JPH10134423A - 保持台からの記憶ディスクの取り上げ方法及びその装置 - Google Patents

保持台からの記憶ディスクの取り上げ方法及びその装置

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JPH10134423A
JPH10134423A JP8305888A JP30588896A JPH10134423A JP H10134423 A JPH10134423 A JP H10134423A JP 8305888 A JP8305888 A JP 8305888A JP 30588896 A JP30588896 A JP 30588896A JP H10134423 A JPH10134423 A JP H10134423A
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suction
suction chuck
holding table
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Masami Inai
正美 井内
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Kitano Engineering Co Ltd
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Kitano Engineering Co Ltd
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Publication date
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  • Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2枚の円形樹脂基板の相互のズレや剥離が生
じないようにして記憶ディスクを取り上げる方法を提供
すること。 【解決手段】 ボス体1を備えた回転保持台Xに載置さ
れた記憶ディスクDを吸着チャックYを使って取り上げ
る方法であって、吸着チャックYを下降させてボス体1
を押し下げ、記憶ディスクDの中心穴DHとボス体外周
面との間の距離を拡張させた状態で記憶ディスクDの表
面を吸着チャックYで吸着し、その後、吸着チャックY
を上昇させる記憶ディスクの取り上げ方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、記憶ディスクの
貼り合わせに関するものであり、更に詳しくは、記憶デ
ィスクを保持台から取り上げるための方法及びその装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ、取り分けパソコン
等の普及は目ざましく、それに使用される記憶媒体、特
に、記憶ディスクの容量は益々高密度化しており、その
種類も多くなると共に、その適応分野も拡大してきてい
る。そのため、例えば音楽用を中心とするCDにおい
て、最近は映像用へと発展する傾向にある。記憶ディス
クとしては、例えば、磁気ディスク、光ディスク(例え
ば、CD−ROM等)、光磁気ディスク(例えば、M
O)等があるが、その中でも、最近、光ディスクの需要
が増大している。
【0003】DVDと呼ばれる光ディスクを例にとって
いうと、それを構成する単板であるところの円形樹脂基
板は、その厚みが0.6mm、外形が120mm、その
中心穴DHの径が15mm、と規格されている。このよ
うな薄い円形樹脂基板一枚では、機械的強度が低くまた
変形もし易いため、同じ厚み(0.6mm)のこのよう
な円形樹脂基板を貼り合わせて合体することにより使用
される。
【0004】例えば、図9は、2枚の円形樹脂基板(第
1円形樹脂基板2と第2円形樹脂基板1D)を貼り合わ
せて合体された状態の光ディスクであるDVDを概略的
に示したものである。そして(a)は、情報信号が一方
の円形樹脂基板に印加されているもの、また(b)は、
両方の円形樹脂基板に情報が印加されているものを示
す。このようにして2枚の円形樹脂基板D1、D2が貼
り合わされた光ディスクDは、レーザビームを使って反
射膜aから反射される光を図示しない光検出器等で受光
して信号を再生するものである。
【0005】このように、DVD等の光ディスクも含め
て高密度の記憶ディスクの多くは、単板ではなく上記の
ような合板構造として使用されるので、製造する上で第
1円形樹脂基板D1と第2円形樹脂基板D2の貼り合わ
せ工程が当然必要となる。単板を貼り合わせて一体の記
憶ディスク(即ち、ここでは光ディスク)にするため
に、次の一連の工程(STEP)が行なわれる(図8参
照)。
【0006】(1)回転保持台Xに第1円形樹脂基板D
1を載置する工程 先ずこの工程(1)では、信号面に反射膜ならびに保護
膜をコーティングし情報信号を印加した第1円形樹脂基
板D1が、回転保持台X上に載置され均等に吸着保持さ
れる。
【0007】(2)第1円形樹脂基板D1に接着剤Rを
塗布する工程 この工程(2)では、第1円形樹脂基板D1を載置した
回転保持台Xを低速回転させながら、吐出ノズルNより
接着剤R、例えば紫外線硬化樹脂を静かに吐出させる。
尚、吐出する接着剤Rは、吐出ノズルNの移動の仕方に
より第1円形樹脂基板D1の上に吐出される軌跡は異な
るが、例えば、図のようにドーナツ状軌跡として形成す
ることが好ましい。
【0008】(3)第1円形樹脂基板D1に第2円形樹
脂基板D2を載置して重ね合わせる工程 この工程(3)では、接着剤Rが塗布された第1円形樹
脂基板D1の上に(透明の)第2円形樹脂基板D2が載
置される。ここでの第2円形樹脂基板D2は、情報信号
が印加されてない透明なもの、又は情報信号が印加され
てたもの(この場合、反射膜を有するので、通常、透明
ではない)がある。なお、図では、第2円形樹脂基板D
2は、爪チャックを使っているが、吸着チャックにより
表面を吸引保持することも多く行われる。
【0009】(4)両円形樹脂基板D1,D2の間に介
在する接着剤Rを延展する工程 次にこの工程(4)では、両円形樹脂基板D1、D2間
に介在する接着剤Rが満遍なく且つ均一に行き渡るよう
に延展が行なわれる。この延展は、2枚の円形樹脂基板
D1、D2が合体した合体円形樹脂基板、即ち光ディス
クDが載置された状態において、回転保持台Xを高速回
転(通常、回転数は数千rpm以上、回転時間は数秒程
度)させることで行なう。
【0010】この回転により、重ね合わされた両円形樹
脂基板D1,D2間に存在する余分な接着剤Rは、延展
と共に外に放出され、同時に両円形樹脂基板D1、D2
間に閉じ込まれた空気(空気の泡等)は外に排出され
る。ここで、延展の際に円形樹脂基板D1、D2の中心
穴に挿入した回転保持台のボス体1から接着剤を中心方
向へ吸引することが行なわれる。この吸引は、円形樹脂
基板に備わった液止め溝(延展される接着剤の内周ライ
ンを明確にするためのリング状の溝)の位置や、場合に
よっては中心穴の位置にまで接着剤が到達するような吸
引力で行なわれる。
【0011】(5)延展された接着剤Rを硬化する硬化
工程 この工程(5)では、第1円形樹脂基板D1と第2円形
樹脂基板D2の間の接着剤の延展が終わった後の光ディ
スクをゆっくり回転(ここでの回転速度は、前記延展工
程の際の回転速度より大幅に少なく例えば、数rpm程
度)させた状態、又は回転させない状態で、紫外線を光
ディスクに照射させ、接着剤R、例えば、紫外線硬化樹
脂層を硬化させる。具体的には、背面に反射鏡Mを有す
る紫外線光源体Lにより紫外線を照射させて、効率よく
硬化がなされる。この延展工程によって、両円形樹脂基
板間の全接着剤が硬化され両円形樹脂基板は全体的に固
定される。
【0012】尚、硬化工程は、使用する接着剤Rの種類
により異なるもので、使用する接着剤Rの特性に合致し
た硬化方法が採用されることは言うまでもない。また、
この硬化工程は、延展工程とは異なったステーションに
て行われることが多い。以上のようにして光ディスクの
貼り合わせ工程が終了する。
【0013】ところで、記憶ディスクが第1円形樹脂基
板D1と第2円形樹脂基板D2との両方に情報信号が記
録されている規格のものについて言うと、記憶ディスク
から出力する場合、一方向から光線を当て信号を読み取
る方式(例えば、デュアルレイヤーDVDに使用されて
いる規格の記憶ディスク読み取り手法の場合がこれに相
当する)、及び両方向から光線を当ててそれぞれの基板
の信号を読み取る方式(シングルレイヤー,ダブルサイ
ディッド)の2通りの方式がある。このうち前者におい
ては、第1円形樹脂基板D1と第2円形樹脂基板D2と
間にズレがあると印加された情報の正確な読み取りはで
きない。
【0014】図7に、2枚の円形樹脂基板にズレが生じ
た状態の場合を示すが、このようにズレた状態において
は、印加された記録情報にも両者間にズレが生じ、それ
がそのまま貼り合わされると、一方方向からの読み取り
方式では正確な読み取りができないのである。因みに、
デュアルレイヤーDVDの規格においては、欠陥商品と
ならないよう、両者のズレが、例えば、15ミクロン以
内に収まることが望ましいとされている。上記工程
(4)の接着剤Rを延展する工程では、接着剤の延展
が、ズレが殆ど無いか又はこのような適合範囲内に収ま
るように行われる。
【0015】通常、この延展の後、記憶ディスクは吸着
チャックを使って取り上げられ、他のステーション(例
えば、次の接着剤の硬化工程)に移される。ところで、
このように記憶ディスクを保持台から取り上げる場合、
記憶ディスクの表面を吸着し、ボス体が記憶ディスクに
接触しないように、真上に持ち上げることが行われる。
このように吸着チャックを取り上げる場合、極力、真っ
直ぐ上方に上昇させることが望ましいのであるが、この
ような搬送手段においては、機械の精度上の誤差等によ
り、吸着チャックに横振れが生ずることがある。
【0016】ところで、ボス体の外径は、円形樹脂基板
の出し入れをし易くするために、円形樹脂基板の中心穴
DHの径に較べて一定量だけ小さく設定してあり、両者
の間に間隙が形成されている。吸着チャックを取り上げ
る際、横振れが生じて、このような間隙以上の大きさに
なると、記憶ディスクがボス体に直接、接触する。即
ち、記憶ディスクの中心穴の内周面がボス体の外周面に
接触する。横振れが大きい場合は、記憶ディスクがボス
体に強く当たって擦られるように作用し、その結果、上
下2枚の円形樹脂基板間に剥離やズレが生ずるのであ
る。このような円形樹脂基板の相互のズレや剥離は、そ
のまま接着剤の硬化により固定し製品の欠陥となってし
まうことから、確実に排除しなければならない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な背景のもとで問題点の解決を図ったものである。即
ち、本発明の目的は、2枚の円形樹脂基板の相互のズレ
や剥離が生じないようにして記憶ディスクを取り上げる
方法及びそのための取り上げ装置を提供することを目的
とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明者等は
このような課題に対して、鋭意研究を重ねた結果、ボス
体を保持台に対して弾圧的に上下移動可能にすることに
より、吸着チャックにてボス体を押し下げ、ボス体と記
憶ディスクとの接触を排除できることを見出し、この知
見により本発明を完成させるに至ったものである。
【0019】即ち本発明は、(1)、ボス体を備えた回
転保持台に載置された記憶ディスクを吸着チャックを使
って取り上げる方法であって、吸着チャックを下降させ
てボス体を押し下げ、記憶ディスクの中心穴とボス体外
周面との間の距離を拡張させた状態で記憶ディスクの表
面を吸着チャックで吸着し、その後、吸着チャックを上
昇させる記憶ディスクの取り上げ方法に存する。
【0020】そして、(2)、ボス体を備えた回転保持
台に載置された記憶ディスクを押圧部を備えた吸着チャ
ックを使って取り上げる方法であって、吸着チャックを
下降させてボス体を押し下げ、ボス体を記憶ディスクの
中心穴から抜け去った状態で記憶ディスクの表面を吸着
チャックで吸着し、その後、吸着チャックを上昇させる
記憶ディスクの取り上げ方法に存する。
【0021】そしてまた、(3)、ボス体を備えた保持
台と保持台上のディスクを吸着して持ち上げる吸着チャ
ックとよりなる記憶ディスクの取り上げ装置であって、
ボス体が保持台に対して弾圧的に上下移動可能に設けら
れ、吸着チャックが記憶ディスクを吸着する吸着部とボ
ス体に当接してそれを押し下げる押圧部とを備えている
取り上げ装置に存する。
【0022】そしてまた、(4)、ボス体が上方にかけ
て縮径するテーパ面を備えている上記(3)の取り上げ
装置に存する。
【0023】そしてまた、(5)、ボス体が記憶ディス
ク間の接着剤を吸引するための吸引機能を有している上
記(3)の取り上げ装置に存する。
【0024】そしてまた、(6)、吸着チャックが吸着
部の中央にボス体を押し下げるための凹状の押圧部を備
えている上記(3)の取り上げ装置に存する。
【0025】そしてまた、(7)、吸着チャックが吸着
部の中央にボス体を押し下げるための凸状の押圧部を備
えている上記(3)の取り上げ装置に存する。
【0026】
【作用】吸着チャックを下降し、ボス体を押し下げ、ボ
ス体の外周面と記憶ディスクの中心穴の内周面との間隙
を広め、又は、ボス体を記憶ディスクの中心穴から下に
抜き去る。その状態で記憶ディスクを吸着して、その
後、吸着チャックを上昇する。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の記憶ディスクの取り上げ
装置は、保持台と吸着チャックとよりなる。保持台は、
接着剤を延展する延展工程において使用されるところの
回転する回転保持台の他、回転しない保持台も含むもの
である。
【0028】〔発明の第1の実施の形態〕図1は、延展
工程において使用される保持台(ここでは回転するため
回転保持台という)を概略的に示すもので、(a)は平
面図で、(b)は側面図である。接着剤Rを介して重ね
合わされた記憶ディスクD(両円形樹脂基板D1,D
2)は、鎖線で示すごとく、円形の回転保持台Xの上面
に載置される。この回転保持台上には、円形樹脂基板を
吸着するための図示しない吸着穴が多数設けられてお
り、所定の強さで吸着制御がなされる。
【0029】回転保持台X上の中心部にはボス体1が設
けられており、このボス体1は、円形樹脂基板の中心穴
DHに挿入される部分である。回転保持台Xは、図示し
ない原動機を含む駆動装置により高速回転するように制
御されている。なお、回転保持台Xの周りには、円形ド
ーム形状をしたカバーである飛散防止手段X1が設けら
れている。この飛散防止手段X1は、延展の際、両円形
樹脂基板から外方に放出される接着剤Rを受け止めて、
その飛散を防止し又は回収するるためのものであが、そ
の委細な説明は省略する。
【0030】図2は、取り上げ装置の回転保持台Xと吸
着チャックYとを示した断面図である。 さて図2に示
すように、回転保持台Xは、円形樹脂基板D1,D2を
載置するためのテーブル体2と、該テーブル2を支える
ための回転支持軸3とを備える。 テーブル体2は、回
転支持軸3の径大部31に嵌め込まれることで、取り付
けられる。また回転支持軸3の径大部31に設けられた
嵌合穴32には、後述するボス体1が嵌め込まれて取り
付けられ、その嵌合穴内で弾圧的に上下方向に摺動する
ことができる。
【0031】回転支持軸3は、軸受け41を介して固定
スリーブ4により回転可能に支持されている。回転支持
軸3と固定スリーブ4の両者の間には、密封された円筒
状の空間A4が形成される。この空間A4は、固定スリ
ーブ4と回転支持軸3との間に介在する例えばシール体
42により厳密に気密性が保証されている。また、この
空間A4は、固定スリーブ4の適当な位置に設けられた
図示しない貫通口を通じて同じく図示しない制御された
負圧源(負圧源としては、例えば、真空吸引装置が採用
される)に連結されている。
【0032】回転支持軸3は、その下端部には図示しな
いプーリが設けられており、同じく図示しない伝動ベル
トを介して、回転することができる。この回転支持軸3
が回転することにより、回転保持台X全体が一体となっ
て回転される。回転支持軸3の更なる下端は、図示しな
いロータリージョイントに結合され、内部の通路B3
は、このロータリージョイントを介して外部の図示しな
い制御された負圧源(負圧源としては、例えば真空吸引
装置が採用される)に接続される。
【0033】一方、テーブル体2は、直接に記憶ディス
クDが載置される部分(載置部)で、表面が平坦な着座
面として形成されている。そして、その表面に多数の吸
着穴A1が設けられており、この吸着穴A1は、テーブ
ル内の通路A2を経て、回転支持軸3の径大部31の通
路A3に通じている。また、この通路A3は、回転支持
軸3と固定スリーブ4との間の先述した空間(間隙)A
4に開放される。このように、記憶ディスクを吸着する
ための連続する吸引通路は、吸着穴A1、通路A2、通
路A3、空間A4、等により形成される。空間A4に通
じる図示しない負圧源を作動することで、吸着穴A1が
負圧となって、載置部であるテーブル体の表面(着座
面)に吸着力が働き、その上に載置された記憶ディスク
Dは吸着保持される。
【0034】次にボス体1について述べる。図4は、ボ
ス体を構成する2つの要部、即ち基部11と蓋部12と
に分解した状態を示す。図に示すように、ボス体1は、
基部11と蓋部12とよりなり、この両者は、連通する
ボルト体Pを螺合することより互いに一体に取り付けら
れる。このボルト体Pは、バネ体Fを回転支持軸3の径
大部31の嵌合穴32に装着する際に、支持部となる。
蓋部12は、基部11の上に載置されボルト体Pにより
固定される部分で、その外周面は、テーパ面Tを備えて
いる。
【0035】このテーパ面Tは、上方にかけて縮径する
形状となっているものである。このテーパ面Tは、記憶
ディスクの出し入れをスムースにするための機能と、後
述するように、記憶ディスクとボス体との相互の接触を
避ける機能と2つの機能を有するが、これら両機能を満
足するような傾斜度に形成される。基部11は、小径の
第1円筒部11Aとそれより大径の第2円筒部11Bと
よりなる。両円筒部の境の肩部11Cは、ボス体1を嵌
合穴32に装着した段階で、テーブル体2の下面に弾圧
的に当接して抜け止めとなる部分である。基部11は、
蓋部12を上に取り付けた状態で回転保持台Xの凹部3
2に嵌め込まれるものであり、その上面には、放射状の
突出部111が形成されている。
【0036】この突出部111の股の部分の底には、吸
引のために、小穴112が空けられており、この小穴1
12は、ボス体1、詳しくは基部11の内部空間B2に
開放される。ボス体1の内部空間B2は、回転支持軸3
の嵌合穴32、及び通路B3に連絡される構造になって
いる。ところで、基部11に蓋部12を上から被せるよ
うにして嵌め合わせた状態では、蓋部12の裏底面と基
部11の突出部111とが当接して、両者の外周面には
間隙が形成され、吸引口B1となる(図2参照)。
【0037】吸引口B1は、ボス体1の小穴112を介
して、ボス体1の内部空間B2に通じ、また、上述した
ように、内部空間B2は、回転支持軸3に貫通された通
路B3に連絡される。通路B3に通じる負圧源の作動に
より、吸引口B1から接着剤の吸引が行なわれる。基部
11と蓋部12とで形成された間隙、即ち吸引口B1
は、ボス体1の全周囲に連続して形成されることにな
り、全方向に均等な吸引力が作用する。尚、今まで説明
したボス体1は、基部11と蓋部12に分離できるボス
体であったが、加工上の制約を受けないならば、基部1
1と蓋部12とが一体となったボス体とすることも当然
可能である。
【0038】ところで、回転保持台Xを組み立てるに
は、先ず最初に、回転支持軸3の径大部31にある嵌合
穴32にボス体1を嵌め込む。この時、ボス体1に螺合
されたボルト体Pと嵌合穴32の底面32Aとの間にバ
ネ体Fを介在させ、ボス体1を上から押圧してそのバネ
体Fを縮ませた状態にする。そして回転支持軸3の径大
部31の小径円筒部33に上からテーブル体2の凹部2
1を嵌め込む。ボス体1は、その肩部11Cがテーブル
体2の下面で押さえられ上方に付勢された状態で装着さ
れる。このようにして、ボス体1は回転保持台Xの嵌合
穴32の中で弾圧的に上下移動可能に取り付けられるの
である。
【0039】ところで、ボス体1は、延展工程におい
て、記憶ディスクDの中心穴DHに挿入され接着剤Rを
吸引する機能を備えるものである。この接着剤の吸引の
ための連続する吸引通路は、吸引口B1の小穴112、
基部11の内部空間B2、回転支持軸3の嵌合穴32、
通路B3等により形成され、該通路B3が図示しない負
圧源(好ましくは、前述した吸着穴A1の吸着のための
負圧源とは異なる負圧源を使用する)に通じる。
【0040】この負圧源を作動することにより吸引口B
1から所定の吸引が行なわれる。なお、この吸引機能
は、第1円形樹脂基板D1と第2円形樹脂基板D2の間
に介在する接着剤を、内方へ引き込んで中心穴DHの方
向への延展を助ける作用を行うものであり、この点の技
術については、本発明者等は既に出願済である。記憶デ
ィスクDが載置された状態では、ボス体1と回転支持軸
3の径大部31上面、及び記憶ディスクDの下面とで空
所Sが区画形成される。この空所Sは、径大部31に設
けられた図示しない導入路により外部に開放されてお
り、ボス体1からの吸引に際し、外気を導入するための
部分となる。
【0041】さて、次に図2及び図3を参照に吸着チャ
ックについて述べる。吸着チャックYは、記憶ディスク
を回転保持台Xから他のステーションに移動させるため
の移送手段として使用される。
【0042】吸着チャックYは頭部5と移動する腕部6
とを備え、その頭部5は、複数個の吸着部51と押圧部
52を有し、複数の吸着部51の中心位置に押圧部52
が設けられている。吸着部51は吸引通路5Aを有する
吸盤51Aを備えており、この吸引通路5Aは、腕部6
を通って図示しない吸引源に連絡され吸引制御が行われ
る。押圧部52は凹状に形成されて、その押圧面52T
は吸着部51の下面よりやや窪んだ位置に設けられてい
る。この凹状の押圧部52には、前記ボス体1の頭(種
として蓋部)が挿入されるだけの広さを有する。
【0043】吸着チャックYが下降することにより、そ
の押圧面52Tでボス体1の上面を押圧するが、ボス体
1が押し下げられ、記憶ディスクDの中心穴DHの内周
面とボス体1の外周面の間隙が一定の大きさになった段
階で、吸着部51の下面が記憶ディスクDの表面に当接
するように設計されている。この間隙は、吸着チャック
Yが上昇する際、通常想定される横振れがあっても接触
しない大きさに設計されている。吸着チャックYは、そ
れを支える腕部6に備わった弾発体7の弾圧力より下方
に付勢されている。
【0044】次に、以上説明したような回転保持台X及
び吸着チャックYを使って、記憶ディスクDを取り上げ
る方法を図5を参考に説明する。回転保持台Xの上で接
着剤の延展が終了した段階では、記憶ディスクDは、そ
の中心穴DHに回転保持台のボス部1が挿入されて載置
された状態となっている〔図5(1)〕。今、この真上
から、吸着チャックYを下降させる。
【0045】吸着チャックYが一定の位置まで下がる
と、該吸着チャックYの凹状の押圧部52にボス部1の
頭部分が挿入されていく。更なる吸着チャックYの下降
によって、押圧部52の押圧面52Tがボス体1の上面
に当接して該ボス体1を押し下げる。この押し下げによ
り、記憶ディスクDの内周面とボス体1の外周面の間隙
が開いていく。その間隙が一定の大きさになった段階
で、吸着部51を記憶ディスクDの表面に吸着させる
〔図5(2)〕。なお、この段階で、吸着部51は吸引
される。
【0046】次に、吸着チャックYを上昇させると、記
憶ディスクDは吸着保持されて持ち上げられる〔図5
(3)〕。この時、ボス体1はバネ体Fにより上方に付
勢されているので吸着チャックYと共に上昇するが、一
定の距離上昇した段階で、ボス体1の肩部11Cがテー
ブル体2の内周下面に衝突することにより、その上昇が
停止される。なおも吸着チャックYを上昇させると、押
圧部52の押圧面52Tがボス体1の上面から離れてい
く。このように、ボス体1の外周面と記憶ディスクDの
中心穴DHの内周面との間隙を適度に開いた状態で、記
憶ディスクDを回転保持台Xから上へ持ち上げて離脱さ
せるので、吸着チャックが横振れを生じてもボス体1と
記憶ディスクDが接触することがない。以上で、記憶デ
ィスクDは、回転保持台Xの上方位置に取り上げられた
ことになる。この後、記憶ディスクDは、他のステーシ
ョンに移動される。
【0047】〔発明の第2の実施の形態〕図6は、回転
保持台の変形例を示す図である。第1の実施の形態で説
明した、回転保持台Xは、ボス体1が記憶ディスクDの
中心穴DHに挿入された状態で、ボス体1と記憶ディス
クDとの間の間隔を拡張するものであった。しかし、ボ
ス体1を記憶ディスクDの中心穴DHから完全に抜け去
った状態にすれば、中心穴DHには障害物がなくなり、
ボス体1と記憶ディスクDの接触は全くなくなるはずで
ある。このようなことから、この例では、吸着チャック
Yの押圧部52を凹状にしないで、逆に凸状に形成する
ことで効果を狙ったものである。
【0048】従って、吸着チャックYを下降させてボス
体1を押し下げ、ボス体1が記憶ディスクDの中心穴D
Hから下方に抜け去った状態で記憶ディスクDを取り上
げることができる。この変形例の回転保持台Xにおいて
は、ボス体1の上下移動距離が大きのでボス体1が装着
されている回転支持軸の嵌合穴32を、第1の実施の形
態と比較して深く設計しなければならないため、径大部
31の厚み(高さ)を大きく取る必要がある。
【0049】この実施の形態に示す回転保持台X及び吸
着チャックYを使って記憶ディスクDを取り上げる方法
を図7を参考に説明する。記憶ディスクDは、その中心
穴DHに回転保持台のボス部1が挿入されて載置された
状態となっている〔図7(1)〕。今、この真上から、
吸着チャックYを下降させる。
【0050】吸着チャックYの下降によって、押圧部5
2の押圧面52Tがボス体1の上面に当接して該ボス体
1を押し下げる。この押し下げにより、ボス体が下がっ
ていき、記憶ディスクDの中心穴DHから下に抜け去
る。同時に、該中心穴DHに吸着チャックYの押圧部5
2が挿入される。該押圧部52の挿入が一定距離行われ
た段階で、吸着部51を記憶ディスクDの表面に当圧さ
せる〔図7(2)〕。そして、この段階で、吸着部51
は吸引される。なお、この状態では、ボス体の上面は、
回転保持台の表面より下方に位置している。
【0051】次に、吸着チャックYを上昇させると、記
憶ディスクDは吸着保持されて持ち上げられる〔図7
(3)〕。この時、ボス体1はバネ体Fにより上方に付
勢されているので、吸着チャックYと共に上昇するが、
ボス体が一定の距離上昇した段階ではその上昇が停止さ
れる。なおも吸着チャックYを上昇させると、押圧部5
2の押圧面52Tがボス体1の上面から離れていく。以
上で、記憶ディスクDは、回転保持台Xの上方位置に取
り上げられたことになる。このように、ボス体1を記憶
ディスクDの中心穴DHから一旦下に抜き去った状態
で、記憶ディスクDを回転保持台Xから上へ持ち上げて
離脱させるので、ボス体1と記憶ディスクDが接触する
ことがない。
【0052】以上、本発明を実施の形態を挙げて説明し
たきたが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定され
るものではなく、その本質から逸脱しない範囲で、他の
種々の変形例が可能であることはいうまでもない。例え
ば、吸着チャックの構造は、ボス体の外周面と記憶ディ
スクの中心穴の内周面との間隙が一定の大きさに拡大し
た段階、又は、ボス体が記憶ディスクの中心穴から下に
抜け去った段階で、記憶ディスクの表面を吸引すること
ができる構造のものであれば全て適応可能である。
【0053】
【発明の効果】保持台から、記憶ディスクを取り上げる
場合、横振れが起きてもボス体と記憶ディスクとの接触
が生じない。記憶ディスクの2枚の円形樹脂基板の相互
のズレや剥離が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、回転保持台を示す図であり、(a)は
平面図、(b)は側面図である。
【図2】図2は、本発明に係る取り上げ装置の第1の実
施の形態を示す図であり、回転保持台の要部を示す断面
図である。
【図3】図3は、吸着チャックの平面図である。
【図4】図4は、ボス体の分解図である。
【図5】図5は、第1の実施の形態における記憶ディス
クの取り上げ方法を示す工程図である。
【図6】図6は、本発明に係る取り上げ装置の第2の実
施の形態を示す図であり、回転保持台の要部を示す断面
図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態における記憶ディス
クの取り上げ方法を示す工程図である。
【図8】図8は、2枚の円形樹脂基板がズレた状態(正
面図及び側面図)を示す図である。
【図9】図9は、単板を貼り合わせて一体の光ディスク
にするための一連の工程を概略的に示す。
【図10】図10は、記憶ディスク(例えば光ディスク
であるDVD)を示す概略断面図である。
【図面の簡単な説明】 【符号の説明】
1…ボス体 11…基部 112…小穴 111…突出部 11A…第1円筒部 11B…第2円筒部 12…蓋部 2…テーブル体 3…回転支持軸 31…径大部 32…嵌合穴 4…固定スリーブ 5…頭部 5A…吸引通路 51…吸着部 51A…吸盤 52…押圧部 52T…押圧面 6…腕部 7…弾発体 A1…吸着穴 A2…通路 A3…通路 A4…空間 B1…吸引口 B2…内部空間 B3…通路 D…記憶ディスク(光ディスク) D1…第1円形樹脂基板 a…反射膜 b…保護膜 D2…第2円形樹脂基板 DH…中心穴 F…バネ体 M…反射鏡 N…ノズル P…ボルト体 R…接着剤(紫外線硬化樹脂) S…空所 T…テーパ面 L…紫外線光源体 X…回転保持台 X1…飛散防止手段 Y…吸着チャック

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボス体を備えた回転保持台に載置された
    記憶ディスクを吸着チャックを使って取り上げる方法で
    あって、吸着チャックを下降させてボス体を押し下げ、
    記憶ディスクの中心穴とボス体外周面との間の距離を拡
    張させた状態で記憶ディスクの表面を吸着チャックで吸
    着し、その後、吸着チャックを上昇させることを特徴と
    する記憶ディスクの取り上げ方法。
  2. 【請求項2】 ボス体を備えた回転保持台に載置された
    記憶ディスクを押圧部を備えた吸着チャックを使って取
    り上げる方法であって、吸着チャックを下降させてボス
    体を押し下げ、ボス体を記憶ディスクの中心穴から抜け
    去った状態で記憶ディスクの表面を吸着チャックで吸着
    し、その後、吸着チャックを上昇させることを特徴とす
    る記憶ディスクの取り上げ方法。
  3. 【請求項3】 ボス体を備えた保持台と保持台上のディ
    スクを吸着して持ち上げる吸着チャックとよりなる記憶
    ディスクの取り上げ装置であって、ボス体が保持台に対
    して弾圧的に上下移動可能に設けられ、吸着チャックが
    記憶ディスクを吸着する吸着部とボス体に当接してそれ
    を押し下げる押圧部とを備えていることを特徴とする取
    り上げ装置。
  4. 【請求項4】 ボス体が上方にかけて縮径するテーパ面
    を備えていることを特徴とする請求項3記載の取り上げ
    装置。
  5. 【請求項5】 ボス体が記憶ディスク間の接着剤を吸引
    するための吸引機能を有していることを特徴とする請求
    項3記載の取り上げ装置。
  6. 【請求項6】 吸着チャックが吸着部の中央にボス体を
    押し下げるための凹状の押圧部を備えていることを特徴
    とする請求項3記載の取り上げ装置。
  7. 【請求項7】 吸着チャックが吸着部の中央にボス体を
    押し下げるための凸状の押圧部を備えていることを特徴
    とする請求項3記載の取り上げ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999024336A1 (en) * 1997-11-12 1999-05-20 First Light Technology, Inc. System and method for maintaining concentricity of a combination of a top and bottom substrate during the assembly of a bonded storage disk
US6098272A (en) * 1998-05-19 2000-08-08 First Light Technology, Inc. System for maintaining concentricity of a combination of a top and bottom substrate during the assembly of a bonded storage disk

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WO1999024336A1 (en) * 1997-11-12 1999-05-20 First Light Technology, Inc. System and method for maintaining concentricity of a combination of a top and bottom substrate during the assembly of a bonded storage disk
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