JP3127181B2 - 複合超電導線材の製造方法および複合超電導コイルの製造方法 - Google Patents

複合超電導線材の製造方法および複合超電導コイルの製造方法

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JP3127181B2
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にNb3Sn系の複
合超電導線材の製造方法および複合超電導コイルの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】MRI、磁気浮上列車、加速器、発電
機、核融合、電力貯蔵および物理実験用の各種高磁界マ
グネットあるいは送電線の様に、超電導の電力応用は年
々進み、将来更に広がるものと予想されている。従来、
こうした応用には、8ないし9T以下の磁界下ではNb
Ti系合金線材が、又、それ以上の高磁界下ではNb3
SnまたはV3Ga系化合物線材が用いられている。こ
れらの超電導線材はその安定化のために、Cu等の抵抗
率の小さな金属マトリックス中に数10μm以下の径の
超電導フィラメントが多数埋設され、しかもその超電導
フィラメントは捻られた構造を持っている。こうした超
電導線材は極細多芯線と呼ばれている。
【0003】化合物系の超電導材料は合金系材料に比
べ、臨界温度(Tc)、上部臨界磁界(Bc2)共にかな
り高いという優れた特徴がある反面、極めて脆いという
欠点を有している。従って、化合物系超電導材料自身は
加工性を持たないため、この極細多芯線を得るための製
造方法に関して、さまざまのアイデアが出されてきた。
現在、工業的に確立されている製造方法は固相反応を利
用したもので、主な方法として、英国特許第52623
/69号(ブロンズ法)、日本国特許第989142号
(内部拡散法)等がある。これらの方法において、Nb
の代わりにV、Snの代わりにGaで置き換えればNb
3SnとV3Gaとが定性的に同等であるので、以下、N
3Snを例にして説明する。
【0004】はじめに典型的なブロンズ法について説明
する。まずCu―Sn合金チューブにNb棒を挿入し、
ある径まで断面減少加工する。通常、最終断面形状は六
角形である。この単芯線を適当な長さに裁断し、これを
多数Cu―Sn合金容器中に充填する。容器中の空気を
排除し蓋を溶接して密封し、押出し加工する。この押出
し加工によってCu―Sn合金が一体化され、その後の
加工性を良好にする。この複合棒をTaやNbのチュー
ブに挿入し、更にCuチューブに挿入して断面減少加
工、捻り(ツイスト)加工を施す。この時、Nbフィラ
メントの径は通常10μm程度以下である。この線を6
00〜750℃の温度で熱処理をすることで、Nbフィ
ラメントの外周部または全てがNb3Snに変わる。T
aやNbのチューブはこの熱処理の際にSnが外側の安
定化のためのCu中に拡散し、電気抵抗率を増すのを防
ぐ拡散バリヤとなる。本方法において、Cu―Sn合金
(ブロンズ)中のSn濃度は加工性の制限により、せい
ぜい13〜14wt%である。しかしながら、この合金
は加工硬化が激しいために、押出し後は、頻繁な中間熱
処理を必要とする。
【0005】次に内部拡散法について説明する。図9
は、例えば特開昭59―191209号公報に記載され
た、従来の内部拡散法によりNb3Sn系超電導線を製
造する際の線材前駆体の断面構成図で、まだ超電導体と
なっていない状態である。図において、1はCu基マト
リックス、2はNb基金属材、3はSn基金属材、4は
例えばTaなどのSn拡散を抑制するための障壁材、5
は無酸素銅などの安定化材である。即ち、Nb棒をCu
チューブに挿入し、ある径まで断面減少加工をする。こ
の単芯線を適当な長さに裁断し、Cuの容器中に多数充
填する。但し、中央部にはCu棒または多数のCu線を
配置しておく。容器中の空気を排除し、蓋を溶接して密
封し、押出し加工してCu―Nb複合体を得る。また、
Cu―Nb複合体の製造はCuを穿孔した孔にNb棒を
挿入するという方法もある。さらにCu―Nb複合体の
中心のCu部に機械的に孔を開ける。この中空部にSn
棒3を挿入し、外側に、TaやNbのチューブ4、更に
その外側にCuのチューブ5を被覆し、断面減少加工し
て複合線材とする。尚、大電流容量化するためには、得
られた複合線を多数Cuチューブ中に充填して断面減少
加工すればよい。最終径でツイスト加工した後、熱処理
を施す。この熱処理により、Snは周囲のCu中に拡散
し、CuはCu―Sn合金に変わり、更に、Nbフィラ
メントと反応し、この表面層または全てにNb3Snが
生成される。
【0006】この内部拡散法はブロンズ法に比べて極め
て優れた特徴を持っている。まず、Cu―Sn合金の代
わりに加工性の良好なCuとSnとを用いるため、中間
熱処理を必要としない。このため、製造時間の短縮、製
造コストの大幅な低減等の利点があるばかりでなく、製
造の信頼性も高い。又、ブロンズ法では加工上の制約か
らCu―Sn合金中のSn濃度は13〜14wt%程度
以下に制限される。この事はCu―Sn合金中のSnが
すべてNbと反応したとしても、生成されるNb3Sn
の占積率はせいぜい25%に過ぎない。これに対して、
内部拡散法では、加工上のSn量の制限はないので、生
成されるNb3Snの占積率をブロンズ法よりも高めら
れる。従って、安定化Cuを除いた断面積に対する臨界
電流密度(Jc)を高めることが出来る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の内部拡散法によ
る化合物系超電導線では、以上説明したようにSn3が
モジュール中心に配置されていたため、線材の超電導特
性の1つである臨界電流密度(Jc)を少しでも大きく
するため、熱処理で生成されるNb3Snが接触しない
程度にNb芯線2をなるべく密にCuマトリックス1中
に埋設させた構造になっている。従って、Nbフィラメ
ント同士の間隔は通常のブロンズ法に比較して約半分程
度と狭い。これが原因となって超電導化合物の生成熱処
理時に超電導フィラメント同士が結合して、線材の電気
的特性である有効フィラメント径(deff)の値(試料
形状が円柱とし、超電導線の磁化の幅をΔM、その時の
臨界電流密度をJcとした時、deff=3πΔM/4μ0
Jcで与えられる。)が増大し、直流電流に対しては問
題を生じないが、パルス電流の通電時には大きなヒステ
リシス損失を生じ、超電導コイルの発熱により安定性が
損なわれるという課題があった。
【0008】また、内部拡散法ではSn3が中央部に配
置されているので、Sn3の拡散のための予備熱処理に
於いてSn濃度に勾配が生じるため、生成されるNb3
Snフィラメントの組成がSn濃度に依存して変動し、
超電導特性の1つであるN値が低くなるという課題もあ
った。
【0009】また、従来の熱処理方法は固相反応で、内
部のSnが拡散してCuとSnがCu―Sn合金を生成
し、さらに、Cu―Sn合金とNbが反応してNb3
nを生成する。この反応は大変時間が掛かり、長時間の
熱処理を行っても、拡散距離の長い部分には十分にSn
が拡散していないというように拡散距離によりSnの濃
度勾配が起こり、これに対応した数種のCu―Sn合金
相が生成する。例えば、Cu6Sn5(η相)、Cu3
n(ε相)、Cu31Sn8(δ相)などがある。この中
でも、高濃度にSnを固溶しているε相は、安定でSn
拡散を阻害しNb3Snの生成率を低下させる。このた
め、高い臨界電流密度を得るために、多数のフィラメン
トを埋設して、よりフィラメント間を接近させなくては
ならなかった。また、ε相がδ相に変化していく過程で
2相の界面でフィラメントが動き結合しやすかった。ま
た、Nb3Snの生成のための熱処理時に、Nbフィラ
メントがNb3Snフィラメントに変化していく過程で
フィラメントが体積膨張するため、臨界電流密度を重視
するあまり、フィラメントを接近しすぎると、Nb3
nフィラメント同士が接触するなどして、超電導結合し
やすくなる。また、線材の電気的特性である有効フィラ
メント径(deff)が増大する。この結果、上述した従
来の超電導線材による超電導コイルではパルス電流の通
電時に大きなヒステリシス損失を生じて発熱し、安定性
が損なわれるという課題があった。 また、SnをCu
中に拡散する熱処理には、長時間がかかり、製造コスト
が高くついた。
【0010】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたもので、従来より短時間での製造が容易であり、
断線が起こりにくく、臨界電流密度を高め、パルス電流
通電時に生じるヒステリシス損失や交流で運転するさい
に生じる交流損失を低減できる複合超電導線材の製造方
法および超電導コイルの製造方法を得ることを目的とす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の複合超電導線
材の製造方法は、中心部と、外周部は層状に、分割配置
されたSnおよびSn基合金の少なくとも一種の各々
と、複数のNb芯およびNb基合金芯の少なくとも一種
の各々とが、各々互いにCuおよびCu基合金の少なく
とも一種の母体によって分離されるように構成され、上
SnおよびSn基合金の少なくとも一種の最小分割体
積(SS)、合計体積(St)および分割数(n)が下式 n×SS×100/St≧10% で示される関係である複合体を、断面減少加工し、熱処
理する方法である。
【0012】
【0013】請求項2の複合超電導線材の製造方法は、
請求項1において、SnおよびSn基合金の少なくとも
一種が複合体の中心部と外周部の中間帯に、層状に分割
配置されているものを用いた方法である。
【0014】
【0015】請求項3の複合超電導線材の製造方法は、
請求項1における複合体として、中心部に空洞を有し、
複数のNb芯およびNb基合金芯の少なくとも一種が埋
設されたCuおよびCu基合金からなる柱体の上記空洞
にSnおよびSn基金属の少なくとも一種を充填する工
程および上記柱体の外周にSnおよびSn基金属の少な
くとも一種の層を設ける工程を施すことにより得たもの
を用いた方法である。
【0016】請求項4の複合超電導線材の製造方法は、
請求項2における複合体として、中心部に空洞を有し、
複数のNb芯およびNb基合金芯の少なくとも一種が埋
設されたCuおよびCu基合金からなる第1柱体の上記
空洞にSnおよびSn基金属の少なくとも一種を充填
し、上記第1柱体の外周にSnおよびSn基金属の少な
くとも一種の層を設けて複合体材を得る工程、並びに中
心部に上記複合体材を充填できる空洞を有し、複数のN
b芯およびNb基合金芯の少なくとも一種の埋設された
CuおよびCu基合金からなる第2柱体の空洞に、上記
複合体材を充填し、上記第2柱体の外周部にSnおよび
Sn基金属の少なくとも一種の層を設けることにより得
たものを用いた方法である。
【0017】請求項5の複合超電導線材の製造方法は、
請求項3または4における、空洞へのSnおよびSn基
金属の少なくとも一種の充填を、空洞にSnおよびSn
基金属の少なくとも一種の棒状体を挿入することにより
行い、柱体の外周にSnおよびSn基金属の少なくとも
一種の層を設けるのに、上記柱体をSnおよびSn基金
属の少なくとも一種のチューブに挿入するか、上記柱体
の外周にSnおよびSn基金属の少なくとも一種の薄板
を巻き付けることにより行う方法である。
【0018】請求項6の複合超電導線材の製造方法は、
請求項5における、空洞へのSnおよびSn基金属の少
なくとも一種の充填を、上記空洞の長さより短いSnお
よびSn基金属の少なくとも一種の棒を上記空洞に複数
個挿入することにより行う方法である。
【0019】請求項7の複合超電導線材の製造方法は、
SnおよびSn基合金の少なくとも一種と、複数のNb
芯およびNb基合金芯の少なくとも一種とが、互いにC
uおよびCu基合金の少なくとも一種の母体によって分
離されるように配置した線材前駆体を、非酸化性雰囲気
中にて、250℃以上580℃以下の温度範囲では、1
00℃/h以上の昇温速度で昇温し、かつ350℃以上
450℃以下の温度範囲では300℃/h以上の昇温速
度で昇温し、580℃以上800℃以下で熱処理する方
法である。
【0020】請求項8の複合超電導線材の製造方法は、
SnおよびSn基合金の少なくとも一種と、複数のNb
芯およびNb基合金芯の少なくとも一種とが、互いにC
およびCu基合金の少なくとも一種の母体によって分
離されるように配置した線材前駆体を、非酸化性雰囲気
中にて、250℃以上580℃以下の温度範囲では、1
00℃/h以上の昇温速度で昇温し、熱処理を700℃
以上800℃以下の温度範囲で10時間以下行った後、
580℃以上690℃以下で熱処理する方法である。
【0021】請求項9の複合超電導線材の製造方法は、
請求項7または8のSnおよびSn基合金の少なくとも
一種を複数に分割して用いる方法である。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】請求項10の複合超電導線材の製造方法
は、請求項7ないし9のいずれかにおいて、線材前駆体
が、導入側に冷却手段を備え、600〜800℃に保持
された加熱装置内を、上記加熱装置内に30分〜10時
間滞在するような移動速度で移動することにより、昇温
し熱処理され、線材前駆体の昇温と熱処理を行う方法で
ある。
【0026】
【0027】請求項11の複合超電導コイルの製造方法
は、請求項7ないし9のいずれかに記載の線材前駆体
を、250℃以上580℃以下の温度範囲では、100
℃/h以上の昇温速度で昇温し、700℃以上800℃
以下の温度範囲で熱処理を10時間以下行なう工程、コ
イル状に成形する工程および580℃以上690℃以下
で熱処理を行う工程を施す方法である。
【0028】請求項12の複合超電導コイルの製造方法
は、請求項11の昇温と熱処理を、被昇温体および被熱
処理体を、温度制御された加熱装置内を制御された移動
速度で移動することにより行う方法である。
【0029】
【作用】請求項1または請求項2において、Snを分割
配置することで、熱処理時にフィラメントを動かしてい
る力を分散させることができ、フィラメント同士がくっ
つく確率が格段に減り、有効フィラメント径の値が大幅
に減少する。また、Snを分割配置にしたため、拡散距
離が短くなってSnのフィラメントへの拡散が容易に起
こり、生成される超電導フィラメントの質が向上しまた
組成も均一になり、超電導特性であるJcおよびN値が
向上する。その結果、パルス電流の通電時に発生するヒ
ステリシス損失が大幅に減少し、超電導コイルの安定性
が向上する。
【0030】また、SnおよびSn基合金を複合体の中
心部と、外周部や中心部と外周部の中間帯には層状に
割配置するので、製造が容易で、しかも線材前駆体を製
造する際の断面減少加工による断線が起こりにくい。
た、Snを分割配置する際に、外周部や中心部と外周部
の中間帯には層状に配置するので、母体との接触面積が
大きくなるため、Sn拡散がより均一に進行し、より十
分に上記効果が得られる。
【0031】請求項3ないし5のいずれかの発明のよう
に複合体を得るので、複合超電導線材の製造が容易にな
る。また、請求項6の発明では、SnおよびSn基合金
を分割すると各々のSn量は少なくなり、SnおよびS
n基合金は非常に柔らかくて曲がるなどして挿入しにく
いが、SnおよびSn基合金の短棒を複数個挿入するの
で容易に挿入できる。
【0032】請求項7の発明では、250℃以上580
℃以下の温度範囲において、100℃/h以上の昇温ス
ピードを保持して昇温し、かつε相の生成しやすい35
0℃以上450℃以下の温度範囲では300℃/h以上
の昇温速度で昇温して、580℃以上800℃以下で熱
処理すると、液相が生成し液相反応が起こり、下記のよ
うにして、ε相の生成を抑制することができる。つま
り、液相反応では、固相反応に比べ、極めて、Snの拡
散速度が速いために、短時間でCu―Sn合金を均一に
生成し、Nb3Snの生成が開始する。このためNb3
nの生成率が高められ、フィラメント1本当たりの臨界
電流密度が高められるため、同一のIcを得るために、
過剰にフィラメント間を接近させる必要がなくなる。ま
た、フィラメントを動かして悪影響を及ぼすε相の生成
を抑制することができることによって、フィラメントの
結合を軽減することができる。このため。パルス電流通
電時に生じるヒステリシス損失や交流で運転するさいに
生じる交流損失を低減することが可能となった。さら
に、従来の固相反応のような大変長時間の熱処理を必要
としないため、大幅に製造コストを削減することが可能
となる。
【0033】
【0034】
【0035】請求項8の発明では、250℃以上で58
0℃以下の温度範囲においては、非酸化性雰囲気中に
て、100℃/h以上の昇温スピードを保持して昇温
し、700℃以上800℃以下の比較的高い温度範囲で
10時間以下の間熱処理することにより、均一なSn拡
散を促進する。高温での熱処理は、引き続きNb3Sn
相を生成するが、その結晶を粗大化し、ピニング力を低
下させ、高磁界特性を劣化させるため、10時間以下に
とどめるのが望ましい。次に、580℃以上690℃以
下の比較的低温度で長時間温度保持して熱処理し、線材
内部に微細なNb3Sn相を生成させ、高Jc化を計
る。この再熱処理は、はじめの熱処理の後、一旦室温ま
で冷却したり、100℃/H以下の昇温を行っても効果
が得られる。なぜならば、一旦均一なCu―Snブロン
ズができてしまえば、その後のNb3Sn相の生成がフ
ィラメントにおいて均一に起こるからである。この点が
この発明の大きなメリットである。一次熱処理のみを行
った線材をユーザーに出荷し、ユーザーが目的にあった
コイルを作成し、汎用の熱処理炉で熱処理を行うことで
高い特性を有するコイルを作製することができるからで
ある。すなわち、従来の製造プロセスにおける仕掛かり
品のものに、製品としての付加価値を与えることにな
る。また、請求項9の発明では、線材前駆体のSnおよ
びSn基合金の少なくとも一種が複数に分割されている
と、上記熱処理により、液相反応が起こり、より均一な
Cu―Snブロンズを生成し、Nb 3 Sn相の生成率を
高めることができる。
【0036】請求項10の発明において、線材前駆体
が、導入側に冷却手段を備え、上記加熱装置の温度を6
00〜800℃好ましくは700〜750℃とし、この
加熱装置に30分〜10時間滞在するようにすることに
より、線材前駆体が、加熱装置内を連続的に移動する移
動速度と上記加熱装置の温度を制御することで、所定の
昇温速度と熱処理条件を満たすことができ、容易に本発
明の効果を有する線材およびコイルを製造することがで
きる。
【0037】
【0038】請求項11の発明では、250℃以上で5
80℃以下の温度範囲においては、非酸化性雰囲気中に
て、100℃/h以上の昇温スピードを保持して昇温
し、700℃以上800℃以下の比較的高い温度範囲で
10時間以下の間熱処理することにより、均一なCu―
Snブロンズができてしまうので、上記比較的高温での
熱処理と、580℃以上690℃以下の比較的低温度で
の熱処理をコイル状に巻き線をする前に行っても、従来
のようにコイル状にした後に行っても良い。また、上記
熱処理工程の間にコイル状に巻線する工程を施しても、
高い臨界電流を有する高性能な超電導コイルが得られ
る。さらに、線材の熱処理を施してからコリル状に成形
すれば、炉は線の直径よりもわずかに広い径の筒状の容
積の小規模なものでよく、ランニングコストも大幅に削
減することができる。
【0039】請求項12の発明では、被昇温体および被
熱処理体が加熱装置内を連続的に移動する移動速度と上
記加熱装置の温度を制御することで、昇温スピードと熱
処理温度を容易に制御することができる。
【0040】
【実施例】
実施例1.直径147.6mm、厚さ20mmのCu円
板に直径2.85mmの丸孔を849穿孔した。孔は同
心円上に配置し、最内層の孔の中心がCu円板の中心か
ら13.6mm、最外層が68.2mmになるようにし
た。これを外径180mm、内径148mmの無酸素銅
の容器中に、5枚積み重ねて挿入した。さらに、丸孔に
2.8mm径、長さ100mmのNb棒を挿入する。引
き続き、内部を真空引きして蓋を溶接した。これを直径
50mmの径に押出し加工し、両端を切断した。この外
周部を直径41mmの径になるように切削した。中央の
銅の部分に半径2.3mmの径の孔をドリルで空けるこ
とにより、長手方向に沿った空洞を有し、長手方向にN
b芯の埋設されたCuからなる柱体を得た。この柱体の
空洞部に直径4.44mm、長さ30mmの1.5wt
%Tiを含有するSn基合金棒を複数個挿入し、上記柱
体の外周部に厚さ0.65mmのSnシートを2周巻き
付けたものを外径50mm、内径44mmのCuチュー
ブに挿入し、複合体を得た。これを引き続き9.8mm
まで引抜き加工を行ない複合線材とした。さらに、表面
を洗浄した後に、この外側に外径11mm、内径10m
mのSnの拡散バリヤとなるTaチューブ、更にその外
側に外径16mm、内径11.2mmの安定化のための
無酸素銅チューブをかぶせ、最終0.2mmの径まで引
き抜き加工を行ない線材前駆体とした。この引き抜き加
工工程では、Snの薄板および複数本のSn棒を用いた
ことによる断線は起きず、加工性も良好であった。この
工程によって得られた線材前駆体は1つのモジュールに
よって構成されている。図1は、本発明の一実施例に係
わる線材前駆体のモジュールの断面構成図であり、Sn
基合金が2つに分割されている構成で、1はCuマトリ
ックス(母体)、2はNb芯、3はSn基金属材であ
る。上記のようにして得られた線材前駆体の仕様を表1
に示す。
【0041】
【表1】
【0042】上記の様に得られた線材前駆体を60cm
切り出し、熱処理時に内部のSnが蒸発しないように得
られた線材の端部をアーク溶接して封じる。内径30m
mのソレノイド状に5ターン巻線をし、熱処理時に線材
が変形しないように、ステンレスで固定する。このもの
を、Arガス雰囲気中で675℃で160時間、熱処理
を行ない本発明の一実施例によるNb3Sn超電導線を
製造した。
【0043】こうして得られたソレノイド状の超電導線
材を、12Tの磁界下で特性評価した。液体ヘリウム中
でTaバリアを含んだ単位体積当たりの臨界電流密度
(JcSC)、Nb3Snフィラメントの平均単位体積当
たりの臨界電流密度(Jcf)、N値、deffおよびn×
S×100/St(SSは線材中のSn基合金の最小分
割体積、Stは線材中のSn基合金の合計体積およびn
は線材中のSn基合金の分割数である。)の測定を行
い、この測定結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】表2より、本発明の一実施例による超電導
線材はJcfかつN値が高く、均質で、Nb3Snの反応
生成率が高いことが明かである。また、deffも下記に
示すように、従来の比較例1に比べ、低減しており、S
nを分散することにより、Sn拡散時のフィラメントの
動きが抑制させられることが判った。さらに、光学顕微
鏡およびEPMAで線材の断面観察と分析を行ったとこ
ろ、フィラメントの動きは殆ど無く、組成も大変均一で
あることが判った。このため、Jcが高く、deffが低
いことが判った。
【0046】比較例1.直径156mm、厚さ20mm
のCu円板に直径2.85mmの丸孔を759穿孔し
た。孔は同心円上に配置し、最内層の孔の中心が円板の
中心から32.1mm、最外層が69.9mmになるよ
うにした。これを外径180mm、内径156mmの無
酸素銅の容器中に、5枚積み重ねて挿入した。さらに、
丸孔全部に2.8mm径、長さ100mmのNb棒を挿
入する。引き続き、内部を真空引きして蓋を溶接した。
これを直径50mmの径に押出し加工し、両端を切断し
た。中央の銅の部分に半径7.4mmの径の孔をドリル
で空け、そこに直径14.7mmの1.5wt%Tiを含
有するSn合金棒を1本挿入し、複合体を得た。この複
合体を引き続き9.8mmまで引抜き加工を行なって複
合線材を得た。さらに、表面を洗浄した後に、この外側
に外径11mm、内径10mmのSnの拡散バリヤとな
るTaチューブ、更にその外側に外径16mm、内径1
1.2mmの安定化のための無酸素銅チューブをかぶ
せ、最終0.2mmの径まで引き抜き加工を行ない、線
材前駆体を得、得られた線材の仕様を表3に示す。この
様にして得られた線材は図9に示した断面構成図と同様
で、Sn基合金は分割配置されていない。
【0047】
【表3】
【0048】得られた線材を60cm切り出し、熱処理
時に内部のSnが蒸発しないように得られた線材の端部
をアーク溶接して封じる。内径30mmのソレノイド状
に5ターン巻線をし、熱処理時に線材が変形しないよう
に、ステンレスで固定する。このものを、Arガス雰囲
気中で675℃で160時間、熱処理を行ないNb3
n超電導線を製造した。
【0049】こうして得られたソレノイド状の超電導線
材を、12Tの磁界下で、上記実施例1と同様に表2に
示した特性を評価し、結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】表4より、比較例1の超電導線材はJ
SC、Jcf及びN値が低く、Nb3Snの反応生成率が
低く、不均質であることが明かである。また、deff
実施例に比べ、高く、Sn拡散時のフィラメントの動き
が著しいことが判った。さらに、光学顕微鏡およびEP
MAで線材の断面観察と分析を行ったところ、フィラメ
ントの動きが、内層から3、4層目で起きており、外層
よりではSn濃度が低い組成であることが判った。この
ため、Jcが低く、deffが高いことが判った。
【0052】比較例2.直径156mm、厚さ20mm
のCu円板に直径2.85mmの丸孔を759穿孔し
た。孔は同心円上に配置し、最内層の孔の中心が円板の
中心から32.1mm、最外層が69.9mmになるよ
うにした。これを外径180mm、内径156mmの無
酸素銅の容器中に、5枚積み重ねて挿入した。さらに、
丸孔全部に2.8mm径、長さ100mmのNb棒を挿
入する。引き続き、内部を真空引きして蓋を溶接した。
これを直径50mmの径に押出し加工し、両端を切断し
た。中央の銅の部分に半径7.4mmの径の孔をドリル
で空け、そこに直径14.7mmの1.5wt%Tiを含
有するSn合金棒を1本挿入し、複合体を得た。この複
合体を引き続き9.8mmまで引抜き加工を行なって複
合線材を得た。さらに、表面を洗浄した後に、この外側
に厚さ10μmのSnメッキを行った。さらにこの外側
に、外径11mm、内径10mmのSnの拡散バリヤと
なるTaチューブ、更にその外側に外径16mm、内径
11.2mmの安定化のための無酸素銅チューブをかぶ
せ、最終0.2mmの径まで引き抜き加工を行ない線材
前駆体を得、得られた線材の仕様を表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】この様にして得られた線材のモジュールは
図1に示した断面構成図と同様であり、上記実施例1と
同様、Sn基合金を2つに分割した構成であるが、Sn
の最小分割量が少なく、n×SS×100/St≧10%
の関係を満足していない。
【0055】得られた線材前駆体を60cm切り出し、
熱処理時に内部のSnが蒸発しないように得られた線材
の端部をアーク溶接して封じる。内径30mmのソレノ
イド状に5ターン巻線をし、熱処理時に線材が変形しな
いように、ステンレスで固定する。このものを、Arガ
ス雰囲気中で675℃で160時間、熱処理を行ないN
3Sn超電導線を製造した。
【0056】こうして得られたソレノイド状の超電導線
材を、12Tの磁界下で、上記実施例1と同様に表2に
示した特性を評価し、結果を表4に示す。表4より、比
較例2の超電導線材はJcSC、Jcf及びN値が低く、
Nb3Snの反応生成率が低く、不均質であることが明
かである。また、deffも実施例に比べ、高く、Sn拡
散時のフィラメントの動きが著しいことが判った。さら
に、光学顕微鏡およびEPMAで線材の断面観察と分析
を行ったところ、フィラメントの動きが、内層から3、
4層目で起きており、外層よりではSn濃度が低い組成
であることが判った。このため、Jcが低く、deff
高いことが判った。以上より、Sn基合金が分割配置さ
れていても、Snの最小分割量(SS)、合計体積
(St)および分割数(n)が下式 n×SS×100/St≧10% を満足していなければ、本発明の効果が得られないこと
がわかる。
【0057】実施例2.直径152.3mm、厚さ20
mmのCu円板に直径2.85mmの丸孔を761穿孔
した。孔は同心円上に配置し、最内層の孔の中心が円板
の中心から24.6mm、最外層が66.6mmになる
ようにした。これを外径180mm、内径 152.8
mmの無酸素銅の容器中に、5枚積み重ねて挿入した。
さらに、丸孔に2.8mm径、長さ100mmのNb棒
を挿入する。引き続き、内部を真空引きして蓋を溶接し
た。これを直径50mmの径に押出し加工し、両端を切
断した。この外周部を直径42.3mmの径になるよう
に切削した。中央の銅の部分に半径5.3mmの径の孔
をドリルで空けて空洞部を有し、Nb芯の埋設した柱体
を得た。この柱体の空洞部に直径10.56mmの1.
5wt%Tiを含有するSn基合金棒を1本挿入し、ま
た、柱体の外周部に厚さ0.65mmのSnシートを1
周巻き付け、外径50mm、内径44mmのCuチュー
ブに挿入し、複合体を得、これを引き続き9.8mmま
で引抜き加工を行なって複合線材を得た。さらに、表面
を洗浄した後に、この外側に外径11mm、内径10m
mのSnの拡散バリヤとなるTaチューブ、更にその外
側に外径16mm、内径11.2mmの安定化のための
無酸素銅チューブをかぶせ、最終0.2mmの径まで引
き抜き加工を行ない、線材前駆体を得た。この引き抜き
加工工程では、Snの薄板を用いたことによる断線は起
きず、加工性も良好であった。この工程によって得られ
た線材は1つのモジュールによって構成されている。本
発明の他の実施例により得られた線材のモジュールは図
1と同様な構成で、Sn基合金が2つに分割されてい
る。得られた線材前駆体の仕様を表6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】得られた線材を60cm切り出し、熱処理
時に内部のSnが蒸発しないように得られた線材の端部
をアーク溶接して封じる。内径30mmのソレノイド状
に5ターン巻線をし、熱処理時に線材が変形しないよう
に、ステンレスで固定する。このものを、Arガス雰囲
気中で675℃で160時間、熱処理を行ないNb3
n超電導線を製造した。
【0060】こうして得られたソレノイド状の超電導線
材を、12Tの磁界下で、上記実施例1と同様に表2に
示した特性を評価し、結果を表2に示す。表2より、本
発明の他の実施例による超電導線材はJcfかつN値が
高く、均質で、Nb3Snの反応生成率が高いことが明
かである。また、deffも比較例1に比べ、低減してお
り、Snを分散することにより、Sn拡散時のフィラメ
ントの動きが抑制させられることが判った。さらに、光
学顕微鏡およびEPMAで線材の断面観察と分析を行っ
たところ、フィラメントの動きは殆ど無く、組成も大変
均一であることが判った。このため、Jcが高く、d
effが低いことが判った。
【0061】実施例3.直径82mm、厚さ20mmの
Cu円板に直径2.85mmの丸孔を169穿孔した。
孔は同心円上に配置し、最内層の孔の中心が円板の中心
から14.6mm、最外層が31.4mmになるように
した。これを外径102mm、内径82.5mmの無酸
素銅の容器中に、5枚積み重ねて挿入した。さらに、丸
孔に2.8mm径、長さ100mmのNb棒を挿入す
る。引き続き、内部を真空引きして蓋を溶接した。これ
を直径28.3mmの径に押出し加工し、両端を切断し
た。この外周部を直径22.8mmの径になるように切
削した。中央の銅の部分に半径2.8mmの径の孔をド
リルで空けて、空洞を有し、Nb芯の埋設したCuから
なる第1柱体を得た。この柱体の空洞に直径5mm、長
さ20mmの1.5wt%Tiを含有するSn合金棒を
複数本挿入し、また、第1柱体の外周部に厚さ0.65
mmのSnシートを2周巻き付け、複合体材材を得た。
次に、直径153mm、厚さ20mmの円板に直径2.
85mmの丸孔を665穿孔した。孔は同心円上に配置
し、最内層の孔の中心が円板の中心から51.3mm、
最外層が76.4mmになるようにした。これを外径1
80mm、内径153.5mmの無酸素銅の容器中に、
5枚積み重ねて挿入した。さらに、丸穴に2.8mm
径、長さ100mmのNb棒を挿入する。引き続き、内
部を真空引きして蓋を溶接した。これを直径50mmの
径に押出し加工し、両端を切断した。この外周部を直径
42.5mmの径になるように切削した。中央の銅の部
分に直径23.4mmの径の孔をドリルで空けて、上記
複合体材が充填できる空洞を有し、Nb芯の埋設した第
2柱体を得た。この第2柱体の空洞に上記複合体材を挿
入し、第2柱体の外周部に厚さ0.58mmのSnシー
トを1周巻き付けたものを外径50mm、内径44mm
のCuチューブに挿入し、複合体を得た。これを引き続
き9.8mmまで引抜き加工を行なって複合線材を得
た。さらに、表面を洗浄した後に、この外側に外径11
mm、内径10mmのSnの拡散バリヤとなるTaチュ
ーブ、更にその外側に外径16mm、内径11.2mm
の安定化のための無酸素銅チューブをかぶせ、最終0.
2mmの径まで引き抜き加工を行ない線材前駆体を得
た。この引き抜き加工工程では、Snの薄板を用いたこ
と、Snを3分割して配置したことによる断線は起き
ず、加工性も良好であることがわかった。この工程によ
って得られた線材は1つのモジュールによって構成され
ている。図2は、本発明の他の実施例による線材のモジ
ュールの断面構成図で、Sn基合金が3つに分割されて
いる構成であり、得られた線材前駆体の仕様を表7に示
す。
【0062】
【表7】
【0063】得られた線材を60cm切り出し、熱処理
時に内部のSnが蒸発しないように得られた線材の端部
をアーク溶接して封じる。内径30mmのソレノイド状
に5ターン巻線をし、熱処理時に線材が変形しないよう
に、ステンレスで固定する。このものを、Arガス雰囲
気中で675℃で160時間、熱処理を行ないNb3
n超電導線を製造した。
【0064】こうして得られたソレノイド状の超電導線
材を、12Tの磁界下で、上記実施例1と同様に表2に
示した特性を評価し、結果を表2に示す。表2より、本
発明の他の実施例による超電導線材はJcfかつN値が
高く、均質で、Nb3Snの反応生成率が高いことが明
かである。また、deffは、Snを分散させればさせる
程、低減することが判った。さらに、光学顕微鏡および
EPMAで線材の断面観察と分析を行ったところ、フィ
ラメントの動きは殆ど無く、組成も大変均一であること
が判った。このため、Jcfが高く、deffが低いことが
判った。
【0065】実施例4.直径156mm、厚さ20mm
のCu円板の中心から39mmの同心円上に半径18m
mの円を4箇所等間隔配置して残すように、その他の領
域に直径2.85mmの丸孔を759穿孔した。この孔
は円板の同心円上に配置した。これを外径180mm、
内径156mmの無酸素銅の容器中に、5枚積み重ねて
挿入した。さらに、丸孔全部に2.8mm径、長さ10
0mmのNb棒を挿入する。引き続き、内部を真空引き
して蓋を溶接した。これを直径50mmの径に押出し加
工し、両端を切断した。中心から12.5mm離れた点
を中心とするの銅の部分に半径3.7mmの径の孔をド
リルで空けた。孔は4箇所開け、孔と孔の距離は等間隔
とし、複数の空洞を有し、Nb芯の埋設されたCuから
なる柱体を得た。この柱体の空洞に直径7.4mmの
1.5wt%Tiを含有するSn合金棒を挿入し、複合
体を得た。この複合体を引き続き9.8mmまで引抜き
加工を行なって複合線材を得た。さらに、表面を洗浄し
た後に、この外側に外径11mm、内径10mmのSn
の拡散バリヤとなるTaチューブ、更にその外側に外径
16mm、内径11.2mmの安定化のための無酸素銅
チューブをかぶせ、最終0.2mmの径まで引き抜き加
工を行ない、線材前駆体を得た。図3は本発明の他の実
施例による線材のモジュールの断面構成図で、Sn基合
金が4つに分割されている構成であり、得られた線材前
駆体の仕様を表8に示す。
【0066】
【表8】
【0067】得られた線材前駆体を60cm切り出し、
熱処理時に内部のSnが蒸発しないように得られた線材
の端部をアーク溶接して封じる。内径30mmのソレノ
イド状に5ターン巻線をし、熱処理時に線材が変形しな
いように、ステンレスで固定する。このものを、Arガ
ス雰囲気中で675℃で160時間、熱処理を行ないN
3Sn超電導線を製造した。
【0068】こうして得られたソレノイド状の超電導線
材を、12Tの磁界下で、上記実施例1と同様に表2に
示した特性を評価し、結果を表2に示す。表2より、本
発明の他の実施例による超電導線材はJcfかつN値が
高く、均質で、Nb3Snの反応生成率が高いことが明
かである。また、deffは、Snを分散させると、低減
することが判った。さらに、光学顕微鏡およびEPMA
で線材の断面観察と分析を行ったところ、フィラメント
の動きは殆ど無く、組成も大変均一であることが判っ
た。このため、Jcfが高く、deffが低いことが判っ
た。
【0069】実施例5.直径147.6mm、厚さ20
mmのCu―3wt%Snブロンズの円板に直径2.8
5mmの丸孔を849穿孔した。孔は同心円上に配置
し、最内層の孔の中心がCu円板の中心から13.6m
m、最外層が68.2mmになるようにした。これを外
径180mm、内径148mmの無酸素銅の容器中に、
5枚積み重ねて挿入した。さらに、丸孔に2.8mm
径、長さ100mmのNb棒を挿入し、引き続き、内部
を真空引きして蓋を溶接した。これを直径50mmの径
に押出し加工し、両端を切断した。この外周部を直径4
1mmの径になるように切削した。中央の銅の部分に半
径2.3mmの径の孔をドリルで空け、空洞を有するN
b芯を埋設したCu基合金からなる柱体を得た。この柱
体の空洞に直径4.44mm、長さ30mmの1.5w
t%Tiを含有するSn基合金棒を複数個挿入し、さら
に、上記柱体の外周部に厚さ0.64mmのSnシート
を2周巻き付けたものを外径50mm、内径44mmの
Cuチューブに挿入し、複合体を得た。これを引き続き
9.8mmまで引抜き加工を行なって複合線材を得た。
さらに、表面を洗浄した後に、この外側に外径11m
m、内径10mmのSnの拡散バリヤとなるTaチュー
ブ、更にその外側に外径16mm、内径11.2mmの
安定化のための無酸素銅チューブをかぶせ、最終0.2
mmの径まで引き抜き加工を行ない、線材前駆体を得
た。この引き抜き加工工程では、Snの薄板および複数
本のSn棒を用いたことによる断線は起きず、加工性も
良好であった。この工程によって得られた線材は1つの
モジュールによって構成されている。上記のようにして
得られた線材前駆体の仕様を表9に示す。
【0070】
【表9】
【0071】得られた線材を60cm切り出し、熱処理
時に内部のSnが蒸発しないように得られた線材の端部
をアーク溶接して封じる。内径30mmのソレノイド状
に5ターン巻線をし、熱処理時に線材が変形しないよう
に、ステンレスで固定する。このものを、Arガス雰囲
気中で675℃で160時間、熱処理を行ないNb3
n超電導線を製造した。
【0072】こうして得られたソレノイド状の超電導線
材を、12Tの磁界下で、上記実施例1と同様に表2に
示した特性を評価し、結果を表2に示す。表2より、本
発明の他の実施例による超電導線材はJcfかつN値が
高く、均質で、Nb3Snの反応生成率が高いことが明
かである。また、deffも従来の比較例1に比べ、低減
しており、Snを分散することにより、Sn拡散時のフ
ィラメントの動きが抑制させられることが判った。さら
に、光学顕微鏡およびEPMAで線材の断面観察と分析
を行ったところ、フィラメントの動きは殆ど無く、組成
も大変均一であることが判った。このため、Jcが高
く、deffが低いことが判った。
【0073】SnおよびSn基合金を分割配置した場
合、外周配置では、中心配置のみと同じ体積にしたとし
ても、非常に薄い肉厚で同体積を占めることができる。
Snでは薄い肉厚でチューブ形状を保つことが出来ない
ため、Cu−Nb複合体の外周はSnの薄板で被覆する
ことで容易に製造が可能となった。また、実施例では、
示していないが、SnおよびSn基金属の少なくとも一
種の最少分割量が少なく、ハンドリング性が問題となる
場合、SnおよびSn基金属の少なくとも一種とCuお
よびCu基金属の少なくとも一種とをクラッドするなど
補強することで容易に製造することができる。
【0074】また、SnおよびSn基金属の少なくとも
一種、CuおよびCu基合金の少なくとも一種並びにN
bおよびNb基合金の少なくとも一種から複合体を得る
方法は上記実施例に限定されない。なお、上記の実施例
では、超電導線として、Cuで代表される安定化材とT
aで代表される拡散障壁材を持っている超電導線につい
て述べたが、上記実施例の超電導線は安定化材として高
純度Al、拡散障壁材としてNbやVが採用された場合
に於いても有効であることを本発明者らは実験により見
いだしている。
【0075】さらに、上記実施例では単芯線の超電導線
材について示したが、図4に示すように、本発明のモジ
ュール構成を持つ線材を多芯化したものでもよい。図4
は、本発明のモジュール構成を持つ多芯の線材の断面構
成図であり、モジュール6を7本束ね、その周りにSn
拡散障壁を設け、さらにその外周に安定化Cuが設けら
れている。さらに、本発明のモジュール構成を持つ線材
に絶縁を行ってマグネット化するなど、形態を変えよう
とも、本発明の効果が得られることには変わりない。
【0076】実施例6.外径180mm、内径156m
mの無酸素銅の容器中に、1辺4.5mmの6角形の断
面の無酸素銅の棒を中央部に91本、同じ寸法の銅被覆
Nb棒をその周囲に222本充填し、内部を真空引きし
て蓋を溶接した。これを50mmの径に押出し加工し、
両端を切断した。この外周部を切削し、中央の銅の部分
に19mmの径の穴をドリルで空け、そこに18.8m
mのSn棒を挿入して、9.8mmまで引抜き加工を行
ない複合線材を得た。さらに、表面を洗浄した後に、こ
の外側に外径11mm、内径10mmのSnの拡散バリ
ヤとなるTaチューブ、更にその外側に外径16mm、
内径11.2mmの安定化のための無酸素銅チューブを
かぶせ、最終0.2mmの径まで引き抜き加工を行ない
本発明の別の発明の実施例に係わる線材前駆体を得、そ
の線材の仕様を表10に示す。
【0077】
【表10】
【0078】得られた線材を60cm切り出し、熱処理
時に内部のSnが蒸発しないように得られた線材の端部
をアーク溶接して封じる。内径30mmのソレノイド状
に5ターン巻線をし、熱処理時に線材が変形しないよう
に、ステンレスで固定する。このものを、Arガス雰囲
気中1時間15分で675℃に昇温して、675℃で1
60時間、熱処理を行なった。この時の昇温スピード
は、平均500℃/hである。さらに、100℃/hで
室温まで冷却した。こうして得られたソレノイド状の超
電導線材を、液体ヘリウム中でJcおよびdeffの測定
を行った。この結果を表11に示す。
【0079】
【表11】
【0080】表より、本発明の別の発明の一実施例によ
る超電導線材はいずれの特性においても良好な特性を有
することは明かである。この原因について、光学顕微鏡
で線材の断面観察を行ったところ、大変均一な低濃度の
Snを含むα―ブロンズによって、各フィラメントが分
離されていることが判った。このため、Jcが高く、d
effが低いことが判った。
【0081】比較例3.実施例6と同様にして、同一構
成の最終0.2mm径の複合線材を作製した。得られた
線材を実施例6と同様にして、熱処理用サンプルとし、
Arガス雰囲気中21時間40分で675℃に昇温し
て、675℃で160時間、熱処理を行なった。この時
の昇温スピードは、平均30℃/hである。さらに、1
00℃/hで室温まで冷却した。こうして得られたソレ
ノイド状の超電導線材を、液体ヘリウム中でJcおよび
effの測定を行った。この結果を表11に示す。これ
より、従来の超電導線材は本発明の実施例によるものに
比べいずれの特性においても劣ることは、明かである。
この原因について、光学顕微鏡で線材の断面観察を行っ
たところ、線材の中心部より2ないし3層目までのブロ
ンズが白味を帯びていてSn濃度の高いことが判った。
また、この部分との境界に位置するフィラメントが互い
に接触しあって、リング状につながっていた。この為、
Snが外部に十分に拡散せず、Jcが低くなっているこ
とが判った。また、リング状のフィラメントの結合が、
effを増大させていることが判った。
【0082】比較例4.実施例6と同様にして、同一構
成の最終0.2mm径の線材前駆体を作製した。得られ
た線材前駆体を用いて実施例6と同様にして、熱処理用
サンプルとし、Arガス雰囲気中で30分で250℃に
昇温しさらに5時間温度保持し、さらに、40分で40
0℃に昇温して、400℃で50時間温度保持した後、
30分で675℃に昇温して675℃で160時間、熱
処理を行なった。この時の昇温スピードは、平均30℃
/hである。さらに、100℃/hで室温まで冷却し
た。こうして得られたソレノイド状の超電導線材を、液
体ヘリウム中でJcおよびdeffの測定を行った。この
結果を表11に示す。これより、従来の超電導線材は本
発明の実施例によるものに比べいずれの特性においても
劣ることは、明かである。この原因について、光学顕微
鏡で線材の断面観察を行ったところ、線材の中心部より
2ないし3層目までのブロンズが白味を帯びていてSn
濃度の高いことが判った。また、この部分との境界に位
置するフィラメントが互いに接触しあって、リング状に
つながっていた。この為、Snが外部に十分に拡散せ
ず、Jcが低くなっていることが判った。また、リング
状のフィラメントの結合が、deffを増大させているこ
とが判った。
【0083】実施例7.実施例6と同様にして、同一構
成の最終0.2mm径の線材前駆体を作製した。得られ
た線材前駆体を用いて実施例6と同様にして、熱処理用
サンプルとし、あらかじめ、Arガス雰囲気にガス置換
された、675℃に保持された炉内に導入する。炉内温
度は一旦数度低下するが、数分でもとの温度に復帰す
る。この時の昇温スピードは、13000℃/hを越え
ている。さらに、100℃/hで室温まで冷却した。こ
うして得られたソレノイド状の超電導線材を、液体ヘリ
ウム中でJcおよびdeffの測定を行った。この結果を
表2に示す。これより、本発明の別の発明の実施例によ
る超電導線材はいずれの特性においても良好な特性を有
することは、明かである。特に、Jc特性が極めて高か
った。
【0084】実施例8.実施例6と同様にして、同一構
成の最終0.2mm径の線材前駆体を作製した。得られ
た線材前駆体を用いて実施例6と同様にして、熱処理用
サンプルとし、平均1000℃/hで昇温して、780
℃で3時間保持した後、30分で630℃に冷却し、こ
の温度で160時間保持し、100℃/hで室温まで冷
却した。こうして得られたソレノイド状の超電導線材
を、液体ヘリウム中でJcおよびdeffの測定を行っ
た。この結果を表11に示す。これより、本発明の別の
発明の他の実施例による超電導線材はいずれの特性にお
いても良好な特性を有することは、明かである。特に、
Jc特性が極めて高くなおかつdeffが低く抑えられて
いる。
【0085】実施例9.外径180mm、内径156m
mの無酸素銅の容器中に、1辺4.5mmの6角形の断
面の無酸素銅の棒を中央部に91本、同じ寸法の銅被覆
Nb棒をその周囲に222本充填し、内部を真空引きし
て蓋を溶接した。これを50mmの径に押出し加工し、
両端を切断した。この外周部を切削し、中央の銅の部分
に19mmの径の穴をドリルで空け、そこに18.8m
mのSn棒を挿入して、引抜き加工を行なうという実施
例6と同じプロセスに基づいて3.1mm径の複合線材
を得た。さらに、外周の表面を約20μm酸でエッチン
グした後に、この外側に20μmのSnメッキを施し
た。これを1本のモジュールとし、所定の長さに切断さ
れたモジュールを7本束ねて、外径11mm、内径10
mmのSnの拡散バリヤとなるTaチューブ、更にその
外側に外径16mm、内径11.2mmの安定化のため
の無酸素銅チューブをかぶせ、最終0.6mmの径まで
引き抜き加工を行ない、本発明の別の発明に係わる線材
前駆体を得た。得られた線材前駆体を用いて実施例6と
同様にして熱処理用サンプルとし、Arガス雰囲気中1
時間15分で675℃に昇温して、675℃で160時
間、熱処理を行なった。この時の昇温スピードは、平均
500℃/hである。さらに、100℃/hで室温まで
冷却した。こうして得られたソレノイド状の超電導線材
を、液体ヘリウム中でJcおよびdeffの測定を行っ
た。この結果を表11に示す。これより、超電導線材の
内部のSnの配置やバランスが変わったり、モジュール
数が増えるなど線材構成が変わっていても、本発明の別
の発明に係わる熱処理を行うことにより、いずれの特性
においても良好な特性を有することは、明かである。
【0086】実施例10.外径180mm、内径156
mmの1%Snが固溶したCu―Snブロンズ合金の容
器中に、1辺4.5mmの6角形の断面の1%Snが固
溶したCu―Snブロンズ合金の棒を中央部に91本、
同じ寸法の1%Snが固溶したCu―Snブロンズ合金
被覆Nb棒をその周囲に222本充填し、内部を真空引
きして蓋を溶接した。これを50mmの径に押出し加工
し、両端を切断した。この外周部を切削し、中央の1%
Snが固溶したCu−Snブロンズ合金の部分に19m
mの径の穴をドリルで空け、そこに18.8mmのSn
棒を挿入して、9.8mmまで引抜き加工を行ない複合
線材を得た。さらに、表面を洗浄した後に、この外側に
外径11mm、内径10mmのSnの拡散バリヤとなる
Taチューブ、更にその外側に外径16mm、内径1
1.2mmの安定化のための無酸素銅チューブをかぶ
せ、最終0.2mmの径まで引き抜き加工を行い、本発
明の別の発明の実施例に係わる線材前駆体を得た。得ら
れた線材前駆体を用いて実施例6と同様にして熱処理用
サンプルとし、Arガス雰囲気中1時間15分で675
℃に昇温して、675℃で160時間、熱処理を行なっ
た。この時の昇温スピードは、平均500℃/hであ
る。さらに、100℃/hで室温まで冷却した。こうし
て得られたソレノイド状の超電導線材を、液体ヘリウム
中でJcおよびdeffの測定を行った。この結果を表1
1に示す。これより、あらかじめCuにSnが低濃度に
含まれている場合においても、本発明の別の発明に係わ
る熱処理を行うことにより、いずれの特性においても良
好な特性を有することは明かである。
【0087】実施例11.実施例9と同様にして、同一
構成の最終0.6mm径の複合線材を作製した。この線
材をガラス繊維で被覆して絶縁し、外径150mmのス
テンレスの巻きわくに、ソレノイド巻きにして、コイル
を作製した。さらに、実施例6と同様の熱処理を施し、
超電導コイルを作製した。線材の両端に電流端子、電流
端子より15cm離して電圧端子を取り付けて、Jcを
測定した。この測定結果を、表12に示す。
【0088】
【表12】
【0089】これより、比較的大きなコイルにおいて
も、高い臨界電流密度が得られ、それは、均一なSn拡
散が起きている証であり、本発明の効果が確認された。
また、パルス電流通電時の発熱による液体ヘリウムの蒸
発量が少なかった。
【0090】実施例12.実施例9と同様にして、同一
構成の最終0.6mm径の線材前駆体を作製した。この
線材前駆体をガラス繊維で被覆して絶縁した。さらに、
800mmの輪になるように線材前駆体を束ねて実施例
6と同様の熱処理を施した。さらに、外径50mm、内
径34mm、長さ180mmのステンレスの巻きわく
に、一層が250ターンで、10相、ソレノイド巻きに
して、超電導コイルを作製した。線材の両端に電流端
子、電流端子より15cm離して電圧端子を取り付け
て、Jcを測定した。この測定結果を、表12に示す。
これより、比較的大きなコイルにおいても、高い臨界電
流密度が得られ、それは、均一なSn拡散が起きている
証であり、本発明の効果が確認された。また、パルス電
流通電時の発熱による液体ヘリウムの蒸発量が少なかっ
た。
【0091】実施例13.実施例9と同様にして、同一
構成の最終0.6mm径の線材前駆体を作製した。この
線材を図5の熱処理装置を用いて熱処理する。図5は、
本発明の別の発明に係わる熱処理装置の構成と熱処理装
置の位置と温度の関係を示す温度分布図である。図にお
いて、7は線材前駆体、8は加熱装置、9は冷却手段の
水冷式冷却管、10は巻き取り用のリールである。ま
た、矢印はアルゴンガスの気流を表す。あらかじめ78
0℃に設定している加熱装置8に線材前駆体7を通し、
リールに固定しておく。この時炉内にある線材は、本発
明の熱処理から外れるため最終的には処分される。ま
た、加熱炉の均熱範囲の長さは185cmである。室温
から、均熱範囲までの距離は、約30cmである。連続
的に0.5cm/minで線材を送り出して移動し、巻
き取りを行い予備線材を得た。この移動式熱処理によっ
て750℃/hの昇温スピードで昇温して、780℃で
6時間の熱処理を行ったことに相当する。線材は酸化を
防ぐ為に室温まで冷却された。この予備線材をガラス繊
維で被覆して絶縁し、外径50mm、内径34mm、長
さ180mmのステンレスの巻きわくに、一層が250
ターンで、10層、ソレノイド巻きにして、コイルを作
製した。さらに、アルゴン中で、630℃、160時間
の熱処理を施して、超電導コイルを作製した。線材の両
端に電流端子、電流端子より15cm離して電圧端子を
取り付けて、Jcを測定した。この測定結果は、表12
に示す。これより、比較的大きなコイルにおいても、高
い臨界電流密度が得られ、それは、均一なSn拡散が起
きている証であり、本発明の効果が確認された。また、
パルス電流通電時の発熱による液体ヘリウムの蒸発量が
少なかった。
【0092】実施例14.外径181mm、内径157
mmの無酸素銅の容器中に、対辺4.2mmの6角形の
断面の無酸素銅の棒を中央部に379本、同じ寸法の銅
被覆Nb単芯線(Nbの占積率:47.6%)をその周
囲に822本細密充填し、更に充填密度を高めるため
に、隙間に無酸素銅の細線を充填した。次に、内部を真
空引きして蓋を溶接した。上記のようにして得られた複
合ビレットを50mmの径に押出し加工し、両端を切断
した。この外周部を切削し、中央の銅の部分に18mm
の径の穴をドリルで空け、そこに17.8mmのSn棒
を挿入して、対辺3.4mmの6角棒(モジュール)ま
で引抜き加工を行なった。次に外径32.7mm、内径
30.7mmのTa管を外径40.0mm、内径32.
9mmの無酸素銅容器中に挿入し、表面を洗浄した対辺
3.4mmの無酸素銅の6角棒を中央部に1本、同寸法
の上記モジュールをその周囲に60本細密充填し、多モ
ジュール線とした。この線を最終形状、厚さ1.0m
m、幅1.3mmまで引き抜き加工して複合線材を得
た。加工性は極めて良好であった。得られた線材の仕様
を表13に示す。
【0093】
【表13】
【0094】この線材に図6に示す熱処理装置の電気炉
で熱処理を施し、予備線材を得た。図6は本発明の別の
発明に係わる熱処理装置の構成図であり、21は電気炉
本体、22は炉芯管、12はArガス導入口、13はA
rガス排出口、41は線材送り装置、42は線材巻き取
り装置である。線材前駆体7はあらかじめ700℃に保
持してある電気炉21中の炉芯管22中を線材前駆体7
が電気炉21中に1時間滞在するような速度で線材送り
装置41と線材巻き取り装置42により搬送され、急加
熱処理される。この時、炉芯管22内にはArガス導入
口12からArガスが導入されており、ArガスはAr
ガス排出口13から外へ排気される。得られた予備線材
の中心モジュール内の中心部分のマトリックス組成をE
PMAにより分析し、結果を表14に示す。
【0095】
【表14】
【0096】それによると、急加熱処理により線材中の
マトリックスの平均Sn濃度が10〜30wt%である
Cu―Sn合金(ブロンズ)となる予備線材を得ること
により、従来よりも性能の向上したNb3Sn超電導マ
グネットを得ることができる。次に、得られた予備線材
表面に絶縁被覆を施し、内径114mm、外径171.
3mm、66層、104ターンのコイルを形成した後、
Arガス雰囲気中、600〜750℃で30〜200時
間熱処理を行なった。このマグネットの巻き初めと巻き
終わりから電圧線を取りだし4.2Kで臨界電流密度特
性を測定した。結果を表15に示す。
【0097】
【表15】
【0098】比較例5.実施例14と同様のプロセス
で、複合ビレットを作製し、伸線加工することで最終形
状、厚さ1.0mm、幅1.3mmの多モジュール線を
作製した。得られた線材の仕様を表13に示す。この線
材の中心モジュール内の中心部分のマトリックス組成を
EPMAにより分析し、結果を表14に示す。なお、表
中のSnの値(100)はブロンズ中のSnではない。
次に、得られた線材表面に絶縁被覆を施し、実施例14
と同様、内径114mm、外径171.3mm、66
層、104ターンのコイルを形成し、Arガス雰囲気
中、600〜750℃で30〜200時間熱処理を行な
った。このマグネットの巻き初めと巻き終わりから電圧
線を取りだし4.2Kで臨界電流密度特性を測定し、結
果を表15に示す。
【0099】実施例15.実施例14と同様のプロセス
で、複合ビレットを作製し、伸線加工することで最終形
状、厚さ1.0mm、幅1.3mmの多モジュール線を
作製した。この線材に図7に示す電気炉で熱処理を施
し、予備線材を得た。図7は、本発明の別の発明に係わ
る熱処理装置の構成図であり、21は電気炉本体、22
は反応管、12はガス導入口、13はガス排出口、11
はOリング、41は線材送り装置、42は線材巻き取り
装置、1は線材である。線材前駆体7はあらかじめ70
0℃に保持してある電気炉21中の反応管22中を線材
前駆体7が電気炉21中に1時間滞在するような速度で
線材送り装置41と線材巻き取り装置42により搬送さ
れ、急加熱処理される。この時、反応管22内の線材前
駆体7はOリング11を通して反応管22に出入りし、
反応管22内にはガス導入口12からArガスが導入さ
れており、そのArガスはガス排出口13から外へ排気
されるため、大気とは完全に遮断されている。得られた
予備線材の中心モジュール内の中心部分のマトリックス
組成をEPMAにより分析し、結果を表14に示す。次
に、得られた線材表面に絶縁被覆を施し、実施例14と
同様、内径114mm、外径171.3mm、66層、
104ターンのコイルを形成し、Arガス雰囲気中、6
00〜750℃で30〜200時間熱処理を行なった。
このマグネットの巻き初めと巻き終わりから電圧線を取
りだし4.2Kで臨界電流密度特性を測定した。結果を
表15に示す。
【0100】実施例16.実施例14と同様のプロセス
で、複合ビレットを作製し、伸線加工することで最終形
状、厚さ1.0mm、幅1.3mmの多モジュール線を
作製した。この線材に図8に示す電気炉で熱処理を施
し、予備線材を得た。図8は本発明の別の発明に係わる
熱処理装置の構成図であり、21は電気炉本体、22は
反応管、12はガス導入口、13はガス排出口、11は
Oリング、9は冷却手段、41は線材送り装置、42は
線材巻き取り装置、7は線材前駆体である。線材前駆体
7はあらかじめ700℃に保持してある電気炉21中の
反応管22中を線材前駆体7が電気炉21中に1時間滞
在するような速度で線材送り装置41と線材巻き取り装
置42により搬送され、急加熱処理される。この時、反
応管8内の線材前駆体7はOリング11を通して反応管
22に出入りし、反応管8内にはガス導入口9からAr
ガスが導入されており、そのArガスはガス排出口13
から外へ排気されるため、大気とは完全に遮断されてい
る。さらに、線材前駆体7は冷却手段9を通して電気炉
21に入るため、急加熱処理の効果が顕著となる。得ら
れた予備線材の中心モジュール内の中心部分のマトリッ
クス組成をEPMAにより分析し、結果を表5に示す。
次に、得られた予備線材を実施例14と同様、内径11
4mm、外径171.3mm、66層、104ターンの
コイルを形成し、Arガス雰囲気中、600〜750℃
で30〜200時間熱処理を行なった。このマグネット
の巻き初めと巻き終わりから電圧線を取りだし4.2K
で臨界電流密度特性を測定した。結果を表15に示す。
【0101】実施例17.実施例14と同様のプロセス
で、複合ビレットを作製し、伸線加工することで最終形
状、厚さ1.0mm、幅1.3mmの多モジュール線を
作製し、さらにこの線材に実施例11と同様に図4に示
す電気炉で熱処理を施し、予備線材を得た。ただし、複
合ビレット中に挿入する対辺4.2mmの6角形の断面
の無酸素銅の棒、および銅被覆Nb単芯線(Nbの占積
率:47.6%)の数がそれぞれ409本、792本で
ある点、また、複合ビレットを押出し加工後、この外周
部を切削し、中央の銅の部分に19mmの径の穴をドリ
ルで空け、そこに18.8mmのSn棒を挿入する点が
異なる。得られた予備線材の中心モジュール内の中心部
分のマトリックス組成をEPMAにより分析し、結果を
表5に示す。次に、得られた予備線材を実施例14と同
様、内径114mm、外径171.3mm、66層、1
04ターンのコイルを形成し、Arガス雰囲気中、60
0〜750℃で30〜200時間熱処理を行なった。こ
のマグネットの巻き初めと巻き終わりから電圧線を取り
だし4.2Kで臨界電流密度特性を測定した。結果を表
15に示す。
【0102】上記実施例に示したように、Nb3Sn超
電導マグネットを製造する方法として、急加熱処理によ
り、予備線材を得る工程を施した後、コイル化し、熱処
理を施すことで、従来、ブロンズ法では加工性の問題か
ら、また、内部拡散法では高Sn濃度ブロンズの不均質
性から困難であったブロンズ中のSnの高濃度化を達成
することができ、従来よりも臨界電流密度特性の向上し
たNb3Sn超電導マグネットが製造できた。これは、
SEM/EPMAによる分析の結果、実施例14〜16
ではマトリックスのブロンズ組成の均質化による効果、
実施例17ではさらにブロンズ中のSnの高濃度化を実
現したことによりフィラメント1本あたりの臨界電流密
度が向上したためであることが判明した。
【0103】一般に、超電導線材の線径を細くしていく
と超電導フィラメント間の距離が非常に短くなり、超電
導フィラメント間の一部または大部分に物理的結合およ
び近接効果による超電導的結合を生じ、電気的特性から
求められる有効フィラメント径は実際のフィラメント径
より大きくなり、交流損失が大きくなるという問題点も
生じる。表16に得られた超電導マグネット線材の平均
フィラメント径(設計値)および有効フィラメント径
(実測値)を示す。
【0104】
【表16】
【0105】表16に示されるように、有効フィラメン
ト径は、従来の方法による比較例5の値に対し、実施例
14〜16では、40%、実施例17では、30%にそ
れぞれ細くすることができた。線材断面のSEM観察の
結果、比較例の場合、断面内に部分的にフィラメントの
結合が生じていたのに対し、各実施例の場合、断面に渡
って均一にフィラメントが分布していることが分かっ
た。これは、急加熱処理により予備線材中のマトリック
スが均一のブロンズになったことによる。このため比較
例に対し実施例では大幅な交流損失の低減が達成され
た。また、得られた超電導マグネットの線材の4.2K
における臨界電流の磁界依存性を測定した結果、有意差
は認められなかった。
【0106】なお、上記実施例に用いた熱処理装置の他
に、例えば、水冷式冷却管がガス冷却であってもよく、
炉の向きが省スペースのために立て型であってもよい。
【0107】なお、上記実施例において予備線材を得る
過程で、Ar雰囲気中で熱処理を行っているが、線材に
影響の無い他の気体、例えば、N2またはHeのような
不活性ガスを用いても、また、実施例15〜17におい
ては真空ポンプにより反応炉内を排気し、真空中で行っ
ても同様の効果が得られる。
【0108】また、本発明の実施例15〜17では、線
材が反応管に出入りする際、Oリングにより大気との遮
断を行っているが、この遮断型式は特に限定されるもの
ではない。
【0109】また、本発明において、複合ビレットの形
状、線材の断面構成、マグネットの形状等は、特に限定
されるものではない。
【0110】さらに、Cu基金属、Nb基金属およびS
n基金属のうち少なくとも1つに、Ti、In等で代表
される添加元素を少なくとも1種類添加することでJc
を向上させる事は可能で、本発明はこうした元素添加を
妨げるものではない。むしろ、添加元素を均一に拡散さ
せる上でも本発明は大変有効である。
【0111】また、上記実施例において、複合体のSn
およびSn基合金の少なくとも一種の断面形状は円であ
るが、それに限定されず、表面積を向上させるような形
状であれば、Snのフィラメントへの拡散が促進される
効果がある。
【0112】
【発明の効果】請求項1または2の発明によれば、中心
部と、外周部や中心部と外周部の中間帯には層状に、
割配置されたSnおよびSn基合金の少なくとも一種の
各々と、複数のNb芯およびNb基合金芯の少なくとも
一種の各々とが、各々互いにCuおよびCu基合金の少
なくとも一種の母体によって分離されるように構成さ
れ、上記SnおよびSn基合金の少なくとも一種の最小
分割体積(SS)、合計体積(St)および分割数(n)
が下式 n×SS×100/St≧10% で示される関係である複合体を、用いることにより、従
来より短時間で、臨界電流密度を高め、パルス電流通電
時に生じるヒステリシス損失や交流で運転するさいに生
じる交流損失を低減でき、さらに製造が容易で、しかも
断線等の起こりにくい複合超電導線材の製造方法を得る
ことができる。
【0113】
【0114】請求項3ないし5のいずれかの発明によれ
ば、容易に複合体を得ることができるので、容易に複合
超電導線材の製造方法を得ることができる。
【0115】請求項6の発明によれば、複数個のSnお
よびSn基金属の少なくとも一種の棒を空洞に挿入して
空洞を充填することにより、ハンドリング性よく複合体
が得られ、容易に複合超電導線材の製造方法を得ること
ができる。
【0116】
【0117】請求項7の発明によれば、SnおよびSn
基合金の少なくとも一種と、複数のNb芯およびNb基
合金芯の少なくとも一種とが、互いにCuおよびCu基
合金の少なくとも一種の母体によって分離されるように
配置した線材前駆体を、非酸化性雰囲気中にて、250
℃以上580℃以下の温度範囲では、100℃/h以上
の昇温速度で昇温し、かつ350℃以上450℃以下の
温度範囲では300℃/h以上の昇温速度で昇温し、5
80℃以上800℃以下で熱処理することにより、ま
た、請求項8の発明によれば、昇温を250℃以上58
0℃以下の温度範囲では、100℃/h以上の昇温速度
を保持して行い、熱処理を700℃以上800℃以下の
温度範囲で10時間以下行った後、580℃以上690
℃以下で熱処理を行うことにより、さらにNb3Sn相
の生成率を高めることができより特性の向上した複合超
電導線材の製造方法を得ることができる。
【0118】請求項9の発明によれば、請求項7または
8の線材前駆体として、SnおよびSn基合金の少なく
とも一種が複数に分割されたものを用いることにより、
さらにNb 3 Sn相の生成率を高めることができ、より
特性の向上した複合超電導線材の製造方法を得ることが
できる。
【0119】請求項10の発明によれば、請求項7ない
し9のいずれかにおいて、線材前駆体が、導入側に冷却
手段を備え、600〜800℃に保持された加熱装置内
を、上記加熱装置内に30分〜10時間滞在するような
移動速度で移動することにより、昇温し熱処理されるの
で、容易に所定の昇温速度と熱処理温度を得ることがで
き、容易に本発明の効果を有する複合超電導線材の製造
方法を得ることができる。
【0120】
【0121】請求項11の発明によれば、請求項7ない
し9のいずれかの線材前駆体を、250℃以上580℃
以下の温度範囲では、100℃/h以上の昇温速度で昇
温し、700℃以上800℃以下の温度範囲で熱処理を
10時間以下行なう工程、580℃以上690℃以下で
熱処理を行う工程およびコイル状に成形する工程を施す
ことにより、高い臨界電流を有する高性能な複合超電導
コイルの製造方法を得ることができる。また、線材を熱
処理してからコイル状に成形すれば、炉は線の直径より
もわずかに広い径の筒状の容積の小規模なものでよく、
ランニングコストも大幅に削減することができる。
【0122】請求項12項の発明によれば、容易に複合
超電導コイルの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる線材前駆体のモジュ
ールの断面構成図である。
【図2】本発明の他の実施例による線材のモジュールの
断面構成図である。
【図3】本発明の他の実施例による線材のモジュールの
断面構成図である。
【図4】本発明のモジュール構成を持つ多芯の線材の断
面構成図である。
【図5】本発明の別の発明の一実施例に係わる熱処理装
置の構成と熱処理装置の位置と温度の関係を示す温度分
布図である。
【図6】本発明の別の発明の他の実施例に係わる熱処理
装置の構成図である。
【図7】本発明の別の発明の他の実施例に係わる熱処理
装置の構成図である。
【図8】本発明の別の発明のさらに他の実施例に係わる
熱処理装置の構成図である。
【図9】従来の線材前駆体の断面構成図である。
【符号の説明】
1 Cu母体 2 Nb芯 3 Sn基合金材 7 線材前駆体 8 加熱装置 9 冷却装置 21 電気炉本体 41 線材送り装置 42 線材巻取り装置 11 Oリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 貴之 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料デバイス研究所内 (72)発明者 宮下 章志 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料デバイス研究所内 (72)発明者 内川 英興 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料デバイス研究所内 (56)参考文献 特開 平3−274613(JP,A) 特開 平4−129106(JP,A) 特開 平2−234313(JP,A) 特開 平3−171516(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 12/00 - 13/00 C22F 1/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心部と、外周部は層状に、分割配置さ
    れたSnおよびSn基合金の少なくとも一種の各々と、
    複数のNb芯およびNb基合金芯の少なくとも一種の各
    々とが、各々互いにCuおよびCu基合金の少なくとも
    一種の母体によって分離されるように構成され、上記
    nおよびSn基合金の少なくとも一種の最小分割体積
    (SS)、合計体積(St)および分割数(n)が下式 n×SS×100/St≧10% で示される関係である複合体を、断面減少加工し、熱処
    理する複合超電導線材の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項第1項記載のものにおいて、Sn
    およびSn基合金の少なくとも一種が複合体の中心部
    外周部の中間帯に、層状に分割配置されていることを特
    徴とする複合超電導線材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項第1項記載のものにおいて、中心
    部に空洞を有し、複数のNb芯およびNb基合金芯の少
    なくとも一種が埋設されたCuおよびCu基合金からな
    る柱体の上記空洞にSnおよびSn基金属の少なくとも
    一種を充填する工程および上記柱体の外周にSnおよび
    Sn基金属の少なくとも一種の層を設ける工程を施すこ
    とにより複合体を得ることを特徴とする複合超電導線材
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項第2項記載のものにおいて、中心
    部に空洞を有し、複数のNb芯およびNb基合金芯の少
    なくとも一種が埋設されたCuおよびCu基合金からな
    第1柱体の上記空洞にSnおよびSn基金属の少なく
    とも一種を充填し、上記第1柱体の外周にSnおよびS
    n基金属の少なくとも一種の層を設けて複合体材を得、
    中心部に上記複合体材を充填できる空洞を有し、複数の
    Nb芯およびNb基合金芯の少なくとも一種の埋設され
    たCuおよびCu基合金からなる第2柱体の上記空洞
    に、上記複合体材を充填し、上記第2柱体の外周部にS
    nおよびSn基金属の少なくとも一種の層を設けること
    により複合体を得ることを特徴とする複合超電導線材の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項第3項または第4項記載のものに
    おいて、空洞にSnおよびSn基金属の少なくとも一種
    の棒状体を挿入することによりSnおよ びSn基金属の
    少なくとも一種を空洞に充填し、上記柱体をSnおよび
    Sn基金属の少なくとも一種のチューブに挿入するか、
    上記柱体の外周にSnおよびSn基金属の少なくとも一
    種の薄板を巻き付けることにより、上記柱体の外周にS
    nおよびSn基金属の少なくとも一種の層を設けること
    を特徴とする複合超電導線材の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項第5項記載のものにおいて、上記
    空洞の長さより短いSnおよびSn基金属の少なくとも
    一種の棒を上記空洞に複数個挿入して上記空洞を充填す
    ことを特徴とする複合超電導線材の製造方法。
  7. 【請求項7】 SnおよびSn基合金の少なくとも一種
    と、複数のNb芯およびNb基合金芯の少なくとも一種
    とが、互いにCuおよびCu基合金の少なくとも一種の
    母体によって分離されるように配置した線材前駆体を、
    非酸化性雰囲気中にて、250℃以上580℃以下の温
    度範囲では、100℃/h以上の昇温速度で昇温し、か
    つ350℃以上450℃以下の温度範囲では300℃/
    h以上の昇温速度で昇温し、580℃以上800℃以下
    で熱処理することを特徴とする複合超電導線材の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 SnおよびSn基合金の少なくとも一種
    と、複数のNb芯およびNb基合金芯の少なくとも一種
    とが、互いにCuおよびCu基合金の少なくとも一種の
    母体によって分離されるように配置した線材前駆体を、
    非酸化性雰囲気中にて、昇温を250℃以上580℃以
    下の温度範囲では、100℃/h以上の昇温速度を保持
    して行い、熱処理を700℃以上800℃以下の温度範
    囲で10時間以下行った後、580℃以上690℃以下
    で熱処理を行うことを特徴とする複合超電導線材の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項第7項または第8項記載のものに
    おいて、SnおよびSn基合金の少なくとも一種が複数
    に分割されていることを特徴とする複合超電導線材の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 請求項第7項ないし第9項のいずれか
    に記載のものにおいて、線材前駆体が、導入側に冷却手
    段を備え、600〜800℃に保持された加熱装置内
    を、上記加熱装置内に30分〜10時間滞在するような
    移動速度で移動することにより、昇温し熱処理される
    とを特徴とする複合超電導線材の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項第7項ないし第9項のいずれか
    に記載の線材前駆体を、250℃以上580℃以下の温
    度範囲では、100℃/h以上の昇温速度で昇温し、7
    00℃以上800℃以下の温度範囲で熱処理を10時間
    以下行なう工程、コイル状に成形する工程および580
    ℃以上690℃以下で熱処理を行う工程を施す複合超電
    導コイルの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項第11項記載のものにおいて、
    線材前駆体が、温度制御された加熱装置内を制御された
    移動速度で移動することにより、昇温し熱処理されるこ
    とを特徴とする複合超電導コイルの製造方法。
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