JPH10134660A - 防汚性と水滴付着防止性を兼ね備えた碍子 - Google Patents

防汚性と水滴付着防止性を兼ね備えた碍子

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JPH10134660A
JPH10134660A JP30361096A JP30361096A JPH10134660A JP H10134660 A JPH10134660 A JP H10134660A JP 30361096 A JP30361096 A JP 30361096A JP 30361096 A JP30361096 A JP 30361096A JP H10134660 A JPH10134660 A JP H10134660A
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JP
Japan
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water
insulator
silicone
property
hydrophilic
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JP30361096A
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English (en)
Inventor
Mitsuyoshi Machida
町田  光義
Makoto Hayakawa
信 早川
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚れにくく、かつ水滴が付着しにくい表面を
有し、かつ長期にわたり維持できる碍子を提供するこ
と。 【解決手段】 基材表面に、光触媒性酸化物粒子とシリ
コ−ンと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形成さ
れている、或いは光触媒性酸化物粒子と無定型シリカと
撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形成されている
碍子であって、なおかつその表面の水との接触角が90
゜以上であるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁碍子に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般的な碍子は、アルミナ含有磁器やク
リストバライト磁器からなる。碍子は電気絶縁のための
部材であるが、その絶縁性能においては、碍子そのもの
の絶縁特性と沿面絶縁性とが問題となる。ここで沿面絶
縁性とは、碍子の表面を伝って電気が流れることを防止
する特性である。碍子の沿面絶縁性は、湿潤程度や表面
汚損に大きく影響される。例えば、250mm懸垂碍子
1個の交流フラッシュオーバー電圧は乾燥時80kVで
あるが、注水時には50kV程度、0.1mg/cm2
の塩分が付着し、且つ十分湿潤した時には10kV程度
にまで低下する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、碍子の沿
面絶縁性は、水滴や汚れの付着により著しく低下する。
碍子の沿面絶縁性が低下すると、碍子の本来的機能であ
る電気絶縁性が十分に発揮されない。また、碍子に汚損
物が多く付着すると、局部アークが発生したり、極端な
場合にはトラッキングが生じて碍子のかさ欠けなどの損
傷が生じることもある。そこで、本発明では、汚れにく
く、かつ水滴が付着しにくい表面を有し、かつ長期に維
持することの可能な碍子を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、基材表面に光触媒性酸化物粒子とシリコー
ンと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形成されて
おり、かつ前記層表面は水との接触角が90゜以上であ
ることを特徴とする防汚性と水滴付着防止性を兼ね備え
た碍子を提供する。光触媒性酸化物粒子とシリコーンと
撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形成されている
構成にすることにより、光触媒を光励起したときに、光
触媒作用によりシリコーン分子中のケイ素原子に結合し
た有機基が少なくとも部分的に水酸基に置換されて親水
性を呈するようになり、シリコーンが外気に露出した親
水性を呈する部分と、撥水性フッ素樹脂が外気に露出し
た撥水性を呈する部分の双方が表面に微視的に分散され
た構造となる。さらに、光触媒が存在することにより、
光触媒の光励起に応じてシリコーン分子中のケイ素原子
に結合した有機基が少なくとも部分的に水酸基に置換さ
れたシリコーンは恒久的に親水性を維持するので、上記
親水性を呈する部分と撥水性を呈する部分の双方が表面
に微視的に分散された構造は維持される。このような構
造では、親水性表面と撥水性表面が隣接するため、親水
性表面になじみやすい親水性の付着物は隣接する撥水性
部分になじまない。逆に撥水性表面になじみやすい疎水
性の付着物は隣接する親水性部分になじまない。そのた
め、親水性付着物も、疎水性付着物も部材表面に固着さ
れることはなく、表面は清浄な状態に維持される。さら
に、水との接触角を90゜以上にすることにより、水滴
が付着しにくくなる。従って、汚れにくく、かつ水滴が
付着しにくい表面が形成可能となる。それにより、碍子
の本来的機能である電気絶縁性が長期的に十分に発揮さ
れるようになる。また、碍子に汚損物が多く付着して、
局部アークが発生したりトラッキングが生じて碍子のか
さ欠けなどの損傷が生じることもなくすることが可能と
なる。
【0005】基材表面に、光触媒性酸化物粒子と無定型
シリカと撥水性フッ素樹脂とを含有する実質的に透明な
表面層が形成されており、かつ前記層表面は水との接触
角が90゜以上であることを特徴とする防汚性と水滴付
着防止性を兼ね備えた碍子を提供する。光触媒性酸化物
粒子と無定型シリカと撥水性フッ素樹脂とを含有する表
面層が形成されている構成にすることにより、表面層中
の無定型シリカが外気に露出した親水性を呈する部分
と、撥水性フッ素樹脂が外気に露出した撥水性を呈する
部分の双方が表面に微視的に分散された構造となる。さ
らに、光触媒が存在することにより、光触媒の光励起に
応じて無定型シリカは恒久的に親水性を維持するので、
上記親水性を呈する部分と撥水性を呈する部分の双方が
表面に微視的に分散された構造は維持される。このよう
な構造では、親水性表面と撥水性表面が隣接するため、
親水性表面になじみやすい親水性の付着物は隣接する撥
水性部分になじまない。逆に撥水性表面になじみやすい
疎水性の付着物は隣接する親水性部分になじまない。そ
のため、親水性付着物も、疎水性付着物も部材表面に固
着されることはなく、表面は清浄な状態に維持される。
さらに、水との接触角を90゜以上にすることにより、
水滴が付着しにくくなる。従って、汚れにくく、かつ水
滴が付着しにくい表面が形成可能となる。それにより、
碍子の本来的機能である電気絶縁性が長期的に十分に発
揮されるようになり、また、碍子に汚損物が多く付着し
て、局部アークが発生したり、トラッキングが生じて碍
子のかさ欠けなどの損傷が生じることもなくすることが
可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明における碍子の一態様にお
いては、図1に示すように、碍子の表面には、光触媒粒
子と、シリコーンと、撥水性フッ素樹脂を含む表面層が
形成されており、かつその表面における水との接触角は
90゜以上にする。図1に光触媒を光励起することの可
能な光が照射されると、外気に露出したシリコーンの少
なくとも一部が、光触媒作用によりシリコーン分子中の
ケイ素原子に結合した有機基が少なくとも部分的に水酸
基に置換されて親水性を呈するようになり、シリコーン
が外気に露出した親水性を呈する部分と、撥水性フッ素
樹脂が外気に露出した撥水性を呈する部分の双方が表面
に微視的に分散された構造となる。さらに、光触媒が存
在することにより、光触媒の光励起に応じてシリコーン
分子中のケイ素原子に結合した有機基が少なくとも部分
的に水酸基に置換されたシリコーンは恒久的に親水性を
維持するので、上記親水性を呈する部分と撥水性を呈す
る部分の双方が表面に微視的に分散された構造は維持さ
れる。従って、このような構造になることにより、親水
性付着物も、疎水性付着物も部材表面に固着されること
はなく、表面は清浄な状態に維持される。さらに、水と
の接触角を90゜以上にすることにより、水滴が付着し
にくくなる。従って、汚れにくく、かつ水滴が付着しに
くい表面が形成可能となる。それにより、碍子の本来的
機能である電気絶縁性が長期的に十分に発揮されるよう
になり、また、碍子に汚損物が多く付着して、局部アー
クが発生したり、トラッキングが生じて碍子のかさ欠け
などの損傷が生じることもなくすることが可能となる。
【0007】本発明の他の態様においては、図2に示す
ように、基材表面には、光触媒粒子と、無定型シリカ
と、撥水性フッ素樹脂を含む表面層が形成されており、
かつその表面における水との接触角は90゜以上であ
る。光触媒粒子と、無定型シリカと、撥水性フッ素樹脂
を含む表面層が形成されている構成にすることにより、
表面層中の無定型シリカが外気に露出した親水性を呈す
る部分と、撥水性フッ素樹脂が外気に露出した撥水性を
呈する部分の双方が表面に微視的に分散された構造とな
る。さらに、光触媒が存在することにより、光触媒の光
励起に応じて無定型シリカは恒久的に親水性を維持する
ので、上記親水性を呈する部分と撥水性を呈する部分の
双方が表面に微視的に分散された構造は維持される。従
って、このような構造になることにより、親水性付着物
も、疎水性付着物も部材表面に固着されることはなく、
表面は清浄な状態に維持される。さらに水との接触角を
90゜以上にすることにより、水滴が付着しにくくな
る。従って、汚れにくく、かつ水滴が付着しにくい表面
が形成可能となる。それにより、碍子の本来的機能であ
る電気絶縁性が長期的に十分に発揮されるようになり、
また、碍子に汚損物が多く付着して、局部アークが発生
したり、トラッキングが生じて碍子のかさ欠けなどの損
傷が生じることもなくすることが可能となる。
【0008】光触媒とは、その結晶の伝導帯と価電子帯
との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギー
(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したとき
に、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導
電子と正孔を生成しうる物質をいい、光触媒性酸化物に
は、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チ
タン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化第二鉄、三酸化二ビスマ
ス、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等の
酸化物が好適に利用できる。
【0009】碍子基材には、アルミナ含有磁器、クリス
トバライト磁器等の陶磁器やセラミックなどの絶縁体が
好適に利用できる。
【0010】光触媒の光励起に用いる光源は、太陽光、
街灯、トンネル内照明、常夜灯等の走行環境にある光源
を利用してもよいし、及び付帯設備や携帯設備として、
励起光を照射しうる光源を使用してもよい。その場合使
用する光源には、例えば、蛍光灯、白熱電灯、メタルハ
ライドランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、殺菌灯等
が好適に利用できる。光触媒の光励起により、基材表面
のシリコーン分子中のケイ素原子に結合した有機基が少
なくとも部分的に水酸基に置換されたシリコーン、又は
無定型シリカが外気に露出した親水性を呈する部分が高
度に親水化されるためには、励起光の照度は0.001
mW/cm2以上あればよいが、0.01mW/cm2
上だと好ましく、0.1mW/cm2以上だとより好ま
しい。
【0011】シリコーンには、平均組成式 RpSiO(4-p)/2 (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
なる官能基、又は、一価の有機基と水素基から選ばれた
2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、又
は、ハロゲン原子であり、pは0<p<2を満足する数
である)で表される樹脂が利用できる。
【0012】撥水性フッ素樹脂には、ポリテトラフルオ
ロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘ
キサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロプロピレンコポリマー等が好適に利用でき
る。
【0013】表面層の膜厚は、0.4μm以下にするの
が好ましい。そうすれば、光の乱反射による白濁を防止
することができ、表面層は実質的に透明となる。さら
に、表面層の膜厚を、0.2μm以下にすると一層好ま
しい。そうすれば、光の干渉による表面層の発色を防止
することができる。また、表面層が薄ければ薄いほどそ
の透明度は向上する。更に、膜厚を薄くすれば、表面層
の耐摩耗性が向上する。
【0014】表面層には、Ag、Cu、Znのような金
属を添加することができる。前記金属を添加した表面層
は、表面に付着した細菌や黴を暗所でも死滅させること
ができる。
【0015】表面層にはPt、Pd、Ru、Rh、I
r、Osのような白金族金属を添加することができる。
前記金属を添加した表面層は、光触媒の酸化還元活性を
増強でき、有機物汚れの分解性、有害気体や悪臭の分解
性を向上させることができる。
【0016】次に、基材表面に、光触媒性酸化物粒子と
シリコーンと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形
成されている防汚性部材の製法について説明する。この
場合の製法は、基本的には、基材表面にコーティング組
成物を塗布し、硬化させることによる。
【0017】ここでコーティング組成物は、光触媒粒
子、撥水性フッ素樹脂の他にシリコーンの前駆体を必須
構成要件とし、その他に水、エタノール、プロパノール
等の溶媒や、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン酸等の
シリコーンの前駆体の加水分解を促進する触媒や、トリ
ブチルアミン、ヘキシルアミンなどの塩基性化合物類、
アルミニウムトリイソプロポキシド、テトライソプロピ
ルチタネートなどの酸性化合物類等のシリコーンの前駆
体を硬化させる触媒や、シランカップリング剤等のコー
ティング液の分散性を向上させる界面活性剤などを添加
してもよい。
【0018】ここでシリコーンの前駆体としては、平均
組成式 RpSiXq(4-p-q)/2 (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
なる官能基、又は、一価の有機基と水素基から選ばれた
2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、又
は、ハロゲン原子であり、p及びqは0<p<2、0<
q<4を満足する数である)で表されるシロキサンから
なる塗膜形成要素、又は一般式 RpSiX4-p (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
なる官能基、又は、一価の有機基と水素基から選ばれた
2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、又
は、ハロゲン原子であり、pは1または2である)で表
される加水分解性シラン誘導体からなる塗膜形成要素、
が好適に利用できる。
【0019】ここで上記加水分解性シラン誘導体からな
る塗膜形成要素としては、メチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラ
ン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキ
シシラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニル
トリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシ
シラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキ
シシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブ
トキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェ
ニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポ
キシシラン、フェニルメチルジブトキシシラン、n−プ
ロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシ
シラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−プロ
ピルトリブトキシシラン、γ−グリコキシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン等が好適に利用できる。
【0020】また、上記シロキサンからなる塗膜形成要
素としては、上記加水分解性シラン誘導体の部分加水分
解及び脱水縮重合、又は上記加水分解性シラン誘導体の
部分加水分解物と、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシ
シラン、ジエトキシジメトキシシラン等の部分加水分解
物との脱水縮重合等で作製することができる。
【0021】上記コーティング組成物の塗布方法として
は、スプレーコーティング法、ディップコーティング
法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロ
ールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法
が好適に利用できる。硬化方法としては、熱処理、室温
放置、紫外線照射等により重合させて行うことができ
る。
【0022】次に、基材表面に、光触媒粒子と無定型シ
リカと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形成され
ている防汚性部材の製法について説明する。この場合の
製法は、基本的には、基材表面にコーティング組成物を
塗布し、硬化させることによる。
【0023】ここでコーティング組成物は、光触媒粒
子、撥水性フッ素樹脂の他にシリカ粒子又はシリカの前
駆体を必須構成要件とし、その他に水、エタノール、プ
ロパノール等の溶媒や、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレ
イン酸等のシリカの前駆体の加水分解を促進する触媒
や、トリブチルアミン、ヘキシルアミンなどの塩基性化
合物類、アルミニウムトリイソプロポキシド、テトライ
ソプロピルチタネートなどの酸性化合物類等のシリカの
前駆体を硬化させる触媒や、シランカップリング剤等の
コーティング液の分散性を向上させる界面活性剤などを
添加してもよい。
【0024】ここでシリコーンの前駆体としては、平均
組成式 SiXq(4-q)/2 (式中、Xはアルコキシ基、又は、ハロゲン原子であ
り、qは0<q<4を満足する数である)で表されるシ
リケートからなる塗膜形成要素、又は一般式 SiX4 (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
なる官能基、又は、一価の有機基と水素基から選ばれた
2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、又
は、ハロゲン原子である)で表される4官能加水分解性
シラン誘導体からなる塗膜形成要素等が好適に利用でき
る。
【0025】ここで上記4官能加水分解性シラン誘導体
からなる塗膜形成要素としては、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、
テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン等
が好適に利用できる。
【0026】また、上記シリケートからなる塗膜形成要
素としては、上記4官能加水分解性シラン誘導体の部分
加水分解及び脱水縮重合等で作製することができる。
【0027】上記コーティング組成物の塗布方法として
は、スプレーコーティング法、ディップコーティング
法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロ
ールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法
が好適に利用できる。硬化方法としては、熱処理、室温
放置、紫外線照射等により重合させて行うことができ
る。
【0028】
【実施例】
参考例.アナターゼ型酸化チタンゾル(日産化学、TA
−15、硝酸解膠型、pH=1)と、シリカゾル(日本
合成ゴム、グラスカA液、pH=4)と、メチルトリメ
トキシシラン(日本合成ゴム、グラスカB液)とエタノ
ールを混合し、2〜3分撹拌して得たコーティング液
を、スプレーコーティング法にて10cm四角のアルミ
ニウム基材上に塗布し、200℃で15分熱処理して、
アナターゼ型酸化チタン粒子11重量部、シリカ6重量
部、シリコーン5重量部からなる表面層を形成した#1
試料を得た。#1試料の水との接触角は85゜であっ
た。ここで水との接触角は接触角測定器(協和界面科
学、CA−X150)を用い、マイクロシリンジから水
滴を滴下した後30秒後の水との接触角で評価した。次
いで#1試料表面に、紫外線光源(三共電気、ブラック
ライトブルー(BLB)蛍光灯)を用いて0.3mW/
cm2の紫外線照度で1日照射し、#2試料を得た。そ
の結果、#2試料の水との接触角は0゜まで親水化され
た。次に、#1試料と、#1試料に水銀灯を22.8m
W/cm2の紫外線照度で2時間照射して得た#3試料
夫々の試料表面をラマン分光分析した。その結果、#1
試料表面で認められたメチル基のピークが#3試料では
認められず、代わりに水酸基のブロードなピークが認め
られた。以上のことから、光触媒であるアナターゼ型酸
化チタンの光励起に応じて被膜の表面のシリコーン分子
中のケイ素原子に結合した有機基は、光触媒作用により
水酸基に置換されること、及び親水化されることがわか
る。
【0029】実施例.アナターゼ型酸化チタンゾル(日
産化学、TA−15)と、シリカゾル(日本合成ゴム、
グラスカA液)と、メチルトリメトキシシラン(日本合
成ゴム、グラスカB液)とポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)粒子(ダイキン工業、ルブロンL−5)と
エタノールを混合し、2〜3時間撹拌して得たコーティ
ング液を、スプレーコーティング法にて10cm角の磁
器板上に塗布し、200℃で15分熱処理して、アナタ
ーゼ型酸化チタン粒子33重量部、ポリテトラフルオロ
エチレン粒子66重量部、シリカ6重量部、シリコーン
5重量部からなる表面層を形成して#4試料を作製し
た。#4試料の水との接触角は110゜であった。次い
で#4試料表面に、紫外線光源(三共電気、ブラックラ
イトブルー(BLB)蛍光灯)を用いて0.3mW/c
2の紫外線照度で1日照射し、#5試料を得た。その
結果、#5試料の水との接触角は97.2゜とさほど変
化がなかった。上記参考例より、シリコーンが外気に露
出した部分はシリコーン分子中のケイ素原子に結合した
有機基は、光触媒作用により水酸基に置換され、親水化
されるはずであるから、その分だけ親水化して水との接
触角が若干減少したと考えられる。すなわち、#5試料
表面は、光触媒作用により水酸基に置換され、親水化さ
れたシリコーンが外気に露出した親水性を呈する部分
と、撥水性フッ素樹脂が外気に露出した撥水性を呈する
部分の双方が表面に微視的に分散された構造となってい
ると推定される。また水との接触角が97.2゜と90
゜以上であることにより、#5試料を傾けると水滴は転
がりながら落下した。
【0030】次に、#5試料、及び比較のためポリフル
オロエチレン(PTFE)、磁器板を道路に面した建物
の外壁に固定して、70日放置し、堆積物や汚染物に対
する表面の清浄維持性を調べた。表面の清浄維持性は、
放置前後の色差の変化で調べた。ここで色差は色差計
(東京電色)を用い、日本工業規格(JIS)H020
1に従い、ΔE*表示を用いて調べた。その結果、色差
の変化は、ポリフルオロエチレン(PTFE)板では
7、磁器板では2と汚れが目立ったのに対し、#5試料
では色差の変化は0.5程度でほとんど汚れは観察され
なかった。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、汚れにくく、かつ水滴
が付着しにくい表面を有し、かつ長期にわたり維持でき
る碍子を提供することが可能となる。それにより、碍子
の本来的機能である電気絶縁性が長期的に十分に発揮さ
れるようになり、また、碍子に汚損物が多く付着して、
局部アークが発生したり、トラッキングが生じて碍子の
かさ欠けなどの損傷が生じることもなくすることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る碍子の表面構造を示す図。
【図2】本発明に係る碍子の他の表面構造を示す図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に、光触媒性酸化物粒子とシリ
    コーンと撥水性フッ素樹脂とを含有する実質的に透明な
    表面層が形成されており、かつ前記層表面は水との接触
    角が90゜以上であることを特徴とする防汚性と水滴付
    着防止性を兼ね備えた碍子。
  2. 【請求項2】 基材表面に、光触媒性酸化物粒子と無定
    型シリカと撥水性フッ素樹脂とを含有する実質的に透明
    な表面層が形成されており、かつ前記層表面は水との接
    触角が90゜以上であることを特徴とする防汚性と水滴
    付着防止性を兼ね備えた碍子。
JP30361096A 1996-10-29 1996-10-29 防汚性と水滴付着防止性を兼ね備えた碍子 Pending JPH10134660A (ja)

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JP30361096A Pending JPH10134660A (ja) 1996-10-29 1996-10-29 防汚性と水滴付着防止性を兼ね備えた碍子

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JP (1) JPH10134660A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009134972A (ja) * 2007-11-30 2009-06-18 Chugoku Electric Power Co Inc:The 碍子の表面処理方法および碍子
CN105895280A (zh) * 2016-06-17 2016-08-24 江苏南瓷绝缘子股份有限公司 一种自洁型高强度棒形瓷绝缘子
KR101858232B1 (ko) * 2016-12-23 2018-06-28 제룡산업 주식회사 폴리머 애자 및 이의 제조방법

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009134972A (ja) * 2007-11-30 2009-06-18 Chugoku Electric Power Co Inc:The 碍子の表面処理方法および碍子
CN105895280A (zh) * 2016-06-17 2016-08-24 江苏南瓷绝缘子股份有限公司 一种自洁型高强度棒形瓷绝缘子
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