JPH10102429A - 防汚性遮音壁 - Google Patents

防汚性遮音壁

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JPH10102429A
JPH10102429A JP28722996A JP28722996A JPH10102429A JP H10102429 A JPH10102429 A JP H10102429A JP 28722996 A JP28722996 A JP 28722996A JP 28722996 A JP28722996 A JP 28722996A JP H10102429 A JPH10102429 A JP H10102429A
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JP
Japan
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sound insulating
insulating wall
water
silicone
sample
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Application number
JP28722996A
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English (en)
Inventor
Mitsuyoshi Machida
町田  光義
Makoto Hayakawa
信 早川
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 煤煙などの汚れに対して清浄性を維持する遮
音壁の提供。 【解決手段】 遮音壁基材表面に、光触媒粒子とシリコ
ーンと撥水性フッ素樹脂、或いは光触媒粒子と無定型シ
リカと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形成され
ていることを特徴とする防汚性遮音壁。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、煤煙などで汚れに
くい道路や鉄道の防汚性遮音壁に関する。
【0002】
【従来の技術】道路や鉄道の騒音防止対策として遮音壁
が使用されている。初期には遮音壁の設置は学校や病院
などの付近に限られていたが、今日では住宅地や商業地
区にも設置される傾向にある。遮音壁には、アルミニウ
ム板や鋼板の間にグラスウール吸音材を挟んだ金属パネ
ルや、プレキャストコンクリートパネルが使用されてい
る。また、都市部の高架道路などでは、沿線居住者の日
照権を保証し日照問題を解消するため、ポリカーボネー
トのようなプラスチックやガラスで形成された透明パネ
ルも使用されている。透明パネルには更に道路や鉄道の
景観を改善するという利点もあり、特に眺望の良い地域
に適している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】道路の遮音壁は排気ガ
ス中の煤煙やタイヤの摩耗粉や路面や大地から舞い上が
った煤塵によって汚れる。特に、遮音壁の汚れはその内
側面で顕著である。鉄道の遮音壁も降下煤塵により汚さ
れる。遮音壁が薄黒く汚れると不快な印象を与え、道路
や鉄道の景観が損なわれる。透明パネルの場合には、汚
れに伴い透光性が低下するので、日照権の保証が不充分
となる。そこで、必要に応じて遮音壁を清掃するのが望
ましい。
【0004】従来、遮音壁の内側面はブラシ洗浄により
清掃されている。これには、大なり小なり交通規制(車
線制限など)を要するので、円滑な道路交通を阻害する
と共に、危険を伴う。また、遮音壁の洗浄は高所作業を
伴うので、コスト高となり、危険でもある。遮音壁の外
側面の汚れについては現在のところ対策がない。透明パ
ネルの場合にはその長所が減殺されるので、景観上の問
題及び日照権問題の観点から対策が望まれている。そこ
で、本発明では上記事情に鑑み、汚れにくい遮音壁を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、遮音壁基材表面に、光触媒粒子とシリコー
ンと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形成されて
いることを特徴とする防汚性遮音壁を提供する。このよ
うな構成にすることにより、光触媒を光励起したとき
に、光触媒作用によりシリコーン分子中のケイ素原子に
結合した有機基が少なくとも部分的に水酸基に置換され
て親水性を呈するようになり、シリコーンが外気に露出
した親水性を呈する部分と、撥水性フッ素樹脂が外気に
露出した撥水性を呈する部分の双方が表面に微視的に分
散された構造となる。さらに、光触媒が存在することに
より、光触媒の光励起に応じてシリコーン分子中のケイ
素原子に結合した有機基が少なくとも部分的に水酸基に
置換されたシリコーンは恒久的に親水性を維持するの
で、上記親水性を呈する部分と撥水性を呈する部分の双
方が表面に微視的に分散された構造は維持される。この
ような構造では、親水性表面と撥水性表面が隣接するた
め、親水性表面になじみやすい親水性の付着物は隣接す
る撥水性部分になじまない。逆に撥水性表面になじみや
すい疎水性の付着物は隣接する親水性部分になじまな
い。そのため、親水性付着物も、疎水性付着物も部材表
面に固着されることはなく、表面は清浄な状態に維持さ
れる。
【0006】また、本発明では、遮音壁基材表面に、光
触媒粒子と無定型シリカと撥水性フッ素樹脂とを含有す
る表面層が形成されていることを特徴とする防汚性遮音
壁を提供する。このような構成にすることにより、表面
層中の無定型シリカが外気に露出した親水性を呈する部
分と、撥水性フッ素樹脂が外気に露出した撥水性を呈す
る部分の双方が表面に微視的に分散された構造となる。
さらに、光触媒が存在することにより、光触媒の光励起
に応じて無定型シリカは恒久的に親水性を維持するの
で、上記親水性を呈する部分と撥水性を呈する部分の双
方が表面に微視的に分散された構造は維持される。この
ような構造では、親水性表面と撥水性表面が隣接するた
め、親水性表面になじみやすい親水性の付着物は隣接す
る撥水性部分になじまない。逆に撥水性表面になじみや
すい疎水性の付着物は隣接する親水性部分になじまな
い。そのため、親水性付着物も、疎水性付着物も部材表
面に固着されることはなく、表面は清浄な状態に維持さ
れる。
【0007】
【発明の実施の形態】遮音壁基材は、例えば、高速道路
の遮音壁の場合には、図1に示したように、遮音壁基材
10は例えば垂直壁12と道路の上方に向かって湾曲し
た湾曲壁14とを備え、周知の工法に従い、アルミニウ
ム板や鋼板の間にグラスウール吸音材を挟んだ金属パネ
ル、プレキャストコンクリートのパネル、ガラスやポリ
カーボネートなどの透明パネル、又はその組合せで構築
することができる。
【0008】次に、本発明の具体的な表面構造について
説明する。本発明の一態様においては、図2に示すよう
に、遮音壁基材の表面に光触媒粒子と、シリコーンと、
撥水性フッ素樹脂を含む表面層が形成されている。図1
に光触媒を光励起することの可能な光が照射されると、
外気に露出したシリコーンの少なくとも一部が、光触媒
作用によりシリコーン分子中のケイ素原子に結合した有
機基が少なくとも部分的に水酸基に置換されて親水性を
呈するようになり、シリコーンが外気に露出した親水性
を呈する部分と、撥水性フッ素樹脂が外気に露出した撥
水性を呈する部分の双方が表面に微視的に分散された構
造となる。さらに、光触媒が存在することにより、光触
媒の光励起に応じて無定型シリカは恒久的に親水性を維
持するので、上記親水性を呈する部分と撥水性を呈する
部分の双方が表面に微視的に分散された構造は維持され
る。このような構造になることにより、親水性付着物
も、疎水性付着物も部材表面に固着されることはなく、
表面は清浄な状態に維持される。
【0009】本発明の他の態様においては、図3に示す
ように、遮音壁基材の表面に光触媒粒子と、無定型シリ
カと、撥水性フッ素樹脂を含む表面層が形成されてい
る。このような構成にすることにより、表面層中の無定
型シリカが外気に露出した親水性を呈する部分と、撥水
性フッ素樹脂が外気に露出した撥水性を呈する部分の双
方が表面に微視的に分散された構造となる。さらに、光
触媒が存在することにより、光触媒の光励起に応じて無
定型シリカは恒久的に親水性を維持するので、上記親水
性を呈する部分と撥水性を呈する部分の双方が表面に微
視的に分散された構造は維持される。このような構造に
なることにより、親水性付着物も、疎水性付着物も部材
表面に固着されることはなく、表面は清浄な状態に維持
される。
【0010】上記表面層は、遮音壁基材の少なくとも内
側面(道路に面する表面)、好ましくは表裏両面に設け
る。勿論、汚れの激しい領域だけに設けてもよい。
【0011】光触媒とは、その結晶の伝導帯と価電子帯
との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギー
(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したとき
に、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導
電子と正孔を生成しうる物質をいい、光触媒性酸化物に
は、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チ
タン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化第二鉄、三酸化二ビスマ
ス、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等の
酸化物が好適に利用できる。光触媒の光励起に用いる光
源は、日中は太陽の照射に晒されるので、太陽光が利用
できる。また、夜間は道路照明や走行車の照明灯を光源
として利用できる。光触媒の光励起により、基材表面が
高度に親水化されるためには、励起光の照度は0.00
1mW/cm以上あればよいが、0.01mW/cm
以上だと好ましく、0.1mW/cm以上だとより
好ましい。
【0012】シリコーンには、平均組成式 RSiO(4−p)/2 (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
なる官能基、又は、一価の有機基と水素基から選ばれた
2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、又
は、ハロゲン原子であり、pは0<p<2を満足する数
である)で表される樹脂が利用できる。
【0013】撥水性フッ素樹脂には、ポリテトラフルオ
ロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘ
キサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロプロピレンコポリマー等が好適に利用でき
る。
【0014】表面層の膜厚は、0.4μm以下にするの
が好ましい。そうすれば、光の乱反射による白濁を防止
することができ、表面層は実質的に透明となる。さら
に、表面層の膜厚を、0.2μm以下にすると一層好ま
しい。そうすれば、光の干渉による表面層の発色を防止
することができる。また、表面層が薄ければ薄いほどそ
の透明度は向上する。更に、膜厚を薄くすれば、表面層
の耐摩耗性が向上する。
【0015】表面層には、Ag、Cu、Znのような金
属を添加することができる。前記金属を添加した表面層
は、表面に付着した細菌や黴を暗所でも死滅させること
ができる。
【0016】表面層にはPt、Pd、Ru、Rh、I
r、Osのような白金族金属を添加することができる。
前記金属を添加した表面層は、光触媒の酸化還元活性を
増強でき、有機物汚れの分解性、有害気体や悪臭の分解
性を向上させることができる。
【0017】次に、基材表面に、光触媒性酸化物粒子と
シリコーンと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形
成されている防汚性部材の製法について説明する。この
場合の製法は、基本的には、基材表面にコーティング組
成物を塗布し、硬化させることによる。
【0018】ここでコーティング組成物は、光触媒粒
子、撥水性フッ素樹脂の他にシリコーンの前駆体を必須
構成要件とし、その他に水、エタノール、プロパノール
等の溶媒や、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン酸等の
シリコーンの前駆体の加水分解を促進する触媒や、トリ
ブチルアミン、ヘキシルアミンなどの塩基性化合物類、
アルミニウムトリイソプロポキシド、テトライソプロピ
ルチタネートなどの酸性化合物類等のシリコーンの前駆
体を硬化させる触媒や、シランカップリング剤等のコー
ティング液の分散性を向上させる界面活性剤などを添加
してもよい。
【0019】ここでシリコーンの前駆体としては、平均
組成式 RSiX(4−p−q)/2 (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
なる官能基、又は、一価の有機基と水素基から選ばれた
2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、又
は、ハロゲン原子であり、p及びqは0<p<2、0<
q<4を満足する数である)で表されるシロキサンから
なる塗膜形成要素、又は一般式 RSiX4−p (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
なる官能基、、又は、一価の有機基と水素基から選ばれ
た2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、
又は、ハロゲン原子であり、pは1または2である)で
表される加水分解性シラン誘導体からなる塗膜形成要
素、が好適に利用できる。
【0020】ここで上記加水分解性シラン誘導体からな
る塗膜形成要素としては、メチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラ
ン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキ
シシラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニル
トリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシ
シラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキ
シシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブ
トキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェ
ニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポ
キシシラン、フェニルメチルジブトキシシラン、n−プ
ロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシ
シラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−プロ
ピルトリブトキシシラン、γ−グリコキシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン等が好適に利用できる。
【0021】また、上記シロキサンからなる塗膜形成要
素としては、上記加水分解性シラン誘導体の部分加水分
解及び脱水縮重合、又は上記加水分解性シラン誘導体の
部分加水分解物と、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシ
シラン、ジエトキシジメトキシシラン等の部分加水分解
物との脱水縮重合等で作製することができる。
【0022】上記コーティング組成物の塗布方法として
は、スプレーコーティング法、ディップコーティング
法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロ
ールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法
が好適に利用できる。硬化方法としては、熱処理、室温
放置、紫外線照射等により重合させて行うことができ
る。
【0023】次に、基材表面に、光触媒粒子と無定型シ
リカと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が形成され
ている防汚性部材の製法について説明する。この場合の
製法は、基本的には、基材表面にコーティング組成物を
塗布し、硬化させることによる。
【0024】ここでコーティング組成物は、光触媒粒
子、撥水性フッ素樹脂の他にシリカ粒子又はシリカの前
駆体を必須構成要件とし、その他に水、エタノール、プ
ロパノール等の溶媒や、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレ
イン酸等のシリカの前駆体の加水分解を促進する触媒
や、トリブチルアミン、ヘキシルアミンなどの塩基性化
合物類、アルミニウムトリイソプロポキシド、テトライ
ソプロピルチタネートなどの酸性化合物類等のシリカの
前駆体を硬化させる触媒や、シランカップリング剤等の
コーティング液の分散性を向上させる界面活性剤などを
添加してもよい。
【0025】ここでシリコーンの前駆体としては、平均
組成式 SiX(4−q)/2 (式中、Xはアルコキシ基、又は、ハロゲン原子であ
り、qは0<q<4を満足する数である)で表されるシ
リケートからなる塗膜形成要素、又は一般式 SiX (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
なる官能基、、又は、一価の有機基と水素基から選ばれ
た2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、
又は、ハロゲン原子である)で表される4官能加水分解
性シラン誘導体からなる塗膜形成要素等が好適に利用で
きる。
【0026】ここで上記4官能加水分解性シラン誘導体
からなる塗膜形成要素としては、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、
テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン等
が好適に利用できる。
【0027】また、上記シリケートからなる塗膜形成要
素としては、上記4官能加水分解性シラン誘導体の部分
加水分解及び脱水縮重合等で作製することができる。
【0028】上記コーティング組成物の塗布方法として
は、スプレーコーティング法、ディップコーティング
法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロ
ールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法
が好適に利用できる。硬化方法としては、熱処理、室温
放置、紫外線照射等により重合させて行うことができ
る。
【0029】
【実施例】
参考例.アナターゼ型酸化チタンゾル(日産化学、TA
−15、硝酸解膠型、pH=1) と、シリカゾル(日
本合成ゴム、グラスカA液、pH=4)と、メチルトリ
メトキシシラン(日本合成ゴム、グラスカB液)とエタ
ノールを混合し、2〜3分攪拌して得たコーティング液
を、スプレーコーティング法にて10cm四角のソーダ
ライムガラス基材上に塗布し、200℃で15分熱処理
して、アナターゼ型酸化チタン粒子11重量部、シリカ
6重量部、シリコーン5重量部からなる表面層を形成し
た#1試料を得た。#1試料の水との接触角は85゜で
あった。ここで水との接触角は接触角測定器(協和界面
科学、CA−X150)を用い、マイクロシリンジから
水滴を滴下した後30秒後の水との接触角で評価した。
次いで#1試料表面に、紫外線光源(三共電気、ブラッ
クライトブルー(BLB)蛍光灯)を用いて0.3mW
/cmの紫外線照度で1日照射し、#2試料を得た。
その結果、#2試料の水との接触角は0゜まで親水化さ
れた。次に、#1試料と、#1試料に水銀灯を22.8
mW/cmの紫外線照度で2時間照射して得た#3試
料夫々の試料表面をラマン分光分析した。その結果、#
1試料表面で認められたメチル基のピークが#3試料で
は認められず、代わりに水酸基のブロードなピークが認
められた。以上のことから、光触媒であるアナターゼ型
酸化チタンの光励起に応じて被膜の表面のシリコーン分
子中のケイ素原子に結合した有機基は、光触媒作用によ
り水酸基に置換されること、及び親水化されることがわ
かる。
【0030】実施例1.アナターゼ型酸化チタンゾル
(日産化学、TA−15)と、シリカゾル(日本合成ゴ
ム、グラスカA液)と、メチルトリメトキシシラン(日
本合成ゴム、グラスカB液)とポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)粒子(ダイキン工業、ルブロンL−
5)とエタノールを混合し、2〜3時間攪拌して得たコ
ーティング液を、スプレーコーティング法にて10cm
四角のアルミニウム基材上に塗布し、200℃で15分
熱処理して、アナターゼ型酸化チタン粒子33重量部、
ポリテトラフルオロエチレン粒子66重量部、シリカ6
重量部、シリコーン5重量部からなる表面層を形成した
#4試料を得た。#4試料の水との接触角は107゜で
あった。次いで#4試料表面に、紫外線光源(三共電
気、ブラックライトブルー(BLB)蛍光灯)を用いて
0.3mW/cmの紫外線照度で1日照射し、#5試
料を得た。その結果、#5試料の水との接触角は96.
4゜とさほど変化がなかった。上記参考例より、シリコ
ーンが外気に露出した部分はシリコーン分子中のケイ素
原子に結合した有機基は、光触媒作用により水酸基に置
換され、親水化されるはずであるから、その分だけ親水
化して水との接触角が若干減少したと考えられる。すな
わち、#5試料表面は、光触媒作用により水酸基に置換
され、親水化されたシリコーンが外気に露出した親水性
を呈する部分と、撥水性フッ素樹脂が外気に露出した撥
水性を呈する部分の双方が表面に微視的に分散された構
造となっていると推定される。
【0031】次に、#5試料及び比較のためアルミニウ
ム板を屋外に設置して、堆積物や汚染物に対する表面の
清浄維持性を調べた。堆積物や汚染物に対する表面の清
浄維持性は、建物の屋上の屋根付き部分の下に図4のよ
うに試料を設置し、4か月暴露することにより行った。
その結果、アルミニウム板では多少の汚れが観察された
のに対し、#5試料では汚れは観察されなかった。その
様子を4か月暴露前後の色差の変化で調べた。ここで色
差は色差計(東京電色)を用い、日本工業規格(JI
S)H0201に従い、ΔE*表示を用いて調べた。そ
の結果、アルミニウム板では暴露前後の色差の変化は4
程度あったのに対し、#5試料では0.7と小さかっ
た。
【0032】実施例2.アナターゼ型酸化チタンゾル
(日産化学、TA−15)と、シリカゾル(日本合成ゴ
ム、グラスカA液)と、メチルトリメトキシシラン(日
本合成ゴム、グラスカB液)とポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)粒子(ダイキン工業、ルブロンL−
5)とエタノールを混合し、2〜3時間攪拌して得たコ
ーティング液を、スプレーコーティング法にて10cm
四角のソーダライムガラス基材上に塗布し、200℃で
15分熱処理して、アナターゼ型酸化チタン粒子33重
量部、ポリテトラフルオロエチレン粒子66重量部、シ
リカ6重量部、シリコーン5重量部からなる表面層を形
成した#6試料を得た。#6試料の水との接触角は11
0゜であった。次いで#6試料表面に、紫外線光源(三
共電気、ブラックライトブルー(BLB)蛍光灯)を用
いて0.3mW/cmの紫外線照度で1日照射し、#
7試料を得た。その結果、#7試料の水との接触角は9
7.4゜とさほど変化がなかった。上記参考例より、シ
リコーンが外気に露出した部分はシリコーン分子中のケ
イ素原子に結合した有機基は、光触媒作用により水酸基
に置換され、親水化されるはずであるから、その分だけ
親水化して水との接触角が若干減少したと考えられる。
すなわち、#7試料表面は、光触媒作用により水酸基に
置換され、親水化されたシリコーンが外気に露出した親
水性を呈する部分と、撥水性フッ素樹脂が外気に露出し
た撥水性を呈する部分の双方が表面に微視的に分散され
た構造となっていると推定される。
【0033】次に、#7試料及び比較のためソーダライ
ムガラス板を屋外に設置して、堆積物や汚染物に対する
表面の清浄維持性を調べた。堆積物や汚染物に対する表
面の清浄維持性は、建物の屋上の屋根付き部分の下に図
4のように試料を設置し、4か月暴露することにより行
った。その結果、ソーダライムガラス板では多少の汚れ
が観察されたのに対し、#7試料では汚れは観察されな
かった。
【0034】実施例3.10cm角のポリカーボネート
板上にプライマー塗料(信越シリコーン、PC−7A)
をフローコーティング法にて塗布後、120℃で20分
熱処理して、基板をプライマー樹脂層で被覆した。次
に、シリコーン系ハードコーティング剤(信越シリコー
ン、KP−85)をフローコーティング法にて塗布後、
120℃で60分熱処理して、ハードコート層を形成し
た。さらに、その表面を、コロナ放電処理装置(春日電
機)により、電極にワイヤー電極を用い、電極先端と試
料表面とのギャップ2mm、電圧26kV、周波数39
kHz、試料送り速度4.2m/分の条件で、高周波コ
ロナ放電処理した。次に、その上にアナターゼ型酸化チ
タンゾル(日産化学、TA−15)と、シリカゾル(日
本合成ゴム、グラスカA液)と、メチルトリメトキシシ
ラン(日本合成ゴム、グラスカB液)とポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)粒子(ダイキン工業、ルブロ
ンL−5)とエタノールを混合し、2〜3時間攪拌して
得たコーティング液を、スプレーコーティング法にて塗
布し、120℃で3時間熱処理して、アナターゼ型酸化
チタン粒子33重量部、ポリテトラフルオロエチレン粒
子66重量部、シリカ6重量部、シリコーン5重量部か
らなる表面層を形成した#8試料を得た。#8試料の水
との接触角は114゜であった。次いで#8試料表面
に、紫外線光源(三共電気、ブラックライトブルー(B
LB)蛍光灯)を用いて0.3mW/cmの紫外線照
度で1日照射し、#9試料を得た。その結果、#9試料
の水との接触角は99.1゜とさほど変化がなかった。
上記参考例より、シリコーンが外気に露出した部分はシ
リコーン分子中のケイ素原子に結合した有機基は、光触
媒作用により水酸基に置換され、親水化されるはずであ
るから、その分だけ親水化して水との接触角が若干減少
したと考えられる。すなわち、#9試料表面は、光触媒
作用により水酸基に置換され、親水化されたシリコーン
が外気に露出した親水性を呈する部分と、撥水性フッ素
樹脂が外気に露出した撥水性を呈する部分の双方が表面
に微視的に分散された構造となっていると推定される。
【0035】次に、#9試料及び比較のためポリカーボ
ネート板を屋外に設置して、堆積物や汚染物に対する表
面の清浄維持性を調べた。堆積物や汚染物に対する表面
の清浄維持性は、建物の屋上の屋根付き部分の下に図4
のように試料を設置し、4か月暴露することにより行っ
た。その結果、ポリカーボネート板では多少の汚れが観
察されたのに対し、#9試料では汚れは観察されなかっ
た。
【0036】
【発明の効果】本発明では、遮音壁において、遮音壁基
材表面に、光触媒粒子とシリコーンと撥水性フッ素樹脂
とを含有する表面層が形成されているようにする、或い
は遮音壁基材表面に、光触媒粒子と無定型シリカと撥水
性フッ素樹脂とを含有する表面層が形成されているよう
にすることにより、親水性付着物も、疎水性付着物も部
材表面に固着されることはなく、表面は清浄な状態に維
持されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される遮音壁の斜視図。
【図2】 本発明に係る遮音壁の表面構造を示す図。
【図3】 本発明に係る遮音壁の他の表面構造を示す
図。
【図4】 本発明の実施例にに係る試験の試料の設置方
法を示す図。
【符号の説明】
10:遮音壁 12:垂直壁 14:湾曲壁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遮音壁基材表面に、光触媒性酸化物粒子
    とシリコーンと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層が
    形成されていることを特徴とする防汚性遮音壁。
  2. 【請求項2】 遮音壁基材表面に、光触媒性酸化物粒子
    と無定型シリカと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層
    が形成されていることを特徴とする防汚性遮音壁。
  3. 【請求項3】 前記遮音壁基材の少なくとも一部は透明
    な材料からなり、前記表面層は透明であることを特徴と
    する請求項1、2に記載の防汚性遮音壁。
JP28722996A 1996-09-24 1996-09-24 防汚性遮音壁 Pending JPH10102429A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003096720A (ja) * 2001-09-26 2003-04-03 Sumitomo Chem Co Ltd 道路用側壁板

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