JPH0641532A - 新規微生物を利用した土壌改良資材とその製造法 - Google Patents

新規微生物を利用した土壌改良資材とその製造法

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JPH0641532A
JPH0641532A JP4025804A JP2580492A JPH0641532A JP H0641532 A JPH0641532 A JP H0641532A JP 4025804 A JP4025804 A JP 4025804A JP 2580492 A JP2580492 A JP 2580492A JP H0641532 A JPH0641532 A JP H0641532A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な有用微生物の酵素分解作用を利用し
て、一次、二次発酵に関与させ、堆肥の発酵促進、土壌
微生物の環境改善に資する土壌改良資材を提供する。 【構成】 骨粉等のキャリアに吸着させた新規微生物バ
シラスと、炭等のキャリアに吸着させた新規微生物スト
レプトマイセス、卵殻等のキャリアに吸着させた新規微
生物アスペルギルス、ピ−トモス等のキャリアに吸着さ
せた新規微生物トリコデルマの一種単独で又は二種以上
を混合して成る資料を、米糠とキチンと魚粉とキノコ培
養粕の配合から成るエリシタ−に混入して、前記バシラ
スに一次発酵に関与させると共に土壌病原菌に活性を示
す抗生物質を産生させ、前記ストレプトマイセスに二次
発酵に関与させると共に産生したキチナ−ゼにより土壌
病原菌の細胞膜を溶解させ、前記アスペルギルスとトリ
コデルマとに二次発酵に関与させて得ることを特徴とす
る新規微生物を利用した土壌改良資材とその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、新規な有用微生物の
酵素分解作用を利用した土壌改良資材及びその製造法に
関する。
【0002】
【従来技術】特定の成分をエリシタ−として有用物質を
産出する微生物の存在については、これまでに確認され
ているところであり、またある種の分解微生物を関与さ
せた土壌改良資材も皆無ではない。しかし、本願発明の
ような、新規な有用微生物の複数を有機的に結びつけて
一次、二次発酵に関与させ、堆肥の発酵促進、土壌微生
物の環境改善に資する総合的な土壌改良資材は従来開発
されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、連続障害発
生圃場などの改善を命題として、土壌改良資材のメ−カ
−である出願人のスタッフと生物工学を専門とする発明
者らにより共同開発されたもので、土壌に対し生物的に
有用な新規微生物の複数を分離選抜し、これらを安定吸
着するに適切なキャリアと、これらが生理活性物質を産
出する有効なエリシタ−を採択して、それらの全体ある
いは一部を有機的に混合させて、一次、二次発酵に関与
させ、堆肥の発酵促進、土壌微生物の環境改善に資する
総合的な土壌改良資材を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、骨粉等のキャリアに吸着させた新規微生
物バシラスと、炭等のキャリアに吸着させた新規微生物
ストレプトマイセス、卵殻等のキャリアに吸着させた新
規微生物アスペルギルス、ピ−トモス等のキャリアに吸
着させた新規微生物トリコデルマの一種単独で又は二種
以上を混合して成る資料を、米糠とキチンと魚粉とキノ
コ培養粕の配合から成るエリシタ−に混入して、前記バ
シラスに一次発酵に関与させるとともに土壌病原菌に活
性を示す抗生物質を産生させ、前記ストレプトマイセス
に二次発酵に関与させるとともに産生したキチナ−ゼに
より土壌病原菌の細胞膜を溶解させ、前記アスペルギル
スに二次発酵に関与させ、前記トリコデルマに二次発酵
に関与させ、必要に応じて炭、ロ−ム土等の安定剤を添
加して得ることを特徴とする新規微生物を利用した土壌
改良資材の製造法であり、またこれにより得た土壌改良
資材である。
【0005】また、骨粉等のキャリアに吸着させた新規
微生物バシラスを米糠をエリシタ−として増殖させて一
次発酵に関与させるとともに土壌病原菌に活性を示す抗
生物質を産生させ、炭等のキャリアに吸着させた新規微
生物ストレプトマイセスをキチンをエリシタ−として増
殖させて二次発酵に関与させるとともに産生したキチナ
−ゼにより土壌病原菌の細胞膜を溶解させ、卵殻等のキ
ャリアに吸着させた新規微生物アスペルギルスは魚粉を
エリシタ−として増殖させて二次発酵に関与させ、ピ−
トモス等のキャリアに吸着させた新規微生物トリコデル
マをキノコ培養粕をエリシタ−として二次発酵に関与さ
せ、前記一次発酵に関与するバシラス資料と、二次発酵
に関与するストレプトマイセス、アスペルギルス、トリ
コデルマの各資料の一種又は二種以上とを混合し、必要
に応じて炭、ロ−ム土等の安定剤を添加して得ることを
特徴とする新規微生物を利用した土壌改良資材の製造法
であり、またこれにより得た土壌改良資材である。
【0006】上記中キャリアについて、「骨粉等」、
「炭等」、「卵殻等」、「ピ−トモス等」としたのは、
それらに限定されないことによるもので、それ以外の理
想的キャリアを微生物ごとに示すと表1のとおりであ
る。
【0007】
【表1】
【0008】また上記中、新規微生物バシラスは、B−
2756(微工研菌寄第12581号)株として寄託さ
れたものであり、新規微生物ストレプトマイセスは、S
−2836(微工研菌寄第12582号)株として寄託
されたものであり、新規微生物アスペルギルスは、A−
8937(微工研菌寄第12580号)株として寄託さ
れたものであり、新規微生物トリコデルマは、T−24
11(微工研菌寄第12583号)株として寄託された
ものである。これらの微生物学的性質及び酵素産生能に
ついては、表2乃至表6により明らかにする。
【0009】
【表2】
【0010】
【表3】
【0011】
【表4】
【0012】
【表5】
【0013】
【表6】
【0014】
【実施例】 資料 1.キャリア資料 (イ)バシラス(B−2756)を骨粉に吸着させた資料 5% (ロ)ストレプトマイセス(S−2836)を炭に吸着させた資料 5% (ハ)アスペルギルス(A−8937)を卵殻に吸着させた資料 20% (ニ)トリコデルマ(T−2411)をピ−トモスに吸着させた資料 5% 2.配合エリシタ− (イ)米糠 10% (ロ)カニガラ 5% (ハ)魚粉 5% (ニ)キノコ培養粕 25% 3.安定剤 (イ)炭 10% (ロ)ロ−ム土 10% 上記1の(イ)乃至(ニ)のキャリア資料を、2の配合
エリシタ−に混入し、さらに3の安定剤を添加して土壌
改良資材100%を得る。
【0015】
【作用並びに効果】上記混合による作用について詳説す
る。まず新規微生物バシラスは原核類(細菌)に属し、
これまでは枯草菌と呼ばれていた。抗菌物質を産出する
ため、多くの病原菌に抗菌活性がある。またセルラ−ゼ
を産出するためセルロ−ス質を含む材料を分解すること
ができる。本発明は、このバシラスを骨粉等に休眠状態
で吸着させて安定させ、さらに米糠等をエサにして増殖
させることにより第1次発酵に関与させ、また土壌微生
物に活性を示す抗生物質を産出させることに成功した。
今、病原菌の種類に対応する抗菌活性について示すと表
7のとおりである。
【0016】
【表7】
【0017】次に新規微生物ストレプトマイセスは、原
核類(細菌)に属し、これまでは放線菌と呼ばれてい
た。キチナ−ゼ及びセルラ−ゼを産出するため、キチン
質及びセルロ−ス質を含む材料を分解することができ
る。またキチナ−ゼは多くの病原菌の細胞膜にも働くた
め、フザリウム菌、リゾクトニア菌などの土壌病原菌を
溶解することができる。本発明は、このストレプトマイ
セスを炭等に休眠状態で吸着させて安定させ、さらにキ
チン(カニガラ等)をエサにして増殖させることにより
第2次発酵に関与させることに成功した。なおキチナ−
ゼは前記のように土壌微生物の細胞膜を溶解する。高温
選抜された菌であるため、堆肥の発酵温度で良く生育す
る。
【0018】次に新規微生物アスペルギルスは、糸状菌
に属し、リパ−ゼを産出するため、油を含む材料を分解
することができる。また抗菌物質を産出するため、多く
の病原菌に抗菌活性がある。本発明は、このアスペルギ
ルスを卵殻等に休眠状態で吸着させて安定させ、さらに
魚粉をエサにして増殖させることにより第2次発酵に関
与させることに成功した。
【0019】最後に新規微生物トリコデルマは、糸状菌
に属し、セルラ−ゼを産出するため、セルロ−ス質をを
含む材料を分解することができる。また担子菌類に寄生
性があるため、菌核類、リゾクトニア菌などを分解する
ことができる。さらに抗菌物質を産出するため、多くの
病原菌に抗菌活性がある。本発明は、このトリコデルマ
をピ−トモス等に休眠状態で吸着させて安定させ、さら
にキノコ培養粕(セルロ−ス)をエサにして増殖させる
ことにより第2次発酵に関与させることに成功した。
【0020】なお安定剤は、必ずしも必要でなく、また
炭、ロ−ム土に限定されるものではない。
【0021】以上の構成から、本発明による土壌改良資
材は、これを連作障害発生圃場に例えば200〜500
Kg/10aの割合で施用することにより、土壌微生物
の改善がなされ、作物の良好な生育を促進して収穫率を
著しく高めることができる。またこれを堆肥の製造に例
えば5%の割合で供与することにより、発酵の促進がな
され、肥料効果の改善が期待できる。そしてこれらの改
善効果は、上記各新規微生物が資材中に確実に生存して
いることから安定的、継続的であり、また各新規微生物
相互の有機的、相乗的酵素分解作用、抗菌作用により効
率的、総合的にもたらされるものである。
【0022】本発明による土壌改良資材と、これまで市
販されている代表的な土壌改良資材との微生物評価を比
較すると、表8のとおりである。
【0023】
【表8】
【0024】上記表から、本発明の土壌改良資材は、V
S−34と同等の総微生物数及び耐熱微生物数であるこ
とから、発酵促進効果もこれと同等と推察される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/14 C12R 1:66) (C12N 1/14 C12R 1:885) (C12N 1/20 C12R 1:07) (C12N 1/20 C12R 1:465) (72)発明者 大垣 善広 栃木県下都賀郡壬生町上田1075−1番地

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 骨粉等のキャリアに吸着させた新規微生
    物バシラスと、炭等のキャリアに吸着させた新規微生物
    ストレプトマイセス、卵殻等のキャリアに吸着させた新
    規微生物アスペルギルス、ピ−トモス等のキャリアに吸
    着させた新規微生物トリコデルマの一種単独で又は二種
    以上を混合して成る資料を、米糠とキチンと魚粉とキノ
    コ培養粕の配合から成るエリシタ−に混入して、前記バ
    シラスに一次発酵に関与させるとともに土壌病原菌に活
    性を示す抗生物質を産生させ、前記ストレプトマイセス
    に二次発酵に関与させるとともに産生したキチナ−ゼに
    より土壌病原菌の細胞膜を溶解させ、前記アスペルギル
    スに二次発酵に関与させ、前記トリコデルマに二次発酵
    に関与させ、必要に応じて炭、ロ−ム土等の安定剤を添
    加して得ることを特徴とする新規微生物を利用した土壌
    改良資材の製造法。
  2. 【請求項2】 請求項1の製造法によって得た土壌改良
    資材。
  3. 【請求項3】 骨粉等のキャリアに吸着させた新規微生
    物バシラスを米糠をエリシタ−として増殖させて一次発
    酵に関与させるとともに土壌病原菌に活性を示す抗生物
    質を産生させ、炭等のキャリアに吸着させた新規微生物
    ストレプトマイセスをキチンをエリシタ−として増殖さ
    せて二次発酵に関与させるとともに産生したキチナ−ゼ
    により土壌病原菌の細胞膜を溶解させ、卵殻等のキャリ
    アに吸着させた新規微生物アスペルギルスは魚粉をエリ
    シタ−として増殖させて二次発酵に関与させ、ピ−トモ
    ス等のキャリアに吸着させた新規微生物トリコデルマを
    キノコ培養粕をエリシタ−として二次発酵に関与させ、
    前記一次発酵に関与するバシラス資料と、二次発酵に関
    与するストレプトマイセス、アスペルギルス、トリコデ
    ルマの各資料の一種又は二種以上とを混合し、必要に応
    じて炭、ロ−ム土等の安定剤を添加して得ることを特徴
    とする新規微生物を利用した土壌改良資材の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項3の製造法によって得た土壌改良
    資材。
  5. 【請求項5】 新規微生物バシラスが、B−2756
    (微工研菌寄第12581号)株である請求項1又は3
    の土壌改良資材の製造法。
  6. 【請求項6】 新規微生物バシラスが、B−2756
    (微工研菌寄第12581号)株である請求項2又は4
    の土壌改良資材。
  7. 【請求項7】 新規微生物ストレプトマイセスが、S−
    2836(微工研菌寄第12582号)株である請求項
    1又は3の土壌改良資材の製造法。
  8. 【請求項8】 新規微生物ストレプトマイセスが、S−
    2836(微工研菌寄第12582号)株である請求項
    2又は4の土壌改良資材。
  9. 【請求項9】 新規微生物アスペルギルスが、A−89
    37(微工研菌寄第12580号)株である請求項1又
    は3の土壌改良資材の製造法。
  10. 【請求項10】 新規微生物アスペルギルスが、A−8
    937(微工研菌寄第12580号)株である請求項2
    又は4の土壌改良資材。
  11. 【請求項11】 新規微生物トリコデルマが、T−24
    11(微工研菌寄第12583号)株である請求項1又
    は3の土壌改良資材の製造法。
  12. 【請求項12】 新規微生物トリコデルマが、T−24
    11(微工研菌寄第12583号)株である請求項2又
    は4の土壌改良資材。
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