JP2011016769A - 農業用資材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ストレプトマイセス・シンナモネウス、ストレプトマイセス・フミガチスクレロチカス及びストレプトマイセス・スペイボナエからなる群から選択される少なくとも一種の微生物を含有することを特徴とする農業用資材を使用する。
【選択図】 なし
Description
(1)ストレプトマイセス・シンナモネウスL29株
この微生物は、土壌放線菌のライブラリーから、抗イチゴ炭疽病菌活性を示す放線菌を探索することによって得られた。その概要は、次の通りである。
罹患率(%)=病変した面積(cm2)/葉の面積(cm2)×100
この微生物も、土壌放線菌のライブラリーから、抗イチゴ炭疽病菌活性を示す放線菌を探索することによって得られた。その概要は、(1)ストレプトマイセス・シンナモネウスと同様である。
この微生物は、イチゴ及び根圏土壌から分離した。その方法の概要は、次の通りである。
(菌株保存用傾斜培地)
ポリペプトン 17 g
大豆ペプトン 3 g
塩化ナトリウム 5 g
リン酸二水素カリウム 2.5g
グルコース 11 g
寒天 18 g
蒸留水 バランス
全量 1000 ml
pH 7.3
(i)加温溶解した保存用培地を試験管に入れ、殺菌する。
(ii)培地を斜面上に固化させ、一白金耳量の微生物をストリークする。
(iii)30℃にて7日間培養後、室温保存する。
なお、定期的に、例えば3乃至6ヶ月毎に、植え継ぎをすることが好ましい。
(液体培養用培地)
ポリペプトン 17 g
大豆ペプトン 3 g
塩化ナトリウム 5 g
リン酸二水素カリウム 2.5g
グルコース 11 g
蒸留水 バランス
全量 1000 ml
pH 7.3
例1:
キノコ栽培廃菌床又はキノコ廃材 1kg
バーク堆肥 1kg
米糠 1kg
水道水 300ml
例2:
キノコエキス抽出粕 6 kg
フスマ 0.3 kg
大豆粉 0.05kg
例3:
キノコエキス抽出粕 7 kg
フスマ 0.35kg
トウモロコシ糠 0.02kg
大豆粉 0.04kg
例4:
キノコ栽培廃菌床又はキノコ廃材 3 kg
キノコエキス抽出粕 3 kg
米糠 0.4kg
(液体培養)
(i)培地を三角フラスコに入れ、殺菌し、冷却する。
(ii)保存菌株(例えば5mm×5mmに切断したもの)を接種する。
(iii)30℃、120rpmにて培養を行う。
(i)固体培地をフラスコに入れ、121℃にて20分間、殺菌を行う。
(ii)40℃以下まで冷却された後、保存菌株(例えば5mm×5mmに切断したもの)を接種する。
(iii)30℃にて培養を行う。
(iv)培養4日目に、振とうによって固体培地の塊を崩し、さらに培養を続ける。
104乃至109cfu/ml程度であり、施用量は1〜50l/a(アール)程度である。また、本発明の農業用資材が土壌改良材等の固形製剤である場合には、微生物の菌体濃度は、105乃至108cfu/苗1株(20〜200g)程度であることが好ましい。
ストレプトマイセス・シンナモネウスL29株、ストレプトマイセス・フミガチスクレロチカスB22株及びストレプトマイセス・スペイボナエSS3株の各々について、下記の方法で液体培養を行った。
ポリペプトン 17 g
大豆ペプトン 3 g
塩化ナトリウム 5 g
リン酸二水素カリウム 2.5g
グルコース 11 g
蒸留水 バランス
全量 1000 ml
pH 7.3
(i)液体培地150mlを500ml容の三角フラスコに入れ、殺菌し、冷却した。
(ii)保存菌株(5mm×5mmに切断したもの)を接種した。
(iii)30℃、120rpmにて、5日間培養を行った。
(i)液体培地1リットルを5リットル容の三角フラスコに入れ、殺菌し、冷却した。
(ii)(2)で培養した培養物すべてを加えた。
(iii)30℃、120rpmにて、5日間培養を行った。
上記3種の放線菌について、いずれも、109cfu/mlの培養物が得られた。なお、菌数は、希釈平板培養法により測定した(実施例4(4)を参照のこと)。
ストレプトマイセス・シンナモネウスL29株、ストレプトマイセス・フミガチスクレロチカスのB22株及びストレプトマイセス・スペイボナエSS3株の各々について、下記の方法で固体培養を行った。
(1−1)発明例
マイタケ菌床栽培廃菌床、マイタケ廃材、マイタケ熱水抽出粕又は姫マツタケ熱水抽出粕 1kg
バーク堆肥 1kg
米糠 1kg
水道水 300ml
オガ粉(マイタケ栽培用に用いている広葉樹)又はコーンコブ 1kg
バーク堆肥 1kg
米糠 1kg
水道水 300ml
(i)固体培地100gを500ml容のフラスコに入れ、121℃にて20分間、殺菌を行った。
(ii)40℃以下まで冷却した後、保存菌株(5mm×5mmに切断したもの)を接種した。
(iii)30℃にて培養を行った。
(iv)培養4日目に、振とうによって固体培地の塊を崩した。
(v)固体培地の塊を崩した後、5日間又は7日間培養し、希釈平板培養法により放線菌の菌数を測定した(実施例4(4)を参照のこと)。結果を表1に示す。
(i)固体培地1.5kgを、ポリプロピレン製フィルター付きの培養袋(サンバック;三富産業株式会社製)に入れ、121℃にて20分間、殺菌を行った。
(ii)40℃以下まで冷却した後、(2)で培養した固体培養物少量を接種した。
(iii)30℃にて培養を行った。
培養14日で、袋内に菌体が蔓延し、生菌数が108〜10cfu/gの培養物が得られた。
実施例1で調製した液体培養物(本発明の農業用資材)を用い、イチゴ炭疽病の発生抑制効果を検証した。イチゴ炭疽病汚染土は、イチゴ炭疽病が発生している農地で採取した。実験は、静岡県静岡市で行った。
液体培養物40mlを0.5リットルのバーミキュライトに吸収させた。これを5リットルのバーク堆肥と混合した。このようにして得られた堆肥を、炭疽病汚染土と混合した(堆肥:炭疽病汚染土=5:18(容量比率))。堆肥と炭疽病汚染土とを混合してなる土を、親株栽培用に使用した。栽培途中で、実施例1で調製した液体培養物を使用することはなかった。なお、無処理区では、液体培養物とバーミキュライトは使用しなかった。
[無処理区(対照)] バーク堆肥と炭疽病汚染土との混合物(堆肥:炭疽病汚染土=5:18(容量比率))を使用した。
[バーミキュライト−シンナモネウス処理区] (1)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・シンナモネウスL29株)と炭疽病汚染土との混合物を使用した。
[バーミキュライト−フミガチスクレロチカス処理区] (1)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・フミガチスクレロチカスB22株)と炭疽病汚染土との混合物を使用した。
[バーミキュライト−スペイボナエ処理区] (1)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・スペイボナエSS3株)と炭疽病汚染土との混合物を使用した。
イチゴの品種は、紅ほっぺであった。各試験区の親株は9株であり、一つのプランタ(25リットル容)には3株を植えた。植え付けから試験終了までの日程は、次の通りであった。実施場所は、静岡県静岡市であった。
4月 2日: ダニ防除
5月26日: ダニ防除
6月 6日: ランナーは6月6日まで摘除、以後、放任(ポット受けせず)
10月31日: 試験終了
9月8日と10月6日に、親株の状態を調べ、親株における炭疽病発病率を求めた。結果を表2に示す。
実施例1で調製した液体培養物(本発明の農業用資材)を用い、イチゴを栽培し、その栽培土壌中の微生物数の推移を検証した。
(1−1)液体培養物40mlを0.5リットルのバーミキュライトに吸収させた。これを5リットルのバーク堆肥と混合した。このようにして得られた堆肥を、炭疽病汚染土と混合した(堆肥:炭疽病汚染土=5:18(容量比率))。堆肥と炭疽病汚染土とを混合してなる土を、親株栽培用に使用した。栽培途中で、実施例1で調製した液体培養物を使用することはなかった。
(1−2)液体培養物40mlを0.5リットルのイソライトに吸収させた。これを5リットルのバーク堆肥と混合した。このようにして得られた堆肥を、炭疽病汚染土と混合した(堆肥:炭疽病汚染土=5:18(容量比率))。堆肥と炭疽病汚染土とを混合してなる土を、親株栽培用に使用した。栽培途中で、実施例1で調製した液体培養物を使用することはなかった。
(1−3)炭疽病汚染土を5リットルのバーク堆肥と混合した(堆肥:炭疽病汚染土=5:18(容量比率))。堆肥と炭疽病汚染土とを混合してなる土を、親株栽培用に使用した。栽培途中で随時、生物農薬のバイオトラスト水和剤を、処方に従い葉面散布した(参照例)。
(1−4)液体培養物40mlを0.5リットルのバーミキュライトに吸収させた。これを5リットルのバーク堆肥と混合した。このようにして得られた堆肥を、健全土と混合した(堆肥:健全土=5:18(容量比率))。堆肥と健全土とを混合してなる土を、親株栽培用に使用した。栽培途中で、実施例1で調製した液体培養物を使用することはなかった。
(汚染土)
[無処理区(対照)] バーク堆肥と炭疽病汚染土との混合物(堆肥:炭疽病汚染土=5:18(容量比率))を使用した。
[バーミキュライト−シンナモネウス処理区] (1−1)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・シンナモネウスL29株)と炭疽病汚染土との混合物を使用した。
[バーミキュライト−フミガチスクレロチカス処理区] (1−1)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・フミガチスクレロチカスB22株)と炭疽病汚染土との混合物を使用した。
[バーミキュライト−スペイボナエ処理区] (1−1)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・スペイボナエSS3株)と炭疽病汚染土との混合物を使用した。
[イソライト−シンナモネウス処理区] (1−2)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・シンナモネウスL29株)と炭疽病汚染土との混合物を使用した。
[イソライト−フミガチスクレロチカス処理区] (1−2)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・フミガチスクレロチカスB22株)と炭疽病汚染土との混合物を使用した。
[イソライト−スペイボナエ処理区] (1−2)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・スペイボナエSS3株)と炭疽病汚染土との混合物を使用した。
[イソライト−バイオトラスト処理区] (1−3)に記載したように、堆肥と炭疽病汚染土との混合物を使用し、バイオトラスト水和剤を葉面散布した(参照例)。
(健全土)
[バーミキュライト−シンナモネウス処理区] (1−4)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・シンナモネウスL29株)と健全土との混合物を使用した。
[バーミキュライト−フミガチスクレロチカス処理区] (1−4)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・フミガチスクレロチカスB22株)と健全土との混合物を使用した。
[バーミキュライト−スペイボナエ処理区] (1−4)で調製した堆肥(但し、微生物はストレプトマイセス・スペイボナエSS3株)と健全土との混合物を使用した。
イチゴの品種は、紅ほっぺであった。汚染土の試験区中、無処理区(対照)とバーミキュライトを使用した処理区(試験区)とバイオトラストを使用した処理区(参照)の親株数は各々9株であり、その他の各試験区の親株数は3株であった。一つのプランタ(25リットル容)には3株を植えた。植え付けから試験終了までの日程は、実施例3と同様であった。
6月17日、7月29日、8月27日及び10月6日に親株の栽培土壌を採取し、放線菌、糸状菌及び細菌の数を数えた。放線菌、糸状菌及び細菌の数の数え方は、次の通りであった。
(i)生土10gに無菌水90mlを加え、往復振とう機で15分間振とうし、振とう後のものを一次希釈液(10倍希釈試料懸濁液)とした。
(ii)これをよく攪拌後、殺菌したチップ付きマイクロピペットで1ml取り、9mlの無菌水に入れ、これを二次希釈液(100倍希釈試料懸濁液)とした。
(iii)以下同様にして、六乃至八次希釈(1,000,000乃至100,000,000倍希釈試料懸濁液)まで調整した。
(iv)滅菌シャーレ3枚に希釈試料懸濁液(コロニー数が20乃至200個程度になる希釈試料懸濁液を用いた)を1mlずつ入れ、ここに50℃前後に保温した培地を約20mlずつ分注した。
(v)培地が固まった後、30℃にて3日間(放線菌、細菌の場合)又は2日間(糸状菌の場合)培養した。
(vi)培地上に出現したコロニー数を計測し、希釈倍率から、土壌1g当たりの微生物数(コロニー数)を算出した。
(4−2−1)放線菌数の計測に用いた培地
腐植酸(フミン酸ナトリウム) 1 g(0.2N苛性ソーダ10mlに溶解)
硫酸マグネシウム(7水塩) 0.05g
リン酸二水素ナトリウム 0.5 g
塩化カリウム 1.7 g
硫酸第一鉄(7水塩) 0.01g
炭酸カルシウム 0.02g
寒天 18 g
蒸留水 バランス
全量 1000 ml
pH 7.2
グルコース 10 g
リン酸一カリウム 1 g
硫酸マグネシウム(7水塩) 0.5 g
ペプトン 5 g
ローズベンガル 0.0033g
(水300mlに1gのローズベンガルを溶かし、培地1Lに対して10ml添加)
寒天 20 g
蒸留水 バランス
全量 1000 ml
pH 6.8
グルコース 1 g
リン酸一カリウム 0.2 g
硫酸マグネシウム(7水塩) 0.2 g
リン酸二カリウム 0.3 g
酵母エキス 1 g
寒天 15 g
蒸留水 バランス
全量 1000 ml
pH 6.8
9月5日に、個々のイチゴ親株及びランナーの状況を目視観察し、健全なものと枯死したものとを数え、枯死率を算出した。結果を表8に示す。
汚染土壌においてイチゴを栽培し、実施例1で調製した液体培養物(本発明の農業用資材)を用いた場合と用いない場合とで、イチゴの品質や土壌物性に差異が見られるか否かを検討した。
(1−1)放線菌処理区
各放線菌の液体培養物40mlを、0.5リットルのバーミキュライトに吸収させた。これを5リットルのバーク堆肥と混合した。このようにして得られた堆肥を、炭疽病汚染土と混合した(堆肥:炭疽病汚染土=5:18(容量比率))。堆肥と汚染土とを混合してなる土を、親株栽培用に使用した。栽培途中で、実施例1で調製した液体培養物を使用することはなかった。
(1−2)無処理区(対照)
親株栽培用に、バーク堆肥と炭疽病汚染土との混合物(堆肥:炭疽病汚染土=5:18(容量比率))を使用したこと以外は、放線菌処理区と同様であった。
イチゴの品種は、紅ほっぺであった。各試験区の親株は9株であり、一つのプランタ(25リットル容)には3株を植えた。植え付けから試験終了までの日程は、次の通りであった。実施場所は、静岡県静岡市であった。
4月 2日: ダニ防除
5月26日: ダニ防除
6月 6日: ランナーは6月6日まで摘除、以後、放任(ポット受けせず)
11月5日: 屋外での試験終了。ランナーを摘除し、以降は屋内(温室)にて栽培試験を継続。
2009年 1月23日: 第1回収量・品質試験
2月25日: 第2回収量・品質試験
3月27日: 第3回収量・品質試験
3月30日: 苗の生長試験及び土壌物性試験、試験終了
(3−1)糖度及び酸度
放線菌処理区及び無処理区のそれぞれから、約20gの果実5個をとり、果汁を絞った。その果汁を使用し、ATAGO製デジタル屈折糖度計でブリックス糖度を測定した。また、クエン酸に換算した酸度を、果汁を0.1規定苛性ソーダで中和することによって求めた。2009年1月23日、2月25日及び3月27日に果実を収穫して試験を行った。3回の試験の平均値を、表9に示す。
イチゴ果実の果皮色と果肉色を、5点法(最もよい場合が5点、最も悪い場合が1点)で評価した。2009年1月23日、2月25日及び3月27日に果実を収穫して試験を行った。3回の試験の平均値を、表10に示す。
放線菌処理区及び無処理区のそれぞれにおいて、残存する親苗株について、草丈、葉長径、葉短径、地上部乾燥重量及び根乾燥重量を測定した。2009年3月30日に試験を行った。無処理区の平均値を100とした場合の放線菌添加区の平均値のデータ(100分率)を、表11に示す。
放線菌処理区及び無処理区のそれぞれにおいて、測定日の前日(2009年3月29日)に、灌水を十分に行った後に土壌を採取した。それらの土壌について、大起理化工業株式会社製の実容積測定器にて、固相、液相及び気相の割合(%)を求めると共に、容気度(気相率÷全孔隙率×100)を求めた。結果を表12に示す。
NITE P−766
NITE P−767
Claims (3)
- ストレプトマイセス・シンナモネウス、ストレプトマイセス・フミガチスクレロチカス及びストレプトマイセス・スペイボナエからなる群から選択される少なくとも一種の微生物を含有することを特徴とする農業用資材。
- ストレプトマイセス・シンナモネウスがL29株(NITE P−765)であり、ストレプトマイセス・フミガチスクレロチカスがB22株(NITE P−766)であり、ストレプトマイセス・スペイボナエがSS3株(NITE P−767)である、請求項1に記載の農業用資材。
- 少なくとも一種の微生物が、キノコ栽培廃菌床、キノコ廃材及びキノコエキス抽出粕からなる群から選択される少なくとも一種の存在下で培養されたものであり、培養に使用したキノコ栽培廃菌床、キノコ廃材及びキノコエキス抽出粕からなる群から選択される少なくとも一種を含有する、請求項1又は2に記載の農業用資材。
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