JPH10139610A - 青枯病防除剤、防除方法ならびに青枯病菌に対して拮抗作用を有する新規微生物 - Google Patents

青枯病防除剤、防除方法ならびに青枯病菌に対して拮抗作用を有する新規微生物

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JPH10139610A
JPH10139610A JP8296586A JP29658696A JPH10139610A JP H10139610 A JPH10139610 A JP H10139610A JP 8296586 A JP8296586 A JP 8296586A JP 29658696 A JP29658696 A JP 29658696A JP H10139610 A JPH10139610 A JP H10139610A
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JP
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enterobacter
ferm
wilt
bacterial wilt
controlling
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JP8296586A
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Masami Mochizuki
正己 望月
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬害や防除に使用する微生物自身に起因する
害毒がなく、しかも広範囲な栽培方法に使用できる青枯
病の防除剤、防除方法を提供する。青枯病菌に対して拮
抗作用を有する新規微生物を提供する。 【解決手段】 エンテロバクター属菌を含有する防除
剤、エンテロバクター属菌を用いる防除方法を採用す
る。エンテロバクター・クロアカエ 1206(FER
M P−15898)、エンテロバクター・クロアカエ
T2A(FERMP−15899)およびエンテロバ
クター・アグロメランス T2B(FERM P−15
900)を提供した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンテロバクター
属に属する微生物を利用した青枯病菌の防除剤、防除方
法および新規なエンテロバクター属微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】青枯病は、細菌による植物病害で、ナス
やトマトなど百数十種の植物を侵す病害である。この病
気に侵されると、葉が急に枯れだし、早い場合には、一
週間ほどで枯死する病気の進み方が非常に急激な病害で
あり、しかも収穫が始まる頃から発生する農作物栽培上
影響の大きい病害である。
【0003】青枯病の病原菌(Pseudomonas solanacear
um)は土中で長期間生存するするため、病害を防除する
には、クロルピクリン剤等で土壌消毒する必要がある。
しかし、このような殺菌法では、土壌中に存在する有用
微生物までも殺菌してしまうため、土壌中の生態系を大
きく変化させ、土壌病原菌の新たな発生を助長し、病害
を激発させてしまう可能性がある。
【0004】そこで、化学合成殺菌剤に代えて、微生物
を用いる青枯病の防除方法が提案されている。例えば、
非病原化したシュードモナス(Pseudomonas)属細菌を用
いる方法が、特開昭64−16579号公報等に開示さ
れている。しかし、非病原化した微生物を用いる場合、
多少病原性が残っていたり、病原性が復活したりする恐
れがある。シュードモナス属細菌以外の微生物を用いる
防除方法としては、特開平7−69823号公報にフラ
ボバクテリウム(Flavobacterum)属細菌を用いる、水耕
栽培における青枯病の防除方法が開示されているが、土
壌栽培に適用できる技術ではない。
【0005】他方、エンテロバクター(Enterobacter)
属に属する微生物を利用した青枯病の防除剤や防除方法
についての報告例はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解決したものであり、長期間にわたって青
枯病に対する優れた防除効果を有するのみならず、薬害
がなく、微生物自身の病原性のよる害がなく、しかも広
範囲な栽培方法に利用できる青枯病防除剤、防除方法な
らびに青枯病菌に対して拮抗作用を有する新規な微生物
の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、エンテロバク
ター属に属する微生物(以下、エンテロバクター属菌と
省略して記載する場合がある。)が青枯病菌に対して拮
抗作用を示すことを見出した。本発明は、かかる知見に
基づいて完成したものである。
【0008】すなわち、本発明の要旨は以下のとおりで
ある。 (1).エンテロバクター属に属する微生物を含有する
青枯病防除剤。 (2).エンテロバクター属に属する微生物がエンテロ
バクター・クロアカエ1206(FERM P−158
98)、エンテロバクター・クロアカエ T2A(FE
RM P−15899)あるいはエンテロバクター・ア
グロメランスT2B(FERM P−15900)であ
る前記(1)記載の青枯病防除剤。 (3).エンテロバクター属に属する微生物を用いる青
枯病の防除方法。 (4).エンテロバクター属に属する微生物がエンテロ
バクター・クロアカエ1206(FERM P−158
98)、エンテロバクター・クロアカエ T2A(FE
RM P−15899)あるいはエンテロバクター・ア
グロメランスT2B(FERM P−15900)であ
る前記(3)記載の青枯病防除方法。 (5).青枯病菌に対して拮抗作用を有するエンテロバ
クター・クロアカエ 1206(FERM P−158
98)株。 (6).青枯病菌に対して拮抗作用を有するエンテロバ
クター・クロアカエ T2A(FERM P−1589
9)株。 (7).青枯病菌に対して拮抗作用を有するエンテロバ
クター・アグロメランスT2B(FERM P−159
00)株。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の青枯病防除剤及び青枯病防除方法におい
ては、エンテロバクター属菌であれば特に限定されず、
自然界からのスクリーニングで選択された菌株でも、こ
のような菌株から誘導された変異株でも、細胞融合で得
られた菌株でも、遺伝子組み換えなどの遺伝子操作によ
って得られた菌株であってもよい。
【0010】具体的には、例えば、エンテロバクター・
クロアカエ(Enterobacter cloacae)やエンテロバクタ
ー・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)等を
用いることができる。これらは、1種を単独で用いても
よく、また2種以上を混合して用いてもよい。これらエ
ンテロバクター属菌のうちでも本発明の防除剤及び防除
方法においては、防除効果に優れるエンテロバクター・
クロアカエやエンテロバクター・アグロメランスが好ま
しく、中でも、本発明の新規微生物であるエンテロバク
ター・クロアカエ 1206株、エンテロバクター・ク
ロアカエ T2A株またはエンテロバクター・アグロメ
ランス T2B株が特に好ましい。
【0011】エンテロバクター・クロアカエ 1206
株、エンテロバクター・クロアカエT2A株およびエン
テロバクター・アグロメランス T2B株は、土壌で育
成されたトマト成株の根部内より分離された新菌株であ
り、以下の方法により純化して菌学的性質及び生理学的
性質を特定し、後記の文献によりエンテロバクター・ク
ロアカエあるいはエンテロバクター・アグロメランスで
あることを同定した。
【0012】土壌で育成されたトマト成株の根部を掘り
出し、殺菌水で洗浄し、長さ1cmに切断した。その
後、殺菌した乳鉢に入れ、殺菌水を加えてすりつぶし、
懸濁液を作成した。得られた懸濁液をYPA培地の表面
に塗沫し、28℃で培養した。培養後、YPA培地の表
面に形成された細菌コロニーを単離し、純化株を得た。
上記の方法により純化した菌株について、形態学的性質
及び生理学的性質を調べた。結果を第1表〜第3表に表
す。
【0013】
【表1】
【0014】第1表において、コロニーの形態は、1リ
ットルの脱イオン水にイーストエキス5g、ペプトン1
0g、寒天15gを添加し、pHを7に調整して作製し
たYPA培地に各菌株を接種し、30℃で培養して得ら
れたコロニーの形態を観察したものである。
【0015】第2表に記載した生理学的性質は、API
社販売の微生物同定キットを用い、試験条件を30℃、
24時間として求めたものである。
【0016】
【表2】
【0017】第3表に記載した生理学的性質は、API
社販売の微生物同定キットを用い、試験条件を30℃、
7日として求めたものである。
【0018】
【表3】
【0019】第3表において、記号dは、5日遅れの反
応を意味し、記号PWSは、糖ペプトン水を表す。
【0020】前記した、形態学的性質及び生理学的性質
より、バージェス・マニュアル・オブ・システマチック
・バクテリオロジー〔Bergey's Manual of Systematic
Bacteriology Vol.1. N.R.Krieg, and J.G.Holt (1984)
Williams and Wilkins 社〕で検索し、1206株およ
びT2A株は、エンテロバクター・クロアカエに属する
新菌株と、T2B株は、エンテロバクター・アグロメラ
ンス属する新菌株と同定した。
【0021】本発明のエンテロバクター・クロアカエ
1206株は、平成8年10月8日に工業技術院生命工
学工業技術研究所に、受託番号FERM P−1589
8として、本発明のエンテロバクター・クロアカエ T
2A株は、平成8年10月8日に同研究所に受託番号F
ERM P−15899として、そして本発明のエンテ
ロバクター・アグロメランス T2B株は、平成8年1
0月8日に同研究所に受託番号FERM P−1590
0として寄託されている。
【0022】エンテロバクター属菌を本発明の防除剤あ
るいは防除方法に用いるに際しては、菌体をエンテロバ
クター属菌の菌体が増殖可能な培地で培養した培養物を
用いればよく、培養方法としては、通常の微生物の培養
方法と同様の方法が使用可能である。培養方法として
は、具体的には、往復式振盪培養、ジャーファメンター
培養、培養タンク培養等の液体培養や固体培養等を採用
することができる。
【0023】培地としては、エンテロバクター属菌の菌
体が増殖可能な培地であればよく、炭素源としてグルコ
ース、シュークロース、糖蜜等の糖類、クエン酸等の有
機酸類、グリセリン等のアルコール類を、窒素源として
アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝
酸アンモニウム等のアンモニウム塩や硝酸塩及び酵母エ
キス、コーン・スティープ・リーカー、肉エキス、小麦
胚芽、ポリペプトン、大豆粉等の有機窒素源を、無機塩
としてリン酸、カリウム、カルシウム、マンガン、マグ
ネシウム、鉄等の塩類、例えば、塩化カリウム、塩化カ
ルシウム、硫酸マンガン、硫酸第一鉄を配合することが
できる。また、必要に応じて消泡剤等の種々の添加剤を
用いることもできる。具体的な培地としては、例えば、
イーストエキス・ペプトン培地やジャガイモ半合成培地
などが使用できる。
【0024】培養の条件はエンテロバクター属菌が生育
できる条件であれば特に限定されるものではないが、培
養は、固体培養あるいは、通気攪拌や振盪培養等の好気
的条件下で行われる液体培養が望ましく、培養温度は、
10〜38℃が好適であり、12〜35℃で生育するこ
とがより好適である。大量培養する場合には、通常の液
体培養でも、また、フスマ等の植物由来の固体成分、糖
や窒素源を含浸させた多孔質体等を用いた固体培養も可
能である。得られたエンテロバクター属菌の培養物は、
そのまま、あるいは、必要に応じて、培養物を粉砕また
は細断してから、または培養物から遠心分離等によって
菌体を分離してから本発明の防除剤あるいは防除方法に
用いることも可能である。
【0025】本発明の防除剤ならびに防除方法において
は、エンテロバクター属菌を菌体自体や培養物あるいは
エンテロバクター属菌を含む栽培用培地を用いることが
できるが、それらを担体に担持させた担持物の形で用い
ることもできる。また、その他の製剤用補助剤を加え
て、水和剤、懸濁剤、粒剤、粉剤、糊状剤、乳剤、液
剤、フロアブル剤、塗布剤等に調製した製剤の形で使用
することができる。
【0026】これらの製剤には、エンテロバクター属菌
が、製剤1グラム当たりコロニー形成単位として約1×
105 〜1×1011CFU含有することが望ましい。
【0027】上記担体としては、有機質及び無機質のい
ずれのものでも使用でき、有機質及び無機質の両方を含
むものでもよい。固体担体としては、具体的には、アタ
パルジャイト、モンモリロナイト、ゼオライト、赤玉
土、鹿沼土、黒ボク土、赤玉土、焼成赤玉土、バーミキ
ュライト、パーライト、化石貝等の無機物、または、ピ
ートモス、木炭、パルプ、藁、バガス、油かす、魚か
す、骨粉、血粉、カニがら等の有機物あるいはそれらの
混合物が挙げられる。その中では、保水能、保肥能ある
いは使用上の利便性の観点より、アタパルジャイト、モ
ンモリロナイト、ゼオライト、ピートモス、木炭等の多
孔質担体が好ましい。
【0028】また、製剤を調製する際の液体担体として
は、水、植物油、液体動物油、合成水溶性高分子(ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸類等)等が挙げられる。
【0029】更に、必要に応じて補助剤として、デンプ
ンの加水分解物、D−ソルビトール、ラクトース、マル
チトース等の可溶性増量剤、カゼイン、ゼラチン、アラ
ビアゴム、アルギン酸、合成高分子(ポリビニルアルコ
ール、ポリアクリル酸類等)、ベントナイト等の固着剤
や分散剤、その他の成分として、プロピレングリコー
ル、エチレングリコール等の凍結防止剤、キサンタンガ
ム等の天然多糖類、ポリアクリル酸類等の増粘剤を挙げ
ることができる。
【0030】本発明の青枯病防除方法は、剤型等の使用
形態や作物の栽培形態によって適宜選択が可能である
が、例えば、地上液剤散布、地上固形散布、空中液剤散
布、空中固形散布、液面施用、施設内施用、土壌混和施
用、土壌灌注施用、表面処理(種子粉衣、塗布処理
等)、育苗箱施用、単花施用、株元処理等の方法を挙げ
ることができる。これらの防除方法のうちでは、エンテ
ロバクター属菌を含む栽培用土を用いて植物を栽培する
方法、エンテロバクター属菌を含む培養液を含む液体を
植物に灌注する方法、エンテロバクター属菌を含む培養
液を含む液体に根部を浸漬した後に土壌に移植して栽培
する方法が好ましい。
【0031】前記の防除方法において、エンテロバクタ
ー属菌を含む培養液を含む液体を防除剤として用いる場
合には、該液体中のエンテロバクター属菌の菌体濃度
は、コロニー形成単位として105 〜1012cfu/ミ
リリットルとするのが防除効果の点で好ましく、106
〜1010cfu/ミリリットルとするのが更に好まし
い。
【0032】また、前記の防除方法において、エンテロ
バクター属菌を含む培養液を含む液体に根部を浸漬する
方法を採用する場合には、浸漬時間を12時間以下、特
に2時間以下とするのが、植物に与える損害の低減とい
う点で好ましい。本発明の防除方法において、前記エン
テロバクター属菌を含有する防除剤を栽培用土に配合す
る施用方法においては、エンテロバクター属菌の配合量
は、配合による効果が発現する濃度以上であればよい。
本発明の防除方法においては、栽培用土1g当たりエン
テロバクター属菌のコロニー形成単位として104 〜1
10CFUの範囲から選ばれることが好ましく、特に1
5 〜109 CFUの範囲から選ばれることが好まし
い。
【0033】本発明の防除剤、防除方法ならびに新規微
生物は、Psedomonas solanacearum菌によって引き起こ
される植物病害に対して、有効に用いられる。この細菌
による植物病害としては、例えば、ナス科植物の青枯病
やタバコ立枯病がある。本発明の防除剤、防除方法なら
びに新規微生物は、特にナス科植物の青枯病に有効であ
る。作物としては、ジャガイモ、ナス、トマト、トウガ
ラシ、ピーマン、イチゴ、タバコ等に対して有効に作用
し、特にトマト、ナス、ピーマン、タバコに対して有効
に作用する。
【0034】
〔実施例1及び比較例1〕
<エンテロバクター属菌の培養>エンテロバクター属菌
1206株、T2A株およびT2B株を各々、pHを7
に調整した下記第4表に示す構成のジャガイモ半合成液
体培地に接種して28℃で48時間培養した。
【0035】
【表4】
【0036】<青枯病防除効果の評価>トマト(品種
名:桃太郎)の種子を培養土(プロ培土(みかど育種農
場社製))の苗床に播種し発芽させ、本葉が2〜3枚展
開したところでトマト苗を抜き取り根を水洗し培養土を
落とした。このトマト苗について、上記の方法で培養し
たエンテロバクター属菌をそれぞれ殺菌水で108 cf
u/ミリリットルの濃度になるように調整した各懸濁液
に、1菌株の懸濁液当たりトマト苗16本の割合で根部
を1分間浸漬した後、培養土(クレハ園芸培土(呉羽化
学社製))を詰めたプラスチックケースにケース当たり
8本移植し、25℃以上に調節した温室で1週間育苗
し、これらを実施例(実施例1)とした。また、上記と
同様にして根部を水洗したトマト苗の16本を、エンテ
ロバクター属菌を含有する懸濁液に浸漬せずにプラスチ
ックケースに移植し、上記と同様にして1週間育苗し、
これを比較例1とした。
【0037】移植の1週間後、上記の全てのトマト苗に
カッターナイフを差し込んで根に傷を付け、その直後に
青枯病菌を106 cfu/ミリリットル含有する懸濁液
をプラスチックケース当たり80ミリリットルずつ灌注
した。その後、プラスチックケースを25℃以上に調節
した温室に置き、トマト苗を育苗しながら、青枯病の発
病状況を観察した。結果を第5表に示す。
【0038】発病の程度(発病度)は、以下に示す基準
により、5段階で評価した。 発病度0:無病、発病度1:葉の1/4が発病、発病度
2:葉の1/2が発病、発病度3:葉の3/4が発病、
発病度4:枯死 また、得られた各トマト苗の発病度から、上記各細菌の
菌株の処理区および無処理区について、下記の計算式
(式1)によりそれぞれの平均発病度(%)を求めた。
【0039】
【数1】
【0040】式1中、n4 は発病度4の株数を、n3
発病度3の株数を、n2 は発病度2の株数を、n1 は発
病度1の株数を、n0 は発病度0の株数をそれぞれ表
す。
【0041】さらに、下記の計算式(式2)により上記
各細菌の菌株について青枯病の防除価(%)をそれぞれ
求めた。
【0042】
【数2】
【0043】
【表5】
【0044】第5表より、エンテロバクター属菌の浸漬
処理をした実施例は、平均発病度、防除価がともに低
く、青枯病の防除効果に優れることが確認された。青枯
病菌接種後28日後においても平均発病度および防除価
が低いことから、効果の持続性が確認された。
【0045】〔実施例2及び比較例2〕トマト(品種
名:桃太郎)の種子を培養土(プロ培土(みかど育種農
場社製))の苗床に播種して発芽させ、本葉が2〜3枚
展開したところで苗を抜き取り根を水洗し、培養土を落
とした。このトマト苗を培養土(クレハ園芸培土(呉羽
化学社製))を詰めたプラスチックケースにケース当た
り8本移植した。実施例1と同様の方法で培養・調整し
たエンテロバクター属菌含有懸濁液(菌濃度:10 8
fu/ミリリットル)を、プラスチックケース当たり2
50ミリリットル灌注した。1菌株当たり2ケースづつ
灌注し、25℃以上に調節した温室で1週間育苗し、こ
れらを実施例(実施例2)とした。また、上記と同様に
して根部を水洗したトマト苗の16本を、無処理のまま
プラスチックケースに移植し、上記と同様にして1週間
育苗し、これを比較例2とした。
【0046】移植の1週間後、上記の全てのトマト苗に
カッターナイフを差し込んで根に傷を付け、その直後に
青枯病菌を106 cfu/ミリリットル含有する懸濁液
をプラスチックケース当たり80ミリリットルずつ灌注
した。その後、プラスチックケースを25℃以上に調節
した温室に置き、トマト苗を育苗しながら、青枯病の発
病状況を観察した。そして、実施例1と同様の方法で評
価した。結果を第6表に示す。
【0047】
【表6】
【0048】第6表より、エンテロバクター属菌の灌注
処理をした実施例は、平均発病度、防除価がともに低
く、青枯病の防除効果に優れることが確認された。青枯
病菌接種後28日後においても平均発病度および防除価
が低いことから、効果の持続性が確認された。
【0049】
【発明の効果】本発明の青枯病防除剤および防除方法に
よれば、薬害や微生物自身による害毒なしに、青枯病を
長期間、効果的に防除することができる。また、本発明
の新規微生物は、薬害や微生物自身による害毒なしに、
青枯病を長期間、効果的に防除することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンテロバクター属に属する微生物を含
    有する青枯病防除剤。
  2. 【請求項2】 エンテロバクター属に属する微生物がエ
    ンテロバクター・クロアカエ 1206(FERM P
    −15898)、エンテロバクター・クロアカエ T2
    A(FERM P−15899)あるいはエンテロバク
    ター・アグロメランスT2B(FERM P−1590
    0)である請求項1記載の青枯病防除剤。
  3. 【請求項3】 エンテロバクター属に属する微生物を用
    いる青枯病の防除方法。
  4. 【請求項4】 エンテロバクター属に属する微生物がエ
    ンテロバクター・クロアカエ 1206(FERM P
    −15898)、エンテロバクター・クロアカエ T2
    A(FERM P−15899)あるいはエンテロバク
    ター・アグロメランスT2B(FERM P−1590
    0)である請求項3記載の青枯病防除方法。
  5. 【請求項5】 青枯病菌に対して拮抗作用を有するエン
    テロバクター・クロアカエ 1206(FERM P−
    15898)株。
  6. 【請求項6】 青枯病菌に対して拮抗作用を有するエン
    テロバクター・クロアカエ T2A(FERM P−1
    5899)株。
  7. 【請求項7】 青枯病菌に対して拮抗作用を有するエン
    テロバクター・アグロメランスT2B(FERM P−
    15900)株。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006180782A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Hiroshima Univ バイオディーゼル廃液からの水素およびエタノールの製造方法、並びに当該方法を行なうためのキット

Cited By (2)

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JP2006180782A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Hiroshima Univ バイオディーゼル廃液からの水素およびエタノールの製造方法、並びに当該方法を行なうためのキット
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