JPH09147635A - A15型超電導線材およびその製造方法 - Google Patents

A15型超電導線材およびその製造方法

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JPH09147635A
JPH09147635A JP7302684A JP30268495A JPH09147635A JP H09147635 A JPH09147635 A JP H09147635A JP 7302684 A JP7302684 A JP 7302684A JP 30268495 A JP30268495 A JP 30268495A JP H09147635 A JPH09147635 A JP H09147635A
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wire
alloy
superconducting
type superconducting
sheet
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JP7302684A
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English (en)
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Toshihide Namatame
俊秀 生田目
Takaaki Suzuki
孝明 鈴木
Hiroko Watanabe
裕子 渡邊
Katsuzo Aihara
勝蔵 相原
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Cuの安定化材中にNb3Al超電導体が配
され、12T以上の高磁界で高電流密度を有する超電導
特性に優れたA15型超電導線材を提供する。 【解決手段】 ジェリーロール法により、下式に示すA
lX合金をNbに固溶させた体心立方格子の固溶体から
なる金属シートを、Cuの芯材に巻き付けてロール形状
材を作製し、Cu管に入れて線引き加工してシングル線
材とし、該シングル線材を複数本束ねてCu管に入れて
線引き加工して多芯線形状材とし、熱処理してシングル
線材中にAl濃度が22〜25at%のNb3Al系超
電導体を生成させたA15型超電導線材。 【化5】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導マグネット
装置に用いられるA15型超電導線材およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】Nb3Al系超電導体については、アプ
ライド・フィジックス・レターズ52 (20) 1988年5月16
日発行、第1724頁から第1725頁「Applied Physics Lett
ers, Vol.52, No.20(1988) 1724-1725.」において、多
数本のAl合金棒とNb管を複合加工法により極細多芯
線化した後、750〜950℃の拡散熱処理することで
Nb3Al系超電導体を生成するNbチューブ法が報告
されている。また、Nb箔とAl箔を金属芯材に巻き付
けて、これを多数本金属パイプ中に埋め込んで細線加工
した後、拡散熱処理するジェリーロール法(IEEE Trans
action on Magnetics, Vol. MAG-11, No.2, March 197
5, p.263-265)や、Nb箔とAl箔とを積層し、圧延加
工した後、細線化し、さらに金属シースに充填して細線
化を行い、拡散熱処理をしNb3Al系超電導体を作製
するクラッドチップ法などの複合加工法が開発されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術で示した
複合加工法により製造されるNb3Al系超電導体は、
通常の1000℃以下の熱処理による拡散反応法であ
り、1000℃以下の低温度熱処理で生成したNb3
l極細多芯超電導線材の臨界温度、臨界磁場が低く、1
2T以上の高磁界で極端に臨界電流密度が低下する問題
があった。これは、Nb−Al二元系相図(図示なし)
より、1000℃以下の温度で生成されたNb3Al系
超電導体がAl欠損型(Al濃度<20at%)にある
ことに起因している。このために、2000℃以上の高
温度から短時間で冷却する急冷法により、化学量論組成
比Nb:Al=3:1(Al濃度=25at%)を満足
した高い臨界温度、臨界磁場を有するNb3Al系超電
導体の製造が図られている。これは、2000℃以上の
高温度からの急冷によってAlがNbに固溶した体心立
方格子(bcc)の固溶体を中間体として形成するため
に、その後の低温度拡散反応でも容易にNb3Al系超
電導体が生成できることに起因している。しかし、上述
した急冷法では、瞬時に2000℃以上の高温度にした
熱処理を行うために、芯材及び安定化材として融点が1
083℃の銅あるいは銅を基体とした合金の使用が難か
しい問題点がある。
【0004】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたものであって、銅あるいは銅を基体とした合金
を安定化材として用い、12T以上の高磁界で高電流密
度を有する超電導特性に優れたA15型超電導線材、こ
の超電導線材の複数を撚り線とした導体、該A15型超
電導線材の製造方法、および該A15型超電導線材を構
成要素とする超電導マグネット装置を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1のA15型超電導線材は、Cuまたは
Cuを基体とする合金からなる安定化材中に超電導体フ
ィラメントが埋め込まれてなる超電導線材で、超電導体
フィラメント内部に生成されたNb3Al系超電導体の
Al濃度が22〜25at%と高いことを特徴とする。
【0006】また本発明の第2のA15型超電導線材
は、CuまたはCuを基体とする合金からなる安定化材
中に多数の超電導体フィラメントが埋め込まれてなる超
電導線材であって、各超電導体フィラメントは、Cuま
たはCu基合金からなる芯材の周囲を取り巻いて形成さ
れ、このフィラメント内部に生成されたNb3Al系超
電導体のAl濃度が22〜25at%であり、超電導フ
ィラメントは安定材中に同心円状に配列されていること
を特徴とする。
【0007】また本発明の第3のA15型超電導線材
は、上記第2のA15型超電導線材におけるCuまたは
Cu基合金からなる芯材に代えて、NbまたはNb合金
からなる芯材を用いたものである。
【0008】また本発明のA15型超電導導体は、本発
明の第2または第3のA15型超電導線材が複数本撚り
あわされ、ステンレス鋼あるいはTiからなるパイプ状
のコンジット内に収納されて構成されたことを特徴とす
る。
【0009】本発明においては、Nb3Al系超電導体
中のAl濃度を22〜25at%にすることが有効であ
ると考え、この高いAl濃度の実現するために、Nb3
Al系超電導体の生成においてAlがNbに固溶した体
心立方格子(bcc)の固溶体を中間体として形成した
後に、低温度拡散反応でNb3Al系超電導体を生成す
る方法を発明した。
【0010】すなわち、本発明のA15型超電導線材の
製造方法は、ジェリーロール法により金属シートを、C
u、Cuを基体とする合金、NbまたはNb合金のいず
れかでなる芯材に巻き付けてロール形状材を作製し、こ
のロール形状材を線引き加工してシングル線材とし、こ
のシングル線材を複数本束ね線引き加工して多芯線形状
材とし、さらに多芯線形状材を熱処理して各シングル線
材中にNb3Al系超電導体を生成させる製造方法にお
いて、金属シートとして、NbまたはNb合金にAlを
固溶させたbcc固溶体からなるものを用いる方法であ
る。
【0011】そして上記bcc固溶体からなる金属シー
トの製造方法は、AlシートとNbまたはNb合金シー
トとを重ねて通電加熱法で加熱した後、急冷して作製す
ることを特徴とする。さらに、この金属シートをドラム
形状にした後、通電加熱法を適用するのがよく、この形
状の方が芯材への巻き付けに望ましい。
【0012】さらに上記Alシートに代えて下式に示す
合金シートを用い、該合金シートとNbまたはNb合金
シートとを重ねて、通電加熱法で加熱した後、急冷し
て、bcc固溶体からなる金属シートを作製してもよ
い。なお以後、下式は使用文字の都合上、Al(1-y)X
(y)と記述する。そしてNbまたはNb合金にAl(1-y)
X(y)を固溶させたbcc固溶体からなる金属シートを
用いて、上記のようにジェリーロール法により芯材に巻
き付けてロール形状材を作製し、シングル線材から多芯
線形状材とする工程を経て、熱処理してシングル線材中
にNb3Al系超電導体を生成させることにより、Nb3
Al系超電導体のAl濃度が22〜25at%と高い超
電導線材を製造することができる。
【0013】
【化4】
【0014】またNbまたはNb合金にAl(1-y)X(y)
を固溶させたbcc固溶体からなる金属シートは、Al
(1-y)X(y)組成の合金をNbまたはNb合金シートにコ
ーティングし、ロール巻き形状とし、通電加熱法で加熱
した後、急冷して作製することもできる。
【0015】本発明の超電導マグネット装置は、上記で
得られたA15型超電導線材または導体をコイル状に巻
線することにより作製された超電導マグネットと、この
超電導マグネットを低温冷媒中に浸漬して収納するクラ
イオスタットとを備えたものである。
【0016】本発明は、さらに詳述すると、A15型超
電導体の高磁界下での臨界電流密度を高めるために、図
1に示したような構成で、銅あるいは銅を基体とする合
金を芯材1とし、芯材1の周囲にあって内外周を2つの
Nbバリア層2で挾まれた超電導フィラメント3内部に
生成されたNb3Al系超電導体のAl濃度を22〜2
5at%に向上させるようにしたものである。
【0017】従来より一般に用いられている1000℃
以下の熱処理によるNbとAlの拡散反応では、まずA
l濃度の高いNbAl3が生成し、それからNb2Alを
経て、超電導特性を示すNb3Alが生成する。通常、
この1000℃以下の熱処理で行う拡散反応では、Nb
−Al二元相図より、Al欠損(Al濃度:17at%
以下)したNb3Al系超電導体となっている。このため
に、臨界温度は16K、臨界電流密度は14Tで600
A/mm2以下と低い超電導特性を示している。本発明
では、Nb3Al系超電導体を拡散反応時に生成させる
際に、Al濃度が22〜25at%と高いNb3Al系
超電導体を形成させたものである。
【0018】次に本発明は、Al濃度が22〜25at
%と高いNb3Al系超電導体を形成させるために、低
温度の拡散反応の前にAlがNbに固溶した体心立方格
子(bcc)の固溶体からなる中間体を得ることが必要で
ある。上記bcc固溶体は、NbとAlの合金を200
0℃の高温度より急冷させることにより得ることができ
る。bcc固溶体の中間体を一般に用いられる800℃
以上で熱処理することにより、化学量論組成比Nb:A
l=3:1(Al濃度=25at%)を満足したNb3
l系超電導体を生成し、臨界温度が18K以上、臨界電
流密度が14Tで600A/mm2以上と高い特性を示
す。
【0019】また、図2に本発明にかかるA15型超電
導線材の製造方法であるジェリーロール法を示す。Al
がNbに固溶したbcc固溶体からなるシート6とその
両端につながるNbシート5とから構成された一枚板
を、銅の芯材1に巻き付けた後、線引き加工し、その素
線を複数本束ねて線材形状に成型する。従来のジェリー
ロール法ではNb箔とAl箔を重ねて芯材に巻き付ける
ために2つの箔間に隙間が生じ、熱処理時の拡散反応を
阻害している。しかもNb3Al系のA15型超電導体
の硬度はビッカース硬度で400前後と非常に硬くて線
引き加工が不可能である。一方、AlがNbに固溶した
bccの固溶体は、硬度がNb金属と同程度のビッカー
ス硬度200以下であり、柔軟性を有するために、その
後の押し出し、伸線加工が可能である。
【0020】図3に本発明によるA15型超電導線材の
構造を示す。これは、銅あるいは銅を基体とする合金の
芯材1を有しAl濃度が22〜25at%であるNb3
Al系のA15型超電導シングル線材を、銅あるいは銅
を基体とする円柱状の合金材4中に同心円状に複数本配
列して作製された多芯構造であり、しかも銅の安定化材
を有している。このように本発明によるA15型超電導
線材は銅の安定化材を有した構造をとれる利点がある。
【0021】また、NbまたはNb合金を芯材7とする
場合も、図4に示すA15型超電導線材の構造をとれ
る。図3に示す銅あるいは銅を基体とする合金を芯材と
する場合と同様、Nb芯材7周囲の超電導フィラメント
3内部に生成されたNb3Al系のA15型超電導体の
Al濃度が22〜25at%であって、このA15型超
電導シングル線材を円柱状の銅あるいは銅を基体とする
円柱状の合金材4中に同心円状に複数本配列すること
で、A15型超電導線材を作製できる。
【0022】図5はA15型超電導導体の構造を示す図
で、この超電導導体は、上記のA15型超電導線材を複
数本撚りあわして、ステンレス鋼(SUS)あるいはT
iからなるパイプ状のコンジット内に収納した構造をと
る。
【0023】AlがNbに固溶したbcc固溶体を含む
金属シートの製造は、NbシートとAl(1-y)X(y)元素
からなるシートを重ね合わせたもの、あるいは、Al(1
-y)X(y)元素をコーテイーングしたNbシートを、図6
の通電加熱法により10〜220Vで0.05〜0.3
秒の通電することで行われる。この際、Al(1-y)X(y)
元素からなるシートまたはAl(1-y)X(y)元素のコーテ
ィングは、Nbシートの中央部に位置し、Nbシートの
両端部はNbシートのままである。この通電加熱法によ
れば、瞬時に2000℃以上の高温度領域に加熱でき、
しかも急冷することが可能なために容易にbcc固溶体
を形成できる利点を持っている。さらに図7に示すよう
に、Al(1-y)X(y)元素をコーテイーングしたNbシー
トをドラム形状にしたほうが、通電加熱法でbcc固溶
体を形成した後の芯材への巻き付け加工がしやすくな
る。
【0024】また、Al(1-y)X(y)元素におけるX元素
としては、たとえばMg、Ge、Si、Ti、Hf、T
a、Zr、Be元素のうちから選ばれた少なくとも一種
からなり、かつこれらの元素の置換量は0≦y≦0.2
の範囲が好ましい。特に、上記Al(1-y)X(y)元素を置
換したA15型超電導線材または導体は20T以上の高
磁界領域でも高いJc値が得られる。
【0025】さらにCuを基体とする合金としては、C
u−10%Ni、Cu−5%Sn、Cu−2%Be、C
u−10%Zn、Cu−0.3%Cr−0.1%Zr等
がある。芯材としてCuの代わりに上記Cuを基体とす
る合金を用いた場合においてもA15型超電導線材を作
製できる。
【0026】同様にNb合金としては、Nb−0.3%
Ti、Nb−0.1%Zr等があり、芯材としてNbの
代わりに上記Nb合金を用いた場合においてもA15型
超電導線材を作製できる。
【0027】本発明で作製できたA15型超電導線材ま
たは導体を巻線することで得られた高磁界発生用マグネ
ットは、臨界温度18K、臨界磁場22T以上と高い超
電導特性を有するために、高磁場発生マグネットの開発
に有効である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明するが、本発明は何らこれに限定するも
のではない。
【0029】(実施の形態1)先ず、厚み75μmのN
bシート5の中央部に厚み25μmのAlシート11を
重ねて、図6に示すように、自己通電加熱法で220
V、0.05秒通電した後、Ga浴で室温まで急冷し
た。この試料中央部の一部をサンプルとして切り出し、
X線回折測定したところ、X線回折強度のピークより、
AlがNbに完全に固溶した体心立方格子(bcc)の固
溶体であることが分かった。この固溶体のビッカース硬
度を測定したところ、Hv=180であり、Nb金属と
同程度の硬さであった。
【0030】次に、図2に示すジェリーロール法によ
り、銅金属の芯材1に、上記のようにNbにAlを固溶
させた金属シート(Nb−Al固溶体シートという)を巻
き付けてロール状の素材にした後、この素材を銅パイプ
に挿入し、押し出し加工、伸線加工して、シングル線材
を作製した。この工程における歩留りは90%であっ
た。このシングル線材の複数本を、さらに銅からなる別
の芯材12を中心にして、同心状に配置して押し出し加
工、伸線加工を行い、マルチ線材とした。このマルチ線
材を真空中800℃で5時間熱処理することにより、N
3Al系のA15型超電導線材を得た。このA15型
超電導線材10Aの断面構造を図3に示す。
【0031】本発明のA15型超電導線材を構成する超
電導シングル線材の断面構造を図1に示す。この超電導
シングル線材20は、銅芯材1を中心にそれぞれ環状の
Nbバリア層2a、超電導フィラメント部3、Nbバリ
ア層2b、そして銅材4の順に構成されていることが分
かる。Nbバリア層2a、2bは図2に示す各Nbシー
ト5から生成され、また超電導フィラメント部3はNb
−Al固溶体シート6から生成されたものである。超電
導フィラメント部3は、マイクロX線測定よりA15型
超電導体で構成されていること、及びオージュ分析より
Nb3Al系のA15型超電導体の結晶中のAl濃度が
22〜25at%の範囲内であることが分かった。ま
た、磁化法で温度を変えながら臨界温度、並びに4.2
Kで印加磁界を変化させて臨界電流密度を測定した。そ
の結果、臨界温度は18.3K、臨界電流密度は14T
の印加磁場中で750A/mm2と大きな値が得られた
(表1の(a))。
【0032】(実施の形態2)実施の形態1で得られた
Nb3Al系A15型超電導線材を144本撚りあわせ
た後、Tiのコンジット内に収納したA15型超電導導
体の断面を図5に示す。ボイド率(超電導導体の断面積
に対する超電導線材同士間および超電導線材とコンジッ
ト間に生じる隙間の割合)は約36%である。超電導導
体を得る工程での有効な歩留りは、80%であった。ま
た、臨界電流は14Tの印加磁場中で15kAと大きな
値を示した(表2の(a))。
【0033】SUSのコンジットを用いた場合において
も、上記と同様の方法で得られたA15型超電導導体の
ボイド率は36%、臨界電流は14Tの印加磁場中で1
0kA、工程の有効な歩留りは80%であった(表2の
(a))。
【0034】(実施の形態3)実施の形態1で示したジ
ェリーロール法によるシングル線材の作製において、銅
芯材1の代わりにNbまたはNb合金からなるNb芯材
7を用いた場合でも同様の工程を行うことで歩留り90
%以上のシングル線材20を得た。さらに、上記シング
ル線材の複数本を、さらに銅芯材12を中心に同心状に
配置して押し出し加工、伸線加工を行い、マルチ線材と
した後、真空中800℃で5時間熱処理することでNb
3Al系A15型超電導線材10Bを得た。このA15
型超電導線材の断面を図4に示す。このA15型超電導
線材の歩留りは約92%であり、臨界温度は18.3
K、臨界電流密度は14Tの印加磁場中で760A/m
2の特性を示した(表3の(a))。上記の熱処理(8
00℃×5時間)後に得られたA15型超電導線材の超
電導フィラメント部のAl濃度は、オージュ分析より2
3〜25at%の範囲であった。
【0035】コンジット材にTiあるいはSUSを用い
た場合でも、上記A15型超電導線材を実施の形態2と
同様の方法で行えば、ボイド率が36%、臨界電流が1
4Tの印加磁場中で12kAの特性を示した(表4の
(a))。
【0036】(実施の形態4)Alシートの代わりにA
l(1-y)X(y)(X:Mg、Ge、Si、Ti、Hf、T
a、Zr、Beの1種、かつy≦0.2)からなる合金
シートを用い、図6に示す方法で金属シートを作製し、
この金属シート(Nb−AlX固溶体シートという)を
銅金属の芯材に巻き付け、それから実施の形態1と同様
の工程により、マルチ線であるNb3Al系のA15型
超電導線材を作製した。このA15型超電導線材につい
て、加工の歩留まり及び超電導性を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】このA15型超電導線材を実施の形態2と
同様の方法で撚り合わせて作製したA15型超電導導体
について、そのボイド率及び超電導性を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】Alシートの代わりにNb−AlX固溶体
シートを用い、Nb芯材に巻き付け、それから実施の形
態3と同様の方法でマルチ線であるNb3Al系のA1
5型超電導線材を作製した。このA15型超電導線材に
ついて、加工の歩留まり及び超電導性を表3に示す。さ
らにこの超電導線材の撚り線であるA15型超電導導体
をについて、そのボイド率及び超電導性を表4に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】Alシートの代わりにAl(1-y)X(y)でX
=MgとGe、y≦0.2とする合金シートを用い、図
6に示す方法で金属シート(Nb−AlX固溶体シート)
を作製し、この金属シートを銅芯材に巻き付け、それか
ら実施の形態1と同様の工程により、マルチ線であるN
3Al系のA15型超電導線材を作製した。このA1
5型超電導線材の加工の歩留まりが85〜95%、臨界
電流密度760〜950A/mm2(14T)を示し
た。また、X=Mg、Ge、Si、Ti、Hf、Ta、
Zr、Beのうち、2種以上の組合せで置換した場合に
おいても、置換率y≦0.2であれば、加工の歩留まり
が80〜95%、臨界温度が18.3〜21.0K、臨
界電流密度760〜950A/mm2(14T)の特性
を得た。
【0044】(実施の形態5)図7に示すように厚み7
5μmのNbシート5の中央部に厚み25μmのAlシ
ート11を重ね、ドラム形状にした後、自己通電加熱法
で220V、0.05秒通電し、それからGa浴で室温
まで急冷した。上記ドラム形状の金属シートを用いて実
施の形態1〜4と同様の方法で実施した結果、工程での
有効な歩留りは、図6にしめす平板での自己通電加熱法
の場合に比べて2〜5%向上した。
【0045】(実施の形態6)実施の形態1〜5で作製
されたA15型超電導線材あるいは導体をコイル状に巻
線することで得られた超電導マグネットは、液体He中
で12Tの外部磁場の領域で自己磁場5Tを発生した。
【0046】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように、高磁界
で高電流密度を有することから、超電導コイルとすれ
ば、従来高磁界をより小型で経済的に発生することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のNb3Al系A15型超電導シングル
線材の断面図である。
【図2】ジェリーロール法の模式図である。
【図3】本発明のNb3Al系A15型超電導線材(銅芯
材)の断面図である。
【図4】本発明のNb3Al系A15型超電導線材(Nb
芯材)の断面図である。
【図5】本発明の超電導線材の撚り線であるA15型超
電導導体の断面図である。
【図6】本発明の自己通電加熱法の模式図である。
【図7】本発明のドラム形状にした金属シートの自己通
電加熱法の模式図である。
【符号の説明】
1 銅芯材 2、2a、2b Nbバリア層 3 超電導フィラメント 4 銅材 5 Nbシート 6 Nb−Al固溶体シート 7 Nb芯材 8 Nb材 9 Tiコンジット材 10 Nb3Al系超電導線材 10A Nb3Al系超電導線材(銅芯材) 10B Nb3Al系超電導線材(Nb芯材) 11 Alシート 20 Nb3Al系超電導シングル線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相原 勝蔵 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuまたはCuを基体とする合金からな
    る安定化材中に超電導体フィラメントが埋め込まれてな
    るA15型超電導線材において、前記超電導体フィラメ
    ント内部に生成されたNb3Al系超電導体のAl濃度
    が22〜25at%であることを特徴とするA15型超
    電導線材。
  2. 【請求項2】 CuまたはCuを基体とする合金からな
    る安定化材中に多数の超電導体フィラメントが埋め込ま
    れてなるA15型超電導線材において、前記各超電導体
    フィラメントは、CuまたはCuを基体とする合金から
    なる芯材の周囲を取り巻いて形成され、該フィラメント
    内部に生成されたNb3Al系超電導体のAl濃度が2
    2〜25at%であり、前記超電導フィラメントは前記
    安定材中に同心円状に配列されていることを特徴とする
    A15型超電導線材。
  3. 【請求項3】 CuまたはCuを基体とする合金からな
    る安定化材中に多数の超電導体フィラメントが埋め込ま
    れてなるA15型超電導線材において、前記各超電導体
    フィラメントは、NbまたはNb合金からなる芯材の周
    囲を取り巻いて形成され、該フィラメント内部に生成さ
    れたNb3Al系超電導体のAl濃度が22〜25at
    %であり、前記超電導フィラメントは前記安定材中に同
    心円状に配列されていることを特徴とするA15型超電
    導線材。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載のA15型超電導
    線材が複数本撚りあわされ、ステンレス鋼あるいはTi
    からなるパイプ状のコンジット内に収納されて構成され
    たことを特徴とするA15型超電導導体。
  5. 【請求項5】 ジェリーロール法により金属シートを、
    Cu、Cu合金、NbまたはNb合金のいずれかでなる
    芯材に巻き付けてロール形状材を作製し、該ロール形状
    材を線引き加工してシングル線材とし、該シングル線材
    を複数本束ね線引き加工して多芯線形状材とし、該多芯
    線形状材を熱処理して各シングル線材中にNb3Al系
    超電導体を生成させるA15型超電導線材の製造方法に
    おいて、前記金属シートは、NbまたはNb合金にAl
    を固溶させた体心立方格子の固溶体からなることを特徴
    とするA15型超電導線材の製造方法。
  6. 【請求項6】 ジェリーロール法により金属シートを、
    Cu、Cu合金、NbまたはNb合金のいずれかでなる
    芯材に巻き付けたロール形状材を作製し、該ロール形状
    材線を線引き加工してシングル線材とし、該シングル線
    材を複数本束ね線引き加工して多芯線形状材とし、該多
    芯線形状材を熱処理して各シングル線材中にNb3Al
    系超電導体を生成させるA15型超電導線材の製造方法
    において、前記金属シートは、NbまたはNb合金に下
    式に示す合金を固溶させた体心立方格子の固溶体からな
    ることを特徴とするA15型超電導線材の製造方法。 【化1】
  7. 【請求項7】 請求項6記載のA15型超電導線材の製
    造方法により作製されたことを特徴とするA15型超電
    導線材
  8. 【請求項8】 請求項6記載の体心立方格子の固溶体か
    らなる金属シートを、下式に示す組成の合金シートとN
    bまたはNb合金シートとを重ねて通電加熱法で加熱し
    た後、急冷して作製することを特徴とする金属シートの
    製造方法。 【化2】
  9. 【請求項9】 請求項6記載の体心立方格子の固溶体か
    らなる金属シートを、下式に示す組成の合金をNbまた
    はNb合金シートにコーティングし、ロール巻き形状と
    し、通電加熱法で加熱した後、急冷して作製することを
    特徴とする金属シートの製造方法。 【化3】
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3または7記載のA1
    5型超電導線材、または請求項4記載のA15型超電導
    導体をコイル状に巻線することにより作製された超電導
    マグネットと該超電導マグネットを低温冷媒中に浸漬し
    て収納するクライオスタットとを備えたことを特徴とす
    る超電導マグネット装置。
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