JPH10140392A - 電気めっき装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】断面に凹凸のある異形金属条であっても、めっ
き厚分布の均一化が図れるようにした電気めっき装置を
提供すること。 【解決手段】長尺のアノード極板とカソード極板が平行
に配置された、めっき浴槽を有する電気めっき装置にお
いて、前記極板間に極板と垂直で長手方向に長い電流遮
蔽板を多数挿入した電気めっき装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はスリット入り電流遮
蔽板の導入によって、均一な膜厚のめっきができるよう
にした電気めっき装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４は従来の電気めっき装置の構成を示
す。これは、めっき浴槽１内にアノード極板２を設け、
カソード極板とした金属条体３を断面縦方向に走行させ
る。走行させる金属条体３の上部と下部の両側にめっき
電流密度を調節するための電流遮蔽板４，５をそれぞれ
設ける。さらに、下部両側の電流遮蔽板５の近傍に、こ
れらの間から流体を噴出してめっき液６を流動する流体
ノズル７を設ける。なお、上部電流遮蔽板４の下端部４
ａはくさび形になっている。

【０００３】ここで、電流遮蔽板４，５でめっき電流を
調節することにより金属条体３の端部３ｂのめっき膜厚
が厚くなるのは防止できる。

【０００４】しかしながら、電流遮蔽効果と流動効果が
加味されると、金属条上部での流動が不十分となり、ま
た、電流が過度に遮蔽されやすくなるなどの結果、金属
条上端部３ａのめっき厚が薄くなってしまうという問題
が生じる。（そこで、本発明では、図２に示すように金
属条体の両側にスリット入りの電流遮蔽板を設け、めっ
き厚の均一化を図るようにしてある。

【０００５】なお、めっき条件に柔軟に対応できるよう
にするため、さらに、図４に示す上部電流遮蔽板４を図
３に示す送り治具９に装着して水平方向に移動自在に設
け、図３に示すフィードモーター１０の回転により、図
４に示す上部電流遮蔽板４の金属条３に対する位置を可
変できるように構成してある。このように構成すると、
全面めっきをする場合、上部電流遮蔽板４の位置を適切
に設定することができる。）

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術で
は、金属条が平条の全面めっきには有効であるが、凹凸
のある異形条の全面めっきになると、部分的に電流が集
中または遮断される現象が起きるため、板厚部の異なる
エッジ部、及び金属条端部でのめっき膜厚が不均一とな
るという問題があった。

【０００７】本発明の目的は、スリット入り遮蔽板を導
入することによって、上述した従来技術の問題点を解消
して、断面に凹凸のある異形金属条であっても、めっき
厚分布の均一化が図れるようにした電気めっき装置を提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の電気めっき装置
は、長尺のアノード極板とカソード極板が平行に配置さ
れた、めっき浴槽を有する電気めっき装置において、前
記極板間に極板と垂直で長手方向に長い電流遮蔽板を多
数挿入した電気めっき装置である。

【０００９】また、本発明の電気めっき装置は、断面を
縦方向にしてめっき槽内を走行する異形金属条の両側
に、めっき電流密度を調節するスリット入りの電流遮蔽
板をそれぞれ設け、さらに浴槽下部より流体を噴出して
めっき液を流動する流体ノズルを設けた電気めっき装置
である。

【００１０】この場合、スリット入りの電流遮蔽板の間
隔を可変させたり、電流遮蔽板と金属条体の距離を可変
できるようにすることができる。この場合、スリットの
間隔を２〜４０mmとしたり、さらに、電流遮蔽板を水平
方向に移動自在に設けて電流遮蔽板の金属条体に対する
位置を可変できるように構成してもよい。特に、スリッ
トの間隔を２〜４０mmとしたのは逆に２mm以下だと装置
構成がその強度上問題となり、４０mm以上だと電流遮蔽
効果が小さく、好ましくないためである。

【００１１】スリット入りの電流遮蔽板を設けると、電
極間における電流の分配が均一化されるので異形金属条
の板厚部の異なるエッジ部あるいは条端部の電流集中ま
たは電流遮断が緩和されるため、めっき厚の変動が抑え
られる。

【００１２】電流遮蔽板のスリットの間隔及び電流遮蔽
板と金属条体間距離を可変できるようにすると、めっき
条件が異なっても、その条件にそった最適な距離が容易
に設定できる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１に本発明の実施例を示す。こ
の実施例は、異形金属条３の両側にスリット入りの電流
遮蔽板８を設けている。このように、電流遮蔽板８によ
る電流の分配が最適化される電流遮蔽効果により、電流
分布が均一化される。その結果、異形金属条体３の端部
３ａ及び凸部３ｃでの膜厚不足あるいは膜厚過剰になる
といった問題がなくなり、めっき膜厚分布の均一化が図
れる。

【００１４】次に、実際にスリットの間隔がどのように
めっき膜厚に及ぼすかを調べた。

【００１５】実験では図７に示す異形金属条３の平滑面
側及び凸面側においてスリットの間隔δを変化させた場
合のめっき膜厚分布を調べた。その結果を図５、６に示
す。横軸は金属条体の条幅、縦軸はめっき膜厚を示す。
同図からδが大きくなるとめっき膜厚の大きい部分と小
さい部分の比が大きくなり、逆にδが小さくなっていく
と膜厚のばらつきが小さくなる。そのスリットの間隔δ
が小さいほど、電流の分配がきめ細かくなることがわか
った。

【００１６】スリットの間隔δを図２に示すように、金
属条体３の平行な部分をきめ細かく、それ以外のところ
をあらく設定してもよい。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、電流遮蔽板にスリット
を入れたので、金属条体のめっき膜厚を均一化すること
ができる。

【００１８】特に、スリットの間隔を可変自在にする
と、めっき条件が異なっても、その条件に合った最適な
間隔を容易に設定できる。また、このスリットの間隔を
２〜４０mmとしたので、金属条体のめっき膜厚を均一化
することができる。

【００１９】また、電流遮蔽板の金属条体に対する位置
を調整できるようにしたので、めっ条件が異なっても、
その条件に合った最適な配置位置を容易に設定できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る電気めっき装置の構成を
示す断面図である。

【図２】本発明の実施例に係る着脱自在とした電流遮蔽
板を示す断面図である。

【図３】従来例に係る電流遮蔽板の移動機構を示す断面
図である。

【図４】従来例に係る電気めっき装置の構成を示す断面
図である。

【図５】スリット間隔δを変化させたときの金属条体の
平滑面側の膜厚分布を示す図である。

【図６】スリット間隔δを変化させたときの金属条体の
凸面側の膜厚分布を示す図である。

【図７】平滑面側と凸面側を説明するための金属条体の
断面図である。

【符号の説明】

１ めっき浴槽 ２ アノード極板 ３ 金属条体 ４ 上部電流遮蔽板 ５ 下部電流遮蔽板 ６ めっき液 ７ 流体ノズル ８ スリット入り電流遮蔽板 ９ 送り治具 １０ フィードモーター

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 楢崎 雅和 茨城県日立市助川町３丁目１番１号 日立 電線株式会社電線工場内 (72)発明者 中村 敏信 茨城県日立市助川町３丁目１番１号 日立 電線株式会社電線工場内 (72)発明者 八木 雄二 茨城県日立市助川町３丁目１番１号 日立 電線株式会社電線工場内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】長尺のアノード極板と長尺のカソード極板
   が平行に配置された、めっき浴槽を有する電気めっき装
   置において、前記極板間に極板と垂直で長手方向に長い
   電流遮蔽板を多数挿入したことを特徴とする電気めっき
   装置。
2. 【請求項２】電流遮蔽板の板厚あるいは、スリットの間
   隔を部分的に可変自在にした請求項１に記載の電気めっ
   き装置。
3. 【請求項３】電流遮蔽板のスリットの間隔を２〜４０mm
   にすると共に部分的に変動させたことを特徴とする請求
   項１または２に記載の電気めっき装置。
4. 【請求項４】断面を縦方向にしてめっき浴槽内を走行す
   る金属条体の両側に、めっき電流密度を調節する電流遮
   蔽板をそれぞれ設け、さらに浴槽下方により配置した流
   体を噴出してめっき液を流動する流体ノズルを設けた電
   気めっき装置において、両側の電流遮蔽板に所定のスリ
   ットを入れたことを特徴とする請求項１〜４記載の電気
   めっき装置。