JP4316070B2 - 高強度配向多結晶金属基板および酸化物超電導線材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度配向多結晶金属基板、およびこの基板上に酸化物超電導体層を形成してなる酸化物超電導線材に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化物超電導体を用いた超電導線材の作製方法は、主として次の2種類の方法に分類される。
【0003】
第1の方法は、金属シース中に酸化物超電導体粉末を充填して線材状に加工し、さらに加工後もしくは加工中に熱処理を施して酸化物超電導線材を得るパウダーインチューブ(PIT)法と呼ばれる方法である。
【0004】
この方法による超電導線材の典型例として、Bi系酸化物超電導体(Bi2121,Bi2223)を銀あるいは銀合金のシース中に多数本フィラメントとして存在させた超電導テープ線材がある。このような超電導テープ線材は、例えば、Bi2223系線材では製造速度が100m/hにまで達するが、その臨界電流密度(Jc)は、77K、自己磁場下で2〜6×104 A/cm2 程度である。また、シース材は銀もしくは銀合金からなり、臨界電流密度が低下しないような引っ張り応力は、100MPa程度である。
【0005】
第2の方法は、多結晶金属基板上に結晶配向を制御して中間層を設け、その上に酸化物超電導薄膜を成膜して線材化する方法である。この場合、中間層は金属基板と酸化物超電導層の拡散反応を抑制し、さらにその上に成膜した酸化物超電導体層の配向性を制御して結晶粒の結合性を向上させ、それによって高い臨界電流密度を得ることを可能にする。
【0006】
この方法による超電導線材の典型例として、ハステロイ合金テープ上にイオンビームアシステッドデポジション(IBAD)法などによりイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)を面内配向成膜して中間層とし、その上にレーザーアブレーション法によりYBa2 Cu3 O7-y (Y123)酸化物超電導薄膜を成膜してテープ線材としたものがある。
【0007】
この方法により得られた超電導テープ線材は、Jcが77K、自己磁場下で1×106 A/cm2 にも達するが、中間層の成膜速度が0.001〜0.1m/hと極めて遅く、工業的には問題がある。
【0008】
同様の例として、RABiTS法と呼ばれる方法がある。この方法は、ニッケル金属に圧延加工と熱処理を加えて集合組織化したニッケルテープとし、その上にPdなどを電子ビーム蒸着したり、CeO2 やYSZをスパッター法などにより成膜して中間層を形成し、さらにレーザーアプレーション法によりY123系超電導体膜を形成する方法である。
【0009】
この方法による超電導線材も、Jcは77K、自己磁場下で1×106 A/cm2 にも達するが、中間層作成において複数回の薄膜形成プロセスを経るため、線材としての製造速度が低い点や、コストの面で問題がある。更に、多結晶金属基板として熱処理により集合組織化したNiは焼鈍されて軟化し、耐力(引張強度)が30MPa程度であるので、酸化物超電導線材の基板としては強度に問題がある。
【0010】
また、多結晶金属基板上に直接酸化物超電導層を成膜する方法もある。この方法は、拡散反応により酸化超電導体の特性を損なうことのない銀に圧延加工と熱処理を加えて集合組織とし、これを多結晶金属基板として用い、その上にレーザーアブレーション法によりY123系超電導体膜を形成する方法である。この方法による超電導線材では、77K、自己磁場下で1×106 A/cm2 のJcを得ることが可能である。
【0011】
しかしながら、銀は集合組織化し難く、配向性の向上に限界があり、更に、銀は熱処理によって焼鈍されて軟化してしまう。銀のヤング率は81GPa程度であって、ニッケルのヤング率210GPaと比較してきわめて小さく、強度の点で重大な問題がある。また工業的には銀の価格が高い点も問題である。
【0012】
また、SOE(Sueface Oxidation Epitaxy)法と呼ばれる手法では、圧延加工と熱処理によって集合組織化した多結晶金属テープに酸化処理を施して、直接、配向性の優れた金属酸化物層を形成し、これを中間層としてその上にレーザーアブレーション法や液相エピタキシャル法によって酸化物超電導体層を成膜している。
【0013】
この方法によると、集合組織化によって高度に配向した金属表面を得ることができる。しかし、配向した酸化物層を得るためには、金属材料とその熱処理方法の選択が重要になる。中間層とする酸化物層の配向性が低いと、Jcは104 A/cm2 のオーダーにとどまってしまう。また、金属基板(金属テープ)としての典型例はニッケルや銅であるが、いずれも集合組織化のための熱処理で焼鈍されて軟化し、強度の点で問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、PIT法では、得られた超電導線材は、77KでのJcが小さいため、77Kでの機器への利用には制限がある。
【0015】
一方、酸化物超電導薄膜線材に関しても、IBAD法やRABiTS法では、中間層を形成する工程が複雑で、成膜速度も遅いため、工業的に問題がある。また、銀基板を使用して中間層を形成するプロセスを省略する方法では、配向性と線材強度に問題があり、SOE法においては中間層形成プロセスは高速化できるが、線材強度と金属酸化物の配向性の問題がある。
【0016】
更に、金属基板の材料によっては、構成元素が拡散によって超電導層と反応し、特性を低下させたり、磁化によって大きな磁化損失が生じ、交流応用には交流損失が大きくなるなどの問題がある。
【0017】
本発明は、以上のような事情の下になされ、高強度および高配向を有する、酸化物超電導線材用多結晶金属基板を提供することを目的とする。
【0018】
本発明の他の目的は、かかる多結晶金属基板上に酸化物超電導体層を形成した、高いJcを示す酸化物超電導線材を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、ニッケル、酸化ニッケル、あるいはニッケルを主成分とするニッケル合金で表面層を形成し、ニッケルと拡散接合が可能な金属で内部金属層を形成した複合金属材料は、圧延加工と適当な熱処理によって基板表面に集合組織を得ることが可能であることから、内部金属層の金属材料として高強度金属材料を使用することによって、高強度および高配向性の多結晶金属基板を得ることが出来ることを見いだした。本発明は、このような知見に基づくものである。
【0020】
すなわち、本発明は、ステンレス鋼からなる内部金属層と、この内部金属層の外周面に形成された、ニッケル、酸化ニッケル、およびニッケルを主成分とするニッケル合金からなる群から選ばれた1種からなる表面層とを備える可撓性金属テープからなる酸化物超電導線材用金属基板であって、前記表面層のニッケル、酸化ニッケルあるいはニッケル合金の結晶粒の{100}面がテープ表面にほぼ平行であり、かつその<001>軸がテープの圧延方向にほぼ平行であるような集合組織を示し、再結晶熱処理を施すことによって前記表面層に再結晶集合組織が形成され、前記表面層が、前記熱処理の際の前記内部金属層を構成する元素の拡散距離よりも大きい厚さを有することを特徴とする高強度配向多結晶金属基板を提供する。
【0021】
本発明の金属基板では、金属基材としての強度は内部金属層を構成する鉄系合金からなる高強度金属が担い、基板として必要な配向性を表面層のニッケル、酸化ニッケルあるいはニッケル合金部分が担うことになる。
【0022】
以上のように構成される本発明の金属基板によると、表面層がニッケル、酸化ニッケルもしくはニッケル合金であるので、SOE法のように酸化処理によって直接金属テープ上に酸化物層を形成することも可能になり、中間層の形成を高速化することが可能である。
【0023】
また、本発明の金属基板においては、ステンレス鋼に代表される鉄系合金を複合強化材として使用しているので、高温でも高強度であり、液相エピタキシャル法のように高温を必要とする酸化物超電導体薄膜の高速成膜プロセスにも十分適用可能である。
【0024】
表面層を構成する金属については、配向処理や酸化処理、あるいは酸化物超電導体薄膜の成膜時に内部金属層との拡散反応によって配向性が低下したり、表面層が薄すぎて内部金属層の組織の影響を受けて配向組織が乱れることが考えられるが、圧延加工終了後の表面層の厚さを、配向のための熱処理の際に内部金属層を構成する金属が拡散する距離よりも厚く、例えば4μm以上とすることにより、熱処理による良好な配向組織が得られる。
【0025】
ただし、内部金属層で高強度化を図るならば、表面層の全体に占める割合は小さい方がよいので、表面層は薄くする方が望ましい。この場合、内部金属層は面心立法構造の金属の方が高度な配向を得やすく、ステンレス鋼でもオーステナイト系のものが好ましい。
【0026】
内部金属層を構成する鉄系金属は、ステンレス鋼、クロム−モリブデン鋼、マンガン鋼、ニッケル−クロム鋼、クロム−マンガン鋼である。また、内部金属層の厚さは、基板の厚さから8〜10μm減じた厚さであるのが好ましい。
【0027】
オーステナイト系ステンレスは非磁性なので、複合材料とした場合に純ニッケルに比べ磁性を低減することができる。この点で交流応用にも有効である。更に、内部金属層と表面層の界面に酸化物層を形成すると、内部金属層の構成元素の拡散を抑制することが出来るため、酸化物超電導体層と基板構成元素の反応を抑制することが可能になる。
【0028】
このように、本発明によると、高配向性と高強度を有し、磁性の問題や基板構成元素の拡散による超電導特性の低下の問題の解決にも著しい効果を上げることを可能にした高強度配向多結晶金属基板、および酸化物超電導線材を得ることが可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態としての、種々の実施例について説明する。
【0030】
[実施例1]
本実施例は、ステンレス鋼を内部金属層とした場合の高強度化、および内部金属層をオーステナイト系ステンレス鋼にした場合の低磁性化の効果について示すものである。
【0031】
直径20mm、厚さ2.5mmのニッケルパイプに、SUS310S、SUH31、SUH309、SUH310、若しくはSUS316のオーステナイト系ステンレス鋼、又はSUS430のフエライト系ステンレス鋼の棒をそれぞれ挿入し、スエージング後、アルゴン雰囲気で800℃の加熱処理を行った。
【0032】
続いて、圧延加工によって厚さ0.2mmのニッケル/ステンレス鋼複合テープとした。
【0033】
比較例として、同形状のニッケルパイプに、銅、および銅70wt%−ニッケル30wt%合金をそれぞれ挿入したもの、および直径20mmの純ニッケル棒についても同様にして金属テープに加工した。
【0034】
これらの複合テープをアルゴン雰囲気中において1000℃で1.0時間アニールして、配向処理を施した。
【0035】
次に、室温で配向処理を施したテープの引っ張り試験を行い、耐力を比較した。また、X線回折測定によって結晶粒表面にニッケル{100}面が占める割合を求めた。更に、交流損失を示唆する磁化のヒステリシスを液体窒素温度下で電磁誘導法により求めた。このとき印加した外部磁場は0.1Tp−pである。下記表1にそれらの結果を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
上記表1から、いずれのテープも80%以上の結晶粒がニッケル{100}面に配向しており、配向性では遜色のないことが分かる。一方、耐力で比較すると、純ニッケルや、ニッケル/銅複合テープ、ニッケル/銅70wt%−ニッケル30wt%合金複合テープは、いずれのニッケル/ステンレス鋼複合テープの耐力より100MPa以上小さく、明らかに本発明に係る金属基板の方が大きな強度を示すことがわかる。
【0038】
磁化によるヒステリシスについては、銅やオーステナイト系ステンレス鋼のような非磁性材料を内部金属層とすると、Niフェライト系ステンレス鋼に比較して、4分の1以下に小さくすることができ、交流応用に効果的であることが分かる。
【0039】
[実施例2]
本実施例は、表面層の厚さ、配向についての実施例である。
【0040】
直径20mm、厚さ2.5mmのニッケルパイプにSUS310棒を挿入し、スエージング後、アルゴン雰囲気中で800℃、1時間の加熱処理をおこなった。その後、圧延加工によって、厚さ0.3mmのニッケル/SUS310鋼複合テープを作製した。
【0041】
この複合テープをアルゴン雰囲気中において1000℃で15分間、30分間、1時間および1.5時間、それぞれアニールして、ニッケル−SUS310複合テープとした。
【0042】
なお、最外層のニッケルとSUS310の境界は明確でなく、鉄やニッケル、クロムの濃度に勾配ができていた。特に、 EPMA観察の結果、熱処理前と比較して、鉄元素の表面層のニッケル側への拡散距離が最大であった。表面層であるニッケルの配向はX線回折測定によって調べ、鉄元素の拡散距離はEPMAで観察した。その結果を下記表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
上記表2から、表面層の高度な配向を得るためには30分以上の熱処理が好ましいが、1時間以上保持した場合には配向に変化は余り見られないことがわかる。一方、配向処理による鉄元素の拡散は30分で2.4μm、1時間で30μmであるので、配向処理前の表面層の厚さは3μm以上が好ましく、その後の成膜プロセスを経ることを考えると、4μm以上であることがより好ましいことがわかる。
【0045】
続いて、1000℃、1時間の配向処理を施したテープを酸素雰囲気中、1100℃で0.5時間酸化処理を施して、表面にNiO層を形成した。得られたNiO結晶の{100}面は、下地のニッケル表面に平行であり、図1に示すX線極点図に示すように、<100>軸が圧延方向に高度に平行に配向していることを確認した。
【0046】
[実施例3]
本実施例は、ニッケルを主成分とするニッケル合金を表面層に使用した場合の配向基板の作製例、およびニッケル−銅合金を表面層にした効果を示す実施例である。
【0047】
外径20mm、厚さ2.5mmのNi89wt%−Cr11wt%合金パイプ、Ni90wt%−V10wt%合金パイプ、およびNi84wt%−Cu16wt%合金パイプにSUS310棒を挿入し、スエージング後、アルゴン雰囲気中で500℃、1時間の加熱処理をおこなった。その後、圧延加工によって、厚さ0.3mmのニッケル合金/SUS310鋼複合テープを作製した。
【0048】
この複合テープを、アルゴン−4%水素混合ガス雰囲気中において、920℃で1.5時間それぞれアニールして、ニッケル合金−SUS310複合テープとした。
【0049】
EPMA観察の結果、SUS310と表面層の境界は明確でなく、鉄やニッケル、クロムの濃度に勾配ができていた。表面層であるニッケル合金の配向はX線回折測定によって調べた。また、磁化によるヒステリシスを、実施例1と同様に電磁誘導法によって測定した。その結果を下記表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
上記表3から、いずれも90%以上の結晶粒がニッケル{100}面に配向しており、さらに、ヒステリシスは表面層がNi単独で形成されていた場合(実施例1)に比べて極めて小さくなり、交流応用に効果があることを示している。
【0052】
上記配向処理を施したニッケル合金/SUS310鋼複合テープを、1050℃で酸素分圧を変化させて、酸化物層の形成処理を試みた。しかし、Ni89wt%−Cr11wt%合金、Ni90wt%−V10wt%合金を表面層とした場合は、酸素分圧が5×10-4Torr以下ではCrやVの酸化物だけが形成されたり、逆に酸素分圧を大きくすると酸化物層が剥離した。
【0053】
しかし、Ni84wt%−Cu16wt%合金を表面層にした場合は、酸素分圧を5×10-4から1×10-3Torrにすると、NiO層が形成できた。なお、このときのNiOはX線回折の結果、NiO(100)面がほぼ85%テープ面に平行に配向していた。従って、Ni84wt%−Cu16wt%合金を表面層に使用すると、磁性の低減と配向した酸化物層の形成に有効である。
【0054】
[実施例4]
本実施例は、複合材料に熱処理を施すことにより形成されたNiO酸化物結晶層の配向性や磁性、強度の優位性について示す。
【0055】
実施例1と同様にして、ニッケルとSUS310S,SUH31,SUH309,SUH310,SUS316のオーステナイト系ステンレス鋼、およびSUS430フェライト系ステンレス鋼を用いて、それぞれの厚さ0.2mmのニッケル/ステンレス鋼複合テープを作製した。
【0056】
比較例として同形状のニッケルパイプに銅、銅70wt%−ニッケル30wt%合金をそれぞれ挿入したもの、および直径20mmの純ニッケル棒についても同様にして金属テープに加工した。
【0057】
この複合テープを、アルゴン雰囲気中において、1000℃で1.0時間アニールして配向処理を施した後、ニッケル/ステンレス鋼複合テープおよびニッケルテープは酸素雰囲気中で1100℃、1時間の熱処理、銅あるいは銅合金の複合テープは酸素雰囲気中で1020℃、1時間の熱処理を施して、酸化物結晶層を形成した。
【0058】
その後、実施例1と同様に、耐力、配向性、磁化によるヒステリシスを比較した。その結果を下記表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
上記表4から、いずれも80%以上の結晶粒がNiO{100}面に配向しており、配向性では遜色のないことが分かる。一方、耐力で比較すると、純ニッケルや、ニッケル/銅複合テープ、ニッケル/銅70wt %−ニッケル30wt%合金複合テープは、いずれのニッケル/ステンレス鋼複合テープの耐力より半分程度で、明らかに本発明の方が大きな強度を示すことがわかる。
【0061】
磁化によるヒステリシスは、Niフェライト系ステンレス鋼に比較して、銅やオーステナイト系ステンレス鋼のように非磁性材料を内部金属層とすると、3分の1以下にヒステリシスを小さくすることができ、交流応用に効果的であり、優れた多結晶金属基板であることを示している。
【0062】
[実施例5]
本実施例は、表面層と内部金属層の界面に内部金属層の構成元素の酸化物を形成した場合の効果を示す。
【0063】
実施例1と同様に、ニッケルパイプにSUS310Sステンレス鋼の棒を挿入し、熱処理と圧延加工によって、ニッケル/ステンレス鋼複合テープを作製した。続いて、この複合テープを大気中とアルゴン中、アルゴン−水素混合ガス中でそれぞれ900℃、1時間の配向処理を施した。
【0064】
このとき、大気中で熱処理を施したテープは、テープ表面に厚さ6μm程度のNiO層が形成されると同時に、厚さ3μm程度の酸化クロムの層がニッケルとステンレス鋼の界面に形成されていることが、SEMやEPMA観察で確認できた。
【0065】
一方、アルゴン中やアルゴン−水素混合ガス中で熱処理をしたテープは、酸化クロムの層はなく、20μm程度にわたって鉄やクロムが表面層のNi側へ拡散していた。大気中で熱処理をしたテープの表面からNiO層を研磨して除去した後、すべてのテープに酸素中で1100℃、30分の熱処理を施した。
【0066】
続いて、熱処理後の各テープの断面をEPMAで観察したところ、アルゴン中やアルゴン−水素混合ガス中で配向熱処理を施したテープは、表面のNiO中に鉄が拡散していることが確認できた。また、酸化ニッケルは厚さ5〜7μmで、厚さ3μm程度の酸化鉄の層と接し、さらに酸化鉄の層は厚さ3μm程度の酸化クロムの層と接して、内部金属層に至っていた。
【0067】
しかし、酸化クロムの層がニッケルとステンレス鋼の界面に形成されていた場合は、テープ表面から、厚さ5μm程度の酸化ニッケルの層、厚さ8μm程度の酸化クロムの層、内部金属層の順に並ぶ構造になっており、鉄の拡散を酸化クロムの層が抑制していることが分かった。
【0068】
鉄が超電導層に混入すると、超電導特性が著しく低下するため、鉄の拡散を抑制する酸化物層が表面層と内部金属層の界面に形成されていることは、極めて酸化物超電導層の形成には有益である。
【0069】
[実施例6]
本実施例は、酸化物超電導線材に係る実施例である。実施例5に記載のニッケル/ステンレス鋼複合テープをアルゴン中で、900℃、1時間の配向処理を施し、さらに酸素中で1100℃、30分の酸化熱処理を施した。得られたNiO結晶の極点図を測定すると、テープ表面に{100}面が平行で、圧延方向に<001>方向が高度に配向している集合組織を呈していることが確認された。
【0070】
次に、作製された高強度配向多結晶金属基板に、KrFエキシマレーザーを用いたレーザーアブレーション法によりY123酸化物超電導層、Nd123酸化物超電導層、およびゾルーゲル法によってBi2212酸化物超電導層を成膜した。
【0071】
レーザーアブレーション法では、基板温度を700℃、雰囲気ガスの酸素ガス圧力を100〜200mmTorr、レーザーのエネルギー密度は2J/cm2 、レーザーの繰り返し周波数は10Hzとすることにより、Y123酸化物超電導層の膜厚は約0.3μmとなった。ゾルーゲル法では、構成元素のナフテン酸溶解液を基板上に塗布し、スピンコートと500℃の乾燥処理を繰り返すことによって、厚さ1μmまで堆積した。
【0072】
続いて、酸素中で900℃の部分溶融を経た後、大気中で850℃、5時間の熱処理をして、酸化物超電導層を形成した。
【0073】
また、配向処理を施し、基板表面がNi{100}<001>配向した高強度多結晶配向基板上に、スパッタ法により、MgOを0.4μmの厚さに成膜し、上述の条件でレーザーアブレーション法によりY123酸化物超電導層を成膜した。この超電導線材について77K、自己磁場下でJcを測定して、下記表5に示す結果を得た。
【0074】
【表5】
【0075】
上記表5から、従来のIBAD法やRABiTS法で得られたJcと同程度のJcをY123超電導体層やNd123超電導体層で得ることが可能であることが分かる。また、Bi系の超電導体のJcは銀基板上で作製されたものと同等であることから、金属基板の構成元素の拡散による特性低下が防止できていることが分かる。
【0076】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように、本発明によると、高強度、高配向の多結晶金属基板を得ることが出来、さらには酸化処理によって高配向の中間層を有する金属基材の得ることが可能である。また、このような金属基材上に超電導層を形成することにより、高いJcの超電導線材を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2により得たNi−SUS310複合テープの配向性を示すX線極点図の1例を示す図。
Claims (8)
- ステンレス鋼からなる内部金属層と、この内部金属層の外周面に形成された、ニッケル、酸化ニッケル、およびニッケルを主成分とするニッケル合金からなる群から選ばれた1種からなる表面層とを備える可撓性金属テープからなる酸化物超電導線材用金属基板であって、前記表面層のニッケル、酸化ニッケルあるいはニッケル合金の結晶粒の{100}面がテープ表面にほぼ平行であり、かつその<001>軸がテープの圧延方向にほぼ平行であるような集合組織を示し、再結晶熱処理を施すことによって前記表面層に再結晶集合組織が形成され、前記表面層が、前記熱処理の際の前記内部金属層を構成する元素の拡散距離よりも大きい厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の高強度配向多結晶金属基板。
- 前記表面層の厚さが4μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の高強度配向多結晶金属基板。
- 前記ステンレス鋼がオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1または2に記載の高強度配向多結晶金属基板。
- 請求項1に記載の高強度配向多結晶基板に対して熱処理を施すことにより、その表面に酸化ニッケルを主成分とする酸化物結晶層を形成してなる可撓性金属基板であって、前記酸化物結晶層の結晶粒の(100)面が基板表面にほぼ平行であるような結晶配向を示すことを特徴とする高強度配向多結晶金属基板。
- 前記内部金属層と前記表面層との界面に、前記内部金属層を構成する金属元素の少なくとも1種類の金属元素の酸化物よりなる酸化物層が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の高強度配向多結晶金属基板。
- 前記表面層を構成するニッケル合金がニッケル−銅合金である請求項1に記載の高強度配向多結晶金属基板に対して熱処理を施すことにより、その表面に酸化ニッケルを主成分とする酸化物結晶層を形成してなる請求項4に記載の高強度配向多結晶金属基板。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載の高強度配向多結晶金属基板上に、主として酸化物超電導体よりなる超電導体層を、直接あるいは中間層を介して形成してなる酸化物超電導線材。
- 超電導体の主成分たる酸化物超電導体がREBa2 Cu3 Ox (式中、REはYあるいはNdを示し、xは7に近い数を示す。)なる化学式で表される超電導物質であることを特徴とする請求項7に記載の酸化物超電導線材。
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