JPH10144043A - 磁気テープカセット用リール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】クランプ力の向上を図る目的とする磁気テープ
カセット用リールを提供すること。 【解決手段】上下カセットハーフから成るカセットケー
ス内に収納される上下フランジ付きテープリールであっ
て、前記テープリールのリールハブの外周面に設けられ
た切り欠き状の係合部に圧入され、該リールハブに巻回
される磁気テープのテープ端を固定するクランプ部材
が、前記テープリールの上下フランジの少なくとも一方
の内面に凹設された嵌合凹部に嵌合されてリールハブ半
径方向への移動を阻止されることを特徴とする磁気テー
プカセット用リールを提供することにより解決される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、上下カセットハー
フから成るカセットケース内に収納されるフランジ付き
テープリールの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】オーディオ機器やビデオ機器等において
多用される磁気テープカセットは、合成樹脂等で成形し
た上下のカセットハーフ内に、磁気テープが巻回された
一対のテープ巻装体（リールまたはハブ）を収納したも
のである。

【０００３】図８は、ＶＴＲ用磁気テープカセットの主
要構成部品を示す分解斜視図である。磁気テープ１を巻
回した一対のフランジ付きテープリール２は、上カセッ
トハーフ３と下カセットハーフ４とから成るカセットケ
ース内に収容されており、該カセットケースの前方のテ
ープ引き出し開口はガードパネル５によって覆われる。

【０００４】上カセットハーフ３は、窓用開口を有する
矩形状の上壁面６の周縁に立設された前側壁７並びに後
側壁８と左右側壁９、９から成る箱体であり、ＡＢＳ樹
脂等により一体成形されると共に上壁面６に透明な窓部
材が溶着されており、その上壁面中央部にはフランジ付
きテープリール２をカセット下方に付勢する板ばね（図
示せず）が固定されている。

【０００５】下カセットハーフ４は、矩形状の底壁面１
０の周縁に立設された前後側壁１１、１２と左右側壁１
３、１３から成る箱体であり、底壁面１０には記録再生
装置の駆動シャフトをフランジ付きテープリール２のリ
ールハブ１４に挿入するための開口１５が形成されてい
る。

【０００６】上下カセットハーフ３、４の内側には、そ
れぞれ上壁面及び底壁面１０からカセット内方に向かっ
て延び、互いに対向する隔壁１６が前記フランジ付きテ
ープリール２を囲むように略円形に立設されており、フ
ランジ付きテープリール２が隔壁１６に当接しながら水
平方向に位置規制される。

【０００７】フランジ付きテープリール２は、透明で、
上フランジ貫通孔１８が設けられた円盤状の上フランジ
１７と、円柱状のリールハブ１４が一体成形された円盤
状の下フランジ１９とから成る。下フランジ１９はポリ
オキシエチレン樹脂（ＰＯＭ）等の耐摩耗性の高い樹脂
材料によって成形される。

【０００８】図９に、従来技術のフランジ付きテープリ
ール２の詳細図を示す。磁気テープ１の端を固定するた
め、クランプ部材であるクランプピン２０がリールハブ
１４の半径方向外方から嵌合することができるように、
リールハブ１４の周面の一部を切り欠いた内方広がりの
空間を形成する切り欠き状の係合部２１がリールハブ１
４に設けられている。

【０００９】クランプピン２０は、リールハブ１４と同
曲率を有する基体であり、磁気テープ１の回転軸に垂直
の断面が略コの字状である。略コの字状の両開放端には
係合部２２を備え、係合部２２はテーパ部２３を有して
いる。

【００１０】図１０に、従来技術によるクランプピン２
０の嵌合方法を示す。クランクピン２０は、上フランジ
１７と下フランジ１９が接合された後、上フランジ貫通
孔１８から下フランジ１９上に投入され、リールハブ１
４の半径方向外方から磁気テープ１を介して切り欠き状
の係合部２１に嵌合される。そこで、クランプピン２０
は、嵌合時の上フランジ１７と下フランジ１９との干渉
を防止すると共に、磁気テープ１の端部を確実に挟持す
るため、クランプピン２０のリール軸線方向高さは上フ
ランジ１７の下面と下フランジ１９の上面の間隔と略同
一、言い換えれば、磁気テープ１が巻回された部分にお
けるリールハブ１４の高さと略同一である。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の磁
気テープカセット用リールにおいては、クランプピン２
０の係合部２２が、切り欠き状の係合部２１の係止部２
４との間でテープ端を挟持している。従って、組立性を
向上するためにクランプピン２０の嵌合力を低くする
と、テープ抜け等がおこる虞がある。一方、クランプピ
ン２０と係合部２１との間隔をできるだけ狭くすること
により、磁気テープ１を狭持するためのクランプ力を向
上させようとすると、テープ切れがおこる虞がある。そ
こで、本発明はクランプピン２０とリールハブ１４との
間隔を、従来のものと変更することなく、組立性の向上
とクランプ力の向上を同時に図ること目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的は、上下カセッ
トハーフから成るカセットケース内に収納される上下フ
ランジ付きテープリールであって、前記テープリールの
リールハブの外周面に設けられた切り欠き状の係合部に
圧入され、該リールハブに巻回される磁気テープのテー
プ端を固定するクランプ部材が、前記テープリールの上
下フランジの少なくとも一方の内面に凹設された嵌合凹
部に嵌合されていることを特徴とする磁気テープカセッ
ト用リールにより達成される。

【００１３】尚、前記フランジ内面に凹設された嵌合凹
部は、貫通孔を含むものとする。

【００１４】

【発明の実施の形態】添付図面を参照して本発明の一実
施形態を説明する。なお、フランジ付きテープリール部
分を除いては、図８における構成と同様であるので、説
明は省略する。

【００１５】図１のフランジ付きテープリール２５は、
透明であって、嵌合凹部である貫通孔２６が設けられた
上フランジ２７と、リールハブ２８が一体に成形された
下フランジ２９とから成る。

【００１６】図２は、本発明におけるフランジ付きテー
プリールのクランプ部分の詳細図である。磁気テープ３
０の端を固定するため、クランプ部材であるクランプピ
ン３１がリールハブ２８の半径方向外方から嵌合するこ
とができるように、リールハブ２８の周面の一部を切り
欠いた内方広がりの空間を形成する切り欠き状の係合部
３２が該リールハブ２８に設けられている。切り欠き状
の係合部３２のリールハブ軸線方向の下側には嵌合凹部
３３が設けられている。

【００１７】クランクピン３１は、リールハブ２８と同
曲率を有する基体であり、磁気テープ３０の回転軸に垂
直である断面が略コの字状である。略コの字状の両開放
端には係合部３４を備え、係合部３４がテーパ部３５を
有している。クランプピン３１の高さは、磁気テープ３
０が巻回された部分におけるリールハブ２８の高さより
高く形成されている。

【００１８】以下、図３〜図６に本発明の特徴であるク
ランプピン３１の嵌合方法を示す。始めに、第１の実施
形態に基づく嵌合方法を以下に示す。上フランジ２７と
下フランジ２９を接合した後、クランプピン３１を、上
フランジ貫通孔２６から下フランジ２９上に投入する。
そして、クランプピン３１は、リールハブ２８の半径方
向外方から磁気テープ３０を介して切り欠き状の係合部
３２に圧入され、嵌合される。その後、図３に示すよう
に（上フランジ２７及び下フランジ２９は省略）クラン
プピン３１を上方から下フランジ嵌合凹部３３に押し込
み、最終的に図４のように嵌合される。上フランジ貫通
孔２６は、上フランジ２７と下フランジ２９を接合した
後でも、クランプピン３１が切り欠き状の係合部３２に
圧入できるような大きさに形成されている。本実施態様
は、クランプピン３１が切り欠き状の係合部３２のみな
らず、下フランジ嵌合凹部３３にも勘合されるので、従
来と比べてクランプ力の向上を図ることができる。

【００１９】第２の実施形態に基づく嵌合方法を以下に
示す。クランプピン３１は下フランジ２９上に投入され
た後、リールハブ２８の半径方向外方から磁気テープ３
０を介して切り欠き状の係合部３２に圧入され、嵌合さ
れる。そして、図３に示すように（下フランジ２９は省
略）上方からクランプピン３１を下フランジ嵌合凹部３
３に押し込む。その後、上フランジ２７と下フランジ２
９を接合させ、嵌合凹部である上フランジ貫通孔３６は
クランプピン３１の上端部と嵌合し、図５に示すように
なる。この場合、上フランジ貫通孔３６は、クランプピ
ン３１の上端部と嵌合できるように、図３の上フランジ
貫通孔２６よりも小さく形成されている。本実施形態
は、クランプピン３１が切り欠き状の係合部３２のみな
らず、上フランジ貫通孔３６と下フランジ嵌合凹部３３
の両方に嵌合するので、従来と比べてクランプ力の向上
を図ることができる。

【００２０】第３の実施形態に基づく嵌合方法を以下に
示す。第２の嵌合方法と同様にして、クランプピン３１
が下フランジ２９上に投入される。そして、クランプピ
ン３１は、リールハブ２８の半径方向外方から磁気テー
プ３０を介して、切り欠き状の係合部３２に圧入され、
図６（下フランジ２９は省略）に示すように嵌合され
る。その後、上フランジ２７と下フランジ２９を接合さ
せ、クランプピン３１が嵌合凹部である上フランジ貫通
孔３６と嵌合し、図７に示すようになる。上フランジ貫
通孔３６は図５の場合と同じようにクランプピン３１と
嵌合できるように形成される。本実施態様は、クランプ
ピン３１が切り欠き状の係合部３２のみならず、上フラ
ンジ貫通孔３６に嵌合するので、従来と比べてクランプ
力の向上を図ることができる。

【００２１】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように、上下カ
セットハーフから成るカセットケース内に収納される上
下フランジ付きテープリールであって、前記テープリー
ルのリールハブの外周面に設けられた切り欠き状の係合
部に圧入され、該リールハブに巻回される磁気テープの
テープ端を固定するクランプ部材が、前記テープリール
の上下フランジの少なくとも一方の内面に凹設された嵌
合凹部に嵌合されていることを特徴とする磁気テープカ
セット用リールとしたので、クランプ部材が、切り欠き
状の係合部のみならず上下フランジ内面に凹設された嵌
合凹部に嵌合可能であるため、クランプピンとリールハ
ブとの間隔を、従来のものと変更することなく、クラン
プ力の向上を図ることができ、テープ抜け等を防止する
ことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明におけるフランジ付きテープリールの分
解斜視図である。

【図２】本発明におけるフランジ付きテープリールのク
ランプ部分の詳細図である。

【図３】第１、第２実施形態のテープリールのクランプ
部分の斜視図である。

【図４】第１実施形態のテープリールのクランプ部分の
断面図である。

【図５】第２実施形態のテープリールのクランプ部分の
断面図である。

【図６】第３実施形態のテープリールのクランプ部分の
斜視図である。

【図７】第３実施形態のテープリールのクランプ部分の
断面図である。

【図８】従来技術のＶＴＲ用磁気テープカセットの主要
構成部品を示す分解斜視図である。

【図９】従来技術におけるフランジ付きテープリールの
クランプ部分の詳細図である。

【図１０】従来技術における実施形態のテープリールの
クランプ部分の断面図である。

【符号の説明】

１ 磁気テープ ２ フランジ付きテープリール ３ 上カセットハーフ ４ 下カセットハーフ ５ ガードパネル ６ 上壁部 ７ 前壁部 ８ 後壁部 ９ 左右側壁部 １０ 底壁面 １１ 前側壁 １２ 後側壁 １３ 左右側壁 １４ リールハブ １５ 開口 １６ 隔壁 １７ 上フランジ １８ 上フランジ貫通孔 １９ 下フランジ ２０ クランプピン ２１ 切り欠き状の係合部 ２２ 係合部 ２３ テーパ部 ２４ 係止部 ２５ フランジ付きテープリール ２６ 上フランジ貫通孔 ２７ 上フランジ ２８ リールハブ ２９ 下フランジ ３０ 磁気テープ ３１ クランプピン ３２ 切り欠き状の係合部 ３３ 嵌合凹部 ３４ 係合部 ３５ テーパ部 ３６ 嵌合凹部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下カセットハーフから成るカセットケ
   ース内に収納される上下フランジ付きテープリールであ
   って、 前記テープリールのリールハブの外周面に設けられた切
   り欠き状の係合部に圧入され、該リールハブに巻回され
   る磁気テープのテープ端を固定するクランプ部材が、前
   記テープリールの上下フランジの少なくとも一方の内面
   に凹設された嵌合凹部に嵌合されていることを特徴とす
   る磁気テープカセット用リール。