線材および超電導マグネット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7321527A JPH09161573A (ja) 1995-12-11 1995-12-11 超電導線材の作製方法および超電導線材および超電導マグネット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09161573A true JPH09161573A (ja) 1997-06-20

Family

ID=18133572

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7321527A Pending JPH09161573A (ja) 1995-12-11 1995-12-11 超電導線材の作製方法および超電導線材および超電導マグネット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09161573A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006098269A1 (ja) * 2005-03-15 2006-09-21 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 超電導線材の製造方法
JP2007080780A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導線材の製造方法および超電導機器

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006098269A1 (ja) * 2005-03-15 2006-09-21 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 超電導線材の製造方法
JP2006260854A (ja) * 2005-03-15 2006-09-28 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導線材の製造方法
JP2007080780A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導線材の製造方法および超電導機器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3107879B1 (en) Superconducting wires and methods of making thereof
US3838503A (en) Method of fabricating a composite multifilament intermetallic type superconducting wire
JP4316070B2 (ja) 高強度配向多結晶金属基板および酸化物超電導線材
US6372054B1 (en) Process for producing ultrafine multifilamentary Nb3(A1,Ge) or Nb3(A1,Si) superconducting wire
EP0769819B1 (en) Oxide superconducting wire and method of preparing same
US5087604A (en) Method of manufacturing a superconductor
JP2003521798A (ja) 拘束フィラメント型のニオブ基超伝導複合材と、その製造方法
JP3521182B2 (ja) 酸化物超電導線材及び超電導装置
USRE32178E (en) Process for producing compound based superconductor wire
Takeuchi et al. Effects of additive elements on continuous ultra-fine Nb/sub 3/Al MF superconductor
US5554448A (en) Wire for Nb3 X superconducting wire
JPH09161573A (ja) 超電導線材の作製方法および超電導線材および超電導マグネット
JP2006260854A (ja) 超電導線材の製造方法
JP3369225B2 (ja) 酸化物高温超電導線材の製造方法
JP2004207013A (ja) Nb3Al超伝導線材の製造方法とその方法により得られるNb3Al超伝導線材
JP3778971B2 (ja) 酸化物超電導線材およびその製造方法
JP2003297162A (ja) Nb3Ga極細多芯超伝導線材の製造方法
JPH0773759A (ja) 安定化層を備えた酸化物超電導テープの製造方法
JP2003331660A (ja) 金属シース超伝導体線材及び超電導コイル並びにその製造方法
JP2002033025A (ja) Nb3Al超電導多芯線とその製造方法
JP2000109320A (ja) 酸化物超電導体用金属基板及びその製造方法
JPS60727B2 (ja) アルミ安定化複合超電導線の製造方法
JPH11111081A (ja) 酸化物超電導線材
JP2005093235A (ja) Nb3Sn超電導線材およびその製造方法
JPH03102717A (ja) 電流リード用導体の製造方法